女「猫に至る病」 猫「ヒトに至る病」(227)

 ガチャッ

女 「……ただいま」

猫 「みゃーぁ」タタタ…

女 「ごめんね、今日も独りにさせて」

猫 「……」スリスリ

女 「待っててね。すぐご飯用意するから」

女 「はい、どうぞ」

猫 「ムシャムシャ ハグハグ」

女 「お腹空いてたの?」ナデナデ

猫 「ぬゃー」シッポ イライラピタピタ

女 「ふふっ、ごめんね。ご飯の邪魔して」

猫 「ムシャムシャ」

女 「……私も、ご飯食べよ」

女 「ご飯炊いて、お味噌汁作って。あとは、バイト先の賄タッパーに入れてきたから、温めて…」

女 「……いただきます」

女 「モグモグ」

猫 「にゃーん」

女 「もう食べ終わったの?」

猫 「ぬぁーん」スリスリ

女 「待っててね、ご飯食べたら遊んであげるからね」

女 (

女 (……たまには、もう少しちゃんとしたもの食べたいな)

女 「ごちそうさま」ペコリ

猫 「……」シッポ ピクピク

女 「ちょっと待っててね。お皿片づけたら……ひゃっ」

猫 「にゃう!」ふくらはぎに飛びつき

女 「ちょ、ちょっと待ってよー……」


……

女 「ほら、新しくおもちゃ買ってきたんだよー」

猫 「なぁう」目がキラキラ

女 「ほれっ」

猫 「……!」タシッ、タシッ、ダダダダッ!

女 (毎日疲れるけど、この時間だけは癒されるや……)

女 「ほーら、こっちだよ」

猫 「うにぁっ!!」タタタッ

女 (私は楽しいけど……この子、本当にコレがたのしーのかな)

猫 (うにいいいいい! たのしー、たのしぃぃ!!)タタッ、ペシッペシッ

女 「ふぁぁ……」

猫 (おもちゃ、もっと、もっとうごかして!)

女 「……ねむい」ゴシゴシ…

猫 (あれ……?)

女 「今日はもう寝ちゃおっかな……」

猫 (うぅー。なんで、なんで!? もうおわり!?)

女 「ごめんね、また明日ね」ナデナデ

猫 「……」…シッポ パタパタ

―翌朝―

女 「いってくるね」ナデナデ

猫 「むゃ……?」ネボスケ…

女 「ふふっ。今日もお留守番よろしくね」

猫 (……また、そとにいくんだ)マル…ッ

猫 (おうちの方があったかいのに)

女 「いってきます」ガチャンッ


猫 (……あたしがいるのに)

猫 「……」ムニャムニャ…

猫 「……」ウニャウニャ…

猫 「はっ」ガバッ!

猫 (また寝ちゃってた……)

猫 (あさごはん、用意してくれてるの、まだたべてないや)テクテク

猫 「うにゃうにゃ」ハグハグ

猫 「……んまい」ペロリッ

猫 「……。……あにゃ?」

―大学―

女 (……はぁ。疲れた)

女 (あの教授の話、長い上に分かりにくいんだもん……ちょっと寝ちゃったし、テスト心配だな……)

女 「お昼挟んで三限目と四限目……あとはバイトか」

女 (休日もバイトだし、休む暇ないなぁ)

  「おーんなちゃんっ!」ガバッ!

女 「ひゃっ!? せ、先輩?」

先輩「どーしたの、浮かない顔だねー」

女 「……。……いえ、ちょっと疲れたなぁって……あはは」

先輩「ふーん。あ、そだ! お昼に先客とか居る?」

女 「せ、先客……?」

先輩「居ないならさ、一緒にお昼食べよっ」

女 「……あ、その……えーと」

―家 昼 猫いっぴき―

猫 (……さっき、あたし、「んまい」って言った)

猫 (人の言葉で「うまい」って、いった……?)

猫 「にゃふんっ」

猫 「なー、なぅにゃぅ、んにゃななななー」

猫 (……)

猫 (……うーん、さっきは言えたのになぁ?)

猫 (も、もう一回……!)キリッ!

―大学 昼 食券販売機前―

先輩「なに食べたい?」

女 「あの、えと……」

先輩「私はねー、うどんにしよっ。おっ! 今日は山菜うどんだよ!」

女 「あ、あの、せ、せんぱ……」

先輩「君、山菜嫌い?」

女 「い、いえ……」ボソボソ…

先輩「じゃあ一緒ので良いねー」チャリンチャリン

女 「あっ、その、わ、私自分で払……」

先輩「もう遅い。買っちゃったよー」ニヤッ

女 「……」

女 (うぅ……)

―大学 食堂の一角―


先輩「いただきまーす、っと」お箸パキンッ

女 「い、いただき……ます」…ボソボソ

先輩「ずるずる」

女 (きまずい……)チュルチュル…

先輩「……」ズルズルッ

女 「……」山菜 モグモグ…

先輩「あー……いやさ。私もね、誘うの緊張したの」

女 「ほぇ……!?」

先輩「サークルに入って貰ってさ、君と一緒に色々するの楽しかった」

先輩「でも、後期からは全然来てくれなくって」

女 「……ぁ、」

先輩「心配してたの。でも、話そうと思って探しても見つからなかったし」ズルズル

女 (そりゃあ、サークルの皆を避けてましたから。話しかけられないように)

女 「……。……ごめんなさい」

先輩「えっとね……心配しちゃってるのは、こっちの勝手」

先輩「だけどさ、もしなにかあるなら相談乗るよー?」

女 「……」

女 「別に、サークルが嫌とかじゃないんです」

先輩「え? そーなの? てっきり人間関係が嫌になっちゃったのかと……」

女 「……色々、あるんです」

先輩「色々? なんかあったの?」

女 (うるさいな)

女 (誰かに話すようなことじゃない)

女 (誰かに話して解決するようなことじゃない)

女 「……ごちそうさま。ありがとうございます」スタスタ…

先輩「あ、ちょ、ちょっと……!」





先輩「はぁ……」

先輩「……ほとんど残してんじゃん」

先輩「あの子、好きなのに……」

先輩(後輩として、好き、なのに)

―家 昼下がり 猫いっぴき―


猫 (ちょっとだけ、なら、喋れるようになった)

猫 (アイツ、おどろくかなぁ。びっくりするかなぁ)

猫 (かえってきたら、いろいろ喋りたいな)

猫 (……もう少しだけ、練習してびっくりさせよう!)ゴロゴロ

猫 (いっぱい、いっぱい、たくさん、)

猫 (つたえたいこと、あるから……――)

―回想 保健所―

 あたしと、アイツが出会ったのは狭い檻の中だった
 たくさんの捨て猫がいて、あたしも捨て猫だった

女 「この子を、引き取ります」

 突然目の前に現れたニンゲンは、はっきりとあたしを指さす。

女 「この子が良いんです」

 訊きたいことがあるんだ。

女 「ちゃんと育てます。幸せにしてみせます」

 なんで、なんで?

女 「……この子、引き取ってもいいですか」

 なんで――まっすぐあたしを選んでくれたのか

 ほかにも、伝えたいこと、いっぱいあるの

 どうして見ず知らずの、汚いノラネコを病院に連れてって、
 病気でヨロヨロしてたあたしを治してくれたのか
 (その時は、にがい薬のませるからイヤなやつだと思ってた)
 それが治って、また病院に行って、病気にならないための注射
 (その瞬間は痛いことしか分からなくって、こいつは本当にイヤな奴だと思ってたけれど)をしてくれたのか
 


あたしは、知ってるよ。
ほかにも色々知ってるよ。
それでも、甘えさせてくれて、うれしくて、伝えられたらいいなって。
……まぁ、伝えたあとでも今まで通り甘えさせてもらうんだけどね。んにゃんにゃ。

―大学 三限目―

教授「で、あるからして、この事柄は――」

女 「……」モクモク カキコミ

女 (……なんで、いまさら)

女 (あんなお遊びサークルなんて、してる場合じゃないんだ)

女 (学費は奨励金に頼ってるけれど、)

女 (家賃も、光熱費も、食費だって全部全部、自分でどうにかしなきゃいけない)

女 (そう、大切な、一匹の家族の為にも――サークルなんて、浮ついたことしてる場合じゃないの)

女 「……。……もう、ほうっておいて欲しいのに」…ハァ



……

……… ―帰り道―


女 「はぁ……今日も疲れた……」

女 (『今日は人少ないけど、君が居ればなんとか回るかなぁ アハハ』って)

女 (……私、どれだけ働いたって他のサボりバイトと同じ自給なのに)

女 「……賄い、貰えたからいっか。……はは」

女 (早く、帰ろう)トボトボ…

―家 夜更け―

女 「ただいまー」ハァ…

女 (今日はいつも以上に疲れた……)

猫 「んみゃーぅ」

女 「あはは……出迎えてくれるのはアンタだけだよ」

猫 「んみぅ」スリスリ…

女 「……。……もう、私、疲れちゃった」ナデナデ

猫 「……」

女 「はぁ……」

猫 「……うみぅ」

猫 (な、なんか、いわなくちぁ!)アワアワ

猫 (えーと、えーと、お昼にれんしゅーしたヤツ! いま、言うよ!)

猫 「ぉー……ぉにゅかれっ」

女 「……へ?」

猫 (伝わらなかった……のかな?)

女 「い、いま、アンタ、「おつかれ」っていったの?」

猫 (……言えた)…ホッ

女 「うふふ……」抱き上げっ!

猫 「にゃぅ」

女 「空耳でも、うれしー」ギューッ

猫 (ちがうのっ、今はギューッ、の気分じゃなくって、ごはん、はやくー!)フーッ

猫 (……でも、ちょっと、うれしぃ)…クタッ

―ごはん―

猫 「ハグハグッ ムシャコラムシャコラ」

女 「……やっぱり、空耳だよね」モグモグ

猫 (ちがうのに。れんしゅーしたから言ったの!)

猫 (でもでも、やっぱりお腹すいたらごはんなんなのにゃ!)ナーゥ

女 「えへへへ……ありがと」ナデナデ

猫 (食べてるの、じゃまされるの、イヤなのしってるくせに……)

猫 (……でも、今日は、いいや)ムシャムシャ

女 「……」ナデナデ…

女 「ありがとね、



   アンタが居なかったら、私、とっくの昔に駄目になってた」


女 「ねぇ、今日はさ、いっぱい遊んであげる」猫じゃらしフリフリ

猫 「……!」シッポ ピーン!

女 「でもね、その代わりに一つお願い」

猫 (あそぶ、あそぶ、あそぶあそぶっ!)

女 「……今日は、一緒にねんねしよ?」

猫 (んに……? 一緒?)

女 「アンタ用のちっちゃいベッドじゃなくって、私の布団で一緒に」

猫 (今まで、コイツの言葉はなんとなくでしか分からなかったけれど)

猫 (今なら、はっきりわかる)

猫 (……ほんとは、夜中も独りで楽しくあそびたかったけど、)

猫 (なんか、今日は、良いかなって気がするゃ)

猫 「なぁーぅ」スリスリ

女 「えへへ……ありがと」

猫 (常々思うけど、コイツは猫の言葉が分かるのか?)ムムム…?


……

女 「うりゃっ! ほれ、ほれほれーっ!」キャッキャッ!

猫 「……! ……!」 スタタタッ、ニャンニャン!

女 「うりゃりゃりゃぁー……ふぅ」

猫 「……っ♪」オモチャ ガブガブ

猫 (ちょっと、遊び疲れた……)ヘゥヘゥ…

女 「はぁ……もう、こんな時間かぁー……」

猫 「……。……ぉにゅかぇ?」

女 「……!」

女 「うん……私、ちょっと、お疲れ」ニヘ…ッ

猫 (伝わった!)

女 「アンタは、まだ、遊び足りないかな?」グッタリ

猫 「にぅ……ゅかぇた」

女 「……っ。……そっか。「つかれた」、か」ナデナデ

猫 (ことば、はなせるって、うれしぃ)ホンニャカ…

女 「一緒のお布団で寝る?」

猫 「……」…コクリ

女 「……!」パァァ…!

女 (空耳だろうけど、自分勝手に解釈してるだけかも知れないけど)

女 (本当にしゃべってるみたいで、嬉しい)

女 (まるで、居なくなったお母さんやお父さんと話してるみたいで……)

女 「……ぁ」……ポロッ

女 「うぅ……」ポロポロ…

猫 (なんだろう。目から、おみず)…ペロッ

猫 (……しょっぱい)

女 「……ごめんね、ほんとに私、疲れてるみたい」グシグシ…

猫 (ヒトは、つかれると、みずが出る)

猫 (しょっぱすぎる、おみず)

女 「一緒に寝よっか。……ひとりよりも、あったかいよ?」

猫 「……。……にぅ」モゾモゾ

女 「あったかい。……ふわふわ」…スリスリ

猫 (遊び終わったのに、あんまりべたべたしてほしくない……はずなのに)

猫 (……たしかに、ひとりよりも、あったかい)ホコホコ…

女 「……」スヤスヤ…

猫 (むかし、きょーだいと、いっしょに、こうやって眠ったきがする)…ウトウト

猫 (記憶が、あいまいだ。あんまり、おもいだせない)ウツラウツラ…

猫 (……いや、今なら思い出せる)ハ…ッ



猫 (さむい日に、箱のなかで身をよせあって)

猫 (少しずつ声がきえた。どんどん死んだ。みんな死んだ)…ブルッ

猫 (なんで、いまさら、おもいだすの)

猫 (こわいこわいこわい、いやだいやだ……)

猫 「やだ……ょ」フルフル…

女 「……」…ピクッ

ごはんも、なでなでも
だっこも、うれしかった
   /l、

   (゚、 。`フ
   」  "ヽ
  ()ιし(~)~


でももう
いかなくちゃだめなの
   /l、

   ( ゚、 。 フ
   」  "ヽ
  ()ιし(~)~


ずーっと、だいすき
いっぱい、だいすき
   /l、

   ("゚. 。 フ 
   」  "ヽ
  ()ιし(~)~

猫 「あにゃ……」

猫 「……あたし、また、しゃべった?」

女 「……ん」

猫 (起きてた……の?)

女 「……」ナデナデ

猫 「あ、あの、にぁ……」

女 「……」ギュッ

猫 「うがにゅっ!? ぐ、ぐるじぃ……」ジタバタ!

女 「えへへ……ずっと、いっしょ……」ムニャムニャ…

猫 「ぎゃにぅ!? ぐるじぃっていってるのに゛~!?」

女 「……」グッスリ…

猫 「う゛にゃぁっ! はなせー!」ジタバタジタバタ!

―明け方―

 チュンチュン…

女 「あれ?」…パチッ

女 「布団にいない……」ゴソゴソ…

女 「……って、いつもの籠で寝てるし」ヘラ…ッ

女 「まぁ、一緒に寝るの嫌いみたいだしね」

猫 (あんなに抱きしめられたら呼吸困難で死ぬって!)シッポ ピタピタ

女 (意思疎通できた気がしたんだけどなぁ……やっぱり、こっちのエゴか……)…ハァ

女 「もっかい寝よ」布団ゴソゴソ

猫 (……意思疎通、できたのににゃぁ)ウトウト…コテン

―家 もう、お昼―


猫 「はっ!」

猫 (アイツ、もう「ガッコウ」とか「バイト」にいっちゃったのかな)

猫 (もっと、いっぱい話したかったのに、)

猫 「また、ねちゃった……」

猫 「……」

猫 「……」

猫 「……おにゃああ!?」

猫 「にゃべった! にゃべぇた!! うにぅぅあぁ!!」ゴロゴロ

猫 「……はっ」

猫 (おちつけ、おちつけ。はっせいれんしゅー、おちついてはっせーれんしゅーだ!)

猫 「うーにゃーあーにゃぁー!」

猫 「……」

猫 「……ゴホンッ」

猫 「あ、い、う、え、ぉにゃぁーぉ」

猫 「……!」

猫 (なんだか、いっぱい、しゃべれるきがする!)

書き溜めなんてほぼなくて随分前に尽きたし今は即興です
とりあえず完結まで書く気満々ですが眠いです…
一応オチは2パターン考えてるんで、100レス以上行くまでは寝ずに行きます
久々にオリSSだし ある程度書き終わったら、分岐投票でもします

謝っとくけど、遅くてごめんね

猫 「にぅにぅ……ゴホンッ!」

猫 「しゃべる、できる、にぁー」

猫 「ぉゅかぇ……じぁにゃくって! 『おつかれ』!」

猫 「……! ……できたぁ!」

猫 (のかにゃ……客観的に見てもらわにゃ、ほんとに人語でできてるか、わかんにぁ……)


 ……こつん、こつん

猫 「んにぁ!?」ビクッ!

猫 (窓、だれか、たたいてる……?)ソワソワ…

―大学 学食―


先輩「ここの学食、旨いし安いしいいよねー」

女 「……」…モグモグ

先輩「……あはは」

女 (気まずい……)ゲンナリ…

先輩「サークル、戻る気ないの?」

女 「……いろいろ、忙しくって」

先輩「……。……そっか」

先輩「じゃ、これだけ渡すわ」

女 「……これは?」

先輩「第二言語、スペインでしょ? あの教授、話は長いくせに毎年似たような問題しか出さないからさ」

先輩「これ、去年のヤツ。これ丸暗記するだけで合格点いけるから」

女 「あの、えっと……」

先輩「他に単位欲しい科目あったら言いなよ。私、人脈だけは広いし」

女 「い、いいんですか……?」

先輩「むしゃむしゃ もぐもぐ」

女 「……」

女 「……ありがとう、ございます」

先輩「んっ」ヒラヒラ

女 「……」…ペコリ タタ…ッ



先輩「少しは、心開いてくれないかなぁ」ムシャムシャ…

先輩(サークルとか、抜きでもさ)

―家 窓、コツコツの昼―


猫 (いままで、窓たたくヤツなんていなかった)

猫 (二階だし、ボロアパートだし、盗るモノなんてないぞっ!)フシャー!

  「おぃ、きこえてーんだろぉ?」コツン、コツコツ

猫 「ふしぁあああああああああああ!」ブワブワッ!

  「別に空き巣じゃねぇぇのよ。……そこには、ネコいっぴきだけ。そーだろ?」

猫 「……」…ピクッ

猫 (これは、ヒトのにおいじゃない。……あたしと、近いにおい)

猫 (ねこの、におい)

猫 「にぅぁ……ぁ、だぁぇ?」


  「あはははっ、番犬ならぬ番猫気取りかぁ?」カリカリ…

猫 「だぁ、ぇ?」

猫 (「誰」って言いたいのに、うまくできない)

猫 「ぉぁえぁ、ねこ?」

猫 (「お前はねこ?」って訊きたいのに、うまくいかない)

  「なぁ、あけてくれよ」コツン、コツン…

猫 「ぅあーっ! なーーーーーーーーーーぉっ!!」

猫 (怪しいやつめっ! ここはあたしのナワバリだっ!)ブワッ!


  「……ふん、こいつはまだ半端者か」


猫 「フシャアアアアアア!」ブワブワブワッ!

  ……。

猫 (気配がきえた。……いなくなった? あきらめて、どっかいった?)

猫 (まどの、そと……カーテンの向こう……)コワゴワ…

猫 「……いにゃい」…ホッ

猫 (もう、なんにも居ない)

猫 (きっと、あたしの威嚇が怖かったからだ)ニャンニャン♪

猫 (あたしに、おそれをなしてにげたんだ!)フンゾリッ

猫 「うにぁ……」ゴキゲン!

猫 (アイツが帰ってきたらほーこくするんだ!)

猫 (だから、はっせーれんしゅー、いっぱい、するにぁ!)

猫 「ゴロゴロゴロ…♪」

―大学 人の少ない校舎のトイレ―

女 「はぁ、はぁ、はぁ……」

女 「……逃げて、きちゃった」

女 (悪いことしたかな……)

女 (テストのコピー)…ギュッ

女 (どうして?)

女 (こんな、夏休み前から顔を出してない私に)

女 (たまに廊下ですれ違っても、逃げるようにしていた私に)

女 (どうして、近づいて、)

女 (なんでこんなモノまで、わざわざコピーして、持っておいて……)グシ…ッ

女 「わかんない」

女 「わかんないよぉぉ……」ボロボロ…

―バイト―

女 (……なんなんだろ、あの人)

女 (前期のこと思い出したって、そこまで親密だった覚えはない)

女 (たった半期で去ったサークルメンバーのことなんて、)

女 (みんなもう忘れてるはずなのに)

女 (あの日、突然後ろから飛びつかれるまで……私はあの先輩のことを、忘れかけていたはずだ)

女 「……」ボヤー…

お客「ちょっと……注文きいてますか?」

女 「ひゃっ、あ、あの! す、すす、すみません!」ペコペコ…

―帰り道―

女 「……」トボトボ…

女 (久々にバイト先で怒られた……)…ハァ

女 (そりゃ、入りたての頃はいっつも動作が遅いって怒られてたけど)

女 (……本当に、久々に、ミスばっかだった)ションボリ…

女 (ボーッとしてたのかな)

女 (考えすぎなのかな)

女 「……はぁ」

女 (早く家に帰りたい……)

女 (帰って、早く、あの子に)…スタスタ

―家 いつもの時間―

女 「ただいま!」ガチャッ!

猫 「にーぅ」

女 「あれ、今日はずっと玄関で待っててくれたの?」

猫 (あのね、あのね! 今日、あたし、ドロボーおっぱらったの!)キラキラ

女 「ん? 今日はなんかお目目真ん丸だね」

女 「もしかして、これ買ってきたの気づいたのかなー」ゴソゴソ

猫 「ん……んにぃ?」キョトン

女 「ほら、またたび!」じゃーん!

猫 「……」

女 「この匂い気づいちゃった?」テヘッ

猫 「……」フキゲン シッポ ピタピタ

女 「あ、あれぇ……?」

猫 「ぃあぅぁぁー」フキゲン スタスタ…

女 「あ、あれぇ……?」

女 「またたび、あげたことないからかなぁ?」キョトン…

女 (バイト前に、せっかく買ってきたのになぁ……)ションボリ…

猫 「ぉあん、おぁん!」ズボン カリカリ

女 「あぁ、ご飯ね。ちょっと待っててね」アセアセ

女 (今、「ごはん」って言った?)

猫 (今、「ごはん」って言えたのかも!)ピクッ!

女 「はい、ご飯」コトンッ

猫 「ハグハグ、ムシャムシャ」

猫 (やっぱり、伝わった!)

女 (いつも通り家に帰ったらすぐにあげるけど。
   ……空耳でも、うれしいなぁ)…ニヤッ

猫 「んまい、んまぁ」ムシャムシャ

女 「ふふっ。おいしいの?」

猫 「んまーぉ(うまいって言ってるじゃないか)」

女 「さて、私もご飯にしよっかな」

女 (いつもなら、昨日お味噌汁用に刻んだキャベツをそのまま鍋に入れてまた味噌汁にするけれど……)

女 (最近、ちょっと疲れたから今日は豪華に……賄いのから揚げと一緒に料理しちゃおっと)

女 (一緒に貰ってきた白米は冷凍庫にラップで包んで、と)イソイソ

女 「ごま油を入れてフライパン熱して、から揚げ、キャベツ」

女 「元々鶏肉には火が通ってるし、」

女 「キャベツはあんまり火を通さずにシャキッとさせて」

女 「かるーく炒めて塩コショウ」

女 「……よしっ!」

女 「あと、なにかあるかなぁ」冷蔵庫 ゴソゴソ

猫 (ごはん、今日もんまかったなぁ……ぅに?)

女 「あ、しめじ残ってた」

女 「チューブのニンニクと、ラー油を少々」

女 「かるーく痛めて、香りが出たらしめじ投入」

女 「そして塩、胡椒」

女 「あぁ……いい匂い」

女 「チューブのニンニクとか、しょうがとか、賄いに頼りすぎると使わないまんまだなぁ……」…ムー

女 「まぁ、今日はそんなこと気にせずに」

女 「一人酒、しよう……」

猫 「……?」

女 「……はぁ、息抜き。息抜き」缶ビール、カシュッ

女 (あのサークルで、夏に飲み会開いたって、風の噂で聞いた)

女 (まぁ……どのサークルでもそうなんだろうけど)

女 (だから、おつまみ作って、)

女 (一人酒……するもん……っ)

女 (一人でも、たのしいこと、できるもんっ)グビッ

女 「……」グビグビ…

女 「……げぶほぉっ!?」

女 「に……にが……っ!!」ケホケホ

猫 (なにやってんだろ……?)

女 (びぃるって、こんなに苦いのぉ……!?)

女 (苦みが炭酸でしゅわしゅわぁぁぁぁっぁ!)げっほ、げっほ!

猫 「!?」タタッ!

猫 (毒か、それ、毒か!?)ウロウロ…

猫 (だいじょーぶか!? 毒飲んでへーきか!?)オロオロ…

女 「……ふぅ、大人の味だったぁ」口元フキフキ

女 「大人の味は、大変だぁ……」テーブルフキフキ

猫 「なぁーご?」ウロウロウロウロ…

女 「だいじょうぶ。ちょっと、大人すぎただけ」ナデナデ

猫 (そっか、だいじょーぶか)

猫 (なんだか今日は……なでなで、すっごくうれしい)ゴロニャン

女 「はぁ……」

女 「せっかくおつまみ、作ったのに……」ナデナデナデナデ

猫 (うれしーけど、なんか、しつこい……かも)ゴロゴロ…

女 「やっぱり、私、フツーの大学生無理かも……」

猫 「にゃにぁぅせー(だいがくせー)?」

女 「えへへ。ちょっと早いもの飲んじゃったみたい」

女 「おつまみも、冷める前にフツーにお茶で飲んだ方がおいしいかも」

猫 (……「だいがくせー」って、あたし、ちゃんと言えたのになぁ)ションボリ…

女 「モグモグ……はぁ」

女 「お茶グビグビ……。……はぁぁぁ」

猫 (なんか、ちょっと、今日のコイツ……昨日よりへこんでるな)

猫 (ドロボー退治のこと、うまく言えなかったけど、すこしくらいなぐさめてやろう!)シャキーン!

猫 「なぁーう。なーう」スリスリ

女 「……」ムシャムシャムシャムシャ

女 「……」ヤケお茶グビグビ

猫 「……にぅ」…シッポ ヘタリ

猫 (どーしたんだろ。なにか、いやなことあったのかなぁ)ソワソワ…

猫 (今はそっとしてあげた方が良いのか……も?)

女 「……」…ナデナデ

女 「……ごめん。今日、遊べないかも」ナデナデナデ

猫 「……」

猫 (……なんか、今日のコイツ、へんだ)

猫 (いつもなら遊んでくれるのに)

猫 (眠くても、ギリギリまで……はぁ)

猫 (ちょっとだけ、喋れたのに、なぁ……)




女 「待って」ガシッ

猫 「ふぎゃっ!?」

猫 「にゃ、にゃーにゃ?」

女 「またたびあるし、ちょっとだけ晩酌に付き合ってよ」

猫 (ばんしゃく……?)

女 「あんまり一気にあげちゃいけないから、これくらい」エサ皿にザラザラ

猫 (……不思議にゃ匂い)クンクン…

猫 「……」…ペロッ

猫 「……!」ビクーン!

猫 「ペロペロペロペロペロ!」

女 「ちょ……そ、そんなに一気に舐めて大丈夫!?」

猫 「ペロッ! ペロペロペロp……グデーン」

女 「あらら……そんな一気に舐めると思わなかった……」

猫 「ふーにゃ、ごろにぃぁぁん、てくてく、こてんっ」

猫 (なんなんにゃ? なーんだか、ちからが入んなくって、へろへろで)

猫 (……きもちよーく、なっちゃっちゃったぁんなぁう)ゴロゴロ グデン…ゴロゴロ

女 「はぁ……一緒にへべけろになりたかったのに」

女 (私はお酒も飲めずに素面でキャベツ咀嚼してる)

猫 「んーにぁーぅ」ウニャウニャ

女 (夏の飲み会で、同じ歳のあの子たちはこんなに気持ちよくなったんだろうか)

女 (……せめて、こうやってへべけろになった子たちを、この目で見るだけでも)

女 (介抱役でも良いから、その場に居たかった……)グス…ッ

猫 「ふぁぁー、にぁぁぁーん!」

猫 (新体験んんんにぁああああああああ!!)ゴロゴロ グニャグニャ

女 「まぁ、目の前にこれくらい酔っ払っちゃってる子がいるなら」

女 「……それで、良いかな」…クスッ

猫 「うーなぅっ。うぅーなぁぁっ」シアワセー!

女 「二歳くらいなら少ないくらいの量だったのになぁ……」

女 「ほら、今日はねんねしよーね」だっこ

猫 (……なんだか、今日はだっこがいつも以上にきもちい)

猫 (でもっ、でもにゃあ! もっと欲しいのにゃぁう!)ジタバタ!

女 「ちょ、ちょっと!?」




猫 「も……もっと、ほしいー、にぁぁぅう!」ジタジタバタバタ

女 「!?」

へべけろ?

>>111
もしかして方言なのか…?
へべけろ=酔っ払いまくり ってことです

普通はへべれけじゃないのか

>>113
あー、それかも
ぶっちゃけコレ書いてる今、へべけれってるし お酒おいしい

女 「しゃ、しゃべ……!?」

猫 「またたびぃー! おいひぃー!」ジタバタ

女 (ちょ、ちょっとまって……お、落ち着かなきゃ……!)

女 (今まで親バカと言うか、飼い主バカのせいで聞こえた空耳だと思ってた、けど)

女 (で、でもでも、こ、こんなにはっきり……)

女 (……実は、本当にしゃべってたの?)

猫 「またたびっての、ほしい! ふにゃふにゃ、きもちー!」足パタパタ

女 「か……」



女 「……かわいいいいいいいいっ!!」ギュー!

猫 「うぐ……まーたーたびぃぃ……!」ジタジタ バタバタ!

独り暮らしで面倒見れないやつは猫飼うなよ

女 「ほら、ちょっとだけだよー」粉状またたび エサ皿サラサラ…

猫 「ふはっっにゃー!!」エサ皿ガバッ!

女 「あはは……一緒に酔おうと思ったのに」

猫 「ふごふご、ぺろぺろぺろぺろっ!」

女 「アンタの方が先に大人だねぇ……」アハハ…

猫 「にゃぁぅ……」クタァ…

女 「喋ったよね、さっきの」ナデナデ

猫 「くにゃぁぁん……」ゴロゴロ

女 「私は実質、一口も飲んでないし……酔うわけないし……」ブツブツ…

猫 「ごろごろにぁん」グデグデ…

猫 「……も」

女 「も!?」

猫 「もっと……欲しぃぃ……」グデングデン…

女 「あ、え、その……もうだめっ!」グイッ!

猫 「うにぅぅぅ……」グニャグニャ ニャンゴロゴロゴロ…

>>119 フィクションですから

もう日が昇っちゃったので、そろそろ寝ます
今日中には完結できると思います

考えているルートは2つ
・女が猫耳にゃん娘になる
・猫がヒト化で猫耳にゃん娘になる です
まぁ、どちらかは起きてから決めます  じゃ、おやすみ

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