キョン「メリークリスマス」(253)

古泉「イブですけど」

キョン「細かい事は気にするな」

古泉「これは失敬」

キョン「まあ良い。とにかく作戦開始だ」

古泉「その作戦とやらを全く聞かされていないのですが……」

キョン「今から説明する。長門」

長門 「……」

古泉「居たんですか」

長門「」コクリ

キョン「長門にはサンタ役をやってもらう」

長門「了解した」

古泉「サンタ役?コスプレですか?」

キョン「それは朝比奈サンタがいらっしゃるだろうが」

古泉「コスプレではない?となると……」

キョン「本物のサンタだ」

キョン「俺達三人以外の皆に、それぞれプレゼントを渡して行く」

古泉「欲しい物は長門さんが把握しているのですか?」

長門「そう」

キョン「ながえもんは優秀だからな」

キョン「俺と古泉は長門に着いて行くだけだ」

古泉「……貴方は計画者ですのでまだしも、僕が来る必要は無かったのでは?」

キョン「……寂しいからな」

古泉「本音は……?」

キョン「なんかお前にプレゼントはやりたくないからな」

古泉「ああ、はい。なるほど。なるほどですね」

キョン「なんかお前に喜ばれても……ねえ?」

古泉「はい、わかりましたって」

長門「……ドンマイ」

古泉「お気になさらず。慣れたものですから」

キョン「で、だ」

キョン「長門、プレゼントを作りだせるか?」

長門「……推奨しない」

長門「この世界に微小ではあるが変化を残してしまう」

キョン「どれくらいの変化だ?」

長門「微小な変化」

キョン「良いじゃん、やっちまえ」

長門「了解」

古泉(ダメだろ普通)

キョン「古泉、何か言いたそうだな」

古泉「いえ、別に」

キョン「ごめんな、長門」

長門「いい。任せて」

キョン「じゃあ早速一人目の家に忍び込むぞ」

古泉「どなたですか?」

長門「朝比奈みくる」

古泉「……確かに、彼女はもう寝ていそうですね」

長門「そう。恐らく最も就寝時間が遅いのは涼宮ハルヒ」

長門「彼女以外を周って行く」

___朝比奈宅

キョン「長門、頼む」

長門「既に不可視フィールド、遮音フィルムを展開した」

古泉「さすがながえもんですね」

キョン「よし、じゃあ行くか」

長門「……」コク

みくる「……」

キョン(これが朝比奈さんの無防備な寝顔。たまらんですよ)

古泉「彼女が望む物とは?」

長門「……貴方達は聞かない方が良い」

長門「彼女にとっても、知られたくないもの」

キョン「ん?そんなにか?」サッ

長門「絶対に知られたくないはず」

古泉(しれっとパンツを盗みやがった)

キョン「もしそれを俺達が聞いたと知ったら?」

長門「不登校になってもおかしくない」

キョン「そうか……まあ言わないからさ、教えてくれよ」

長門「……若さ」

キョン「……ん?」

古泉「はい?」

長門「彼女の姿は仮初の物。貴方達には美しく見えているが真実の容姿は醜悪」

キョン「すまん、今日はエイプリルフールじゃなくてクリスマスなんだが」

古泉「……まさか未来はそこまで……」

長門「彼女は86歳。特殊な技術を以て、貴方達に若い頃の姿を見せている」

長門「因みに、彼女が私を苦手としている理由はそこにある」

古泉「あなたには彼女の真の姿が見えるから、ですか?」

長門「そう」

キョン「……」パサ

古泉(しれっとパンツ捨てやがった)

長門「……プレゼントする」ゴニョゴニョ

朝比奈「……」ビクッ

長門「完了」

古泉「仕事がお早いですね」

長門「これで朝比奈みくるは17歳相当の身体を手に入れた。もう虚構に囚われる必要はない」


キョン「ピチピチか?」

長門「そう。ピチピチ」

キョン「そうか良かった。じゃあ行くか」サッ

古泉(また盗んだ。二度手間じゃないですか)

キョン「朝比奈さん……メリークリスマス」

長門「メリークリス」

古泉「失礼しました」

古泉「お次はどなたですか?」

キョン「鶴屋さんだろう」

長門「そう」

古泉「おや、また興味深い方ですね」

キョン「結構謎な人だからな、俺も気になる」

長門「それ程変わったものを望んではいない」

キョン「そうなのか……いや、長門の普通がわからんが」

古泉「確かにでは、このまま期待しておきましょう」

長門「……お邪魔します」

キョン「言う意味あんのか?これ」

古泉「一応、礼儀として。お邪魔します」

鶴屋「ん~……ひひひ」

キョン「寝てても笑ってるんだな」

キョン「よし、長門。鶴屋さんの望む物は?」キョロキョロ

古泉(一体何を探して居るんですかね)

長門「彼女は、一般的な家族を望んでいる」

キョン「一般的な……家族?」サッ

古泉(うわっよりによってヘアゴムを……なんか本物ですねこの方は)

長門「彼女は、自身の家柄に不満を抱いている」

長門「両親は共に厳しく、自由恋愛さえ認めて居ない」

長門「いずれ、どこの誰かわからない御曹司とお見合いで、結婚させられる事が目に見えている」

キョン「それは……辛いな」

長門「食事の時も、習い事でも、明るくお喋りする事さえ許されない」

長門「両親の前では常に凛としていなければならない生活」

古泉「……」

長門「だから、彼女は笑う。必要以上に笑う」

長門「笑うと、楽しいから。両親の、自分本位の冷たい愛情と、その行き着く先を一時でも忘れられるから」

キョン「鶴屋さん……」

古泉「辛い思いを、されたのですね」

長門「だから、普通の家族を望んでいる。普通の、明るい家庭を」

キョン「……」

古泉「しかし家庭ごと変えるのは……」

長門「心配無い。両親の性格を少し変えるだけ」

古泉「大丈夫なんですか?」

長門「……彼女の願望を叶える為にはそれが最善」

キョン「まあ、大丈夫だろ」

長門「……改変を行う」ゴニョゴニョ

長門「終わった。明日の朝食時には変化に気付くはず」

古泉「んふっ。それは良い変化ですか?」

長門「とても」

キョン「そりゃ良かった。俺も嬉しいぜ」

長門「……お休みなさい」

古泉「お邪魔しました」

キョン「クリパ、今年も誘いますよ」

古泉「さて、お次は?」

長門「……」

キョン「ん?……何だじっと見て?まさか俺か?」

長門「貴方の妹」

古泉「それはそれは、楽しみです。是非とも可愛らしいお願いであって欲しいですね」

キョン「……変なもんじゃないよな?」

長門「恐らく一般的ではない」

キョン「えぇ……」

古泉「僕達が知っても問題ない物ですか?」

長門「大丈夫」

キョン「ならまあ……心配無いか」

古泉「少しくらいは心の準備をして置いた方が良いかもしれませんよ?」

キョン「わかったわかった。不安を煽るな」

キョン「……ただいま」

古泉「お邪魔します」

長門「おなじく」

キョン妹「スー…スー…」

キョン「……で、こいつは何が欲しいんだ?」

古泉「気になりますね」

長門「「天龍」 業務用 最高級鋏 超合金コバルト鋼 190mm」

キョン「……ん?」

古泉「何ですって?」

長門「「天龍」 業務用 最高級鋏 超合金コバルト鋼 190mm」

キョン「haha」

古泉「何故ハサミを……」

長門「貴方の妹は鋏の魔力に魅入られている」

長門「より頑丈で、より軽く、より切れる鋏を追い求めている」

キョン「……あいつ一日一回は必ず俺の部屋にハサミ借りにきてたわ」

古泉「一体何をしていたんでしょうね」

長門「恐らく、研磨していたはず」

キョン「……プレゼントしてやるのは良いが、危ないから人や生き物に傷をつけられないようにしてくれ」

長門「了解……合成する」ギャルルルルル

長門「……完成」チャキ

古泉「将来は美容師ですね」

キョン「そんなもんなら良いがな」

長門「現在は、眺めるだけで満足しているレベル」

長門「これから先はわからない」

キョン「……心配だ」

古泉「とりあえず、出ましょうか」

長門「」コク

キョン「おやすみ」

古泉「お休みなさい、未来の切り裂きジャック」

長門「ジャックお休み」

キョン「お前らやめろやマジでやめろ」

キョン「ハァ……次は誰だ?」

長門「次は……っ!?」

キョン「どうした?」

古泉「?」

長門「……統合思念体から怒られた」

キョン「じゃあ、もう周れないじゃないか」

長門「大丈夫、次の人物と涼宮ハルヒの願望は同じ」

キョン「ん?情報改変は使わなくても大丈夫なのか?」

長門「心配ない」

キョン「そうか……なら良いが。で、ハルヒと誰なんだ」

長門「貴方の旧友」

古泉「んっふ」

キョン「……佐々木か」

長門「そう」

キョン「そうか……にしても情報操作も必要ないものとは、二人とも見かけによらず手間がかからないな」

古泉「それが何なのか聞くまでは、まだわかりませんよ」

長門「……」

キョン「それもそうか」

長門「……」

キョン「……ん?」

キョン「どうした、そんなに言いにくいもんなのか」

古泉「長門さん、何か不都合が?」

長門「彼女達が欲しいのは貴方」

キョン「な?!」

古泉「ぼ、僕ですか……」

長門「違う。古泉一樹は黙って」

キョン「俺を??あいつらが?欲しい?」

長門「そう」

古泉「僕は必要とされていますか?」

長門「ポケットティッシュの次に」

古泉「なかなか上位ですね」

長門「古泉一樹は黙って」

古泉「はい」

古泉(しかしこれは困りましたね……僕としては涼宮さんに彼を贈りたいですが……)

キョン「そうか……」

古泉(いや、要らぬ心配でしょう。彼と涼宮さんの絆は何より深い。きっと涼宮さんを選ぶ筈です)

キョン「そんなの、回答は決まってるだろうが」

古泉(ほら、ね)

キョン「両方は無理か?頼む……長門頼むから……!!」




古泉「エッフェッwwww」

キョン「何だ古泉。気持ち悪い声出しやがって」

長門「両方は無理」

キョン「どうしてもか?」

長門「どうしても」

キョン「そうか……」

古泉「でも選ぶならどっちかと言うと涼宮さんですよね?」

キョン「いや……うーん……」

古泉(まさか……僕を……?)ドキドキ

長門(それはない)

古泉(んっふ……困ったものです)

キョン「決めた!!>>80だ!!」

古泉

キョン「決めた!!古泉だ!!」

古泉「えっ!?!?」

長門「エラーエラーエラーエラーエラーエラー」

古泉「いや、ちょ、待ってください!!」

キョン「……ダメか?」

古泉「お気持ちは嬉しいですが……嬉しいですが……」

キョン「冷たくしたもんな……すまん」

古泉「いえ……」キュン

キュン「なあ、本当にダメか?」

古泉「いやあ……是h 長門「古泉一樹を敵性t」

古泉「無理です。マジでやめて下さい」

キョン「そんな……古泉……」

古泉「無理です」ギリギリ

長門(歯茎から夥しい出血。……耐えろいっちゃん)

キョン「そ、そうか……わかった」

長門「選んで」

キョン「悪い、おふざけが過ぎたな」

古泉(おふざけ?!)

長門「古泉一樹が血の涙を流している。死亡する前に相手を聞かせてあげて欲しい」

キョン「そうだな……俺は……>>95を選ぶよ」

国木田

キョン「そうだな……俺は……国木田を選ぶよ」

国木田「え?僕かい?」

キョン「ああ……ダメか?」

国木田「そ、そんなこと……」

キョン「俺をお前にプレゼントさせてくれよ」

国木田「キョン……///」


俺達は、クリスマスの夜に結ばれた。
風を切って、軽く早く、手を繋いで街を駆ける。
雪の結晶はイルミネーションの輝きにあてられて、真冬の蛍達が踊っている。
クリスマスキャロルが流れる街を、俺たちは夢中で駆け抜けた。
何処に行くかもわからぬまま。

___fin

あれ、ID変わってた

とりあえずメリークリスマス
友達も彼女も居ないので暇つぶしにたてた
鶴屋さんが一番好きです

おk
暇だし書き直します
良ければ付き合ってくれ

>>77からやるけど…どっちか決められないからやっぱり安価で
安価が二人以外の名前だったら俺がハルヒ佐々木どっちか選んで書くね

キョン「いや……うーん……」

古泉(まさか……僕を……?)ドキドキ

長門(それはない)

古泉(んっふ……困ったものです)

キョン「決めた!!>>120だ!!」

キョン妹

キョン「決めた!!佐々木だ!!」

古泉(……)

長門「……了解した」

キョン「古泉、長門……すまん」

古泉「……いえ、構いませんよ。……機関としてでは無く友人として、貴方を応援します」

長門「私の役目は涼宮ハルヒの観察。何も気にする必要は無い」

古泉「ですが、一つだけお願いがあります」

キョン「何だ?」

古泉「涼宮さんには、内密に」

キョン「逆に俺がお願いしたいくらいだ」

古泉「んっふ……お任せ下さい」

長門「私も協力する」

キョン「ありがとう。頼んだぜ」

古泉「ええ、それでは……行ってらっしゃい」

長門「頑張って」

キョン「おう、じゃあ行ってくる」

____

古泉「良かったんですかね、あれで」

長門「彼は鍵」

古泉「……ええ」

長門「鍵が彼女を選んだのなら、それで」

古泉「……実は僕の股間にも鍵が付いているのですが、これを使えば長門さんの心の扉を開けますか?」

長門「今貴方が開いたのは棺桶の扉。今すぐ戒名の用意を」

古泉「んっふ……清らな身体のまま死すのも、悪く無いですね」

佐々木「……何でクリスマスなんてイベントができたのかな……」

佐々木「そもそも日本は祝わなくても良いのに……クリスマスに踊らされるカップルが理解できないな」

佐々木「お父さん達も私を置いて旅行とか行っちゃうしさ……見栄張って彼氏居るなんて言わなきゃよかった……ん?」

着信:キョン

佐々木「コホン…ン"ン"!!!」

ピッ

佐々木「こんな時間にどうしたんだい?連絡をくれるのは嬉しいが、今度からは一度時計を見てから電話を掛けるか掛けないか判断する事をお勧めするよ」

キョン「佐々木、カーテン開けて下を見てくれ」

佐々木「今日は僕が偶々夜更かしをして居たからまだしm……ん?……下?」シャッ

キョン「おっす」

佐々木「ちょ、ちょ、待っててくれ!直ぐに降りるから!」ピッ

ガチャ

佐々木「キョン!どうしたんだい急に!?」

キョン「すまん、ちょっとお前n」

佐々木「あ、いや、とにかく上がるんだ!寒いだろう!ココアとミロどっちがいい?!」

キョン「いや……どっちでも構わんが……」

佐々木「じゃあミロにしよう!キョンは成長期だからな、ミロが最適だ。まあ、その、あがってくれ。ほら雪が髪に付いてる、払ってあげるよ……今日はホワイトクリスマスだったんだね」

キョン「ああ、じゃあミロを貰うかな……」

佐々木「……はい、どうぞ」コト

キョン「ありがとう」

佐々木「いや、それにしても急だね。今日は偶然居ないから良かったけど……両親ご居たらどうするつもりだったんだい?」

キョン「あー……考えてなかったな」

佐々木「もう、駄目じゃないかキョン。僕が一人暮らしならともかく、実家なんだからある程度は気を遣ってくれよ」

キョン「一人暮らしなら気を遣わずいつでも行って良いのか?」

佐々木「そっそれは、その……そうだな、連絡さえくれればわた、コホン。僕は良いけどさ」

キョン「そうか……ありがとう。俺が一人暮らしだったら毎日でも来て良いぜ」

佐々木「なんっ、毎n……そうかい。確かにキョンが一人暮らしなんてしたら料理なんて碌にしなさそうだからね。僕が作ってあげよう」

キョン「ははっまるで嫁みたいだな」

佐々木「か、からかうのは止めてくれ!……それで、結局うちに来た理由は何なんだい?」

キョン「佐々木、今日はクリスマスだろ?」

佐々木「そうだね、つい一時間前から」

キョン「だからプレゼントを渡しに来たんだ」

佐々木「本当かい?!それは嬉しいな。親族以外にクリスマスプレゼントを貰うなんて始めてだよ!」

佐々木「そうならもっと早くに言って欲しかったな。そうすれば僕もプレゼントを用意できたのに」

キョン「まあ、そのプレゼントなんだけどな」

佐々木「うん?」

キョン「俺を、佐々木にやるよ」

佐々木「……すまない、日本語がおかしくないか?」

キョン「いや、おかしくないさ。佐々木に俺をやる」

佐々木「……キョンが僕のものになるってことかい?」

キョン「ああ、一生大事にしてくれよ」

佐々木「ミ、ミロをついでくるよ!!」

キョン「佐々木、待ってくれ」

佐々木「……何だい?キョン」

キョン「俺にもプレゼントくれよ」

佐々木「だ、だから用意してないんだって!」

キョン「お前をくれ」

佐々木「……は?」

キョン「俺は佐々木が欲しい。一生大事にするから、佐々木をくれよ」

佐々木「……キョン……」

キョン「……駄目か?」

佐々木「……」

キョン「……」

佐々木「……うん、僕をあげるよ」

キョン「佐々木……」

佐々木「だから、キョンを貰うね」

キョン「ああ、プレゼント交換だな」

佐々木「ふふっ……凄いサプライズだよ……」

キョン「喜んでくれたか?」

佐々木「うん、最高にね」

キョン「うおっ、急に抱きついてくるなよ」

佐々木「……駄目かい?」

キョン「……いや、嬉しいぜ」

佐々木「ふふっ」

佐々木(……ん?)

キョン「佐々木、これからよろしくな」

佐々木「あ、ああ、そうだね」

佐々木(……キョンのポケットから何か切れ端みたいなのが……)

佐々木「えいっ」サッ

キョン「ん?……あ」

佐々木「キョン……この女性用下着は誰のかな?」

キョン「あの……いや……その……」

佐々木「……君って奴は!!!」

____

キョン「やっとわかってくれたか」

佐々木「ああ……ごめん、まさか妹君の悪戯だったとはね」

キョン「俺も驚いたよ……」

キョン「全く、こんな悪戯するような妹に育てた覚えは無いんだがな」

佐々木「僕が説教してあげよう。同じ女性の方がこういった事は注意し易いからね」

キョン「ん?あ、いや、大丈夫だ。やっぱり兄である俺が説教するのが一番だからな」

佐々木「ん……?何か……不都合でもあるのかい……?」

キョン「な、ないです……」

佐々木「じゃあ決まりだね。今度妹君と会う日を楽しみにしているよ」

キョン「ああ、た、頼んだぜ、本当に」


彼が佐々木女史に頭が上がらなくなるのはもう少し後の話である。
彼の腫れた頬を見た時程、一人身で良かったと思えた事はありませんでした。
僕は所詮ポケットティッシュあたりの存在価値ですので、一人身以外になり得る訳は無いのですが。
では、独り言もこの辺りで。
巨人に赤玉をぶつける仕事に戻ります。

股間のキーブレードマスターより。

fin

お付き合いありがとう!
驚愕の佐々木が異常に可愛かったから佐々木でいってみました
でもやっぱ鶴屋さんが一番好きかな

>>202
俺も鶴屋さんすきなんだよ
だから後日談を!!
未来人のババァとかいらんのでせめて鶴屋さんを……

>>203
暇だし書こうかな…
待ってて下ちい

「ほら、起きなさい。ご飯出来てるわよ」

聞き慣れた声が、あたしの耳を擽る。
そこに途轍もない違和感を感じたあたしは、跳ねる様に飛び起きた。

「お、お母様?!」

「何よ……悪い夢でも見たの?顔洗って、早くご飯食べなさい」

「は……はい……」
感じた大きな違和感は2つ。
一つ目。いつもお母様は丁寧語でしか話さない。

二つ目。起こしに来るのはお手伝いさん以外にあり得ない。お母様は絶対に起こしになんて来る筈が無い。

「……寝惚けてたんかな」

顔を洗いながら、一人呟く。
少し疲れているんだろう。
昨日の稽古で熱中し過ぎて、長引いたのが祟ったのかな。

顔を拭いて食卓まで行くと、あたしは目の前で何が起きて居るのか、認識する事に手間取って居た。

お母様が料理を運んで、お父様に小言を言いながら珈琲を淹れている。

「ほら、あんたも突っ立ってないで早くご飯食べな!遅刻するよ!」

「……は、はい!」
動揺しながらも正座して直ぐに料理に手をつける。
とにかく早く食べて、学校に行こう。
ちょっとこの状況は処理しきれそうにない。

「こらこら、遅刻しそうだって言うのに、そんなちまちま食べる奴が居るか。今日はお父さん送ってやれないからな?」

「え、は、はい……お父様」
あたしの言葉を聞いた途端、お父様は珈琲を噴き出し、腹を抱えて笑っている。

「おいっ……聞いたか母さん!お父様だってよ!」
「あんたどうしちゃったの本当に?まだ寝惚けてんの?」

ああ、これは壮大なドッキリなんだろうか。

「……行って来ます」
行儀なんて気にせず料理を掻き込んで、着替えて鞄を持つ。

「おう!気をつけるんだぞ」
「お弁当入れてるからね」
行儀の悪さを怒られ無かった。
お母様がお弁当なんて作ってくれている。
やはりおかしい。
頭の中を疑問符で一杯にしながら、あたしは学校へと向かった。

暫く坂を登ると、見慣れた顔を見つけた。
走って駆け寄って、背中を叩く。
「いよっす!キョン君!」

「あ、鶴屋さん。おはよっす」
会って早速、あたしは今朝の出来事を話始めた。

「なんかさあ、うちの両親がおかしいんだよね。
いや別に頭がとかじゃないよ?そこは勘違いしちゃダメっさ!
ああでも強ち間違いでも……?うーん、まっとりあえず性格からなんから変わり過ぎてわけわかんないんだよ!」

「どんな風に変わったんですか?」

「うーん……とにかく色々変わってんの!
口調とかさあ、普段しないはずの事したりさ!」

「今日のクリパの事は言ってるんですか?」

「いや……言ってないよ。言ったら絶対怒られるからさ。適当に言い訳してるっさ」
言ってたら家を出して貰えない。
そんな暇があるならなんたらかんたら~ってね。

「ははっ……多分怒られなかったと思いますよ。寧ろ明るく送り出してくれたりして」

「そんなのあり得ないよ!カンッカンに怒ってさー顔真っ赤にしながら……怒鳴られ……るかな?」

「いやあ……俺に聞かれても」
キョン君は困った様に笑う。
でも実際に、よくわかんなくなったからしょうがない。

「でもでも、なんかちょい……優しかったんだよね……」

「優しい?と言うと」

「なんかさあ、あったかかったんさ!普通の家族みたいな……」
そこまで言ってはっとする。
これじゃまるであたしの家族が普通じゃないみたいじゃんか。

「もう良くわかんないやっ!やめやめ!そんな事よりとりあえずあたしはクリパを楽しむっさ!」

「鶴屋さん」
キョン君があたしをじっと見つめる。
ちょっとドキっとしたけど、顔には出さない。

「何かなっ?」

「この際思いっきり甘えてみるのはどうです?」

甘える……か……。
どうやって?
どういう風に?

「まあ甘えるっていうか……例えば今日帰ったら、クリパの事言ってみるとか。
うちもクリパしたいよーって言ってみるとか」

「……うん……そっかあ……そういうのか……」
そうえばおねだりとか、した事がない。
学校での話もあんましした事無いなあ。

「なんか勝手な事言っちゃって、すんません」

「……なーに、構わんよ!」

バシっとキョン君の背中を叩くと、またキョン君は困った様に笑う。

「もう皆着いてますかね?」
話をして居たらあっという間に文芸部室部室の前。
なんだか良い匂いがするから、ハルにゃんが居る事は確定だね。

「ちょっと遅れちゃったからね。皆いるんじゃないかなっ?」

「ハルヒは居るみたいですね……また罰金云々言われそうだ」

「にゃはは!キョン君は絶対言われるね!お気の毒っさ!」

「助けて下さいよ……ほんと」

「んじゃ、行きますか」
がちゃり。と扉を開けると、出汁の良い匂いが鼻腔を撫でる。
あたし達以外は勢ぞろいだった。

「遅い!!キョンは罰金!!」

「俺だけかよ!!」

「鶴ちゃんは何か事情があったんでしょうけど、あんたは寝坊でしょ?」

「な、何だと?!その通りだ!!」

二人が何時もの夫婦漫才を始める。
いつ見ても飽きない。

「やあ、どうも」

「お早うございます!」

「……」

「皆おはよっ!みくる~何だかご機嫌だね?良い事あったん?」

「えっ……いや~なにもないですよぉ」
うーん、明らかにいつもよりご機嫌なんだけどなあ。
ま、いっか。

その後はハルにゃんが昨日サンタを捕獲しようと徹夜してたとか、キョン君の妹ちゃんが将来美容師を目指してるだとか。
そんな話を聞きながら皆で鍋を突っついた。

「はぁ~お腹いっぱい!お粗末さま!さあちゃちゃっと片付けて街に繰り出すわよ!」

「おい、街に繰り出して何するんだよ」

「何ってサンタを捕獲しに行くのよ」

「オーケイ。気をつけて行ってらっしゃい」

「あっと……そういえばお弁当……」
お母様から渡されたお弁当。
悪くなる前に食べなきゃ。

「ハルにゃん、ちょい待って!」

「ん?どしたの?」

「今日お母さんからお弁当貰っててさ、それ食べてからでもいいかなっ?」

「もちいいわよ!存分に味わってね!」

「何でさもお前が作ったような言い方してんだよ」

「あんがとっ!すぐ食べるからさっ」
ピンク色のお弁当箱。
初めて見る、お母様が作ったお弁当。
蓋を開けると、あたしが好きな食べ物ばっかりだった。


「なんか……変な感じっさ」
見ただけで、ちょっと鼻がつんとする。
ずっと、隠してただけで。
ずっと、言わなかっただけで。
「お弁当作って」の一言が言えなかった。
冷たい目で「お手伝いさんに頼みなさい」って言われるのがわかってたから。

なんで急に作ってくれたんだろう。
それだけじゃない。
起こしに来てくれたし、丁寧語は使わなかったし、ご飯を食べながらお話して。

お父様も見送ってくれたし……あんなに笑った顔なんて初めて見たね。

一つ一つ、味わって食べる。
今日は帰ったら今日の事、話してみよっかな。

ついでにパーティーもおねだりしてみよう。
もしこれが、ドッキリだったら怖いけど。

食べ終わると、皆で街に出かける。
結局サンタは見つからなかったけど、ハルにゃんは満足気だった。

「疲れたわね……そろそろ帰る?皆うちでなんかあるでしょうし」

「まあそうだな。これ以上制服でうろつくのも難だし」

「それでは、決定で」

「あたしもそろそろ門限だったし丁度いいっさ!」
ハルにゃんは何度か頷くと

「じゃ、今日は解散!各自サンタを見つけたらあたしにすぐに連絡すること!良いわね?」
と言って帰って行った。

帰り道、おねだりのセリフを考える。
「クリスマスだし、パーティとかしないの?」
うーん、やっぱし敬語使った方が良いかな……。
でも「クリスマスですし」とか言うのもなあ。
ああ、もう家の前だ。
まあいっか。やめやめ、らしくないっさ。

「ただいま」
でもとりあえず、敬語は無しで行こう。

「おう!お帰り、珍しく遅いな。彼氏か?」

「そ、そんなんじゃないよっ!」
少しづつ

「お父さんもそんなこと言ってたら嫌われるわよ」

「それは……困るな。嫌いになるなよ?」
甘えて行けばいい。

「ならないっさ!ぜ、絶対」
折角サンタさんが、あったかさをくれたんだから。


おわり

付き合ってくれてありがとう!
皆も鶴屋さんも愛してる


鶴屋さんが一番好きな人か

>>246
ちょいちょいかいてます…

キョン「鶴屋さん…可愛いと思わんか?」

古泉「あの……前から気になってたのですが」

キョン「巨乳と貧乳どっちが好みだ?」
どれか記憶に残ってたりしたら嬉しいです

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