メリー「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」(626)

少女「……え!? えっ!?」

メリー「何を狼狽えている」

少女「うそっ、ひ、ぃや」

メリー「早く振り向け」

少女「こ、こないでぇっ……」

メリー「……」グイッ

少女「いやああああっ!!」

少女「…あれ?」

メリー「俺を呼び出したのは貴様だろう」

少女(男の、ひと?)

少女(しかも、か、カッコいい……///)

メリー「おい」

少女「はっ!?」

メリー「……何を惚けている」

少女「いや、えっと、その……びっくりしちゃって」

メリー「貴様が俺を呼び出したのだろう?」グイッ

少女(ちっ、近い近い!)

少女「ちがっ、あの、私は都市伝説を試しただけでっ……」

メリー「都市伝説? ……詳しく聞かせろ」

少女「ええっと、友達から聞いたんですけど、ある電話番号に0時丁度に電話をかけると、メリーさんと繋がって、こちらから呼び出すことができるって……」

メリー「……」

少女「わ、わたし、本当に呼び出せるなんて思わなかったんです! た、ただの噂話だと、思って」

メリー「それで、俺を呼び出したわけか」

少女「は、はい」

メリー「貴様のくだらない好奇心と暇潰しのために」

少女「うっ……はい」

メリー「最近よく同胞が呼び出されるのはその為だったのか……」ハァ

少女「……メリーさんって、たくさんいるんですか?」

メリー「答える必要があるのか?」ギロッ

少女「ひいっ」ビク

メリー「……まあいい、どちらにせよ一度出てきてしまったら、貴様を殺すまで戻れん」

少女「はあ、そうなんですか……へ?」

少女「えっ……と、今何と?」

メリー「一度出てきてしまったら、貴様を殺すまで戻れん、と言ったんだ」

少女「…………」ガクガク

メリー「何だ、危険を冒す覚悟もなしに都市伝説とやらを試したのか?」

メリー「貴様らの知るメリーだって、元々は人を殺すだろう」

少女「ひっ、」

メリー「そういうことだ」ジリッ

少女「いや、っうああっ!?」ガターン!

メリー(……椅子から転がり落ちおった)

少女「こ、こない、で」ボロボロ

メリー「……」

メリー「……貴様、名はなんという」

少女「………え?」グスッ

メリー「答えろ」

少女「こ、答えたら、魂抜かれちゃったり」

メリー「俺の気は短いぞ」

少女「しょっ、少女っ! 少女ですっ!!」

メリー「少女」

メリー「これで契約は完了だ」

少女「……け、契約?」

メリー「貴様らのいう都市伝説は本来、我々との契約だ」

メリー「貴様らが俺たちを呼び出し、互いが名乗る。そうすることで契約が完了する」

少女「そ、その契約って」

メリー「貴様の願いを叶える。その代わり、貴様の命を頂く。それが契約だ」

少女「……私が、名乗らなかったら?」

メリー「貴様を殺して、俺は帰る」

少女「…………」ガクガク

メリー「震えるな、契約は結ばれた。願いを叶えるまで、貴様を殺すことはない」

少女「で、でもっ、願いを叶えたら……」

メリー「殺す」

少女(死神だ。この人は死神なんだあ!!)ボロボロ

メリー「で、貴様の願いは何だ」

少女「……今の流れでいうと思いますか?」

メリー「だが願いくらいあるだろう」

メリー「死んでも叶えたい願いや、死んでも叶えられないような願いだ」

少女「ごくごく普通の女子高生に、そんな願いありませんよっ」

メリー「俺たちを呼び出すのは、いつもそんな願いを抱えた者ばかりだからな」

少女「……その、」グスッ

メリー「?」

少女「知らなくて、呼び出しちゃったのは、ごめんなさい。だから、帰ってもらえませんか?」

メリー「それが貴様の願いか」

少女「ちがっ、いやそうだけど違いますうう!!」

メリー「俺だって帰りたい。だがそれには貴様の願いを叶えなければいけないんだ」

少女「でも、願い叶えちゃったら、私は殺されるんでしょ?」

メリー「そうなるな」

少女「断固拒否しますっ!」ボフッ

メリー「……何をしている」

少女「お布団要塞です。今日はもう寝ます」

メリー「随分守りの薄い要塞だな」スイー

少女「うわあっ!? 擦り抜けて、っていうか近いっ!!」

メリー「擦り抜けも、透明にもなれるぞ」

少女(やっぱり幽霊なんだ……怖いよおぉ……)ブルブル

――翌朝

メリー「おい少女、朝だぞ」

少女「うぅ……ん」

メリー「おい」

少女「ふあぁ……、おふぁよぅございまふ……」

少女「んー……?」

メリー「」ジー

少女「びゃあああ」ガターン

メリー「面白い叫び声だな。死ぬときはその声で頼む」

少女「しっ、死にません!!」ドキドキ

少女(ああっ、びっくりした……何もあんな至近距離に……)

少女(っていうか、やっぱり夢じゃなかったんだ……)ハァ

少女「学校行かなきゃ……」

ガチヤッ

少女「いってきまーす」

母「いってらっしゃい、少女ちゃん」

少女(はぁ……メリーさん(仮)のおかげでいつもの三十分は早く出ちゃった)トコトコ

少女(……っていうか)

少女「何でついてきてるんですか?」

メリー「貴様がいつ願いを思い付くか分からないだろう」

少女「誰かに見られたら……」

メリー「ならば透明化しておこう。それならいいだろう」スッ

少女「ぐぬぬ……」

メリー「ところで、貴様はいつもそんな堅苦しい格好で学校に行くのか?」

少女「か、堅苦しいって」

メリー「家で髪を降ろしていたときのほうが、似合っていると思うが」

少女「へ? あ、ありがとうございます……/// っじゃなくて、わ、私は委員長だから、ちゃんとした姿じゃなきゃいけないんですっ」オホンッ

メリー「……その三つ編みと眼鏡がちゃんとした姿なのか?」

少女「そうですよっ」

少女「あと、透明化してるんだから、あんまり話し掛けないでください。変な人に見られちゃう」

メリー「……言っておくが、やろうと思えば俺は貴様を殺せるんだぞ?」

少女「ひ!?」ビクッ

メリー「契約の破棄の一度や二度……」ジリ…

少女「ごっ、ごめんなさいごめんなさいいいっ!!」ボロボロ

メリー「ふん」

少女(うぅ、調子に乗りすぎちゃった……)

少女(でもメリーさん(仮)、会話してると普通の人だもん。ちょっと上から目線だけど……)

少女「っ、ぁ」ピタッ

メリー「?」

同級生たち「」ガヤガヤ

少女「……っ」ビクビク

同級生A「でさー」

同級生B「マジかよ」

ガヤガヤ…

少女「……」ビク、ビク

メリー「少女」

少女「はっ、はい!?」

メリー「何故こんな端のほうを歩く」

少女「そ、それは……」

メリー「……」

野球部顧問「お、早いな少女。おはよう」

少女「あ、先生、おはようございます……」ペコリ

少女(そっか、野球部の朝練があってるんだ……)

――教室

ガラン…

少女(まだ誰もいない……)

メリー「おい、少女」

少女「はい……って、ななな何で実体化してるんですか!」

メリー「何か問題があるか?」

少女「ここは学校ですよ!? 部外者立・入・禁・止なんですっ! 見付かったらどーするんですかっ」

メリー「そんなことより」

少女「話を聞いてください!」

メリー「何をあんなに怯えていた」

少女「……っ」

メリー「奴らに虐めでも受けているのか?」

少女「ち、違います、よ」

少女「怯えてなんていません」

メリー「嘘を吐くな」

少女「ほ、本当ですっ!」

メリー「奴らに見つからないように、こそこそと逃げてここまで来ただろう」

少女「違いますってば!」

少女「メリーさんには関係ないでしょっ!」ボロッ

メリー「……」

少女「う、っく」ボロボロ

メリー「……うむ」

少女「……?」

メリー「今、確信した」

少女「何、がですか」グスン

メリー「俺は貴様の泣き顔が好きだ」

少女「……はあ?」

メリー「最初に貴様を見たときも、すぐにでも殺して帰ろうと思ったのだが、その顔を見て思い止まったのだ」

メリー「そして今確信した」

メリー「俺は貴様の泣き顔に興奮を覚えている」

少女「……」ブルブル

少女「へ、へんたい!」

メリー「だからはやく貴様も願いを決めろ。俺は貴様が死ぬときに泣き叫ぶ顔がみたい」

少女「へんたい! ドS! 今の話の流れでどーやったらその思考にいたるんですかっ!」

メリー「貴様が奴らに怯える顔にそそられたから、だな」

少女「いやあああっ!!」

メリー「ほら、泣いてみろ、泣かないと殺すぞ」クックックッ

少女「ひいいい」ボロボロ

メリー「もっとよくその泣き顔を見せろ!」

少女「いやあああっ」ボロボロ

ガラガラッ

同級生「」

少女「あ」

メリー「ん?」

同級生「……お、お取り込み中失礼しましたー」

ピシャッ

少女「……ああああっ! ちょ、違うの、ちょっと待ってえええ!」ウワアァァン

メリー(いい泣きっぷりだ。さて、面倒なことになる前に透明化しておくか)



―――
――…
―…

――廊下

少女「はあ……」

少女(あの後私の兄ってことにして、必死に説明してなんとか分かってもらえたな……)

少女(普段の行いがいいと、こういうときに便利)

メリー「疲れてるな」

少女「メリーさんのせいです」ムスッ

メリー「そんなことを言って、貴様も楽しんでいただろう?」

少女「人をM呼ばわりするの、やめてもらえませんか?」

メリー「素質はあると思うぞ」

少女「冗談やめてください」

メリー「ところで、今どこに向かっているんだ?」

少女「図書室です。放課後は、委員会の仕事があるので……あれ?」

少女(図書室の鍵が開いてる……)ガチャッ

少女(もしかして、……)

少女「……」ビクビク

メリー「?」

同級生A「よお」

少女「!!」ビクッ

同級生B「なあ委員会、今日朝すれ違っただろ? なんで挨拶の一つもしねーんだよ」

同級生C「それどころか目も合わせなかったよ、なあっ!」ドンッ

少女「ひっ」

メリー(今朝の奴ら……)

同級生B「俺らの機嫌とるにはどーすりゃいいかわかるよな?」

同級生A「おら、さっさと財布出せ」

少女「……」スッ

同級生C「おっ、ピン札ゲット~」

同級生A「なんだよ今日もこんだけか? 家金持ちなんだからもっと持ってこいよ」

同級生B「おい、聞いてんのかよ委員長」

少女「は、はい……」ボロボロ

メリー「……」

同級生C「さあて、財布もあったまったことだし帰ろうぜ」

少女「……」ホッ

同級生C「――と思ったけどよぉ」

ガチャッ

少女「!?」

同級生B「ちょっと俺らに付き合ってくれよ、委員長」

同級生A「安心しろって、鍵は締めたから誰も来ねーよ」

少女「う、うそ……」ガクガク

少女「や、いやっ」ガタッ

同級生A「んな怖がんなよ、すぐ済むって」

同級生B「俺は委員長の泣き顔好きだけどな」

同級生C「わかるわかる、加虐欲そそられるよなー」

少女「ひっ、やあ」

少女(いや……うそ……こんなのやだよ……)

少女(誰かに助けてっ……助けてよお……)

少女「……メリーさん、助けてえ……」ボロボロ

メリー「……了解した」

バチッ

同級生B「あ? て、停電か?」

同級生A「チッ、こんな時にかよ」


……プルルルル

少女(く、暗くなった……?)

…プルルルル…

同級生C「おい、誰の携帯だよ」
同級生B「俺だ。……非通知? チッ、誰からだ?」

同級生A「お、おい。なんか寒くねーか……?」

ピッ


ザー…『俺はメリー。今、図書室の少女の隣にいるぞ』ザー…


ブツッ

同級生B「……はぁ?」

同級生B「お、おいおい、イタズラ電話かよ。A、C、さっさとやっちまおうぜ」

同級生B「……」

同級生B「……おい、A? C?」

同級生B「A! C! 冗談やめろよな! おいっ!」

同級生B「な、なんだよ……っ急に寒気が……」

…プルルルル…


同級生B「!!」

プルルルル…

同級生B「……」ガチガチ

ピッ


ザー…ッ、『俺はメリー。今、貴様の後ろにいるぞ』

同級生B「!!」バッ

メリー「よお」

同級生B「ひっ――――」


「うわああああああっっ!!!!」




……バチッ

同級生's「「「……」」」ブクブク

少女「……あ、あれ?」

メリー「何だ、口程にもない」

少女「メリーさん……助けて、くれたんですか……?」

メリー「それが願いだったようだしな」

少女『助けてよ……メリーさん……!!』

少女(あっ……)

メリー「覚えているか」

少女「……それじゃあ、私……」

メリー「……」

少女「……うっ、」グスッ

少女「ひっ、く。う、あ」ボロボロ

メリー「何故泣く」

少女「あっ、安心、したの、とっ」

少女「……やっぱり、怖くてっ……」

メリー「願いは叶えた」

少女「ひっ、く、う……」

メリー「それ相応の対価をもらおう」スッ

少女「……っ!!」ギュッ

少女「……?」

少女「メ、メリーさん……?」

チュッ

少女「ふ、むっ……、!?」

少女「んっ、ちゅ、う、む……っぷは、んん、くちゅ……」

少女「んっ、ん~~~~///」

少女「……ぷはっ! はあ、はあ……」

少女「…………」ボーゼン

メリー「……涎伝ってるぞ」スッ

少女「いやああああっ!!」ズザザザ

メリー「……」

少女「なっ、なっ、なっ、なっ……」

少女「何するんですか、いきなりっ!!」ブワッ

メリー「泣くほどか」

少女「っはじめてだったんですよ!」

少女「それに、助けてくれたと思ったのにっ……!」

少女「結局っ、メリーさんまで……うう、」グスッ

メリー「……」

メリー「殺されなかっただけましだろう」

少女「う……、そ、そういえば……」グスン

少女「な、なんで願いを叶えたのに、殺さなかったんですか?」

メリー「……願いを決める権利はこちらにもあるということだ」

少女「……??」

メリー「貴様を助けたのは、俺が勝手にしたことだ」

少女「……メリーさん……」

少女「」ハッ

少女「っで、でも、いきなりあんなこと!!」

メリー「いきなりじゃなきゃ良かったのか?」スッ

少女「ひいいいいっ!!」ズザザザ

同級生A「うっ……」

少女「!!」ビクッ

メリー「意識が戻りつつあるようだな」

メリー「少女、行かなくていいのか」

少女「行きたいん、ですけど」

少女「こ、腰が抜けて……」

メリー「……」ハァ

少女「なっ、なんですかその溜め息! 半分くらいメリーさんのせいですよ!」

メリー「どこから出れば、あまり人に見つからない」

少女「へ? あ、あっちの非常口からなら……って!!」

メリー「行くぞ」

少女(おおおおお姫様だっこ!?///)カァァァァ

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

メリー「」スタスタ

少女「だっ!」

少女「大丈夫! 一人で歩けますっ!!」

メリー「腰が抜けたんじゃなかったのか?」

少女「だ、誰かに見付かったら……」

メリー「だからこの非常口から出るんだろう」

少女「まだ靴も履き替えてないしっ!」

メリー「戻るのか? もう奴らが目覚めているかもしれないぞ」

少女「う、」ビクッ

メリー「そしたら、もう俺は助けない」

メリー「貴様は奴らの怒りを買って酷く弄ばれるだろうな」

少女「ひっ……」ジワッ

メリー「……貴様、本当に泣き虫だな」

少女「うっ、うるさいですっ!」グスッ

メリー「で、どうする」

少女「……このまま、連れていってください」

メリー「雑だ。もっと詳細に、丁寧に頼め」

少女「い、いやで」

メリー「じゃなきゃ戻……」

少女「言います! いやじゃないです!」

少女「こ、このまま、……お姫様だっこのまま、家まで連れて帰ってください。お願いします……」

メリー「ふん、いいだろう」

少女(やっぱりドSだ、この人……)グスッ

メリー「……」ジッ

少女「な、何ですか」ミガマエ

メリー「何もない」

少女「……??」

――夜・自宅

少女「……今日は散々な一日だった……」ゴロン

少女(ファーストキスまで奪われるし……)

メリー「またその要塞か」

少女「もう入ってこないでくださいね」ムスッ

メリー「……そんなに、あれが嫌だったか?」

少女「……」

少女「いやですよ」

少女「だって、助けてもらったとはいえ、まだ会ったばかりの人(?)に無理やり……」

メリー「俺は貴様を気に入った」

少女「……はい?」

メリー「その泣き顔や怯えてる顔を、もっとよくみたいと思う」

少女「ああ……はい」

メリー「だから殺さなかった」

少女「……それと今の話と、なにか関係が?」

メリー「……鈍いな。泣かすぞ」

少女「なんで!」

メリー「言っておくが、俺は貴様をいつでも殺せるんだぞ」

メリー「俺の気分しだいでな」

少女「う……ま、またそれですか」グッ

少女「も、もう怯えませんよ! メリーさんには負けませんからっ!」ブルブル

メリー(要塞の中から言われてもな)

少女「……もう今日は寝ます」グスッ

メリー「そうか」

少女「おやすみなさい、メリーさん」

メリー「……おやすみ」

少女(……あれ、メリーさんってどこで寝るんだろう)

少女「」コソッ

メリー「……」ジッ

少女「!!」ビクッ

少女(お、起きてた……っていうか見てた……)ドキドキ

少女(……そういえば、メリーさんって、幽霊……なんだよね?……)

少女(……契約……)

少女(何者……なんだろう……)


メリー「……」スッ

スタ…スタ…

少女「……すぅ、すぅ……」

――翌朝

少女「ふあぁ……」ノビッ

メリー「おはよう」

少女「あ、メリーひゃん……おはよーございます……」ファァ

メリー「学校はいいのか」

少女「今日は土曜日ですよー……」

メリー「……貴様、朝弱いのか?」

少女「ちょっと……、顔洗ってきます」

少女「」バシャバシャ

少女「ふー……」パッ

メリー「」スッ

少女「ぬわあああ!?」

メリー「ふむ、及第点だな」

少女「いきなり鏡に表れないでください! 心臓に悪い!!」ドキドキ

少女「っていうか何ですか及第点って……!」

メリー「驚き方だ」

少女「これわざとですか!!」

メリー「そんなことよりさっさとしろ、出掛けるぞ」

少女「はっ? き、休日は勉強を……」

メリー「……つまらん人生を歩んでいるな、貴様は」

少女「し、失敬な。メリーとこうして話してるだけでも十分刺激的な人生になってますよ!」

メリー「とにかく、俺を待たせるな」

少女「なっ」ムカチン

少女「いやですよ! 土曜日は勉強するってきめてるんです!」

メリー「そうか……ならば指の一本でももげば言うことを聞くか?」

少女「ひいっ!?」ビクッ

メリー「どんな声で泣くか楽しみだな……」ニヤ

少女「いやああああ! 着替えます! 着替えますからああっ!!」

メリー「わかればいい」

少女(絶対遊ばれてる!)

少女(で、でも怖いよおぉ……)グスン


また夕方きます

――十分後

少女「……あの」

メリー「なんだ」

少女「まさか、その格好で街を出歩く気ですか?」

メリー「貴様は俺に全裸で出歩けというのか?」

少女「違います!!」

少女「そうじゃなくて、そのローブみたいなの、街に出たらもの凄っっく目立ちますよ!?」

メリー「貴様の格好は目だたなさ過ぎだと思うが」ジミ…

少女「うっ……は、話を逸らさないでくださいっ」

少女「とにかく、その格好だと街じゃ浮いちゃいますよ。ただでさえ目立つのに……」

メリー「ならば、最初に行くところは決まったな」

少女「へ?」

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!

――ショッピングセンター

少女「……」ブルブル

メリー「何をそんなに怯えている」

少女「……一人で入ったことないんです」

メリー「俺がいるだろう」

少女「ノーカウントですっ。第一透明化してるじゃないですか」

少女「え、えっと、男の人の服売場は……」

女子高生達「」キャッキャッ

少女「っ」ビクゥ!

少女「あ、あっちみたいですね。早く行きましょう……」コソコソ

メリー「……」

少女「ここが男性服を売ってる店みたいです」

メリー「そうか、入るぞ」

少女「う、ほ、本当に入るんですか……?」

メリー「入らないと服が買えないだろう」

少女(私のお金なのに!)

少女「だ、だって、女一人で男性服売場に入るなんて、変じゃないですか……」

メリー「だから、適当に服を選んで、試着室とやらに入ればいいんだろう?」

少女「……わ、わかりましたよう……」

少女「あ、メ、メリーさん、これなんてどうですか?」

メリー「却下。ダサい」

少女「てっ、適当でいいって言ったじゃないですか!」

メリー「貴様、今見もしないで服を取っただろう……」

少女「うぐっ」

少女「……」

客「」ガヤガヤ

少女(視線が気になる……)

少女(誰も見てないことなんて分かってる、けど……)

客「」ヒソヒソ

少女「っ」ビクッ

少女(さっさと選んじゃおう……あ、これなんて……)カチャカチャ

少女「メリーさん、これはどうですか?」

メリー「……さっきのよりは随分マシになったな」

少女「ちゃんと選びましたよ」

メリー「まあいい、着替えてやろう」

少女(上から目線だなあ……)

少女「メリーさん、サイズは大丈夫そうですか?」

メリー「ああ」

少女「そうですか。……あの、メリーさん」

メリー「?」

少女「何で突然出掛けようなんて言い出したんですか?」

メリー「出歩けば、貴様の願いが見付かるかもしれないだろう」

メリー「貴様は意図的に他人との関わりを避けているからな」

少女「そ、そんなこと……」

メリー「ない、か?」

少女「……」

メリー「ふん。まあそれに、他人とすれ違うだけでビクビクしている貴様を見るのも楽しいしな」

少女「なっ!! そ、そっちが本分でしょう!」

メリー「どうかな」クック

少女「うう……」

メリー「着替えたぞ」ガチャ

少女「あ、えっと、じゃあ、て、店員さんを呼ん、で……」

少女「……」ボー

メリー「? どうした」

少女「っ!」ハッ

少女「なっ、何でもないです! 店員さん呼んできますっ!」ダッ

メリー「……?」

少女(が、外国のモデルさんみたい……着替えるだけで別人だよ……)

少女「あ! あのっ、すいません、試着したものを、そのまま着て帰りたいんですけど……」


また夜きます

少女「……」

メリー「……」

周囲「」ザワザワ

少女「……」ビクビク

少女(うわあああ!! 視線が痛いよ――!!)

少女(これは勘違いじゃないよね、あきらかにメリーさん目立ちまくってるよね)

少女(こんな目立つ人の隣にこーんな地味な私! 逆に目立つわっ!!)グスッ

少女「メ、メリーさん、もう出ませんか……?」

メリー「何をいう。まだ来たばかりだろう」

少女(なんかちょっとご機嫌だし!)

少女(と、とりあえずこれ以上目立たないように、陰に隠れておこう……)コソコソ

メリー「……」

メリー「少女」

少女「な、何ですか」ヒソ

メリー「髪にゴミが付いているぞ」スッ

少女「え? あ、すいませ……って!」

少女(ま、また無意味に近いっっ!!)

周囲「」ザワ…ザワ…

少女(ああああ視線がああああ――!!)サァァ

メリー「どうした? 顔が青いぞ」ニタニタ

少女「なっ! わ……わざとですか!?」

メリー「俺は髪についたゴミを取ってやっただけだ」

少女「ゴミ! 見せてください!」

メリー「もう捨てた」

少女「っ~~!!」ウルウル

少女「もういいですっ。メリーさんは好きに見て回ってくださいっ」グスッ

メリー「おい、どこにいく?」

少女(確かこの辺りに……)

少女(あっ、あった)

メリー「本屋か」

少女「」ビクッ

少女「つ、ついてこないでくださいよ」

メリー「……俺にそんな言葉を吐く口はこれか?」

少女「っひい! な、なんでもありません!」

メリー「しかし、貴様は本好きだな。貴様の部屋にも本が山積みされていただろう」

少女「……本は一人の世界になれるから、好きなんです……」

少女「あ、この本文庫本になったんだ」パアッ

少女「これとこれ、あ、あとこの本も……」

メリー「そんなに買うのか?」

少女「だってショッピングセンターなんてたまにしか来ないですもん」

少女「まとめ買いしておかないと……続編なんだ、へえ~」

メリー「ふうん……」

少女「うーん、あ、あとこの本も。メリーさん、ちょっと持つの手伝ってください」

メリー「断r」

少女「はいっ」キラキラ

メリー「!?」ズシッ

少女「あっちのコーナーにも行きましょう! あ、メリーさんも興味がある本があれば買ってあげますよ!」ヒョイッヒョイッ

メリー「おい、ちょっ、乗せるな、前が見えな……」

少女「~♪」

メリー「おい少女、このバカみたいに分厚い本は本当にいるのか?」

少女「いりますよ」

メリー「おい少女、この本は貴様の本棚で見たことがあるぞ」

少女「良い本は二冊揃えるのが基本ですっ」

少女(……あれ、この本)

メリー「おい少女、この似たような女ばかり描かれた表紙の大量の本は……」

少女(新・都市伝説……)

メリー「おい少女、聞いているのか」

少女「……この本もお願いします」ヒョイ

メリー「……」

メリー(帰ったら泣かす)ピキピキ

店員「お、お買い上げありがとうございましたーっ……」

ウィーン

メリー「……まさか本当に全部買うとはな」

少女「うふふ、良い買い物をしました」ホクホク

メリー「荷物が重い。さっさと帰るぞ」ゲンナリ

少女「えっ」

少女(や……やった!!)

少女「そうですねっ! はやく帰りましょう!」

メリー「嬉しそうだな」ジト

少女「ま、まさかあ、そんなことないですよー?」

メリー「……俺に荷物まで持たせて、覚悟はできているんだろうな」

少女「わ、私だって買い物に付き合ってあげたじゃ……」ビクビク

メリー「口答えか?」

少女「すいませんごめんなさいっ!!」

――少女の部屋

少女「ふーっ」ドサッ

メリー「本はいいのか?」

少女「はい、仕分けした後読みますから」

少女「あ、そうだ……」

メリー「?」

少女「今日はありがとうございました。(メリーさんのせいで視線浴びまくっちゃったけど……)おかげで、たくさん本が買えました」

メリー「()の部分はいらないな」

少女(ど、読心術!?)ハウアッ

少女「あの、それで、これ、お礼です」キラッ

メリー「……腕輪か?」

少女「はい。こういうの、何を買えばいいか分からなくて、目に入ったもの、選んじゃいましたけど……」エヘヘ

メリー「……機嫌とりのつもりか?」

少女「う゛」ドキッ

メリー「ふん、物で釣るとは意外と強かじゃないか」

少女「な、何のことでしょうか……」

メリー「おいおい、俺は褒めているんだぞ?」

少女「……だ、だって、覚悟はできてるんだろうな、とか言うから……」グスッ

メリー「良かったな、俺は今日機嫌がいい」

少女「え?」

メリー「付けろ、そしたら許してやる」

少女「っ、え、と……わ、わかりました……」

メリー「……」

少女「……」チャラ、チャラ…カチッ

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
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    ドゴォォォォン!!
        ; '     ;
     \,,(' ⌒`;;)
   !!,' (;; (´・:;⌒)/
  ∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
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二二二二|._`(__)__()l  | .j ..|  ||    |l_〔〕゙ ∧,,∧      _∠/ニ7,.ニ|//゙⌒⌒⌒⌒⌒)|;;
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|.  ∧,,∧l|.__.(__)__()/./:|  |  ||/      `u-u'_   /j_.!/ (⌒⌒⌒⌒⌒⌒) /ソ O旦と .)
l ( ´・ω) __(__)__().  /:|  |  l┐       //l  // /l  .(__∩_ ∧_∧ _).'゙.-''-‐(_, (__/、.
二::U二U:.|.__.(__)__()//| ̄ ̄|  |   .∧,,.∧/ l| |// /,,.:'゙  ⊂⌒( ・ω・)   ,,       
________(__)__()/  |    |  |   ( ・ω・).//ll..|/ /,. '     ,, `ヽ_∩∩
________(__)__()  /|    |  |   ( つ日ノ7/ニj::l二l,:::'   w
________(__)__()/_|__|/_/ `u-u///,   *``・*。      ,x,.*' ゚ ,.。x.。+ * + x 、

二二二二二二二二二二二二二二二 /!ニ./ニl/,,   , |   `*。   ×゚              ゚
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:: /\\| |//\\| |//\\| |/         `*。ヽ  つ *゚*   * +x,. 。 ,, x + * ゚

少女「……はい、できました」

クイッ

少女「よ……?」

少女「っ、」(近い近い!!)

メリー「少女」ジイッ

少女「な、何でしょうか……」

メリー「……」

少女「あ、あの、ち、近いんです、けど……」ドッ、ドッ

少女(っもしかして、また、図書館のときみたいに……?)

少女「メ、メリー、さん……?」ビクビク

メリー「……ふん」ニヤ

パッ

少女「え、あ、あの」

メリー「覚悟しておけ、と言ったろう」

少女「……そっ、それがこれですかあっ!?」ボロッ

少女「もーびっくりしたあっ!!」ポロポロ

メリー「貴様は本当にすぐ泣くな」クック

少女「おどかさないでくださいよ! ……幽霊にいうのもなんですけど、」

メリー「今日は貴様が調子に乗って、あろうことか俺を扱き使ったからな」

メリー「どちらの立場が上か、はっきりさせておかなければいけないだろう?」

少女「私はペットか何かですか!」

少女「ふん。私は本の仕分けしますからっ」グスッ

メリー「……」

グイッ

メリー「」ペロッ

少女「…………へ?」

メリー「面白い顔だな。及第点だ」

少女「……なっ、なっな、涙、なめ……///」

少女「いやあああああっ!!」

in布団要塞

メリー「おい少女」

少女「メリーさんなんてしりません」グスッ

メリー「……」

少女「……」

メリー「図書室」

少女「そのワードは聞きたくありませんっ」

メリー「……」ハァ

少女「あ、あの時のことだって、雰囲気に流されちゃいましたけど、許したわけじゃありませんからっ!」

メリー「堅物」

少女「柔いよりいいです!」

少女「と、とにかくっ、今日はもうここから出ませんから」ムスッ

メリー「たかが頬を舐めた程度で……」

少女「声に出さないでくださいこのへんたいっ!///」グスン

少女(……まあ、このお布団要塞に入ったのはもう一つ理由があるけど……)コソッ

少女(新・都市伝説……ええっと、メリーさん、メリーさん……)パラパラ

少女(あった、67P)ペラ

少女(『メリーさんの電話』……)

少女(基本の話は一緒かあ。契約については……載ってないか)

少女(ん、なになに)

少女(『メリーさんとは、どの話に基づくにせよ、何らかのきっかけで生まれた悪霊である』――)

少女(……悪霊……)

少女(メリーさんが?)コソッ

メリー「」ニヤリ

少女「」ビクッ

少女(ありそー……)ドキドキ

少女(ふあぁ……、もう寝ようっと……)

少女「」ウト、ウト

少女「――すー……すー……」

メリー「……」スッ




―――
―…


まさかこんなに早く寝落ちするとは…
保守ありがとうございます
頑張って書きます

――翌朝

少女「……ふあぁ……」

少女「おはようございまひゅ……メリーさ……」

少女(あれ?)

少女「……メリーさーん?」

少女(いない)

少女「メリーさん……?」

少女(……どこ行ったんだろう……)

少女(…………って! なんで私ちょっと落ち込んでるの!?)ハッ

少女(あの人がどこにいこうと勝手だもんっ)

少女(……顔洗おう)ファァ

少女「」パシャパシャ

少女(……これで顔上げたらいたりなんかしないよね)

少女「……」ソー

ポツン

少女「……」

少女(だっ、だから何でちょっと落ち込んでるの私っ)ハッ

少女「よし、今日はメリーさんに邪魔されずに勉強するぞー!」オー!

少女「……」

少女「おーっ」

少女(なんか……調子狂うなあ)

少女「……」

カリカリ

カリカリ

カリカリ

少女(メリーさん、どこ行ったんだろう)

カリカリ

カリカリ

カリカ、ッ

少女(もしかして、もう戻ってこないのかな。でも、契約が……)

カリ…カリ…

カリ…

少女(それなら、私にとって好都合じゃない。なのに……なのに……)

少女(……全然集中できない……)グスッ

――街

ガヤガヤ

少女(着ちゃった……)ブルブル

少女(ううう、でもこんな場所にいるはずないよね……)グスッ

少女「はあ……メリーさーん、どこですかー……」

少女(こうなったら、行くしかない……)





――ショッピングセンター

少女「……」ガクガク

少女(今度こそ、本当に一人だ……)

少女(でも、開店したばっかりで人は少ないな)ホッ

ウロウロ

少女「……いない、かな……」

少女(あ、ここ、昨日きた店だ)

少女(着替えたメリーさん、すごく目立ってたよなあ)アハハ…

少女(……ここに来たのは、願いを見付けるためだったんだよね……)

少女「私の願い……」

少女「死んでも叶えたい、死んでも叶えられないような夢かあ……」

少女(そんなの、わかんないよ……)

少女「ひ、久しぶりにこんなに歩き回った……」ヨロヨロ

少女(結局メリーさんは見付からなかったけど)

少女「ちょっと休憩……、あ、ベンチがある」

ドサッ

少女「うー、メリーさんどこ行ったんだろ……」ハァ

少女(……もし、)

少女(もしも、このままメリーさんが見付からなかったら)

少女(契約は、多分うやむやになって、私は死ななくてもいい)

少女(メリーさんに振り回されることもなく、普通に毎日をおくれる)

少女「……やだな」

少女(あの怯えてばかりの、怖くてつまらない毎日を)

少女「メリーさん……」グスッ

少女「メリー、さんっ」ボロボロ

メリー「なんだ?」

少女「……へ?」

メリー「どうした、俺を探してたんだろう」

少女「…………なっ、なんでさも当然のように座ってるんですかあっ!」ポロポロ

少女「い、今までどこにいたんですか!?」

メリー「数分前からは貴様の後を尾けていたな」

少女「なっ」

メリー「『久しぶりにこんなに……』の辺りからずっと隣にいたぞ?」

少女「とっ、透明化はずるいですよ!」

メリー「ふん、てっきり家で勉強でもしているかと思えば、こんな所にいるとはな」

少女「うっ、し、しようと思いましたよ! でも集中できなくて……」

メリー「何故だ。貴様が集中できないとなると、よっぽどの理由なのだろう」ニヤ

少女「うぐ……」

少女「……はあ、探したんですよ、メリーさん……」

少女「心配したんです、から……ちょっと」グスッ

メリー「……ああ、悪かった」ポン

少女「……ところで、本当に今までどこにいたんですか」

メリー「……」

少女「黙秘ですか」

メリー「プライベートだ」

少女「人のプライベートにはずかずか踏み込んでくるクセに……」ムスッ

メリー「貴様には関係のないことだ」

少女「……別に、いいですけど」

メリー「……」

少女「……」

メリー「……」

少女「……あの」

メリー「……」

少女「願いについて、一つ聞いてもいいですか?」

少女「願いを叶えたら、メリーさんは私を、殺す、んですよね」

メリー「……そうだ」

少女「じゃあ、」

少女「……」

メリー「……」

少女「……やっぱりなんでもありません」

メリー「はあ?」

少女「聞かなかったことにしてください」

メリー「そこまで言っておいてか? 言え」グニッ

少女「ひゃっ!? は、はにゃひてくださひっ!」

メリー「言え。いいな」

少女「ひゅいまひぇん! 言いまふ! 言いまふからはなひてえ!」グスッ

メリー「ふん」パッ

少女「ほ、頬がじんじんする……」

少女「……もし、もしもですよ」

メリー「前置きはいい」

少女「うっ……、その、もし」

少女「もしも私が、もっとメリーさんと一緒にいたいって願ったら……どうなるんですか?」

メリー「……」

少女「……あの、」

メリー「……後悔するぞ」

少女「へ?」

メリー「その願いは、必ず貴様を後悔させる」

少女「そ、そんな……」

メリー「確かにそう願うことは可能だ」

メリー「そして、貴様が死ぬときか、俺があきるまで、共にいることができる」

少女「メ、メリーさんが飽きてもダメなんですか!?」

メリー「だが、それはつまり、貴様の命が一生捕われることになるんだぞ」

メリー「願いを変更することはできないからな」

少女「でも、それって今の状態とあまり変わらないんじゃ……」

メリー「人間の感情は移ろいやすい」

メリー「何年後か、もういっそ死んだほうがマシだと思うかもしれないだろう」

少女「……」

メリー「俺は悪霊だ。貴様が読んでいた本にあったようにな」

少女「見てたんですか」

メリー「透明化も霊の特権だ」

メリー「……今日俺がいなかったのも、その為だ」

少女「え……?」


メリー「俺は、貴様との契約を破棄する」

少女「それって」ビク…

メリー「安心しろ、貴様を殺すわけではない」

メリー「殺して帰るならさっさとやっている」

少女「……じゃあ……」

メリー「契約破棄の一度や二度、」

少女「ま、待ってくださいよっ!」

メリー「……」

少女「そ、それじゃあ、メリーさんが今日いなかったのは、私を殺さずに帰るためなんですか……?」

メリー「そういうことだ」

少女「っなんで」

メリー「言いださせないつもりだった、貴様に」

少女「……?」グスッ

メリー「さっきのような願いを、だ」

メリー「そもそも、ここに戻ってくるつもりもなかった」

少女「もしかして……」

メリー「ああ、既に契約は破棄された」

メリー「もう貴様と俺の間には、何もない」

少女「……」

メリー「ただの悪霊と人間だ」

少女「そんな……」ポロポロ

メリー「なぜ泣く。貴様にとっては都合がいいはずだろう」

少女「っ……勝手です、メリーさん……」

メリー「別れを告げにきたやっただけでもありがたいと思え」

少女「う、うっ、ひ、く……」グスッ

メリー「この泣き虫が……」

スッ

少女「んっ、――――!」

メリー「――……、は」

少女「メ、リー……さん」ポロポロ

メリー「……さようなら、少女」

少女「……」

少女「……メリーさん」

少女「……」

少女「……メリー、さん」

少女「……」

少女「……」

少女「……」

少女「…………」ポロッ

少女「うっ、ひ、っく……」ポロ、ポロ…

少女「う、あ、うあああん……うああああ……!!」



―――
―…

――数日後

母「少女ちゃん、朝ごはんは?」

少女「いらない……」

少女「いってきます」

ガチャ

少女「……」

少女(あれから、結局メリーさん、姿現さなかった)

少女(もう一度、と思って電話してみたけど、繋がらなかったし……)

少女「……」

少女「当然だよね、」

少女「もう、あの人とは何の関わりも繋がりもないんだから」

少女「……」

少女「……」グスッ

少女(自分で言って悲しくなってどうするの……)

――学校

キーンコーン…
 カーンコーン…

同級生「」ワイワイ

少女「……」

少女(学校なんて、楽しくない)

少女(勉強は好きだけど、同級生たちが何か話してるだけでビクビクする)

少女(陰口叩かれてるんじゃないかって、怖くて仕方ない)

少女(……メリーさんがいてくれたときは……)

メリー『おい少女、今からあの教師のカツラをずらすぞ』

少女『!? ちょっ、ダメですよメリーさん!!』ヒソヒソ

少女(馬鹿なこともしてたけど……)クス

少女(少しだけ、周りのことが気にならなくなった)

――トイレ

ジャー…
パシャパシャ
キュッ、キュッ

少女(まだ目、ちょっと腫れてるなあ)グシグシ

少女「……」ジッ


メリー『――だいたい、貴様は何に怯えている?』

少女『だ、だって、私暗くて引っ込み思案だし』

少女『友達もあんまりいないし、だから周りも……』

メリー『それは貴様のせいだろう』フゥ

少女『そ、そんな……』

少女『そう、ですけど……』グスッ

メリー『変わればいい』

少女「……」

メリー『まずは髪を降ろすことだな』

少女『え!? で、でも私、癖っ毛だし……』


少女「……」フサッ


メリー『降ろしたほうが似合う』


少女「……本当、ですよね。メリーさん?」ニコ

――教室

ガラッ

同級生「」ザワッ…

少女「……」ビクビク

少女(う、うわ、やっぱり視線が……)

少女(みっ、みんながこっち見てるよ……)ジワ

少女(もうすぐ授業始まるし、とにかく、席に……)ガタッ

同級生A「委員長、そんなに髪長かったんだ」

少女「……へ?」

同級生B「なんか髪降ろした少女ちゃんって斬新ー」

同級生C「そっちのほうが似合ってるよ!」

少女「そ、そうかな。ありがとう……///」

少女「」チラッ

少女(他の人も、一瞬見ただけで全然気にしてないみたい……)

教師「よし、授業はじめるぞー」

少女(怖くない……)

少女(メリーさん、私、ちょっと勇気出せましたよ)

教師「先週やったとこの復習だが――……」

少女(……会いたいな……)


―――
―…

――放課後

少女「……」ソーッ

少女(よし、図書室には誰もいないっ)

少女(あれから、あの人たち私にちょっかいださなくなったよなあ……)

少女(よっぽどメリーさんが怖かったんだね)アハハ…

少女「よしっ、委員会の仕事終わらせちゃおう」

カリカリ

カリカリ

少女「……」

カリカリ

カリ…カリ…

少女「……」ウト、ウト

少女(や、やばい、なんか、眠たい……)

少女(最近あんまり寝てなかったからか、な……)カリ…

少女「……すぅ、すぅ……」

プルルルルッ…

プルルルルッ…

ガチャ

ザー…、『俺の名はメリー』ザッ、

ザザ『今、学校の前にいる』


少女(――え?)


ブツッ

ツー、ツー…


――…

少女(っ!!)ガバッ

少女「ゆ、夢……?」

少女(今の……)

プルルルルッ

少女(っ、!!)ビクッ

プルルルルッ

少女(……)


メリー『さようなら、少女』

メリー『だが、もし――』


ガチャ

ザザ『俺の名はメリー、今靴箱にいる』ザー…

ブツッ

少女「はい……」


『もし、俺から電話があったときは』

メリー『それが最後だ』


プルルルルッ

ガチャ

少女「もしもし」

ザザ…『俺はメリー、今一階にいる』ザッ

ブツッ

少女「……」


メリー『貴様が決めろ』


プルルルルッ

プルルルルッ

ガチャ

ザザ…『俺はメリー、今、二階にいる』ザー…

ブツッ

少女(あと一階……)


メリー『後悔したくないなら、振り向くな』


少女(メリーさんのばか)

少女(その言い方はずるいですよ……)

プルルルルッ

ガチャ

ザー…『俺はメリー、今三階にいる』ザザッ

ブツッ

少女(はやく、はやく)

プルルルルッ…

ガチャ

少女「もしもし」

ザザッ『俺はメリー、今……図書室の前にいる』ザー…

少女「はい……はい」ジワッ

ブツッ

少女「……」ドクン、ドクン



少女「はあっ……」



少女「……」



少女「……あ、あれ?」

少女(ま、まさかメリーさん、直前になって、とか……)

少女(いやいや、最後の最後で電話かけないとか、メリーとしてやっちゃいけないでしょっ)

シーン…

少女(……)



少女(……)

…プルル

少女「はいっ!」

ザー…『……』ザザ

少女「……メリーさん、」



メリー「俺の名はメリー、今貴様の後ろにいるぞ」

少女「……っ、」ポロッ

メリー「……」

クルリ

少女「わ、私は少女っ……。少女ですよっ、メリーさん」

メリー「……貴様の願いは」

少女「メリーさんとっ」

少女「一緒に、いることです」ボロボロ

メリー「……いいだろう」

メリー「貴様のつまらない人生に付き合ってやる」

少女「……はいっ!」









メリー「俺の名はメリー。今貴様の後ろにいる」 ――おわり

最後まで保守と支援ありがとうございました
見てくださってた方々、ありがとうございました
少女漫画みたいなSSでしたが、最後まで書かせてもらえて楽しかったです

少女&メリー「「ばいばーい」」




3 名前: ステマ必死だな(家)[] 投稿日:2012/01/06(金) 18:43:45.34 ID:bKxN2hb50
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