響「はいさーい!」(288)


響「って、あれ?プロデューサーだけ?」

P「おはよう。みんな仕事だよ」

響「ふーん。で、プロデューサーは何やってるんだ?」

P「何って、見て分かるだろ?仕事だよ、仕事」

響「そんなのより遊ぼうよー」

P「これ終わらなきゃ遊ぶどころか帰ることすらできないんだよ」


響「遊べないってことか?そんなのつまんないぞ!」

P「なら、家で動物たちと遊んでれば良かっただろ?なんで休みの日にきたんだよ」

響「え!?そ、それは……」

P「まぁ、なんでもいいけど。とにかく俺は遊んでる暇はないから」

響「えー」

P「文句なら事務の仕事を片付けてない音無さんにいうんだな」

P「さぁ、仕事だ仕事」


響「……」ゴロゴロ

P「……」カタカタ

響「なープロデューサー」

P「なんだ?」カタカタ

響「仕事終わった?」ゴロゴロ

P「全然」カタカタ

響「ふーん」


響「ねー終わったー?」

P「まだまだ」カタカタ



響「事務所ってなんにもないなぁ」キョロキョロ

P「元から遊ぶ場所じゃないからな」カタカタ

響「暇だぞー、ねー遊ぼうよー」

P「無理無理」カタカタ


響「あーあーあー」ゴロゴロ

P「暇ならレッスンでもしてろ」カタカタ

響「んーでも、あっちまで行くのめんどいさー」

P「あ、そう」カタカタ

響「そうだ!ここでレッスンしてもいい?」

P「ダンスはダメだぞ、危ないし」カタカタ

響「じゃあ、歌ってるぞ!」

P「まぁ、それならいいか」カタカタ

響「よーし、始めるさー」


響「♪~」

P「……」カタカタ

響「♪~♪~」

P「……」ピタッ

P「今、音外れてなかったか?」

響「え、本当?」

P「もう一回やってみろ」

響「うん」


響「♪~」

P「……」

響「♪~♪~」

P「あーほら、まただ」

響「えー、よくわからないぞ」

P「声がうまく出せてないからかもな」

響「そうなのか?」

P「多分な。じゃあ、呼吸から見てみるか。お腹押さえてるからやってみろ」ピト


響「う、うん」

響「スゥーハァースゥーハァー」

P「呼吸はちゃんとできてるな」

響「へへーん、なんたって自分はカンペキだからな」

P「完璧なら音外さないぞ」

響「うぐっ……」


P「次は……ピアノがないけど、どうするか」

響「アカペラでいいんじゃないか?」

P「それでできるか?」

響「たぶん」

P「よし、じゃあやってみて」


響「ラーラーラーラーラー」

P「うん」

響「ラーラーラーラーラー」

P「腹使えー」

響「ラーラーラーラーラー」

P「ん、今のところもう一回」

響「うん」

響「ラーラーラーラーラー」


P「よし、こんなもんだろ。じゃあ、歌ってみて」

響「♪~」

響「♪~♪~」

P「……」

響「♪~♪~♪~」

響「……どうだった?」

P「うん、いいんじゃないか」

響「やったー!」

P「よかったな、って仕事しなくちゃ!」


響「プ~ロデュ~サ~」

P「なんだよ、レッスンはやめたのか?」カタカタ

響「ちょっと休憩さー」

響「それより、仕事終わった?」

P「まだだって」カタカタ

響「そうか……」


響「♪~」タッタタタッタタ

P「ダンスはダメだぞ」

響「ちょっとだけ」タッタタタッタタ

P「怪我、するなよ」

響「うん」


響「あー疲れたー」バタッ

P「お疲れ、飯でも食いに行くか?」

響「仕事は終わったのか?」

P「まだだけど、昼だしな。休憩だよ」

響「そっか」

P「それで、行くのか?」

響「うん」


P「何食べる?」

響「ゴーヤチャンプルー」

P「さすがに店においてないんじゃないか?」

響「えー、食べたいぞ」

P「んー、事務所にコンロあるし、フライパンとか買って作るか?」

響「それだぞ!プロデューサー、ナイスアイディア!」

P「じゃあ、買いに行くか」


P「材料が分からない」

響「ゴーヤチャンプルーは基本だぞ、プロデューサー」

P「響は作れるのか?」

響「あたりまえだろ。伊達に一人暮らしはしてないさー」

P「ま、確かにな」

響「買い物は自分がするから、プロデューサーは荷物持ちな」

P「へいへい」


響「あれと、これと……」

P「慣れてるな」

響「ここにはよく来るからな」

P「ふーん」

響「ほら、プロデューサー早く~」

P「あぁ、悪い悪い」


響「プロデューサーはどれぐらい食べる?」

P「人並みぐらいには食べるぞ」

響「それじゃ、少し多めに作るか」

P「おっ、これうまそうだな」

響「プロデューサーのお金だから好きに買っても良いぞ」

P「俺の金だったのかよ……」

響「ついでに今晩の材料も買っちゃお~」

P「おい」

 
――外

響「暑い……」

P「そうか?」

響「暑いぞ……」

P「これぐらいで暑いなら沖縄でどうしてたんだよ」

響「沖縄の家って風通しがいいから、家にいる限りはそんなに暑くないんだぞ」

P「なるほどな。アスファルトとかは熱がこもりやすいから、下手したら向こうより暑く感じるかもな」

響「そうだぞ」


P「でも向こうでも外にでたら暑いだろ?」

響「できる限り日陰を通ってた」

P「それはご苦労なことで」

響「あの頃が懐かしいなー」

P「帰りたいか?沖縄」

響「今はまだいいや。それに、まだトップアイドルになってないし」


P「そんなこと言ってたらいつ帰れるか分からないぞ」

響「うーん……、だったらさ、今度休み取って一緒に沖縄に帰らない?」

P「それもいいな。もう少し暑くなってきたら海だって気持ちいいだろうし」

響「決まりだぞ!自分の地元を案内してあげるよ!」

P「あぁ、楽しみにしてるよ」

響「うん!」


響「ただいま~」

P「冷房付けるから少し我慢してな」

響「うん。それより、誰も帰ってこないな」

P「今日一日は夜まで誰も帰ってこないかもな。音無さんは休みだし、社長は出張だし」

響「じゃ、じゃあ二人っきりか」

P「そうなるな」

響「じ、自分すぐにご飯作るから」

P「悪いな」


P「……」カタカタ

響「プロデューサー、できたよー」

P「あぁ、ちょっと待って」カタカタ

響「早くしないと冷めちゃうぞー」

P「今行くよ」

P「お、うまそうだな」

響「へへーん、自信作だぞ」

P「それじゃ、いただきます」

響「いただきまーす」


P「……」モグモグ

響「……どうだ?」

P「うん、おいしいよ。これならいくらでも食べられそうだ」

響「本当か!?自分、いっぱい作ったからたくさん食べてね」

P「あぁ」

響「えへへ」


P「ごちそうさま」

響「ごちそうさま」

P「片付けは俺がやっとくよ」

響「いいよ、プロデューサー、忙しいんでしょ?」

P「でもな……」

響「いいって。それより、早く終わらせて遊ぼうよ」

P「いつ終わるか分からないけど頑張るよ」

響「頑張れ、プロデューサー!」

P「ありがとな」ナデナデ

響「うん!」


P「……」カタカタ

響「はい、プロデューサー」コトッ

P「お、ありがとな」

P「あれ?これって……」

響「さんぴん茶だぞ。前にプロデューサーが探してきてくれてから事務所に買い置きするようにしたんだ」

P「あっ、うまいな」ズズズ

響「そうだろう、そうだろう」ウンウン


響「そうそう、さんぴん茶には集中力を上げる効果があるから、仕事が捗ると思うぞ」

P「へぇ、これから俺も飲むかな」

響「サータアンダギーあるけど食べる?」

P「さっき昼飯を食べたばかりだろ」

響「じゃあ、いらない?」

P「いや、せっかく作ってきてくれたわけだし、小腹が空いたら食べるよ」

響「うん」


響「あー暇だー」

P「また、始まったか」カタカタ

響「ひーまーだー!」

P「レッスンでもしてろよ」カタカタ

響「レッスンはもう終わり!違うことがしたいぞ!」

P「じゃあ、今度のドラマの台詞でも覚えてれば?」カタカタ

響「台本、家に置いて来ちゃったぞ」


P「それなら俺が予備持ってるぞ」カタカタ

響「貸して!」

P「はいはい。……えっと、これかな。ほら」

響「ありがと」

響「でも、アクションが主だからそんなにやることないんだよな」

P「それでも手を抜くんじゃないぞ」

響「分かってるさー」パラパラ


響「……」パラパラ

P「……」カタカタ

響「あっ、キスシーンがある」

P「そうだっけ?」カタカタ

響「自分、キスしたことないんだよなー」

P「まぁ、ついこの間まで中学生だったわけだし、そんなものじゃないか」カタカタ

響「でも、したことないのにいきなりキスシーンって嫌だぞ」


P「んー、じゃあ貴音にでも頼めば?」カタカタ

響「貴音は今いないし、初めてが女の子なのも嫌だぞ」

P「じゃあ、真」カタカタ

響「……真に失礼だぞ」

P「なら、どうするんだよ。こっちに来てから親しくなった男っているのか?」カタカタ

響「……まぁ、いるかな」

P「じゃあ、そいつに頼むんだな」カタカタ


響「プロデューサーは自分が他の男の人とキスしてもいいのか?」

P「事務所的には良くないけどお前がいいならいいんじゃないか」カタカタ

響「自分はプロデューサーに聞いてるの!」

P「あん?ちゃんと答えただろ」カタカタ

響「だから、プロデューサー自身はどうなのって聞いてるんだぞ!」

P「俺個人が口をだせる問題じゃないだろ」カタカタ

響「いいから!」

P「お前が納得してるならそれでいい」カタカタ


響「……」

響「……こっち来てから知り合った男の人って社長とプロデューサーだけなんだよなー」

P「社長が相手かー。でも妻子持ちだからあんまり無茶言うなよ」カタカタ

響「……この鈍感」ボソッ

P「でも、社長はしばらく帰ってこないぞ」カタカタ

響「社長じゃないってば!それにプロデューサーなら今ちょうどここにいるだろ!」

P「はぁ?俺?なに馬鹿なこといってんだよ」カタカタ

響「いいから、練習台になってよ!」


P「ダメだ。そんな軽々しくキスなんてするものじゃないぞ」カタカタ

響「えー、いいじゃん。自分が納得してればいいんだろ?」

P「キスはもっと真剣に付き合ってからするものなの」カタカタ

響「お願いだぞー」ギュウ

P「あー乗っかってくるなよ。仕事できないだろ」

響「してくれるまでこのままだぞー」

P「重いからどけって」

響「自分重くないぞ!」ギュウ


P「痛い、痛いって」

響「撤回しろー!」

P「分かったよ。重くないからどけって」

響「重くないならいいだろー」ギュウ

P「もうこのまま仕事しよ」


響「なーなー」

P「あんだよ」カタカタ

響「キスしようよー」パタパタ

P「ダメだ。あと、足をパタパタするな」カタカタ

響「けち!」

P「けちとかそういう問題じゃないの」カタカタ

響「ふーんだ」パタパタ

P「まったく……」カタカタ


響「あっ、そうだ」

P「どうした」カタカタ

響「ふふーん、なんでもないさー」

P「あっそ」カタカタ

響「……」

P「(疲れてきた)」カタカタ

響「……」チュッ

P「っ!?」


響「ほっぺだけどどうだった?」

P「どうだったってお前なぁ……」

響「うーん、勝手が分からないなぁ」

P「上手だったから離れろよ」

響「ダメだぞ、やっぱり口と口じゃないとよく分からないし」

P「それだけは本当に無理だ!」

響「えー!」

P「えー、じゃないの!」


響「それならほっぺでいいからプロデューサーからもやってよ」

P「ダメだって、それになんで俺からもやるんだよ」

響「ほら、自分からやるのと相手からやってもらうのって違うだろ」

P「答えになってないぞ」

響「お願い!してくれたら離れるから!」

P「……仕方ないなぁ」

響「やったー!」

P「ほら、横向け」


響「うん」クルッ

P「じゃ、じゃあやるぞ」ゴクリ

響「プロデューサー、声震えてるぞ。もしかしてキスしたことないのか?」

P「なっ!?んなわけないだろ!」

響「ホントかな~」

P「そんなこというならしてやらないぞ」

響「うわぁ、ごめんなさい!」

P「ったく。それじゃ、いくぞ」

響「う、うん」


響「……」クルッ

P「ちょ」チュッ

響「へへーん、プロデューサーのファーストキスはいただいたぞ!」

P「お、お前な!」カァ

響「あはははは。プロデューサー、顔真っ赤だぞ!」

P「う、うるさい!もう俺は仕事する!」


響「君まーで届けたーい裸足のままでー」パタパタ

P「……」カタカタ

響「坂道続いてーもあきらめたーりしないー」パタパタ

P「……」カタカタ

響「手に入れたいもーのーを数えあーげて」パタパタ

P「だーっ!離れろ!」

響「うわっ、なんだよ、いきなり」


P「キスしたら離れる約束だっただろ」

響「一回ちゃんと離れたじゃん」

P「その後も離れてろよ!集中できないんだよ!」

響「さんぴん茶飲むか?」

P「あっ、うん、頼むわ」

響「はーい」


P「……」カタカタ

響「いつだーってピーカピカでいたい」パタパタ

P「……」カタカタ

響「わーたし、シャーニィスマーイル」パタパタ

P「……」ズズズ

響「おいしい?」パタパタ

P「うん」


prrrrrr

響「電話だ」パタパタ

P「……」カタカタ

響「もしもーし、あっ、貴音か」

響「どうしたんだ?うん、プロデューサーなら近くにいるけど」

響「うん、分かったぞ、じゃーねー。……プロデューサー」

P「なんだ?」カタカタ

響「貴音が忘れ物したから届けて欲しいみたいだぞ」

P「なんで響の携帯に、って着信きてたし」


響「自分がいてよかったな」

P「そうだな。えっと貴音はどこで仕事だっけな……」

響「テレビ局だぞ。なるべく急いで欲しいみたい」

P「分かった。それで忘れ物ってなんだ?」

響「この台本だぞ」

P「……それって響が読んでたやつだろ」

響「プロデューサーが間違えて渡してきたんだぞ」

P「じゃあ、キスシーンなんてなかったのかよ!」

響「あははは。細かいことはいいじゃん。それより、早く行こう?」

P「納得いかねぇ……」


ブロロロロロロ

P「別に響が来る必要はなかったんじゃないか?」

響「事務所に一人でいてもつまんないぞ」

P「まぁ、そうだな」

響「それより、仕事は終わったのか?」

P「もう少しだな。夕方には終わりそうだ」

響「じゃあ、届けたら遊びにいこうよ」

P「帰る時間が遅くなるんですけど……」

響「自分も付き合ってあげるから。いいでしょ?」

P「……少しだぞ」

響「やったー!」


貴音「ありがとうございます、あなた様、響」

響「どういたしまして。頑張ってね、貴音」

貴音「えぇ」

P「仕事はすぐに終わりそうか?一、二時間ぐらいだったら待ってるけど」

貴音「大変、魅力的な提案ですが、どうやら長くなりそうです」

P「そうか。なら悪いけど、俺も仕事が残ってるから帰るな」

貴音「えぇ、お気を付けて」

P「なにかあったらすぐに電話しろよ。今度はちゃんとでるから。それじゃ」

貴音「はい、本当にありがとうございました」

響「じゃあね!」


ブロロロロロロ

P「そういえばキスシーンは貴音がやるのか?」

響「うん。でも、する振りみたいだぞ」

P「なんだ、今度は貴音に練習台にされるかと思った」

響「まだ、撮影がキスシーンまでいってないからな。そこまで来たら、たぶん相談してくるぞ」

P「マジかよ。……響が練習相手になってやれよ?」

響「貴音だって、初めては男の人がいいと思うぞ」

P「逃げる方法を考えておいた方がいいみたいだな……」


P「それで、どこで遊ぶんだ?」

響「うーん、いきなり言われても困るぞ」

P「車の中で考える時間はあっただろ」

響「うーん……」

P「ん?近くに体育館があるみたいだな」

響「じゃあ、卓球やろう!」

P「おう、いいぞ」


響「プロデューサーは卓球やったことある?」

P「高校のときに遊びでやってたぐらいだな」

響「なら、手加減した方がいいな」

P「む、手加減なんかいらないぞ。これでも友達の中じゃ一番上手かったんだからな」

響「そう?なら、手は抜かないぞ。あとで泣いても知らないからな」

P「ふっ、でかい口は俺に勝ってから叩くんだな」

響「そんなに自信があるなら何か賭けるか?」

P「いいぜ、俺が勝ったら今日はもう仕事の邪魔をしないこと」

響「自分が勝ったらなにか買ってね」

P「いいだろう」


ブロロロロロロ

響「いやー楽しかったなー」

P「……」

響「そんなに、落ち込まないでほしいぞ」

P「別に落ち込んでないしー。それで、何が欲しいんだ?」

響「自分、アクセサリーが欲しいな」

P「なら、いつもの店でいいか?」

響「うん」


店員「いらっしゃいませーって、プロデューサーさんじゃないですか」

P「いつもお世話になってます」

店員「いえいえ、こちらこそ」

響「はいさい!」

店員「はいた~い」

店員「それで、今日は響ちゃんだけですか?」

P「はい、こいつアクセサリーが欲しいみたいで」


店員「もしかして~プレゼントしてあげるんですか~?」

P「プレゼントというか、そういう約束しちゃって」

店員「ふふっ、プロデューサーさん。ちょっと響ちゃん借りますね」

P「どうぞ」

店員「響ちゃん、こっちに来て」

響「う、うん」


店員「それで、何がいい?」

響「うーん、ネックレスかな」

店員「おや、意外だね~」

響「そうか?」

店員「イヤリング付けてるからイヤリングかなって思ったんだけどね」

店員「でも、ネックレスでいいの?指輪とかもあるよ」

響「指輪は……いつか、もらうからさ」

店員「ふふっ、かわいいなぁ、響ちゃんは」

響「う、うるさいぞ」


店員「でも美希ちゃんは指輪があるっていったら、すぐに指輪に決めてたよ」

響「美希とも来てたのか?」

店員「他にも春香ちゃんとか千早ちゃんとか色んな娘と二人で来てたかな」

響「みんな何買ってもらったんだ?」

店員「春香ちゃんはリボンで千早ちゃんはブローチだったかな」

響「……ふーん」

店員「みんなかわいいから何でも似合ってたな~」

店員「でもでも~、私は響ちゃんを応援しちゃうよ~」

響「あ、ありがと」


店員「そ・こ・で、響ちゃんにオススメなのは、これ!」

響「ペアネックレス?」

店員「今まで、ペアのものを買ってた娘はいなかったからね」

店員「それにただのネックレスじゃないよ。こうやって重ね合わせると……」

響「わっ、ハートが浮かんできた」

店員「見た目は普通のネックレスだけど特殊な作りになっててね。重ねることで隠れた文字が浮かび上がってくる仕掛けなんだ」

響「でも、これ高いんじゃないか?」

店員「ワンオフものだから元値は高いんだけど、響ちゃんのために一万五千マニーにまけておくよ」


響「いいのか?」

店員「もちろん。いつも買っていってくれるからね。店長も許してくれるよ」

響「一万五千か……プロデューサー、買ってくれるかな」

店員「大丈夫だよ。美希ちゃんのはもっと高かったんだから。もし、買い渋ってたら私がガツンっと言ってあげるよ」

響「ありがと。じゃあ、これにするぞ」

店員「毎度~」


響「プロデューサー」

P「決まったのか?」

響「うん、これなんだけど」

P「ペアのネックレスか。誰にプレゼントするんだ?」

響「プロデューサーがつけてくれたら……嬉しいぞ」

P「まぁ、ネックレスなら邪魔にならないからいいけど」

響「ほ、本当か?」

P「嘘言ってどうするんだよ。で、いくらなんだ?見たところけっこうな値段しそうだけど」


店員「一万五千マニーでーす」

P「一万五千?冗談ですよね?」

店員「いえ~、一万五千ですよ」

P「へぇ、それぐらいで買えるならいいな」スッ

店員「ありがとうございました~」

P「付けていくか?」

響「事務所に帰ってからがいいぞ」

P「そうか?」


響「ここだと恥ずかしいからさ」

店員「着けていけばいいのに」ニヤニヤ

響「うるさいぞ!」

店員「きゃー」

P「それじゃ、帰りますね」

店員「はい、どうもありがとうございました」

響「店員さん、ありがとね」

店員「ふふっ、頑張ってね」

響「うん」

店員「また、お越しください」


P「ただいまっと」

響「プロデューサー、ネックレス」

P「あぁ、ほらよ」

響「プロデューサーには自分が着けてあげるさー」

P「いいよ、自分でやるから」

響「いいから、早く座ってほしいぞ」

P「はいはい」


響「よいしょ」ギュウ

P「正面からじゃなくて後ろに回ればいいのに」

響「そこまで頭が回らなかったぞ」

P「ほんとかよ」

響「ん……できたぞ」

P「ありがとな。今度は俺の番だ、後ろ向いて」

響「うん」クルッ


P「……あれ、うまくいかないな」

響「まだ~?」

P「……よし、できた」

響「ありがとな、プロデューサー」

P「あぁ、こっちこそありがとな。大切にするよ、って俺が買ったんだよな」

響「細かいことは気にしないさー。それと、ちゃんと毎日つけてないと許さないからな!」

P「分かってるよ。さて、仕事再開するかな」


響「ふんふふ~ん♪」

P「あんまりいじってると壊れちゃうぞ」カタカタ

響「そ、そうだな。壊れちゃったら大変だぞ」

P「そうだ、少し遅くなったけどお菓子くれよ」

響「うん、ちょっと待ってて、お茶も淹れるから」


響「はい、どうぞ」コトッ

P「ありがとな」

P「うん、甘くておいしい」モグモグ

響「さんぴん茶と一緒に食べるともっとおいしいぞ」モグモグ

P「たしかに」ズズズ


P「……」カタカタ

響「貴音、今収録終わったってさ」パタパタ

P「こっちにくるのか?」カタカタ

響「みたいだぞ」パタパタ

P「そっか」カタカタ


響「プロデューサーってさぁ」パタパタ

P「うん」カタカタ

響「好きな人、いるのか?」パタパタ

P「さぁな」カタカタ

響「えー、どっちなんだよー」

P「秘密だ、秘密」カタカタ

響「むー」

P「疲れてきたから、降りてくれないか?」カタカタ

響「もうちょっとだけ」パタパタ


P「……」カタカタ

P「ふぅ~、終わった~」

響「お疲れ、プロデューサー」

P「もうキレイさっぱり、全部終わったー」

響「疲れてるところ悪いけど、少しダンスレッスンに付き合って欲しいぞ」

P「いいけど、向こうに移動するか?」

響「ちょっと見てほしいだけだから、ここでいいぞ」

P「そうか。でも、あんまり激しい動きはダメだからな」

響「うん」


響「♪~」タンタタンタン

響「♪~♪~」タタタンタタン

P「歌とダンスのリズムがあってないぞ」

響「うーん……どうしてもできないぞ」

P「もう少しやるか?」

響「うん!」


響「あー、できないぞ!」

P「焦ってもできないものはできないからな」

響「分かってるさー」

P「ほら、少し休憩しよう。疲れただろ?」

響「自分、まだまだできるぞ!」

P「いいから、俺が休みたいの」

響「プロデューサーは何もしてないだろ……って、うわぁ!?」ズルッ

P「響!」ガシッ


P「……ほら、やっぱり疲れてんだよ」

響「ご、ごめんなさい……」

P「(足にきてたみたいだな。無理もないか、細かい動きの連続だったんだからな)」

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」

響「その……もう一回、キスしよ?」

P「はい?」


響「……自分とするのは嫌なのか?」

P「嫌じゃないけど……」

響「なら、問題ないな!」

P「嫌じゃないけどダメだ!」

響「……いいもん、自分からするから」

P「ちょ、ホントにダメだって!」

響「この際、観念した方が良いぞ!」

P「やーめーろー!」


ガチャ

貴音「ただいま戻りました」

P「貴音か!ちょうどいい、助けてくれ!」

貴音「はぁ、分かりました。響、離れなさい」

響「……あとちょっとだったのになー」

P「貴音、他の奴らはいないのか?」

貴音「はい。皆、自宅へ直接帰るようです」

響「じゃあ、なんで貴音はこっちに来たんだ?」

貴音「少し、あなた様に尋ねたいことがありまして……」


P「俺に?」

貴音「はい」

P「それなら、俺たちも帰るから、その時に聞くよ」

響「えー!自分、まだレッスンするぞ!」

P「お前も疲れてるんだから、帰るぞ。プロデューサー命令だ」

響「……はーい」


ブロロロロロロ

P「それで、聞きたいことってなんだ?」

貴音「あの、できれば二人きりの時にお願いしたいのですが……」

響「自分に内緒の話なのか?」

貴音「えぇ、少し恥ずかしいことですから」

響「ふーん」


響「そういえば、貴音のカチューシャ、前と違うな」

P「あぁ、それは最近、俺が買ってやったやつだからな」

貴音「あなた様、その節は真、ありがとうございます」

P「いいって」

響「貴音、自分もネックレス買ってもらったんだぞ!」

貴音「よかったですね、響」

響「うん!自分、一生大切にするぞ!」


P「一生ね……買ってやったかいがあるな」

響「プロデューサーも大事にしてね」

P「分かってるよ」

貴音「あなた様も何か身につけているのですか?」

P「あぁ、響と同じやつをな。ペアネックレスってやつだ」

貴音「ぺあねっくれす……」

貴音「でしたら、あなた様も髪飾りをつけてみてはいかがですか?」

P「それはないだろ……」

貴音「そうですか……」


P「さ、着いたぞ、響」キィッ

響「うん、ありがとね、プロデューサー」ガチャ

P「また、明日な」

響「プロデューサー、運転席の窓開けて」

P「ん?あぁ」ガー


響「今日はありがとう。レッスンも楽しかったし、卓球もご飯食べてるときも楽しかったさー」

P「あまりない休日だからな。楽しかったならよかったよ」

響「最後にお願いだぞ。ほっぺでいいから、もう一度、キスさせてほしいぞ」

P「……分かったよ」

響「……ありがと」チュッ

P「気をつけて帰れよ」

響「うん!じゃあね、バイバーイ!」ニコッ


P「……さて、行くか」

貴音「空気を読んだ私を褒めてください、あなた様」

P「貴音は偉いなぁ」

貴音「……馬鹿にされている気がします」

P「気のせいだろ?それより、聞きたいことってなんなんだよ」

貴音「……申し上げにくいのですが」

P「恥ずかしいなら別に言わなくてもいいぞ」

貴音「……いえ、この四条貴音。恥を忍んであなた様に問います」



貴音「接吻とはどのようなものなのでしょうか?」

                          

おわり


続きなんて考えてないよ?

とりあえずは書きためてみるよ

スレは落としてくれても構わないです

カブトムシのインパクトには勝てないだろ……

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