まどか「イシリアル?」弓那「魔法少女?」藍「アイ参☆上!!」雲母「やめんか!!」 (15)


……それは、単なる偶然だった。

唐突に不可解に理不尽に起きたロクでもない話だったけど、切っ掛けは本当に、単なる事故だったんだ。
後で聞けば関係者一同、雁首そろえてそう言ってるし、当事者である俺もそう思う。
言ってて自分でも信じられないが。





「……ああああああ」


どうしてこうなったか?
だから言ったろう。これは事故なんだって。



「あああああああああああああああああああ」



……どういう事故かって? ああもう……!
気持ちはわかるけど黙っててくれって! 俺自身いますぐ言葉にできないんだよ……!!




「ぅあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ……!!」






いま、“現在進行形で巻き込まれ中なんだから”!!




「―――――落ぉぉぉぉちぃぃぃぃぃるうううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ―――――ッ!!?」



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【閲覧上の注意とQ&A】

Q:このSSは?
A:「魔法少女まどか☆マギカ」と「輝光翼戦記天空のユミナ」とのクロスオーバーです。

Q:時系列は?
A:まどか側は世界改変前から。ユミナ側は本編完結編終了後、コロナ前後。
なお展開上、原作と多少の設定捏造・独自解釈および認識の違いあり。
「バイオリンかギターか」のように、そういう無数の平行セカイの一つ、と考えていただければと。

Q:胸糞展開は?
A:あるかもしれません。

Q:『メアリー・スー』?
A:そんな奴は出ません。

Q:『デウスエクスマキナ』?
A:そんな奴は出ません。……まあワル夜からして『舞台装置』なので、そういう意味では『出てる』といえるかも。

Q:叛逆については?
A:なにそれおいしいの?


以上のように、マイペースに進む予定です。
「なんだそりゃふざけんな」「飛影はそんなこと言わない」「アイェェェェ!?ナンデ?コノ展開ナンデ!?」
という具合にお口に合わないと思った方は、そっ閉じでお願いします。


―――××県、見滝原市立見滝原総合病院の外壁に展開された、『お菓子の魔女』の結界。
その深奥にて、一つの戦いに、決着がつこうとしていた。





「お出ましのところ悪いけど……!」


赤を基調に黒のマントをまとった、女の子向けのぬいぐるみのような、小さな魔女。
その小さな体に、黄色い装束の魔法少女――巴マミのマスケット銃が火を噴き、幾つもの穴を穿つ。
着弾のストッピングパワーに体を揺さぶられ、体勢を立て直せもせず転がる魔女に――


「一気に決めさせて――――もらうわよッ!!」

一気に肉薄し、得意のリボンの魔法で縛って持ち上げ。
長銃の銃把ではなく銃身を握り、野球のティーバッティングよろしく、バット代わりのマスケットで殴り飛ばす。
見事なライナーの弾道を描き、結界の壁面にたたきつけられる魔女。
追い討ちに魔法少女のリボンが、金色の光とともに“編み上げられ”―――


「ティロ……フィナーレっ!!」


金の帯から作り上げられ、炸裂する『大砲』―――魔法少女・巴マミの必殺技。

「やったぁ!」
魔法少女の背後の物陰から上がる、無邪気な少女の快哉。


リボンに縛り上げられ、壁に打ち付けられたまま。
小さな魔女はなすすべなく、その魔法の砲弾に貫かれ――――“吐き出す”。


「え―――?」

魔女が自分の必殺技を食らって吐き出した、血反吐でも、それに類する魔女としてのナニカでもないそれに。
意味を成さぬ音を口から漏らし、マミの意識はフリーズを起こす。
ついで、その背後で先輩を見守っているピンク髪と、青髪の少女も、同じく。



「な……?」
「あっ……」




それは、あの小さな体躯のどこに詰まっていたのかというような。
ピエロのような顔をした、巨大でいびつな、くろいへび。



「マミさん、危ないッ!!!」


「……あ、……!?」

その声に意識を眼前に戻す、黄の魔法少女。
そこにあったのは、先ほど己の決め技『ティロ・フィナーレ』で撃ち貫いた、ぬいぐるみのような魔女の残骸から這い出す―――
ピエロの顔で大口を開けた、巨大な黒い蛇の大顎。

「早く逃げて……早くーーーッ!!!」
「……あ、…え…!?」

必死の呼びかけに反応しようとするも、突然の敵の復活による動転と。
自分が蛇に睨まれた蛙の状況にあることを理解してしまった恐怖に、体も足も、頭まで、言うことを聞かない。


そして、そんなまどかとさやかの祈りと、叫びもむなしく。


―――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?


「―――――っ!?」
「嫌ぁっ!? マミさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」







        ―――………マ! ………ミィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイッ…!!!




黄色い魔法少女の、その1メートル半ほどの体を。
ひと呑みにしてしまえそうな黒と赤と鋭い白のギザギザが飲み込もうと、大口を広げ――――



ぱ  く  っ。






    ※     ※     ※     ※     ※     






……意識が朦朧としていたのは一瞬か、それとも分単位か。
見当識そのものは明確ではないが、それでも頭に――というか体に叩き込まれた動物のように野性的で、機械のように論理的な部分が、働き出す。
秒どころか分単位で感じ続けている浮翌遊感は、
“これまで自分がどうにか死なずにすんでいる”という安堵感とともに、一つの事実を引っ張り出してくる。


「………ッ!!」


『分単位の時間、落下しても底につかない』。

それはすなわち、そんな高度からそのまま地面に落ちたら、
原形どころかロクなパーツも残らないくらいにぐちゃぐちゃに潰れて、死んでしまうということ。
そして、俺はまだこんなところで、ワケもわからず死にたくない。


「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁもうヤケだこん畜生!!?
 燃えろ、俺の心の力!!」



「―――――アカシマ・ダイナミィィィィィィィィィイイイイイイイイイック!!!」





チカラの発動と危機回避の安堵とともに、見えてくるは周囲の状況。
妙に生々しい赤と肌色とクリーム色に満たされる、あまり愉快に感じないべたついた印象の空間。

(……妙な領域だか空間だかにでも落ちているのか、俺?)

ともあれようやく自由落下に見えてきた終わり。
チカラのおかげで死ぬことはないだろうとタカをくくって見た下界には――――


「……え?」


くろいかたまりと、きんのつぶ。
それを認識した次瞬―――

「あ」



落下の衝撃、自己防衛のチカラ、そして巻き起こる土(?)煙と爆炎と、直後に襲ってきた“異物感”に――


「……をごっっっ!!?」

俺の視界は、レッドアウトした。





    ※     ※     ※     ※     ※     ※     ※






黄色い魔法少女の、その1メートル半ほどの体を。
ひと呑みにしてしまえそうな黒と赤と鋭い白のギザギザが飲み込もうと、大口を広げ――――



ぱ  く  っ。



『ゴブちァッ!!?』
「……をごっっっ!!?」
「んぶっ!!?」


巴マミの頭部は、巨大な口の中にくわえ込まれてしまった。











――ただし、


「……な、何、アレ……新手の魔女!?」

先ほど魔法少女を食らおうとしていた、魔女の新たなかんばせ、その顎ではなく――


「いや、魔女というか、その……
 凄くおっきな―――――」


そのさらに遥か高所から降ってきた、






「男の、ひと……!?」





“全身を炎に包んだ”、“巨大な”、“黒い学生服の青年の”口の中に。


「……って!
 それはそうと、さっきまでマミさん食べようとしてた、あのでっかいヘビは!!?」

もうもうと立ち上る、スポンジケーキとビスケットと粉砂糖の土煙。
それですら隠し切れない“落下してきた巨人”に奪われていた意識をようやく取り戻す、魔法少女候補生2人。


「今降って来たおっきな人に、つぶされちゃった、みたい……だけど……
 そ、そんなことより、マミさんは大丈夫なの!!?」


文字通りの“降って沸いた異常事態”に、必死で状況を整理しようとするも、脳内の混乱は収まらない。
パニックに陥る中、まどかが口に出した一言で、さやかが大慌てで憧れの先輩の姿を探すと―――そこに居たのは。




「――む、むぐ!? むぅぅぅぅぅぅっ!? むーっ!?
 むむ……!? む、むぅーっ!!?」

……落下してきた“赤い巨大男子学生の口”に、“上半身を突っ込んだ状態で”うつぶせに倒れ。
スカートがめくれ上がり、その大人びた雰囲気からすれば意外に可愛らしい下着が丸見えなのも気にせず(おそらく混乱しているのだろう)、
体を抜こうと必死で足をばたつかせる黄の魔法少女と。


「……ぬ…? むぉ、ふが!?
 もが、ふ、んが、あが……!?」


落下の衝撃から我に返り―――
その異物感に驚き、慌てふためいて、口内で暴れるそれを吐き出そうともたつく、赤の巨人だった。


「……な、なんなのさ、この状況……?」
「わ、私に聞かれても困るよ……!? キュゥべえ、これいったいどうなってるの!?」
「いや。僕だって、さすがにこれを聞かれても、ちょっと…………。
 わけがわからないよ、かなり本気で?」

あまりにもシュールな空気と状況に、言葉を失い呆然とする女子中学生二人と、魔法少女のマスコット。
マミと赤の巨人が、互いにあたふたと復帰を図ろうとすると――

「んが!? ふぉ、んごぉ!!?」
「ふむぅ!? む、んんんんん~~~~~~~……!!?」

突然、炎の巨人の体が、小さくなり始める。
直立すれば10メートルにはなりそうだったその巨体が、見る見るうちに、全身の炎ごとしぼみ――



「ぷ、ぷはっ!? うぇ……!
 はぁ…はぁー、ぜぇ、は、ぜはぁ、はっ…はぁー……!?」

縮んでいく巨人の口から“はみ出し始めた”のを機に、腰から上を巨人の唾液でべとべとにしながらも、めでたく脱出に成功。
大慌てで酸素を取り込もうと息を荒らげ、混乱する頭を必死に整理しようとしながら、頭を上げるマミ。



「む、んが!? ふが……!
 ぺ、ぶはっ! う、ぉェ、ゲホ……ゲホ、ゲホッ!」

一方の赤の巨人―――否、今や普通の人間のサイズまで縮んだ、赤い髪の男子学生も。
口に最後まで引っかかり続けていたマミの帽子を吐き出し、咳き込みながら、マミと向かい合う形で起き上がる。
――――二人の目が合う。





そして。
この星を弄ぶ巨大な意思に動かされるまま、己が願いという糸に操られて戦う、少女たちと。







「っ、…………!?」
「あ……! ご、ごめん!! 巻き込んじまった!
 大丈夫!? 怪我とか、してないか!? あとヤケドとか、歯型とか!」
「わ、私はちょっと熱かったけど、大丈夫……それよりも、あなたは、一体……?」
「え!?
 あ、いやその、えーっと、俺は……」






「あーーーーゆーーーーーむーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」





「……?」
「……おい、マジかよ……!?」




「大丈夫ーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」



“あお”、“くろ”、“みどり”。
人の背丈ほどもありそうな3色の、大きな光のかたまり。

“上空から降ってくるそれらは、心配するような声を上げて―――――




「ぐほォア!!?」
「え……!!?」


少年を、下敷きにした。



「あー、びっくりした……死ぬかと思ったわよ」
“みどり”が。


「……着地成功、か。
 しかし、ここはいったい……」
“くろ”が。


「10:00。金まちがいなし。
 とりあえず次期五輪日本代表候補として、JOCに売り込みをかけてみたくなった所存」
“あお”が。


「……ヒトの上に落下してる時点で間違いなく0点だけどな……!!?」

その下敷きにされている、赤髪の少年の苦情を引き連れて――


「……え?
 その、あ……ええ!??」

混乱するマミの目の前で、“3人の少女の姿をとっていく”。




宇宙すら巻き込む己の意志に突き動かされ、それをカタチにするために戦う少年少女たちは、ここに邂逅を果たした。

とりあえずは導入ここまで。
のんびり考えてきたけど、叛逆公開されても出せなかったら書くモチベそのものを喪失しそうだったので、立ててみた。

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