八幡「不意に、俺はあのセリフを思い返す。」 (76)

ー放課後ー

由比ヶ浜「ヒッキー!」

八幡「ん、おう」

由比ヶ浜「やっはろー!今から部室行くの?」

八幡「なんでさっきまで同じ教室にいたのになんで挨拶すんだよ。ああ、そうだぞ」

由比ヶ浜「そっか、へへ」

八幡「なんだよ、気持ち悪い。」

由比ヶ浜「なっ!ヒッキーに言われたくないっつーの!べーっ。」

由比ヶ浜「もう先に行くからね!」

八幡(2分もしないうちに再会するだろうに。)

全部書き溜めてるからすぐ終わると思うよ

一応気をつけるけどさる喰らうかもしれんからそんときはごめんね

八幡「うす。」

由比ヶ浜「あ、来た。」

八幡「そりゃ来るだろ。」

雪ノ下「こんにちわ、比企谷君。今日もゾンビの真似をしているけど、毎回ここに来るたびに
    それをするの、疲れないのかしら。」

八幡(開口一番それですか。今日はいつも以上にエッジが効いてますね。」

八幡「ああ疲れないね、ゾンビに疲れるなんて概念はないからな。」

雪ノ下「真似ではなく本物のゾンビになってしまったのね。毛ほども気にかけはしないけれど。」

由比ヶ浜「まあまあゆきのん。」

雪ノ下「…ふう、悪かったわ、比企谷君。あなたが死んだら同じ部活の部長として仕方なく
    お線香の一本くらいは立ててあげるわ。」

八幡「そこかよ。しかも仕方なくとか言うなよ。小町が悲しむかもしれねえだろ。」

由比ヶ浜「あっ!あたしはちゃんとお葬式も行くし!」

八幡「別にそういう話じゃねえよ。」

雪ノ下「いつまで突っ立っているの?目障りだから座ってもらえるかしら。」

八幡「はいはい。」

雪ノ下「ふふ。」

八幡(なんだよ、そのドヤ顔。そんなに俺の悲しそうな顔を見るのが好きですか。そうですか。)

由比ヶ浜「そういえばさー、ゆきのん。」

雪ノ下「なにかしら、由比ヶ浜さん。」

由比ヶ浜「あのねー?」

八幡「…」

由比ヶ浜「…今日も誰も来なかったね。」

八幡「まあ来ないに越したことはないだろ。それだけこの学校の生徒は充実してる
   ってことだ。」

雪ノ下「そうね、たまにはまともなことを言うのね。」

八幡「ほっとけ。」

由比ヶ浜「ねえ、二人共すぐ帰るの?」

雪ノ下「どうしてかしら。」

由比ヶ浜「ちょっと商店街に行かなきゃでさ、ついでにちょっとお茶したいなー…なんて
     思ったり。」

雪ノ下「ごめんなさい。私、今日はこのあとに用事があるの。」

八幡「俺もパスだ、帰りに本屋に寄らなきゃならん。」

由比ヶ浜「そっか、そうだよね…って!ゆきのんはしょうがないとしても本屋さんって商店街
     にあるじゃん!」

八幡「えー、そうだけどさ。」

由比ヶ浜「ちょっとだけ、ね?ヒッキー来てくると助かるし。」

八幡「何買いに行くんだよ。」

由比ヶ浜「お料理の材料!今日の晩御飯はあたしが作ろっかなーって思っててさ。」

雪ノ下「比企谷君、ついて行ってあげなさい。」

八幡「え?なんで。」

雪ノ下「由比ヶ浜さんが料理の材料を一人で買いに行こうとしてるのよ。」

由比ヶ浜「なんかゆきのんひどい!そんな変なもの買わないよ!」

雪ノ下「ええ、わかっているわ。わかっているのだけれど…」

八幡「なんだよ。」

雪ノ下「少しだけ、由比ヶ浜さんのご両親が心配で。」

由比ヶ浜「全然わかってないじゃん!ひどいよゆきの~ん。」

雪ノ下「あ…えっと、その、ごめんなさい。でも、たとえ比企谷君でも連れていけば少しくらいは
    役に立つと思うわ。」

由比ヶ浜「うう、ゆきのん。」

雪ノ下「大丈夫よ、また今度一緒に練習しましょう。その時は付き合うわ。」

由比ヶ浜「ほんと!?ありがとうゆきのん!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、暑いわ。」

八幡(だからなんでこんなにゆりゆりしてんの?何迅社なの?)

雪ノ下「まあ、それはそれとして。そういうことだからついて行ってあげなさい、比企谷君。」

由比ヶ浜「えーっと、その。」

八幡(う、そんな捨てられた子犬のような目で俺を見るな。)

由比ヶ浜「ヒッキー、おねがい。」

八幡「…わーったよ。」

由比ヶ浜「ほんと!?ありがとうヒッキー!」

雪ノ下「それじゃあ、帰りましょうか。」

由比ヶ浜「ゆきのんも駅まで一緒に行こう?」

雪ノ下「ええ。」

ー商店街ー

由比ヶ浜「ゆきのん、用事ってなんだろうね。」

八幡「さあな。」

八幡(富豪勢の立食パーティーとかじゃねぇの?あ、それは雪ノ下さん(姉)の役だったか。)

八幡「どうでもいいが、俺も今小町からメールでお使い頼まれたからよ、とっとと行こうぜ。」

由比ヶ浜「え?本屋さんはいいの?」

八幡「本買ったらお使いに使う金が足りなくなるんだよ。」

由比ヶ浜「そっか。なら行こっか。」

八幡「おう。」

八幡(…で)

八幡「ずいぶん買い込んだな。」

由比ヶ浜「うん、なんかあれこれ選んでるうちにね。つい増えちゃった。」

八幡「そっち、貸せよ。」

由比ヶ浜「え?いいよ!持てるし大丈夫!」

八幡「使えるコマは使っておいたほうがいいんだよ、つーか両手ふさがってたら
   電車乗るときつり革つかめねえだろ。床に食いもん置くわけにもいかんし。」

由比ヶ浜「そっか。じゃあお願いしようかな。」

八幡「おう。」

由比ヶ浜「…ヒッキー、ほんとずるいよ。」

八幡「何が?」

由比ヶ浜「え!?何聞いてるんだし!ヒッキーきも!」

八幡「さいですか。じゃあ黙りますよ。」

ー由比ヶ浜宅近所ー

由比ヶ浜「ここでいいよ。」

八幡「そうか。」

八幡(ん、この電信柱の下は。)

由比ヶ浜「ヒッキー、荷物ちょうだい。」

八幡「ほら。」

由比ヶ浜「あっ…」

八幡(おい、手触ったくらいでそんな顔すんなよ、色々勘違いしちゃうだろ。)

由比ヶ浜「そういえば…さ。」

八幡「あ?」

由比ヶ浜「覚えてる?花火大会の日のこと。」

八幡「そんなの、IFの話でしかない。俺は過去は振り返らない主義なんだよ。」

由比ヶ浜「そっか。ブレないな、ヒッキーは。」

八幡「違う、俺がブレないんじゃない。周りが揺れ動きすぎて振動の少ない俺が止まってる
   ように見えるだけだ。」

由比ヶ浜「また変なこと言ってる。」

八幡「ほっとけ。」

由比ヶ浜「へへ、今日はありがとう。こんなとこまで持たせちゃってごめんね。」

八幡「いや、いい。」

由比ヶ浜「そっか。それじゃ、また明日ね。」

八幡「おう。」

ーその夜ー

八幡「ただいま」

小町「おにーちゃん!遅かったじゃん。お使い頼んだのに何してたの?」

八幡「ちょっとな。」

小町「なんてね。小町知ってるよ?お兄ちゃん結衣さんのこと送ってあげたんでしょ?」

八幡「は?なんで知ってんだよ。」

小町「さっき結衣さんから電話あったんだよ。」

八幡「そうか。まあ、そういうことでちょっと遅れた。」

小町「ふふ、それなら全然構わないよ!お兄ちゃん!」

小町「ところでお兄ちゃん。」

八幡「なんだ?」

小町「結衣さんになんか言ったの?」

八幡「は?なんかってなんだよ。」

小町「はあ…やっぱり自覚なしか。」

八幡(ああ、自覚なんてないぞ。)

小町「結衣さん、なんか元気なかったんだよね。」

八幡「そりゃ、あんだけ重いもの持ち歩けばな。」

小町「そうじゃなくてさ…ああ、もういいや。やっぱお兄ちゃんはお兄ちゃんだね。」

八幡「…ああ、そうだな。」

小町「小町、もう入ったからご飯食べる前にお風呂入っちゃいなよ。」

八幡「そうする。」

八幡「…ふう。」

八幡(由比ヶ浜、元気がなかった…か。)

八幡(まあ、わかってる。理由は紛れもなく俺だ。)

八幡(だが、今更どうすることもない。今までどおりにすればいい。)

八幡(…それで、いいのか。)

八幡(…ああ、もうめんどくせ。飯食ったらさっさと寝るか。)

ーーーーーーーーーーーーーーー

「そしたら、またヒッキーがまたああやってくっだらない斜め下
 すぎる解決法だしてさ。助けてもらうんだ、きっと。それでさ」

「それで、きっと…」

ーーーーーーーーーーーーーーー

ー学校ー

八幡「……」

八幡(オーケーオーケー、いつもどおり。これでこそ俺。)

戸塚「八幡!」

八幡「ん?…っ!と、戸塚!」

戸塚「おはよう八幡。今日はどうしたの?なんか元気ないね。」

八幡「え?…いや、いつもと変わらないぞ?いつもの俺だ。」

八幡(…俺はいつもより暗かったのか?いや、戸塚がそういうんだから間違いないな。
   気をつけねば。)

戸塚「そう?少し気になっちゃったからさ。」

八幡「そ…そうか。大丈夫だ、問題ない。」

八幡(戸塚を心配させてしまった、俺はなんてことをッ!)

ごめん、ミスった>>32の前にこれね


八幡「……ん。」

八幡(夢か…なんで今更。)

小町「おにいちゃーん?起きてるー?」

八幡「おう、起きてるよ。」

小町「朝ごはん、作ってあげたからちゃんと食べなよ?」

八幡「あいよ、ありがとな。」

小町「うん、じゃあ小町先行くからねー。」

八幡「おう、行ってこい。」

八幡(クソ、昨日小町があんなこと言うから…いや、小町のせいじゃねえな、これは。)

八幡(…俺も飯食って学校行くか。)

戸塚「それじゃあ、僕も授業の準備しなきゃ。またね、八幡。」

八幡「あぁ。」

八幡(何気ない朝も戸塚に会うだけで最高の朝になるな、今日はいい一日になりそうだ。)

由比ヶ浜「おはよー!ヒッキー!」

八幡「ん、おう。」

由比ヶ浜「って暗っ!どうしたの?」

八幡(由比ヶ浜は…別に普通だな。)

八幡「どうもしねーよ、早く席着け。先生来るぞ。」

由比ヶ浜「なんかいつにも増して素っ気ないなー。ねー、本当になにもないの?」

八幡「なにもねえって。つーか、俺がテンション高かった時があったか?」

由比ヶ浜「うーん、そうなんだけどさ。なんていうか…」

八幡「ほら、チャイム鳴ってるぞ。」

由比ヶ浜「う、うん。それじゃあまた後でね。」

八幡(…なんもないな、うん。)

ー昼休み、体育館裏ー

八幡(だんだん風が冷たくなってきたな。)

雪ノ下「あら。」

八幡「おう。」

雪ノ下「どなた?」

八幡「だからなんで部室以外で会った時はいつもその返しなの?本当に忘れてるの?」

雪ノ下「ええ、不思議ね。私、何度あなたの顔を見ても記憶に残らないの。きっと脳が
    本能的にあなたの記憶を消しているのね。」

八幡「そうですか。」

雪ノ下「あら、珍しく食い下がってこないのね。」

八幡「何言っても無駄なのわかってんだよ。」

雪ノ下「あら、少しは学習能力があるのね。見直したわ。」

八幡「そんくらいで見直すとか、普段お前は俺のどこを見てたんだよ。」

雪ノ下「ときに、比企谷君」

八幡「何?」

雪ノ下「あなた、いつここから去るのかしら。」

八幡「なんでだよ。まさか退けって言ってるのか?」

雪ノ下「そんな野蛮な言葉は使わないわ。ただ、ええ、短的に言えばそうなるわね。」

八幡「ちょっと酷すぎない?お前は俺から居場所まで奪うのかよ。」

雪ノ下「そんなにどきたくないのならば、別にそのままでいいわよ。どうせ来るのは
    由比ヶ浜さんなのだし。」

八幡「ここで飯でも食うのか?」

雪ノ下「ええ。…あ、なるほど。」

これ数時間前落ちたスレの編集版か
完結頼むよ

八幡「なんだよ。」

雪ノ下「由比ヶ浜さんがこの場所を指定した理由が分かったのよ。」

八幡「ほう。」

雪ノ下「……」

八幡「……」

由比ヶ浜「ゆきのんやっはろー!…あ、ヒッキーも、やっはろー。」

八幡「おう。」

由比ヶ浜「ぐ、偶然だね!ヒッキーもここで食べてたの?」

八幡「いや、お前俺がいつもここで食ってんの知ってんだろ。」

由比ヶ浜「あ、そうだね、うん、そうだった。」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、少しおかしいわよ?どうしたのかしら。」

>>40 もう完結してるの投下してるだけだから安心してくれ


由比ヶ浜「え?ああ、そう…だね。どうしちゃったんだろ、あたし。」

八幡「別にどうもしないだろ。いつものお前だ。」

由比ヶ浜「え?そ…そうかな。」

八幡「ああ、俺が見る限りな。」

由比ヶ浜「そっか、いつも…か。へへ。」

雪ノ下「どうしたの?由比ヶ浜さん。」

由比ヶ浜「ううん!なんでもないよ!ささ、早く食べよ?ゆきのん」

雪ノ下「ええ、そうね。」

八幡(…俺は図書室にでも行くか。)

八幡「んじゃあ、俺はそろそろ…」

雪ノ下「そういえば、比企谷君。」

八幡「なんだよ、また俺の心を削るの?」

雪ノ下「何を言っているのかしら、あなた。そんなんじゃないわ。」

八幡「じゃあなんだよ。」

雪ノ下「あなた、いつも以上に目が腐っているわよ。どうかしたの?」

由比ヶ浜「…」

八幡「…は?」

八幡(意外だ、雪ノ下の口から俺の様子を伺うセリフが出るとは。)

由比ヶ浜「や…やっぱゆきのんもそう思う?」

雪ノ下「やっぱり、と言うと?」

由比ヶ浜「なんかね、ヒッキー朝からいつもより元気ないなーってあたしも思ってたの。
     さいちゃんもそう言ってたし。ヒッキー、やっぱ何かあったの?」

八幡「お前ら、揃いも揃ってなんなんだよ。(戸塚は別だが)お前ら、そんなに俺の事
   見てたのか?」

由比ヶ浜「はーっ!?違うし!別にそんなずっとは見てないし!」

雪ノ下「いいえ、あなたのその目は滅多にあなたの顔を見ない私でも腐っているとわかるほどに
    生気がないと言っているのよ。正直、気持ち悪いわ。」

八幡「だから変わらねえって言ってるだろうが。それに、仮にそうだとしてもお前らに迷惑をかけ
   てるわけじゃねえんだから別にいいだろ。」

由比ヶ浜「そう…だけどさ。」

八幡「話はそれだけか?なら、俺は行くぞ。」

雪ノ下「いいえ、比企谷君。迷惑ならかかっているわ。」

八幡「…は?誰に、どうやって。」

雪ノ下「仮にも私と同じ奉仕部に所属しているあなたにそんなやる気のない顔をされると、私や
    由比ヶ浜さんまでやる気のない人間だと思われてしまうわ。」

由比ヶ浜「そ…そうだそうだ!」

八幡「それじゃあ俺は普段からお前らに迷惑かけまくってるってことだな。すまん。退部届け出して
   くるわ。」

由比ヶ浜「なんでそうなるんだし!…ねぇ、ヒッキー。少しくらい話してくれてもいいんじゃない?」

八幡「何を。」

由比ヶ浜「理由だよ。やっぱりおかしいよ、ヒッキー。朝から絶対おかしい。」

八幡「…悪いが、本当になにもないんだ。すなわち、お前らに話すことだって何もない。」

由比ヶ浜「ねえ、あたし達、そんなにヒッキーに頼りにされてないのかな。」

八幡「…」

由比ヶ浜「あたしはね、ヒッキーに助けてもらったよ?それもたくさん。」

八幡「何度言わせるんだよ。俺はお前だと知ってて助けたんじゃない。」

由比ヶ浜「そんなの、わかってるよ。でもね?」

八幡「…」

由比ヶ浜「それでも、ヒッキーは助けてくれたじゃん。わかってたとかわかってないとか、そんな
     の関係ないよ。」

由比ヶ浜「いつもバカすぎる斜め下の解決法でさ…助けてもらってる。」

八幡(…このセリフは)

由比ヶ浜「あたしだって…あたしだってヒッキーのこと…」

キーンコーンカーンコーン

由比ヶ浜「…、……。」

八幡「…悪い、由比ヶ浜。聞こえなかった。」

由比ヶ浜「…そっか、聞こえなかったかあ。へへ…そっか。」

雪ノ下「チャイムがなったわ。行きましょう、由比ヶ浜さん。」

由比ヶ浜「…うん。」

雪ノ下「比企谷くん。」

八幡「なんだ。」

雪ノ下「次の授業が終わったら、部室に来てちょうだい。」

八幡(…いやに真面目な顔だな、雪ノ下。これなら三浦の涙にも頷ける。)

八幡「ああ、わかった。」

ー中休みー

雪ノ下「ごめなさい。待たせたかしら。」

八幡「いや、今来たところだ。」

八幡(当然、本当に今来たんだぞ。いや、マジで。」

雪ノ下「そう、ならいいわ。時間があまりないの。いきなりだけれど、本題に入らせてもらうわ。」

八幡「あぁ、なんだよ。」

雪ノ下「あなた、いつまでそうやって逃げるつもりなの?」

八幡「逃げ?誰から。」

雪ノ下「とぼけるの?飽くまで逃げる気なのね。」

八幡「だから何なんだよ。」

雪ノ下「あなた、あからさまに様子がおかしいわ、本当は自分でもわかっているのでしょう?」

八幡「わからないな。」

雪ノ下「ふざけないで。」

八幡「ふざけてなんかねえよ。大体お前らこそどうした。特に雪ノ下、お前は普段俺に話しかけて
   くることすら少ねえのに、今日に限って呼び出しまでしやがってよ。」

八幡「らしくねえじゃねえか。いつものクールな鉄仮面はどこに行ったんだ?雪の女王が聞いて呆れ
   るぞ。」

雪ノ下「…あなた本当にわかっていないの?」

八幡「ああ、わからねえな。お前も、由比ヶ浜も、なんでそんなに憤ってんのかさっぱりだ。」

雪ノ下「はあ、まさかあなたがここまでどうしようもない人間だとは思わなかったわ。」

雪ノ下「それと、少なくとも私は憤ってなんかいないわ。」

八幡「ほう、お前の評価では俺はまだ最底辺じゃなかったんだな。意外だな。」

雪ノ下「いえ、評価の最低点がさらに下がったというべきね。」

八幡「わからないな。」

雪ノ下「ふざけないで。」

八幡「ふざけてなんかねえよ。大体お前らこそどうした。特に雪ノ下、お前は普段俺に話しかけて
   くることすら少ねえのに、今日に限って呼び出しまでしやがってよ。」

八幡「らしくねえじゃねえか。いつものクールな鉄仮面はどこに行ったんだ?雪の女王が聞いて呆れ
   るぞ。」

雪ノ下「…あなた本当にわかっていないの?」

八幡「ああ、わからねえな。お前も、由比ヶ浜も、なんでそんなに憤ってんのかさっぱりだ。」

雪ノ下「はあ、まさかあなたがここまでどうしようもない人間だとは思わなかったわ。」

雪ノ下「それと、少なくとも私は憤ってなんかいないわ。」

八幡「ほう、お前の評価では俺はまだ最底辺じゃなかったんだな。意外だな。」

雪ノ下「いえ、評価の最低点がさらに下がったというべきね。」

八幡「で?俺は何がわかってねえんだ?教えてくれ。」

雪ノ下「…由比ヶ浜さんのことよ。」

八幡「由比ヶ浜がどうしたんだよ」

雪ノ下「彼女とあなたの様子を見ればわかるわ。私と別れたあと、なにかあったのでしょう?」

八幡「さあな。」

雪ノ下「答えたくないなら、もうそれでいいわ。ただし、これだけは聞いておきなさい。」

八幡「…」

雪ノ下「あなたの様子がいつもと違うことに気づいてくれる人が、あなたにはもういるのよ。」

八幡「ほう、それはお前も含めてか?雪ノ下。」

雪ノ下「それは答えないわ。でも、確かに気にしている人はいるのよ。」

八幡「…教室に戻る。また後でな。」

ー教室ー

八幡「由比ヶ浜。」

由比ヶ浜「…なに?」

八幡「ちょっといいか?」

由比ヶ浜「すぐホームルームだよ。」

八幡「わかってるよ、終わったら部室に行く前にちょっと顔貸せよ。」

由比ヶ浜「…うん、わかった。」

カッコの最後に句読点つけんなって何回言えば分かるんだよ死ね

ー非常階段、踊り場ー

由比ヶ浜「…ねえ、話って何?」

八幡「お前、なんで俺が沈んでんのかって聞いたよな。」

由比ヶ浜「…うん。」

八幡「それはな、あの時のことを思い出していたんだ。」

由比ヶ浜「…え?」

八幡「昨日お前言ったろ?もしああだったらってどうなってたかって。そんなことを考えてたんだ。」

由比ヶ浜「そ…そっか。」

八幡「でもな、由比ヶ浜。俺はやっぱ、あの時ああで良かったと思ってる。」

由比ヶ浜「…うん。」

>>59 今更だが消したぞ

八幡「とは言え、もしかかってこなかったとしても、俺はあの時死ぬほど言いたいこと
   があったから、お前のセリフを横切ってでも言っていただろうしな」

由比ヶ浜「そっか。ヒッキー、やっぱヘタレだね」

八幡「ほっとけ」

八幡「だがよ、もしそれでも、お前が何かを言っていたとしたら、もう今の奉仕部は
   なかったと思うぞ」

八幡「俺かお前、いや、きっとお前が俺から離れていったと思う」

由比ヶ浜「そんなこと、言ってないんだからわかんないよ」

八幡「残念だが、俺にはわかるんだよ」

由比ヶ浜「…そっか、そういうことなんだね。へへ、なんか、悲しいかな」

八幡「まあ、最後まで聞けよ」

由比ヶ浜「…うん」

八幡「俺はな、実はこの今のぬるい感じが好きなんだ」

八幡「俺と、お前と、雪ノ下、そこに先生や戸塚や…しょうがないから材木座もいれてやる」

八幡「その他大勢も含めたとして、俺を取り巻くこの関係が、なんとなく心地いいんだよ。まあ、友達
   と呼んでいいのかは謎だけどな」

由比ヶ浜「それは、多分いいと思うよ」

八幡「いや、そんなこと言うと、あとでショックを受けかねん。言わねえよ」

由比ヶ浜「ふふ、そっか」

八幡「まぁ、その、なんだ。だから、俺はそんな今を壊したくないんだ」

由比ヶ浜「…へえ、ヒッキー、そんなこと考えてたんだね。かなり意外」

八幡「だろうな。実は俺も言いながら割と驚いてる。」

由比ヶ浜「変なの」

八幡「こっからは、つーかさっきからそうだが、俺の話になるけどな、まぁ独り言だと思え」

由比ヶ浜「うん」

八幡「俺は別に、今まで何かを求めて依頼をこなしてきたわけじゃない」

八幡「けど、その度に俺以外の人間が少なからず傷ついてると聞けば、そりゃいくら俺でも
   いい気分はしない」

八幡「けどな、俺は俺のせいで誰が傷ついたかなんて考えたことはないし、これからも考え
   ないと思う」

八幡「そりゃそうだ、そんなことを考えてたら、なにも解決しないし、解消もしない」

八幡「両方を得るなんて不可能だ。絶対に誰かが何かを失う」

八幡「でもよ、周りの人間は俺が何かを失っていると言うが、俺は自分で何を失った
   かってのは、正直わからない」

八幡「だからよ…」

由比ヶ浜「…」

八幡「もし、その誰かってのに、お前の知ってる奴が含まれてたら、ソイツに言っといてくれ」

八幡「俺が、自分で気づいてないことを見つけたら、ノートの切れ端にでもいいから伝言で残し
   といてくれってよ」

由比ヶ浜「うん…ふふ」

八幡「んだよ」

由比ヶ浜「なんかね、ヒッキーぽくないなって思ってさ」

八幡「自覚はある」

由比ヶ浜「でもね、言いたいことはなんとなくわかったかも」

八幡「そうか」

由比ヶ浜「…ひとつだけ、いい?」

八幡「なんだ」

由比ヶ浜「あたしのこと、嫌い?」

八幡「……そうだな、まぁ、お前の水着姿。実は結構見てたってくらいには嫌いじゃない」

由比ヶ浜「そっか、ふふふ、エッチ」

八幡「なんだよ。男なんだからしょうがないだろ。変な笑いしやがって」

由比ヶ浜「ううん、なんでもない」

八幡「そ、そうか。ならもう行こうぜ。雪ノ下はとっくにいるだろうしな」

由比ヶ浜「うん。でもさ、その前に」

八幡「え?」

由比ヶ浜「……んっ」

八幡「………………………………え?」

八幡(なん……だと?…キっ?え?)

由比ヶ浜「へへへ、初めてだからね、べっ」

八幡「お、お、おおう…」

八幡(…だあ、これはどういうあれでこれなんだ。って、こんなことを考えるのは違うかもな。うん)

由比ヶ浜「あたしだって、ヒッキーの力になりたいんだよ」

八幡(…チャイムにかき消されたセリフは、きっとこれだったんろうな)

八幡「手伝わなくていい、つーか手伝ってもらうことなんてねえよ」

由比ヶ浜「またそうやって強がるんだから」

八幡「そんなことねえよ。」

由比ヶ浜「いいもん!勝手にやるからね!バカ!もう先行く!」

八幡「お、おう…」

由比ヶ浜「…ヒッキー!」

八幡「ん?」

由比ヶ浜「がんばれ」

八幡(そんなの、嫌に決まってる)


終わり

終わりです、最後まで読んでくれた人、ありがとうございました
SSではいつも汚れ役の由比ヶ浜だけど、たまにはヒロインでもいいと思うよ

というわけで、おやすみ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月22日 (月) 02:24:40   ID: JEG85jT6

やっぱりガハマはクソビッチか……。
メインヒロインは雪ノ下なのに
ビッチの天然からくる人の好さを
勘違いしてしまうからガハマ系のss
なんてものが生まれるんだ。

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