許嫁「はぁ?クリスマスがなに?」(302)

許嫁「いつまで私の部屋にいるつもり?」

許嫁「早く自分の部屋に戻って寝てよもう」

許嫁「………チッ」

許嫁「あんたどうせエッチしたいだけでしょ!?」

許嫁「キモイから本当出てってよもう!」


こんな感じでお願いします

男「友達とパーティーやろうって話をしたから誘おうと思ったんだけど……」

男「何か、ごめん」

許嫁「……ふんっ」

男「親の勝手でこんな事になってるんだし、俺なんか顔も見たく無いよな」

許嫁「そうよ。分かったら早く出て行って!」

男「うん。じゃあね」バタン

男「……打ち解けるのは無理っぽいなぁ」ピロリン

男「あ、メール……」ピッ

男「……一人で行くか」



しにたくなってきた

いいよいいよ

許嫁「あーあ、本当にもう……」

許嫁「なんでこんな変態の許嫁に……」

許嫁「!!」

許嫁「や、ちょっと、触らないでよっ!?」

許嫁「……え?」

許嫁「慰めてるつもりだって?全然伝わらない!」

許嫁「ただのセクハラよ!ばか!エッチ!」

許嫁「もぅ……」

許嫁「ドキドキさせないでよ……」ボソッ

>>5
邪魔して失礼しました
続けて


許嫁「それでなんのよう」

男「いやクリスマス暇かなーって」

許嫁「まさか私をデートにでも誘いたいわけ?」

男「ごめん、嫌ならいいんだ」

許嫁「……嫌なんて言ってないじゃない」

遠慮するな
己を貫け

そうだそうだ

友『で、誘うの失敗してボクに相談の電話をしてきた、と』

男「せっかくセッティングしてくれたのにごめんな」

友『いいの、いいの。どうせクリスマスに予定なんて無かったし』

友『でも、中々手強いね許嫁さん』

男「少しでもみんなと打ち解けられたら、って思ったんだけどな」

友『許嫁さんには悪いけど、珍しく委員長からok貰えたし三人で遊ぼうか?』

男「……一応ギリギリまで誘ってみるよ」

友『そっか、じゃ明日学校で。あんまり相談乗れてなくてゴメンね』

男「話聞いてくれただけでも十分だよ。またな」


俺書いて良いの?

いいぞ
いいぞ
もっとだ

ガチャ

許嫁「……」

男「あ」

許嫁「ふんっ」スタスタ

男「あのさ、クリスマス……」

許嫁「なに?」ギロッ

男「うっ……」

許嫁「用が無いなら話し掛けないで」スタスタ

男「……」

男「電話の話、聞かれてたかな……」

うっ……

―学校―

友「よ、今日も絶不調の顔だねっ」ポンッ

男「普通そういう事を嬉しそうに言うか?」

友「良いじゃん。で、今日も朝イチ登校?」

男「当たり前だろ。顔合わせれば舌打ちか無視だぞ」

友「何時も思うけど、学校じゃ愛想良いからイマイチ信じられないんだよね」

男「学校じゃ、な……」チラッ

許嫁「……っ」キッ

男「はぁ……」

―昼休み―

友「今日はどうするの?」

男「んー、学食かな」

友「え、なに、珍しい」

男「バランス良いメニューが恋しくなる時もあるんだよ」

友「ふーん、じゃボクも学食にしよっかな」

委員長「ちょっと良いかしら」

男「なに?」

委員長「クリスマスの件、ちゃんと許嫁さんに話したのですか?」

男「あ……、いや……」チラッ

許嫁「……っ」プイ

男「それがさ、あんまり乗り気じゃなくて……」

委員長「そうなんですか?」

友「ね、ねっ! この話は食堂でしようよっ」

委員長「そうですね、今日はお付き合いします」

―食堂―

男「ありゃ、もう結構並んでるなー」

委員長「私お弁当だから先に席取っておきますね」

男「おお、さすが委員長!」

友「あ、じゃあ男、ボクも席取るの付き合うからキツネうどん宜しくっ」

男「ん、分かった」

友「あのさ、委員長」コソコソ
委員長「なんですか」

友「本当に男と許嫁さんって仲悪いのかな」

委員長「さあ。学校で話してる姿を見た事はありませんが……」

友「許嫁さん、何時も男の方をチラチラ見てる気がするんだよね」

委員長「初耳ですね」

友「うーん、何か噛み合わないなぁ……」

許嫁(どうしよう、席空いてない……)

許嫁(こんな事なら食堂何か来るんじゃなかった)オロオロ

許嫁(はぁ……)

許嫁(もう……いやだ……)


「おーいっ」

友「許嫁さんっ、こっち席空いてるよ!」

許嫁「!」

友「どうしたの?」

許嫁「……」キョロキョロ

許嫁「良いの?」

友「もちろんっ! 男も委員長も良いよね?」

男「え? あ、ああ……」

委員長「構いませんよ」

友「だってさ。ほら、おいでよっ」

許嫁「そ、それじゃあ……」

委員長「こちらへどうぞ」

許嫁「あ、ありがとう」チラッ

男「……」モグモグ

友「そういえば一緒にご飯食べるの初めてだねっ」

許嫁「うん。私、邪魔じゃ無い?」

友「そんな事無いよっ」

委員長「そういえば……、クリスマスの話は男君から聞きました?」

許嫁「聞いたけど……私、人ごみとか苦手だから」

友「パーティーって言ってもボクと男と委員長だけだよ? それでもダメかな」

許嫁「……ごめんなさい」

友「そっかぁ。でも、気が変わったらいつでも言ってねっ!」

許嫁「うん、ありがとう」

男「……」モグモグ

―放課後―

男「はぁ……何か疲れた」

男「帰ろう」ガタ

許嫁「ちょっと」

男「……なに?」

許嫁「あとで校舎裏」

男「……分かった」スタスタ

友「男ー、かえろー」

男「悪い、用事あるから先帰ってくれない?」

友「そうなの? じゃ、またねっ」

男「またなー」

―校舎裏―

許嫁「どういうつもり?」

男「どういうって、なんだよ」

許嫁「自分一人じゃ誘えないから友さん達使うんだ」

男「別にそんなつもりじゃ……」

許嫁「言い訳するの? ほんと、さいってー……」

男「だから!」

許嫁「食堂では私を無視するし、友達使って誘おうとするし」

許嫁「ほんと、どういうつもりよ」

男「学校では馴々しくするなって何時も言ってるのはお前だろ!」

許嫁「……っ」

男「ご、ごめん大きな声出して……」

許嫁「……とにかく、私は絶対に行かないから」

許嫁「三人で楽しんで来なさいよ……」

男「……」

―男宅―

男(帰るの気が重いなぁ……)

男(そもそも、何で許嫁の親が用意したマンションで二人暮らしなきゃ駄目なんだよ)

男(親の顔立てる為に仕方ないか……)

男「ただいま……」ガチャ

シーン

男「靴はあるし、許嫁は部屋だろうな」

男「着替えて夕飯の準備するか」テクテク

グス……う……うう……

男(また泣いてる。本当にこの環境が辛いんだな)

男「早く父さん達が諦めてくれると良いんだけど……」ボソ

コンコン

男「許嫁さん、夕食にパスタ茹でたけど一緒に食べない?」

許嫁『……いらない』

男「えっと、茹で過ぎて一人じゃ食べ切れないんだ」

男「……じゃあさ、部屋まで持って行くから人助けだと思って食べてくんないかな?」

許嫁『……うん』

男「ありがとう。それじゃちょっと待ってて」

男「ここに置いとくからね」カチヤ

男「食べ終わった食器は同じ所に置いといて」

スタスタ

許嫁「……」

ガチャ……バタン

許嫁「……」チュルチュル

許嫁「……」ズズ…

許嫁(おいしい……)

許嫁「……」グスッ

――――――――
―――――
――

男(良かった。パスタもスープも全部食べてくれたみたいだ)カチャ

男「……」

コンコン

男「入って良い?」

許嫁「……勝手にすれば」

ガチャ

男「入るよ」

許嫁「……」

男「……あのさ」

許嫁「何よ」キッ

男「クリスマス、本当に来ないのか?」

許嫁「……っ。しつっこいっ! 誰があんた何かとクリスマスを一緒に過ごさなきゃいけないのよ!」

許嫁「どうせお酒とか飲ませてやらしい事するつもりなんでしょ!」

男「許嫁さんにそんな事する訳無いだろ!」

許嫁「!」

許嫁「もういい、出てって」

男「でも……」

許嫁「お風呂入るのよ。覗く気?」

男「分かったよ……」

友『それでまたボクに泣き付いて来たんだ』

男「もう取っ掛かりすら見えない。つーか本当に泣きたい」

友『ねえ、本当に許嫁さんは男の事嫌ってるの?』

男「家じゃ会話もままならないし、学校でも最低限のやりとりだぞ」

男「口を開けばキモいだの煩いだのって言われるし……」

友『ふうん、想像付かないや』

男「学食でだって全く会話してなかっただろ?」

友『あれは男が無視してるみたいだったよ』

男「まじで? なんか悪い事したなぁ……」

友『ふふっ』

男「なんだよ」

友『別にー』

男「別にって……」

友『取り敢えず男はどうしたいの?』

男「俺は……、せめて友人と呼べるくらい仲良くなりたい」

友『婚約者なのに友達?』

男「それは親が勝手に決めた事だからさ」

男「許嫁さんも納得してないみたいだし、ちゃんと父さんと話し合って解消して貰うつもり」

友『そのこと許嫁さんに話した?』

男「いや。何で?」

友『何で、って……』

友『ボクが思うにね』

男「うん」

友『二人はちゃんと話し合うべきだと思うな』

男「いや、だから話し合う以前に会話にならないんだって!」

友『そこは自分で何とかしてよ』

男「何とかって簡単に言うけど」

友『ボクが何かしても、余計意固地になるだけだと思う』

男「それは確かに……」

友『とにかくがんばって会話する機会作りなよ、それじゃもう遅いから寝るね。おやすみー』プツッ

男「あ、おいっ」ツーツーツー

男「はあ……」

男「俺も風呂入って寝よう」

―リビング―

男「さすがにもう風呂から上がったよな……」ガチャ

許嫁「――――っ!」

男「な、なんで許嫁さんがバスタオル姿でリビングに!?」

許嫁「……」ツカツカ

パシーンッ

男「いってぇっ!」

許嫁「最低……」ガチャ

男「俺が悪いのかよ……」

―翌日―

友「おっはよーっ!」

男「おっす」ボヘー

委員長「おはようございます」

男「おはよう」キリッ

友「あれ、何かボクの時と態度違くない?」

男「そうか?」

委員長「あ、男君……」

男「ん?」

委員長「顔、少し腫れてます」スッ

男「あ……(委員長の手、冷たくて気持ち良い……)」

友「ほんとだ、どしたの?」

男「あー、寝呆けてベッドから落ちただけだよ」

委員長「そうですか。ちゃんと冷やした方が良いですよ」

男「平気平気。委員長の指冷たくて気持ち良かったし、直ぐ治るって」

委員長「あ……。す、すいません」パッ

友「ばーか! ばーか! 変態! 変態!」

男「なっ!?」

ワイワイ

許嫁「……」

友「で、男。ちゃんと許嫁さんと話できた?」

男「いや、あれから一言も話せてない」

友「えー」

男(そりゃあんな事あったら声掛けにくいっての)

友「原因はその紅葉?」

委員長「紅葉?」

男「あー、うん」

友「なにやったか知らないけど、ちゃんと謝りなよ?」

男「分かってるって」

友「なんか不安……」

男「なんだよ」

友「クリスマス迄に、ちゃんと仲直りしてよ?」

男「んで」

男「結局何も出来ないまま家の玄関先まで帰って来た訳で」

男(昨日より気が重い)

男(どうしよう、実家帰ろうなか)

男(でもそんな事したら父さんは怒髪天で、母さんは寝込みそうだしなぁ……)

男「うむむ……」

?「おや、男君。玄関でどうしたんだい?」

男「あ、許嫁のお父さん……」

許嫁父「玄関先でうろうろしてたみたいだけど、鍵を忘れたのかな?」

男「あ、いや、夕食の献立考えていて……」

許嫁父「夕食? 料理好きな許嫁に任せておけば良いじゃないか」

許嫁父「それとも許嫁は家事を……」

男「ああっ! 今日は俺が当番なんです。それでどうしようか悩んでて!」

男(……って何で俺、許嫁庇ってるんだ)

男(ありのまま言えば、あいつは解放されるじゃないか)

男「とにかく、中に入りましょう。どうぞ上がって下さい!」

猫がコタツの中で毛玉吐いた
ちょっと待って

ガチャ

男「ただいま。許嫁、許嫁のお父さんが来てくれたぞー」

許嫁『!?』

許嫁『は、はい。直ぐお茶の準備するね!』ガチャ

パタパタパタ

許嫁「久し振り、お父さん」

許嫁父「ああ、久し振り。元気だったか?」

許嫁「うんっ。あ、男君、早く着替えて来てね」ニコッ

男「えっ」ドキッ

男「う、うん。直ぐ着替えて来るよ」

男(なんだ、この変わり身……?)

許嫁「お父さんはリビングで待ってて。直ぐお茶煎れるから!」

―リビング―

許嫁父「それで、一足早い新婚生活の調子はどうだい?」

男「新婚!?」

許嫁父「そうだろう?」

男「た、確かにそうですけど――――」

許嫁『男君! 棚に手が届かないから手伝ってーっ』

男「あ、許嫁が呼んでるからちょっと良いですか?」

許嫁父「ああ、勿論」

男「それじゃ失礼します」タタタッ

許嫁父「良いねぇ。実に初々しい」

―台所―

男「許嫁?」

許嫁「……」キッ

男「……」

許嫁「ちゃんと約束通り呼び捨てにしてる様ね」

男「え、ああ……」

許嫁「私が同棲生活が上手く行ってる様に話すから、あんたはちゃんと合わせて」

男「……なんでだよ。ちゃんと話せば俺達の関係が解消できるかも知れないだろ?」

許嫁「――――っ」

男「許嫁さん……?」

許嫁「良いから私に合わせて……! せめて卒業するまでは心配させたく無いのよ……」

男「そっか。分かったよ」

許嫁「うん……」

―リビング―

許嫁「はい、どうぞお父さん」カチャ

許嫁父「ああ、ありがとう」

許嫁「男君も、どうぞ」カチャ

男「え、あ、ありがとう」

許嫁「(なにキョドってるのよ!)」コソコソ

男「(仕方ないだろ、許嫁さんにお茶煎れて貰ったの初めてなんだから!)」コソコソ

許嫁父「おや、どうしたんだい?」

男「あ、いえ別に!」

許嫁「男君のお茶碗、ちょっと熱かったみたいでっ」

許嫁父「そうか、そうか。許嫁の煎れる適温のお茶で熱がるとは、男君の指は繊細だな」ハッハッハ

男「じ、じゃ早速いただこうかなっ」ズズ

男「……っ」

許嫁「あ、熱かった?」

男「あ、いや、凄い旨いなって」

男(同じお茶の葉なのに、俺が煎れるよりずっと旨い……)

許嫁「良かった……」ホッ

許嫁父「……おや、何時も飲んで無いのかい?」

許嫁「(……あ。もうっ、あんたが変な態度取るから怪しんでるじゃない!)」コソコソ

男「(あんな旨いお茶飲んだんだから仕方ないだろ!)」コソコソ

許嫁「(え……)」コソコソ

許嫁「あ、あの。普段はコーヒーだから……」

男「そうなんですよ! 俺、コーヒー党だからお茶は久し振りでっ」

許嫁父「そうか、そうか! しかし、こんな旨いお茶を毎日煎れて貰えるのにコーヒー党とは勿体ないな!」ハッハッハ

男・許嫁(ほっ……)

許嫁「そうだっ、今日は急にどうしたの、お父さん?」

許嫁父「仕事が早く切り上がったから、二人の様子でも見に来ようと思ってな」

男「だったら連絡してくだされば良いのに」

許嫁父「しかし連絡しても二人とは中々休みが合わないからなあ」

許嫁「そ、それもそうね」

許嫁父「しかし僕の心配も杞憂だったみたいで良かったよ」

男「心配?」

許嫁父「男君と同じ学校に編入させたから、人間関係や環境の変化で鬱ぎ込んでないか心配でね」

男「……」

許嫁父「でも、楽しそうにやってる二人の顔を見たら安心した」

男「……あ、あのっ」

許嫁「!?」

許嫁「お父さん! 今日はご飯食べて帰るっ?」

男「なっ」

許嫁「(ちょっと、何言おうとしたのよ!)」コソコソ

男「(これ以上騙すのは気の毒だよ!)」コソコソ

許嫁父「あー、すまん」

許嫁「え?」

許嫁父「仕事が早く切り上がったと言ったが、あれは嘘だ」

男「は?」

許嫁父「実は取引がまだ残っていて、運転手を下に待たせているんだ」

男「そうなんですか?」

許嫁父「と言う訳だから僕はもうお暇しよう」

許嫁父「男君。許嫁は少々気難しい帰来があるが、性根は良い娘だ。気長に付き合ってくれ」

男「は、はい」

許嫁父「ではな」

「達者でなー!」

バタン

男「……なんだろう、この脱力感」

許嫁「そうね……」

許嫁「ふふっ」

男「あ……」

許嫁「……っ。お茶碗片付けてくる」バッ

男「待って!」

許嫁「……」ピタッ

男「その……、昨日はごめん。もう部屋に戻ってると思ってて」

許嫁「もういい」

男「友と電話してたから、ドアの音とか気付かなくてさ……」

許嫁「――――! もういいって言ってるでしょッ!!」ダッ

男「あ、おい!」

ガチャ バタンッ

男「なんなんだよ、もう。訳分かんねえよ……」

―――――――――

男「――――と言う訳なんだよ」

友『キミは本当にバカだな』

男「ひでえ、それが傷心の人間に掛ける言葉か!?」

友『だってほんとの事じゃん』

男「謝っただけでキレられたんだぞ、訳分かんねえって」

友『とにかく、今すぐ謝ってきなさい。仲直り報告以外電話禁止ねっ!』

男「今すぐ!?」

友『当たり前でしょ!』

男「……ん、分かった」

友『じゃね!』プツッ

男「……俺の話、聞いてくれるかな」

コンコン

男「あの……入って良いかな」

許嫁『……勝手にすれば』

ガチャ

男「入るよ」

男(照明点けずにカーテン締め切ってる……)

男「……あのさ」

許嫁「なによ」

男「俺の言葉が足りなかったら謝る。だから、何が足りなかったかはっきり言ってくれないかな」

許嫁「……」

男「もう何言って良いのか、何やったら良いのか分かんないんだ」

許嫁「……だったら」

男「うん」

許嫁「何もしないで」

男「そんな!」

許嫁「親が決めた関係なのよ? 高校卒業して一段落ついたら、ちゃんとお父さんに話して関係解消させるわ」

許嫁「後はそれぞれちゃんと恋愛して、将来を決めましょう?」

男「なら、せめて友達になろう!」

許嫁「友達なんて嫌に決まってるでしょ!」

男「……っ」

許嫁「分かってよ……バカッ!」

男「……分かんねえよッ」

男「分かんねえから聞いてんだろ!」

男「あ……」

男「ごめん、許嫁さん」

男「俺、ちょっと頭冷やしてくる」ガチャ

バタン

許嫁「……」

許嫁「これで、良いんだよね……」

許嫁「これで……」グスッ

許嫁「う……、ううっ」

許嫁「やっぱり嫌、……嫌だよ……」

許嫁「嫌われたく無いよぉ……」グスッ

―――――――――

男「何も考えず外に出てしまったけどどうしよう……」

男「スーパーで弁当でも買って帰るか」トボトボ

委員長「……男君?」

男「あ、委員長……」

委員長「珍しいですね、こんな時間に会うなんて」

男「そうだね。委員長は塾帰り?」

委員長「はい。……あの、何かありました?」

男「え、なんで?」

委員長「何時もと様子が違ったので」

男「……何にもないよ」

委員長「嘘、ですね」

男「ははっ、委員長には嘘吐けないな」

委員長「私でよければ話を聞きますよ」

男「……ありがとう。実はさ――――」

男「――――と言う訳で家を飛び出して来ちゃって」

委員長「なるほど……」

男「俺もう、どうしたら良いか……」

委員長「あの、男君」

男「なに?」

委員長「許嫁さんは『友達になんかなりたくない』と言ったんですね?」

男「うん、確かそんな感じだったと思う」

委員長「それでも卒業までは関係を維持したい、と……」

委員長「はあ、男君は本当に残念な方ですね」

男「友に続いて委員長にまで呆れられた!?」

委員長「友さんにもって……」

委員長「……」

男「なにその憐憫に満ちた眼差し」

委員長「はあ……」

委員長「今日1日は気分が昂ぶって許嫁さんとの会話は無理だと思います」

男「だよなぁ」

委員長「明日、男君の家に伺って宜しいですか?」

男「えっ?」

委員長「少々考えがあります」

男「そうか、分かった」

委員長「それでは私はこれで」

男「遅いし送ろうか?」

委員長「すぐ近くだから気持ちだけ受け取っておきます」

委員長「……」ピッ

プルルルルル…… ガチャ
友『はいはーい、珍しいね委員長ちゃん』

委員長「友さん、少しお話が……」

友『は、はい。何でしょうか……』

―翌日―

友「許嫁さん、休み?」

男「うん。部屋に鍵掛けて、一歩も出て来ないんだ……」

友「なに地雷踏んでるのさっ!」

男「もう泥沼」ハァ

委員長「おはようございます」

男「あ、おはよ……」

委員長「どうしました?」

男「い、いや、別に……」ドキドキドキ

友「珍しー、委員長化粧してるんだ。何かあったの?」

委員長「ただの気分転換ですよ。さあ、行きましょう?」

男「あっと言う間に昼休みな訳で」

友「今日はどうする?」

男「……」

友「男?」

男「あ、ごめん」

男「……あー、何か頭痛いから早退するわー。つー訳だから友、先生に適当に伝えといて!」ダッ

友「あ、男っ」

友「ったく、頭痛い奴が走れる訳無いじゃん……」

―男宅―

バタン

男「ただいま……」

『――――ごめんなさい』

男「許嫁さんの声……?」

男「リビングから……」

ガチャ

許嫁「……おかえりなさい」

男「う、うん。ただいま」

男「えっと……、電話してた?」

許嫁「うん」

男「誰と……?」

許嫁「それは……」

許嫁「そうだ、それより……」

男「え、な、なぁ誰と電話してたんだよ!」

許嫁「聞いて」

男「……っ」

許嫁「男君、私達付き合ってる訳でも無いのに変だけど……」

男「……」

許嫁「別れましょう」

男「え……」

男「でも父さん達はどう説得するんだよ!」

許嫁「もう説得済みよ」

許嫁「私には別に好きな人がいて、男君とは一緒になれないと」

許嫁「お父さんは、分かったとだけ言って電話を切ったわ」

男「本当……なのか?」

許嫁「本当って?」

男「どっちもだよ! 父さん達を説得した事も、別に好きな人が居るって事も!」

許嫁「……本当よ。全部、何もかも本当」

男「……そっか」

許嫁「分かってくれた?」

男「ああ。今までごめんな。好きな奴いるのに、俺なんかと一緒にさせられてさ」

男「でも良かったよ、これで許嫁さんは自由になれる」

許嫁「最低でしょ? あんたと婚約しておきながら、私は別の男に夢中だったのよ……」

男「仕方ないよ。好きでも無い奴と一緒住まわされている事の方がよっぽと辛い」

許嫁「なんで……」

男「ん?」

許嫁「なんでそんなに冷静なの!?」

許嫁「私は自分勝手で最低な事をしたのよ!」

許嫁「私を軽蔑しなさいよ!」

許嫁「私を嫌いなさいよ!」

許嫁「嫌いに……、なりなさいよ……っ」

「確かに最低ですね」

ガチャ

許嫁「……」

男「委員長……」

委員長「すいません。大きな声が聞こえたので、勝手ながら上がらせていただきました」

委員長「私が言うのも何ですが、鍵、掛け忘れはいけませんよ」

男「ご、ごめん……」

委員長「まあ良いでしょう。おかげで、とても良い話を聞けましたから」

委員長「許嫁さん……」

許嫁「な、なによ……」

委員長「先ほどの話は全て本当なんですね?」

許嫁「……聞いてたんでしょ? 本当って何度も言ってるわ」

委員長「そう。なら、もう貴女に遠慮する必要は無いのですね」クスッ

許嫁「遠慮って……」

委員長「男さん、ずっとお慕いしておりました。私とお付き合いしていただけませんか?」

男「は?」

許嫁「――――っ」

委員長「言葉の通りです」
男「お、俺と……?」

委員長「はい」

男「でも……」

委員長「婚約は破棄され、許嫁さんには想い人が居る。なにも躊躇う必要はありません」

委員長「それとも、私はお気に召しませんか?」

男「そそそそんな事無い! むしろ光栄くらいだよっ!」

許嫁「!?」

男「だけど……」

委員長「私なら直ぐにでも全てを捧げられます」

委員長「貴方が望む事全てを」

男「全てって」

許嫁「…………」

委員長「……どうしました、許嫁さん」

許嫁「別に……」

委員長「もう、男さんと貴女に接点は無いですよね?」

許嫁「そうよ」

委員長「なら、気を利かせていただけませんか」

委員長「私は男君に全てを捧げると言いました」

委員長「男君は私の交際の申し込みを光栄と言ってくれました」

委員長「もう、言わなくても分かりますよね?」

許嫁「……っ」グスッ

男「い、委員長っ!」

許嫁「やだ……」

許嫁「やっぱりやだよ……」グスッ

許嫁「あんたが他の誰かと一緒になるなんてやだよぉ……」ボロボロ

男「許嫁?」

委員長「……勝手、ですね」

委員長「自分から裏切って、何を今更」

許嫁「だって、だってぇ」ボロボロ

委員長「……はあ」

委員長「ちゃんと、男君に説明して下さいね」

男「え、なにが?」

委員長「男君、ちゃんと許嫁さんの話を聞いてあげて下さいね」

委員長「それでは、私はお暇させていただきます」スッ

男「え、でも」

委員長「ああ、言い忘れてましたが、あの告白全部嘘ですから」

許嫁「!?」

男「う、嘘?」

委員長「そう、嘘です」

許嫁「ほんとに……?」

委員長「私が嘘を吐くとでも?」

許嫁「……?」

委員長「では、また明日」スタスタ

男「う、うん……」

―玄関―

友「おつかれー」

委員長「まったく、とんだ道化ですね」

友「でも嘘なんでしょ?」

委員長「そうですよ」

委員長(嘘の嘘は――――)

委員長「……さて、優等生で通していた私をさぼらせたんです。相応の見返りを希望しても良いですよね?」

友「……おっけ、どこでも付き合うよ」

ねむい

―リビング―

男「落ち着いた?」

許嫁「……うん」ヒック ヒック

男「何でも良いから、俺でも分かる様に話てくれないかな」

許嫁「うん……話す」グスッ

許嫁「あのね……、男以外に好きな人居るって話、嘘なんだ……」

男「嘘?」

許嫁「そう、嘘」

男「なんでそんな……」

許嫁「男に嫌われたかったから……」

男「俺に?」

許嫁「男が私を嫌ったら、男が傷付かずに私以外の人と付き合えるから……」

男「ええっ!?」

許嫁「だって……しょうがないじゃない!」

許嫁「私は委員長さんみたいに美人でも積極的でも無いっ!」

許嫁「友さんみたいに可愛く無いし、明るくも無い!っ」

許嫁「私みたいに地味で……暗い奴が……あの二人に適うはず無いじゃん……」

許嫁「だったら始めから嫌われていた方が良いよ……半端に夢みる方がずっと辛いんだから……」グスッ

許嫁「それなのにあんたは人の気も知らないで私に優しくして……っ」

男「ち、ちょっと待ってくれ!」

許嫁「なによ!」

男「さっき、俺以外に好きな人が居る――って言い方したよな?」

許嫁「だったらなによ……」

許嫁「……」

許嫁「――――っ!!!!!!」

許嫁「や、違う! ウソ、それもウソ!!」ワタワタ

男「俺はずっと、許嫁さんに嫌われてると思ったんだ」

許嫁「――っ! そんな事無い! ずっと、ずっと前から大好きだったんだからッ!!」

男「……」

許嫁「あ、あ…………っ」

許嫁「やあ……、はうぅ…………」カアッ

男「そっか……」

男「確かに俺はバカだな。前提からしてズレてるんだから」

最高のタイミングで追いつけたぜ

男「俺は許嫁さんが好きでも無い相手と婚約させられて、同棲まで強要されてるって思ってた」

男「だからせめて俺は一緒に居て苦痛にならない相手になろうとしていた」

男「でも根本的にズレてたんだな」

許嫁「……うん」

男「お互い、一緒に暮らしてたのにね」

許嫁「……ほんとだよ」

男「だったら俺もはっきりさせないとな」

許嫁「何を?」

男「……友は悪友で委員長は姉さんみたいに思ってるって事」

許嫁「え?」

男「二人を恋愛対象として見てないって事だよっ」

許嫁「そう……だったの?」

男「そりゃさっきみたいな告白のされ方だと気持ちが揺らぐけど……」

許嫁「う……」グスッ

男「あああああっ!! 揺らがない! 全っ然、揺らがないッ!」

許嫁「ほんと?」

男「ああ、本当だ!」

許嫁「だったら……」

許嫁「だったら私は……?」

男「……」

許嫁「私も、そういうのに見られない、かな……」

男「……さっきさ」

許嫁「うん」

男「許嫁が別に好きな奴が居るって聞いた時、実は凄い動転してたんだ」

男「バカみたいに無理やり冷静装ってさ」

男「でも腹の中は握り潰されるみたいに痛くて、鼓動が早くなって……」

許嫁「その……、ごめんなさい……」

男「ううん、その時はっきり分かったんだ。俺……」

男「俺…お前のこと好きなんだな」

俺「男…///」

男「俺、許嫁さんが好きだ」

許嫁「……っ」

男「嫌われてると思い込んで見ないふりしてたけど……許嫁さんが好きだって、はっきり分かった」

許嫁「わ、私も……」

男「婚約破棄された直後に言うのも格好わるいけど」

男「俺と……」

男「俺と、結婚を前提に付き合ってくれませんか?」

許嫁「――――っ」

許嫁「こんな私で良かったら、喜んで――――」

友は男の娘で頼む

―クリスマスイブ―

友「おっそーい!」

男「ごめん、服選んでたら遅れちゃって!」

委員長「ふふっ、一体誰の服でしょうね」

友「妬けるわー、まじ妬けるわー」

男「お前らな……」

許嫁「なんか凄い出て来にくいんだけど」

友「おーっ、許嫁さん良い感じじゃん!」

委員長「素敵ですよ、許嫁さん」

許嫁「あ……ありがとう」

男「なかなかの見立てだろ? で、今日はどうするんだ?」

友「夜通し遊ぶに決まってんじゃんっ!」

委員長「そうです。性夜になどさせませんよ?」

3P!3P!

男「夜通しって……どこでだよ。学生だぞ?」

委員長「ちょうど良い場所があるんですよ」

友「うん。ちょうど良い場所がねー」

委員長「前に拝見した時、十分な広さだと思いまして」

男「あの、そこって……」

友「ケーキはボクと委員長で買うから、場所宜しくねっ」

男「あー、やっぱり」チラッ

許嫁「仕方ないよ」クスッ

男「仕方ない、か」

許嫁「ね、男!」ツンツン

男「ん?」

許嫁「来年は二人きりのクリスマスにしようね!」ニコッ

男「……もちろんっ!」





友「ケーキ、ケーキっ!」

委員長「飲み物、どうしましょうか……」




おわる

終わらせん

だらだら更新にお付き合いいただきありがとうございました
さすがにからだがやばいので寝ます
あとわたしはマスターではなく、ただの委員長スキーです

ではおやすみなさい

男「ええ!?俺に許嫁!?」
男「許嫁、よろしく」 許嫁「…ふんっ」
許嫁「うわっ、汚い部屋…」
許嫁「あらあら、随分お寝坊さんなのね」

あと何かあったっけ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月18日 (月) 13:10:18   ID: FBt_0-NP

何これ?
全然話の筋が通って無いんだけど...。
結局、何をしたかったの?

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