P「髪、伸びたな」美希「そう?」 (23)

P「いや絶対伸びてるって。ほら」サラ

美希「ひゃっ! いきなり女の子の髪の毛触っちゃダメなの!」

P「うおっ、ごめんごめん」

美希「もー……ミキのプロデューサーでも、次からはちゃんと言ってね?」

P「悪かった。次から気を付けるよ」

美希「でも言われてみれば。ちょっと伸びてるかも」

P「自分じゃ気付かなかったのか?」

美希「最近はあんまり気にしてなかったから」

P「短くなった分分かりやすくなったんだろうな」

美希「そうかも。今度のお休みに揃えようかな」

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P「しかし……改めてみると」

美希「?」

P「大分雰囲気変わったよなぁ。下手したら別人みたいだ」

美希「ミキ的には昔の髪形に戻しただし、そんなに気にならないんだけどな」

P「その昔を知らんからな。最初は本当にびっくりしたよ」

美希「プロデューサーでもそうだったんだ……。それじゃ、ミキの周りの人達の反応もトーゼンかも」

P「例えば?」

美希「えっとね、友達はすっごいビックリしてたよ。最初ミキだって気付かなかったもん」



―――――――――


『みんなおはよー!』

『え。……誰?』

『もー、わかんないの?ミキだよ、星井美希!』

『………ええええええええええ!?』

『ウッソー!?ミキミキどうしちゃったの!?』

『失恋でもした?』

『なんかちょっと……地味?』

『わかった。ホントはアンタ美希じゃないんでしょ。名を名乗れぃ!』

『酷い言いようって思うな……』


―――――――――


美希「もう大事件ってカンジ」

P「戻しただけで地味とは分かってねぇなぁ」

美希「そうだよね!せっかくプロデューサーさんが好きって言ってくれたのに!!」プンスカ

P「男子はどうだったんだ?」

美希「えっと……いっぱい増えたの。前よりも」

P「成る程。色々と増えたか」



―――――――――


『あら、星井さん……髪切ったのね?』

『先生の言ってくれたことわかってくれたのね!その調子で勉強も頑張りなさい』


『おー、短いのも似合ってるじゃないか!これで呼び出されることもなくなるぞ』

『まぁ……俺としては、ちょっと残念だけどな!あはは……』


『星井、なんだか最近凄くエネルギッシュじゃないか。何かあったのか?』

『―――そうか。思うように頑張りなさい。先生は応援してるぞ』


―――――――――


P「まぁ学校からしてみりゃそうだろうよ」

美希「センセーの言うことも分かるけど……これだけで真面目になったって、酷いと思うな」

P「見た目の印象ってのも否定出来んからなぁ」

美希「それにしたって気にし過ぎだよ。いっつも何か言われるんだもん」

P「でも聞いてくれる先生もいるんだろ?なら、その先生の為にも頑張らないとな」

美希「うん!」



―――――――――


『ほら美希ちゃん、こっちおいで~』グリグリ

『ね、ママ。ミキはもう14歳なんだけど……』

『知ってるわよ~。けど、な-んか昔の美希を思い出しちゃうのよねぇ』

『ママもそれくらいにしといたら。もう2週間は経つのよ?いい加減慣れないと』

『んー……それもそうね』

『はふぅ。ありがと、お姉ちゃん』

『……何かあったら言ってね、美希。お姉ちゃんが出来ることなら何でもするから』


―――――――――


P「前々から聞いてたけど、やっぱり親馬鹿だよな」

美希「パパもママも最初はもっと凄かったんだよ?」

P「そんなにか……。けど昔を懐かしむのは仕方ないって」

美希「あ、でも。お姉ちゃんがすっごく心配してくれるようになったの」

P「……まだテキトーに聞き流してるのか?」

美希「もうそんなことしないよ。ちゃーんと聞いてるもん」

P「そっか、えらいぞ」グリグリ

美希「あふぅ」

P「みんな美希が変わったって思うのはさ……きっと髪型が変わっただけじゃないと思うんだ」

美希「どういうこと?」

P「『一生懸命さが足りない。それさえあれば、もっとかわいくなれるのに』」

美希「あ……それ、老人ホームでのライブの時の」

P「レッスンや仕事だけじゃない。色んなことにひたむきになり始めたから、美希が『変わった』って思うのかもな」

美希「そうかな?でも……もしそうなら、ちょっとうれしいかも」

美希「それってミキが少しでも変われたってことだもん。少しずつ一生懸命な女の子になれてるってことだよね?」

P「けどまだまだだぞ。ここで気を抜いたらまた全部台無しになっちまう」

美希「分かってる。今度は大丈夫だから」

P「……なあ、美希」

美希「?」

P「変なこと聞くけどさ。長い髪に戻そうとは思わないのか?」

美希「―――やっぱりおかしいかな。プロデューサーは前の長い髪の方が、好き?」

P「そういうわけじゃないよ。ただ―――」


―――――――――


『やっぱ美希の髪はステージで映えるなぁ』

『あはっ☆ ありがと!ミキもね、この色すっごく気に入ってるの!』


―――――――――


P「―――あんなに気に入ってたのに。俺の一言のせいで無理させたんじゃないかと思って」

美希「ううん、そんなことないの」

美希「むしろ全然逆。プロデューサーはね、ミキの背中を押してくれたんだよ?」

P「え」

美希「プロデューサー、覚えてる?ミキが『変わる』って言った時のこと」

P「『本気で一番のアイドル目指してみる。もう中途半端して、ガッカリさせるのヤだから』……って奴か?」

美希「プロデューサーにはああ言ったけど―――ホントはね、少し不安だったの」

美希「一生懸命になれるのかな、変われるのかなって。ミキ、これまで甘えてばっかりだったから」

美希「プロデューサーが自慢できる一生懸命な女の子になれるのか……分からなかった」

P「それは仕方ないさ。誰だってみんな最初は不安になるものなんだから」

美希「だからね、ちょっとだけきっかけが欲しかったの。テキトーだったミキじゃない、違うミキになれる何かが」

P「それで……髪について聞いたのか」

美希「結構思い切ったから、すっごいドキドキだったんだよ?ミキだって気付いてくれない人も多かったし」

美希「でも―――」


―――――――――


『―――』ドキドキ

『おはようございま……うおっ!?』キィ

『!』

『え。美希……だよな?どうしたんだその髪?』

『プロデューサー。ミキのこと、わかるの?』

『分かるに決まってるだろ。ってなんでいきなり短くしてるんだよ!?』


―――――――――


美希「プロデューサーがすぐに気づいてくれて……凄く嬉しかった」

美希「どんなに変わっても……変われても、ミキはミキだって。そう思えたの」

美希「まだまだ分からない事も、考えなきゃいけない事もまだまだいっぱいあるけれど―――でも今は、それ以上にやってみたいの!」

美希「プロデューサーが教えてくれた、見たこともない景色を見てみたいから
    プロデューサーが信じてくれた、もっともっとできるミキを見せてあげたいから」

美希「昔の髪もミキだけど、今の髪でもミキだもん。―――そうだよね?」

P「……そうだな、その通りだ。変なこと言っちゃったみたいだな、ごめん」

美希「ううん。プロデューサーが気にするのもトーゼンって思うな」

美希「でもミキ、この髪結構気に入ってるんだよ?プロデューサーも似合ってるって言ってくれたでしょ?」

P「ああ、凄く似合ってるよ。今の美希にぴったりだ」

美希「あはっ☆ ありがと、プロデューサー!」


―――――――――

――――――

―――

P「それじゃ、明日は10時に迎えに行くから。しっかり準備しておくんだぞ」

美希「はい!ね、プロデューサー。今日はもうこれで終わり?」

P「大分早く終わったぞ。美希が頑張ったからだな」

美希「それじゃ今から時間ある?もうちょっとだけレッスンしていきたいんだけど……」

P「え、今からか?」

美希「打ち合わせのステージ、練習してた時考えてたのとちょっと違ったから」

P「でもこれ以上はオーバーワークに」

美希「お願い。今日中に確認しておきたいの。……ダメ?」

P「―――。わかった、スタジオ空いてるか聞いてみるよ」

美希「ホント?」

P「ああ。ただし!あんまり長くやり過ぎると疲労が残るからな。短期集中で一気に行くぞ」

美希「合点承知なの!」

P「美希、場所取れたぞ。1時間程度なら特別に開けて下さるってさ」

美希「やたっ! 後でセンセーにもお礼言わなきゃ」

P「お、ちゃんと覚えててくれたんだな。えらいぞ」

美希「『挨拶とお礼は欠かさず行うこと』!プロデューサーが教えてくれたこと忘れるなんて、ミキにはあり得ないって思うな」

P「どの口が言ってんだか」

美希「忘れてた頃のミキがいたから今のミキがいるんだもん。日々成長中なの」フンス

P「違いない」

P「美希」

美希「なに?プロデューサー」

P「一緒に頑張ろうな。分からない事が多くても……出来るって思えば少しずつ近づけるはずだから」

美希「うん!―――あ、そうだ。もう一つだけ」

P「うん?」

美希「周りの人も、ミキの毎日も変わったけど―――実は一番変わったものがあるんだよ?」

P「へえ、なんだそれ?」

美希「それはね……ひみつ!」

P「焦らすのかよ!!」

美希「だってまだ自信ないもん。もうちょっとしたら話すから、ね?」

P「ここまで言っといてそりゃないだろ……教えろ!」

美希「ほらほら!プロデューサー、レッスンの時間なくなっちゃうの!」

P「うおっ、鍵持たせろって!」


―――今ミキの中にある気持ち、これはきっと本物。

―――でもこんな気持ちも初めてだから、どうすればいいか分からないの。

―――だから今は頑張りたいな。プロデューサーがミキを助けてよかったって思えるように。

―――ずっとミキを信じてくれてるプロデューサーに、自信を持って伝えられるように。


美希「ミキ、もっともっと頑張るから!―――だから待ってて、プロデューサー!」



おわり

短いですがお終いです。ここまでありがとうございました。
覚醒美希の断髪は選択できるせいか意図的に軽く流してた節がありましたが、
実際切るとなったら色々とあるんじゃないかなー、と思ったので。

バンナムさん覚醒茶髪復活早よ。

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