さやか「いい旅、夢気分」(364)

代理


――マミホーム――



さやか「今日も今日とてマミさーん、来ましたよー」

まどか「うぇひひひ、お邪魔します」

マミ「二人ともいらっしゃい。今お茶でも淹れて来るから向こうで待ってて」

さやか「お、ありがとうございますゥー!」

まどか「外はとっても寒かったんで、嬉しいです。マミさん」

マミ「あらあら。……そうだ。確か、この前買ったクッキーもあるから、一緒に持っていくわね」

さやか「何と! 甘いものまで……。いやー、あたしってば幸せものですな」

マミ「さ、廊下で話してても寒いだけよ。入って、どうぞ」


――――・・・


まどか「マミさん、もしかしてですけど……お茶っ葉、変えましたか?」

マミ「よく気付いたわね、鹿目さん。実は偶然いいリーフを見つけてね、ちょっと奮発しちゃったの」

まどか「はぇ、そうなんですかー」

さやか「まどかって意外と鋭いよねー。あたしなんて全然分からなかったよ」

マミ「美樹さんは、『飲めれば何でもいい』って考えの人だったりするのかしら?」

さやか「もぉーっ! マミさん! イジワル言わないで下さいってばー」

マミ「ごめんなさい、冗談よ」


まどか「そういえばさやかちゃん、何か私たちに話したい事があるとか言ってなかった?」

さやか「……あ! そうだった!」

マミ「……(話したい事……一体何かしらね)」

さやか「あー、どこやったかなー。確かカバンに入れたはずなんだけど」ガサガサ

まどか「さやかちゃん、カバンの中身は整理した方が良いよ……」

さやか「気が向いたらやるって。……あっ、見つかった」

マミ「よかったわね」


マミ「パンフレット……?」

さやか「そうです。実は懸賞で、その……」

さやか「『温泉旅行』! 当てちゃいました!」

マミ「……!!」

まどか「うそーっ、すごいねさやかちゃん!」

マミ「美樹さん、おめでとう」

さやか「やーやー、それほどでもー」


さやか「それで、ここからが本題なんですけど」

さやか「マミさん、まどか……私と一緒に旅行に行きませんか」

まどか「……うーん、ママに聞いてからになると思うけど、たぶん大丈夫」

マミ「誘ってくれて嬉しい、美樹さん。是非ご一緒させてもらうわ」

さやか「やりぃ! 断られたらどうしようかと思ったけど、上手く行ってよかったー」

マミ「でも、美樹さん」

さやか「何ですか?」


マミ「あなたの親御さんの方は大丈夫なの?」

マミ「私がいう事じゃ無いかもしれないけど、本来なら家族で使うべきものでしょう」

さやか「それが、パパもママも忙しくて、実は、友達を誘えって言ったのは二人なんです」

マミ「……そう。それなら、何の問題も無いわね」

まどか「ねぇさやかちゃん、3人で旅行に行くの?」

さやか「パンフには5名様って書いてあるんだけど、もう仁美には断られちゃってるんだよね」

まどか「あ、そうなんだ」

さやか「何でも、昇段審査がどうのこうのって。いやー、お嬢様は大変だなぁ」

まどか「お土産だけでも買って帰ってあげようね」


まどか「それなら、杏子ちゃんとほむらちゃんを誘おうよ!」

まどか「付き合いは長くなったけど、まだ一緒に遊びに行ったことはないなー……って」

さやか「んー……ま、いっか。丁度5人になるし」

まどか「やったぁ!」

マミ「美樹さん、その旅行はいつなのかしら」

さやか「えーっと、来週の連休になってます。懸賞の旅行って日時が固定されてるんですよ」

マミ「あら、随分急な」

まどか「ほむらちゃんには私が電話するから、杏子ちゃんの方はさやかちゃん、よろしくね」

さやか「がってんしょうちのすけ!」

俺得の予感



――――・・・

――マミホーム――


さやか「見事に集まったわね」

杏子「いや、さやかが呼んだんだろ」

ほむら「まどかに呼ばれたとあっては、集まらないわけにはいかないわ」

さやか「そう……」

まどか「旅行のプランの説明だっけ?」

さやか「うん。マミさんが戻ってきたら説明するから」

杏子「まどかー、そのアメちゃん一つくれよ」

まどか「はい、どうぞ」

杏子「サンキュ」

マミ「みんなごめん、お茶入ったから飲んで、どうぞ」


さやか「と、いう訳で今週末を利用して、遊びに行くことになったわけなんだけど」

杏子「メシがウマいといいな」

さやか「大丈夫。ぬかりはない」

ほむら「混浴とか……じゃないわよね?」

さやか「当たり前でしょ! それはあたしだってお断り」

ほむら「旅費とかは?」

さやか「えーっと、予算は自由。お小遣いだけもって来てくれたらいいからさ」

まどか「そういえば、温泉旅行としか聞いてないんだけど」

マミ「行き先はどこなのかしら」

さやか「えーと、今回は『ミステリーツアー』って事で」



まどか「ミステリーツアー?」

ほむら「9時から11時のお約束よ、まどか」

さやか「それは単なるミステリーだろ! いい加減にしろ!」

ほむら「ジョークよ」

さやか「えっそれは……」

マミ「ミステリーツアーって言うのは、行先不明の旅行ってことね」

杏子「要するに着いてからのお楽しみってワケか」


さやか「集合場所は近くの駅。そんで、電車で行くから遅刻厳禁ね」

まどか「はーい」

さやか「杏子、あんたは朝寝坊とかしそうなイメージあるから、特に気を付けてよ」

杏子「ったくよぉ、わかってるって」

マミ「私が起こしに行ってあげるわ」

杏子「うげ! それだけはやだっ!」

マミ「そんな事を言う悪い子には、お仕置きしてあげる……」

杏子「ちょっ! やめロッテ! あたし脇腹弱いんだからさー!」

まどか「てぃひひひひ、わたしも混ぜてよー!」

ほむら「何やってるのあなた達、私も仲間にいれて頂戴」

まどか「え、ほむらちゃん!? どさくさに紛れてどこ触って……ひぁ!」

さやか「……じゃあ、今日の所は解散だから」

さやか「……」

さやか「うりゃーっ! さやかちゃんも加勢するぞーっ!」

かわいいなあもう


――――・・・旅行当日


ほむら「おはよう」

まどか「おはよーっ」

杏子「意外と遅かったじゃん、ぼんくらー」

ほむら「あなたは意外に早かったわね」ファサァ

杏子「それがさ、マミさん、マジで起こしに来やがったんだ」

マミ「佐倉さんったら、私が来たときには案の定ぐっすり寝てたわ。よだれまでたらしちゃって、うふ」

杏子「あーあーあーあー何も聞こえなーい!」


マミ「私がほっぺたを突っつくと、くすぐったそうにするのがもう可愛くて」

杏子「それ言うな! もう言うなっての!」

マミ「ふふふふ、はいはい」

まどか「見たかったな、杏子ちゃんの寝顔」

ほむら「あら、可愛らしい(棒読み)」

杏子「うっせーよ! あああああうぜぇうぜぇ!」

ほむら「顔真っ赤にして何言ってるの」

頼むから完走してくれよ
この手の良作は途中で消えることが大杉



ほむら「それはそうと、美樹さやかは?」

まどか「さやかちゃんならまだだよ」

杏子「アイツ……自分が寝坊してどうすんだ」

さやか「ごっめーん! みんなぁ、遅れちゃったー!」

杏子「あ、来た」

まどか「さやかちゃーん! こっちこっち!」

さやか「ぜぇ……ぜぇ……」


さやか「まだ、大丈夫……はぁ、だよね?」

マミ「時間はまだあるけど……」

杏子「何だその荷物!?」

さやか「重たい……」

ほむら「ほら、きびきび動く。あと美樹さやか、少し荷物を貸しなさい」

杏子「なんか待ってたら腹へったなぁ。肉まんでも買ってくるか」

まどか「わたしもー」


『三番線から~、電車が発車いたします~』

杏子「おい、急ぐぞ!」

まどか「あわわわわわわ!」

さやか「ドアが閉まる! 閉まるって!」


プシューッ


さやか「ふぅ、何とか乗れたね」

マミ「ひぃ……みんな、足早過ぎ……」

やっぱりデブさんやでぇ


――ボックス席――


さやか「あ、今ちらっと学校が見えた!」

まどか「えー、どこどこ?」

さやか「ほら、あっちの高くて白い……あー、見えなくなった」

ほむら「他の乗客が居ないとはいえ、騒ぐのはみっともないわよ」

マミ「楽しみにしてた旅行よ。騒ぐのも無理ないわ」

ほむら「むぅ。それもそうね」

さやか「だが、この時、私たちは予想だにしていなかった。まさか、あたしたちがあんな事件に巻き込まれるなんて――――」

杏子「やめロッテ」ポカッ

さやか「いて」


さやか「しかーし! 杏子の考えは甘いと思うのだー!」

杏子「急にどうしたんだよ……」

さやか「冬、電車、温泉といえばもう、サスペンスだよね! うん!」

杏子「は?」

マミ「普通は、『素敵な旅の思い出』とかじゃないかしら」

まどか「一般的には、そっちですよね」

さやか「もー、マミさんにまどかまで!」


さやか「そうだ。ババ抜きやらない? あたしトランプ持ってきてるんだ」

まどか「やるやるー」

杏子「ババ抜きか、懐かしいなぁ」

マミ「カード配るわよー」

さやか「ねぇねぇ、ただのババ抜きっていうのもアレだしさ、負けたら罰ゲームって言うのはどう?」

ほむら「また下らない事を……」

杏子「あたしはそれでもいいぞ。負けねーし」

さやか「むっふっふ、その強気な面を絶望に歪ませてくれるわ!」

まどか「さやかちゃんがおかしい……」

なにマミさん平然と参加してんの
ババ抜きなんだから辞退しなきゃ

>>39
屋上


ほむら「……はい、2が揃ったわ。アガリね」ファサァ

まどか「ほむらちゃんもうアガリ? 強いね」

さやか「(右引け……右を引くんだマミさん!)」

マミ「よし、私もアガリよ」

さやか「うがああああああああ!」

杏子「次はあたしの番か。……っと、ちっ、まだアガレないねぇ」

まどか「うぇひひひ。残念、わたしもまだっぽいや」


さやか「よしっ、これでアガリだあああああああ! ああああああああああああ!」

まどか「アガれなかったんだ……」

杏子「くっそ! まだアガれないってどういうことだよオイ!」

ほむら「カードに嫌われてるのね」

杏子「その口だけでにやりと上げるのやめろっつの! なんか腹立つ!」

まどか「やったー! 私も抜けるよ!」

さやか「あああああああ↑ああああああああああ!」

まどか「さやかちゃん! 病室に戻ろう!」



さやか「ま、何にせよ……」

杏子「一騎打ちってワケか」

さやか「よーし、まずはこれ引いて……またペアが揃わなーい!」

さやか「 ババめ! 出て行けよぉぉぉおお! さやかちゃんショック!」

ほむら「(いや、ババがあるって口に出したらダメでしょ……)」

杏子「そしてあたしのターン! ぃよしっ! アガリー!」

さやか「え、何それは……」

マミ「罰ゲームは美樹さんね。はい、この箱から一枚紙引いて?」

ほむら「(あの箱、いつ用意したんだろう……?)」

さやか「精神の新陳代謝、性欲とは神が与えし大罪。逃れられぬカルマ……」ブツブツ

まどか「あぁっ! さやかちゃんの精神がボロボロだよぉ!」


さやか「嘘ぉ!? キュゥべぇに告白?」

杏子「うげ、誰が得するんだよ……」

マミ「でも、キュゥべぇったら、仕事がなんちゃらって言ったきり帰って来てないわ」

まどか「そうなんですか?」

ほむら「ノルマでも溜まってるんじゃない?」

まどか「うぇひっ、仕事に追われるキュゥべぇなんてイメージできないよ」

さやか「それじゃあ、さやかちゃんの告白タイムはまたの機会に……」

杏子「しょうがないなぁ」

マミ「けど、何も無いってのも寂しいわねぇ」

さやか「マミさん、笑顔が黒いですよ……」

マジで誰が得するんだ……


マミ「もう一枚引いた結果……『右隣の人にセクハラされる(334秒)』になったわ」

杏子「ムダに長いな!」

ほむら「右隣って……えっ、私……」

さやか「優しく……してね」

ほむら「ええええええええっ!? 急にしおらしくならないで!」

まどか「見たーい、見たーい。ほむらちゃんが頑張るところ見たーい」

マミ「はい、よーいスタート」

ほむら「(くぅぅぅぅぅぅぅぅっ!)」


さやか「……」

ほむら「……」

杏子「さ、あたしたちは何も見なかった。な、そうだよな?」

まどか「う、うん」

マミ「さ、お菓子でも食べながら、到着までゆったり過ごしましょ」

さやか「……何も無かったよね。これっていろいろとノーカウントだよね」

ほむら「ええ……」

おっ、帰ってるじゃん


――――・・・色々あったけど到着


さやか「やっと着いたああああ!」

マミ「雪がちらついてるわ……風情があっていいわね」

杏子「なんつーか、硫黄の臭いが凄いな。寒いし」

ほむら「夜はそこかしこにある灯篭に、明かりが灯るらしいわよ」

まどか「それって、とっても綺麗だろうなぁ。夜になったら見に行こうよ」

ほむら「それは名案ね」

さやか「みんなー、ちょっと歩くからねー」


――旅館【しゃるろって】――


さやか「えーっと、地図を見ると、ここっぽいんだけどさ」

マミ「はぇ~、すっごい大きい」

ほむら「中々年季の入った建物ね」

杏子「外に居ても寒ぃし、とっとと中に入っちまおうよ」


――――・・・


杏子「おー、やっぱ中はあったかいな」

『ようこそおいでませ。旅館【しゃるろって】へ』

まどか「ど、どうも……」

さやか「あのー、予約しておいた美樹さやか、という者ですけどー……」

『ああ、左様でございますか。記帳が済み次第、お部屋にご案内させていただきます』


――【ちぃずの間】――


マミ「窓から景色が一望できるのね。絶景だわ」

さやか「畳かぁ。いやー、和の心って言うのは素晴らしいですなぁ~」

まどか「うぇひひひひ、さやかちゃんってば、早速ごろごろしてるし」

マミ「お湯も沸いてる事だし、一服しましょうか」

ほむら「賛成。私も少し疲れたわ」

杏子「なー、お茶飲んだらどっかメシ食いにでよーぜ。おなか空いたー」

さやか「食い気しかないんかいあんたには……」

杏子「おう!」


マミ「雪景色を眺めながらのお茶って言うのも、オツなモノよね」

まどか「そうですね~。お茶が一層おいしいです」

マミ「暁美さん、お代わりはいかがかしら」

ほむら「ありがとう。頂くわ」

さやか「へぇー、温泉街だけあって足湯がたくさんあるんだ」

マミ「どれもそれぞれ効能が違うって書いてあるわね」

さやか「全部入っちゃおっかなー。目指せ足美人!」

ほむら「足美人(笑)」

さやか「ごめんあたしが悪かった」


――外――


さやか「やっぱり外は寒いっすねー。くぅ~」

まどか「傘借りてきて良かったね。雪が強くなってきたし」

さやか「壊れたりしないよね?」

ほむら「番傘って、意外と丈夫なのよ」

さやか「そりゃ知らなかった。ほむらは物知りだね」

ほむら「お褒めに預かり光栄だわ」

杏子「結構人が多いな。はぐれるなよー」

マミ「了解。不安な人は他の人の袖を掴むといいわよ」

まどか「マミさん、いきなりだけど袖かしてくれませんか」

マミ「構わないわ。しっかり掴んでてね」


杏子「そういえば、ここの名物ってなんなんだ、さやか?」

さやか「確か、おソバってパンフレットに書いてたような」

杏子「ソバか。楽しみだー」

さやか「もうすぐお店につくから、ちょっとの我慢かも」

杏子「ここまで来たらとことん待ってやるさ」

まどか「あのお店じゃないかな。それっぽい看板も見えるよ」

杏子「おー、待ってました!」


さやか「ここだ。ここ」

ほむら「いかにも老舗って感じがするわ」

マミ「あ、ここ雑誌で見たことあるわよ。つゆが絶品らしいわ」

まどか「ソバのいい匂いもするね」

杏子「もう我慢できない! あたしはいくぞっ!」

さやか「あっ、こら」

ほむら「ホントせっかちなんだから」

杏子「せっかちは悪い事じゃねぇだろ」

そうだよあんこちゃん!


さやか「天ソバ1つ!」

まどか「私はとろろそばにしようかなぁ。うずらの卵も乗っけてくれるみたいだし」

さやか「精力をつけて何をするおつもりですかなー? まどかさん」

まどか「なんにもしないよ!」

ほむら「……私も、まどかと同じものにするわ」

マミ「あえての月見ソバにしようかしら」

杏子「あたしは、きつねソバと天ぷらソバだぜ」

さやか「そんなに食べて、お腹壊しても知らないよ」

杏子「大丈夫だって、平気平気」


さやか「いただきまーす」

杏子「むむむっ、うめぇな! 天ぷらもサックサクだぞ!」

まどか「うぇひひっ、おいしいね、ほむらちゃん」

ほむら「ええ。本当に美味しいわ」

さやか「マミさーん、そこの七味取ってください」

マミ「はいはい」

マミ「(あぁ、よく考えてみると、みんなでこうしていられるのって、本当に幸せね)」

まどか「……マミさーん、おソバ、冷めちゃいますよ」

マミ「……ありがと。ちょっと、ぼーっとしてたみたい」

マミ「さて、冷めないうちに食べないとね」


杏子「ごちそうさーん」

まどか「そば、おいしかったねー」

杏子「ああ。そうだな」

ほむら「これからどうするの? 旅館に戻る?」

さやか「いやいや、時間もあるから、観光と洒落込もうかなー、なんて」

さやか「お土産屋も近いし、他にもいろいろあるみたいだからさ」

ほむら「意外と考えてるのね。やるじゃない」

さやか「素直に褒めてくださいってばー、頼むよー」


――土産物屋――


ほむら「温泉街の土産物屋で買うものと言ったら、やっぱり木刀よね」

さやか「修学旅行か!」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「ほほぅ、まどかはたくさん買い込んでますなぁ」

まどか「みんなにお土産買わないとねっ! こっちはママで、あっちの黒くてテカテカしたのが仁美ちゃん」

まどか「喜んでくれるとこっちも嬉しくなるから、ちゃんと選ばないと」

さやか「(パパさんにはしゃもじなのか……。ま、まどからしいっちゃあまどからしいけど……)」

さやか「んー、私も何か買おっかなー」

ほむら「三角ペナントなんてどう?」

さやか「いや、そのセンスは無いわ……」


まどか「いっぱい買っちゃったよ、うぇひひひ。ちょっと重たいなあ」

さやか「まどか、今は発送サービスってのがちゃんとあるんだよ。ほら、あっちのカウンター行ってきなって」

まどか「そうなんだぁ。ありがと、さやかちゃん! 行ってくるね!」

ほむら「……」

さやか「ほむらは何を選んでるのかなー」

ほむら「……キーホルダーよ」

さやか「ふぅ~ん、ほむらって意外とこういうカワイイキーホルダー、好きなんだ」

ほむら「悪い?」

さやか「全然。あたしも好きだから」

ほむら「……そう」


さやか「じゃあ、お揃いの買おうよ」

ほむら「……どうして?」

さやか「深い意味なんてないってば。記念だよ、記念」

ほむら「……」

さやか「後さ、これはあたしの勘だけどさ。アンタ、あたしの事、好きじゃ無かったっしょ」

ほむら「……」

さやか「いや、そこは『大好きだったわ』とか言って欲しいな……なんて」

ほむら「無理な注文ね」


さやか「……傍から見たら、あたしって、ホント考え無しだったもん。無理ないよね」

さやか「残当ってやつですよ」

ほむら「……けど、今は違うわ。それに……ふふ、悪くないわね。あなたと『お揃い』というのも」

さやか「一言多いぞー」

さやか「……そんで、月並みだけど……これからもよろしく」

ほむら「こちらこそ」

まどか「ごめんねー、二人とも遅れちゃったよ」

まどか「……あれ? どうしたの、二人とも何だか嬉しそうだね」

さやか「なんでもないってば」

ほむら「……そうよ。ほら、、向こうで杏子たちも待ってるわ」


杏子「♪~♪~」

マミ「佐倉さん、それ全部買うつもり?」

杏子「うん。どれもこれも美味しそうで結構迷うんだよなぁ」

マミ「これ全部、一人で食べるつもり?」

杏子「なワケねぇだろ。欲しいなら、その、分けてやる」

マミ「……そう」

杏子「あ、何笑ってんだ!」

マミ「笑ってないわよ……ふふっ」

杏子「いーやっ、絶対笑ってるって!」


マミ「(佐倉さんが、一緒にいる)」

マミ「(私と袂を分かった時には、到底考えられなかった)」

マミ「(まさか、こんな日が来るなんて)」

杏子「さっきから笑いやがって、ったく。もうお菓子分けてやらねーぞ」

マミ「そんなご無体なー」

杏子「おい、棒読みじゃん」

マミ「……」

マミ「ほらほら、しっかり持たないとお土産落としちゃうわよ」

杏子「お、すまねぇ」


――――・・・


杏子「饅頭うめー」

さやか「食べるの早過ぎィ!」

杏子「うめぇんだからしょうがないじゃん。一つ食うかい?」

さやか「ん。ちょーだい」

杏子「ほむらも食うかー?」

ほむら「いや、私はいいわ。お腹一杯だから」

まどか「あれ、足湯じゃない?」

マミ「暖まっていく?」

まどか「はい。そうしたいです」


まどか「わぁ、貸切だ」

ほむら「足からじんわりと暖まるわね。気持ちいい」

杏子「なー、このお湯に卵入れとけば温泉卵になるのかー?」

ほむら「理論上はそうかもしれないけど……」

まどか「……どうだろうね」

さやか「何でも良いけど、宿で試すのだけはやめてよね」

杏子「!!」ギクッ

さやか「(試すつもりだったのか……)」

あんこちゃんマジあんあん



マミ「へぇ、そうなんだ……」

まどか「マミさん、何読んでるんですか?」

マミ「この足湯の効能よ。肌のハリとツヤを保つ効果があるそうだわ」

杏子「腹は太らないのか、残念だよ」

まどか「むしろそんな効能があったら恐ろしいんだけど……」

さやか「今のあたしたちには関係のない話だって。まだ中学生だし」

ほむら「……そうやってまだ高校生、まだ大学生、まだ20代……ふと気づいたら暖炉のそばで編み物をしているのよ」

さやか「やめて! 怖すぎるからやめて!」

あんこちゃんマジあんあん


――――・・・


まどか「お散歩するだけでも楽しいね」

ほむら「……ええ、そうね」

杏子「甘栗うめーなおい」

まどか「何だかわたしも甘栗食べたくなってきたな。買っとけばよかったよぉ……」

杏子「時すでに遅しってか。一個やるよ」

まどか「ありがと、杏子ちゃんは優しいね」

杏子「栗一個でそこまで言うか。……ホント、調子狂うよなぁ」


――旅館【しゃるろって】 【ちぃずの間】――


マミ「やっぱり、冬と言えば暖かいお茶よねぇ」

まどか「ですねー。お茶菓子が怖いです」

さやか「でもさ、雪、強くなってきてない?」

ほむら「これは外に出るのは難しいわね」

まどか「楽しみにしてたのに……」

杏子「明日の夜は晴れらしいぞー。天気予報で言ってた」

まどか「……ほんと!? やったぁ」

マミ「鹿目さん、良かったわね」

まどか「はいっ!」

さやか「まどかが元気出したところで、お風呂いこっか」


――女湯――


さやか「うわー、広いなぁ」

マミ「美樹さん、響くから静かにしなさい」

まどか「誰も居なくて良かったですね」

杏子「突撃だー!」

さやか「前を隠せ――――ッ! 恥じらいってもんはないのか!?」

杏子「はぁ? そんくらいあるに決まってるだろ」

さやか「説得力の欠けらも無いお言葉をどうも」

杏子「くっそー、そんなに見たけりゃ見せてやるよ! あたしだって……マンガで読んだことくらいあるんだぞ!」

まだ恥じらいの芽生えてないあんこちゃんすき


杏子「って……わっ! あー……痛てて。転んじまった」

まどか「大丈夫? 怪我とか無い?」

杏子「おお……ってお前ら見てんじゃねーよ」

ほむら「しなを作るのが予想以上にあざとい、893点」

マミ「タオルからちらちら見えるいろんな部分が綺麗な色をしていた、114514点」

さやか「……採 点 不 可 能」

杏子「わざとじゃないっつーの! 勝手に採点すんな!」

さやか「あっ、お湯かけたな! こいつー!」

マミ「あらら、始まっちゃった」

まどか「二人一緒だとすぐこうなりますよね」

マミ「もう止める気も失せるわよ」


ほむら「(分かってはいたことだけど……)」

ほむら「(どうして私、私だけが絶壁なの)」

杏子「ほむらー、一人で考え込んでどうしたんだ」

ほむら「あ、いや、いい気持ちね」

杏子「あんまりつかり過ぎてのぼせんなよなー」

ほむら「分かっているわ」

ほむら「(杏子も無い方とは言え、私よりはある)」


まどか「わあああああっ! さやかちゃんくすぐったいよー!」

さやか「おおおおぉぉぉーっ! 待てえええ!」

ほむら「(まどかは年相応には発達しているわ、うん)」

さやか「まどかー、その白きヴェールに包まれた、宝石のような肢体をあたしの前に開放するのだー!」

ほむら「(美樹さやかは同じ学年とは思えない体つき……はっきりいって羨ましい)」

マミ「こらっ。二人ともそんなにはしゃがないの!」

ほむら「(……同じステージには立てないわね)」ペタペタ

ほむら「(大丈夫よ私! まだまだこれから!)」

ほむら「(……だといいな)」


――――・・・


さやか「うひゃっ! さむむむむむっ!」

ほむら「お風呂までが意外と遠いわね……」

さやか「まあ、こんなもんだって。急げ急げー!」

ほむら「あんまり走ると転ぶわよ。寒いけど慎重に、慎重に……」

さやか「無理無理無理無理、あああああ、寒いさm――――」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「……え?」ツルッ


ほむら「……ほら、言ったじゃないの。走ると転ぶわよ、って」

ほむら「私が抱きとめなかったら、危なかったわね」

さやか「……ありがと」

さやか「でも、後ろから抱きとめられたのに、なんというか、やわらかい感触がしなかった……」

ほむら「……言ってはならないことを言ってしまったわね」

さやか「だーいじょうぶだって。そのちっぱいもいつかぜっtいたたたたたたたた!」

ほむら「本当に、あなたは……!!」

さやか「ほっぺちゅへらふぁいふぇえええええ(ほっぺつねらないでえええええ!)」


さやか「『A』か? これが『A』なのかー?」

ほむら「……」プチッ

さやか「ぐっ、極まってる……げぇ」

まどか「さやかちゃんの顔が真っ青に!」

ほむら「これが、全部これが悪いのよ!」バインバイン

さやか「……」グッタリ

まどか「ダメだって! おっぱいパンチはやめてー!」

さやほむいい


マミ「いい景色ね」

杏子「あったけー」

まどか「うん。来てよかったなあ」

杏子「うー、そろそろほてってきたか。髪洗って出るわ」

杏子「いーち、にー、さーん」

まどか「杏子ちゃんって、10秒数えるんだね」

杏子「ああ。昔からの癖だからな」

杏子「きゅーう、じゅう、っと。じゃあ、お先ー」

まどか「あっ、私も行くよ!」

まどか「いーち、にー」

さやか「まどかもまだやってるんだ……」


――――・・・


さやか「みんなって、どんなシャンプー使ってるの?」

まどか「えーっとね、確か、CMでやってたぶん」

さやか「あーアレか。評判いいよね」

ほむら「私は違うのを使っているわ。まどかのはどうも私の髪に合わなかったみたい」

杏子「シャンプーなんてどれ使っても一緒だろ」

マミ「それがね、結構違うのよ。自分の髪質に合ったものを探してみるといいわ」

さやか「そうだ。今度一緒に見に行こうよ」

マミ「私も付き合うわ」

杏子「……勝手にしろよな」


――大広間――


杏子「ここで食うのかー」

ほむら「いぐさの香りがなんとも言えないわ」

まどか「うわぁ、すごいごちそう!」

ほむら「和食メインなのね。私の好みだわ」

杏子「ウマそうだなおい!」

まどか「でも、真ん中の火にかけられてる壺って何だろう」

マミ「これはチーズフォンデュね。名前くらいは聞いたことあるでしょう」

まどか「はい。初めて生で見ました」

ほむら「(和食にチーズフォンデュ……)」


ほむら「いただきます」

まどか「さっそく、チーズフォンデュを食べてみよっかなぁ」

杏子「この野菜をつけて食べるのか。いただきまーす!」

マミ「待って! 白ワインが使われているから、いっぱい食べると酔っぱらう事もあるわよ」

まどか「えっ?」ピタッ

杏子「あん?」ガツガツガツガツ

マミ「佐倉さん……」

さやか「欲望に忠実なヤツ……」


マミ「この鰤の焼き物、とっても美味しいわ。何か美味しく作るコツでもあるのかしら」

さやか「普通のお吸い物かと思ったら全然そんなことなかった」

まどか「このお刺身もとろとろでおいしいよ」

ほむら「茶わん蒸しも絶品ね」

杏子「……あれ? う~ん、ちょっぴりふらふらする……」

さやか「言わんこっちゃない」

マミ「酔っぱらっちゃったのね」

杏子「体が熱いぞ……」

さやか「ここで脱ぐな――――っ!」

脱ぎたがりだなぁ

少し休憩取る


――【ちぃずの間】――


ほむら「杏子ちゃん、はい、お水」

杏子「ぷはーっ、一気にラクになったな」

マミ「だからあれほど言ったのに」

杏子「わりーわりー」

さやか「まだ寝るには早いぞー」

ほむら「そういえば、フロントで卓球の道具が借りられるらしいわよ」

さやか「いいね。卓球で勝負よ!」

マミ「それはいいわね。私も乗ったわ」


――――・・・


さやか「普通にやっても面白くないからなぁ」

さやか「と、言うわけで……『古今東西』でやろう」

まどか「えっ、何それは」

ほむら「それはそれで十分お約束よね……」

杏子「最初は見てるからさ、好きにやっててくれよ」

さやか「ふっふっふ、勝ったらジュースを奢ってもらうからっ!」

ほむら「負けなければいいだけの事、共に戦いましょう、まどか」

まどか「えっ、私!?」

さやか「マミさん、こっちも頑張りましょう!」

マミ「い、いいわよ!」

すいとん食らってた
これもう(投下できるか)わかんねえな


杏子「あたしが審判やるぞー。」

さやか「じゃあ、行くわよ。『古今東西』白いの。『牛乳』」

ほむら「『砂糖』っ!」

マミ「強烈なリターンね。……なんのこれしき、『雲』!」

まどか「えーっと、『こくまろミルク』」

ほむら「ファッ!?」

さやか「審判スト―――――ップ!」

つばさきらい


まどか「あれ、ミルクって聞いてたから白いと思ってたのに……」

さやか「まどかー、それ、どこで聞いたの?」

まどか「えーっとね、クラスの男子が話してたよ。牛乳よりも濃厚なんだって」

マミ「もしかして……それって……」

ほむら「これは教育でしょうねぇ」

まどか「ねぇ、ほむらちゃん、わたし何か変なこと言った?」

ほむら「あなたはそのままでいて、まどか」

――――・・・

さやか「再開するよー。『古今東西』! 餡子をパンで包んだもの、『アンパン』!」

杏子「うわ、出た」

ほむら「ええっ? 他にあるの?」

さやか「やったー、1点とったぞ!」

ほむら「今のは卑怯じゃない!」


杏子「それがさ、一応ルール的には『有効』なんだよね。それ一番言われてるから」

まどか「さばをミソで煮たもの、サバの味噌煮ー! って感じかな」

ほむら「何てこと! 何てこと……!」

マミ「こじつけくさいけど、『ウグイスパン』も正解よね。一応餡が入ってるわ」

さやか「頭のお堅い転校生には分からなかったかな~?」

ほむら「くっ……!」


ほむら「結局……勝てなかったね。まどか」

まどか「えへへ。一生懸命頑張ったのに……」

ほむら「私、悔しい……!」



さやか「……」

さやか「……重いわ! 温泉地での楽しい卓球大会じゃなかったの!?」

ほむら「負けたものは仕方ないわ。約束通り、奢るわよ」ファサァ


まどか「みんなは何が飲みたい?」

さやか「……いいよ別に。帰ってマミさんの淹れてくれるお茶飲む方が美味しいし」

まどか「さやかちゃん、どういうこと?」

ほむら「あなたが言ったんじゃない」

さやか「いや、さ、なんか賭けてた方が燃えるでしょ」

ほむら「あのさぁ……」

旅行行きたくなってきた


――――・・・

――【ちぃずの間】――


杏子「体を動かすと気分がいいな」

まどか「杏子ちゃん強すぎるよ……」

さやか「くっそー、次は勝ってやるんだから!」

杏子「へっへーん、やれるもんならやってみやがれ」


杏子「ま、今日のヘボっぷりじゃあ、一生かかってもあたしには追いつけないよ」

さやか「むっきぃぃぃぃぃ!」

まどか「今日は楽しかったね」

ほむら「ええ。来てよかったわ」

まどか「明日も観光だから、もうねよっか」

マミ「みんなお布団入った? 電気切るよー」


マミ「……zzzz」

ほむら「……」スヤスヤ

さやか「二人とも寝るの早過ぎ……」

まどか「……おきてる?」

さやか「うん」

杏子「あたしもまだだぞ」


まどか「なんだか眠れなくて……」

さやか「……まどかって……どんな人がタイプなの?」

杏子「ド直球だな」

まどか「さやかちゃん! いきなりやめてよっ!」

杏子「しーっ! ほむらとマミさんが起きちまう!」

支援


杏子「……zzzz」

まどか「杏子ちゃんも寝ちゃったね」

さやか「だらしなく口なんか開けちゃってさ……布団はねのけてるとお腹冷やすぞー」

まどか「ごめん、私も何だか眠たくなって……」

まどか「……」グッスリ

さやか「みんな寝ちゃったか」

さやか「……さーてと、あたしも寝ますかね」

さやか「みんな、おやすみ」

早く寝る奴はぼっち


――――・・・そして朝


まどか「……ふぁ」

杏子「ぷはーっ! 寝起きのコーラはうめぇなぁ」

まどか「……おはよう杏子ちゃん。」

杏子「おはよ。……悪ぃ、起こした?」

まどか「いや、自然に起きただけだよ。他のみんなは寝てるの?」

杏子「ああ。だってまだ5時だぞ」


まどか「ずいぶん早起きしちゃったなぁ」

杏子「あたしもさっき起きたんだけどさ。二度寝するにはビミョーだし、もう起きちまおうかなって」

まどか「わたしも……そうしよっかな」

杏子「ところでさ……」

まどか「ん?」



杏子「こいつらスヤスヤ寝てるから、ちょっとイタズラしないか?」

まどか「えー、でも……」

杏子「大丈夫だって。こういう時のための水性ペンだ!」

杏子「な、面白そうだろ」

まどか「うーん……杏子ちゃん、やりすぎはダメだからね」

杏子「わかってるって。ほれ、水性ペン。まどかも使う?」

まどか「……ちょっとだけ」

いたずらパート


杏子「まずは、さやかから攻めるか」

まどか「どんな風にするの?」

杏子「やっぱり落書きと言えばこれだよな。ヒゲおやじ~」

まどか「うわぁ……」

杏子「そしてまぶたにもう一つお目目を描いてやるぞ」

まどか「あっ、お花も加えないと」


杏子「そんでここもこうしてやろうぜ」

まどか「ほっぺはぐるぐるうずまき~♪」

     __
   . '´   ヽ←さやか

   { i{ノハ从k}   
   ヽ!l|規制ノリ

杏子「これは……」

まどか「怖いよ……」


まどか「次はほむらちゃんだね」

杏子「少しばかり変化球を加えたいな」

まどか「体中にお経でも書き込んでいく?」

杏子「それはヤバいって! 朝起きたら耳なし芳一とか絶対トラウマものだぞ!」

杏子「(つーかまどかもノリノリじゃねぇか……)」

まどか「うぇひっ、おでこにちょうちょでも飛ばそっか」

杏子「鬼畜だ……」


杏子「最後の関門……」

まどか「もうやめとこうよ……マミさんの怒ったところ、わたし見たことないよ」

杏子「あたしはあるんだ……」

まどか「!!」

杏子「冗談抜きで、鬼のようだった……!」


まどか「なら……!」

杏子「けど、けどよ! ここで立ち止まったら、あたしの大切な何かが折れる気がするんだ」

まどか「うぇひっ、それなら……わたしは止めない」

杏子「恩に着るぜ、……行くぞ! うおおおおおおおおっ!」

マミ「……」ガシッ

杏子「えっ?」


マミ「佐倉さん、一体何をしようとしてたのかしら」

杏子「あ、いやその……」

まどか「(声がやさしいのが逆に怖いよぉ……)」

マミ「ねぇ、私をどうするつもりだったの?」

杏子「すまん! 許してくれ!」

マミ「どうして謝るの? ねぇ」

まどか「(怖いなんてレベルじゃなかった……)」

マミさんに叱られたい


さやか「あ゙ーっ! 何この顔!」

ほむら「うわ、醜悪だわ」

さやか「自分の顔見なって! 同じ同じ!」


―――・・・


杏子「ごめん、ごめんって! タンマタンマタンマ!」

さやか「よくもやってくれたなー! お返ししてやる!」

ほむら「美樹さやか、しっかり足をおさえて頂戴」


マミ「佐倉さんと言うキャンパスには、一体どんな絵が描かれるのかしら」

杏子「やめろおおおおおおおおおお!」

マミ「鹿目さんも見てないでこっちに来て」

まどか「は、はい」

マミ「――――次はあなたの番だからね」

まどか「……ご、ごめんなさあああああああああい!」

杏子「うぅ、顔洗うのに時間かかっちまった」

まどか「おでこの米マークがなかなか消えなかったよぉ……」

マミ「もうやったらダメよ」

杏子「はーい」

まどか「すみませんでした……」

マミ「じゃあ、何して過ごそうかしら」

まどか「お土産は昨日買っちゃいましたからね」

さやか「とりあえず、外に出てから決めよっか」

――――・・・朝ごはんも食べたので外に出ることに


さやか「うぅーっ、しばれるのぉ」

杏子「朝方だからな、結構冷えるんだろ」

まどか「あったかくしてきてよかったねー」

さやか「あれ、ゲームセンターじゃないかな」

杏子「ずいぶん寂れてるけど、ちゃんとやってんのか?」

――ゲームセンター【きる? すってん】――


まどか「あー、ぷよぷよもあるんだね」

さやか「早速勝負だ!」

まどか「うぇひひ、お手柔らかにね」

杏子「畜生、ハイスコアが出ない!」

杏子「このワニ公め! うりゃ!」

まどか「ばよえーんばよえーん」

さやか「口に出てるぞ、まどか」

まどか「つい……」


マミ「ついに雌雄を決する時が来たわね」

ほむら「私だって伊達に銃器は扱ってないわ。そんなに簡単に勝てるとは思わない方が身のためよ」

マミ「ふふん、それでも、私には及ばないことを教えてあげるわ」

マミ「『ティロ・フィナーレ』!」

『はい、景品ゲットー』

マミ「よし!」


ほむら「……やるわね。でも、長い間研鑽し続けてきたのはあなただけじゃないわ」

ほむら「……この辺りでいいかしら……。冷静に見極めて、撃つ!」

『おめでとう、景品だよ』

ほむら「どうかしら」

マミ「……くっ」


まどか「わ、逃げて! タルにぶつかっちゃう!」

さやか「そこのハンマーを取ってまどか!」

まどか「う、うん!」

杏子「いいぞー。なぎ倒せー!」

まどか「……やったぁ。1面クリアだよ」

さやか「次はさやかちゃんの番ですな。速攻でクリアしてやりますよ!」

ドンキーコングwwwwwww


――――・・・


さやか「速攻でやられちゃった……」

まどか「さやかちゃん……」

杏子「まあ、予想はしてたけどさ」



――そろそろお昼時――


さやか「こういう昔ながらの場所に来て思うんだけど」

杏子「どうかしたか?」

さやか「店頭に置いてあるかき氷の置物ってさ、すごいシュールだよね」

杏子「あー、ソフトクリームの置物とかもあるよな」

さやか「そうそう」

まどか「でもあれを見ないと、旅行に来た! って感じがしないよ」


杏子「それはともかくハラ減ったなぁ」

さやか「あたしもー」

マミ「あ、カフェテリアがあるわ……」

さやか「温泉地にそぐわないジャンルの建物ですね……」

杏子「食えるなら何でもいいや。はいろはいろ」

ほむら「外観は悪くなさそうだし、構わないわ」

――カフェテリア【エルザマリア】――


さやか「シンプルにホットサンドで」

杏子「あたしはそれ3つ!」

さやか「食べ過ぎぃ!」

まどか「この『特製スープカレー』って言うのを一つ」

マミ「鹿目さんと同じものをお願いします」

杏子「カレーなんてあるんだなー」


ほむら「私はベーグルを。後は、そうね。ミルクとお砂糖をたっぷり入れたコーヒーを」

さやか「それさぁ、カフェオレじゃ駄目なの?」

ほむら「こだわりよ」

まどか「わたしもブラック飲めないよ、仲間だね」

さやか「……ふーん。っていうか、あたしたちさ、これ、温泉地で頼むお昼ご飯じゃないよね」

まどか「そこは言わない約束だよ……」



マミ「まあまあ。おいしい物をみんなで食べるってことが重要なのよ」

マミ「眺めもいいし。川のせせらぎの音も聞こえて来るわ」

まどか「こんな素敵なものをくれた、さやかちゃんに感謝だね」

さやか「恥ずかしいセリフ禁止!」

まどか「えぇー」

恥ずかしいな


マミ「けれども、確かに美樹さんが私たちを誘ってくれなかったら、この楽しい時間は無かったわね」

杏子「……悪くねぇな」

ほむら「礼を言うわ。美樹さやか」

さやか「いややややや、たまたまだから。照れるなぁ、ほんと」

まどか「ありがとう! さやかちゃん!」

さやか「……」


さやか「……どういたしまして」

『お待たせいたしました。ご注文の……』

杏子「おっ、グッドタイミング! きたぞきたぞ~」

まどか「いい匂いがするよ、お腹すいたー」

さやか「じゃあ、食べよっか」


まどか「おいしかったねー」
マミ「カレーのレシピを教えてもらったから、今度作ってあげるわ」

まどか「わぁ、楽しみです」

マミ「期待して待っててね」

杏子「これからどうするんだ?」

さやか「特に予定はないよ。夜まで暇かな」

杏子「宿に戻るか」

ほむら「いいわね。ゆっくりするのも旅行の醍醐味だと思ってるから」

まどか「おいしかったねー」

マミ「カレーのレシピを教えてもらったから、今度作ってあげるわ」

まどか「わぁ、楽しみです」

マミ「期待して待っててね」

杏子「これからどうするんだ?」

さやか「特に予定はないよ。夜まで暇かな」

杏子「宿に戻るか」

ほむら「いいわね。ゆっくりするのも旅行の醍醐味だと思ってるから」

――旅館【しゃるろって】――


さやか「ねぇねぇ。どうせ他にすることないんだし、旅館の中探検してみない?」

杏子「ガキだねー、アンタも」

まどか「でも、探検って面白そうだよね」

さやか「でしょ?」

杏子「あたしもさんせー」

マミ「……待って」

まどか「?」


マミ「こういう昔ながらの建物って、怪奇現象とか、こう、あるんじゃない?」

ほむら「そうね。わざわざ怖い思いをする必要はないわ」

まどか「確かに、ざしきわらしとかって、テレビとかでよくやってましたよね」

マミ「そうそう。旅館に監視カメラとか置いて……」

さやか「……二人とも、まさか怖いとか?」


マミ「……そんなことないわ。だって……ホラー映画だって一人で見られるもの」

まどか「どんなタイトルですか?」

マミ「死霊の盆踊り」

さやか「(ギャグじゃん……)」

杏子「なー、ほむらもいこーぜー。お札べったべたの扉とか見つかるかもしれないぞー」

ほむら「それは絶対に嫌!」


さやか「結局みんなで探検することになったわけですが……」

まどか「ここって結構広いから、迷っちゃいそうだね」

ほむら「……」ブルブル

杏子「何震えてんだよ。まだ昼間だから大丈夫だって」

さやか「でもさ、聞いたことない? 昼間の幽霊はただ見えないだけで、そこにずっといるって話」

ほむら「せっかく安心しかけたのに……」


さやか「冷たっ! 服の中に手ぇ突っ込まないでってば! あっ、おなか弱いからギブギブ!」

ほむら「許さないわ……!」

さやか「こしょばいから! あっ、やめてっ!」

ほむら「…・…」サワサワ

杏子「ぼんくらどもー、はしゃいでると先行くぞー」

まどか「あっ、待ってよー」

マミ「意外と何も無いわね。髪の伸びる人形とか見てしまうかと思ってたけど」

まどか「そう言えば、昔は本当に人形の髪の毛の部分に、本物の髪の毛を使ってたんですよ」

マミ「本物って……人間の?」

まどか「はい。……それで、髪の毛って切ってもしばらくは伸び続けるらしいんで、一旦切りそろえてから人形を売ってたみたいです」

さやか「まどかは物知りだなー」


まどか「うぇひっ、パパが言ってたことなんだけどね」

さやか「そんな事だろうと思ってた」

まどか「もう!」

ほむら「ん? あれって掛け軸じゃない?」

さやか「おっ、やっと面白そうなのが来たか?」

まどか「歴史の教科書で見た事あるね」

さやか「美人画、ってヤツだったかな? あんまし授業聞いてないから分からないや」

ほむら「いつも突っ伏して寝てるものね、あなた」

さやか「いやー、睡魔にはとんと弱いから」

マミ「ちゃんと聞いてないと、あとで自分が困るわよ」

さやか「なはは、わかっちゃいるんですけどね」

ほむら「はぁ……」


まどか「……」

ほむら「行き止まりみたい。いったん引き返す?」

さやか「……ちょい待ち、扉みたいなのがあるんだけど」

まどか「え?」

マミ「『開かずの間』かしら……?」

ほむら「いかにも危ない感じがするわ」

マミ「薄暗いし……やめときましょうよ」

さやか「いや、あたしは行く!」

まどか「さやかちゃん! 危ないよ!」

さやか「骨くらいは、拾ってね……みんな」

杏子「おいっ! さやかッ!」

まどか「さやかちゃ――――んッ!」

ほむら「(何これ……)」


杏子「結局……ただの厨房だったとはな」

さやか「あのおどろおどろしい作りが、二代目当主の趣味だったなんて……」

マミ「確かに奥まった位置にあるのも納得だわ……」

さやか「あーあ、無駄に疲れちゃったなぁ。部屋戻ってトランプでもやろーよ」

ほむら「いいわね」

まどか「あ、わたし大富豪やりたい」

マミ「負けないわよ~」


――――・・・いろいろあってお風呂タイム

――女湯――


ほむら「あぁ……いいお湯ね」

マミ「ええ。心まであったまるわ」

ほむら「そうね……」

さやか「みんな、絶対に押さないでね! 自分のタイミングで入るから!」

まどか「さやかちゃん、水風呂はやめとこうよ。冷たいって」


さやか「だから絶対に背中触らないd――――」

杏子「はよ入れ」

さやか「ああああああああああああああ!」

まどか「さやかちゃん……」


さやか「露天風呂、今日も寒いなー」

ほむら「雪が降って無いのが幸いと言った所かしら」

チョットホントニ……

さやか「ん? 何か聞こえる」

キモチイイカ、キモチイイダロ?
アッ、ンッ、オアアアアアッー! オフッ! ウェアッ!

さやか「……!! もしかして、男同士で……!?」

ほむら「間違いないわね……」

汚すぎる


アァァァァ、モットツイテクレヤ!
オォン、アォン!

さやか「(うわ~……盛っちゃってるよ……)」

ヴォーキモチィィ!
ウィイイイイイイイヒ! ウィヒ!

さやか「うわぁ……」

ほむら「汚い……」

さやか「……内風呂に戻ろっか」

ほむら「そうね。そうしましょう。……早く忘れたいわ」

さやか「同感」


まどか「二人とも、外はどう―――――」

ほむら「……まどかッ! 来たらダメ!」

まどか「え? わたしもお風呂入りたい……」

さやか「残念なことにさ、露天風呂は故障で使えないみたい。今日は内風呂で我慢しよ、まどか」

まどか「……うん」

杏子「平泳ぎ~」

マミ「こら、中で泳がない!」

杏子「えー、楽しいのに」


――――・・・夕食

――【ちぃずの間】――


さやか「すき焼きだぁ! 世界中のお肉はあたしのモノだー!」

杏子「させるかよ。肉はあたしが頂くぜ」

マミ「二人とも落ち着きなさい。最初は仲居さんが作ってくれるって」

さやか「仲居さんありがとー!」

杏子「おーおーおーおー!」

すき焼き食べたいな


ほむら「山菜の和え物も中々美味ね」

まどか「うん。お刺身も口の中で溶けちゃうよぉ……」

さやか「(そして何故か大皿に盛られているさけるチーズ……)」

さやか「(突っ込んでいいのだろうか……)」

まどか「さやかちゃん、お肉なくなるよ」

杏子「ぼさっとすんなよな」


ほむら「最後はやっぱりうどん、そう思わない?」

まどか「それわかるな。おうどんって美味しいよね」

さやか「それじゃ、うどん投入するよー」

さやか「(言えない……ご飯派なんて言えない……)」

――――・・・


マミ「……そろそろいいかしら」

ほむら「火は通ってるわね」

杏子「うめー」モシャモシャ

さやか「あのさぁ……服汚れるってば、拭いてあげるからじっとして」

杏子「ん」

――【ちぃずの間】――


まどか「今日は灯篭を見に行きたいなぁ」

さやか「まどか、ずっとこれを楽しみにしてたよね」

まどか「うん!」

さやか「……そっか」

マミ「寒いからしっかり着込んでいきましょう。ほら佐倉さん、ちゃんとマフラーする」

杏子「へいへい」

ほむら「まどか。耳当て忘れてるわよ」

まどか「うぇひひ、ありがとほむらちゃん。これ、もふもふして好きなんだ」

――外――


まどか「……きれい」

さやか「すご……予想以上じゃん」

マミ「あたり一面が輝いてるわね……」

ほむら「あ、雪が降ってきたみたい」

さやか「みんなー、人も増えて来たし歩きながら見ようよ」


まどか「……とっても、ロマンチックだね」

さやか「もしもーし、まどかさーん。少し歩くよー」

まどか「……」ボー

さやか「あちゃー。完全に見とれちゃってるわ。」


杏子「お、露店出てるじゃん。何か買おっかなー」

マミ「さっきご飯食べたばかりじゃない」

杏子「お菓子は別腹なんだぞ」

マミ「……」

杏子「チョコバナナ売ってるじゃん。あれ一緒に食おうぜ」

マミ「あら、とっても美味しそう」

杏子「雪で濡れるのも嫌だし、さっさと買っちまうか」

マミ「……ふふっ、そうね」


まどか「……本当に、すごくきれいだね!」

さやか「そうだね。……はくちっ! うぅ、少し寒くなってきたかなぁ」

ほむら「ほら、番傘よ。借りて来てて良かった」

さやか「おぉーっ、気が利きますなぁ」

ほむら「二人とも濡れてしまうわ。ほら、中入って」


まどか「うぇひひっ、ほむらちゃんありがとね」

さやか「……そういえばさ」

ほむら「何?」

さやか「三人だと相合傘って言うのかな」

ほむら「さぁ?」

杏子「ほれ。あたしの奢りだぞ」

さやか「まさかアンタの口からそんな言葉が出るなんて……」

杏子「くわせねぇぞー」

さやか「う、嘘だって」

マミ「はい、暁美さんに鹿目さんもどうぞ」

まどか「ありがとうございます」

ほむら「ありがとう」

さやか「もう少し見て回ろうよ。こんな灯り、街中だと中々見られないから」


――――・・・


さやか「あー、楽しかった」

まどか「写真もたくさん撮れたし、後でみんなに配るね」

マミ「期待して待ってるわ。鹿目さん」

まどか「マミさん、腕は自信ないから、期待しないで待っててください……」

ほむら「あふ……眠たくなってきたわ」


まどか「わたしも今日は疲れちゃったから……早めに寝ようかな」

杏子「一日歩き回ってたからなぁ。無理もねぇか」

まどか「……あ、探検の時に見た掛け軸だよ」

さやか「案外何か変わってたりして」


まどか「……ねぇ、この掛け軸って血なんて流してたっけ」

杏子「んなワケないじゃん。そんなグロいモン見なかったろ」

まどか「でも、これ……」

杏子「おい、どういう事だよ……マジで血まみれじゃねぇか……」

まどか「本当に幽霊とかいるのかなぁ……?」

マミ「やめて! ホラーとか得意じゃないの!」


ほむら「……」ビクッ!

さやか「待った。誰かのイタズラって線もあるでしょ」

杏子「どうやって調べるんだよ」

ほむら「掛け軸を触って、ほこりがついているかどうかを確かめるの」

さやか「そう。ホコリがついていなかったら、誰かが触った。つまり、イタズラって事」


マミ「……ホコリ、ついてたわ」

まどか「嘘……こんなのってないよ、あんまりだよ……」

杏子「畜生……これってつまり……」

ほむら「『いる』ってことよね」


さやか「ぎゃあああああああああああっ!」

ほむら「慌てたって何にもならないわ。落ち着きなさい」フルフル

杏子「一番震えてるのほむらじゃね?」

まどか「みんなで一緒に寝よう。そうしたらきっと大丈夫だから」

――【ちぃずの間】――


まどか「……お布団、寄せていい?」

さやか「もう大歓迎です! さぁまどか、あたしの胸に抱かれて、どうぞ!」

マミ「あぁ、もうみんな私と一緒に寝ましょ! 怖くて明日の朝を無事迎えられる自信が無いわ……」

さやか「ほむらも無理しなくていいから。こっちで固まって寝ようよ」

ほむら「……仕方ないわね」


杏子「あたしは別に幽霊なんぞ怖くもなんともねーから、一人であっちで寝る」

マミ「お願い、行かないで~」

杏子「締まる! おっぱいで窒息するっつの! 分かった、分かったからやめろよぉ!」

さやか「……電気落とすよ」

まどか「小さい灯りはつけててね。絶対だよ!」


――――・・・


まどか「マミさんって、あったかいです」

マミ「……そう?」

まどか「抱かれてると、なんとなく安心します」

杏子「……ホントだよな。マミさん抱いてるとさ、すごく安心できるんだよ」

マミ「もう、私はお人形さんじゃないわよ」


ほむら「……」スースー

杏子「さやかとほむらはもうお眠か」

まどか「二人とも仲良しだね。抱き合って寝ちゃってる」

杏子「写真とろうぜ、写真。まどか、カメラだしてよ」

まどか「おっけー」


杏子「……明日で、終わりかぁ」

マミ「楽しい事って言うのは、大抵短く感じるものよ」

まどか「だからこそ、面白いのかもしれないです」

マミ「……今の、パパさんの受け売りでしょ」

まどか「ばれちゃいましたか……うぇひひ」


杏子「……じゃ、おやすみ」

まどか「おやすみー」

マミ「おやすみなさい」

まどか「……」スヤスヤ

マミ「……」クークー

杏子「……zzzz」

――――・・・翌朝


まどか「ふぁ……」

マミ「おはよう。……佐倉さんは?」

まどか「顔洗ってます……」

ほむら「寝苦しいと思ったら……美樹さやかがくっついてて離れない」

まどか「さやかちゃん、おーい、こけこっこー」

さやか「にゃ? ……ぐっもーにん。って顔近いよ、ほむら!」

ほむら「……おはよう、さやか」


――大広間――


さやか「朝ごはんからバイキングかぁ」

杏子「食べるぞ~今日は」

マミ「今日『も』の間違いじゃないの?」

まどか「えーと、スクランブルエッグ、エッグちゃんはどこかなぁ」


ほむら「ポテトサラダの隣じゃないかしら」

まどか「あ、ホントだ。ありがとー」

マミ「たまにはご飯メインの朝食も悪くないかも……海苔と鮭は欠かせないわ」

さやか「(そして山と積まれたさけるチーズの山……)」


杏子「まさかケーキまであるとはなぁ」

まどか「さすがに朝からそれは重たすぎるよぉ……」

さやか「同感。朝はパンとサラダで大満足です」

杏子「なんだー、食わないのかよもったいねぇなぁ。もう一個とってくるか」

まどか「ほむらちゃんはご飯派なんだ」


ほむら「ええ。お弁当も自分で作ってるから。お米の方が都合がいいの」

まどか「そっか。ほむらちゃん一人暮らしだもんね」

さやか「その年で立派に自炊してるなんて……あたしにも何か料理教えてよー」

ほむら「……今度ね」

――【ちぃずの間】――


マミ「今日で、この部屋ともお別れね……」

杏子「3日だけだったけど、たくさん思い出があるなあ」

ほむら「まさか美樹さやかと抱き合って寝るなんて……」

さやか「こっちこそ願い下げだっての!」


まどか「二人とも、そんなこと言ってていいのかな?」

マミ「鹿目さん、見せてあげなさい」

まどか「えーっと、あった。はい、二人とも」

さやか「……」

ほむら「……」



マミ「幸せそうな顔しちゃって、可愛いわ」

ほむら「まどか、今すぐ削除しなさい」

さやか「消して! 頼むから!」

まどか「えー、やだ」

さやか「ああああああああああああああ」


杏子「ま、いいじゃねぇか。一人ぼっちじゃないんだからさ」

杏子「時々愛を確かめあえy――――」

さやか「うるさいぞおおおおおおお!」

ほむら「(腹パン)」

杏子「ぐえっ!」

まどか「ねぇ。最後に写真撮ろうよ

マミ「いいわね。ほら、並びましょ」

杏子「ほむらー、もっとこっち寄れよ」

ほむら「え、ええ……」

まどか「じゃあ、行くよー。ハイ、チーズ」

さやか「いえーい!」

マミ「あ、目つむっちゃった。ごめんなさい、撮り直して頂戴」

まどか「それじゃ、もう一回いきますよ――――」


――――・・・ところ変わって帰りの電車


さやか「お家に着くまでが旅行だぁ!」

ほむら「急にどうしたの。大声は他のお客様に迷惑よ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「イヤ、引かないでよ! まどかはあたしと距離とるのやめてっ!」

さやか「つまり、あたしが言いたいのは、旅行はまだ終わっていないという事よ」

杏子「あー……そういうことか」

さやか「いざ、UNOで勝負!」

まどか「さやかちゃーん、マミさん寝たから静かにして」

さやか「……はぁい」

マミ「……zzzz」

さやか「マミさん、寝ちゃったか」

ほむら「4人で何かする?」

さやか「ふっふっふ、この小型黒ひげをやらないかね?」

杏子「付け髭似合ってねーな」

さやか「えぇー……ちょっとショックだわ」

まどか「黒ひげって、びよ~んって飛ばしたら勝ちなんだっけ」

ほむら「本来はね」

さやか「今回は、黒ひげ飛ばした人の負けでいくから」

まどか「わかったよ。じゃあ、わたしから……やったぁ」

杏子「次はあたしの番か。えいっ!」

ほむら「……セーフみたいね。次は私がやるわ」

ほむら「……」ブスリ⇒ポーン!

まどか「ほむらちゃんの負けー」

ほむら「間違っている。絶対におかしい」

さやか「次いってみよー!」


杏子「……zzzz」

ほむら「……」スヤスヤ

さやか「もう少しで見滝原に着くってのに……」

まどか「ずっと遊んでたからね」

さやか「マミさんは2時間ぐらい寝てるけど……」

まどか「普段からこの時間にお昼寝してるとか……?」

さやか「あー、ありうるかも」

まどか「♪~」

さやか「どうしたの、まどか。考え事?」

まどか「いや、忍者を飛ばしてるところ」

さやか「忍者?」

まどか「うん。窓から見える景色を走らせてるんだけど、これが中々テレビゲームみたいで面白いんだよ」

さやか「ふぅん……」

まどか「あっ、また落っこちちゃった」

さやか「あたしも、やってみるかな」


まどか「ねぇ、さやかちゃん」

さやか「何?」

まどか「本当に、楽しかったね」

さやか「……あたしも」

まどか「また、みんなで行こうよ」

さやか「そうだねぇ。また春にでも行きますか」

まどか「……うんっ!」









ぬわあああああああんつかれたもおおおおおおん!
ほのぼの少ないから久しぶりに自分で書いてみようと思ったらこれだ
次はおちんちんギャグとかに挑戦するのも悪くないかもしれん

それじゃあ質問とかに答えて帰るから(棒読み)

オラ細かい昔の塗料云々の解説したれや

>>351
それが、自分も『これは昔の塗料を使ったトリックです』位で終わらせるつもりだったんだよなぁ
うろ覚えの知識だからね、しょうがないね
温泉が近くにあるから出来る技って事しか知らなかった(小学生並みの知識)



過去に何か書いてる?

>>353
おいもしかしてその知識得たのって教授からか?

>>354
マミ「ゆく年、くる年」
まどか「まどマギラジオ!」

最近書いたのはこの二つ


>>356
ファッ!?



それじゃギャラ貰って帰るから

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