【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」小蒔「その3です!」 (1000)

○このスレは京太郎を主人公とする18禁SSのスレです。

○某ヒロインと似たような事は言っていますが、学園都市とは関係ありません。

○安価スレに慣れる為の実験作でもあるので、たまに安価を出しますが、基本、どれを選んでもBADにはなりません。

○エロ描写は書き溜めしてから投下するので数日空く事もざらにあります。申し訳ありません。

○割りとご都合主義です。エロネタ書きたいから仕方ないね。

○スレ主は風評被害や他スレネタがあまり好きではありません。このスレではご遠慮下さい。

○スレ立て初めてです。色々と不慣れな事に苛立たせるかもしれませんが、アドバイスをお願いします。

○エロはファンタジーと割りきって、気楽にお楽しみください。

○小ネタは重大なミスをスレ主がした時や嬉しい事があった時のみ。1000はありません。ご了承ください。

○雑談はウェルカムです。だが、ネタバレはするな(迫真)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364907441

前スレー。

【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」和「SOA」
【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力か…」和「SOA」【安価 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362581171/)

【R18】京太郎「」おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」漫「その2」
【R18】京太郎「おもち少女から和了ると発情させる能力かぁ」漫「その2」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363712140/)

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        _,,-‐'´    ヽ   _彳  ノ∧   ./''  `'''-.._
       '´ 丶      ゙'' −''丶-´ |::::‐-−       \


なおしてきた。うん、最初のはクソやったわ。>>55指導ありがと。

それ以上>>59をいじめるのは止めるのですボクたち!
それはともかく、AAありがとうね!小ネタも頑張ってやらせて貰うよ!
後、漫ちゃんのAAは本当に不足しているのでまだまだ募集中でございます。

後、お前ら雑談から小ネタ拾った瞬間、ここぞとばかりに面白そうなネタを…。
色々と書きたいけど追いつかない自分の処理速度が恨めしいぜ…。
後、少女とか書いてるけど、大人勢は可です。
心が清ければ何時だって女性は女の子なんだってはやりんが言ってた><

和との一件から既に二週間が経過した。
けれども、俺は未だに自分の部屋に閉じこもって、外に出ていなかった。
自分のしてしまった事に押しつぶされ、咲たちの顔を見るのも億劫だったのである。
そんな俺に対して咲たちが沢山、メールをくれたけれど、今はそれを返信する気力すらなかった。

京太郎「……」カチカチ

そんな俺が今ひたすらに自室でやっているのはネト麻だった。
メールを返信する事なく、ただただ、マウスを動かし、麻雀へと向かっている。
いや…それは向かっているのではなく、逃避なのだろう。
そうやって麻雀をしている時には少しだけ罪悪感を忘れられる。
だからこそ、俺はこうして…寝る間も惜しんでネト麻ばかりやっているんだ。

京太郎「(逃げてるだけの麻雀なんて…楽しくはない…だけど…)」カチカチ

罪悪感に今すぐ押しつぶされそうな俺を救ってくれるのは咲たちのメールじゃなくて麻雀だけだった。
そんな自分を情けないと思うものの、気を抜けば沸き上がってくる罪の意識には耐えられない。
結局、俺がネト麻から離れるのは寝る時と食事をする時、後は風呂とトイレだけという有様だった。

京太郎「(そんな生活が何時まで出来る訳じゃないって事は分かってるんだ…)」カチカチ

今でこそ両親も大目に見てくれているが、何時までも不登校の状態ではいけない。
和も少しずつ登校するようになったようだし、俺も学校へと行くべきなのだろう。
しかし、そうは思えども、俺の足はノートパソコンの前から動こうとしない。
ただただ、ネットの世界の中で麻雀に逃げ続けていた。

京太郎「(しかし…このともきーって人…良く見るな…)」

既に数えきれないほど打ち続けたネト麻の中で、その人が俺の記憶に残ったのは回数と時間が原因だった。
まるで俺の後を追いかけているのかと思うように同卓ばかりで、またネト麻をやっている時間もかなり長い。
学校に行っていない俺とほぼ変わらない時間を打ち続けているのだから、よっぽどだ。

京太郎「(もしかして…この人も引きこもりか何かなのかな…)」

もし、そうだとしたらほんのすこしだけ共感を感じる。
勿論、殆ど会話もした事がないような相手に共感を覚えるなんて馬鹿らしい事であるというのは俺にも分かっているのだ。
そもそも、相手が本当に引きこもりなのかさえ分からないのだから。
しかし、それでも、このギリギリの状況ではそれさえも救いに思えて、俺の頬がそっと緩んだ。

京太郎「はは…きもちわるいな…」

白く光るディスプレイに一瞬、映った自分の表情は妙に疲れて見える。
まるでここ少しの間に何十歳も歳をとったようなそれに思わず言葉が漏れた。
しかし、それさえも掠れており、到底、男子高校生が出した声だとは思えない。

京太郎「(今日はそろそろ休むか…)」

ふと時計を見れば既に時刻は0時を回っている。
何時もよりも少しばかり早いが、そろそろこの局も終わりだ。
それが終わったら、ベッドで横になるのが良いだろう。
そう判断しながら俺はマウスを動かし、牌を切っていった。

………



……







京太郎「…よしっと…」

最後の一局が終わったのを確認した俺はそっと肩を動かしながら声を漏らした。
最終的に二位を捲れたのは自分でも中々、上出来な戦果だと思う。
流石にあのともきーさんには勝てなかったが、初心者だった頃からは考えられない結果だ。
それに強くなっている実感を感じながら、俺は身体を動かしてコリをほぐして行く。

京太郎「ん…?」

そんな俺の目についたのはともきーさんからの1:1チャットだった。
一体、何なのかと思って読み進めれば、どうやら最後のまくりを褒めてくれているらしい。
最初に会った頃からは信じられないほどの進歩だと言ってくれているそれに俺の頬も思わず緩んだ。

京太郎「(覚えてくれていたのか…)」

ともきーさんのような強い人に覚えてもらっていたと思うと何となく嬉しい。
俺自身も相手の名前を覚えるほど対局しているのだから当然とは言え、相手は明らかな上級者なのだ。
そんな相手にまだまだ駆け出しの俺を覚えて貰っていたと思えば、承認欲求が満たされるのを感じる。

京太郎「(ありがとうございます…っと)」カタカタ

そんなともきーさんに感謝の言葉と称賛を返信する。
その間に終わった卓の中から一人、また一人と抜けていき、その場には俺たち二人だけになった。
そんな状態で流石に1:1チャットを続けている訳にはいかないと思ったのだろう。
ともきーさんから別室のチャットルームへの招待が届いた。

京太郎「(んー…まぁ、いっか)」

確かに疲れてこそいるものの、まだ明確に眠気が訪れている訳じゃない。
このままベッドに横になってもすぐさま眠る事が出来ないのは目に見えていた。
それなら、もうちょっとともきーさんと色々と話すのが良いだろう。
そう思って、俺はともきーさんの招待を承認し、別室へと飛んだ。

京太郎「(それから…まぁ…色んな事を話した)」

麻雀の事も含めて、様々なタイムリーな話題。
あれやこれやと話題は尽きる事はなく、夜中の三時までもつれ込んだ。
流石にここまで来ると俺も眠いし、相手も疲れてきているだろう。
まだ名残惜しいがそろそろ切り上げるべきだ。

ともきー>>はは、京太郎君って面白いね
京太郎「…!?」

そう思った瞬間、チャットに打ち込まれたともきーさんの言葉に俺の背筋に冷たいものが走った。
俺のハンドルネームはキョウタロウだが、読み方が別なのである。
ぶっちゃけ当て字で、普通ではキョウタロウとは読めないものだ。
そんな俺の名前をキョウタロウと読んだばかりか、リアルネームまで口にする。
それが到底、偶然とは思えず、俺の手は微かにこわばった。

京太郎「(どうする…どうすれば良い…?)」

勿論、時間も時間なのだから、ここは逃げるのが最善だ。
それでもう二度とともきーさんと会わなければ、不思議な事だったとそれだけで済む。
けれど、どうしても…確かめなければいけないような気がしてならないのだ。
逃げて逃げて…逃げた先まで…もしかしたら誰かの手のひらの上だったんじゃないか。
その恐怖が俺の手を動かし、キーボードを打った。

京太郎「(…もしかして…オレのこと知ってますか…なんて自意識過剰もいい所だ)」

ただの打ち間違いの可能性だってあるし、そもそもそれは自分で個人情報をばらしているも同然だ。
きっと普通の状態ならば、俺は決してそんな事は書き込まないだろう。
だが…もし…ともきーさんが俺の知り合いの誰かなら…これほど滑稽な事はない。
勝手に親近感を抱いていた人が、俺をネト麻で初めて褒めてくれた人が知っている誰かだとしたら…。
俺のことを心配した咲辺りだとしたら…俺は… ——

京太郎「(返事は…ない)」

そのまま一分ほど経ってもともきーさんからの返事はない。
ただただ、ともきーさんが書込み中のマークが出て、消えていくだけだ。
それだけがともきーさんが寝落ちした訳ではない事を俺に教え、待つ気力を与えてくれる。

ともきー>>ごめん。知ってる。

数分後、ともきーさんから書き込まれたそれに肩の力がどっと落ちた。
さっきの嬉しさが全て失望と無力感へと変わっていく感覚に俺は思わず上を向いてため息を吐く。
まだともきーさんが誰かは分からないが、コレ以上、話す気力はない。
今はただ倦怠感が身体にどっとのしかかり、ディスプレイを見るのも億劫だった。

ともきー>>私、龍門渕の沢村智紀…知ってるよね?
京太郎「(勿論…知ってる)」

そんな俺の視界の端に映った名前にすぐさま容姿が再生される。
県予選の決勝で咲たちと死闘を繰り広げた龍門渕は、清澄にとって縁深い高校だ。
合宿やインターハイの応援に来てくれた彼女らの事を忘れる訳がない。
ましてやともきーさん…いや、智紀さんは地味目な容姿ながら、かなりスタイルの良い人だったのだ。
直接顔を合わせた事が殆どないとは言え、ぱっと思い出せる程度には印象的な人である。

ともきー>>清澄の子から頼まれて…京太郎君を追いかけてたの

黒髪メガネと地味目な容姿をしながらも、明らかに美人の枠に入る沢村さんにそう言われるのは嬉しい。
しかし、それが俺の望んでいる意味ではない事はその乾燥したその言葉からもはっきりと伝わってくる。
勿論…そこまで麻雀部の皆に思われているのは嬉しいけれど、今はそれがとてつもなく重い。

ともきー>>でも、さっきの言葉は嘘じゃない…
京太郎「(信じられるものか…)」

返信のない俺に不安になっているのだろう。
沢村さんが付け加えたその言葉は俺を慰めるようなものだった。
けれど、今の俺にはそれさえも信じられない。
と言うよりも…確かめる術なんて、俺にはないのだから。
ああやって俺を褒めてくれたのもこうしてコンタクトを取る為だったのかもしれない。
いや、そもそもあの場にいた皆が俺の知り合いだったのかもしれない。
俺と沢村さんがこうして会話出来るようにわざと振り込んだのかもしれない。
そんなIFが胸の奥から湧き上がり、さっきの勝利の余韻を消した。
代わりにドロドロとした暗い気持ちが胸の内を支配し、俺の目尻を赤くする。

京太郎「(もう…良い…逃げよう…)」

例え、何を言われても俺はもう信じられない。
それならば、下手に沢村さんを嫌うよりも逃げた方がマシだ。
そう思って、俺の手がマウスを握り、そっとブラウザを閉じるボタンへと向かっていく。

ともきー>>ごめん。でも…もし京太郎くんにその気があるなら…龍門渕に来ない?
京太郎「…え?」

俺がそのボタンをクリックする前にチャットルームにさらに一文が追加される。
それを視界の端に捉えた俺の手は止まり、口から間抜けな声が漏れた。
まったく脈絡がないその提案に俺の思考が追いつかず、ただただ呆然と次の文を待ち続ける。

ともきー>>お詫びもしたいし…それに外に出ると気分も変わるよ
京太郎「(あぁ…なるほど。つまりは…そういう事なんだな…)」

きっと龍門渕にノコノコ出かけた所を皆が囲んで説得しようという腹なのだろう。
いや…そうじゃなくても、今の俺にはもうそうとしか思えない。
既に一度、俺を騙した沢村さんの事を信じられるはずがないのだから。
それがどれだけひねくれた見方であると分かっていても、俺は… ——

京太郎「」カチッ

結局、俺は沢村さんに何も返さないまま、そのブラウザを閉じた。
ちゃんとした退室をした訳じゃないので、数分は俺の名前が残るだろう。
それを見て、沢村さんがまだ何かを言うかもしれない。
だが、俺はもうそんな事はどうでも良かった。
唯一の逃げ場さえ奪われた俺にとってはもう…全てがどうでも良い事だったのである。

京太郎「(…寝よう)」

寝ている間だけはこの気持ち悪さから逃げられる。
そう自分に言い聞かせながら、俺はそっとベッドへと飛び込んだ。
冬の外気で冷えていた身体を布団は温め、眠気へと誘う。
それだけが救いのように思えた瞬間、俺は意識を手放し、眠りの中へと落ちていった。

………



……



…・



次の日、俺は久しぶりに外へと外出していた。
特に理由もなく、ただ周囲を散歩しようと思っただけである。
それは別に…沢村さんに外へ出た方が良いと言われたからじゃない。

京太郎「(なのに・…俺はどうしてここにいるんだろうな…)」

俺がぼぅっと突っ立っているのは龍門渕の校門近くだった。
長野随一のお嬢様校である龍門渕の壁は高く、監視カメラもばっちりである。
このままここにいたら不審者として警備員に声を掛けられるかもしれない。
しかし、そうは思えども…俺の足はそこから動くことはなかった。

京太郎「(俺は…どうしたいんだ?)」

俺の逃げ場を奪った沢村さんに対して怒りの声を向けたい…なんて気持ちは俺にはなかった。
そもそも悪いのは俺であるし、沢村さんは俺を心配した麻雀部から頼まれただけなのだから。
かと言って、のうのうと顔を見せに出られるほど俺の面の顔は厚くなく…ここに来るつもりなんて何処にもなかった。

京太郎「(でも…)」

あの時、何も言わずにブラウザを閉じた罪悪感が、俺の足をここへと向けた。
勿論…そんなもの今更だという自覚は俺の中にもある。
そんな風に思うくらいなら、最初っから咲たちに向き合っていればよかっただけの話なのだから。
しかし、沢村さんが俺のことを心配してくれた人ではなく…ただただ頼まれていただけの第三者だったからだろうか。
どうしてもその罪悪感から目を背ける事が出来なかったのである。

京太郎「(一瞬だけだ。一瞬だけ…通ってみよう)」

そんな俺がそっと足を向けたのは龍門渕の校門に向けてだった。
勿論…俺には沢村さんの言葉に従うつもりなどない。
流石にいくらか冷静になった今、沢村さんが騙しているとは思っていないが、顔を合わせたくはないのだから。
それでも俺が足を進めたのは、ただの確認の為である。

京太郎「(…そう。確認なんだ…別に…何か意味のある事じゃない)」

お嬢様校である龍門渕は基本的に部外者立入禁止だ。
そんな場所に男子が入ろうとすれば、確認や連絡などでかなりの時間を食う事になる。
だから…もしかしたら沢村さんが俺を校門のところで待っているかもしれない。
ふと浮かんだその予想に俺は逆らう事が出来なかった。

京太郎「(そんな事はない…そんな事…あるはずないんだ…)」

しかし…俺の罪悪感がその言葉を認めず、焦燥へと駆り立てる。
ないはずの予想を現実味のあるものとし、半ば掛けるようにして校門へと急がせた。
そんな俺とすれ違う龍門渕の制服を来た子たちが訝しげな視線を向けるが、今の俺はそれに構っていられない。

京太郎「あ…」

しかし、そんな俺の目に入ったのは誰もいない校門だった。
どうやら俺の予想に反して —— いや、ある意味、予想通りに —— 沢村さんは待っていなかったらしい。
それに一つ安堵をしながら、俺はそっと胸をなでおろした。
これでもう確認する事は何もない。
後はただ帰るだけだと踵を返そうとした瞬間、俺の視界に艶やかな黒髪が横切った。

智紀「こんにちは」
京太郎「…え?」
智紀「…お願いします」
京太郎「な…ぬぉわああ!?」

メガネをつけ、そっと微笑むその女性は…間違いなく沢村さんだった。
それに俺が困惑の声をあげた瞬間、俺の身体が一瞬で縄で簀巻きにされ、ぎゅっと縛られる。
まるで幻か何かのように俺を一瞬で縛ったそれに抗おうと身体を揺するが、肌へと食いこむ縄の感触は間違いなく本物だった。
どうやら俺は幻や見間違いなどではなく、縛られているらしい。

智紀「…お見事」
ハギヨシ「何、これくらい執事として当然の事です」
京太郎「は、ハギヨシさん!?」

そんな俺の視界に現れたのは真っ黒な燕尾服に身を包んだ友人だった。
全国大会の後、色々あって交流を持つようになったその年上の男性はおおよそ出来ない事がまるでないような完璧超人である。
まるで夢を見ているようなこの縛り方も、ハギヨシさんの手によるものだとしたら納得出来るくらいに。

ハギヨシ「ようこそ、龍門渕へ」
智紀「歓迎する」
京太郎「そんなふうにはまったく見えない訳ですけど!?」

人の事を縛り上げておいて、歓迎とは一体、どういう事か。
そう口にする俺をハギヨシさんがそっと抱え上げ、ズンズンと進んでいく。
しかし、その足取りは軽く、到底、男子高校生を一人、抱えているとは思えない。
見た目は俺以上に細身なこの人の何処にそんな力があるのか、不思議なくらいだ。

智紀「だって…逃げるでしょ?」
京太郎「そりゃ…逃げますよ。だって、俺…」

俺が沢村さんにやったのは八つ当たりだ。
それで顔を合せる事なんて出来ない。
そもそも…ここに来たのだってあくまで罪悪感に駆られて確認する為だけで会うつもりなどまったくなかったのだから。

智紀「私は気にしてない。…と言うか、京太郎君の反応は普通の事」
京太郎「へ…?」

そんな俺を許すような言葉に俺はマヌケな声を返してしまう。
気にしていないといわれるのはいいが、俺の反応が普通と言うのはどういう事か。
俺としては考えうる中でもかなり悪印象を与えるものを選択してしまったと思うのだが…

智紀「誰だってあんなハンドルネーム、リアルの友人に見られたくはない」
京太郎「…そ、そんなに変ですか?」
智紀「…控えめに言って…かなり痛々しい」

そっと目を背けるようにして口にする沢村さんの言葉が胸に突き刺さった。
そう言えば、和は必死にこの名前を止めさせようとしていたし、優希辺りは頬を引き攣らせていたような気がする。
そんな中、部長だけが大爆笑して、俺のことを擁護してくれたのでこのまま使っていたものの、痛々しいといわれるほど変だとは思っていなかった。

このスレのともきーは腐ってないのでカンちゃんが望むような展開にはならないよ!
後、お腹減ったし、飯食ってくる。
つーか…小ネタなのにまったく話が進まないんだが、どういう事なんだよ…(震え声)

智紀「ともあれ…そのお詫びに…京太郎君を龍門渕へとご招待」
京太郎「いや…もうそれは良いですけど…何をするんですか?」

色々と打ちひしがれて、抵抗する気力がなくなった俺は沢村さんにそう尋ねた。
正直、ご招待と言われても、俺にはどうしたら良いのかまったくわからない。
俺とハギヨシさんは友人ではあるが、だからと言って、この完璧を絵に描いたような執事が主人をほったらかして仕事中に歓談するようなタイプではない事は知っている。
つまり必然的に俺は超アウェーの中に一人ポツンと残される訳だ。
そんな状態で一体、何をしても楽しむなんていう気持ちにはなれないだろう。

智紀「大丈夫。京太郎君がやるべき事は私が与えてあげるから」
京太郎「え?」

そんな俺に届いたのは何とも蠱惑的な沢村さんの言葉だった。
何処か甘くも危険なその響きに俺の心臓は反応し、興奮を広げる。
勿論、理性では俺が期待しているような意味ではないという事くらい分かっているのだ。
しかし、かと言って胸に渦巻く落ち着かなさはどうしてもなくならない。
もしかして…そういうお礼なのかという現金な思考が叩いても叩いても顔を出してしまうのである。

智紀「題して…」
京太郎「題して?」ゴクッ

そこで溜めを作る沢村さんの前で俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。
胸の内から湧き上がる期待をそのまま飲み込むようなそれは思ったよりも力強く空気を震わせる。
それが沢村さんや俺を抱き上げているハギヨシさんに届いていないように祈りながら、俺はじっと沢村さんの次の言葉を待ち続けた。

智紀「チキチキ龍門渕執事体験ツアー」
京太郎「…え?」
ハギヨシ「今日一日、よろしくお願いしますね」
京太郎「……はい?」


………



……








結果から言えば、沢村さんの言葉は俺の聞き間違いじゃなかった。
本当の本当に俺は龍門渕で執事を体験する為に呼ばれたらしい。
それに気づいたのはハギヨシさんの予備の服を借りて、龍門渕透華さんへと紹介されてからだった。
自分でも遅すぎるとは思うものの、俺はその時まで本気で沢村さんの冗談だと思っていたのである。

京太郎「(とは言え…紹介された以上、真面目にやらないとなぁ…)」

そう思ってハギヨシさんの仕事についていったものの、俺はどうやら執事というものを甘く見ていたらしい。
俺も雑用人生がそれなりにあるので、人並み程度には出来ると自負していたが…ハギヨシさんの足元にも及ばなかった。
俺がひとつ仕事を終わらせる間に数倍の仕事量をこなすハギヨシさんが本当に人間か疑わしくなったくらいである。
機敏かつミスがない動作を常に維持するその様はいっそアンドロイドかに思える。

京太郎「(こんなものを毎日やってるのか…)」

結果、数時間後には俺の身体は疲労を訴え、ぐったりとしていた。
ここ最近、ずっと寝不足でろくに運動もしていなかったとは言え、それ以上にハードワーク過ぎる。
これを毎日、休まずに一人でこなし、尚且つ涼しい顔をしているハギヨシさんの体力はきっと底なしなんだろう。
リビングのソファーでぐったりと横になりながら、俺はふとそんな事を思った。

智紀「お疲れ様」
京太郎「うっす…」

そんな俺に声を掛けてくれたのはメイド服姿の沢村さんだった。
フリルを多めにあしらったそれは地味目の沢村さんが人並み外れた美人である事を強調している。
さっき俺を迎えに来てくれた時の制服も素晴らしいが、メイド服はさらに沢村さんの魅力を引き立てているように思えた。

智紀「どうだった?」
京太郎「…ちょっと自信なくしました…」

別に俺が雑用最強だなんて驕っていたつもりはない。
世の中には上には上がいるし、それに勝てるとは思っていなかったのだ。
しかし、結局、最後までハギヨシさんの仕事についていけず、こうやってぶっ倒れるだなんて情けない様を見せるなんて考慮していない。
俺の中のちっぽけな雑用としてのプライドはボロボロであり、当分、再起は難しそうだった。

智紀「ハギヨシさんはバケモノだからついていけないのが当然」
京太郎「いや…化け物って…」
智紀「あの人一人で私達十数人分の仕事をしてるから…」

そっと目を背けながらの沢村さんの言葉に俺はあんぐりと口を開けてしまう。
だが、それでも沢村さんの言っているそれが決して嘘とは思えない。
間近でその仕事ぶりを見ていて、それくらいやってもおかしくないと言う凄みが伝わってくるのだ。

京太郎「じゃあ、何でそんな人に俺を預けたんですか…」

勿論、その事そのものに不満はない。
こうして一緒に仕事をして、参考になった事は数え切れないほどあるのだから。
しかし、それでも初心者である俺を本職のメイドさんたち数十人分の働きをするハギヨシさんに預けるのは明らかに間違っているだろう。

智紀「でも…忙しくて気晴らしが出来たでしょ?」
京太郎「あ…」

悪戯っぽく俺にウィンクしながらの沢村さんの言葉に俺は思わず声をあげてしまう。
確かに忙しすぎて、自己嫌悪だとかそういうのを言っている余裕はなくなっていた。
それを指摘された今も、もやもやとした暗い感情はなくなり、何処かすっきりとしている。

智紀「部屋の中で腐ってたって何も解決しないし…外には色んな事があるんだから」
智紀「中で解決しないなら…色々と出歩くのが良いよ」
智紀「引きこもりの先輩としてのアドバイス」クスッ
京太郎「はは…敵いませんね…」

俺がこうなる事も沢村さんにとっては予想通りのものだったのだろう。
けれど、今はそれが嫌ではない。
そう思うのは…沢村さんとの距離が今の俺にとって心地良いものだからだろう。
心配するのではなく、ただ先駆者として助言をくれるその姿勢は…ナーバスになっている俺にとって心底有難かった。

智紀「まだまだそう言うのには早い」
京太郎「え…?」
智紀「私のバトルフェイズはまだ終了してない」キリリッ
京太郎「コレ以上、まだ何かするんですか…」

良くわからない沢村さんの言葉に俺は上体を起こしながら応える。
それなりに横になっていたお陰で体力は回復したが、またハギヨシさんについていくのは無理だ。
まだ心が折れた訳ではないが、今のコンディションではハギヨシさんの迷惑になる事が分かりきっているのだから。

智紀「大丈夫。疲れる事はもう終わり。私も仕事終わったし」
京太郎「ほっ…」

だが、もう仕事を手伝わされる事はないらしい。
それに思わず安堵の溜息を吐いた瞬間、沢村さんがそっとメガネをあげた。
瞬間、シャンデリアの光を反射したレンズがきらりと光り、独特の迫力を作り出す。
それに思わず頬が引きつった瞬間、沢村さんが口を開いた。

智紀「だから、次はお勉強の時間」
京太郎「…え…?」

………



……








智紀「京太郎君は基礎はそこそこだけど、判断力がまだ甘い」
智紀「見た感じ、洞察力は良いのに、それじゃあ勿体無い」
智紀「…だから、今日はそれを鍛える」
京太郎「いや…それは良いんですが…」

沢村さんの指摘は、和との一件以来、我流でやってきた俺には有難いものだった。
ぶっちゃけ一人では自分に何が足りないのか分からず、ネト麻でもがむしゃらに打っていただけなのだから。
それを天下の龍門渕のレギュラーが鍛えてくれると言うのなら、是非もない話だろう。
だけど… ——

京太郎「なんで、沢村さんの部屋なんですか…」

そう。
俺がいるのは他のだれでもない沢村さんの私室だった。
デスクトップの見るからに高性能なパソコンが三台並ぶそれはモバイルPCを手放さない沢村さんらしいと言えるのかもしれない。
その他にも女っ気と呼べるものはほとんどなく咲や和の部屋とは凄い対照的に思えた。

京太郎「(でも…女の人の部屋なんだよな…)」

それは壁やベッドに染み込んだ匂いからはっきりと分かる。
そして、だからこそ、俺は妙にドギマギして、落ち着かなかった。
そこに微かに嫌な予感が混じっているのは和の時を彷彿とさせるからだろう。
そんな場所はどう贔屓目に言っても、居心地が良いとは思えず、寧ろリビングか何処かの方が嬉しいくらいだ。

智紀「だって…他のところじゃ集中出来ない」
京太郎「いや…だからって沢村さんの部屋はちょっと…もう夜も遅いですし…」

既に時刻は22時を周り、日も完全に落ちていた。
それくらいの時間まで女性の部屋にいるというのは、ある意味、咲で慣れているが、それはあくまで咲の話である。
今日まで殆ど交流がなかった沢村さんの部屋にこんな時間にお邪魔させてもらうというのはやはり緊張するし、不躾な気がしてならない。

ここって他スレネタありだったっけ?

智紀「京太郎君は意識しすぎ」
京太郎「いや、普通はしますってば…」

何せ、沢村さんは間違いなく美人であり、スタイルも良いのだ。
そんな人の部屋にお邪魔して意識するなと言う方が無茶だろう。
ましてや、俺は沢村さんに八つ当たりしたと言う後ろ暗いものを持っている身だ。
それがあまり気にならなくなったとは言え、今すぐ開き直るような事は出来ない。

智紀「それは麻雀に気が入っていない証拠」
智紀「今からそれも矯正する…」
京太郎「んな無茶な…」

しかし、それが沢村さんには気に入らないらしい。
キラリとメガネを光らせながら、俺の前に牌を広げる。
それを見ながら、肩を落とす俺にびっと沢村さんが牌を突きつけた。

智紀「大丈夫。本当に集中すれば場所も相手も気にならない」
京太郎「初心者にはハードル高くないですか!?」
智紀「初心者は関係ない。ただ、集中出来るか出来ないかだから」
京太郎「うぐ…」

正論にも程がある沢村さんの言葉に俺は思わず言葉を詰まらせる。
確かにこれが能力を使えとかならまだしも、集中なんてある意味、誰でも出来るものだ。
周囲の環境を全てシャットアウトしろという沢村さんのそれはハードルが高いものの、無茶とは言えないものだろう。

智紀「それに…強くなりたいんでしょ…?」
京太郎「……」

試すような沢村さんの言葉に俺は即答出来なかった。
確かに…俺は強くなりたいし、麻雀をもっと楽しみたい。
しかし、そう思う一方で俺の脳裏に和の姿がちらつくのだ。
明らかに…俺が和了った事と関連する彼女の変調。
それが何やら俺の中で警告のように浮かび上がり、グルグルと渦巻き始める。

智紀「もし、そうなら色んな打ち手に教えてもらえる機会は大事にするべき」
京太郎「…そうです…ね」

付け加えるような沢村さんの言葉に俺もまた同意の言葉を返した。
確かに和の事は気になるが、こうして龍門渕の選手に教えてもらえるのは願ってもないチャンスである。
ましてや相手はオカルトを使わない完全なデータ雀士。
和の教えから足踏みを繰り返している俺にとって、その教えは大きなものになるのは今からでも分かる。

智紀「じゃあ…始める…」
智紀「あ…ちなみに…合格出来るまで寝かさないから」
京太郎「え…?」
智紀「じゃあ、第一問」
京太郎「え…ちょ、ま…え、えぇぇ!?」



………



……







結果から言えば、沢村さんは和以上のスパルタだった。
ヒントは必要最低限で、分かるまでやり直しがデフォである。
お陰で何度間違えて、沢村さんに牌を組み直してもらったか分からない。
しかし、それでも一問また一問とクリアする度に自分の中で朧気ながらに形になっていくのが分かる。

京太郎「…コレ…ですね」
智紀「ん。正解」

それがまだどういうものなのかは俺にも分からない。
しかし、どれがこの状況で切るべき牌なのかは感覚的ではあるが、少しずつ分かり始めていた。
お陰で正解する速度は少しずつあがり、沢村さんの顔に僅かな笑みを浮かべさせる事に成功する。

京太郎「(とは言え…もう夜も遅いしな…)」

チラリとベッドの枕元にある時計に目を向ければ、夜中の1時を指していた。
沢村さんの活動時間を思うに夜型人間であるのは確かだが、そろそろ寝るべきだろう。
コレ以上の夜更かしは肌に悪いし、何より明日に差し支える。
こうやって教えてもらうのは嬉しいが、デメリットを被ってまで教えてもらう義理はないのだ。

京太郎「それじゃ…俺は今日、もう休みますね」

既にハギヨシさんから両親に連絡がいっており、泊まりの許可は貰っていた。
龍門渕さんからも来客用の部屋の使用許可を貰っているし、安心して寝る事が出来る。
何時もならまだもうちょっと遅い目の時間に寝るのだが、今日は疲れている所為か、今の時点でも結構、眠い。
流石に目がしょぼしょぼするレベルではないが、あくびが出そうになるくらいだ。

智紀「じゃあ…卒業試験」
京太郎「えぇ…」

しかし、沢村さんはそんな俺をまだ解放するつもりはないらしい。
キランとメガネを光らせながら、山を崩して牌を混ぜ始める。
それに不服の言葉を口にするが、沢村さんは止まらず、山を積み始めた。

智紀「実戦形式で私から和了をとれたら京太郎君の勝ち」
京太郎「出来なかったら…?」
智紀「出来るまでやる」
京太郎「oh…」

相変わらずのスパルタ方式に俺は思わず声をあげる。
しかし、かと言って、沢村さんがそれを考慮してくれるとは思わなかった。
この人がやると言ったら本当にやる。
それをこれまでの経験で嫌というほど思い知った俺は、山から牌を取り、卒業試験に臨んだ。


おなかいっぱいになって ねむいので ここでやめます 
ともきーちゃんは ニキたちとは べつのいみで だんじょかんに むとんちゃくだとおもいます
でも、そんなともきーちゃんが デレると きっとかわいいんじゃないかな ?

>>111
他スレネタはやり過ぎなきゃ良いよ。
○○って何?→○○スレの○○くらいなら全然、オッケー。
俺もたまに他スレの事、話題に出すしね。
ダメなのは他スレのネタバレしたりする事。
特にここは鬱とかそう言うのは無いスレだから、そういうのは持ち込まないで欲しい。

入学前の生徒まで挙がってるのにワカメェ……

面白そうだから、俺も混ぜろよ。

実際、やるとしたら
久=令子は確定として、
美穂子=キヌ+?
和=ルシオラか龍神様
シロ=ロボ子
トシさん=カオス
姫様=言わずとしれたあの子
で、この世界のゴーストスイーパーは霊石から削りだした麻雀牌で除霊する…みたいな形になると思う。
んで、途中で京ちゃんがカエルの神様や魔女と契約し、聖戦士として覚醒しながらラスボスを倒すみたいな形になるんじゃないかな!?

>>133
既に偉大な京まこスレがあるからな…。
続き待ってます…(白目)

ルシオラ役だと実質的に正妻ポジだから京和派としては非情に魅力的ではあるが
同時にルシオラ役だと死んでしまうことが確定しちゃうのがつらい…

>>140
>>で、この世界のゴーストスイーパーは霊石から削りだした麻雀牌で除霊する…みたいな形になると思う。
>>んで、途中で京ちゃんがカエルの神様や魔女と契約し、聖戦士として覚醒しながらラスボスを倒すみたいな形になるんじゃないかな!?

こんな事書いてる俺が原作通りに進める訳ないだろ!?
ぶっちゃけ途中で路線変更して伝説の大悪魔が封じられた三元牌の争奪戦になると思います。
あれ…何か獄卒の鎧を着込んでロリ鬼が嫁になりそうな路線になってきたぞ…。



後、このスレの京ちゃんは基本アニメ寄りだよ!!
明るくスケベでポジティブなタイプだよ!!
ただ、能力が普通に考えて割りとヘヴィなのでSAN値削ってるだけだよ!!
まぁ、それだけ美味しい思いしてるから別に良いよね!!!

まこ先輩にはGSで数少ない常識人であるカラス先生ポジを…え?部長と年齢が逆?
そんなの気にすんな(迫真)
後、リザべコンビちょこっと書いてみたけど博多弁やばい。
変換ないと書ける気がしないから、かなり遅くなると思う。

〜 智紀 〜

京太郎君の打ち方は特に面白みのないものだ。
そう思うのはそれだけ基礎がしっかりしている裏返しなのだろう。
護るべき所を護り、攻めるべきところを攻める。
そんなメリハリのしっかりした麻雀は勝ちにくくも負けにくいものだ。

智紀「(多分、彼に一番、麻雀を教えた人はまずは長く楽しんで欲しかったんでしょう)」

すぐに飛んだりせず、まずは焼き鳥でも良いから最後まで楽しめる。
そんな初心者に対する配慮が彼の打ち筋からはっきりと伝わってきた。
それに対して麻雀歴がそれほど深い訳じゃない私が何か言える訳じゃない。
でも…ただひとつだけ言える事は… ——

智紀「(このままじゃ…すぐに打ち止め…)」

今も恐ろしい速度で成長している京太郎君。
しかし、このままの打ち方をしていたら、それはもうすぐ頭打ちになってしまうだろう。
そうなった時、彼が麻雀に対して何を思うのか、私には分からない。
そこまで彼の事を心配する義理は私にはないし、こうして打っているのも成り行きと言う面が強いのだから。
しかし、それを踏まえても…目に見えて強くなっていく彼が麻雀を嫌がるようになるというのは面白い想像じゃなかった。

智紀「(だから…私に出来る事をする…)」

私が清澄の子に頼まれたのはネト麻に出没している京太郎君の様子をそれとなく伺う事だ。
こうして直接会って、指導したりする事なんて一言も頼まれていない。
だから…私と彼との縁はこれまで。
今夜だけの…ほんの僅かな邂逅で…後はもうマトモに会う事だってなくなるだろう。
だからこそ…私は京太郎君をこのまま帰したくなかった。
どうせ、今夜だけの関係なら…私にしてあげられる事を精一杯してあげたい。
そう思わせるような何かが京太郎君にはあった。

智紀「(これが…庇護欲って奴なのかな…)」

自分ではそれほど母性愛が強いタイプだとは思っていない。
寧ろ、比較的サバサバしたタイプだと思っていたのである。
けれど…憔悴し、元のハツラツとした雰囲気を何処かへと置き忘れたような京太郎君の事はどうしても放っておけない。

智紀「(まったく…監視カメラなんて見なければよかった…)」

今日一日、彼が来るかもしれないと監視カメラとにらめっこなんてしなければこんな事にはならなかったのだろう。
けれど…実際、彼は私の前に現れ…そうして私は今も胸の内に残るしこりを得てしまった。
それはもうどれだけ後悔しても…どうにもならない事である。
ならば、今は少しでも京太郎君の力になってあげよう。
そう思いながら、私は牌を倒していった。

智紀「(でも…そう簡単にはいかないか…)」

卒業試験と私が言ってから、既に三局。
その間、和了ったのは私だけで須賀君からの和了はなかった。
聴牌している気配までは感じるものの、後一歩、何かが足りないらしい。

智紀「(…だけど…)」

しかし、それに関して京太郎君がもどかしいとも何とも感じている様子がないのは変だった。
いや、私が和了る度にほっとしている様子さえある。
さっきまで知識を吸収することに貪欲だったとは思えない京太郎君の姿。
それに違和感を覚えながらも、私はそれを口に出す事はしなかった。

智紀「(…9局目…)」

だが、それが二桁を目前とする回数にもなるとやはり気になってしまう。
明らかに京太郎君は聴牌しているし、私もまた危険牌を打っている。
それなのに彼がツモ和了やロンを宣言する様子はない。
いや、それどころか、テンパイ気配がどれだけ濃厚だとうとノーテン宣言を続けているのだ。

智紀「(…コレは幾ら何でもおかしい)」

そんな舐めプをして喜ぶようなタイプじゃない事は既に分かっている。
いや、喜んでいるどころか、微かに恐怖すら浮かべるそれは彼自身が追い詰められている事を私に教えた。
ついさっきまで麻雀を楽しんでいた彼の…強張った表情はタダ事とは思えない。
あまり突っ込んだ事を言い過ぎるのはいけないと思いつつ…私が口を開いてしまうくらいに。

智紀「…次はお互いに手牌を見せながらやりましょう」
京太郎「え…でも…」
智紀「その代わり、テンパイしたら即リー。どっちかが先に飛ぶデスゲーム」ニヤリ
京太郎「う…」

文字通りお互いノーガードの殴りあい宣言。
それに京太郎君が呻き声をあげるものの、それを撤回するつもりはなかった。
一体、京太郎くんが何を怖がっているのかは知らないが、そういうものが入る余地のない領域に追い込んでやれば良い。
それがこの十局近く付き合ってきた私なりの答えだった。

智紀「…ふざけた打ち方したら…また特訓再開だから」
京太郎「ひぃ!?」

そのままジャラジャラと山を積み直す私の前で京太郎君が小さく悲鳴をあげた。
まるで小動物のようなその悲鳴に、私の口から笑みが漏れる。
別にそこまで意地悪なつもりはないが、彼はとてもいじりやすい性格をしているのだ。
きっと清澄でも玩具にされている事がありありと想像出来るくらいに。

智紀「じゃあ…やろう?」
京太郎「う…うっす…」

そんな私の宣言に怯えながら京太郎くんも応える。
それにまたひとつ笑みが漏れるのを感じながら、私はそっと牌を手に取っていった。
彼に見やすいように倒しながらのそれは良くも悪くもない微妙なものである。
手に来る状況によってはベタ降りも選択するそれに対して、須賀君は… ——

智紀「あら…?」

一気通貫完成目前の好配牌。
しかも、私の手の中に彼の当たり牌はなく、完成も見えてくる形だ。
ここに至って運に恵まれたのか、それとも隠していただけでずっとこんな形だったのか。
何にせよ…コレ以上は逃さない。
そう胸中で呟きながら、私は牌を打ち始めた。

智紀「…」スッ

数巡後、当たり牌に恵まれた私はリーチを掛けられる状態になる。
けれど、目の前でオープンされている京太郎君の手は一気通貫であり、ルール上リーチもつく形だ。
普段ならここでリーチなんて決してしないだろう。
だが、これは別に勝つための麻雀ではなく、京太郎君を逃がさない為の麻雀である。

智紀「リーチ」
京太郎「あ…」

それ故に自分が作り上げたルールに則り、私はリーチを宣言する。
それに小さく声をあげて、怯える表情を見せるのは一体、どうしてなのか。
とても気になるのだが…どうしても聞く勇気が出ない。

智紀「次、そっちの番」
京太郎「は、はい…」

そんな自分に苛立ちを感じた私の声には少し刺々しいものへと変わっていた。
それに京太郎君の怯えが強くなるのを傍目で見ながら、私は内心ため息を吐く。
京太郎君を弄るのは嫌いじゃないとは言え、そうやって怯えさせたり、萎縮させたい訳じゃないのだ。
もっとこう和やかに…仲良くなって行きたいのである。
それなのに、私は何をやっているのか。
そう自嘲を覚える私の前で京太郎君が引いたのは…当たり牌。
一気通貫にリーチを掛けられる形だった。

京太郎「り、リーチ」

それに点棒を差し出しながら、京太郎君は大きく息を吸った。
まるで自分を落ち着けようとするようなそれが何となく面白く無い。
そこまで和了を怖がるほどの何かがあるのに…それを口にしない京太郎君に苛立ちを感じるくらいに。

智紀「(まぁ…でも…逃さないから)」

確かに一気通貫はあまり効率の良い手ではない。
二面待ちは出来ないし、必要な牌もバラバラでよっぽどでないと完成しないのだから。
しかし…彼が和了るのに必要な牌はまだ四枚全部が山の中に眠っている。
後はそれを私か彼が引くか、或いは私の当たり牌を引くかの勝負だ。

智紀「じゃあ…続けるよ」スッ
京太郎「…うっす」

そしてリーチから二巡目。
逃げられない私が引いた牌は… ——


— 八筒

京太郎君の一気通貫完成に唯一、足りなかった牌。
それをリーチをしている私は自分の手へと組み込めない。
故に私はそれをそのまま河へと流し…小さく肩を下ろす。

智紀「(…勝った)」

いや、普通で考えれば敗北なのだけれど、ある意味で京太郎くんに勝ったと言うべきか。
袋小路に追い詰めた彼に一撃を加えられる牌を引いたのだから。
こちらの当たり牌二枚に対して、二倍の確率だったとは言え、麻雀とは確率で測れない事もあるゲームだ。
こうやって先に彼が和了る為の状況を整えられた事に微かな安堵を感じる。

智紀「…ほら、宣言」
京太郎「あ…いや…」

しかし、そんな私の前で京太郎君は逡巡を浮かべる。
今更、役や点数が分かっていない…なんて事はないだろう。
それなのにこうして迷うのはやはり何かを怖がっているからか。
しかし、私はそんな彼の悩みを一々、聞いてあげるほど優しいタイプではない。

智紀「一気通貫、オープンリーチ…それは分かってるよね?」
京太郎「…うす」
智紀「変則形式とは言え、滅多に和了れない形なんだよ」
京太郎「はい…」

だが、そこまで言っても京太郎君は和了らない。
そっと項垂れて、どうすれば良いのか迷っているままだ。
それならば…私も何も言ってあげない。
ただただ、無言のプレッシャーだけを彼に与え、待ち続ける。
冷ややかにじっと見る私に彼がどれだけ気まずそうな顔を見せても…私は容赦する事はなかった。


京太郎「…ロン。一気通貫…」

数分後、諦めたように宣言を始める彼の前で私は歪んだ優越感を得ていた。
実際のゲームとは勝者と敗者がまったく別とは言え、私は京太郎君に勝ち、そして彼は私に負けたのである。
しかも、それを今まで逃げようとしていた京太郎君に認めさせるのだから…気分が良い。

— けれど、それが次の彼の宣言で消し飛んだ。

京太郎「オープンリーチ。点数は…」
智紀「ひぅ…ぅっ♥」

瞬間、さっきの優越感よりも大きな何かが私の背筋を駆け抜け、ゾクゾクと揺らす。
まるで身体の中に電流が走るようなそれに私の背筋がピンと伸び、思わず肩を抱きしめた。
しかし、中を駆け巡るそれはまったく消える事はなく、そうやって抱きしめた私の中を暴れまわっている。

智紀「(これ…何…ぃっ♥)」

ともすれば、不快感にも変わりそうな強くビリビリとした感覚。
でも…身体はそれを間違いなく悦び、そして喜んでいるのを感じる。
今まで生きてきた中で…そんな風になった事は一度もない。
聞いたことも経験したこともない未知の感覚に、私は困惑を浮かべ、頭を揺すった。

智紀「(なのに…物足り…ない…♪♪)」

未だ私の中で暴れまわるような独特の甘い痺れ。
けれど、それがどれだけ駆けまわっても私の身体は満足していなかった。
まるでこれが序章にすぎないのだと…始まりにすぎないのだと分かっているような…その不思議な感覚。
それに肌を震わせる私に京太郎君が駆け寄ってくるのが見えた。

京太郎「だいじょ…うわっ!」

そうやって駆け寄ってくれた彼を私はそのままカーペットの上へと押し倒した。
柔らかなカーペットとは言え、二人分の体重は殺せず、ドンと衝撃が走る。
もしかしたら、隣の部屋くらいには聞こえているかもしれない。
けれど…私はもうそんな事では止まれない。
京太郎君の肩をがっちりと掴んだまま、ハァハァと息を吐き、彼に馬乗りになっていくのだ。

智紀「何を…したの…?」
京太郎「え…何って」
智紀「おかしい…っ♪こんな…おかしい…ぃ…♥」

そうやって尋ねる私の声は要領を得ず、彼に不思議そうに問い返されてしまう。
しかし、ボォと熱くなった頭の中では物足りなさが渦巻き、彼にどう言えば良いのか分からない。
ソレが悔しくて歯噛みした瞬間、私のお尻に何か硬いものが押し当てられた。

京太郎「あ、あの…沢村さん離れて…」
智紀「はぁ…♪はぁぁ…♥」

そんな私の下で顔を真っ赤にして京太郎君が訴える。
それを見た瞬間、私の肌が一気にざわめき、さっきのゾクゾクが溢れだす。
いや、さっきよりも遥かに気持ちよさを増したそれは間違いなく快感と呼べるものなのだろう。
それを咀嚼するように確かめた瞬間、私の口は勝手に開いていた。

智紀「なんで…こんなに大きくしてるの…♥」
京太郎「そ、それは…」

尋ねる私の前で京太郎君がその顔をさらに赤く染めながら視線を背けた。
勿論、私がそうやって彼に尋ねたのはその顔が見たかったからである。
幾ら女子高にいるとは言っても…下世話な話くらい聞いた事があるのだから。
それが一体…どういう状況なのかくらい…私にだって分かっていた。

智紀「なんで…私で…興奮してるの…♥」
京太郎「い、いや、だって…!沢村さんが…」
智紀「私が…何なの…?」
京太郎「顔…赤くて…それに…その…お尻が…」
智紀「お尻が…なぁに…?」
京太郎「うあ…!」

そう言って、少しお尻を揺するだけで京太郎君は甘い声をあげる。
どことなく艶っぽいそれは…きっと彼も気持ち良いからなのだろう。
私のお尻に触れるそれが敏感なものであるという知識はあるものの、まさかこれほどとは思わなかった。
そして、何より… ——

智紀「(可愛い…っ♥京太郎君…可愛い…っ♥♥)」

私の下であられもない顔を今にも見せそうなその姿にゾクゾクとしたものを感じる。
元々、弄られて光るタイプだと思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
正直…こうして彼が恥ずかしがる様を見ている方がさっきよりも気持ち良いくらいである。

智紀「(だったら…もっと彼を辱めたら…気持ち良く…なれる…♪♪)」

それは『目覚め始めた』私にとって当然の結論だった。
そして…その為にどうすれば良いのか、私はもう分かっている。
経験こそまったくないが、僅かながらの知識と本能で…それを補う事が出来るのだから。

智紀「お仕置きが…必要…♪」

知識と本能。
その二つが教えるままに私はそっと振り返り、彼のズボンに手をかける。
そのまま、じぃっとジッパーを下ろした先から固く反り返ったものが飛び出す。
萌黄色のトランクスで覆われたそれはほんの少し触れただけでも熱と硬さが伝わってきた。

終わり(ニッコリ
続きが見たければ、また安価を取る事だな!!!!

ネト麻経由で発症する様になったら京ちゃんってテロリスト認定されても可笑しくないな

いや、まぁ、マジな話、発情させる系は本編に近くなるんでそこに至る経緯とか考えながら書かなきゃいけないから結構、気力使うんじゃよ。
楽しいことは楽しいんだけど、関係の進展+エロまでとなると結構、きつい。
塞ちゃんも実は宮守→キャラ確定安価と二回取ってるからやっただけなんじゃよ。

>>162
ネト麻経由で発症するようになったら日本の出生率和了って逆に神だと崇められるんじゃね?

つまり二回取った漫ちゃんは更に活躍する?

>>164
発散することによって小康状態にはできても、京ちゃんを受け入れないと完全鎮火できないんやなかったっけ?
まぁそれをおいてもネト麻やってたらいきなり発情する事件が頻繁したらやばくね?

>>165
漫ちゃんは逆に大活躍し過ぎてもうヒロインルート終わっちゃったヒロイン扱いです。
俺が何か思いつかない限り、イチャイチャするだけだよ!やったね!!!
いや、ホント、ごめん…合宿編に山場盛り過ぎた…。

>>166
あれ?絶対に京ちゃんじゃないとダメって言ってたっけ?
もし、そうならごめん。
一応、脳内では好きな人第一で、京ちゃんはその人がいなかった場合。
後、後遺症も京ちゃん限定じゃなくて、ヤッちゃって刷り込まれた相手に向けられます。
つまり京ちゃんの能力がネト麻越しに発動するとエロ貞淑な巨乳が増える訳だね!!!

>>168
発情対象が京太郎のみだったのと、和が自己処理で完全鎮火できないってので勘違いしてました

婚前手続きとして重宝されるだろうな

>>172つまりこういう事か
★発情代行始めました★
意中の相手との仲を進めたいしたいけどその機会が無い、相手のガードが硬い、そんなときに!
オカルト麻雀で鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに発情させてくれます!
モチロン媚薬を用意する必要もありません!スタッフがあなたの意中の相手を発情させます。
1時間1200〜 24時間営業 年中無休!

        ,..-—へ/ . : : :ヽー- 、

        彡';´.:/.: : : ; : : ヽ: : .、ヽ
         //: : i: : : : :ハハ: : ;ハ:i、 iヾ、
   ー--‐':´: : : : |: : : | |   ゙、: ! И人ト、
   \__: : : /: :ヽ!、: |!    V     ハ
       / : /: : :/   r- 、 __, -‐'   !
        !:∠:イ´   丶、 _     _,..ノ
        |ハ:(        U   ̄ ̄   /
        |;ヘー\            /
            \: ;ヽ、   r--‐'′
           r—┴┐ ├┬┐
          ノ::::::::::::::|i  ! _|O|_
          /:: ̄ ̄ ̄\「:::: ̄:::::::\

…あれ?思ったより普通…。



後、本編はあくまでも京太郎の認識によって発動が決まってるのでネト麻越し発動はありません。
偽乳でも問題なく発動するよ、やったね!!
ついでに元祖ドMヒーロースレなんて見てる訳ないだろ!!
マテパ起用なんて嬉しすぎます!一生ついていくぜボス!!

乙です。
某ドMヒーローの所も久しぶりに京太郎が出てきそうな感じでしたね。
こっちの京太郎も修行の果てに斉天大聖の力を手に入れる可能性が微レ存?

ドMヒーローと聞いててっきり京太郎がパンティ被ってそのパンティの持ち主の能力と雀力を得る能力で
謎の雀士変態仮面として活躍するSSスレが出来たのかと思った。

よく考えたらステカセキングのパクリやった

スレタイハラデイ(憤怒)

『やらない夫』『独りだけの戦隊ヒーロー』で検索をかけると幸せになれるんじゃないかな。知らんけど。

忙しい時期を乗り越えて、さてともきーネタを堪能するかとパンツを脱いで読み進めたら寸止めで全俺が泣いた。
ほんとイッチはひどい人や…

マテパはチョーさん戦とドルチルVSヨマ戦が大好きです。
後、周りじゃ評判悪いけどゼロクロイツも好きだよ!!
終盤の展開は読者の期待をいい意味で裏切る土塚先生らしかったと思う。

>>180
既に>>181が出してくれてるキーワードで検索すれば多分、出るよ。
ただ、マテパが出るのは本編じゃなく小ネタだからそれだけが目当てならまとめサイトで見るのをおすすめする。
本編も黄色くてあざとい天使が「もう主人公の身体じゃないと満足できない」と言ったり、
第二主人公が淫魔二人とハーレム展開だったり、
女の子が催淫効果のある匂いで発情しちゃったりととってもエロエロだからオススメだよ!!(ニッコリ)

>>185
俺はお前らの阿鼻叫喚が聞きたくてスレやってるからな。
いや、ホント、ごめんね…。

>>178
本編も楽しみだけど、小ネタも楽しみだよねwwww
ほむら中学しかり、神牌しかり。
後、ここはそういう硬派なスレじゃないんで修行しても特に能力とか手に入りません。
精々、発動対象の依存度を高めたりするくらいじゃないかな!?

>>179
さぁ、早くその内容でスレを立てる作業に戻るんだ。

白水哩にとって、須賀京太郎は嫌悪の対象だった。
それは決して、彼が彼女に対して何かやったからではない。
寧ろ、京太郎は哩に対して後輩としての尊意を持って接している。
多少、スケベな面こそあれど、それは年頃の男子高校生として許容出来るレベルだし、何より京太郎は誰に対しても優しい。
話題も豊富で人懐っこい彼は入学してすぐに新道寺高校に馴染んでいた。

哩「(そう…彼には何ん非はなか)」

寧ろ、とても人間味にあふれて魅力的な男である事は哩も認めるところだった。
しかし…それでも哩が彼を好きになれない理由がある。
それは… ——

哩「んふ…ぅ♪」

ビリリと肌を揺らすように伝わる感覚は哩のものではない。
彼女と深い絆で繋がった鶴田姫子のものだ。

— リザベーション。

そう名付けられた絆の境地。
心だけでなく、魂までも繋がった二人だからこそ到れる強大な絆。
それは時として、お互いの感覚を伝えるほどの強固であり…誰にも断ち切れない唯一無二のもの。
少なくとも哩はそう信じてきたし、これからもそうであると思っている。
しかし… ——

哩「んふぁ…っ♥」

それを通じて伝わってくる性的快感。
それと共に伝わってくる幸福感に哩は自室で肌を震わせる。
勿論…それを彼女の最愛の人である姫子に与えているのは哩ではない。
姫子は今、哩の自室にはおらず…京太郎の部屋にいるのだから。

哩「姫子…ぉ…♪」

ドロドロになった甘い陶酔。
泣き出したく鳴るような幸福感。
そして子宮が疼くほどの興奮。
それらを絆を通して伝えられるが故に、哩はそっと涙を流す。
それは…証なのだ。
既に姫子の心が、自分にはないという証。
愛する後輩の心が須賀京太郎のモノになっているという事の。

哩「(中学の頃までは…そげなこつなかったとよ…)」

一緒に先輩後輩としてインターミドルを目指していた頃。
その頃は姫子にとって一番大事なものは哩であり、哩にとっても同様だった。
だからこそ、リザベーションという強力無比な力を手に入れ、彼女たちは勝ち上がる事が出来たのである。
しかし…それが二年前…哩と姫子の学校が別れ、須賀京太郎が生立ヶ里中に転校してから全てが変わった。

哩「(あん子の話題が…京太郎君とのこつばかりになりよった…)」

今日は須賀君とこうした。
須賀君とこんな風に遊んだ。
須賀君とこんな風に話した。
そう楽しげに口にする姫子を哩は最初、ただ微笑ましいと思っていた。
新しく出来た人懐っこい後輩に先輩ぶろうとする姫子が可愛くて仕方がなかったのである。
しかし…それがある時、変わった。
姫子の口から出る須賀京太郎の呼び名が『須賀君』から『京太郎』へと変わったのである。


— それから二人は加速度的に仲良くなっていった。

まだその頃に…ちゃんと姫子と向き合っていれば、今は違っていたのかもしれない。
後輩の愛と自分の愛が違うのではないかと、ただの親愛と情愛ではないのかと。
そう怯えて口に出せないままでなければ…姫子の心がこうまで奪われる事はなかったのかもしれない。
しかし…それは全部、もしもの話でしかない。
この絆が壊れるのを怯える反面、壊れるはずがないと強がった結果…姫子は京太郎に奪われてしまった。
それだけが冷たい現実として哩の心にのしかかる。

哩「ひめ…んぁ…ぁっ♥♥」

そんな哩に襲いかかる性的快感にそっと彼女の腕が秘所へと伸びる。
制服のまま着替えずにベッドに寝転んだその太ももには既に愛液が染み出していた。
部室で何喰わぬ顔を他の部員たちに弄られている彼からは想像も出来ないほどのテクニック。
それに姫子が身悶えするほどに感じているのが、泣きたくなるほど鮮烈に伝わってくる。

哩「私ん方が上手…ぅ…♪京太郎君…より…もぉ…っ♥」

そう言ってぐしょぐしょになったショーツを押しこむようにして秘所を弄る。
既に浮き出ている陰核を指の先で転がすようなそれは背筋が浮き上がるほど気持ち良い。
しかし…それでもリザベーションから伝わってくる姫子の感覚には勝てなかった。
幸せで…うっとりして…気持ち良くって…骨の髄まで溶けてしまいそうな…ドロドロの感覚に。
それが自分と京太郎との差を見せつけられているようで…哩はまた涙を流す。

哩「んあぁ…ぁっ♥♥」

気持ち良い。
幸せ。
大好き。
それが心を埋め尽くしていく感覚に哩は自分と姫子の境界が薄れていくのを感じる。
自分が京太郎の事を好きなのか、或いは姫子が京太郎の事を好きなのか。
それすら曖昧になる中で、哩は自らの絶頂が近い事を悟った。

哩「っくぅぅ…ぅうううぅうっ♥♥」

それに抗う事すら考えられないまま、高められていく自分の身体。
一度も触れられていないのに…昂ぶりの極地へと達する感覚は哩にとって…とても幸せなものだった。
これを今、姫子と共有しているのだと思うと…それだけで胸の奥が熱くなる。
しかし、その一方で…悲しく、苦しい感覚はなくならない。
今の自分には…こうやってリザベーション越しの共有しか出来ない事が…やっぱりどうしても辛いままだった。

哩「ん…く…ぁ…♪♪」

そんな身体にのしかかるような倦怠感を吐き出すように哩はそっと息を吐く。
汗が浮かんだ身体には制服が張り付いて、妙に気持ち悪い。
しかし、哩にはそれを着替えるほどの気力はなく…またそうやって着替えた所で無駄である事を知っていた。
これはまだ二人の交歓の序章も序章であり、まだまだこの感覚は続くのだから。
一度、始まれば、ケダモノのように交わる二人の事を思えば、ここで着替えるのは無駄でしかない。

哩「ん…♪」

しかし、そう思っても、次の快感は中々、来ない。
ドキドキと言う興奮が伝わってくるだけにここで止めた訳ではないのだろう。
いや、寧ろその興奮が強くなっている事を考えれば、まだまだエスカレートしていくはずだ。
それに妙なもの寂しさと違和感を覚えながら、哩が声をあげた瞬間、枕元に放り投げていた携帯がメールの着信を告げる。

哩「(確認するんはしゃーしぃー…ばってん…)」

もし、部活関係のメールであれば見過ごせない。
何せ新道寺はもうすぐインターハイを見据えて戦っていかなければいけないのだから。
恐らく姫子と戦える最後の大会になると思えば…小さなミスも見逃したくはない。
そう思って哩が携帯を開けば、そこには姫子の名前があった。

哩「姫子!?」バッ

もしかしたら、さっきの快感が愛しい後輩にも伝わっていたのかもしれない。
そう思うと居ても立っても居られなくなり、ばっと上体を起こした。
だが、どれだけ勢い良く立ち上がっても嫌われたのかもしれないと思うと…中々、メールを開く事が出来ない。
じっと携帯のディスプレイを見つめたまま、哩はうんうんと唸り、迷い続けた。

哩「(だけん…無視する訳にはいかん…)」

リザベーションから伝わる感覚は二人が一緒にいる事を哩に教えている。
そんな中、自分に送られてくるメールが良いものだとは到底、思えない。
流石に京太郎がそこまで酷いことをする男と本気で思っている訳ではないが、彼が勝手に携帯を弄った可能性もあるのだから。
しかし、それでも愛しい姫子のメールを無視するような事だけはしたくない。
そう心に決めて、哩はそっと指先に力を込めて、メールを開いた。

哩「…」

そこにあったのはほんの短い一文だった。
漢字変換もされていない…ひらがなだけの。
しかし、それが姫子の本心のような気がして…哩はバッと立ち上がる。
そして、汗が張り付き、微かに下着が見えている制服に構う事なく駈け出した。
それは…全てそのメールが…たった四文字で彩られていたからである。
「たすけて」と、ただそれだけのメールに哩は弾かれたように家を飛び出していた。

………



……







京太郎の家は哩の実家からそれほど遠くない距離にある。
自転車で十分、走っても五分程度の距離は寧ろご近所と言っても良いくらいだろう。
それを内心、忌々しく思っていたが、今だけはそれが有難い。
そう思いながら哩が須賀家へと着いた頃には既に日は傾き、夜の帳が落ち始めていた。

哩「…」ゴクッ

そんな中、須賀家の前で生唾を飲み込む哩の近くには誰もいない。
辺りは民家ばかりで人通りは少なく、こうして走ってくる間にも誰かとすれ違う事はなかった。
それもこれも全て、哩に姫子を助け出せと言っているような気がして、彼女はぐっと握りこぶしを作る。
折角、姫子が助けを求めてくれたのだ。
これは絶対に成功させなければいけない。
そう気負いながら、哩はそっと須賀家を見渡し、中に電気が灯っていない事を確認した。

哩「(誰もおらんと…?)」

耳を済ましてみても、中で何かが動いている様子は感じられない。
しかし、リザベーションから伝わってくる感覚が姫子がこの家にいる事を教えてくれた。
外観と自分と姫子の絆、矛盾するその二つの情報の中、哩は躊躇なく、後者の方を信じる。

哩「(そいにひょっとしたら…京太郎ばおらんかもしれんけん…)」

いや、今も姫子から欲求不満と微かな快感しか伝わってこない事を考えるときっといないのだろう。
そして、それは電気が点いていない事とも矛盾なく一致する。
つまり…京太郎は急用か何かで日が落ちる前からこの家を開け、姫子が一人、中に取り残されているのだ。

哩「(可哀想な姫子…私がすぐに助けやしていげるけんね…!)」

きっと酷い事を沢山されたのだ。
悲しい事も一杯されたのだ。
だからこそ、姫子が自分へと助けを求めてくれている。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そんな事決してありえないと分かりながらも、哩はもう止まれない。
今まで抑えこみ、鬱屈とし続けてきた感情を晴らすように、そっと須賀家のドアノブを回した。


哩「(鍵あいとう…)」

そのまま抵抗なく周り、扉を開く哩の前にシンとした廊下が広がる。
電気が落とされ、ブゥゥンと冷蔵庫の稼動音が鳴るそこはいっその事不気味と言っても良かった。
何でもない光景のはずなのに、まるで何かしらない化け物が大口を開けて待っているような感覚に哩が肌をブルリと震わせる。

哩「(だけん…ここでじっとなんてしてられんけん…)」

今はまだ近くに人の気配はない。
しかし、今の自分の姿を他人が見たら通報してもおかしくはないのだ。
何より、今出かけているであろう京太郎だって何時、帰ってくるか分からない。
それを思えばこんなところでじっとなんてしている暇はないのだ。
そう自分に言い聞かせながら、哩はそっと自分の身体を滑り込ませ、須賀家へと第一歩を踏み出す。

哩「(多分…二階やね…)」

自分と姫子を繋いでいるリザベーションの感覚は二階へと伸びている。
それをたぐり寄せるように哩は一歩一歩進んでいった。
微かな物音も許さないとするような張り詰めた空気。
それを全身から立ち上らせる哩の前に一枚の扉が現れる。

哩「(きっとこん先に姫子が…)」

自分の助けを待っている最愛の後輩がいる。
そう胸中で呟き、震えそうになる身体に喝をいれながら、哩はそっとドアノブに手を触れた。
そのままゆっくりと開いた瞬間、「はぁはぁ♥」と荒い息遣いが哩の耳を打つ。
リザベーション越しではない…生の姫子の声。
それに我慢出来なくなった哩はばっと扉を開き、部屋の中へと踏み込んだ。

姫子「ふあ…ぁ♥」
哩「あ…あぁぁ…」

その先にあったのは哩が予想していたよりも酷い姫子の姿だった。
両手と両足は荒縄で縛り上げられ、身動きが取れないようにしてある。
その上、太ももは大きく開いた形にされ、目隠しをされたまま、ベッドへと転がされていた。
まるで入ってきた誰かに魅せつけるようなその姿勢に哩は思わず震える声を漏らす。

哩「(な、なんて…酷い事ばするんや…)」

タラリと愛液が漏れる秘所をヒクヒクと揺らす姫子の姿。
それは哩が見たこともないくらい被虐的で、そして辛そうに見えた。
ろくに身動きも取れないそれに…哩の手がぎゅっと握りしめられる。
こんな酷い事をする彼氏とはすぐさま別れさせなければいけない。
そう決意を新たにしながら、哩はそっと姫子へと近づいた。

姫子「ぶ、部長…?」
哩「ん…そうばい…」

怯えるような姫子の声に哩は胸の痛みを強くした。
こうやって姫子が怯えるほどに酷い事を京太郎からされていたのだから。
自分がもっと強ければ…こんな風に姫子を痛めつけさせる事なんてなかった。
そう思うと自己嫌悪と共に京太郎に対する苛立ちが溢れるが、今の哩にそれを構っている余裕はない。
今はなにより…姫子を助け出す方が先決なのだから。

哩「今、助けるとよ…もうちょい我慢して…」
姫子「はい…」

自分の言葉に従順に頷く姫子に哩は微かな安堵を覚えた。
姫子もまた自分に助けられる事を望んでいる。
既に分かっているはずのそれを再確認して安堵したのが何故なのかを彼女が目を向ける事はない。
今の哩にとって、自分は囚われのお姫様を助けに来た唯一無二のヒーローなのだから。
須賀京太郎という悪い男から…最愛の人を助け出すサクセスストーリーの真っ最中なのである。

哩「んっと…」

そう言いながら、視線を彷徨わせる哩の目に一つのハサミが止まった。
机の上にポンと無造作に置いてあるそれは持ち主の無頓着な性格が現れている。
少なくとも哩にとってはそうであり、ソレ以外の思考は混ざらない。
彼女の知る須賀京太郎は寧ろ几帳面な方であり、部屋も男子高校生にしては片付いている方だと言う事にまったく思い至らないのだ。

哩「よいしょ…と」

それを手に取りながら、姫子の身体が傷つかないように最新の注意を払って縄を切っていく。
一つ、また一つと縄を切る内に姫子の身体は解放され、その白い肌を晒した。
そこには赤い縄の跡が残り、姫子の可憐さと相まって痛々しさを作り出している。
それに哩が胸の痛みを強めながらも、最後まで姫子と向き合い、その身体を解放した。

姫子「部長…私…っ」
哩「姫子…」

瞬間、弾かれたように自分へと抱きついてくる姫子をぎゅっと哩は抱き込んだ。
そうやって抱きしめると余計に彼女の痛々しさを感じて、涙が漏れそうになる。
それでも本当に辛いのは自分ではなく姫子なのだと、ゆっくりとその手を背中へと回し、子どもをあやすように優しく撫でた。

姫子「…部長…あの…有難うございます…」
哩「お安い御用ちゃ」

寧ろ、ここまで遅れてしまった事を恥じる哩にとって、姫子の感謝の言葉は素直に受け止める事が出来ないものだった。
もっと早く色々な事に気づいていれば、こんな風に姫子を傷つける事なんてなかったのだから。
しかし、それでも哩は震えながら感謝を伝える姫子の声に達成感を感じていた。
あぁ、自分がやった事は無駄ではなかったのだと、そう胸を震わせる哩の耳にそっと姫子が口を近づける。

姫子「だから…お礼…しますけん…♥」
哩「…お礼…?」

哩「んんんっ♪」

そう哩が尋ね返した時には既に姫子の顔は彼女の唇へと近づいていた。
そのままちゅっと合わさる柔らかい感触に哩は思わず声を漏らす。
しかし、それは密着するように合わさった姫子の唇が抑えていた。
まるで声を漏らす事も許さないと言うようなそれに哩の目が見開き、困惑を広げる。

姫子「ひゅん…♪ちゅぅ…♪」

そんな哩の口の中に姫子の舌が入り込む。
何度も哩が夢見てきたそれは想像よりも熱く、そしてドロドロとしていた。
ねっとりと自分の粘膜に絡みつくようなそれに哩の身体が内側から熱くなり、ぼーっとしていく。
最初は驚きに固くなっていた身体からもそっと力が抜け、このまま全て姫子に身を委ねそうになる。

哩「んん!?」

しかし、瞬間、コロリと自分の口の中へと何かが運ばれる。
小さいその固形物を哩の口は反射的に奥へと運び、そのまま飲み込んでしまった。
その驚きに哩が再び声をあげた瞬間、姫子の口がそっと離れる。
ちゅぱぁ♥と淫らな音をかき鳴らしながら離れたそれは…哩がさっきみたものとはまったく違うものだった。

哩「(なんで…こんな…エッチな…顔…)」

さっき姫子の顔にあったのは怯えだった。
自分が思わず助けなければと思うほどの恐怖だったはずである。
しかし、そう思う哩の前にあるのはドロドロに蕩けた女の表情だった。
今が幸せである事を微塵も疑っていない幸福と、今にも爆発しそうな欲情を混ぜたそれに哩は思わず後ずさってしまう。

哩「な、何ば飲ませたと…?」
姫子「そげん怯えなくてもよかじゃないですか♥ただんエッチなお薬ですよ…♥♥」

そんな哩を追い詰めるように姫子がそっと足を前に出す。
それに哩が後ずさった瞬間、いつの間にか自分がベッドの側へと —— つまり入り口から遠い方へと置かれている事に気づいた。
けれど、気づいたところでもう遅い。
逃げ場はベッドに遮られて、殆どなく、迫る姫子と触れ合いそうな距離に近づいてしまう。

哩「な、なしてそげんこつ…!」
姫子「そげなん…決まってるじゃないですか…♥♥」

それでも迫るのを止めない姫子に哩はベッドへと押し倒されてしまう。
瞬間、ギシリと鳴ったスプリングの音と共に哩はベッドに染み込んだ二人の淫臭を感じ取った。
もう何度もここで二人が愛を交わしている証でもあるそれに哩はぎゅっとシーツを握り締める。
しかし、それがどうしてなのか困惑する哩自身にも分からず、今にもキスしそうな距離まで近づく後輩の顔をじっと見つめていた。

哩「(ばってん…私…こんな姫子の顔知らんたい…)」

見慣れているはずの後輩の整った顔。
それが今にも蕩けて落ちそうなくらいドロドロになっている様に哩は泣きそうになる。
自分の知らない姫子の…女としての表情。
それが決して自分ではなく…別の誰かに…須賀京太郎に向けられている事に気づいたからだ。

姫子「ご主人様が…部長ば調教しやすくする為です…♪♪」
哩「ちょうきょ…」

殆ど聞いた覚えのない言葉に哩は呆然と聞き返す。
しかし、頭の中にはその意味がはっきりと浮かび、これから自分がされるであろう事を予想した。
自分も…姫子のようにドロドロな…淫らな姿にさせられてしまう。
その想像に恐怖を覚え、突き放そうとした瞬間、ぎぃっと音を立てて、ベッドの脇のクローゼットが開いた。

姫子「ご主人様ぁ…♥♥」
京太郎「ん…姫子、良くやったな…」

そこから出てきた男 —— 須賀京太郎に姫子は甘い声をあげる。
その胸中は一仕事終えた達成感と褒めて貰いたい気持ちで一杯だった。
そして、それを京太郎はすぐさま叶えてくれる。
ナデナデと優しく姫子の髪を撫でながら、その額にキスを落とす。
それだけで姫子は「ふにゃあぁ…♥」と蕩けた声をあげて、身震いを走らせた。

哩「き、京太郎君!こげなこつして無事で済むと…」
京太郎「思ってませんよ」

自分にのしかかったままの姫子から初めて聞く甘い声。
それに飲まれそうな自分に喝を入れながら、哩ははっきりと口にする。
しかし、それを京太郎はさらりと受け流し、ベッドの縁へと座った。
ベッドが微かに軋み、哩が身を固くした瞬間、京太郎の手が姫子の腰へと回る。

京太郎「それでも…姫子がそうして欲しいって言ったら全力でやるしかないじゃないですか」
姫子「もぉ…うちの所為にするんですかぁ…♥♥ご主人様だって…部長の事気に入ってる癖に…♪♪」
哩「…え…?」

そんな京太郎にしなを作るように甘えながら、姫子がそっと寄り添った。
そのまま口にする甘い言葉を哩はすぐさま信じられなかった。
時に酷く当たり散らした事もある自分を京太郎が気に入っている…?
ましてや…その為に姫子の方から言い出しただなんて…到底、信じる事が出来ない。
普通の恋人と言う枠からも大きく外れたその言葉に、哩の思考は追いつかないのだ。

姫子「ばってん…そいは部長も同じですよね…♥♥」
哩「そ、そげなこつないばい!」

それでも姫子の言葉だけは否定しようと哩の口は反射的に動いた。
どちらの意味でも自分は違う。
京太郎の事は嫌いだったし、姫子のようになりたかった訳でもない。
自分はあくまで普通に…姫子と愛しあう仲になりたかっただけで… ——

姫子「じゃあ…なして一人で来たんですか?」
姫子「罠かもしれんけんのに…ううん、罠だって分かってるはずなんに…♪」
哩「そ、そげな事…」

ない。
そう言い切る事が哩には出来なかった。
今も確かに姫子との間にあるリザベーション。
その力は彼女が決して脅威や危機にあった訳ではない事を教えていたのだ。
いや、寧ろ『期待に胸を疼かせていた』事を考えれば…罠だと気づいてもおかしくはない。
それでも、こうしてこの場にいるのは… ——

姫子「部長も…気持ち良くなりたかったんですよね…♥」
姫子「私と…ご主人様と一緒に…♥♥」
姫子「ドロドロに混ざり合って…融け合うようにして…幸せになりたかったんですよね…♥♥」
哩「ち、違うばい…そんなの…違う…」

言い聞かせるような姫子の言葉に反論する哩の声音は少しずつ弱いものへと変わっていった。
それを上から見下しながら、姫子はゾクリとしたものを感じている。
何時も自分の前に立ち、導いてくれた敬愛する先輩の幼い子どものような姿。
普段からクールで誰からも信頼される哩の崩れた姿。
それに陶酔と幸福感を強めながら、姫子はさらに言葉を口にする。

姫子「ばってん…私には分かるんですとよ…?」
姫子「この絆が…部長が寂しがっているって…♪」
姫子「身体疼いて堪らないって…♥」
姫子「ご主人様に…犯して欲しいって…♥♥」
哩「う…うぅぅ…」

追い詰めるような姫子の言葉に哩の目尻から涙が漏れ出す。
まるで今まで堪え続けていた悲しさを漏らすようなそれは止まる事はない。
それが恥ずかしくて、悔しくて、哩は反射的に目元を隠す。
そんな彼女の頬にそっと布地が押し当てられ、優しく涙を拭いてくれている感触が伝わってきた。

姫子「ほら…ご主人様は優しいでしょう…♥♥」
姫子「その上…暖かくて…気持ち良いんですとよ…♪♪」
姫子「それは…部長も良く知っちいるでしょう…?」

そう。
哩もそれは嫌と言うほど知っている。
姫子に与えられた快感は、そのまま哩にも伝わってきているのだから。
敗北感に打ちひしがれ…思わず泣いてしまうほどの快楽を…既に哩は知っているのだ。
それを与えると言う…姫子を完全に拒めないほどにその身体には刻み込まれている。
それが悔しくてまた涙を漏らす哩に布とはまた違った感覚が、彼女の頬を包む。
柔らかっくすべすべして…涙で熱くなった肌を癒すようなそれは姫子の手であった。

姫子「大丈夫…です…♥♥ご主人様に身体と心ば預ければ…それだけで…もぉ…ぉ♥♥」

瞬間、ブルリと肌を震わせながら、姫子が甘い息を漏らした。
ほぅっとはっきりと形となって見える白いそれはそれだけ姫子が興奮を感じている証である。
実際、彼女は今回の作戦の為にかなりの間、お預けをくらっているのだ。
普段であれば、今頃、犯されて、泣き叫ぶほどアクメしている事を思えば、良く我慢したほうだと言えるだろう。

姫子「ダメ…もう我慢出来んです…っ♥♥ご主人様…犯して…ぇっ♪♪」
京太郎「おいおい…先に部長を堕とすんじゃなかったのか?」

しかし、それももう歯止めが効かない。
それは敬愛する先輩のあられもない姿を見た興奮が彼女の中で思った以上に大きかったからだった。
それに京太郎が呆れるように言うものの、姫子はもう止まれなかった。
Gスポットとクリトリスを執拗に弄ってイかされたまま放置された肉穴に慣れ親しんだオスのものを突っ込んで欲しくて仕方がなかったのである。

もう何か色々と開き直って姫子の口調が崩れまくってるけど、
そもそも最初から博多弁がちゃんと出来ていない以上、今更だった(白目)
変換機使ってるけど難しいよー
その分、可愛いんだけどね!!
後、今日は一端、ここで終わってちょっと飯食ってくる。

小ネタは終わりだよ!!!
明日から本気だす。
後、本編そこそこキリがいいところまで出来てるんだけど、どうしよっか?
エロまではもうちょっと遠いんだけど…エロ手前まで書いてからの方が良い?
それとも今日、投下したほうが良いかな?

おっしゃ!じゃあ、投下すんぞオラァ
あ、ちなみに以前にも言ってたと思うけど、姫様ルートは永水全員の基礎ルートです。
後は分かるな(ニッコリ


〜京太郎〜

—— 永水の朝は早い…なんて下らない事を考えるくらい、冗談抜きで早かった。

京太郎「あー」

パタパタと何かが動く足音で俺が目を覚ましたのはまだ五時半だった。
今の時期じゃ日の出があるかどうかさえ定かではないその時間にこの屋敷はもう目覚めている。
それに少なくない驚きと共に納得を覚えた。

京太郎「(巫女さんだものなぁ…)」

別に巫女に対して何かしら強い愛着があったりする訳ではないが、やっぱり巫女さんには朝が早いイメージがある。
禊や朝の掃除などを毎日、欠かさずやっているような…そんな偶像が。
勿論、それが正しいとは俺自身、思っていなかったものの、こうして屋敷が動く様を感じるとやっぱり正しかったのだと思う。

京太郎「(まぁ…何時までもそうやってぼーっとしてられないか…)」

まだ流石に身体に眠気が残っているものの、俺はあくまでお世話になっている身だ。
起きれなかったのならばまだしも、皆が働いている中、二度寝の快楽に負けてしまうのは失礼に当たる。
ましてや、俺だって普段から六時頃には起きてランニングをするようにしているのだ。
それが多少、早まったと思えば、まったく起きれない訳じゃない。

京太郎「よいしょ…って寒いな…」

ぬくぬくとした布団の中から出て真っ先に感じるのは部屋の薄暗さよりも肌寒さだった。
そこそこ高い場所にあるこの屋敷の中は冬目前という事もあってか、凄く寒い。
長野よりもピリリと肌に来るその感覚に俺は思わず小さな声をあげてしまう。
だが、それと同時に少し身が引き締まる感じがするのは、ここが神様のいる場所だからだろうか。


京太郎「(ま…関係ないよな、きっと)」

俺は元々、信心深い方ではないし、ましてや感受性が強い方でもないのだ。
幽霊などをまったく信じていない訳ではないが、これまで一度もそういった不思議体験をした事がない。
例外は俺の持つ能力だが…はたしてアレをそういった枠に入れて良いのか自分でも迷う。

京太郎「(さて…と)」

そんな事を考えながら、俺は背負ってきたリュックから上着を取り出して羽織った。
今流行のヒートテックが寒さが大分、和らげてくれるのを感じながら、俺はそっと襖に手を触れ、そっと開く。

京太郎「うぉ…!」

瞬間、俺を迎えたのは真っ白な霧の世界だった。
まるで異世界に迷い込んだようなその空間に俺は思わず声をあげてしまう。
今まで見たことがないくらい幻想的なその光景に足も止まって、動かなくなってしまったくらいだ。
信心深くないはずの俺が思わず神様の存在を信じてしまうほどの…迫力ある景色に、俺は… ——


小蒔「あれ…須賀さん?」
京太郎「あぁ…おはようございます」

そこで俺に声を掛けてきてくれたのは神代さんだった。
そちらにそっと目をむけば、そこにはもう巫女服に着替えている神代さんの姿がある。
ニコニコと嬉しそうにしているその顔には乱れはなく、髪の毛も既に結われていた。
何時から起きているのかは知らないが、ついさっき起きたばかり…と言う事はまずないだろう。

小蒔「おはようございます。今日も凄い朝霧ですね」
京太郎「あ…これ霧なんですか…」

窓の向こうに見える白くてもやもやとしたそれが霧だと言う事に俺は神代さんに言われてようやく気づいた。
とは言え、俺だって小学校の遠足か何かで山奥の施設に泊まった事くらいある。
朝霧だって見た事があるはずなのに、すぐさま気付けなかったのはどうしてなのか。

小蒔「えぇ。でも、一時間もすれば少しずつ消えていきますよ」
京太郎「一時間かぁ…」

起きてしまった事だし、色々と手伝いをしてからランニングをしようと思ったが、流石にこの霧の中を突っ切る勇気はない。
ましてや、ここは山であり、下手に走り回ろうとすると遭難してしまう可能性だってあるのだ。
それを考えれば一人で動くのは出来ないし、何より昨日、石戸さんが言っていた事も気になる。

京太郎「(神代さんの先導がないと…降りられない…かぁ)」

それが事実かどうかは知らない。
そもそもこの山に男の人が入れないとか、不埒な事を考えると進めなくなるとか、俺はまったく信じていないのだから。
しかし、それでも、石戸さんを含め、他の人がそう信じていると言うのはやっぱり考慮外にする事は出来ない。
正直、それでも半信半疑ではあるが…試す気にもなれないのはこの屋敷が持つ独特の雰囲気と言うか神聖さの所為なのかもしれなかった。


小蒔「どうかしました?」
京太郎「あ…最近、日課にランニングしてるんですが、どうしようかと思いまして…」

つい最近まで雑用一本だった俺にとって、これまでのほほんと生きてきた身体を鍛えるのは急務だった。
何せ、俺は唯一の男手として牌譜や麻雀牌、その他、シートやパソコンなどかさばる荷物を運ばなければいけないのだから。
それを咲たちが手伝ってくれるとは言うものの、男の意地としてあんまり女手は借りたくない。

京太郎「(まぁ…最初こそ部長の「オ・ネ・ガ・イ♥」に騙されてやっていたんだが…)」

とは言え、麻雀初心者の俺でも役に立てている事が嬉しくて、ついつい続けてしまった訳だ。
だが、これまでろくに身体を鍛えて来なかった俺にとって、その作業は決して楽じゃない。
そんな俺を心配してくれる皆に気を遣わせない為に、俺は自分の身体を鍛え始めたのだ。
それは半年経った今でも習慣として残っており、朝はこうやってランニングしないとちゃんと目が覚めた気がしない。

小蒔「ふふ…須賀さんは鍛えてらっしゃるんですね」
京太郎「鍛えていると言っても、身体がだらしなくならない程度のものですけれど」
小蒔「十分、凄いですよ。だって…あんなに胸が硬かったですし」
京太郎「あ…」

ニコリと笑う神代さんの言葉についつい昨夜の柔らかい感触を思い出してしまう。
ふにょりと押し付けられるような女の子らしさに、当時だって強い興奮を覚えていたのだ。
けれど、今はそ昨夜とは違い、抱きついたりしていない所為か、その興奮の歯止めとなるものがない。
理性が放つ静止の声も届かず、俺の下腹部でムクムクと何かが硬くなっていくのを感じた。

小蒔「あ…その…」カァ
京太郎「は…はは…えっと…抱き心地、悪かったですかね?」

勿論、それに気づいた訳ではないのだろう。
ただ、目の前でいきなり顔を赤くする神代さんにドキリとしたものを感じたのは事実だ。
お陰で萎縮した心が興奮に対する抑圧となり、スタンダップしかけた俺の愛棒が沈んでいく。
それでも背中に流れた冷や汗は消えず、俺はぎこちなく冗談を口にした。


小蒔「い、いえ!そんな!寧ろ、とっても良かったです!!」
京太郎「そ、そうですか。それは良かったです」

それがいけなかったと俺が理解したのは真っ赤になった神代さんの言葉を聞いてからだった。
俺の冗談を完全に真に受けているその返事に俺はどうして良いか分からなくなる。
正直、俺は自分の興奮に気付かれていないかにビクビクしていて、神代さんの次の反応を予想するどころじゃなかったのだ。
俺に向かって、ガッツポーズしながら、励ますように言われるだなんてまったく考慮していない。
勿論、その後に何を返せば良いのかなんて考えているはずもなく、俺達の間に気まずい沈黙が流れた。

京太郎「と、ともあれ…まずは色々とお手伝いが必要ですよね?」
小蒔「あ…いえ…お客様にそんな事をさせる訳には…」

そんな沈黙を吹き飛ばすために口にした俺の言葉に神代さんが困ったように返した。
俺としてはお世話になっている『居候』であって、決して『お客様』ではないのだが、やっぱり神代さんにとっては違うらしい。
石戸さんはその辺りの事をちゃんと把握してくれたが、まだ神代さんは納得してくれていないようだ。
そんな彼女に何を言えば良いのか、頭の中をひねりながら、俺はゆっくりと口を開く。

京太郎「俺はほら、今日からお世話になる身ですから」
小蒔「でも…」
京太郎「どの道、これから数日、お世話になるんです。何にも手伝わせて貰えないのは逆に辛いですよ」

俺の言葉に神代さんが考え込むようにして、そっと俯いた。
そこには逡巡の色は少なく、寧ろ吟味しているようなものが強い。
まったく迷っていない訳ではないが、どうやら俺の言葉を受け入れてくれたらしい。

小蒔「じゃあ…私のお手伝いをしてくれますか?ちょっと退屈かもしれないですけど…」
京太郎「えぇ。勿論です」

それに安堵を感じた瞬間、俺の耳に神代さんの提案が届いた。
神代さんの手伝いと言うのが一体、どんな事を指すのかは分からないが、きっと俺にも出来る事なのだろう。
そう思って二つ返事で頷いた俺に神代さんが安心したように笑ってくれる。
ほっとするようなそれに俺は内心、首を傾げた瞬間、神代さんが口を開いた。


小蒔「では、私に着いてきて下さい。色々と運んで貰うものがありますし」
京太郎「了解です」

そう言って歩き出す神代さんの右に並んだ。
そんな俺にチラチラと視線をくれるが、神代さんが何かを言う事はない。
何かを言いたそうなのは確かだが、どうにも決心がつかないようだ。
そんな神代さんにどうしてあげたら良いのか、俺にはまだ判断がつかない。
こっちから話題を振ってあげれば良いのか、それとも黙っていた方が良いのか。
その二択に対して、迷っている間に神代さんはそっと足を止めた。

小蒔「あ、こちらです」
京太郎「ここ?」

神代さんが止まったのは大きな扉の前だった。
部屋の襖とは違い、木で覆われたそれは見るからに物々しかった。
それはその扉に真っ赤な何かで書かれた御札が山ほど貼り付けてあるからなのだろう。
見るからに普通ではないどころか、危険な雰囲気すら感じる。
その奥でかつて殺人事件が起こったと言われても、俺は信じただろう。

京太郎「大丈夫なんですか…?」
小蒔「ふふ…大丈夫ですよ」

その怯えが微かに出てしまった俺の声に神代さんがクスと笑いながら答えてくれた。
それに少しだけ安心した俺の前で神代さんがそっと扉に手を掛ける。
そのまま左右に開こうとするそれに俺も手伝おうと反射的に手を伸ばした。


小蒔「あ、触っちゃダメです」
京太郎「え?」
小蒔「男の人が触っちゃうと神様が怒っちゃうので…」
京太郎「そ、そうですか…」

良く分からないが、この御札が貼ってある所は俺が触っちゃいけない部分らしい。
巫女である神代さんに触れても良いのに、こんな扉一つでどうこう言うのは色々と間違っているような気がしなくもない。
しかし、存在するかも分からないような神様の価値観にどうこう言うほど俺は偉い訳でもなく、また正しい訳でもないのだ。
とりあえず、俺は扉を開くのを手伝う事も出来ない…と言う事を理解しておけば大丈夫だろう。
…駄目だ、そう思うと何か凄い自分が役立たずな気がしてきた…。

小蒔「だ、大丈夫ですよ!後で須賀さんの出番はちゃんとありますから!」

そんな俺の感情を見て取ったのだろう。
神代さんが俺をフォローする言葉を口にしてくれながら、ぐぐっと扉を開いた。
人一人分がようやく通れるような小さな隙間の奥に小さな台に置かれた金色の何かが見える。
50cmくらいの小さなそれは片方が大きく膨れて尖っており、その逆が握りやすいように細くなっていた。
日本史の授業などで資料集に出ていたそれは… ——

京太郎「…剣?」
小蒔「えぇ、そうです。もっとも…祭祀用の模擬刀ですけど」

俺の言葉に嬉しげに付け加える神代さんが中へと踏み入り、それを台ごと持ち上げた。
思ったより軽く持ち上げたその姿を見るに、どうやら模擬刀と言うのは本当らしい。
しかし、どうしてそんなものが神社の、それも半ば封印されるような形であるのかが俺にはまったく理解出来なかった。
ただの模擬刀にしては厳重過ぎる管理だし、曰くつきにしては神代さんの扱いが軽い気がする。


小蒔「はい。これを持ってもらえますか?」
京太郎「了解です」
小蒔「あ…っ」カァ

それでもこうして俺に任された以上、それを粗末に扱う訳にはいかない。
そう思って、そっと伸ばした俺の指先に神代さんの手が触れる。
瞬間、神代さんが可愛らしい声をあげ、顔を赤く染めた。
それに俺の顔も熱くなり、どうして良いか分からなくなる。

京太郎「すみません…」
小蒔「い、いえ…そんな…須賀さんは何も悪く無いですから…」

そう言ってくれるものの、顔が赤くなった神代さんはそっと顔を背けた。
気にしているのは確かだろうが、俺を責めるつもりはないらしい。
それに安堵しながら、俺は手の位置を変え、今度こそちゃんと台を受け取った。
木製のそれは神代さんが軽く持ち上げていたとは思えない程度にはずっしり来るが、決して重い訳じゃない。

京太郎「(にしても…咲相手にはこんな事にはならないんだけどなぁ…)」

今時、中学生カップルでもしないような初々しい反応を見せてしまう自分に微かな驚愕を感じる。
中学時代から俺にとって数少ない女友達であってくれた咲相手に触れたところで、俺はこんな反応を見せる事はない。
いや、咲だけじゃなく、きっと他の誰でも、多少、気まずくなる事はあれど、赤くなるまではいかないはずだ。
それなのに、こんなに過剰な反応を見せてしまうのは相手が神代さんだからか、或いはその反応が移ってしまった所為か。
どちらなのかは自分でもまったく分からず、俺は胸中で首を傾げた。


小蒔「あ、後、これもお願いしますね」

俺がそんな事を考えている間に、神代さんが台の上に小さな銅鏡と数珠つなぎになった勾玉を置く。
そこまで来れば俺にだってそれらが何をモチーフにされているかの察しがつく。
古今東西RPGなどでも良く登場する日本神話の神具。
所謂…三種の神器が俺の手の上にあった。

京太郎「うぉー…」

勿論、それは決して本物ではなく、ただの模倣品に過ぎない。
本物はきっと正倉院とかそういう場所で厳重に管理されているのだろう。
だが、それでもRPGなどで主人公が使う武器が自分の手の中にあると思うと凄い感慨深いものがあった。

小蒔「ふふ…」
京太郎「あー…すみません。子どもっぽいところ見せちゃって」

思わず感動の声を漏らしてしまった俺に神代さんが微笑ましそうに笑った。
それが決して悪いものではないと分かりながらも謝ってしまったのは、バツが悪かったからである。
別に今さら、格好つけようだなんて思っていないが、流石にアレは子どもっぽ過ぎる。
正直、咲の事を笑えないくらいの失態だったと自分で思うくらいだ。

小蒔「そんな事ないですよ。とても可愛らしかったです」
京太郎「う…忘れてください…」

けれど、そんな俺の心の機微を神代さんは分かってくれないのだろう。
にこやかに言うその言葉が俺の羞恥心をグリグリと刺激し、顔の熱を強くした。
可愛いと言われてもくすぐったいなのに、さっきの失態を指されていると思うと恥ずかしさも二倍である。
しかも、こうして三種の神器(レプリカ)が乗っている台を持っている以上、逃げる事も顔を隠す事も出来ないというのがまた辛い。


小蒔「んー…それじゃあ、クイズをしましょうか」
京太郎「クイズですか?」

そんな俺の前で振り返って扉を閉めた後、神代さんがそんな言葉を口にする。
とは言え、俺はどれだけ贔屓目に見ても知識量がある方じゃないし、巫女である神代さんと知識の分野はかけ離れているのだ。
ぶっちゃけた話、クイズと言っても俺に勝算はまったくない。

小蒔「正解したらさっきの事を忘れるかもしれませんよ?」
京太郎「全力で頑張らせて頂きます!」キリッ

それでもさっきの事を忘れてくれると言われれば、あっさりと食いついてしまう。
俺にとってはそれほどさっきの醜態は恥ずかしく、そして、忘れてほしい事だったのだ。
そんな俺に対して神代さんがまた微笑ましそうに笑っているけれど、今は気にしてはいられない。
それよりもこれから来るであろう問題に備える方が俺にとっては大きな事だった。

小蒔「じゃあ、問題です。今、須賀さんの手にある三種の神器。その本物は何処から来たでしょう?」
京太郎「えー…っと…」

日本史などでその存在などは知っているものの、ぶっちゃけその由来なんか分からない。
だが、それ以上に神代さんが本気で俺にとって分からないような問題を出すとは思えないのだ。
恐らく、今までの会話の中にヒントがあり、考えれば分かる程度の問いを放ってくれている。
そう信じる俺はゆっくりと歩き出す神代さんの横に立って、首を捻った。


京太郎「(神器って言うくらいなんだから…それはきっと神様のものなんだよな…)」

天叢雲剣、八尺瓊勾玉、そして八咫鏡。
この内、天叢雲剣が後に草薙剣と呼ばれる事くらいは俺にも分かっている。
そして、それが日本神話に語られるヤマタノオロチの尾から出て来た事も。
これから察するに…三種の神器は人間が作ったものではない事だけは確かだ。
つまり作ったのは恐らく神様であり、そして地上へと来たのもそこからなのだろう。

京太郎「神様の所…とかですか?」
小蒔「正解です♪」
京太郎「おー…っ!!」

恐る恐ると尋ねるように答えた俺の言葉に神代さんが優しい声で正解をくれた。
それに思わず声をあげながら、背筋を震えさせたのは俺が辿り着いたルートが決して間違いではないと感じたからである。
まぁ、具体的な場所を言わず、『神様の所』という何とも曖昧で広義な答え方をしたものの、それを突っ込まれなかったのだから俺の勝ちだ。

小蒔「より正確に言うなら天津神が作ったものが二種、地上にあったのを見つけたのが一種ですけどね」
京太郎「え…天叢雲剣って神様が作ったんじゃないんですか?」
小蒔「いえ、アレは須佐之男命が見つけた後、天照大神へと献上されたんですよ。つまり製造に神様は携わっていません」

しかし、その喜びも補足する神代さんの言葉に少しずつ萎んでいく。
俺が正解ヘの足がかりとしたそれはまったくの間違いであり、覚え違いであったのだから。
クイズなので正解こそ頂けたものの、これがテストか何かであれば△で減点されていた事だろう。


小蒔「じゃあ、次の問題です」
京太郎「えっ」

だが、それに打ちひしがれる暇もなく、神代さんの口から次の言葉が放たれる。
てっきり一問で終了だと思っていた俺はそれに驚きの声を返し、神代さんの顔を見つめた。
それにニコリと悪戯っぽそうに返しながら、神代さんがそっと唇を動かした。

小蒔「三種の神器は須賀さんの言う神様のところ…所謂、高天原から地上の何処へやって来たでしょう?」
京太郎「え、えぇぇ…」

正直、それは俺にとって難易度が高すぎる問題だった。
巫女としてそう言った事に造詣が深い神代さんにとっては常識なのかもしれないが、俺にはまったく検討もつかない。
精々が昔の都であった奈良や京都、或いはかつて邪馬台国があった場所なのではないかという推測が出るくらいだ。
しかし、三種の神器が降りてきた時期がどれほどの昔か分からない俺にとって、その三つのどれかに絞る事も出来ない。

京太郎「ヒントを…ヒントをお願いします…!」
小蒔「ふふ…どうしましょうか」
京太郎「じ、神代さぁん…」

そんな俺が情けなくヒントを求めるものの、神代さんはそれを取り合ってくれなかった。
寧ろ、悪戯っぽいその笑みを深くして、俺に笑いかけてくれる。
純真そのものの神代さんが浮かべるその表情は間違いなく魅力的でドキッとさせられた。
それに怯んだ瞬間、神代さんがそっとその足を止め、俺へと向き直る。


小蒔「じゃあ…これから…私のこと、見ててくれますか?」
京太郎「え…?」

まるで告白のようなそれに俺の鼓動はさらに強くなった。
ドキドキと跳ねるようなその興奮に俺は一瞬、思考が真っ白になる。
一体、どうしてこのタイミングでそんな事を言うのか。
そう思う他ない、その交換条件に、俺の身体もまた固まり、見つめ合ったまま数秒が流れる。

京太郎「(ま、待て…落ち着け…!!冷静になって考えなおすんだ…)」

そもそもあれだけ恥ずかしがり屋だった神代さんが全く照れていないと言う事がおかしい。
となると、告白めいたセリフではなく、そのままの意味で見ていて欲しいと言う事だ。
ならば、別に恥ずかしがったり、戸惑ったりする必要はない。
神代さんの言う通り、その姿をしっかりと見てあげれば、それで良いのだ。

京太郎「え、えぇ。俺で良ければ」
小蒔「あら、須賀さんが見てくれなきゃダメなんですよ」クスッ
京太郎「こ、光栄です!」

そう自分に言い聞かせながらも、神代さんに応える俺の声は上擦ったものになってしまっていた。
しかし、それも仕方のない事だろう。
だって、これだけ可愛らしい人に『見ていて欲しい』とか『俺じゃなきゃダメだ』なんて事を言われて意識しないなんて不可能なのだから。
きっとどれだけ枯れた爺でも神代さんにこんな事を言われるとドキドキしてしまうだろう。
それほど魅惑的な響きを持つ言葉を健全な男子高校生の俺が聞いて、我慢出来るはずがないのだ。


小蒔「じゃあ…こちらに来てください」

そう言って神代さんがそっと扉を開けば、そこは見るからに荘厳な雰囲気で満たされた空間だった。
木張りの床を露出させたそこは窓はなく、奥へと抜けるように広々としている。
その奥には何やら9つの像があり、何かを祀っている事だけは良く分かった。

小蒔「ここがこのお屋敷の本殿…中心部みたいなものです」
京太郎「へぇ…」

学のない俺には本殿と言う言葉の意味は良く分からないが、何やら重要な場所である事は確かなようだ。
実際、こうして部屋の中に満たされている空気も外のものとは明らかに一線を画している。
鈍い俺でもはっきりと分かるその神聖さに身が引き締まるように感じるくらいだ。

京太郎「(そんな場所に本当に俺なんかが入って良いのか気になるけれど…)」

しかし、巫女である神代さんがこちらに来いと言ったのだ。
ここで下手な嘘を吐く理由はないし、俺が踏み入れても大丈夫な場所なのだろう。
そう自分を励ましながら、俺は先を進む神代さんの背中を追って、足を出す。
瞬間、足の爪先から膝までにビリリとした感覚が走り、俺はその場で固まってしまった。

小蒔「どうしました?」
京太郎「い、いえ…何でもありません」
京太郎「(…あれ?これ、もしかして警戒されてねぇ?)」

そんな俺に対して振り向く神代さんにそう返しながらも、俺の胸中は冷や汗を浮かべた。
別に神様を本気で信じている訳ではないが、ここは神様の膝下の中でも中心部に位置する場所なのである。
そこに足を踏み入れた瞬間、沸き上がってきた寒気とも痺れとも違う感覚。
それに警告めいたものを感じて、俺は思わず顔を引き攣らせた。
とは言え、このままぼぅっとしている訳にもいかず、俺は恐る恐ると足を出す。


京太郎「ほっ…」
小蒔「??」
京太郎「は、ははは…」

しかし、今度はさっきのような感覚は沸き起こらず、普通の冷たい感覚だけが足から伝わってくる。
それに安堵の溜息を吐いた神代さんが振り返りながら、そっと首を傾げるのが分かった。
そんな神代さんにぎこちない笑みを返しながら、俺は足を早めて合流する。

小蒔「では、三方…えっと、その台をここに置いて貰えますか?」
京太郎「はい」

神代さんの指示に従って、俺が台 —— どうやら三方と言うらしい —— を置いたのは神像らしきもの並ぶ前だった。
九体並んでいるその像は何かのワンシーンのようではあるが、俺にはそれが良く分からない。
しかし、そこに並ぶ神様の像全てが俺をじっと睨んでいるような気がするのは一体、どうしてなのだろうか。
俺の考えすぎだと思うのだが、さっきから感じる非日常感が『もしかして』という感覚を強く沸き起こらせる。

小蒔「では、最後にあちらの壁に並ぶろうそくに火を点けていってもらえますか?私はこちらの分を担当するので」
京太郎「分かりました」

そんな俺に対して、告げられる次の指示に俺は嬉々として従った。
正直、温和そうな女神像にさえ、値踏みされるように見つめられている現状はかなり居心地が悪いものだったのだ。
それから逃れられるのであれば二つ返事で頷くし、そもそも神代さんを手伝う為に俺はここにいるのである。
拒否する理由など最初からなく、俺は脇に添えられたマッチを使って、一つ一つに火を点けていった。


小蒔「はい。お疲れ様でした」

数分後、俺が二十本以上のろうそくに火を点け終わった頃には神代さんは既に勾玉を身につけ、鏡と剣をその手に持っていた。
流石に慣れているのか俺よりも遥かに早く終わっていたらしい。
俺も最初こそ手間取っていたものの、途中からかなりスピードアップして早くなったつもりだったが、足元にも及んでいなかったようだ。
それに何となく敗北感を感じながらも、それを表に出す事が出来ないのは神代さんの雰囲気がさっきとまるで違うからか。
何処にでも居るような可愛らしい女子学生から…神聖で荘厳な雰囲気を纏わせる姿。
それはろうそくが作り出す神秘的な光景な所為か、或いは神代さんの顔が見たこともないくらい引き締まっている所為なのか。
どちらとも分からない俺の前で、神代さんがそっと口を開いた。

小蒔「それでは…壁際で見ていて貰えますか?」
京太郎「は、はい」

そんな神代さんの指示にそそくさと従って、俺は壁際へと下がり、そっと正座をした。
それを確認した神代さんがそっと像の前で顔を隠すように跪く。
背を折り曲げながらも、頭や手を床には着けない辛く苦しい姿勢。
それに何が始まるのかと俺が思った瞬間、神代さんはゆっくりとその身体を動かし始めた。

京太郎「(それから始まったのは舞だった)」

巫女装束を優雅に揺らし、剣と鏡を流すように舞う神代さんの姿。
それは巫女そのものの雰囲気もあって、この世のものではないように思えた。
緩やかなのに、決して激しい訳じゃないその不思議な動きもその印象を加速させているのだろう。
まるですぐそこの光景が、俺とは別の次元にあるようなそれにキュッと胸の奥が締め付けられるように感じた。


京太郎「(単純に…綺麗なだけじゃない…)」

確かにそうやって舞う神代さんの姿はいっそ儚さを感じられるほど美しいものだった。
だが、俺がそれに引きこまれているのは…きっとそれだけじゃない。
一つ一つの動作に何かしらの意味が込められ、感情を含むストーリー性を、その舞の中に見出したからだ。

小蒔「ふぅ…」
京太郎「…」

そして、舞が終わった頃には俺はもう圧倒されて言葉も出なかった。
ただ、感動しているだけじゃなく、口を出すのも憚れるくらい俺は萎縮している。
それは半信半疑な神様相手じゃなく…目の前の可愛らしい一人の女性に対してだ。
ほんの数十秒前まで神聖さの塊のようであり、神様の化身のようであった神代さんに俺は完全に飲み込まれてしまっている。

小蒔「あの…どうでした?」
京太郎「あ…」

そんな俺に対しておずおずと尋ねてくる神代さんに俺の口はようやく言葉を発した。
もうさっきまでの荘厳な雰囲気はそこにはなく、何時もの神代さんに戻った事が分かったからだろうか。
呼吸すら忘れていたのではないかと思う口が少しずつだが動くようになっていくのを感じた。


京太郎「いや…凄かった…です。何て言うか…圧倒されました…」

勿論、俺だって神社などで巫女さんの舞を見た事はある。
けれど、それらに俺は感動を覚えた事はなく、シャンシャンとなる鈴の音が綺麗だと思ったくらいだ。
しかし…目の前の神代さんのそれは…そんなものとは明らかに違う。
ただただ、ただ剣と鏡を持って、身体を動かしているだけなのに、引きこまれ、そして、圧倒されていくのだから。
それはもう俺の貧弱な語彙では凄かったとしか言いようがなく、そんな自分に情けなさを感じるくらいだ。

小蒔「えへへ…♪それなら良かったです」
小蒔「久しぶりに人前で舞ったので…ちょっぴり不安で…」
京太郎「そうなんですか?」

正直、まったくそうは見えなかった。
立ち振舞から仕草の一つ一つまでが堂々としていて、見ているこちらが飲み込まれたくらいなのだから。
到底、不安だったとは思えず、俺は思わず聞き返してしまう。
そんな俺の前で安堵した笑みを見せながら、そっと神代さんが口を開く。

小蒔「えぇ。まぁ、この舞とはまた違うんですけれど、私が霞ちゃん達以外の前で舞うのは新年の時だけです」
京太郎「へぇ…そんな舞が見れるなんて得した気分になりますね」
小蒔「そうですよ。だって、これ滅多に人前では見せないんですからね」

悪戯っぽいその言葉に内心、ドキリとしてしまう。
勿論、神代さんにそんな意図はないと分かっているのだが、特別扱いされているような気がするのだ。
それだけならまだしも…俺がそれをついつい勘違いして、調子に乗ってしまいそうなのが怖い。
また昨日みたいに調子に乗って、友達宣言した挙句、泣かれるような事にはなりたくないのだ。


京太郎「(正直、今でもちょっとショックを引きずってるくらいだからな…)」

神代さんがどうして泣いたのか、俺には未だ分からない。
俺に抱きついてくれた辺り、決して本心から嫌がっていた訳じゃないのだろう。
…多分、そう信じたい…そうじゃなかったら俺が道化過ぎて死ねる…。
ま、まぁ…つまり、そう思う一方で、神代さんの対応は変わらないし、やっぱり迷惑だっただけじゃないかと思うのだ。
そんな悶々とした気持ちから目を背けられても、決して消す事が出来ない俺にとって、アレはとても苦々しい経験なのである。

小蒔「これ毎朝、神様に対して奉納するだけの舞なので…所謂、簡略式なんです」
小蒔「人前で披露する時はもっと長くて、演奏なんかがついて迫力もあるものなんですよ」
京太郎「なるほど…」

そんな俺の前で神代さんが付け加える補足に俺は思わず頷いた。
確かに舞と言うには演奏もないし、何処か物足りなさもある。
それでもあれほど俺を圧倒した神代さんの凄さが際立つが、それを口にして良いのか俺は迷った。
何せ、昨夜の反応から見るにあまり神代さんは巫女としての自分があまり好きじゃないようなのだから。
そんな神代さんに対して巫女としての姿を褒めて良いのか、正直、判断がつかなかった。

小蒔「それより…分かりました?」
京太郎「え…何がですか?」
小蒔「もう…さっきのクイズですよ」
京太郎「あー…」

あまりにも舞が綺麗すぎて忘れていたが、そう言えばそんな事もやっていた。
しかし、ここでクイズを持ち出すと言うのは…やっぱりさっきの舞がヒントだったという事なのだろうか。
もし、そうだとしたら、さっきの発言の意図もようやく分かってくる。
アレは『これから舞う姿がヒントになるから見ていて欲しい』という事なのだろう。


京太郎「(幽霊の正体見たり枯れ尾花って奴かな…)」

当時はドキマギしていた事も、こうして箱を開けてみればなんてことはないものだったのだ。
それに安堵と共に少なくない落胆を覚えながら、俺はそっと思考に耽る。
流石に舞一つまるごと —— しかも、参拝客には見せないというオマケ付きだ —— と言う大きなヒントを貰って不正解にはなりたくない。
ここは神代さんの好意に応える為にも、そしてさっきの失態を取り返す為にも、正解しておきたいところだ。

京太郎「…三種の神器が降りたのは…」
小蒔「降りたのは?」
京太郎「…もしかして、ここなんですか?」

そう思うと色々な事に納得がいく。
ここでわざわざレプリカの神器をあんなに厳重に保管してある理由も、そして毎朝、こうやって神代さんが舞う理由も。
そして何よりあの舞が…何かを導き、そして導かれるような舞がヒントになる理由も説明がつくのだ。
と言うか…俺の頭の中ではそれくらいしか思いつかなかったと言う方が色々と正しい。

小蒔「正解です♪もうちょっと補足するとこの先にある高千穂峰に降りた天孫様が持っていたものなんですけどね」
京太郎「天孫様?」
小蒔「天照大神から見て、二代後の瓊々杵命の事をそう呼ぶんです」
京太郎「なるほど…」

日本神話に疎い俺でも知っている天照大神の名前に何やら感慨深いものを感じる。
流石にニニギノミコト…とか言う神様の事は具体的には知らないが、日本神話の頂点にいる女神の親族と思えば何やら凄く思えた。
何より、そんな神様が降りてきたこの場所と言うのが凄く神聖に思える…と言うのは少しばかり現金な話だろうか。


京太郎「そう思うとここって凄い場所なんですね」
小蒔「そうですね。実際、今も色々と不思議な事が起こったりするのはきっとその ——」
霞「あれ…姫様?」

そこで聞こえてきた声に俺たちがそちらへと視線を向ければ、開いたままの扉から驚いた顔を見せる石戸さんがいた。
まるで狐につままれたようなそれに俺は申し訳なさを覚える。
朝っぱらから大事にしている神代さんが、まだ良く知らない男と一緒にいるところを見てしまったのだ。
そりゃあ驚くし、困惑だってするだろう。

霞「須賀君まで…もしかして…」
小蒔「えっと…その…」
霞「…もう…本殿は姫様以外あまり入っちゃいけないのに…」
京太郎「えっ」

けれど、そんな石戸さんの言葉に俺もまた驚きの声を返してしまった。
とても大事な場所であるという認識こそあったものの、まさかそこまで厳重な場所だとは思ってもいなかったのである。
これがまだ神代さんとの関係も濃い石戸さんたちならともかく、流石にまったく何の関係もない第三者ともなれば、問題になるだろう。
そう思った瞬間、胸の底から冷たい感覚が湧き起こり、今すぐそこから出なければと脳が訴えた。

京太郎「す、すみません…っ!い、今すぐ出ま…ぬあっ!

しかし、それでも今までずっと足の痺れには勝てなかったらしい。
普段、正座なんて殆どしない俺の足は痺れに痺れて、神経をビリビリと焼いた。
足への司令を全て脱力感へと変えるようなその痺れに立ち上がるつもりであった俺の身体の動きが崩れる。
そのままグラリと倒れ込む俺の前に白い何かがあって…——


小蒔「あ…」カァァ
京太郎「う…」

そのままポスンと音を立て、俺は神代さんの胸の中へと飛び込んでしまう。
のしかかるような俺の体重を神代さんは堪えきってくれたので押し倒すような事にはならなかったものの、それでも今の状態は拙い。
何せ、服越しでもはっきりと感じる柔らかな感覚に俺の顔は包まれているのだから。
自然、ムスコがムクムクと元気になり、欲望が表へと現れようとしてしまう。

霞「すーがーくーん?」
京太郎「す、すみません!!!」

そんな俺を咎めるように口にする石戸さんに応えるものの、膝立ちになった足は痺れて立ち直す事は出来そうにない。
だが、左右へと倒れ込もうにも俺の顔は神代さんのおもちに埋もれて、離れなかった。
右へ移動しても、左に移動しても、ふにょふにょと柔らかな感触が俺の動きを阻むのである。
まさかここに来て大好きなおもちに牙を向かれるとは思っていなかった俺の胸で困惑と欲情が入り混じっていった。

京太郎「あ、あの…神代さん、俺を押しのけて良いですから…その…」
小蒔「で、出来ません、そんなの…」
京太郎「(いや、寧ろやってくれないと困るんですってばああああ!?)」

そっと視線を逸らすように言う神代さんはやっぱり可愛い。
けれど、それ以上に俺の胸を埋め尽くしているのは横から突き刺さる石戸さんの強い視線だ。
まるで突き刺さるように感じるそれは最早、警告を超えて、実力排除の領域に近づきつつあることを俺に教える。
それからなんとか逃げようとしても、足の痺れた俺ではこの柔らかな感触から離れる事は出来ず、神代さんに何とかしてもらう他ないのだ。


小蒔「えっと…その…うあう…」マッカ
京太郎「はぅあ!?」

しかし、少しずつ顔が真っ赤に染まり、その言葉が不明瞭になっていく神代さんを見るにそれを期待するのは無理そうだった。
寧ろ、バランスが崩れそうな俺を反射的に支えようとしてくれているのか、その腕が俺の首筋へと回る。
そのままぎゅっと俺を抱き寄せるようなそれに俺の顔がさらにおもちへと埋まり、息すら苦しくなっていく。

京太郎「…石戸さぁん…」
霞「はいはい…もう…分かったから…」

そんな俺があげた情けない声に石戸さんは一つため息を吐きながら、そっと一礼した。
正面の像に立ち入る事を謝罪するようなそれは、さっきの石戸さんの言葉が決して嘘ではない事を俺に伝える。
やっぱりここはこの屋敷にとって重要な場所であり、石戸さんほどの人でもおいそれと立ち入ってはいけない場所なのだろう。
そんな場所にどうして神代さんが俺を招いてくれたのかは分からないが、とりあえず…お説教くらいで済めば良いなぁ…。

霞「ほら、小蒔ちゃん。須賀君を離したげて」
小蒔「ふあ…あ…」ギュッ
京太郎「うぷっ」

恐る恐ると近づいてきた石戸さんの言葉に、神代さんは寧ろ反抗するように腕の力を強める。
まるで俺を手放したくないと言わんばかりのそれに俺の視界すら塞がれて、一体、どうなっているのか分からない。
今の俺に分かるのはドクドクと耳の裏で鳴っている鼓動が、神代さんのものである事と、その胸の谷間から立ち上る甘い体臭だけなのだ。


京太郎「(やばい…やばいやばいやばいやばいやばいって…っ!!)」

一層、広がる魅惑的な感覚に俺のムスコが本格的な勃起を始めてしまった。
ムクムクと持ち上がるそれは下着の布地をグイグイと引っ張り始めている。
それがどれほどのものかは見る事が出来ないから分からないが、外から判別出来てもおかしくはないレベルだろう。
それに理性が強く危機を訴えるが俺の本能は聞いてはくれない。
寧ろ、そのスリルが良いとばかりに大きくなっていくのだ。

霞「…小蒔ちゃん…」
霞「もう…そういうのはダメなんだからね」

そんな俺の耳に少しだけ…ほんの少しだけ悲しそうな石戸さんの声が届いた。
まるで良心の呵責に耐えかねているようなそれに俺は胸中でそっと首を傾げる。
しかし、視界を真っ白な巫女服で封じられた今、答えが出る訳がない。
優しく神代さんの手を取り払い、俺を救出してくれた石戸さんの表情が何時もどおりなのもあって、真実は闇の中だった。

霞「さて…大丈夫?」
京太郎「あはは…その…あんまり大丈夫じゃないかもしれないです」

膝立ちになった俺を見下ろす石戸さんの表情は優しい。
けれど、その視線は決して優しいとは言えないほど冷ややかなものだった。
まるで今にもお説教が始まりそうなそれに思わずぎこちない笑みが漏れる。
とは言え、大丈夫じゃないと答えたのは別に同情心を引く為だけではない。
実際、足の痺れはまだ止まらず、股間の熱もまったく引いていないのだ。
色々な意味で立つ事が出来ない以上、ここは大丈夫と応える事は出来ない。


霞「ふぅ…まぁ…須賀君が悪くはないと分かってるんだけどね…」
京太郎「いや…あの…実際、やらかしちゃったのは事実ですし…」

そんな俺の前でため息を吐きながら、肩を落とす石戸さんに俺はそう応える。
ぶっちゃけさっきのは事故だったとは言え、俺に非がまったく非がないとは言い切れない。
俺がもう少し冷静に自分の状態を顧みる事が出来ていれば、こんなラッキースケベの典型のようなイベントは起こらなかったのだから。
それを思うと石戸さんの前で開き直る事は出来ず、俺は思わずそう口にしていたのだ。

霞「じゃあ、須賀君は責任取れるの?」
京太郎「う…」

だが、切り返すような石戸さんの言葉に俺の言葉は詰まってしまう。
その責任が一体、何を指しているのかは分からないが、俺が思うよりも遥かに重大なものであるのは確かだ。
それに強いプレッシャーを感じた俺には即答が出来ず、逡巡を浮かべてしまう。
そんな自分が情けないと思いつつも、すぐさま答えを出す事が出来ない。

霞「責任を取るつもりはないなら、不用意な事を言うのは止めておきなさい」
京太郎「はい…」

突き放すような冷たい石戸さんの言葉に俺は何の反論もする事は出来なかった。
確かに覚悟もないのに非を認めようとするのはただの不誠実な行為だろう。
いや、不誠実どころか…自分の罪悪感を消そうとするだけの自己中心的なそれに過ぎない。
それを突きつけるような石戸さんの言葉は冷たいが故に正しく…だからこそ、俺はその場で項垂れるしかなかった。


霞「ともかく…詳しい事情は大体、察したから、須賀君はもう部屋に戻っておいて」
京太郎「いや…ですけど…」
霞「…ここはお互い夢にしといた方が良いと思うのよ」

それでも思考がショートして帰ってこない神代さんを放ってはおけない。
そう思った俺の言葉を石戸さんは遮りながら、そう言った。
確かにそうやって何かの夢にしておけば、神代さんが傷つく事はないのかもしれない。
俺が下手に謝罪するよりは…彼女の心を護ってあげられるかもしれない。
俺の自己満足が入る余地のないそれが本当は正しいのかもしれない。

京太郎「(でも…本当にそれで良いのか…?)」

そうやって現実から遠ざけて護るようなそれが本当に神代さんの為になるのだろうか。
勿論…下手に現実を突きつけて、傷つけるよりは遥かにマシなのかもしれない。
だが、人は何時までも子どものままじゃ居られないのだ。
何時までも現実を隠し続ける事なんて出来ないし、何より人は何時か大人にならなければいけないのだから。
それを神代さんも感じているからこそ…ああやって『壁』を感じる事に敏感になっていたのではないだろうか。

京太郎「(勿論、それは俺の推測だ。だけど…)」

俺はまだ神代さんの事を良く知らない。
出会ってまだ一日しか経っていないし、友達であるかどうかさえ曖昧な立ち位置にいるのだから。
そんな俺が神代さんについて誰よりも詳しいであろう石戸さんに説く事が間違いなのだろう。
だけど…俺は昨日、神代さんの心に少しだけ…ほんの少しだけ触れる機会があったのだ。
『壁』を作られ…『姫様』と持ち上げられる事に違和感と疎外感を覚える普通の女の子に…俺は触れていたのである。
それを思えば…石戸さんの言葉を素直に聞き入れる事は出来ず、俺はずっとその場に座り続けた。


霞「…須賀君?」

そんな俺を促すような石戸さんの言葉に俺の心に打算の色が混じる。
ここで下手にゴネるよりは石戸さんに従っておいた方が、後々に有利に働くのだ。
神代さんとの関係はぎくしゃくしないし、何より石戸さんとの関係もこのままで良い。
これからこの屋敷でお世話になる身としてはその二つは到底看過出来ない要素であり…俺の心を怯ませる。

京太郎「分かり…ました」

俺の中に確かにあった『意思』をゴリゴリと削るようなその打算に俺は結局、負けてしまった。
勿論…言い訳だけは俺の中には沢山ある。
ここで石戸さんと教育方針で対立してもそれが聞き入れられる事はまずないだろうし、何より神代さんの本心が分からない。
本当に俺が感じたように過保護にされるのを嫌がっているのかを聞いた訳ではないのだから。
現状では俺の先入観しか根拠がなく、どれだけ意思が固くともそれは勇み足でしかない。
だが、それらはあくまで言い訳なのだ。
俺が自分可愛さに妥協した事実は変わらず、俺の心にズシンと重くのしかかる。

霞「じゃあ、また朝食が出来たら部屋に呼びにいくわね」
京太郎「…はい」

それが俺の身体にも作用したのだろう。
石戸さんが俺の背中にそう言う頃には足の痺れも殆ど取れ、勃起も収まっていた。
それに安堵する暇もなく、逃げるようにそこを後にする俺に自己嫌悪の感情が湧き上がる。

京太郎「(でも…俺にどうしろって言うんだよ…)」

俺はヒーローでも何でもない。
ただちょっとだけおかしな能力を持つだけの普通の男子高校生であり、他人の家庭にまで干渉するような権利などないのだ。
そんな俺が口を出したところで、事態が好転するどころか悪化しかねない。
しかし…そうは分かっていても、心の中のもやもやは晴れず、俺を責め続ける。
それから逃げるように部屋へと戻っても…自己嫌悪はなくならず、俺は一人、ため息を吐いた。


京太郎「(神代さん…どうなっているかな…)」

パジャマから私服に着替え、廊下から朝霧の晴れない庭をぼぉっと見つめる俺にそんな言葉が浮かんだ。
石戸さんがさっきの事を夢だったと誘導するのならば、俺をあそこへ招き入れた事に怒られる事はないだろう。
だが、それでも無理に現実を歪められた神代さんが、どうにかならないとは到底、言い切る事は出来ない。

京太郎「…はぁ」
春「…どうかした?」
京太郎「え…あ…」

ふと問いかけられた声に視線をそちらへと向ければ、そこには滝見さんの姿があった。
昨日、会った時と同じように黒糖の袋を持つその表情は何処か心配そうなものに染まっている。
どうやら俺のため息を聞かれていたらしいそれに俺はどう応えたものか迷ってしまった。

春「…要る?」
京太郎「はは…頂きます」

そんな俺にそっと差し出される黒い塊を俺は受け取った。
恐らく滝見さんなりに俺を励まそうとしてくれているであろう。
それを感じさせる甘いお菓子が胃の中から心に染みこんでいった。
昨夜、食べた時よりも優しいその味は、滝見さんの気遣いが嬉しかったからなのだろう。


京太郎「黒糖、美味しいですね」
春「ん…」

滝見さんはあまり口数が多い方じゃない。
俺の偽りない感想にも嬉しそうに頷くだけで、多くは語らなかった。
けれど、今はその優しさが嬉しい。
自分の中で色々と整理が出来てない以上、ここで色々と突っ込まれても戸惑うだけなのだから。

春「良かった」
京太郎「え…?」
春「…少し表情が明るくなった」

そんな俺に向けて優しく微笑む滝見さんに胸の奥がジィンと熱くなった。
それはきっと普段のぼぉっとしているような顔からは想像も出来ないくらい綺麗な笑みだったから…だけではないのだろう。
その言葉一つから俺を心配し、そして気遣ってくれていた事がありありと伝わってきたからだ。

春「黒糖仲間が落ち込むと悲しい」
京太郎「はは…俺を仲間だって言ってくれるんですね」
春「黒糖美味しいって言ってくれたから…」

そう言って少し目を逸らす滝見さんは見た目通り感情の起伏が少ない人ではないのかもしれない。
いや、寧ろとても情緒豊かで心優しい人なのだろう。
そうやって俺から目を背ける頬は赤く染まり、滝見さんが少なくない羞恥心を感じている事を俺に教えてくれるのだから。


春「だから、私は何時でも須賀君の力になる…」
京太郎「…有難うございます」ペコリ

そのまま目を背けたまま、ポツリと呟く滝見さんの言葉に俺は小さく頭を下げた。
まだこの屋敷に来たばかりの俺にとって、そこまで言ってくれる滝見さんの言葉は嬉しくて仕方がない。
気が緩んでいる時であれば…正直、涙が出そうなくらいだ。

京太郎「でも、今は大丈夫です」
春「…本当?」
京太郎「えぇ。黒糖パワーで元気が出ましたから」

でも、だからと言って、今の俺は滝見さんに頼る訳にはいかない。
俺が抱いているそれはまだ朧気なもので、確実ではないのだから。
俺が本当の意味で行動するのは、神代さんの本心を聞いてからで良い。
そして…その為に俺がするべきは神代さんと仲良くなって、その心を聞かせて貰えるようになる事だ。
それが俺に出来る唯一の償いなのだろう。

京太郎「全部、滝見さんのお陰です。本当に有難うございました!」
春「…お礼は要らない」

そう思えたのも全て滝見さんがくれた黒糖と優しさのお陰だ。
それを頭を下げたまま伝える俺に平坦な滝見さんの言葉が返る。
それにそっと頭を上げれば、目の前で優しく微笑んでくれている滝見さんと目が合った。


春「須賀君が元気になってくれただけで十分」ニコッ
京太郎「う…」

何処か母性的なものさえ感じさせる暖かなその微笑みにドキリと胸が跳ねた。
さっきのものよりも嬉しそうで優しいそれは健全な男子高校生には眩しすぎる。
正直、一ヶ月前の俺だったら、これだけでコロッと惚れちゃいそうなくらいだ。

京太郎「は、はは…元気になりましたよ!なりすぎて、このまま滝見さんの仕事手伝えるくらいですから!」

それを誤魔化すようにぐっと握り拳を作って言ってしまう辺り、俺も神代さんの事を笑えないのかもしれない。
そんな事を思いながらもぎこちない笑みも仕草もなくなってはくれなかった。
この一ヶ月の間に色々な事があったと言っても、俺はそこまで精神的に成長出来た訳じゃないらしい。
それに胸中でため息を吐いた瞬間、滝見さんがそっと思考に耽った。

春「仕事…あ」

何かを思い出すようなその仕草の果てに、ぽつりと声を漏らす滝見さん。
それに俺が首を傾げるのを見ながら、彼女はポンと手を打った。
まるで何か大事なことを思い出したと言わんばかりのそれも滝見さんだとわざとらしく思えないのはどうしてだろうか。
いや、滝見さんだけじゃなく、この屋敷にいる女性全員にそういう雰囲気がある。

春「朝食…出来た」
京太郎「あ、あぁ…呼びに来てくれたんですね」

そんな事を考える俺の前で簡潔に滝見さんが言葉をくれる。
そう言えば、さっき石戸さんが朝食が出来たら呼びに行くと言っていたっけ…。
自己嫌悪に沈んでいたばかりで忘れていたものの、既に結構な時間が経っていたらしい。
庭の朝霧も少しずつではあるものの晴れ、植物に陽の光を与え始めていた。


春「何時ものとこ、行こ?」
京太郎「えぇ。了解です」

滝見さんの言葉に頷きながら、俺はそっと彼女の隣に立った。
そのまま一緒に歩き出すものの、俺達の間に特に会話はない。
それをぎこちないと思わないのは、滝見さんがあまり口数が多い方ではない所為か。
こうやって無言のままでも居心地は悪くなく、スルリとそれを受け入れる事が出来た。

春「…敬語、要らない」
京太郎「え?」
春「同い年だし…仲間だから」

そんな俺に唐突に告げられる言葉に微かな驚きを覚えた。
勿論、俺は滝見さんが同い年である事を知っているし、他の皆の学年も把握している。
だが、それは彼女たちがインターハイ出場選手だったからであり、それ以上の理由はない。
逆に滝見さんが俺の事を調べようとしても、実績も何もないので難しいだろう。
ならば、俺が気づかない間に言っていた…と言う事になるが… ——

京太郎「俺、年齢とか言ってたっけ…?」
春「…秘密」クスッ
京太郎「えー…」

それでもそんな覚えはまったくない。
そう思って尋ねた俺の言葉に滝見さんは小さく笑いながら隠した。
何も隠すような事ではないと思うものの、どうやら悶える俺の姿を楽しんでいるらしい。
そう言った事に関心がなさそうな滝見さんにまで弄られるとは…どうやら俺の弄られ体質もかなりのところまで来ているようだ。


春「それに…自分で思い出して欲しいから」
京太郎「ボケ防止の気遣いって事か?」
春「…京太郎君の頭は色ボケかもしれないけどね」クスッ
京太郎「そんなボケ方はしてないって!」

そもそもそんなボケ方をしていたら、俺はきっとここには居られないだろう。
俺は半信半疑ではあるものの、ここの神様は男に対して結構、厳しいらしいのだから。
そんな事は巫女である滝見さん…いや、春さんにも分かっているだろう。
それでもこうして人のことを色ボケ扱いするのはきっとそれを認めさせる何かがあるからだ。

春「…おっぱい」
京太郎「すみませんでした」ペコリ

ポツリと呟かれた春さんのそれに俺は一秒も経たずに非を認めて謝罪した。
それを持ち出されると俺は何も言えず、ただ、謝罪する事しか出来なくなってしまう。
何せ、俺の煩悩は最早、自らの内では留まらず、人に害を及ぼすほどのレベルになっているのだ。
それは色ボケ以外の何者でもないと俺自身もまた理解している。

春「謝罪早い。驚き」
京太郎「いやぁ…ここで粘っても立場が悪くなるだけだし…」
春「…もうちょっとジワジワと虐めたかった」
京太郎「おい」
春「…冗談」

大人しいと思っていたものの、春さんは意外と面白い性格をしているらしい。
それに思わずツッコミを入れた瞬間、俺達の足は見慣れた襖の前で止まった。
既に数人の気配を感じるその奥からはいい匂いも漂っている。


春「…おまたせ」
京太郎「すみません。遅れました」

そんな襖をスゥゥと開けた瞬間、そこにいた四人から俺たちへと視線が送られる。
どうやら俺がグダグダとやっていた所為で皆を待たせてしまっていたらしい。
それに一つ謝罪をしながら、俺達は部屋へと入り、丸いテーブルを囲んだ。

霞「じゃあ、皆揃った事だし、頂きましょうか」

それに石戸さんが掛け声を掛け、皆が一斉に『頂きます』と声を合せる。
まるで最初から打ち合わせされていたようなそれは彼女らの付き合いが一朝一夕ではない事を俺に伝えた。
それに何処か微笑ましいものを感じる俺の前に、湯気が立ち上るお椀が差し出される。

巴「はい。どうぞ」
京太郎「有難うございます」
春「お醤油も…欲しかったら取るから」

両脇と狩宿さんと春さんに挟まれながらの食事は、快適すぎて逆に居心地が悪いくらいだった。
何せ俺が何かを欲しそうにするとすぐさま脇の二人が反応してくれるのだから。
まるで甲斐甲斐しく世話をされているようなそれは快適であるものの、気を遣われている感が半端ない。
正直、俺としてはもっとぞんざいな扱いで良いと思うのだが、まるでVIPのようだ。
いや、恐らく国賓級のVIPであっても、永水女子の巫女さんたちにここまで甲斐甲斐しく尽くされはしないだろう。

京太郎「(お陰で…神代さんに話しかける余裕もないや…)」

何かしようとする度に二人がそれにすぐさま反応するので、二人への対応で手一杯になる。
それでも視線を神代さんへと向ければ、チラチラと俺に対して視線を向ける姿があった。
どうやら神代さんも俺の事を気にしているらしい。
さっきの事は夢と言う事で済んだのか、或いはそれで済ませられなかったのか。
明らかに俺を意識しているその姿からはどちらともとれて、俺の胸を悶々とさせる。


京太郎「ふぅ…お腹一杯です…」
巴「もう良いの?」
春「お茶漬けもある」
京太郎「いや、もうホント、無理っす…」

それでもあれやこれやと世話を焼いてくれる二人にオカズを取り皿へと運ばれ、俺のお腹は一杯になった。
どの料理も美味しかったので食べる事が苦痛ではなかったものの、コレ以上は流石に限度を超える。
今だって、正直、ズボンのベルトが苦しくて、緩めたいくらいだったのだから。
二人が色々と尽くしてくれるからと言っても、朝からこれは流石に食べ過ぎである。

霞「じゃあ、食休みにしましょうか」
小蒔「あ…じゃあ…」
初美「姫様は今日は私と一緒に後片付けの当番ですよー」
小蒔「あわ…忘れていました…」

そう言って神代さんは薄墨さんと共に食べ終わった食器を載せたお盆を持って、障子の向こうへと消えていく。
その最中、こちらにチラリと向ける視線が寂しそうだったのは、俺の気にし過ぎだろうか。
だが、それでも脳裏にふとチラついたイメージは消えず、俺の胸の中でもやもやと漂う。
数秒後、罪悪感と共に結びついたそれに俺はふと決心して口を開いた。

京太郎「俺もちょっと手伝ってきますね」
霞「良いのよ、そんな事気にしなくて」
京太郎「でも…」
春「休んでおいた方が良い」
巴「そうね。私達が調子に乗って食べさせすぎちゃったみたいだし…」
京太郎「いえ…そんな事ないですって。俺が見栄を張ったのが原因ですし」

実際、途中でギブアップと言えたのにこんなになるまで食べたのはそう言えなかった俺の責任である。
世話をしてくれた二人には何の非はなく、悪いのは調子に乗った俺一人だ。
けれど、二人はそうは思ってはいないようで、その顔をそっと俯かせている。
そんな二人を置いて、神代さんの所に行くとはどうしても言えなかった。


巴「でも、何にもしないっていうのも須賀君が辛いだろうし…明日の片付け、手伝ってくれる?」
京太郎「うす。お安い御用ですよ」
巴「良かった…じゃあ、お礼にその後、一緒にお勉強しましょうか」
京太郎「げ…いや…でも…」
春「勉強は大事…」

ニコリと笑いながら告げる狩宿さんの言葉は全力で遠慮したいものだった。
俺がここにいるのはあくまでも能力制御の為であり、学業なんぞはなから捨てているのである。
それよりも一刻も早くこれを抑える方法を身につけ、和や漫さんを安心させてあげたいのが本音だった。
しかし、狩宿さんも春さんもそうは思ってはいないようで、がっちりと俺の両腕を掴んでくる。
まるで逃がすまいとするようなそれに俺は微かに冷や汗を浮かべるが、彼女らの笑みはまったく変わらなかった。

霞「そうね、学生の本分は勉強なんだもの。ちゃんとやっておかないと将来に響くわ」
京太郎「将来…かぁ…」

確かに受験を見据えれば、ここで勉学を疎かにする訳にはいかないだろう。
俺の成績があまりよろしくない事を思えば尚更だ。
けれど、そんな正論で踏みとどまるような奴ならば、担任に電話一本だけ入れて、親と喧嘩した挙句、家を飛び出すように鹿児島まで来てはいない。

京太郎「(我ながら無茶してるもんだなぁ…)」

勿論、当時はそれしかないと思っていたが故に俺も親と喧嘩した訳だ。
しかし、こうしてまったく家とは違う環境に身を置けば、多少は頭も冷えていくる。
ましてや永水の皆がとても冷静で優しいだけにその言葉は俺の胸に届き、親に対する申し訳なさが浮かんできた。
……帰ったら殴られる程度じゃ済まないかもしれないが、土下座してでも謝ろう。


霞「須賀君にはそういう将来やりたい事って無いの?」
京太郎「やりたい事…ですか…」

俺だって男子高校生だ。
そりゃあ不埒な願望も含めれば、五万とやりたい事がある。
しかし、そう言った将来を見据えたやりたい事…と言うのは正直、思いつかなかった。
清澄に入部してからは麻雀の楽しさに取り付かれていたし、今はそれを取り戻すのに精一杯なのだから。
だが、それでも…あえて将来、やりたい事を一つあげるならば… ——

京太郎「俺が傷つけた人を幸せにしたい…ですかね」

俺は和と漫さんを傷つけた。
例え、本人がそう思っていなくても…俺は間違いなく傷つけてしまったのである。
だから…俺はそれを一生、かかってでも償って行かなければいけない。
二人がもう良いよって言っても…心から幸せになれるように尽力しなければいけないのだ。

霞「それは結婚的な意味でって事?」
京太郎「ち、違いますよ!二人共、俺なんか勿体無いくらいの人ですし」

勿論、それは結婚をするとか…そういう意味の責任の取り方じゃない。
そうやって俺に縛るような意味ではなく、もっと色々な面でのサポートがしたいという事だ。
例えば、恋愛とか仕事とか…そういう意味で、誰よりも助けになって、二人が幸せに人生を謳歌出来るようにしてあげたい。
いや、俺が二人にしてしまった事を考えれば、それくらいしないと釣合いが取れないだろう。


京太郎「だから…俺は…」
霞「…もし、それが一生を掛けて償うという意味なら止めておきなさい」
京太郎「え…?」

そんな俺に届いた石戸さんの声に俺は思わず聞き返してしまう。
石戸さんには事情を話しているし、俺がどれだけ二人に酷い事をしたのか分かっているはずだ。
いや、石戸さんが女性である事を考えれば、俺よりもその事実の重大さを理解していると思って良いだろう。
それなのに一体、どうしてそんな事を言うのか。

霞「一生を掛けて償うだなんて、言う方も言われる方も辛いだけで長続きしないわ」
京太郎「でも…」

確かに…辛いかもしれない。
だけど、俺はそうやってやってしまった罪に向き合わなければいけないのだ。
それがどれだけ辛くとも、俺は他に償う方法を知らない。
人に誇れるものを何も持っていない俺にとって…彼女たちに捧げられるものは人生くらいしかないのだ。

霞「それとも貴方の知るその二人は、一生かけて償われて喜ぶタイプなのかしら?」
京太郎「っ…」

鋭く突く石戸さんの言葉に俺は返事をする事が出来なかった。
だって…そうだろう。
和も漫さんもとても優しくて…到底、そんな事を望むタイプには見えないのだから。
特に…漫さんは俺を励まし、アレだけ元気づけてくれたのだ。
そんな俺が後ろ向きに償おうとする事なんて望んでいないだろう。


京太郎「(それでも…俺がそう思うのは…自己満足の為か…)」

いや、そもそも『償わなければいけない』…と思う時点で、きっと俺の思い込みだったのだろう。
何せ、俺はそれを彼女たちに確認した訳でも何でもないのだから。
ただただ、自分で自分を責め、罪の意識に向かい合う振りをして…現実の二人にまったく目を向けていなかった。

京太郎「(勿論…償いは必要だ。だけど…)」

俺は二人にそれだけの事をしてしまった。
どれだけ意識が変わったとしても、その過去は、事実は変わらない。
しかし、具体的なアレコレを考えるのは…全てが終わってからでも良いだろう。
今、俺がやるべき事は償いを考えるのではなく、能力制御と二人の異常を治す方法を得る事なのだから。

霞「まぁ…その辺りは部外者である私があまり口を出せる事じゃないのかもしれないけれど…」
京太郎「いえ…助かりました」

実際、ここで石戸さんに指摘されていなかったら、俺はそれをズルズルと引きずり続けていただろう。
結果、意固地になって、二人を傷つけていた未来だってあったかもしれない。
それを思えばここで勇気を出して、指摘してくれた石戸さんは本当に有難かった。

霞「そう…良かった。まぁ…今日はそういう事を考えずに、観光でもしてきたらどうかしら?」
京太郎「観光ですか?」
霞「えぇ。折角、鹿児島に来たんだもの。何も見ずに帰るのは勿体無いでしょ?」

確かに折角、鹿児島に来ているというのに観光もせず、お屋敷にこもりっぱなしというのも不健康な話だ。
俺自身、少なくない諭吉さんと別れただけに、ちゃんと観光したいという気持ちもある。
しかし、それよりも先に能力制御の訓練をしなくてはいけないんじゃないか。
どうしてもそんな意識がなくならなかったのである。


霞「それに私たちは今から学校だし…能力制御の方法もまだ纏まっていないしね」
京太郎「まぁ…昨日の今日ですものね…」

俺達はまだ顔合わせして情報を多少、交換しただけだ。
それで能力制御のアレコレを考えてもらうと言うのは無理だろう。
となれば、今日は休日くらいのつもりでのんびりゆっくりとするのが良いのかもしれない。
朝のランニングも結局、出来ていない事だし、まずはこの辺りから見て回ってみようか。

京太郎「分かりました。まぁ、補導されないように気をつけます」
霞「ふふ…須賀君は目立つものね」
巴「金髪さんだしね」
春「自毛だから仕方ない…」
京太郎「そこで一言もオーラが出てるとか存在感があるとか出てこないのはどうしてなんでしょう…」
春「…きょーたろーくんはいけめん」
巴「おーらでてるよー」
霞「そんざいかんあるわぁ」
京太郎「くそぅ!分かってた!分かってたのに!!」

棒読みで俺の言葉に応える三人に悔しそうに言いながらも、心の中で安堵する。
まだ出会って一日しかないが、こうやって和やかな会話が出来る程度には親しみを感じてくれているらしい。
特に石戸さんは朝のアレを見られてしまってぎこちなくなると思っていたが、特にそんな事はなかった。
まったく気にしていない訳ではないのだろうが、少なくとも表面に出すようなレベルではないのだろう。
それに胸中で安堵の溜息を吐いた瞬間、コホンと石戸さんが喉を鳴らした。

霞「それじゃ、小蒔ちゃんが帰ってきてから皆で山を降りましょうか」
京太郎「あ…そっか。神代さんがいないと降りられないし、登れもしないんだ…」

それを完全に信じている訳ではないが、もしもの時を考えて、ちゃんと準備した方が良いだろう。
俺はこれから数時間、外を出歩く羽目になるのだから、特に財布と着替えだけはしっかりとしておかなければいけない。
そう思った瞬間、襖戸がそっと開き、薄墨さんと神代さんが帰ってくる。


霞「じゃ…二人も帰ってきた事だし…とりあえず解散ね。15分後くらいにまた此処で集まりましょう」
小蒔「えー…」

仕切る石戸さんの言葉に神代さんが不服そうな声をあげる。
その最中、こちらにチラチラと視線を向けてくる辺り、俺と話したいと思ってくれているのだろうか。
それはこちらも望む所ではあるものの、今はまだあまりのんびりはしていられない。
学校をぶっちして鹿児島にやってきている俺はともかく、皆はこれから学校があるのだから。

霞「ほら、姫様も急がないと遅刻しちゃうわよ?」
小蒔「むむむ…」

それは神代さんも分かっているのだろう。
石戸さんの促すような言葉に喉を鳴らしながらも、渋々と従った。
そのまま入ってきた襖の方へと戻りながら、名残惜しそうに俺に視線をくれる。
それに俺は機会があれば、こっちから神代さんに話しかけようと心に決めながら、ゆっくりと立ち上がった。

京太郎「うし…それじゃ俺も準備してきますね」

食休みに石戸さんたちと話をしていたお陰で満腹感はかなりマシになっていた。
これからあの長い階段を降りる事を考えれば、少し心もとないが、それでも恐らく吐いたりする事はないだろう。
そう判断する俺の脇から春さんと狩宿さんも立ち上がった。

春「…じゃ、後で迎えに行くから」
京太郎「え?」
巴「まだ屋敷の中、不慣れでしょ?ここ広いし」
京太郎「いや…でも…」

確かにこの屋敷は俺が見てきたどんな家屋よりも広いし、複雑な構造をしている。
増築を繰り返したのか、通路も入り組み、迷いそうになったのは一度や二度じゃなかった。
だが、それでも自分の部屋から、こうした団欒の間に辿りつけないほど俺はポンコツじゃない。
咲ならばまだしも、これくらいの距離なら簡単に道筋を覚えられるのである。

春「…嫌?」ジッ
京太郎「そんな訳あるかよ」キリリッ

しかし、そうやって春さんに上目遣いをされて、拒否するほどの理由じゃない。
そもそも美少女二人を侍らせて、移動できると言うだけで男子高校生としては垂涎モノのシチュエーションなのだ。
それを得るためなら、俺のちっぽけなプライドと引き換えでまったく構わない。

春「京太郎君は本当に調子が良いんだから…」クスッ
京太郎「俺の調子が良いんじゃなくて、二人の容姿が良いんだよ」キリッ
巴「それってつまりスケベって事じゃないの、もう…」

呆れたように狩宿さんが言うものの、その目は言うほど嫌がっている訳じゃなかった。
昨日は軽く流されただけだったが、少なくとも流されない程度の信頼は出来てきたらしい。
色々と失敗したと思う事はあれど、どうやら信頼関係の構築は上手くいっているようだ。

京太郎「(まぁ…上手く行きすぎな気がしなくもないけれど…)」

あまりの居心地の良さに此処が昨日からお世話になっている場所だという事を忘れそうになってしまう。
いや…頭の中では理解できていても、心がそれから目を背ける事が少なからずあるのだ。
自分自身のそんな心の動きが理解できず、内心、首を傾げながらも、その思考を放り投げる。

京太郎「(今はそんな事考えてる暇はないな…)」

これから少ししたら、俺は皆と共にこの山を降りないといけないのだ。
それまでに荷物の整理をして、忘れ物がないようにしておかなければいけないだろう。
基本、そう言った忘れ物をするタイプではないが、取り返しがつかない以上、何度も確認するのに越した事はない。
そう思いながら、俺は襖戸を動かし、廊下へと出る。
その脳裏に必要な物をリストアップしながら、俺は与えられた客間へと急いだのだった。



………



……







鹿児島探索は意外と楽しかった。
下の霧島神宮で自転車を借りて巡った地域は長野とはやっぱり似ても似つかない。
それでも雰囲気が何処か似ているような気がするのは、田舎っぽさが共通しているからか。
程よく発展し、そして程よく閑散なその様は清澄周辺と良く似ている気がするのだ。

京太郎「(お陰で何か既視感を感じたくらいだぜ…)」

一度、この景色を見ているような…何とも言えないデジャ・ヴ。
だけど、俺には鹿児島に来た記憶なんてまったくない。
生まれも育ちも長野の俺が昔、こっちに住んでいた…なんて事もまずないだろう。
だから、それは錯覚に過ぎない…そう思いながらも、それはなくならず、こうして日が堕ちる寸前までずっと続いたのだった。

京太郎「(まぁ、それが気にならないくらい楽しかった)」

霧島神宮と言う大きな神社が近くにある所為か、意外とこの辺りはお店なんかが多かった。
それらに顔を出す度に、店員のおばちゃんなどが和やかに話しかけてくれたのである。
そんな人たちに大学生だと偽って、卒論のためにこっちに来ている…と言う嘘は自分でもやり過ぎだったと思うが、結構な人がそのまま信じてくれた。
まだ高1なのに…それだけ俺の顔が老けているのか、或いはこの金髪が生み出すチャラさが大学生らしさを演出してくれたのか。
どちらかは分からないが、と言うか、どっちでも地味にショックなのだが、まぁ、怪しまれなかっただけマシだろう。


京太郎「ふぅ…」

そんな俺が今、居る場所は霧島神宮の階段前だった。
既に自転車を神主さんに返して、迎えを頼むメールを石戸さんに送って数分。
その返信は既に来ているものの、これだけの長い階段を降りてくるのにはもうちょっと時間が掛かるだろう。

京太郎「(でも…そうやって待っているだけなのも…悪くはないな…)」

こうして見る霧島神宮に夕日が掛かり、鮮やかな赤色をさらに引き立てている。
日が落ちるまでのほんの僅かな時間だけしか見れないその特別な姿に俺は引きこまれていた。
神社が持つ独特の神聖さを際立たせるようなそれにここが本当に神様のいる場所なんだと思うくらいである。

京太郎「(はは…普通に神様の事信じる気になってるや)」

これまで無神論者と言う訳ではなかったが、積極的に神様を信仰する気がなかった自分。
それがこの二日間、巫女である神代さんたちに接してきた所為か、神様の存在を信じるようになり始めていた。
ほんの僅かな間で影響を受け過ぎだと思うが、それもこれも神代さんが可愛くて、神秘的なのが悪い。
いや、悪くはないのだが、ともあれ、俺が変わったのは神代さんの所為なのだ。

京太郎「(いっそ、ここに入信するのも良いかもな)」

俺が神様を少しずつではあるものの、信じるようになったのは神代さんのお陰だ。
ならば、他の神様を信じるよりは、少し遠くても、ここの神様を信奉した方が良いのではないか。
そんな事を思うくらい、俺の価値観は変わりつつある。
それが何となくおかしくて、俺は一人、クスリと笑みを浮かべた。


京太郎「(まぁ…その辺は神代さんに聞いてみようか)」

男である俺を山へと招き入れるには神代さんがいないと無理らしい。
ならば、これから俺を迎えに来るのは彼女だろう。
流石に昨日のように一人きりで山を降りるじゃないだろうが、それでも今日の朝みたく話をする余裕もない状況にはならないはずだ。
折角、長い階段でもあるのだし、その辺の事を相談する時間は幾らでもあるだろう。

霞「お待たせ」

そんな事を考えている間に、それなりの時間が経っていたらしい。
既に日は完全に落ち、周囲には夜の帳がゆっくりと広がりつつあった。
そこで俺の背中から掛けられた声は石戸さんのものであり、彼女が神代さんと共に迎えに来てくれた事を俺に教える。
それに微かな申し訳なさを感じながら、俺はそっと石段から腰を上げ、二人の方へと振り返った。

京太郎「いえ、こちらこそ…すみませ…」
初美「朝方ぶりなのですよー」
春「やっほ…」
巴「おかえりなさい。どうだった?」

そんな俺の前に居たのは二人なんてレベルじゃなかった。
寧ろ、後ろの方で困ったように俺を見る神代さんを含めて、永水女子勢揃いだったのである。
たった一人の出迎えに何でここまで大所帯で来る必要があるのか、まったく分からない。
これではまるで本当にVIP待遇か何かのようじゃないか。


初美「どうせ降りるなら皆でスーパーにお菓子買いに行こうって話になったのですよー」
京太郎「ですよねー」

しかし、そんな俺の儚い幻想を薄墨さんの言葉が粉々に打ち砕く。
別に期待していた訳ではないのだが…いや、うん、ごめんなさい、期待していました。
もしかして、皆で俺を迎えに来てくれるくらい受け入れてくれたのかって思いました!
だって、しかたないじゃん!!
俺だって色々と多感なお年頃なんだからさ!!
こんな美少女勢揃いで迎えに来てくれたら誤解も期待もするってば!!

小蒔「ご、ごめんなさい…私は一人で良いって言ったんですけど…」
京太郎「あ、いや、何も悪い事なんてないですよ」
霞「そうそう。寧ろ、須賀君にとっては、嬉しいシチュエ—ションでしょ?」
初美「男の夢のハーレムなのですよー」
巴「それだけの甲斐性が須賀君にあるかどうかは分からないけどね」
春「京太郎君なら…きっと大丈夫」グッ

謝罪する神代さんを遮るようにして言う皆の言葉に俺は色んな意味で笑うしかなかった。
確かにこれだけの器量よし五人に取り囲まれて嬉しいのは事実であるが、それを落ち込む神代さんの前で言う訳にはいかない。
俺の勘違いでなければ神代さんが落ち込んでいる理由は、ろくに俺と話す余裕が無いという事なのだから。

霞「それじゃ…悪いけど買い出しついでにスーパーまで付き合ってくれる?」
京太郎「えぇ。構いませんよ」

とは言え、そうやって俺をスーパーへと誘う石戸さんの言葉を拒否する理由は俺にはなかった。
現在進行形でお世話になっている身としては、荷物持ちの一つでもしたい。
それに昨日、お菓子をご馳走になった身としては、今度は俺から何かしら皆に返したくもあったのである。
まだ何を作るかは決まっていないが、その辺りは品揃えを見てから考えれば良いだろう。


初美「それじゃ出発ですよー」トテトテ
巴「こら、走らないの」
春「…京太郎君、早く」グイッ
京太郎「お、おぉ」
小蒔「むぅぅ…」

瞬間、姫様の前に並んでいた薄墨さんが飛び出し、五人の陣形が崩れる。
それを狩宿さんが追いかけ、春さんが俺の手を引っ張った。
お陰で最後尾に居た神代さんとは大きく離されてしまう。
そんな俺の耳に拗ねるような神代さんの声が届くが、俺の手を引っ張る春さんは意外と俊敏で、振り返る余裕が無い。

巴「あ、そうそう。須賀君の能力を制御する方法について目処が立ったわよ」
京太郎「ほ、本当ですか!?」

そのまま春さんへと引っ張られるようにして追いついた狩宿さんからの言葉に俺は驚きの声をあげた。
正直、まだ無理だと言われて数時間しか経っていないのに、もう見通しが立っただなんて思えない。
だが、狩宿さんはそんな悪趣味な嘘を吐くとは到底、思えず、俺の胸からジワジワと嬉しさが沸き上がってくる。

巴「えぇ。宮守の熊倉先生に意見を伺ったら…良いアドバイスをくれて」
京太郎「熊倉先生が…」

名前しか知らないものの、日本で一番、オカルトに詳しいと赤坂さんに言わしめた人。
そんな人にわざわざ連絡を取ってまで俺の対策を真剣に考えてくれている。
そう思うと感動で胸の奥が熱くなり、抑えきれない衝動が手に力を込めさせた。


巴「熊倉先生が言うには能力はおおまかに二つに分けられるらしいわ。つまり…自分を含む人に影響するものと場そのものに影響するもの」

「勿論、この複合もあるけどね」と付け加える狩宿さんの言葉は何となく分かる。
例えば龍門渕の天江選手なんかは典型的な後者であり、前者の典型は鶴賀の東横選手なのだろう。
そしてまた、俺も分類的には前者へと別けられる。
そう思えば、何となく東横選手に親近感を抱く…なんてのは流石に失礼な話か。

巴「そして前者の中で他人に影響を与えるタイプには他者に起因するものと自分に起因するものがあるって」
京太郎「…??」
巴「あぁ…つまりね。能力の対象を選ぶのに自分の意思が入り込むか、入り込まないかって事」
京太郎「う、うぅ…ん…?」

分かりやすく噛み砕いてくれているのは分かるものの、イメージが湧かないのは俺の学がない所為か。
何となくニュアンスでは分かるものの、はっきりとした具体例が脳内には浮かばない。
そもそも、その二つの境界も俺の中で曖昧で自分の場合、どちらに分類されるのかに理解が及ばなかった。

巴「つまり須賀君の場合、他者の身体的特徴が対象になる訳だから、他者に起因するタイプって事ね」
京太郎「な、なるほど…」

そんな俺が困っていると言う事が伝わったのだろう。
クスリと笑いながら、狩宿さんが補足をしてくれた。
それに頷きながらも、狩宿さんの頬が少し赤いのが気になる。
身体的特徴とかなりぼやかして言っているものの、それが女性的セックスアピールである事は既に伝えてあるのだ。
それを遠回しであれ、口にするというのはやっぱり少し恥ずかしいものなのだろう。


巴「で、この場合、能力を封じるのは実に簡単。つまり相手を意識しなければ良いの」
京太郎「んな事出来るんですか…?」

確かに極論を言えば、そうだ。
しかし、麻雀で卓を囲む以上、どうあっても相手に意識が向いてしまう。
相手が打つ牌を見る事も重要な競技なのだから、意識シないというのは無理な話ではないだろうか。

巴「あら、既に京太郎君はネト麻とかでやってるはずよ」
京太郎「いや…そうかもしれませんけど…」

けれど、それは相手の姿が見えないからだ。
意識しようにもアバターと言う朧気なものしかないからなし得る技なのである。
それを現実でやってのけるなんて…そんな事、出来るはずが… ——

京太郎「あ…」

そこで俺の脳裏に浮かんだのは俺の最初の師匠である和の姿だった。
確かに彼女はまったく他者を意識せず、打牌を見て、計算を淡々と繰り返している。
ある種、集中の極地とも言うべきその姿はインターハイで並み居る強豪のオカルトをかわし、かなりの好成績を収めていた。
俺の憧れの源泉でもあるその姿は決して嘘でも幻でもない。

京太郎「(俺も…和のようになれれば…これを無効化出来るのか…?)」

確かに理論としては分からなくはない。
相手が巨乳か否かで判断しているのであれば、そういった判断材料を全てなくせば良い…と言う強引なものだが。
しかし…現実、それ以外に俺がこれを無効化出来る方法がある訳じゃない。
ならば…自信はないけれど…頑張ってみるべきなのだろう。
何も試さずに『出来ない』と口にして良い時期は…もう既に終わったのだから。


京太郎「…分かりました。俺、頑張ります!」
巴「よし。流石は男の子、良い返事」

それを示すようにしてぐっと握りこぶしを作った俺に狩宿さんがそっと笑ってくれた。
何処か誇らしげなそれは俺が一歩前進した事を我が事のように思ってくれているからだろう。
それが妙にこそばゆい反面、嬉しくて、俺の顔にも笑みが浮かんだ。

春「私達も…協力するから…」
初美「帰ったら本格的に特訓開始ですよー」
京太郎「はい!お世話になります!」

勿論、まだ出来るかもしれないという方法が見つかっただけで、それが実を結ぶかは分からない。
でも、こうやって俺に手を貸してくれる人たちがいれば…きっとなんとかなる。
そう思うのは…多分、楽観的なものではないだろう。
これまで暗く見通しもたたなかった闇に…彼女たちは一筋の光を齎してくれたのだから。

京太郎「(後はそれを…俺が掴んでものにするだけだ…)」

ぎゅっと握りこぶしに力を入れながら、俺はそう胸中で呟く。
これだけの事をやってもらっておいて、今更、出来ませんだなんて格好悪くて言えない。
俺が出来る最高の恩返しは…皆の作ってくれた道を駆け抜けて、結果を出す事だけだ。


京太郎「(あ…そう言えば…)」

そこで俺はもうひとつ重大な事を思い出した。
鹿児島にまでやって来たのは自分の脳力を封じる為だけじゃない。
寧ろ、その影響が未だ残る二人を元に戻す事の方が大事なのだ。
昨日からゴタゴタしていた所為でそれを伝え忘れていたことに今更、気づく。
ようやくひとつ問題が解決する目処が立ったとは言え、もうちょっと早く思い出せなかったのか。
そう自嘲を紡ぎながら、俺はそっと唇を動かした。

京太郎「あの…能力の影響を取り除く方法とかって無いですかね?」
初美「影響?無効化って事ですかー?」
京太郎「あ、いえ、そうじゃなくて…その…何て言うか…」

しかし、それをそのまま三人に告げるのには色々と勇気がいる。
今は周辺にも人がおらず、周りも民家しか無いとは言え、やっぱり事が事だ。
それに、俺がこれから告げようとするのはある意味、能力の詳細以上に引かれかねない言葉である。
しかし…こうして口にしてしまった以上、後には引けないし…何より永水の人たちに隠してはおけない。
既に能力のことでコレ以上ないくらい協力してもらっている以上、それを隠すのは不誠実というものだろう。

京太郎「あの…ですね。俺の能力の対象になった人には…その後遺症があるみたいで…」
巴「…え?」
京太郎「凄い遠回しに言うと…俺を見ると興奮して、俺がいないと逆に不安になるらしいんです」
春「…なにそれ自慢?」ジトー
京太郎「だったら良いんですけどねー…」

俺だってそんな事聞かされたら自慢か何かだと思うだろう。
つーか、相手の対応に寄ってはその場で縁を切って、さよならするかもしれない。
だが、実際、俺の能力はそうやって二人の人を今も苦しめているのは事実なのだ。
それを思えば、どれだけ引かれたとしても、この話題から逃げる訳にはいかない。


初美「それってつまり能力が発動しちゃうと須賀君の事が好きになるって事ですかー?」
京太郎「いや…そういうんじゃないと思うんですけど…」

でも、実際、漫さんは俺の事を好きと言ってくれたのは事実だ。
それが能力の影響に因るものか、そうではないのかは俺には判断がつかない。
けれど、それを聞いてしまうと漫さんを本気で怒らせてしまうのは目に見えている。
結果、俺に返せるのはそう言った曖昧な言葉でしかなく、そっと肩を落とした。

春「具体的にはどんな感じ…?」
京太郎「えっと…俺が聞いたのは…会えなくて寂しいのに、会ったらその…う、疼いて欲しくなる…とか」
初美「やっぱり自虐風自慢じゃないですかーやだー」
巴「でも…それはもう本人の心構え次第じゃない?」
春「本人相手じゃない以上、情報も少ないし…サンプルも足りない」
京太郎「さ、サンプルって…」
春「何か?」ジッ
京太郎「な、何でもないです…」

威圧感のある春さんの目に思わず反射的に謝りながら、俺は視線を背けた。
一体、何故かは分からないが、春さんは凄い不機嫌らしい。
流石に今すぐ怒り出す程ではないが、ふつふつと静かに不機嫌さを溜め込んでいるイメージだ。
しかし、一体、どうしてそんな風に春さんが拗ねているのかはまったく分からない。
ともあれ、今の主題はそこにはなく、もうちょっと色々と試してみるべきだろう。
春さんの不機嫌な理由は気になるが、それは別に後でそれとなく聞いても良いのだから。


京太郎「お祓いとかでどうにかなったりしません?」
初美「そう言うのは本人に会ってみないと分からないですよー」
巴「でも、聞いてる限り…効きそうにはないかな」
春「原因になってる京太郎君には…そういった悪いものは感じないし…」
京太郎「ぬぅ…」

まったく希望がない訳ではないが、それでも可能性としては薄い。
そんな反応を見せる三人の前で俺は唸りながら小さく肩を落とした。
流石にあれもこれもと一気に全部解決へと持っていけるとは思っていなかったものの、手がかりすらないのはやっぱり辛い。

巴「とりあえず熊倉先生にもまた聞いておくけど…難しいと思っておいて」
京太郎「分かりました…」

そんな俺を慰めるように狩宿さんが言ってくれるものの、気分はそう簡単には上向かない。
熊倉先生までダメだとしたら、次に何処を頼れば良いのかまったく分からないのだ。
このまま何の解決策も見つからないままでは、和や漫さんに顔見せする事が出来ない。
一瞬、開いたように見えた道がすぐさま闇へと変わり、閉ざされていく感覚に俺はそっとため息を吐いた。

春「…京太郎君」ギュッ
京太郎「あ…」

そんな俺の手を慰めるように握ってくれるのは春さんだった。
さっき不機嫌だったはずの彼女からの突然のアプローチに俺は思わず声をあげてしまう。
しかし、それが嫌ではないのは、手のひらから伝わってくる熱がとても優しいからか。
いや、それ以前に春さんみたいな美少女にいきなりとは言え、手のひらを包まれて嫌がる奴の方が少ないだろう。


春「…大丈夫だから」
京太郎「え…?」
春「きっと…何とかなる…」

そう思う俺の前で春さんが言い聞かせるように優しく言ってくれる。
それが根拠も何もなく、ただ俺を慰めるだけの言葉である事に俺は気づいていた。
しかし、それでも俺の胸は軽くなり、気分も上向いていく。
一番大事な所で道が閉ざされてしまったのは事実だが、決して絶望的という訳じゃないのだ。
それを思い出した俺は大きく深呼吸し、気分を落ち着かせる。

京太郎「有難う。もう大丈夫だから」
春「ホント?」
京太郎「あぁ。本当だ」
春「…本当に本当?」
京太郎「本当に本当だって」

確かに春さんの言葉ひとつで気分が上向く自分は単純だと思わなくもない。
しかし、何もそこまで確認する必要はないんじゃないだろうか。
まぁ、それだけ俺のことを心配してくれていたからだと思えば悪い気分ではないのだけど… ——


初美「須賀君は鈍いですよー」
巴「春ちゃんはもうちょっと須賀君と手を繋いでいたいのよ」
春「ふ、二人共…っ!」
京太郎「へ?」

揶揄するような二人の言葉に春さんの頬が微かに朱色に染まった。
慌てた様子で二人へと言うその姿は、何時も落ち着いている雰囲気のある春さんには珍しい。
と言うか、付き合いの浅い俺にとって、それは初めて見た姿なのかもしれなかった。

京太郎「(でも…んな訳ないよなぁ…)」

確かに春さんが他の皆よりも俺のことを気にかけてくれているのは分かる。
しかし、それはあくまでも春さんが優しいからであって特に理由がある訳じゃない。
ぶっちゃけ俺と春さんは他の人とそれほど付き合いに差がある訳じゃないし、寧ろ石戸さんや神代さんの方が会話の数が多いくらいだ。
まさか俺ごときが一目惚れされるだなんて事はないだろうから、そういう艶っぽいものが入り込む余地はないだろう。

京太郎「はは、それじゃあスーパーまで手をつないで行きますか?」
春「〜っ…」

とは言え、ここで下手に意識しているように見せると狩宿さんと薄墨さんが調子に乗りかねない。
それを防ぐ意味でも口にした俺の言葉に春さんの朱色が強くなった。
白い肌にすぅっと広がっていく朱色は何処か艷やかで美しい。
そう思うのは春さんの肌が永水の中でも飛び抜けて綺麗だからなのだろう。


春「…」ギュッ
京太郎「(…あれ?)」

そんな事を思っている間に春さんの手がその形を変えていた。
俺の手を握るのではなく、繋ぐようなその形へと。
流石に指と指を絡ませる恋人繋ぎではないにせよ、しっかりと掴まれたそれは春さんの熱を俺に伝える。
さっきよりも心なしか体温があがっているそれは緊張か羞恥か。

初美「じゃあ、私がはるるのもう片方の手をゲットですよー」
巴「えぇ…?私は一人ぼっちなの?」

その判断がつかないままに薄墨さんがそっと春さんの隣へと周り、その手を握った。
そうやって三人並ぶと背格好の所為か、親子に見える…と言うのは流石に薄墨さんに失礼な話か。
軽く話している感じ、自分の幼児体型をあまり好ましく思っていないようだから、あまり弄ってあげるべきではない。
そう思いながらも、飛び抜けた美少女たちと手を繋いで三人並ぶというシチュエーションにドキドキするのは否めなかった。

春「…京太郎君のもう片方の手が空いてる」
巴「…いや、流石にそこまで空気が読めない訳じゃないわよ」

春さんの言葉に狩宿さんが肩を落としながら、そう返した。
正直、そう言った艶っぽいものが入る余地がないと思っている俺にとって、それは幾ら何でも気にし過ぎだと思う。
そうやって落ちた肩が少し寂しそうなのもあって、ちょっと悪い気がするくらいだ。


京太郎「じゃあ、薄墨さんと繋げばどうです?」
初美「巴ちゃんはこっちに来るですよー」
巴「あー…それなら…良い…かな?」

そう言いながらチラリと春さんの顔を伺う辺り、巴さんはとても他人に気を遣う人なのだろう。
それが無意識的にか意識的にかは分からないものの、出来るだけそうしないように促してあげた方が良いかもしれない。
流石に気を遣わないで、とまでは言い過ぎだろうが、こちらから色々としてあげるのも良いだろう。

京太郎「(何だ…少しずつ…皆の事が分かってきたじゃないか)」

最初は巫女である永水の人たちにちゃんと接する事が出来るのか不安だった。
しかし、こうして2日も経てば、大体の人となりも分かるし、接し方も確立し始めている。
勿論、それが正しいのかはまだはっきりとは分からないが、それほど的外れじゃない。
そう思う程度には俺も皆も…お互いに慣れ始めている。
それが嬉しくて、俺の顔にそっと笑みが浮かんだ。

初美「どうしたですかー?」
巴「もしかして、何か邪な想像でもしてる?」
春「ハーレムはいけない」
京太郎「いや…皆、俺の事なんだと思ってるんですか」

そんな俺に対してあまりにもな言葉をくれる狩宿さんと春さん。
しかし、そうやって弄られるのは嫌じゃない。
それもまた二人が俺との距離感が分かってくれているからなのだろう。
それに俺は笑みを強くしながら、ゆっくりと応える。


京太郎「俺は…ちゃんとやってけそうだって思って」
三人「「「……」」」

その言葉に三人には一様に同じ色が浮かんだ。
まるで苦虫を噛み潰したような…自己嫌悪の色が。
勿論、三人ともに強弱の違いはあれど、全員に似た感情が見えるのはおかしい。
そう思って、もう一度、三人を見直してみたが、その表情が変わる事はなかった。

京太郎「(あれ…これ…もしかしてやっちまったか…?)」

どうして三人がそうやって自己嫌悪を浮かべるのかは分からない。
いや、自己嫌悪だと思った俺の認識が間違っているのかもしれないだろう。
しかし、俺の不用意な発言が三人を傷つけた事だけは間違いない。
そう思って謝罪しようと口を開いた俺の前で三人がゆっくりと動き出すのが見えた。

巴「そう…ね。私も須賀君となら仲良く出来そうだと思う」
初美「ふふん。私は最初からそうだと思ってたですよー」
春「ん…」

何処かぎこちなく言葉を紡ぐ狩宿さん。
さっきのそれがまるで嘘だったかのように強気に口にする薄墨さん。
そして、未だその表情を隠しきれていない春さん。
それぞれの違いはあれど、別に俺の発言に引かれたりしていた訳ではないようだ。
それに一つ胸中で安堵の溜息を漏らす俺の前に民家とは違うそこそこ大きな建物が現れる。


巴「それよりほら、そろそろスーパーも見えてきたわよ」
初美「じゃあ、親睦記念に須賀君に一杯、お菓子買ってもらうですよー」
京太郎「年下にたからないで下さいよ」
春「じゃあ…私が買う?」
京太郎「春さんにはもう黒糖貰ってますし、寧ろ俺が奢らなきゃいけない立場です」

そんな事を口にする俺達にさっきの余韻は見えなかった。
まるでさっきの事が嘘だったように仲良く会話を交わす事が出来る。
しかし、その一方で俺の中からさっきの皆の姿が消える事はなかった。
じっと心の中にこべりついて張り付くそれは…そのまま屋敷に戻って特訓を始めても消える事はない。
寧ろ、皆と仲良くなればなるほどに…強くなっていくそれに違和感を感じながらも、俺はそれに踏み込む事が出来ないままだった。、






………



……






 — やばい…よな…。



そう思うのは別に特訓の成果が三日も経つのに出ないからなどではない。
そもそも、三日程度で和のいる領域に達する事が出来るだなんて俺は欠片も思っていなかったのだから。
和が一体、どれほどの時間を掛けてあれほどの境地に達したかは分からないが、凡人である俺は和の二倍は掛かると思っていた方が良いだろう。
故に俺にはまだ特訓に対する焦りはなく…寧ろ、特訓を手伝ってくれる皆との交流を楽しんでいた。

 — 寧ろ…それがやばいというか…。

そうやって俺の傍に誰かしらが居てくれると言うのは別に特訓の時に限った事じゃなかった。
自室に居る時を除けば、殆ど俺の傍に誰かが居て、話や世話をしてくれるくらいなのだから。
最初こそ、そんな状況に喜んでいたものの、三日も経てば、大体の意図は察する事が出来る。

 — これ…明らかに…俺を神代さんから引き離そうとしてるよなぁ…。

特訓を開始したあの日以来、俺は神代さんとマトモに話す事が出来なくなっていた。
二人っきりになる事はまずないし、顔を合わせたとしても、傍にいる他の皆に用事を頼まれ、ろくに会話する事もない。
ここ数日、神代さんと交わしたものと言えば、挨拶くらいなものじゃないだろうか。
そう思うほど俺達の間に交流らしい交流はなく、そしてそれが俺を気落ちさせていた。


 — いや…まぁ…警戒されるのは当然なんだけど…。

しかし…しかしだ。
見目麗しい美少女たちが俺を構ってくれている理由が、姫様と慕う女性から引き離す為だとしたらどうだろうか。
俺そのものに親しみを感じてくれていたなんて事はなく、ただただ…俺と神代さんとの交流を断つ為だとしたらどうだろう。
正直…今まで親しく話していただけに、その想像はかなりキツい。
だが、現状やこれまでの事を顧みるに…今の俺にはそうとしか思えなかった。

 — もう帰った方が良いんだろうか…。

既に能力制御に関しては手がかりになりそうなものを得ている。
後はこれを自分なりに発展させていけば、時間は掛かるかもしれないが、モノに出来るだろう。
少なくとも…永水の人たちにここまで警戒されてまで、鹿児島で続ける理由はない。
能力の後遺症に関する熊倉先生の反応も芳しいものではないと聞いたし…余計にだ。

京太郎「…はぁ…」

そんな思考に自室でため息を吐きながら、俺はそっとマットの上で牌を切った。
勿論、それは到底、集中出来ているとは言えず、虚しい音を立てるだけである。
実際、こんな心の中がグチャグチャの状態で集中なんぞ出来るはずがない。
本来はどんな心理状態でも卓に着いた時点で、牌しか見えない状態にならなければいけないらしいのだが…そんな状態には欠片も入れそうになかった。


京太郎「あー…くそ…」

自分の不甲斐なさに一つ悪態を吐きながら、俺はそっと後ろへと倒れこみ、天井を見上げた。
既に見慣れ始めたそこは高く、俺の視線を吸い込んでくれる。
しかし、重苦しい俺の意識はそのままであり、俺にもう一つため息を吐かせた。

京太郎「(どうすりゃ良いか…なんてもう決まりきってる)」

皆の真意は分からない。
分からないが、俺が歓迎されていない事だけは確かだろう。
ならば、コレ以上ここに居た所で皆の迷惑になるだけだ。
折角、良好な関係が築けていたと思ったのに心苦しいが…もう俺は帰るべきなのだろう。
それを皆は引き止めたり、寂しそうにするかもしれないが…きっとそれも演技だ。
今更、それを辛く思っても…惑わされる事はない。
今から石戸さんにメールを送って…それで明日には全部、終わりだ。

京太郎「(そして…神代さんとも…)」

結局、その気持ちが聞けないまま、終わってしまう人。
自分ではどうしようもない事に傷ついて、そして寂しがっていたかもしれない人。
そんな彼女に…俺は手を差し伸べたかった。
本当の意味でちゃんと友達になってあげたかったのである。
しかし…それもここまで警戒されれば叶わない。
いや…そもそもここまで警戒が厳しいのは…俺が神代さんに嫌われているからなのかもしれないだろう。


京太郎「(実際…判断材料なんてない…)」

アレからぎこちなく挨拶するだけの仲に変わってしまった俺にとって、それは判断しようもない事だった。
時折、俺に寂しそうな視線を送ってくれていたのも…今ではただの自意識過剰なのではないかと思える。
何せ、俺は永水の皆が親しくしてくれている意味さえも、勘違いしていたのだから。
勘違いして舞い上がって…馬鹿みたいに親しくして…それで内心、嫌われていたかもしれない… —— 

京太郎「(あー…ダメだな、思考が悪い方向にしか行かねぇ…)」

普段のポジティブさが何処にいったのかと思うほどのグダグダっぷりに俺は思わずため息を漏らした。
どうやら思っていた以上に俺は皆が演技していた事がショックだったらしい。
多分…俺は自覚していた以上に永水の皆の事を、好きになっていた —— 勿論、異性としての意味じゃなく —— みたいだ。
そんな自分に苦笑いにも似たものを向けながら、俺はそっと携帯を弄り始める。

京太郎「……」

勿論、後で皆には改めて自分から伝えるつもりだ。
例え、皆の対応が演技だったとしても、俺に良くしてくれたのは事実なのだから。
しかし、この屋敷の雑事を取りまとめる石戸さんには先に一報を入れておいた方が良い。
そう思って作り上げたメールは思った以上に簡潔で簡素なものだった。
とても事務的で…何ら感情が篭っていないそれに一抹の不安を覚えながら、俺はそっと送信ボタンを押す。


京太郎「(これでよし…っと)」

そう思う一方でドッと胸から疲れが湧き上がり、一仕事終えた感が疲労感へと変わっていく。
これでもう永水の皆とお別れだと思うと…やっぱり胸の奥が詰まったように苦しくなる。
しかし、コレ以上、俺が居たところで迷惑にしかならないのは確実なのだ。
それならば、まだ俺が皆を傷つけない内に離れるのが一番だろう。

京太郎「ん…?」

そんな俺の耳に携帯の振動音が届いた。
ブルルと鳴るそれに携帯をイジれば、そこにはメールの着信を知らせるマークがある。
多分、石戸さんへと送ったメールの返事なのだろう。
そう思って開いたそこには石戸さんとは違う人の名前があった。

京太郎「あ…」

そこにあったのは『上重漫』という三文字。
見慣れたその名前に反射的にメールを開けば、そこには今日一日の出来事が書き記してあった。
部活が辛い、や、代行が虐める、なんて愚痴から、誰に勝って負けたなんて事まで。
特に何か用事がある訳じゃなく…俺に話しかけるのが目的のメール。
今ではもう日課になってしまったそれが今の俺にとって、どれだけ救いであるかなんて、きっと漫さんは知らないだろう。


京太郎「はは…漫さんったら…」

無味乾燥なはずのメールの文面からでも伝わってくる彼女の青春。
それに思わず笑みを浮かべながら、俺は返事を書いていく。
一つ一つの出来事に反応するそれは返事を書くにも時間が掛かる。
しかし、それは決して苦痛ではなく、寧ろ楽しい時間だった。
こうして打っている間に俺の顔にも笑みが浮かぶくらいに。

京太郎「うし…っ」

返事を打ち終わり、送信ボタンを押す動作はとても軽いものだった。
さっき石戸さんに送ったものとはまるで違うそれに俺は内心、苦笑を浮かべる。
随分と現金なものだと自嘲を込めたそれに同意を返した瞬間、俺は廊下の方がドタバタと騒がしくなっているのに気づいた。

京太郎「(…なんだろう?)」

時刻は既に20時過ぎ。
ここで働いている人も大半が降り、夕食も食べ終わって一段落した頃だ。
そんな屋敷にいるのは俺を含め、六人しかいない。
このバタバタと騒がしい足音も俺以外の永水の皆に因るものなのだろう。
しかし、彼女たちは普段、決してこんな騒がしい足音を立てたりしない。
寧ろ、恐ろしいくらいに足音がせず、俺が驚いたくらいなのだから。
そんな屋敷内の感じたことのない騒ぎに、俺は… ——


京太郎「よいしょっと」

何故かそれがとても気になった俺は上体を起こして、起き上がる。
そのまま廊下へと出て、左右を見渡せば右側から何やら声が聞こえてきた。
何か叫ぶような唱えるようなそれは到底、尋常な様子ではない。
やはり何かあったのだと確信を強めた俺は、そちらに向かって足を向け始めた。

霞「小蒔ちゃん…!気を強く持って…!」
初美「く…っ力が強いですよ…!」
京太郎「(神代さん…?)」

そんな俺の耳に届いた声に確かに届いた石戸さんと薄墨さんの声。
それは俺に渦中の人物が神代さんである事をはっきりと伝えた。
もしかしたら…強盗がやってきて、神代さんを人質にとっているのかもしれない。
そう思うと居ても立っても居られなくなり、俺は駆け出すようにして足を早めた。

京太郎「(こっちか…!)」

しかし、そうやって足を進めれば進めるほど心の中で嫌な予感が広がっていく。
いや…予感と言うよりも、それは本能の震えと言うべきか。
近づけば近づくほどに空気が怯え、肌がざわついていくのを感じる。
まるでこの先に見たこともないようなバケモノが…手ぐすね引いて待っているような独特の感覚。
しかし、それでも神代さんの安否が気になる俺は足を止めず、声と気配を頼りに進んでいった。


京太郎「神代さん!無事です…か…」

そんな俺が7つ目の角を曲がった先には、五人の女性がいた。
冷や汗を浮かべ、巫女服の袖が大きく引き裂かれたような石戸さん。
その手にお祓いに使う棒 —— 確か御幣と言ったっけか…—— を持ち、呪文のようなものを唱える薄墨さん。
玉串を揺らすように鳴らしながら、塩湯を持つ狩宿さん。
その対面に経ち、印を結びながら、薄墨さんと同じく呪文を唱える春さん。
そして…その中心、俯き加減になりながらも、信じられないほどのプレッシャーを放つ神代さん。

京太郎「な…!?」
霞「須賀君!?」

その光景だけを見る事が出来るなら、それはいっそイジメの光景にも思えたかもしれない。
周囲に物々しい雰囲気の女性が囲み、中央では神代さんが俯いてその表情も分からないくらいなのだから。
しかし、それがまったく事実に即していない事は彼女から感じる黒い揺らぎを見ればすぐに分かった。
鈍感な俺でさえ目に見えて分かるドス黒いそれは…間違いなく悪いものなんだろう。

京太郎「(でも…何だ…あれ…!?)」

今まで神代さんがそんな風になった事なんて一度もなかった。
俺が知る神代さんはちょっぴり慌てん坊で優しく、そして天然気味の暖かな女の子なんだから。
触れればそこから喰われていきそうなドス黒い何かを立ち上らせるような子じゃない。
そしてまた…それが永水の皆にとっても予想外な状況であるのはその焦りの表情からも良く分かる。
ならば、俺がここでしなければいけない事は… ——


霞「っ…!須賀君!逃げて!!」
京太郎「え…?」
??「きひっ!」

そこまで考えた瞬間、ぬぅっと俺の目前に神代さんが近づいていた。
けれど、その動きは…到底、普通とは言えない。
だって、さっきまで神代さんは俺の10mは先の場所にいたのだ。
それが…ほんの一瞬、目を離しただけで目の前にいる。
しかも、何の音もせず…文字通り、下からぬぅっと生えるように俺の視界に入ったその顔は… ——

京太郎「(歪ん…で…)」

その唇を大きく歪めて、開くその様は一見、真っ赤な三日月に見えた。
それなのに目元は虚ろで意思らしいものをまったく宿してはいない。
酷くアンバランスなその表情は人間らしいものには到底、思えなかった。
中途半端に人間になろうとしている化け物のようなそれに俺の心は怯え、反射的に逃げようとする。

京太郎「ぐぁ…ぁあっ!」
??「ひひ…っひあ…あはぁっ」

そんな俺を両腕でがっちりと捕まえるその力は、最早、人間とは思えない。
無造作に抱きしめられているだけなのに、俺の背筋は悲鳴をあげ、腕が押しつぶされそうなのだから。
確かに神代さんは毎日、山を登り降りしてて見た目以上に体力がある人だが…それでもこれはあり得ない。
男子高校生の骨格を軋ませるほどの怪力なんて、持っている人じゃないのだ。


京太郎「(どう…すれば…)」

今の神代さんは普通の状態じゃない。
こういった事に鈍感な俺でさえ、はっきりと分かるほどの『何か』が憑いているのだから。
しかし、俺はそんな神代さんに何をすれば良いのか、まったく分からない。
声を掛けてあげれば良いのか、それともこちらから抱き返してあげれば良いのか。
ギリギリと締め上げられる苦痛の中ではその考えも纏まらず、俺の口から悲鳴のような呻き声が漏れるだけだった。

霞「く…もう一度、囲むわよ!須賀君ももうちょっと我慢して…!」
京太郎「だいじょぶ…っす…!」

勿論、まったく大丈夫じゃない。
正直、ギリギリと締め上げられるそれは痛過ぎて逆に涙すら出ないようなレベルだった。
けれど、だからと言って、ここで弱音を吐くほど格好悪い事はない。
折角、皆が何とかしようとしてくれているのだから、それくらいの間くらいは我慢しよう。
そう思って歯を噛み締めた瞬間、俺を締め上げる神代さんの顔に明確な怒りが滲んだ。

京太郎「(なん…で…?)」

まるで俺が誰かと会話するのが腹立たしいと言うようなそれに痛みで霞む意識が疑問をもった。
本当に神代さんが『何か』に掌握されきっているのならば、きっとそんな風にはならない。
俺は神代さんにこんな化け物染みた動きをさせるような『何か』と知り合いでも何でもないのだから。
だから…きっと神代さんの意識が全て飲み込まれた訳じゃない。
それに微かな光明を見た俺は喉を震わせるように口を開いた。


京太郎「っだ、…大丈夫…ですよ…じんだ…ぃさん…!」
??「っ〜〜!」

俺の声に目の前の神代さんの身体がブルリと震える。
まるで何かが身体の内側で蠢いているような激しいそれに俺の身体の揺さぶられた。
ただでさえギリギリだった意識が散り散りになりそうになるが、それを何とか繋ぎ合わせる。
何せ…俺が伝えたいのはそれだけじゃないのだから。
この後に告げる言葉こそが、俺が本当に伝えたいもので…だからこそ、ここでへこたれている訳にはいかない。

京太郎「きっと皆…が…何とかして…」
??「…あ゛あああぁぁっ!!」

そこまで言った瞬間、神代さんが奇声を発して、俺を振り回した。
グルグルとまるで玩具に八つ当たりするようなそれに俺の腕と肩が悲鳴をあげる。
今にも脱臼して肩が千切れてしまいそうなそれに俺の口からも悲鳴の声が漏れた。
しかし、それでも俺は神代さんの手を離さない。
何せ、ここで手を離したたら、今度は別の誰かがこんな風に痛めつけられるかもしれないのだから。
石戸さんや狩宿さん、薄墨さんや…春さん…その誰かをこうして痛めつける神代さんの姿なんて…俺は決して見たくない。

京太郎「(何より…神代さんがきっと悲しむ…!)」

こうして特殊な環境に押し込められている所為か、皆はまるで家族のような信頼関係を構築しているのだ。
残念ながら、俺はそこには入れなかったけれど…しかし、それを崩すような真似を見過ごせるほど俺は鈍感じゃない。
神代さんが元に戻った後…皆がぎこちなくなるような様子のは嫌だ。
神代さんが悲しんで自分を責めるのはもっと嫌だ!
何より、それを別れ際に見る事になるのが一番嫌だ…っ!
だからこそ、壁や床に足が叩きつけられ、引っ張られるのとは違う滲むような痛みが全身に広がっても…俺はずっと神代さんを捕まえ続けた。


京太郎「う…ぐ…ぅ…」

そんな地獄のような時間が終わった頃には、俺の身体はろくに動かなかった。
きっと全身に青あざが出来、あちこちの関節も捻挫している事だろう。
それでも尚、自分から手を離さなかった事を…少しだけ…ほんの少しだけ褒めてあげたい気になる。
結局、鹿児島で何も出来なかった俺が一つだけ…人に話せるような武勇伝が出来た。
そう思うと真っ赤に腫れ上がった頬が緩むのを感じる。

春「京太郎君!!」
京太郎「あ…」

そんな俺を抱き起こしてくれたのは多分、春さんなのだろう。
普段の落ち着いた声からは想像も出来ないくらい辛そうな声だが、声音そのものは変わっていない。
だが、残念ながら、今の俺はその顔を見る事が出来ない。
全身から湧き上がる痛みに視界が滲み、意識の糸も今すぐ途切れてしまいそうなくらいだったのだから。

京太郎「じんだい…さんは…?」
春「…姫様は無事…ちゃんと除霊は終わったから…」
京太郎「そう…です…か…」

途中であの化け物のような力が途切れたからそうかもしれないと思ってはいたが、どうやら無事に諸々は終わったらしい。
それに一つ安堵した瞬間、俺の意識がそっと遠のくのが分かった。
そんな俺に春さんが何かを言ってくれているものの、まるで厚い水の膜を通しているかのように殆ど聞き取る事が出来ない。
しかし…神代さんが無事なのであれば…後は大丈夫だ。
これでもう安心して俺は眠る事が出来る。
そう思った瞬間に、俺の熱い瞼がそっと落ち…そして俺の意識もまた視界と同じように閉ざされていったのだった。








終わり。やったね、京ちゃん!鹿児島にいれる時間が増えるよ!!

まぁ、アレだ。
路線が違うとか色々と言いたい事はあるだろうけど、
姫さまルートやる以上『姫様の恐ろしさ』から逃げる訳にはいかんのよね。
ある意味、そういうのも含めて乗り越えていくのが姫さまルートの本筋だから。
だから、まぁ、その…うん。
これもエロを堪能する為の焦らしの部分だと思って許容してつかぁさい(涙目)
後、姫様の出番少なすぎるのもこの一件でマシになるから許してください!

少年誌の主人公とヒロインやな

くそっお前ら乙遅すぎるんだよ!
十分も書き込み無いとか路線ミスったかって本当に心配したんだからな!!
くそっ乙何時もありがとうお前ら愛してる!!!

>>311
姫様が典型的な少年誌的ヒロインだから京ちゃんのそうならざるを得ないんだよね。
いや、ここの京ちゃんが持ってると鬼畜系エロゲの能力だけどさ…。

乙乙

京ちゃんが本気で永水に絡むなら、というifとしては自然な話の展開をしてると思うし
全然問題ないよ…(様々な形でその体を為さなくなった大量のパンツの山を眺めながら)


はるるが他より好感度高そうに見えるのも全部演技なのか気になる・・・続きマダー?

モヤモヤはホント、すまん。
一応、これで必要なフラグは満たしてるから後はイチャイチャするだけだ。
大丈夫…俺が何か変な事思いつかない限り、こんな事にはならんはず。
多分…きっと…うん、そのはず…。
お、お、おおおお俺を信じろ(震え声)

>>317
はるるに関しては安価取れ!!!と言おうと思ったけど、ちょっと申し訳ないので補足。
はるるは姫様のお世話をする為に長野から鹿児島に引越しする途中、悲しくなって親元から脱走。
そこに鹿児島帰りの須賀一家が通り、京ちゃんがはるるの話を聞く。
鹿児島ってこんないい所なんだぜ!って京ちゃんがはるるに黒糖渡す。
その後、両親が来て別れた際、『京太郎』という名前だけは聞いていた。
結果、黒糖がソウルフードになった事もあり、はるるの中で京太郎は特別な人。
という幼馴染属性が付与されています。
咲ちゃん?あぁ、ここの京ちゃんアニメ版だけど、設定は原作だから…(震え声)

おいおい、既にヒロインが姫様に決まっている以上、
はるるはこれから姫様と京ちゃんが急接近していくのを見ながらも、
二人を遠ざけようとしていた申し訳なさから昔の事を言い出す事が出来ず、
ただただ、静かに失恋していくのが既定路線のキャラだぞ?
というわけで本編では死に設定なので出ません。
後、咲ちゃんは負け組じゃないです!
小ネタ取ってくれたらやりたいネタ色々あるんだってば!!
殆どが咲さんだけどな!!!!!!

甘いなぁ蜂蜜練乳ワッフルよりも甘い
霞さんが修学旅行で一人はぐれて軟派されてるところを救出したことがあるとか
巴さんが何かしらの様で長野に来て迷子になっているのを助けたとか
イッチの事だから、他の子も実は〜な話が有るに決まってるやろ(確信)

黒髪巨乳は俺も大好物だ! モモ豊いいよね!
小蒔とシて、小蒔が大満足して、それに興味を持った九面様たちが小蒔を通して入れ替わり立ち替わり京太郎を犯して廻ったりしたら面白いなぁ。

前スレ>>152の咲さんに対して京ちゃんが、こんな駄目な自分に優しい咲を付き合わせるわけにはいかないって麻雀部辞めて距離置くようにしたらどうなるのっと

>>336
は、ははは!ま、任せろ。
ぜ、全員、お前らが度肝を抜くような設定を用意してるから…。
(や、やっべーよ。そんなのまったく用意してないとは言えねぇ…)

まぁ、永水は霞さんの企みに気づくかどうかが大きな分岐で
気づかない→霞さん、はっちゃんルート
気づく→姫様、春ちゃん、巴さんルート
と分岐しております。
気付かなかった場合、最終日、霞さんが夜会話に来て、麻雀特訓を手伝った末にあはんうふんします。

>>340
モモ豊とか京太郎と路地裏同盟組む未来しか見えないんですけどね!!!
モモ→誰かに気付かれたい
とよねえ→友達が欲しい
京太郎→麻雀が強くなって仲間を見返してやりたい
とお互いの目標達成の為に協力し合いながら絆を深めていく三人とか。

>>348
咲「…ねぇ、京ちゃん、どうして私から逃げるの?」

咲「私…言ったよね?京ちゃんの居場所は私だけなんだって」

咲「それなのに…どうして私の傍にいてくれないの?」

咲「…もしかして…他に好きな子が出来た?」

咲「ダメだよ、そんなの絶対にダメ」

咲「京ちゃんなんかと付き合ったら、その子が絶対不幸になっちゃうだけだよ」

咲「…へぇ…そうなんだ」

咲「絶対に…幸せにしてみせるって…そう言い切れるんだね?」

咲「…じゃあ、証明してみせて?」

咲「簡単だよ。これから三日間、京ちゃんには私のベッドの上で暮らして貰うの」

咲「勿論…トイレもお風呂もダメだよ」

咲「大丈夫。全部私がやってあげるから安心して」

咲「…京ちゃんに拒否権なんてあると思ってるの?」

咲「既に手錠掛けて拘束してるのに…後戻りなんて出来ないよ」

咲「大丈夫…三日耐え抜けば良いだけの話」

咲「そうすれば…すぐにその子のところに行けるんだから」

………
……


咲「ふふ…一日目で我慢出来なくて…私の事襲っちゃったね…♥」

咲「京ちゃん…とっても激しくて…壊れちゃいそうだったよ…♥♥」

咲「でも…これで京ちゃんはもうその子のところにいけないよね…?」

咲「だって…私の事、傷物にしちゃったんだもの…♪」

咲「責任はちゃんと取ってもらわないと…♥」

咲「それに…ほら、見て」

咲「今の全部…こうしてカメラの中に映っちゃってるんだよ?」

咲「京ちゃんがケダモノみたいな叫び声あげて…私ののしかかる所から…」

咲「情けない声をあげて射精しちゃうところまで…♥」

咲「こんなの…他の誰かに見られたら社会的に死んじゃうよね…?」

咲「…へぇ。まだ逆らうつもりがあるんだ」

咲「…良いよ…それなら…私にも考えがあるから」

咲「後2日…徹底的に壊してあげる…」

………
……

咲「うん…そうだよ…♥」

咲「私も…愛してる…♥♥」

咲「うん…大好き…京ちゃんの事…本当はずっとずっと好きだったの…♥」

咲「えへ…嬉しいな…一杯…好きって…愛してるって…言ってくれるんだ…♥」

咲「もっと…もっと言って…♥もっと…もっともっともっと…いぃっぱい…っ♥♥」

咲「そしたら…ちゃんとご飯もあげる…おむつも替えてあげる…♥」

咲「だから…もっと言って…♥私の心が…満たされるくらいに…♥♥」

咲「もっと…愛してるって…言って…♥♥」

京ちゃんが誰のこと好きだったとか、最後どんな状態なのかとかは想像にお任せします(ぶん投げた)
後、今日は小ネタやるつもりはあるよ!!

姫子「ばってん…もう奥までドロドロぉ…♥ほら…ご主人様ぁ…♥♥」

そう言って姫子はそっと頭を哩の方へと倒し、腰を浮かせる。
そのまま両手を臀部へと回して、そっと肉を握りこんだ。
瞬間、くぱぁ♪と言う淫らな音と共に秘唇が開かれ、ドロドロの粘液が滴り落ちる。
白く濁ったそれは姫子の子宮が精液を求め、開閉を繰り返している証だ。
それを知る京太郎にとって、姫子の痴態は我慢出来るものではなく、ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。

京太郎「まったく…お預けを食らってるのは姫子だけじゃないんだぞ」
姫子「ふぁぁ…うぅ♥♥」

それでも責めるような言葉を忘れないのは、それを姫子が望んでいると京太郎が知っているからだ。
元々のS寄りと言う気質もあれど、彼がこうして姫子を縛ったり辱めたりするのは全て彼女が望んだからである。
彼にとって、最愛の女性である姫子が全てであり、また姫子にとってもそれは同様だった。
だからこそ、姫子は自らの一番大事なものである心を捧げ、そしてまた敬愛する哩をも京太郎へと差し出そうとしているのだから。

京太郎「自分から引き込んだ部長の事も忘れてオネダリとか…悪い子だな、姫子は」
姫子「ふぁぁい…っ♪♪姫子は…姫子は悪か子ですぅ…♥だから…だから…躾けばください…っ♥」

それを京太郎もまた理解している。
姫子がどれだけ哩の事を尊敬しているか、そしてまた哩がどれほど姫子の事を愛しているかを。
だからこそ、こうして哩の前で姫子を辱める事に良心の呵責を感じている。
しかし、その一方で、京太郎はまた凄まじい興奮を覚えていた。

心通じ合った二人を自分の手で堕としていく征服感。
姫子を愛する哩の前で彼女を穢し、その心を折る支配感。
誰よりも尊敬する哩の前で姫子に痴態を曝け出させる嗜虐感。
そして…何より… ——

京太郎「(…部長もそれを期待している)」

はぁはぁ♥と熱い吐息を漏らしながら、二人の睦み言を見つめる哩の顔には欲情が浮かび上がっていた。
勿論、それはさっき姫子が飲ませた錠剤が効いてきた訳ではない。
そもそも学生の身分でそうそう媚薬など手に入らないし、さっきのそれは何処にでもあるただのビタミン剤だ。
それでもああやって姫子に飲ませたのは、哩に言い訳を与える為である。
どれだけ興奮し…欲情しても…仕方ないのだと。
哩が自ら乱れ、堕ちる為の理由を与える為の罠なのである。

京太郎「(ま…そのためにもまずは…)」
姫子「んひぃ…ぃぃぃっ♥♥」

瞬間、グチュリと音を立てて、姫子が受け入れたのは京太郎の肉棒ではなかった。
それよりももっと細く、短い彼の指が愛液を掻きだすように姫子の中を動きまわる。
その快感に焦らされ続けた姫子の口から悲鳴のような声が漏れ、その身体がビクンと硬直した。

姫子「しょれ…ぇっ♥しょれ違ひ…ましゅぅう♪♪」

そのまま肩を震わせるようにアクメする姫子。
しかし、その胸中に満足感があるかと言えば、決してそうではない。
姫子が欲しいのはあくまでも京太郎の太く滾ったオスの塊なのである。
無遠慮に膣肉をこすりまわるその感覚は気持ち良いが望んでいたものには到底、及ばない。
寧ろ、中途半端に気持ち良いだけに、欲求不満が姫子の中で大きくなっていた。

京太郎「躾ならこれでも十分だろ?」
姫子「やぁ…やぁぁっっ♥♥」
哩「」ゴクッ

そんな姫子に対して冷たい言葉を向ける京太郎に、彼女は必死で首を振るう。
まるでダダをこねる子どものようなそれはそれだけ姫子に余裕が無いと言う証だ。
最早、彼女には面子を取り繕うほどの力もなく、ただただ乱れるだけのメスでしかない。
それを思わせる姿に哩は思わず生唾を飲み込み、見入ってしまう。

姫子「ら…ぁっ♪ごほぉびっ♪♪ご褒美ばくださいっ♥♥」
京太郎「どうしてだ?」
姫子「私…部長ば捧げましたぁっ♪♪大好きな部長がご主人様のモノになるように…ぃぃ♥♥」
哩「姫……子…」

そうやって姫子が自分の事を大好きと言ってくれるのは嬉しい。
しかし、それがその価値を誰かに伝える為だと思うと胸の奥が痛くなる。
ましてや…それが姫子の浅ましい欲望を満たすためだと知って、素直に喜べるはずがない。
それどころか、自分の良く知る後輩と目の前のメスの姿が一致しなくなり、哩が呆然と姫子の事を呼んだ。

姫子「あはぁ…っ♥部長…ごめんな…さい…っ♪♪私ば…もぉ…ダメなんです…♥」
姫子「ご主人様やないと…私…満足出来んのですぅ…っ♪♪」
姫子「だから…だか…あぁぁあああ゛ぁぁぁぁっ♥♥♥」
哩「ひぃ…っ」

瞬間、自分の前で姫子の表情が崩れ、淫らな叫び声をあげる。
その様に気圧された哩が小さく悲鳴をあげれば、姫子の全身がブルリと震えた。
まるで全身が充足し、幸せに満ちているようなそれに…哩の表情は怯えながらも…完全に引きこまれている。
未だ朽ちる事はない確かな絆が…姫子が信じられないほど気持ち良くなっている事を教えてくれているからだ。

姫子「はんしょ…くぅっ♥♥いきなりは…反則…です…よぉっ♪♪♪」
京太郎「して欲しいって言ったのは姫子の方だろ?」

そんな姫子の腰を京太郎ががっちりと掴み、濡れそぼった肉穴に男根を挿入していた。
ジュルルと音を立てながら、ゆっくりと腰を前後するそれは彼が未だ姫子を鳴き叫ぶだけのケダモノにするつもりはない証である。
どうせこうやってヤってしまうのだから、部長の方にも貢献してもらおう。
そう思って、京太郎はゆっくりと腰を揺すりながら、唇を開いた。

京太郎「その代わり…ちゃんと部長に教えてあげろよ」
京太郎「何処が気持ち良くて…何が気持ち良いのか」
京太郎「それが出来なきゃ…今すぐ止めるぞ」
姫子「ひあ…あぁぁぁ…っ♪♪♪」

冷たく突き放すような京太郎の言葉。
それに肌を震わせる姫子の胸中に不安が強く渦巻いた。
身体が満たされる幸せから一転して地の底に突き落とされるようなそれに彼女は我慢出来ない。
自らの持つこの幸せを護ろうと、姫子は必死に頭の中から淫語を拾い集めていく。

姫子「お、オチンポ…ぉっ♥♥オチンポの…気持ち良かで…ぇ♥」
姫子「しゅごい…幸せぇ…♥お腹の奥…満たされて…トロトロ…なんですぅ…♪♪」
哩「…は…ぁ…♥」

この快楽を奪われては堪らないと姫子は必死に哩へと伝えようとしていた。
しかし、既に焦らされた身体は上手く言葉を紡ぐ事が出来ず、それは要領を得ないものである。
だが…リザベーションという絆に繋がれた哩には…それがどれほどのものか理解出来る。
今の姫子がどれだけ感じ、満たされ、幸せなのか。
不安なのに…辛いはずなのに…愛されている実感にとろけているのかが。

姫子「ご主人様のオチンポ…ぉっ♥♥オスチンポぉぉっ♥♥」
姫子「部長にも分かりましゅよね…っ♪♪逞しいんっ♪おおっきいんんっ♥」
姫子「オチンポ動くろぉっ♪ご主人しゃまが動くとぉ…♥♥私…すぐにイひゅぅ…っ♪♪」
哩「あ…あぁぁぁ…♪♪」

実際、姫子は京太郎の肉棒で既に何十回とイッていた。
挿入してからまだ数分しか経っていないのにも関わらず、その身体は快楽を貪り続けているのである。
勿論、その間、京太郎が激しく腰を使っていた…なんて事はない。
寧ろ、入り口の浅い部分を確かめるようにして、ゆっくりと前後を繰り返している。
それ故に姫子は未だ人としての言葉を残しており、こうして哩へと快楽を伝える事が出来ていた。

姫子「…もぉらめぇっ♥♥ご主人様ぁっ♪♪」
京太郎「何がダメなんだ?」

そうやって哩に自分の快楽を伝えるのは堪らなく興奮する。
しかし、その一方でそうやって焦らすように犯されているだけの不満に姫子は耐えられなかった。
もっと奥まで犯して欲しい。
何時もみたいにケダモノにさせて欲しい。
そんな欲求が湧き上がる叫び声に気づきながらも京太郎はそっと姫子に尋ねた。

京太郎「まさかもうギブアップなんて言わないだろ?」
姫子「あぁ…あぁぁぁ…っ♥♥」

そう逃げ道を塞ぎながらの言葉に姫子の背筋はブルリと震える。
まだ許されないんだと、この気持ち良くももの足りない淫獄が続くのだと思うと胸の奥から悲しみが差し込んだ。
しかし、その一方で姫子の被虐的な身体は少なくないオルガズムを感じる。
ただ、愛し、愛されるだけじゃなく、お互いの嗜好が噛み合った京太郎によって既に姫子の身体はかなりの開発が進んでいるのだ。

京太郎「ほら、折角、大好きな先輩の前なんだ。もっと楽しもうぜ」
姫子「んひぃぃぃぃぃっ♥♥」

それは彼女のすぼまったアナルも例外ではない。
京太郎の家へと来る前に念入りに洗浄されたそこは彼のたやすく飲み込み、ぎゅっと締め付ける。
そのままぐいぐいと奥へ奥へと引きこもうとするそれに京太郎は嗜虐的な笑みを浮かべた。
普通であればあり得ないその蠢きはそれだけ姫子の身体の調教が進んでいる証なのだから。

京太郎「ほら、こっちはどうなんだ?ちゃんと部長に教えてあげないとダメだろ?」
姫子「はいぃぃっ♥♥けちゅまんこれすぅっ♥けちゅまんこジュボジュボされへるぅっ♪♪」
哩「ひ、姫ぇ…♪♪」

自分の愛した後輩があられもない姿を晒しているだけではなく、お尻でまでイッている。
その姿に涙を漏らして、震える声を紡ぎながらも、哩の太ももはこすり合わさっていた。
スリスリと僅かに性感を高めようとするそれは無意識的なものである。
しかし、それでも哩が自発的に快感を求め始めた事に違いはない。
それに京太郎は嗜虐的な表情を強めながら、姫子のアナルをじゅぼじゅぼを抉る。

姫子「姫子はぁっ♥姫子はけちゅまんこもごしゅじんしゃまに開発されまひたぁ…♪」
姫子「ご主人様のぶっといオスチンポでイけるように…一杯、可愛がって貰ったんれすぅ♥♥」
姫子「部長も…ぉっ♪♪部長も…こうなりゅんれすよぉ…♥一緒に…けちゅあなアクメするくらい…ケダモノにぃ…♥♥」
哩「い、嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ…ぁぁっ♥♥」

姫子の言葉に哩がそう首を振るが、その身体は一向に逃げ出す気配がない。
いや、それどころか太ももの動きは強くなり、自分を護るように握りしめた腕にはさらに力が入っていた。
まるで自分の胸を寄せて刺激しようとするようなそれを哩は未だ自覚しては居ない。
しかし、それでもリザベーションによって、彼女の様子が伝わってくる姫子にとって、それは隠しきれていないものだった。

姫子「ごしゅひん…さまぁっ♥♥」
京太郎「分かってる。ご褒美をやるよ!」
姫子「おほぉ…ぉおおおおぉぉぉっ♥♥♥」

そこまで堕ちた哩を見ながら、姫子が再び媚びるような言葉を紡ぐ。
それに京太郎がひとつ頷きながら、一気に子宮口まで貫いた。
今まで愚鈍とも言って良いペースで入り口だけを擦っていたとは思えない激しくも鋭い衝撃。
それに姫子があられもない叫び声をあげた瞬間、ブツリと頭の中で何かが切れてしまったのを感じる。

姫子「(んふぁぁぁぁ…ぁ♥♥しあわ…しぇぇ♪♪)」

自分をギリギリのところで人たらしめていた何かが無残にもちぎれていく感覚。
しかし、それが今の姫子にとって堪らなく幸せだった。
そうやって何もかもを投げ捨てて、ただ愛する京太郎の雌奴隷になる事が、彼女にとって最高の幸せなのである。
そして…それを叶えてくれた愛しい肉の塊に感謝を伝えようと、姫子の肉穴は蠢き、男根をギュルリと締めあげた。

京太郎「くぅ…ぅ…!」
姫子「ふあぁ…っ♪♪ふぅ…ぅぅぅん…♥♥」

それに苦悶に似た声をあげる京太郎と蕩けた吐息を漏らす姫子。
しかし、それを見る哩には二人ともとても気持ち良い事が伝わってきていた。
心の奥底で繋がって…愛し愛されているその姿が美しいとさえ思い始めていたのである。
しかし、哩はそれを認められず、さりとて視線を背ける事も出来ない。
そんな彼女の前で京太郎の腰が動き出し、スパンと肉が弾ける音がなり始めた。

姫子「あひぃぃっ♪♪にしょく責めぇっ♥♥けちゅあなおまんこアクメぇ…っ♪♪♪」
京太郎「これ…好きだろ…!?」
姫子「はいぃっ♥らいしゅきですぅっ♪ごしゅじんしゃまにされるならぁ…なんれも好きぃぃっ♥♥」
哩「あぁ…あぁぁぁ…♪♪」

そして、二人共お互いの世界へと没頭し、自分が眼中へと入らなくなっている。
それが悲しくて哩が声をあげるものの、二人の視線が彼女へと向けられる事はない。
ただただ、欲望を受け止めてくれる愛しい人へと向けられ、愛しあい、睦みあっている。
その疎外感に哩がまた涙を漏らした瞬間、その手が彼女の胸へと伸びた。

哩「(なしけん…なしけん…仲間外れにすると…?)」

本当はこんな状況に巻き込まれて嫌だった。
少なくとも哩は自分でそう思っていたし、そうであるべきだと自分に言い聞かせていたのである。
しかし、湧き上がる興奮と欲情がその見栄を押し流し、その奥からむき出しになった本能を露出させ始めていた。

哩「(うちの本当の気持ちなんて二人とも知っちょる癖に…っ♥♥)」

本当は…二人が羨ましかった。
姫子の心を射止めた京太郎が羨ましかった。
姫子の恋人になった京太郎が妬ましかった。
姫子と仲良くしている京太郎が疎ましかった。

— しかし…それだけなら…哩はこんなにも自分を崩す事はなかっただろう。

京太郎と先に出会った姫子が羨ましかった。
京太郎と愛を交わした姫子が妬ましかった。
京太郎に愛されて幸福感に満たされている姫子が疎ましかった。

京太郎という人物はただ嫉妬だけを向けるには魅力的過ぎ、哩はどうしても嫌う事が出来なかった。
そして…そんな中に姫子が京太郎を愛する気持ちが伝わってくれば、どうなるか。
少しずつ哩と姫子の境界が曖昧になり、錯覚が実感へと変わっていく。
それを…哩はずっと心の奥底に閉じ込めていた。
決して表に出してはいけないものだと、ひた隠しにしてきたのである。
しかし、それをリザベーションから感じ取った姫子によって顕にされ…哩はそっと涙を流す。

哩「(好きぃっ♪私も…私も二人共…好いとぉ…っ♥♥)」

だから、仲間はずれにしないで欲しい。
一人ぼっちにしないで欲しい。
一人だけ置いて行かないで欲しい。
そんな子どものような感情が渦巻き、涙を漏らす哩。
それでも彼女の手は動き、愛し合う二人をオカズに自慰へと耽った。
その何とも言えない情けなさと疎外感に哩がぎゅっと目を瞑った瞬間、彼女の頬に優しい感触が触れた。

姫子「ぶちょぉ…っ♪泣いちゃ…らめですよぉ…♥」
哩「あ…あぁぁ…♪」

腰を高くあげた姿勢のまま、頭を下げた姫子が哩の頬を包み、そっと涙を舐めとった。
ついさっきまでお互いにしか向けられていなかった視線が、自分へと向けられている。
その実感に哩は自分の胸を疼かせて、言葉を震えさせた。
さっきまでとは違い、喜びに満ちたそれに姫子はそっと蕩けた笑みを浮かべて唾液を零す。

姫子「もぉちょっとぉ…♥もちょっと…待ってへくだしゃい…ぃ♥♥」
姫子「ごしゅじんしゃま…もうすぐイきゅから…ぁっ♥ざぁ汁びゅるびゅるしてくれるからぁぁっ♪♪」

そんな唾液と共にもたらされた甘い言葉に哩の胸は熱くなった。
二人共自分を忘れていた訳じゃないんだと、仲間はずれではなかったのだと…そう感じて。
そして…それが哩の中の最後のタガを外し、彼女の手を秘所へと向ける。
既に一度、オナニーをして愛液が染み込んでいたそこはもうショーツとしての役割を果たしていないほどに濡れきっていた。
最早、雑巾か何かかと思うほどに水分を吸い込んだそれをそっと指でズらし、哩もまた自慰を加速させていく。

姫子「んんぅぅっ♥そこぉっ♥しょこ…ぉぉぉっ♥♥」

そんな哩の前で二人のセックスがさらに過激になっていく。
いや、それはもうセックスではなく、ただの交尾なのだろう。
愛し愛されるのではなく、お互いの欲望を発散するだけの…ただの交尾。
一匹のオスとメスに堕ち、一心不乱に身体をぶつけあうそんな二人が今の哩には心から羨ましい。
あんな風になりたい。
あんな風に犯されたい。
あんな風に気持ち良くさせられたい。
そんな欲望は指でどれだけ激しく秘所を弄ってもなくなる事はなかった。
寧ろ、そうやってイジれば弄るほど姫子と自分の快楽の差を思い知らされ、物足りなさが強くなる。

姫子「あぁぁっ♥♥あんぁああぁぁっ♥♥♥」

そんな姫子から伝わってくる感覚が突然、強くなったのを哩は感じた。
悲鳴のような鳴き声も上ずり、まるで発情したメス猫のようになっていく。
それと比例するように姫子から伝わってくる快楽は強くなり、哩もまた昂っていった。
良く知らない、けれど見知ったそれに哩の頭の奥がジュっと蕩けた瞬間、姫子の身体がぐっと反る。

姫子「いぅ…ぅう゛う゛う゛ぅぅぅぅぅんっ♥♥♥」

瞬間、ドプリと吐き出された熱い粘液の塊に姫子の言葉が震える声を漏らした。
陶酔と興奮、そして何より充実感に満たされたそれは、自分が今感じているものが射精だと知っているからである。
愛しい人の…大好きなご主人様の…昂ぶりの証。
それを誰よりも尊敬し、誰よりも親しい先輩の前で受け止める感覚に姫子の意識はふっと遠くなった。
これまでどれだけオルガズムを感じても、揺らぐ事はなかったその意識でも、大好きな二人に挟まれての絶頂は受け止めきれなかったのだろう。
そのまま崩れ落ちるようにドサリと哩へと倒れこみ、その四肢をピクピクと痙攣させる。

哩「あぁ…ぁぁ…♥」

眼の焦点が合わず、口は半開きになって、舌が溢れだしている。
到底、正常とは言えないそんな姫子の姿が、今の哩にとってとても美しく見えた。
それは最愛のパートナーと最高の交尾を終え…種付けの幸せに震えているからなのだろう。
どれだけはしたなく、みっともない姿でも…確かな絆で繋がった哩にとって、今の姫子が堪らない幸せの境地にいる事が伝わってくるのだ。

京太郎「…部長」
哩「ひ…ぁ…♥♥」

そんな境地へと姫子を連れ去った逞しくも強いオスの声。
それに肩を震わせながら、哩がそちらに目を向ければ、そこにはビンと反り返った逸物があった。
子どもの腕か何かに思えるほど太く、そして大きなそれはさっきまで姫子の中に入っていただなんて到底、思えない。
しかし、その根本から滴る白濁した汁が、姫子の太ももからも漏れている事がその何よりの証しであった。

哩「(あ、あげなもん…私の中に入ると…?)」

しかし、それでもやっぱり哩の心の不安は隠せない。
これまでずっと姫子に報われぬ恋を抱き続けた哩に性交渉の経験は一切、ないのだ。
初めて見る男性器の逞しさに気圧されるのは無理もない話だろう。
それはある意味で正解だったかもしれない。
京太郎のサイズが人並みのそれを遥かに凌駕するものだとしれば、哩はさらに尻込みしていただろうから。

京太郎「優しくしますから…」
哩「ん…ぁ…♥♥」

さっきまで嗜虐的に姫子を犯していたとは思えない優しい声。
しかし、それもまた京太郎の一面でもある事を姫子から知っている哩にとって、それは安らぐものだった。
緊張に強ばっていた肩からふっと力が抜けて…ため息が漏れるくらいに。

今日はここで終わりな!!!!!
明日は小ネタ書く余裕はないかも、すまんな。
後、姫子ちゃんが淫乱なのは俺の所為じゃありません。
姫子ちゃんと京ちゃんの相性が良すぎるのが悪いんです。

それからの京太郎は巧みだった。
未だ快楽の余韻から帰ってこれない姫子をそっと抱きかかえ、脇へと移動させる。
張り詰めて今にも弾けそうな肉棒を揺らしながらのそれはとても優しいものだった。
何処か慈しむ気配すら感じさせるそれは、それだけ京太郎が姫子の事を大事に思っているからだろう。
しかし、哩はそれにもう嫉妬したりはしない。
自分もまたそうやって京太郎に優しく扱ってもらえる事を知っているからだ。

京太郎「お待たせしました」
哩「ほんなこつばい…♥」

しかし、それでも京太郎が再び哩へと向き合った瞬間、その胸板に飛び込む事を止める事は出来なかった。
哩もまた姫子と同様に、或いはソレ以上に焦らされていたのである。
それがようやく満たされると知って、衝動が抑えきれなくなっても無理はない。
寧ろ、二人分の欲求不満を長時間浴びせられた事を考えれば、我慢した方だと言えるだろう。

哩「んふっ♪♪」

そんな哩の唇を京太郎が強引に奪う。
抱ききついた哩をさらに抱き寄せ、自分と密着させながらのそれに哩の口から甘い吐息が漏れた。
そこには勿論、唐突にされたキスに対する拒否感はまったくない。
寧ろ、自分から京太郎の頬を受け入れるように手を伸ばし、ついばむように唇を尖らせる。
まるで雛鳥が親鳥に餌を強請るようなそれに京太郎は幾度となくキスを落とし、哩の身体をさらに蕩けさせていくのだ。

哩「(京太郎君ん…凄い硬くて…熱か…ぁ♥♥)」

そうやって密着しながらのキスに哩は唇だけでなく、その股間の肉棒も強く意識してしまう。
哩の下腹部を制服越しにゴリゴリと押してくるそれは姫子から伝わってくる感覚よりも遥かに逞しい。
こうして触れ合っていると尚更、こんなものが自分の中に入るのか不安になるくらいだ。
しかし、ソレ以上に哩の心を支配していたのは期待と陶酔だった。
早くこれを入れて欲しい。
もっとキスも続けて欲しい。
ドロドロになった頭の中でそんな欲求を浮かばせながら、哩はキスを続ける。

哩「ふぁむぅ…♪ちゅぅ…♪」

そんな哩の唇にドロリとした何かが入ってくる。
姫子のそれよりも若干、厚く、そして大きなそれを哩は興奮と期待を胸に迎えた。
さっきは急すぎて対応する事なんて出来なかったものの、今はこうして自分から入ってきた舌に絡みつく事が出来る。
それは多分、京太郎が手加減してくれているからだと気づいていても、哩には嬉しい事であった。

哩「(そいにこれ…とっても気持ち良か…ぁ♥♥)」

姫子のそれとは違い、お互いに絡み合い、絡め合うキス。
恋人が好んでやるそれに哩の心は甘い言葉を漏らした。
胸の奥までジンと愛しさが伝わってくるようなそれは心で感じさせられているような錯覚さえ覚える。
そんなキスに哩はどんどんとのめり込み、自分から舌を突き出して、愛撫を強請っていた。

哩「はひゅ…♪ひ…んん…♪」

トロンと瞼が下がっていく哩の顔を見て、京太郎はさらに激しく彼女へと吸いつく。
唇ごと口の中で食むようなそれに、哩の口の周りがベタベタになっていった。
それどころか、呼吸すらおぼつかなくなり、頭の中がクラクラとしてくる。
しかし、京太郎のキスはそれでも止まらず、また哩も止めたいとは思わない。
そうやって今の哩にとっては生まれる息苦しさすら心地よく、身を委ねたいと思うものだったのだから。

哩「(とっても甘くて…もっとして欲しかぁ…♪♪)」

京太郎の粘膜は熱く、風呂を彷彿とさせる暖かさが伝わってくる。
その上、べったりと塗りつけるような唾液は甘く、そして淫らなものだった。
一滴粘膜に触れただけでそこを敏感にしていくような粘液は哩にとっては媚薬にさえ思える。
それがもっと欲しくて、哩は京太郎の首に手を回し、そっとその身体を預けた。

哩「ら…ぅ…ぅ♥♥はぷぅ…ぅ…♪」

それから始まるのは最早、後先考えない大攻勢だった。
本能が求めるままにキスをせがむ哩の舌が限界いっぱいまで突き出され、必死に京太郎を舐め回す。
クチュクチュと音をかき鳴らすような激しささえ伴ったそれに哩の身体は陶酔で満ち、力が抜けていった。
それを京太郎へと身体を預ける事で支えて貰いながら、哩はキスに没頭し続ける。。

哩「んにゃ…ぁ…♥う…わぁ…あん…♪♪」

しかし、それも何時までも続きはしない。
そうやって舌を突き出して動かし続けるには哩はキスに慣れてはいないのだから。
数分もした頃には舌の付け根が痺れだし、限界を訴え始める。
それに哩が声を漏らしながら、不満を覚えた瞬間、京太郎の手はそっと哩を押し、ベッドへと倒した。

京太郎「…もうキスはお預けですよ」
哩「や…ぁ…っ♪おあじゅけ…やらぁ…♥」

そう京太郎が言うのは自分の限界を気遣っての事なのだと哩も気づいていた。
しかし、こんなに甘美な感覚を教えておいて、お預けと言うのはやっぱり辛いのである。
期待に身を捩るような子宮とは裏腹に、もっとキスをして欲しいし…絡みあいたい。
あのお互いを高めるようなそれに身を委ね、何時までも蕩けていたかったのである。

京太郎「俺をちゃんと気持ち良くさせてくれたら一杯、キスしてあげますよ」
哩「ほんにゃ…こつ…?」
京太郎「えぇ。本当です」

そう言って京太郎の手がゆっくりと哩の制服に触れた。
既にぐっしょり濡れた上に京太郎の汗まで染み込んだそれを彼は器用に脱がしていく。
キスの余韻から力が入らない哩から服を剥ぎ取ろうとするそれはひと目で分かるほど手馴れていた。
きっと姫子相手にもそうやっているのだろう。
そう思うと自分が本格的に二人の仲間になれたようで、哩の顔に笑みが浮かんだ。

京太郎「…綺麗ですよ」
哩「ふあ…ぁ♪」

そんな哩の制服を脱がしきり、後は下着だけと言う状況に追い込んだ京太郎からそんな声が漏れる。
それに自分が鳥肌を浮かべて喜ぶのを感じながら、哩は甘いため息を紡いだ。
例え、社交辞令であったとしても…内心、気になっていた男にそう言われて悪い気はしない。
ましてや、興奮と欲情を必死に抑えこむ京太郎の顔にはウソっぽいものなど一つもないのだから。
きっと京太郎は心からそう思ってくれている。
それに哩の心の中が戦慄き、彼女の力を奪う幸福感が胸の奥から湧き上がった。

京太郎「俺…もう我慢出来ない。良い…よな?」
哩「まっれ…ぇ♥♥」

そう言ってぐいっと迫る京太郎に哩は思わずそう口にする。
瞬間、京太郎が傷ついたような表情を浮かべるが、それでも哩はそのままではいられなかった。
だって、このままではあまりにも受け身が過ぎるのだから。
このままでは、もしかしたらご褒美のキスが貰えずに…また焦らされるかもしれない。

哩「(ちごうとる…それも…言い訳…ぇ…♥)」

勿論、そう思っているのは否定しない。
しかし、それよりも哩の中で大きいのは二人に対する疎外感だった。
このまま受け身であり続けたら、自分は姫子のように乱れられない。
あんな風にお互いを高め合うような領域にはいけない。
とは言え、性経験など皆無な哩にとって、姫子と同じ事など到底、不可能だ。
だからこそ…こうして今、自分に余裕がある間に…姫子のようになっておきたい。
愛する姫子と同じように…愛する京太郎と受け入れる準備を整えてあげたいのだ。

哩「ん…ふ…♪」

そんな哩の腕が自分から動き、ブラのホックを外そうとする。
その動きは到底、俊敏とは言えず、ぎこちなさに満ちていた。
しかし、それでも京太郎はそれを急かそうとはしない。
今にも暴発しそうな興奮をじっと抑えこみ、哩の所作を見守っていた。
勿論、京太郎とて哩の思考全てを追えた訳ではなく、その真意までは測りかねている。
だが、哩が自分から受け入れようとしている様を見て、横槍を入れるほど無粋でもケダモノでもない。

哩「(んぅ…ゾクゾクしゅるぅ…♥♥)」

とは言え、その視線に熱が篭らないかと言えば、決してそうではなかった。
並の男子高校生をはるかに凌駕する性欲を持つ彼にとって、敬愛する先輩が自分から下着を脱ごうとしているシーンは強い興奮をそそられるものなのだから。
思わずゴクリと生唾を飲み込み、哩へと強い視線を向けてしまう。
それが肌へと突き刺さるのを感じながら、哩は甘い快感を感じていた。

哩「(出来た…ぁ…♪)」

それでも哩が休まずに身体を動かし続けた努力は数分掛けてようやく実った。
普段であれば一分も掛からないはずのそれにこれだけ時間が掛かるのはそれだけ自分が蕩けているからだろう。
そう思っただけで哩の身体が熱くなり、興奮を燃え上がらせた。
すぐさま下腹部の欲求不満と手を組むそれに、哩の腕は濡れそぼったショーツを投げ捨て、京太郎の前でそっと秘唇を広げる。

哩「わ、私の…ぉ♪♪私の処女マンコば…京太郎君んオチンポで…犯してぇ…♥♥」
哩「京太郎君専用の…私のオマンコ…っ♥♥姫子っち同じ事…気持ち良くなって欲しかぁ…♪♪」

それは哩が自分なりに必死に考えたオネダリだった。
元々、堅物であった彼女にとってこうした語彙は少なく、またあまり口数も多い方とは言えない。
それでも必死にかき集めた淫らなそれに京太郎がそっと笑みを浮かべ、自分の頬を優しく撫でてくれる。
それだけで自分の努力が報われた気になった哩は小さく目を細め、その熱に身を委ねた。

京太郎「…部長…いや、哩は頑張り屋さんだな」
哩「あ…ふぅ…♪♪」

優しく褒めるようなそれに哩の胸に喜悦が浮かんだ。
周囲には堅物で通っているとは言え、哩とて承認欲求くらいあるのである。
それが満たされる感覚に哩の口から長い吐息が漏れた。

京太郎「だけど…そんな事言われたら…もう俺…マジで我慢出来ないからな…っ!」
哩「ふぁ…あぅっ♪♪」

しかし、それも長くは続かない。
その興奮をより強くした京太郎が今度こそ哩の身体へとのしかかり、その腰をぐっと掴むのだ。
まるでこれからする事にメスが逃げられないようにしようとするような拘束に哩の胸が高鳴る。
いよいよ…いよいよ自分は姫子と同じようなケダモノの世界へと、京太郎と自分しかいない世界へと連れさらわれてしまう。
その実感に期待と興奮が湧き上がり、胸の内を焦がした瞬間、哩の中にぐっと何かが押し込まれてきた。

すまぬ。コレ以上書くとマジで中途半端なところで終わっちゃいそうなんで今日はここまで。
ちょっと体調回復するまで進めるのは自重しとくわ…。
その代わり、本編はちゃんと頑張るよ!!姫様病んじゃいそうだけど、そうならないように頑張ってるよ!!

お疲れさん
そういえば、他のスレでも姫様が病む話を書いてたら
本人も病んだってか、熱出してたところがあったな・・・

乙乙
>>417
つまり姫様を幸せにすればそのスレの>>1も幸せになる可能性が微レ存…?

>>417
つまりこれは姫様の風評被害を案じた永水の誰かの呪術か何かなのか。
あれ?そう思うと急にずっとこのままでも良いんじゃないかと思い始めてきたぞ…?

>>421
つまり姫様を幸せにすると豚野郎が俺に会いに来てくれるのか。
よし、ちょっと頑張るか。

後、ヤンデレスレの殆どが更新停止して俺の中のヤンデレ成分が枯渇気味な今、
はるる編とかやったら、多分、間違いなく病むぞ?

はるる病ませたら俺も病んでなにしでかすか

>>424
本当はご自身で病ませたいんでしょうが!

あ、ちなみにまったく関係ないんだけど、UX一周終わりました。
色々ネタバレしたいけど、とにかく一言。
サヤさんがグロ肉に見えてきたのは俺だけじゃないと思う(ガリガリ)

このスレの京ちゃんが真性の貧乳スキーで巨乳には性的興奮を覚えないどころか嫌悪感さえあるレベルだったらどうなるんだろうか

貧乳が発情するようになるか、点数に応じておもち少女のおもちが小さくなるとか
……和とか霞さんなんかには需要ありそうだけどクロチャーには天敵だな

むしろ京ちゃんの能力が巨乳好き→巨乳を増やしたい→「上がると少女のおもちが増える」
みたいな能力になったらどうなるかね?

俺的にはどちらかというと

「和(巨乳)好き」→「和(巨乳)に認められたいから麻雀を強くなる」→「しかし強くなるほどに貧乳に好かれる」と言う能力の方がしっくりくる

いやエロなら間違いなくこのスレの能力の方が嬉しいけど

>>438
チーフが帯刀してたり、フロアにちっちゃい子がいたり、金髪が一番の常識人だったり、相馬さんがかわいそうまさんなファミレスに勤め始める。
まぁ、多分、>>442が言っているように貧乳が発情しちゃうようになるんじゃないかな?
このスレの能力はあくまで物理的なアレコレに影響力を持つものじゃないので。
でも、ホルモンバランスに影響を与える事は出来るんでおもちの成長を押さえたり、逆におもちを大きくする事は可能だと思う。

>>445
それって他のスレの京ちゃんじゃないですかーやったー!
まぁ、このスレはエロネタ書くための能力だと思って許容してくだしあ。



後、以前、ちょろっと出したドMヒーロースレのボスにこのスレの存在がバレていた件について。
なんでこんなネットの片隅にある零細スレなんか見てるんですかあああああ!?
まったく無関係なところからネタ振ってすみません!!
何時も応援しております!!

うし。ボスが見てくれてたのが嬉しかったから19:30分から本編、キリがいいところまで投下してくぞオラァ
Tさんスレが始まる前に終わらせるから安心しろやッシャァ


〜 小蒔 〜

ここ最近、須賀さんとまったく話せていません。
いえ…それどころかろくに顔も合わせられていないのが現実でした。
勿論、食事時にはまず確実に顔を見ますし、廊下なんかでばったり会う事も少ないですがあるのです。
しかし、その度に私や須賀さんの傍にいる誰かが口を挟み、会話らしい会話をする事も出来ません。

小蒔「(流石にそこまでされたら…私にだって分かります…)」

霞ちゃんたちは私と須賀さんと仲良くさせたくはないのでしょう。
その理由までは分かりませんが、きっとそれは私の為。
それは…私にも分かっているのです。
しかし… ——

小蒔「(少しくらい…相談してくれたって…良いじゃないですか…)」

そうやって須賀さんを私から遠ざけるにはそれだけの理由があるはずです。
しかし、それは私にまったく事情を聞かさないまま、皆が勝手に決めた事。
幾ら私の事を思っていると言っても…それでは反発も覚えます。
ましてや…須賀さんがそうやって私から遠ざけるような悪い人ではないのですから余計にでした。

小蒔「はぁ…」

これが私が知らないだけで須賀さんが悪人…などと思えばまだ納得は出来るのでしょう。
しかし、皆と和やかに話す須賀さんは寧ろ、とても良い人である事が所作一つ一つから伝わってくるのです。
それに皆も少しずつ打ち解け、心を許し始めているのが目に見えて分かるだけに…正直、寂しいのが本音でした。
皆で須賀さんを独り占め —— と言うのもおかしな話ですが —— にして、私だけ…仲間外れにされている。
そんな感覚がどうしても否めないのです。


小蒔「(でも…皆はどうしても話してくれません…)」

昨日、流石に我慢出来なくなった私は霞ちゃんたちにそれを伝えました。
しかし、皆は気まずそうに誤魔化すだけで決して本当の事を言ってはくれません。
それが私にとってはまた『壁』を感じる事であり…気分を落ち込ませていました。

小蒔「(…須賀さんとお話したいです…)」

きっと須賀さん相手ならこんな事はないのでしょう。
私の『友達』になってくれると言ってくれたあの人なら…こんな風に私を除け者になんてしないはずです。
しかし、私は未だあの日の返事一つマトモに返す事が出来ていないままでした。
いえ、それどころか…手伝うと言った能力制御の手伝いにさえ…参加させてもらえていない有様なのです。

小蒔「(私…約束を破ってばっかり…)」

折角、ああやって須賀さんに意気込んだのに…私がやっている事はまったく正反対の事。
それに顔を俯かせながら、私はそっとため息を吐きました。
これでは須賀さんの友達だなんて到底、自分で言う事は出来ません。
しかし、約束を護ろうにも…須賀さんの傍には常に誰かが居て、私が入る隙間なんてないのです。

小蒔「(いえ…違います。本当は…強引に入る事だって出来るんです…)」

でも、そうやって強引に入った後、私が須賀さんの手伝いが出来るかは疑問でした。
いえ、やると言った以上、私だってその気はありますし、そうしなければと言う気持ちはあるのです。
しかし…それが他の皆よりも成果を出してあげられる…と言う意味では決してありません。
寧ろ…私が邪魔をしてしまう可能性だってあり得るのです。
そう思うと…無理に割り込む気にはどうしてもなれず、私は結局、遠巻きに須賀さんたちを見るだけでした。


小蒔「(もっと…自信が欲しいな…)」

決して揺るがないような自信があれば、こんな事はないのかもしれません。
しかし、私には他の皆よりも秀でていると思えるようなものはないのです。
例外は…『巫女』としての能力だけ。
しかし、それでは須賀さんの手伝いをするなんて到底、出来ないのです。
普段…姫様だと持ち上げられながらも、手伝い一つ出来ない力に自嘲が漏れました。

霞「あら…姫様?」
小蒔「あ…」

そんな私に呼びかける霞ちゃんの声に私はそっと顔をあげました。
そのまま視線を右へと向ければ、そこには着替えを持った霞ちゃんがいます。
進行方向から察するに霞ちゃんもお風呂に入りに行く途中なのでしょう。

霞「小蒔ちゃんもお風呂?」
小蒔「え、えぇ」

そして私もまた霞ちゃんと同じくお風呂に行く途中でした。
とは言え、その返事が微かにぎこちなくなってしまったのは…霞ちゃんに対して含むところがあるからです。
皆が須賀さんの周りを囲み、私を近づけないようにさせているのは間違いなく、霞ちゃんの指示なのですから。
それを思えば、以前のように仲良くする気にはどうしてもなれず、一緒に並んで歩いている今も…どこかぎこちない雰囲気が流れていました。


小蒔「(本当は…こんなの嫌なのに…)」

私だって本当は霞ちゃんと仲良くしたいのです。
幼い頃から私のお姉ちゃんみたいに仲良くしてくれた霞ちゃんとギクシャクなんてしたくありません。
けれど、その為には…霞ちゃんが事情を話してくれるのが必要不可欠なのです。
そうすれば…私だって色々と納得して、今の措置にも理解を示す事が出来るでしょう。
しかし、霞ちゃんは頑なに事情を話してはくれません。
それが私達の間にしこりとなって、ぎこちなさへと変わっていました。

霞「あら…」

それでも一緒に並んでしまう自分に胸中で苦笑を向けた瞬間、霞ちゃんがそっと懐から携帯を取り出しました。
それは私の教育に悪いからと決して与えられはしなかったものです。
しかし、その半面、私の周りの皆は連絡の為に持たされ、それを使いこなしていました。
それにもまた『壁』を感じる私の前で、霞ちゃんの顔が驚きへと変わっていきます。

小蒔「…どうかしたんですか?」
霞「あ…いや…何でもないのよ」

霞ちゃんはそう言って誤魔化しますが、到底、そうは見えません。
ある程度の事なら表情を崩さずに処理出来る霞ちゃんがこんなにも露骨に表情を変えたのですから。
きっとそれだけ大きな事が携帯には書いてあったはず。
それなのに…私にはまた教えては貰えない。
それに今までずっと仲間外れにされてきた疎外感が不満と共に一気に暴発し、私は指を明後日の方向へと指さしました。

小蒔「あ…お父様!」
霞「えっ!?ご当主様!?」

瞬間、私の声に弾かれるようにして霞ちゃんが明後日の方向へと向きました。
その身体が反射的に中腰になって挨拶の姿勢を取ろうとしているのは条件反射のようなものなのでしょう。
そして、故にそこが付け入る隙となるのです。
普段であれば…決して私に携帯を取らせはしない霞ちゃんの手から…その携帯を奪い取る為に必要で決定的な隙に。


霞「あっ!」

そんな私の動きに霞ちゃんが気づいた頃にはもう遅いです。
既に私の手には携帯が握りしめられ、その画面を開いていました。
瞬間、私の目に飛び込んできた文字は… ——

小蒔「…え?」

『須賀京太郎』と言う私も知る男性の名前と…そして『急な話で申し訳ありませんが、明日、帰ります』という簡潔な文章のみ。
けれど、私はそれを最初、信じる事が出来ませんでした。
だって…須賀さんはついこの間、このお屋敷に来たばかりなのです。
まだ能力を制御する方法だって確立出来ていませんし、須賀さんが本当に求めていたという後遺症をなくす方法もまったく見えていません。
それなのに…帰ろうとするなんて何かがおかしい。
そう思った瞬間、私はその下にもう一文、付け加えられている事に気づきました。

— 『ご迷惑をお掛けして申し訳ありません』

小蒔「迷…惑…?」

一体、彼が何時、誰に迷惑を掛けたと言うのでしょう。
寧ろ、須賀さんはとても皆に馴染み、私が疎外感を感じているくらいなのですから。
そんな須賀さんが迷惑だと思うような事なんて…私には一つしか思いつきませんでした。
いえ…もっと言うならば…あんなに皆に囲まれていた須賀さんが自分の存在が迷惑だと思うほどに疎外感を感じる理由なんて…一つしか思い至らなかったのです。


小蒔「(社交辞令なんかじゃ…ない…)」

私の知る須賀さんはこんな社交辞令を書くような人ではありません。
書くのならば、『申し訳ありません』よりも『有難うございます』と書くでしょう。
そんな人が…謝罪を文面に残すほど、追い詰められ、苦しめられている。
それは… ——

霞「小蒔ちゃん…?」
小蒔「…霞…ちゃん…」

それは…きっと皆が創りだした『壁』の所為。
私と須賀さんを隔てる『壁』に…須賀さんもまた気づいていたのでしょう。
皆に慕われるように囲まれて笑みを浮かべながらも、そこに困るような、傷つくような表情を混ぜていたのはきっとその所為だったのです。
それ故に…須賀さんは今、この屋敷から出て行こうとしている。
それが私には…涙が出そうになるほど悲しく…そして… ——

霞「っ!だ、ダメよ、小蒔ちゃん!!」

必死さを強く感じさせる霞ちゃんの声は私にも届いていました。
しかし、心の奥がポッカリと空いた寂しさはそれでは埋まらないのです。
それを埋めてくれるのは…たった一つ。
ドロリとした暗い感情と…確かにある皆に対する怒り。
そして…それに惹かれて現れる…ドス黒い力の形。


霞「気をしっかりもって…!小蒔ちゃん…!」
小蒔「4る。い…!」

そんな私に呼びかける霞ちゃんへと応える声は…もう私のものではありませんでした。
私という器に何か大きなものが満たされて、それが私を通して話しているのです。
しかも…それは普段、私を通して降りていると言う九面様のような優しい感じじゃありません。
ただただ暴れて…力を撒き散らす事を望む怒りと嫉妬の化身。
それが私の身体を今にも乗っ取ろうとしている感覚に…私は… ——

小蒔「あは…Aは…っ♪あはは…あは…あはHAH3Fはっ」

どうしても抗えず…意識がゆっくりと下へ下へと落ちていきます。
そんな意識とは対照的に…私の口から狂気するような声が漏れるのが聞こえました。
まるで…この世に生まれ落ちた事が楽しいと言うようなそれを抑えようと霞ちゃんが手を伸ばします。
しかし、既に冷たい力で満たされた私の身体は霞ちゃんにも容赦しません。
寧ろ、その牙を嬉々として向けるように、無防備な衣服を引き裂いて傷を与えようとするのです。

小蒔「(霞ちゃん…逃げ…て…)」

最後に頭の中でそう呟いて、私の感覚はそっと途切れます。
ただただ、暗い闇の中で眠るようにして意識が横たわっているだけで…外の様子が分かりません。
ですが…嬉々とするドス黒い意識が、皆を傷つけている事だけがはっきりと伝わってくるのです。


小蒔「(もう…もう止めて…!!)」

心の中でそう叫んでも、私の身体は止まりません。
寧ろ、嬉々として暴れ回り、また誰かを傷つけているのです。
それが辛くて…苦しくて…でも、謝る事すら出来ない現状に私の意識は悶えました。
それにドス黒い意識が喜ぶのを感じながらも、私は何度も何度もそう叫びます。

京太郎「神代さん!無事です…か…?」
小蒔「(え…?)」

そんな中、須賀さんの声がはっきりと私の耳に届きます。
まるで…まるでそれだけは決して聴き逃しちゃいけないと思っているように…はっきりと私の意識に届いているのです。
それに驚きの声をあげた瞬間、ドス黒い『何か』がニタリと嫌な笑みを浮かべたのが分かりました。
まるで私を傷つける最高の道具を見つけたようなそれに…私の意識は慌てて叫びます。

小蒔「(須賀さん!逃げて!!)」
京太郎「ぐぁ…ぁあっ!」

しかし、どれだけ叫んでも私の声が須賀さんに届く訳がありません。
そう分かっていても、私は叫ばずにはいられませんでした。
だって…須賀さんは何も関係がないのです。
こんな…私の…おかしな力に巻き込まれる必要なんてなかったのですから。
しかし、私が反応してしまった所為で…私の身体を支配している『何か』は須賀さんに矛先を変えてしまった。


小蒔「(あぁ…っ!あぁぁぁ…っ!!)」

それに押しつぶされるほどの罪悪感と痛みを感じて、私の心が悲鳴をあげました。
今にも心が真っ二つに引き裂かれそうに思えるその痛みに何度も何度も叫びます。
止めてって…もう止めてくださいって…枯れそうなほどに。
けれど…『何か』はニタニタと笑うだけで…決して止めてはくれません。
寧ろ、そんな私や須賀さんの苦しみを喜ぶようにして、余計に彼を痛めつけようとしているのです。

京太郎「だいじょぶ…っす…!」
小蒔「(え…)」

それに心がバラバラになってしまいそうに思った瞬間、私の耳に強がった声が届きました。
今にも消えてしまいそうなくらいに掠れているのに…誰かを励まそうと必死に漏らすその声に…私は驚きます。
だって、それはまるで…私の声を聞き届けているようなものだったのですから。
それに今にもバラバラになりそうな私の心がギリギリの所で踏み留まり、痛みがほんの少し和らぎました。

小蒔「(でも…それは私にじゃないはずです…)」

勿論、そうであって欲しいと言う気持ちは私にもあるのです。
しかし、私の声が届いていないのは明白で…それはきっとその場にいる他の誰かに向けたものなのでしょう。
そう思うと胸の奥から妙な腹立たしさが溢れ、拗ねるような気持ちが大きくなっていきます。

京太郎「っだ、…大丈夫…ですよ…じんだ…ぃさん…!」
??「っ〜〜!」

それに身体を支配している『何か』が喜悦を浮かべようとした瞬間、再び私の意識に須賀さんの声が届きました。
今度こそ…今度こそ本当に私へと向けられた須賀さんの声。
それに『何か』が信じられないかのように目を見開き、困惑するのを感じます。
いえ…寧ろ、普通では有り得ないはずの反応に、『何か』は困惑を通り越して、微かに怯えていました。


京太郎「きっと皆…が…何とかして…」
??「…あ゛あああぁぁっ!!」

それを認めまいとするように『何か』が暴れ始めます。
それに須賀さんも巻き込まれているのでしょう。
手のひらから何かを叩きつけるような感触が伝わってくる度に、潰れるような須賀さんの声が聞こえました。
苦痛に強く彩られたそれは…聞いているだけでも胸が張り裂けて死んでしまいそうです。
しかし…それでも、私の手のひらから伝わってくる感覚はなくなりません。
これほどまでに『何か』は怯えているのに…逃げようとしているのに…なくならないそれは…もしかしたら… ——

小蒔「(須賀さんが…握ってくれているんですか…?)」

それが一体、どうしてなのかは分かりません。
私が怯えないようになのか、それとも他に誰かを傷つけない為になのか。
しかし…私の身体を支配し、尋常ならざる怪力を振るう『何か』に対して須賀さんも立ち向かおうとしてくれているのは事実でしょう。
ならば…私も…逃げている訳にはいきません。
何の力もない須賀さんがこうして私を助けようとしてくれているのに…何時までも一人泣いている訳にはいかないのです。

小蒔「(いい加減…私の中から出て行きなさい…!!)」

その言葉に何かの意味がある訳ではありません。
一度、降ろしてしまったものに対して、私はあまりにも無力で…そして受動的なのですから。
しかし…それでも霞ちゃんたちの手によって弱り、怯えた『何か』に対して、決定打となる力はあったのでしょう。
それを契機としたように『何か』がふっと私の中から抜けていくのを感じました。


小蒔「あ…」
霞「姫様!?」

そんな私が床へと倒れこむ前に抱きとめてくれたのは霞ちゃんでした。
それが…少しだけ不満なのは多分、贅沢というものなのでしょう。
それでも、出来れば…まるで物語のヒーローのように須賀さんに抱きとめて欲しかったのは否定出来ません。
どれだけ我儘であると理解していても…暗く、深い悪意の中、私に必死に呼びかけてくれていた彼に受け止めて欲しかったのです。

小蒔「須賀…さんは…?」
霞「…大丈夫よ。今、春ちゃんが看てる」

しかし、アレだけ暴れた私の手をずっと握り続けた須賀さんは決して無事とは言えないのでしょう。
ほんの少し遅れた霞ちゃんの声は微かに震え、それが決して言葉そのものの意味ではない事を教えてくれました。
それが悲しくて私の目に熱いものが浮かびますが、私はもう目を開ける力もありません。
悪神・悪霊と呼ばれる類のものに憑かれるのは、九面様を降ろすよりも遥かに疲れる事なのですから。
まして、それが私の身体で遠慮無く暴れまわった後ともなれば、身体は疲労感で満ちていました。

小蒔「(あぁ…私…は…)」

こんな風になるのは別に今回が初めてじゃありませんでした。
九面様全てを降ろす事が出来る巫女と言うのは、謂わば巨大なアンテナも同然なのです。
それを狙って、幼い頃から私の周りには悪いものが付き纏っていました。
私の心が過度に弱ってしまった際、その心のスキマに入り込み…自らの欲求を満たそうとするものたちが。
霞ちゃんたちが親元を離れ、こうして私の傍についてくれているのは私を護る為だけではなく、それらを祓う為でもあるのです。


小蒔「(また…やってしまい…ました…)」

それでも霞ちゃんたちが傍に居るようになってから、それらは殆どありませんでした。
けれど…今、私は久しぶりにそれを起こし、須賀さんを傷つけてしまったのです。
何の関係もない…ただ、私のお友達になろうとしてくれただけの…優しい人を…傷めつけてしまったのでした。

小蒔「(巫女になんて…ならなければ良かった…)」

こんな力がなければ、須賀さんを傷つける事なんてありませんでした。
こんな力がなければ…須賀さんが自分のことを迷惑だと思う事もなかったのです。
こんな力がなければ、霞ちゃんたちだって普通の女子高生として暮らす事も出来たでしょう。
それは…逆に言えば、この力がなければ、須賀さんとも、霞ちゃんたちとも出会う事が出来なかったと言う事です。
しかし…それでもどうしても…私の心の中からその声はなくなりません。
今回の事でさらに強くなった感覚に…私は胸を震わせながら、そっと意識を手放し、暗い眠りの中へと落ちていったのでした。




………



……








小蒔「あ…」

そんな私が目を覚ましたのは自分の部屋の中でした。
目の前に柔らかい布団の感触がある事から察するに誰かが私の事を部屋まで運び、布団に寝かせてくれたのでしょう。
それに感謝の気持ちを感じる反面、放っておいてくれても良かったのに…と思う気持ちが私の中にありました。

小蒔「(…皆に会わせる顔がありません…)」

勿論、霞ちゃんたちにとって、私がああやって取り憑かれた姿を見るのは初めてではありません。
しかし、害意を持って暴れまわる私に対して、恐怖を感じないはずがないのです。
幾ら六女仙として、そう言ったものに立ち向かう訓練を受けているとは言え、皆も普通の女の子なんですから。
どれだけそれに立ち向かう力があったとしても…怯える気持ちをなくした訳じゃないでしょう。

小蒔「(それに…私は…須賀さんを…)」

そう胸中で呟きながら、そっと見下ろした手の中には、未だ肉を壁や床に叩きつけた嫌な感触が残っていました。
グシャリと音を立てるようにして腕に伝わるその感触は今にも吐き出しそうなほど気持ち悪いものです。
しかし…本当に辛いのは私ではなく、須賀さんの方でしょう。
アレだけ傷めつけられても…私の意識が身体の支配を取り戻すギリギリまで…私の事を握り続けてくれていたのですから。

小蒔「(…だって…こんなにも…私の手に…痣が残っています…)」

須賀さんには霞ちゃんたちと違って、何の力もありません。
いえ、ある事にはあるのですが…その…ああなった私に対して有効なソレではないのです。
ましてや除霊の為の訓練など受けているはずもなく、あの場ではただ傷めつけられていただけ。
しかし…それが何より…私の心に残っていました。
本当なら真っ先に逃げたいであろう立場だったはずなのに、ただ巻き込まれただけなのに…あの場で出来る最善を考え、尽くしてくれた人。
私の手に痣が残るほど強く握りしめ、暴れる私の手綱をギリギリの所で締めてくれていた…優しくも強い人。
その人のお陰で…私は霞ちゃんたちを傷つける事はなく、取り憑かれたにしては比較的被害の少ない結果に終わったのでしょう。


小蒔「…須賀さん…」

その人の名前を呼ぶと…私はもう我慢出来なくなりました。
申し訳なさと感動で目尻が熱くなり、痣がズキリと疼きます。
それが背を押すままに私はそっと布団から抜け出し、時計を見ました。
時刻は既に深夜の三時。
丑三つ時と呼ばれる時刻ですが…関係ありません。
今の私は…ただ須賀さんの安否を自分の目で確認したくて仕方がなかったのです。

小蒔「ん…く…」

しかし、それでも身体の気怠さが私の足を引っ張ります。
幾らか寝てマシになったとは言え、私の身体は休息を求めているのでしょう。
身体中で筋が引っ張るような感覚が起こり、ピリリと痛みを感じました。
それでも足を止める気にはなれない私はそっと襖戸を開き、廊下へと顔を出すのです。

小蒔「(誰もいません…ね?)」

念のため、周囲を確認してから私は廊下へと足を踏み出しました。
流石に時間が時間だけにないとは思いますが、霞ちゃんたちに会ったりすると目も当てられません。
これから私がやろうとしている事は紛れもなく殿方の寝所に顔を出す事なのですから。

小蒔「(れ、冷静に考えると…凄いはしたない事ですよね、これ…)」

こんな夜中に殿方の寝床に行くだなんて…夜這いも同然だと言われてもおかしくはありません。
それを思うと私の頬がそっと熱くなり、恥ずかしさが湧き上がって来ました。
もし…須賀さんに見られてはしたないと思われてしまったら、どうしましょう…。
そうは思いながらも、私はその顔がどうしても一目見たくて…足を止められませんでした。


小蒔「(…き、来ちゃいました…)」

結局、数分後には私の足は須賀さんが寝ているであろう客間にたどり着いていました。
けれど、私の手は中々、その襖戸を開ける気にはなれません。
後ほんの数メートル先に須賀さんの寝顔があると思うと妙にドキドキしてしまうのです。

小蒔「(だ、大丈夫ですよ、確認…確認するだけなんですから)」

そう自分に言い聞かせて、大きく深呼吸した後、私はそっと襖に手を掛けました。
そのまますっと動かせば、その向こうには見慣れた客間があります。
そして…そこに敷かれた一式の布団。
その中には腫れ上がった顔で横になる須賀さんの姿があり、そして… ——

小蒔「(あれ…?どうして春ちゃんが…?)」

そんな須賀さんの脇には畳へと倒れこむように寝ている春ちゃんの姿がありました。
恐らく途中まで看病をしていたのでしょう。
その近くには水の入った小さな桶と濡れたタオルが置いてありました。
微かに血の染みこんだそれは須賀さんの顔を何度も何度も拭いた事を私に教えます。

小蒔「(…ごめんなさい…)」

そうやって春ちゃんが看病の途中で糸が切れてしまうくらい…須賀さんの様態は酷いものだったのでしょう。
それが伝わってくる光景に私はぎゅっと歯を食いしばりました。
そのまま今すぐ春ちゃんにも、須賀さんにも謝罪したいですが、今の時刻は到底、それが出来るものではありません。
それよりも今は…須賀さんの横に布団を引いて、春ちゃんをちゃんと寝かせてあげるべきでしょう。


小蒔「よいしょ…」

未だ筋張った感覚が残る身体ではそれも難しいですが、決して出来ない訳じゃありません。
数分後には備え付けの布団を一組おろしきった私は、そこに春ちゃんを横たえさせる事に成功しました。
その最中、春ちゃんがまるで離れたくないとばかりに私の服を掴んだのが少しだけ気になります。
一体、どんな夢を見ているのか、その唇は微かに動き、何かを言っていました。

小蒔「(何となく…それに気づいちゃいけない気がして…)」

まるで縋るように…何度も何度も唇を動かす春ちゃんの姿。
それは今まで一度も見たことがないくらい必死で…そして悲しいものでした。
それを向けられる誰かはきっと光栄だろうと思うそれを…私は思考から弾き出します。
春ちゃんの事は勿論、大事ですが、今は何より須賀さんの事が第一なのですから。

小蒔「(…須賀さん…)」

とりあえず一仕事終えた事を確認した私は改めて、須賀さんの布団の脇に腰を下ろします。
枕元の右側からそっと見下ろすその顔は…とても凄惨なものでした。
精悍な顔つきを作っていた頬は腫れて真っ赤になり、瞼の上も切れているのか、真っ赤になったガーゼが押し当てられています。
唇もボロボロで、その端からは真っ赤な跡が鋭く切り込まれていました。
鼻にも添え木が当てられていて、無事では済まなかった事を私に教えます。

小蒔「(でも…こんなのきっと…氷山の一角にすぎないのです…)」

こうして顔を見るだけでも怯んでしまいそうな大怪我。
しかし、それが顔だけでは済まず、全身に広がっているのが私には分かります。
きっと腕や足にも湿布や包帯が巻かれ、顔にも負けない悲惨な状況になっているのでしょう。
それにじわりと涙が浮かびますが、私にはどうしようも出来ません。
人をこうして傷つける力はあるというのに…人を癒す力なんて私にはないんです…。


小蒔「…ごめん…なさい…っ」

思わず呟いたその声と共に私の目尻から涙が溢れました。
勿論、泣いたって何も解決しませんし…その言葉を捧げるべき人は今も眠っています。
そんな状態で…謝罪を口にしても何の意味もないでしょう。
しかし…それでも思わず私の口からその言葉が出てしまうくらいに…須賀さんは痛ましい姿だったのです。
会った時の陽気で…ちょっと意地悪で…でも、とても暖かで優しい須賀さんと本当に同一人物とは思えないくらい…酷い状態だったのです。

小蒔「ごめんなさい…っ!」

もう一度、呟いた私の指先がぎゅっと袴を握り込みます。
そこに幾つもの染みが広がっていくのを感じながらも、私はそれを抑える事が出来ませんでした。
幾ら謝っても奥から奥から溢れ出る感情の波が私を責め続けているのです。
身体の内側に留めおく事が出来ないそれに私は涙を流し、何度も何度も小さな声で謝り続けました。

京太郎「神代…さん…?」
小蒔「え…?」

そんな私に唐突に聞こえた声。
それに思わず聞き返した私の目にこちらを向いた須賀さんの顔がありました。
その目は腫れの所為か微かにしか開いていませんでしたが、それでも須賀さんの目が完全に覚めているのを私に教えます。


京太郎「どうかし…いたっ!」
小蒔「あ、あわわ…」

そんな私の前で急に起き上がろうとした須賀さんが痛みを訴えました。
ぎゅっと身体を丸めるようなそれはきっと全身に苦痛が走っているが為なのでしょう。
しかし、それを見ながらも、急激に変化する展開に私はついていけません。
痛みを訴える須賀さんにどうして良いか分からず、私は視線をあちこちへと彷徨わせました。

小蒔「え…えいっ!」
京太郎「ぬぉあ!?」

それでも消えぬ焦りに背を押され、私が選んだのは須賀さんを布団へと押し戻そうとする事でした。
ぐいっと須賀さんの肩を押してのそれに須賀さんはバランスを崩し、布団へと戻ります。
そのまま反発を利用して戻れば良いものを、焦った私は力加減を間違ってしまいました。
ぐいっと押した勢いのままに…須賀さんを布団へと押し倒してしまうのです。

小蒔「あ…」

須賀さんの顔を上から見つめる私の髪がそっと垂れました。
霞ちゃんほどではなくても、それなりにある私の髪が須賀さんの顔を包み、それ以外を視界から排除します。
まるで…世界に私と須賀さんしかいないような…そんな何とも言えない感覚。
それに胸の奥がトクンと跳ねたのを感じながらも、私は須賀さんから目を離せませんでした。


小蒔「(何でしょう…この…感覚…)」

さっきまで須賀さんの顔を見ていた時には決して感じなかった不思議な感覚。
それに疑問を覚えながらも、それは決して嫌ではありませんでした。
いえ…寧ろ、こうやって見つめ合うだけで胸の奥から暖かな気持ちが沸き上がってくるのですから。
今まで感じたどんなものともズレているそれの名前を私はまだ知りません。
ですが…それでも今、私が求めている事だけは…しっかりと分かるのです。

小蒔「(わ、わわ…私…今…欲しがってる…須賀さんの…唇を…接吻…を…)」

今…胸が焦がれそうなほど、私が求めていたのは須賀さんの唇でした。
私の所為で血に濡れ、荒れてしまったその唇に…私は自分の証を残したかったのです。
そ、そんな事…女性がやるような事じゃないなんて…私にもちゃんと分かっていました。
まして…殿方を押し倒しながら、接吻しようだなんて…あまりにも破廉恥が過ぎる行為でしょう。
しかし…それなのに…あの時の私は…まったくそれに対する忌避がありませんでした。
それどころか…そうする事がとても正しい事のように思えたのです。

京太郎「えっと…とりあえず…大丈夫ですか?」
小蒔「は、はい…」

そんな私の気持ちを察してくれた須賀さんの言葉に私はそっと頷きました。
一体、何が大丈夫なのか、色々ありすぎて分かりませんが、今の私は大丈夫なはずです。
途中で気づいたお陰で、接吻しようとするような衝動は霧散しましたし、何かに取り憑かれている訳でもないのですから。
何時も通りの…普通の神代小蒔に戻っているはずです。


小蒔「まず…須賀さんにこんな大怪我をさせて、すみませんでした…っ!」スッ
京太郎「あ、頭をあげてください。神代さんは何も悪くないじゃないですか」

そして…だからこそ、しなければいけない事がある。
そう心の中で思考を切り替えながら、私は畳に手を着いて頭を下げました。
所謂、土下座と呼ばれるそれに須賀さんが焦ったように慰めてくれます。
しかし…それでも私は頭をあげる事が出来ません。
それだけの事を…私は須賀さんにしてしまったのですから。

京太郎「そ、それより神代さんの方こそ大丈夫なんですか?」
小蒔「わ、私は平気です…それより須賀さんの方が…」

そんな私を気遣ってくれたのでしょう。
須賀さんは逆に私の安否を気にする言葉をくれました。
それにジンと胸の奥が熱くなるのを感じながら、私はそう言葉を返します。
確かに私の身体には疲労や筋張った感覚が残っていますが、それだって何かするのに大きな支障が出るレベルではありません。
全身が腫れ上がった須賀さんの前で口に出来るようなものでは決してないのです。


京太郎「…嘘はいけませんよ。動きが少しぎこちないじゃないですか」
小蒔「う…」

しかし、それは須賀さんに見抜かれてしまったのでしょう。
呆れたように言う須賀さんの言葉は確信を伴ったものでした。
それに言葉を失う私の前で須賀さんがそっと左手を伸ばし、伏せたままの私の頭にそっと触れるのです。

京太郎「顔をあげてください。そうじゃないと…お話も出来ないです」
小蒔「あ…」

ポンポンと子どもをあやすような優しい手つき。
まるで父が我が子にするような暖かなそれは……須賀さんが本当に私の事を許してくれている証なのでしょう。
そう思うとまた目元が熱くなり、涙が漏れそうになってしまいます。
今にも泣きそうな顔を見られるのはどうしても嫌で…私はそのまま伏せていました。

京太郎「それとも…こうやってずっと髪を撫でられて居たいですか?」

そんな私に悪戯っぽく告げられるそれはとても魅力的な提案でした。
だって…こうやって須賀さんに撫でられるのは胸が震えるほど嬉しい事なのですから。
安堵と緩やかな歓びが混ざったそれは何時までも何時までもして欲しいくらいです。


小蒔「…いたい…です…」
京太郎「え…?」
小蒔「あ…」カァァ

それがそのまま口に出てしまった私に須賀さんが驚いたような声を漏らしました。
きっと私がそんな風に応えるとはまったく予想していなかったのでしょう。
それに頬が羞恥を灯し、赤く染まっていくのを感じました。
一体、私は何でこんな子どもっぽい事を言っているんでしょう。
そう胸中で自嘲の言葉を漏らしながら、私はそっと顔をあげました。

京太郎「ともあれ…無事で良かったです」
小蒔「…須賀さんの方は…」
京太郎「頑丈さだけが取り柄みたいなもんっすから大丈夫です」

それは…強がり以外の何者でもないのでしょう。
そう言って、そっと笑う須賀さんの表情は強張っていました。
あれだけ傷めつけられたのですから…今もその身体は苦痛で一杯のはずです。
それなのに私の事を気遣って、強がる須賀さんの姿はとても痛ましいものでした。
もしかしたら、こうやって話しているのも辛いのかもしれません。
しかし、それでもそれを漏らそうとせず、私の事を第一に考えてくれるその姿に…私は… ——


小蒔「ごめん…なさい…っ」

再び漏れる大粒の涙。
けれど、本当に泣きたいのは須賀さんの方なのです。
何の関係もないのに…ただただ巻き込まれ、今も苦しんでいるのですから。
それなのに強がってくれている人の前で泣いても…無意味でしょう。
それが分かっているのに…私の涙は止まりません。

小蒔「…ぁ…」
京太郎「泣かないで下さい」

そんな私の手に包帯が巻かれた須賀さんの手が伸びました。
そのまますっと頬を撫で、目尻を拭ってくれるそれはとても優しく暖かなものです。
さっき私の頭に触れてくれたのと変わらないそれに私の涙はさらに溢れます。
それが…須賀さんの優しさが嬉しいからなのか、そんな須賀さんに対して何も出来ない自分の情けなさからなのかは分かりません。
ただ…グチャグチャになった胸中から感情を絞り出すように…私はずっと泣き続けていたのです。

小蒔「ぐす…っ」
京太郎「…落ち着きました?」
小蒔「…はい。ご迷惑をお掛けしました…」

数分後、それが一段落した頃には、私の顔はグチャグチャになっていました。
須賀さんが必死に拭ってくれたものの、涙で濡れて、到底、見れたものではないでしょう。
しかし、それとは対照的に、私の胸は少しだけすっきりとして…気分が軽くなっていました。


小蒔「どうして…ですか…?」
京太郎「え…?」
小蒔「どうしてそんなに…優しく出来るんですか…?」

そんな私の頬を優しく拭い続けてくれる須賀さん。
その優しさは嬉しいものの…どうしてもそんな疑問が私の胸から浮かび上がってくるのです。
普通の人であれば…あれほど痛めつけられれば、私を怖がったりするでしょう。
私の力を知っている人でさえ、暴走に巻き込まれた時には明白な恐怖を浮かべるのですから。
しかし、須賀さんはそんな私を怖がったりしないどころか、こうして優しく慰めてくれるのです。
正直…恨み言の一つや二つは覚悟していた私にとって、それは嬉しい誤算ではありましたが、同時に理解できない事でもあったのです。

京太郎「あー…ファンだから…じゃダメですか?」
小蒔「ファン…ですか…?」

勿論、それは私も把握していた事です。
だって、それは初めて会った時から須賀さんが言ってくれた事なんですから。
ですが…そう言ってくれた時は確かに嬉しかったはずなのに、今の私には少し…不満な答えでありました。
嬉しいのは事実ですし…納得出来る答えであるのは事実ですが…何か物足りない気がしてならないのです。


京太郎「後、友達になりたいっていう下心も割りとあったりですね…」
小蒔「あ…」

そんな私の耳に届いた申し訳無さそうな言葉。
それに私の胸がジンと震えて、嬉しさを沸き上がらせました。
須賀さんも…まだ私と友だちになりたいと思ってくれている。
それをこうして確認できた喜びに…再び涙が漏れそうになりました。
私はこんなに泣き虫さんじゃなかったのに…一体、どうしてなのでしょう。
さっきから…私の心は須賀さんの言葉に振り回されてばっかりなのです。

小蒔「(でも…それが嫌じゃありません…)」

こうして言葉一つ一つに振り回され、涙が出そうになっているのに…それがまったく嫌じゃないのです。
それはきっと…須賀さんがとても暖かで優しい人であると分かっているからなのでしょう。
そうやって振り回されるのも須賀さんの優しさの所為なんだと思えば…胸の奥が熱くなるようにすら感じるのです。

小蒔「本当に…良いんですか?」
京太郎「え…何がです?」
小蒔「だって…私…『普通』じゃないです…」

しかし、それでも、私は須賀さんの言葉にすぐさま頷くことが出来ませんでした。
だって、私は…『巫女』で…決して『普通』ではないのです。
それはさっき私に痛めつけられてしまった須賀さんには良く分かっている事でしょう。
ですが、それでも…確認するように口にするのは…もう自分では止まる事が出来ないからです。


小蒔「(本当は…お友達にならない方が良いって分かっているのに…)」

私は須賀さんを傷つけてしまいました。
須賀さんがそれを許してくれたといっても、その事実は変わりません。
そして…また何時…さっきのように須賀さんを傷つけるかどうか分からないのです。
それを思えば…自分からその申し出を断るのが最善なのでしょう。
ですが…これまでそれを望み、しかし、手に入らなかった私の心はそれを選ぶ事が出来ません。
傷つけるかもしれないという恐ろしさよりも…これからずっと一緒にいたいという喜びの方を…選んでしまうのです。

京太郎「何言ってるんですか」
小蒔「え…?」
京太郎「神代さんは何処にでもいる『普通』の女の子ですよ」

そんな私に須賀さんは何でもないように言ってくれました。
まるで…本当に本心からそう思ってくれているような…普通の言葉。
しかし、それが私にはどうしてなのか理解出来ません。
だって、私の特異性はついさっき須賀さんも体験したばかりなのですから。
例え、神様の存在を信じていなくとも、私が危険である事くらい分かるでしょう。

京太郎「寧ろ、俺の方が化け物じみた能力をしてますってば。脅威度で言えば、俺の方が遥かに上ですよ」
小蒔「そ、そんな事…」
京太郎「それに…神代さんの力はそれだけじゃありませんよ」

確かに無差別に女性を、その…え、エッチな気分にさせると言うのは脅威であるかもしれません。
ですが、それは私の脅威とはまた違い、一緒にするようなものではないでしょう。
そう言おうとした私を遮るようにして、須賀さんが言葉を付け加えました。


京太郎「俺みたいに…人を傷つけるだけの力じゃないでしょう?」
小蒔「…あ…」

そう言いながら、怯えを見せる須賀さんの瞳を見て…私はようやく彼の感情に気づきました。
須賀さんは…誰よりも自分の能力の事を恐れているのです。
大事な人たちを傷つけてしまった自身の事を…何よりも恐れているのでしょう。
だからこそ…須賀さんは自分をこんなにも傷つけた私の力が怖くないのです。
それよりももっと恐ろしい事を知っているが故に、須賀さんは自分が傷つくという事に無頓着なのでしょう。
いえ…もしかしたら、こんな能力を持っている自分なんて死んでしまえば良いと…内心、思っているのかもしれません。

小蒔「(そんな事…)」

無いと…言ってあげたい。
そうやって卑下するような言い方をするほど酷い能力ではないと…言ってあげたいのです。
しかし、私は実際に経験した訳でも、何でもありません。
伝聞でしか知らない私が慰めるようにそう言っても、須賀さんの心には届かないでしょう。

京太郎「それに普段の神代さんはちょっと可愛くて頑張り屋さんなだけの何処にでもいるような女の子なんですから。問題ないですよ」
小蒔「……そう…でしょうか…」

そんな私を励ますように言う須賀さんの前で私は一抹の寂しさを覚えました。
こうして私が須賀さんの傍に居るというのに…何処か手が届かない…もどかしい寂しさ。
私にとって当事者であり、被害者である須賀さんとは違い…私は彼にとって加害者にも被害者にもなれていないのです。
その一方通行感が何とも重苦しく、私の言葉を途切れさせました。


小蒔「…あの…聞いてもらえますか?私の…力の事」

それでも決心するようにそう言ったのは、私の事を少しでも須賀さんに知ってもらいたかったからです。
そうやって私の力に対する理解を深め、もう少し…判断する余地を与えてあげたかったのでした。
…いえ、それはきっと建前なのでしょう。
今、私が感じている一方通行感は思わずそんな言葉が漏れてしまうほどに寂しいものであったのです。

小蒔「(嫌われて…引かれてしまうかもしれない…ですが…)」

ここまで巻き込んでおいて…何の説明もしないという訳にはいきません。
何より…これからお友達として付き合ってくださるという須賀さんに対して隠し立てする事でもないのです。
そう理性が言う言い訳を加える私の前で須賀さんが小さく頷きました。
それに小さな安堵を得ながら、私はそっと唇を開いたのです。

小蒔「私が巫女であり、ここで祀っている天孫降臨に出てくる九神…所謂、九面様を降ろす事が出来る…と言うのは知っていますか?」
京太郎「一応…霞さんに聞きましたけれど…」

どうやら、その辺りの基礎的な説明は霞ちゃんにされていたみたいです。
それに少しだけ拗ねるように思うのは、私の役目がまた霞ちゃんに取られたと思うからでしょうか。
しかし、今はそれを表に出している余裕はありません。
それよりも須賀さんにも分かりやすいような説明を心がけるのが必要なのですから。


小蒔「巫女とは凄い大雑把に言えば…アンテナと蓄電器みたいなものです。基本的にはお互いに波長を合わせた場所と交信しますが…時折、混信する事もあります」
京太郎「それが…今日…いや、昨日みたいな事だと?」
小蒔「はい…もっとも…あんな風に乗っ取られるのはこれまでも数回しかないくらいなんですけれど…」

しかし、それでもその度に暴走を繰り返し、周囲の人々を傷つけるのは紛れもない事実です。
それにそっと顔が俯くのを感じながらも、ここで言葉を区切る訳にはいきません。
これはまだ説明の入り口や基礎と呼ばれる部分であり、ここからさらに発展させていかなければいけないのですから。

小蒔「今は無意識的にそういうものを弾く訓練を受けているのですが…精神的に極端に弱るとああいうのに憑かれやすくなりまして…」
京太郎「今回もそうだったんですか?」
小蒔「ぅ…」

そう尋ねる須賀さんの顔には心配そうなものが浮かんでいました。
それも当然でしょう。
こんな言い方をされれば、誰だって今回もそうだったのではないかと思います。
それにまったく思い至らなかった自分の迂闊さに私は言葉を詰まらせてしまいました。

小蒔「はい…」
京太郎「何かあったんですか?俺で良ければ相談にのりますよ?」

ですが、それでもそうやって無言のままではいられない。
そう自分を叱咤した私の口から肯定の二文字が漏れました。
それに須賀さんが優しく、落ち着いた声音で聞いてくれるのです。


小蒔「(で、でもでも…な、何て言えば…!?)」

勿論、本当は須賀さんが帰るのが寂しくて、心に隙間を作ってしまったからです。
皆に迷惑を掛けたと、私と同じように仲間はずれにされていたのだと…そう感じたであろう須賀さんが辛くて…隙を見せてしまったのでした。
しかし、そんな事、本人の前で恥ずかしくて言う決心なんて中々出来ません。
かと言って、他の言い訳なんて思いつかない私は俯いた顔を赤く染め、視線を彷徨わせてしまいます。

京太郎「あ、いや、無理に言おうとしなくても…」
小蒔「だ、大丈夫です!…あ…」

そんな私に優しく言ってくれる須賀さんに私は反射的にそう返してしまいました。
それに自分で驚く声を漏らすものの、最早、後戻りは出来ません。
こう言ってしまった以上、やっぱりなしでと言われるのが一番、辛いですし、気になる事でしょう。
既に須賀さんに対して、酷い事を一杯してしまっている私にはそれを選ぶ事は出来ないのです。


小蒔「あ、あの…須賀さんが…帰るって…知って…ですね」
京太郎「え…?」
小蒔「だから…す、須賀さんが帰るなんて言うから…思わず…寂しく…悲しくなって…」

しかし、それでも、当時の私の心境をそのまま伝える事はどうしても出来ませんでした。
私が勝手に須賀さんにシンパシーを感じていただなんて…もし、そうじゃなかったら恥ずかしすぎるのです。
当時はソレしかあり得ないと思っていましたが、頭も幾分、冷えた今なら、ソレ以外の選択肢も見えてきているのですから。
それでもこうして驚いた顔をする須賀さんの前で思いを吐露するのは恥ずかしいものでした。

京太郎「…神代さんは甘えん坊なんですね」
小蒔「うーっ…」

からかうように言う須賀さんの言葉に私は逃げるように布団へと顔を埋めました。
ボスリと言う音と共に私の顔を受け止めてくれるそこには須賀さんの身体がありません。
下手に須賀さんの身体を刺激しないように心がけていたとは言え、それにちょっとした寂しさを感じてしまいます。

京太郎「でも…嬉しいですよ。有難うございます」
小蒔「須賀さんは意地悪です…」

最初からそう言ってくれれば、私だってこんな子どもみたいな真似をする事はありませんでした。
勿論、それが八つ当たりにしか過ぎないと私も理解していますが、やっぱり失態を見せてしまった以上、どうしてもそう思ってしまうのです。
そんな自分がこそばゆくて、でも、何処か嬉しくて…私は布団にグリグリと額を押し付けるように動いてしまいました。


小蒔「でも…どうしてあんな…迷惑だなんてメールを送ったんですか?」
京太郎「あー…」

そんな私の思考にふと浮かんだ疑問。
それは私にとって、どうしても確かめなければいけないものでした。
私も皆もきっと須賀さんの事を迷惑だなんて思っていないのです。
だって、霞ちゃん達に囲まれる須賀さんの姿はとても自然で、暖かなものなのですから。
こうやって五人でいる事が最初から当然であったようなそれを見て、誰も須賀さんの事を異物だとは思わないでしょう。
それなのに当事者である須賀さんが何を迷惑だと思ったのかは私には思いつきません。
しかし、それはきっと考えすぎであり、誤解なのです。
それを解消してあげなければ、と思って口にした疑問に須賀さんが困るような声を漏らしました。

京太郎「…ほら、俺、ちゃんと手伝いも出来てないですし」
小蒔「最近は朝早くから起きだして、初美ちゃんや巴ちゃんと一緒にお掃除してると聞きますけど…」
京太郎「む、無駄飯喰らいですし?」
小蒔「…霞ちゃんと一緒にお料理してる所は何度も見ましたし、霞ちゃんも褒めてましたよ?」
京太郎「と、特訓に皆を付きあわせていますし…」
小蒔「春ちゃんは須賀さんと一緒にいるだけで何時も嬉しそうです…」
京太郎「う…うぅ…」

一つ一つ丁寧に否定する私の前で須賀さんが呻くような声を紡ぎました。
…でも、本当はそうやって唸りたいのは私の方なのです。
こうやって皆と一緒にいる所を指摘する度に胸の中がチクチクして堪らないのですから。
まるで小さな針でイジメられているようなそれは不愉快という程ではありませんが、気に障るくらいの影響力はあったのでした。


京太郎「いや…まぁ……その…何て言うか…」

そして事此処に至っても言いづらそうにする須賀さんに私は確信を深めました。
本当に何でもない事だったなら社交辞令と言えば良いだけの話なのです。
それをこうして言いづらそうにしているのは何か理由があるからなのでしょう。
そして…皆の名前を出す度に、その目に迷いが浮かぶ姿を見れば…もう一つしかありません。

小蒔「…皆に…何か原因があるんですね?」
京太郎「あ…」

確かめるような私の言葉に須賀さんが小さく声を漏らしました。
そのままそっと視線を逸らす姿は、紛れも無い肯定の姿です。
子供っぽく見えるくらいに分かりやすいその姿に私はクスリと笑みを漏らしました。
けれど、その笑みは長くは続きません。
だって、その仕草はとても可愛らしく、ナデナデしてあげたくなるものの、その理由となった心の部分で須賀さんが深く傷ついているのが伝わってくるのですから。

京太郎「い、いや、ほら、俺ってば…やっぱり男じゃないですか。それなのに…皆、あんな風に仲良くしてくれて…」
京太郎「だから、皆、俺に対して気を遣ってくれているんだなって…そう思ってですね…」
小蒔「…須賀さん…」

私から目を背けながら言う須賀さんのその言葉に偽りはないのでしょう。
しかし…それだけでは迷惑だとメールに書き、中途半端なまま帰ろうとはしないはずです。
誰よりも自分の能力を恐れ、『警戒される事が嬉しい』とまで言った須賀さんにとって、能力制御は大きな課題なのですから。
故に…私に対して意図的に隠している部分がある。
それはきっと… ——


小蒔「…皆が…私から遠ざける為に…演技しているだけだって…そう思ったんですね?」
京太郎「っ…」

その部分へと切り込んだ私の言葉に須賀さんが表情を固くしました。
ぐっと強張ったそれは私の指摘が紛れもない事実であった事を教えてくれます。
やっぱり…須賀さんは最初、私が思っていた通り…皆の姿に追い詰められていたのでしょう。
明らかに不自然で…何か理由があるだろうその姿に…ずっと一人で思い悩んでいたのです。

京太郎「…すみません…」
小蒔「なんで…謝るんですか…」

須賀さんが謝る必要なんて何処にもありません。
寧ろ、謝らなければいけないのは私の方なのです。
私がもっと霞ちゃんたちに強く出る事が出来ていれば、須賀さんがこんな風に思うことはなかったでしょう。
今みたいに…夜中に部屋へと足を向ければ、もっと違う結末があったはずです。
しかし…それはあくまでも…『もしも』の話。
私はそれをしませんでしたし…出来ませんでした。

京太郎「いやぁ…この程度でガタつくとか情けないですし…」

しかし、須賀さんはそんな私や霞ちゃんたちを責めはしません。
寧ろ、申し訳なさそうに目を伏せて、視線を逸らすのです。
それに私の胸の痛みは強くなりました。
そして、その痛みに突き動かされるようにして、私の手はそっと須賀さんの額へと伸びたのです。


小蒔「…誰だってそうなります」

そう慰めるように言った言葉は私の本心でした。
だって…誰だって、自分に親しくしてくれている人たちが演技しているだけだと思えば辛いでしょう。
ましてや、それが誰かから遠ざけるために『仕方なく』やっている事だと思えば、尚更です。
その疎外感と申し訳無さに須賀さんが押しつぶされそうになっているのは至極、当然の事。
そう思うのは…私が普段から皆に対して『壁』を感じているからだけではないはずです。

小蒔「それに…そんな事はないですよ」
京太郎「え…?」
小蒔「皆…須賀さんの事が大好きです。それは私が保証しますから」

確かに…最初、皆が須賀さんの周りにいるようになった理由には私から遠ざけようとする意図があったかもしれません。
しかし、こうして共同生活が進む内にそれだけでないのは簡単に見て取れました。
皆、須賀さんの傍にいる時にも自然体で、とても安らいでいるのですから。
私が疎外感を感じるほどのそれは、内心、嫌っていては到底、作り出せない表情でしょう。

小蒔「だから、そんな風に自分を責めないで下さい。…そうされると…皆、辛いです」

そして、それはこの一件に関しては部外者である私に分かるほどはっきりとしているのです。
当事者である皆にとっても、それは自覚出来ているものでしょう。
だからこそ…あの時、メールを見た霞ちゃんはあんなにも露骨に表情を変えたのです。
霞ちゃんもまた…須賀さんに対して申し訳なく思っているが故に…好ましく思っているが故に…あれほど複雑な表情を見せたのでしょう。


京太郎「神代さん…」
小蒔「…小蒔で良いですよ。…お友達でしょう?」

そうやって悪戯っぽく言うのは恥ずかしい事でした。
もしかして自意識過剰過ぎて嫌われるのではないかという思考も過ぎり、気を緩めればあたふたとしてしまいそうになります。
しかし、それでも今の傷ついた須賀さんを一人にはしておけません。
ずっとずっと…仲間外れにされてきて…傷ついた須賀さんに必要なのは…壁なく心が触れ合える『お友達』なのですから。

小蒔「(それに…それは…私も同じで…)」カァァ

私は須賀さんほど深く傷ついている訳ではありません。
しかし、本当の意味でそうやって接する事が出来る『お友達』は一人もいなかったのです。
本当はずっとずっと欲しくて…諦めきれなかったそれに羞恥とは違う感情が胸の中へと混ざるのを感じました。
トクンと胸の奥を打ち、優しく温めてくれるそれはきっと喜びなのでしょう。
こうして…自分から須賀さんの手を取り、『お友達』になる事が出来た事への。


京太郎「あー…小蒔さん?」
小蒔「呼び捨てで良いですよ」
京太郎「いや、流石に年上を呼び捨てってのはどうかと思いますよ」
小蒔「…敬語もダメですー」プクー
京太郎「え、えぇぇ…」

けれど、須賀さんはそんな私にまだ堅苦しい感じを残していました。
あの夜、あんなにも親しげに話しかけてくれた人と同一人物とは思えないそれに私の頬が拗ねるように膨らみます。
自分でも少し子どもっぽいと思うものの、折角、こうしてお友達になれたのですから、そう言ったものが入り込む余地がないようにしたい。
そう願うのは多分、当然の事でしょう。

京太郎「じゃあ、小蒔さんも…」
小蒔「小蒔です」
京太郎「…じゃあ、小蒔も呼び捨てにしてくれよ」
小蒔「そ、それは駄目ですっ」
京太郎「な、何で?」

かと言って、私が敬語を崩したりする訳にはいきません。
だ、だって…そんな…女の人から呼び捨てだなんて…は、はしたないにもほどがあります。
ま、まるで…こ、恋人みたいな…そ、それはまだ早いっていうか…決心がつかないというか ——


小蒔「い、いいいい嫌じゃないんですよ!?」
京太郎「わ、分かった。分かったから落ち着いてくれ」

思わずヒートアップする私を須賀さんがそっと宥めてくれました。
そのままチラリと須賀さんが視線を向けた先には静かに寝息を立てる春ちゃんの姿があります。
いつの間にか寝返りを打っていたのでその顔を確認する事は出来ませんが、どうやら起こした訳ではなさそうでした。
それに一つ安堵の溜息を吐きながら、私は大きく呼吸をして、心を落ち着かせます。

小蒔「と、とにかくですね…。そう言うのはもうちょっと段階を踏んでから…」
京太郎「例えばどんな段階を踏めば良いんだ?」
小蒔「そ、それは…」

ふと尋ねてくる須賀さんに私は言葉を詰まらせました。
自分で言っておいて何ですが、具体的なアレコレなんてまったく考えてなかったのです。
しかし、自分で言ってしまった以上、それを有耶無耶にし続ける訳にはいかないでしょう。
そう思って思考を紡ぐ私の胸が羞恥の色で埋め尽くされて行きました。

小蒔「手、手を握ったり…み、見つめ合ったりとか…その…い、一緒にいて…ポカポカしたりとか…その…い、色々です」

だって、それは私がその…愛しあう殿方とやってみたいと思っている事なのですから。
少女漫画などを見て、内心、夢見てきた…色とりどりの甘い想像。
それを須賀さんに言うのはやっぱり恥ずかしいものでした。
馬鹿にするような人ではないという事は分かっていますが…願望混じりのそれは内心、秘めておきたい事だったのです。


京太郎「…なぁ、俺、その全部やってるっぽいんだけど…」
小蒔「え…?あ…」カァァ

しかし、それに対する須賀さんの反応は私が思っていたものとは大きくかけ離れたものでした。
ポツリと確かめるように漏らすようなそれに私はこれまで須賀さんとやってきた事が脳裏に浮かびます。
確かに…手を握る事も…見つめ合う事も…ポカポカする事も…全て初日に済ましている事でした。
いえ、それどころか…抱きついたり…もっとはしたない事もやってしまっているのです。

京太郎「じゃあ、小蒔も呼び捨てだな」
小蒔「う…うぅ…」

ニヤリと追い詰めるように笑う須賀さんの表情を見て、私もようやくからかわれているという事に気づきました。
しかし、かと言って、須賀さんに対して、有効な反撃方法など鈍った思考で見つける事は出来ません。
実際、私が作ったハードルを須賀さんはとっくの昔に乗り越えているのですから。
ここで呼び捨てにしなければ…さっきのそれが嘘になってしまいます。
それになにか思うような人ではないと分かっているものの、ようやく出来たお友達に例え冗談でも嘘を吐きたくありません。
だからこそ、私は、恐る恐ると口を動かし、喉を震わせるようにして、それを言葉にするのです。。

小蒔「き、京太郎…?」

そう呼びかけた瞬間、私の背筋にゾクリとしたものが走り、胸の奥が震えます。
ジィンと感動に揺れるようなそれは…とても甘くドロリとしていたものでした。
まるでじっくり煮込んだシチューのようなそれは私の身体へとジワジワと広がっていきます。
その感覚は私の今までの人生で一度も感じたことのないものでした。
しかし、身体はその感覚がもっと欲しくて…私が何か思うよりも先に唇を動かしてしまいます。


小蒔「京太郎…京太郎…京太郎…っ♥」

そうやって呼べば呼ぶほど、私の中で甘いものが湧き上がり、四肢へと広がって行きました。
心だけでなく、身体までもトロンとさせるその甘さに私の身体からふっと力が抜けていくのを感じます。
そのままドサリと須賀さん…いいえ、京太郎の方へと倒れ込みたくなるような…その心地良さ。
それに何度目か分からない呼びかけをしようとした瞬間、私はふと我に返りました。

小蒔「……忘れて下さい」マッカ

そのままボスンと京太郎…じゃ、なくて…須賀さんの布団に顔を埋めながら、私は小さく言いました。
勿論、そう言ったところで須賀さんが忘れてくれるはずがありません。
ですが、さっきの自分とは思えないほどの痴態に打ちのめされている私にはソレ以外に言う言葉がありませんでした。

京太郎「え…いや、でも…」
小蒔「あ、アレは…ダメです…ダメじゃないんですけど…ダメになるっていうか…ともかくダメなんです…」

とは言え、ああやって呼び捨てにするのが嫌だったかと言えば、決してそうではありません。
寧ろ、何度も言っているようにそれはとても甘く、心地良いものなのですから。
しかし、それが私にとって悪影響を及ぼさないかと言えば、決してそうではないのです。
ああやって呼べば呼ぶほどに私が私じゃなくなっていき…何か気づいちゃいけないものにまで気づいてしまいそうな感覚。
それが怖くなった私にとって、それは当分、封印しておきたい呼び方でした。


京太郎「…じゃあ、せめて下の名前で呼んでくれないか?」
小蒔「す、須賀さんじゃ…ダメですか?」
京太郎「んー…それでも良いといえば良いんだけど…少し一方通行感があるし…何より…」

そこで言葉を区切った須賀さんの布団からそっと顔をあげた私を、彼はじっと見つめました。
まっすぐに私の顔を見るそれは引き締まっていて、何処かキリリとしています。
ボコボコに腫れ上がった顔にこんな事を言うのもおかしな話かもしれませんが…それは私にとって格好良く見えてしまうのでした。

京太郎「小蒔には下の名前で呼んで欲しいな」
小蒔「あう…ぅぅぅ…」マッカ

そうやって恥ずかしいセリフを口にする須賀さんが私をからかっている事くらい気づいていました。
今までの傾向から考えても、そうやって顔を引き締めた時には大抵、私をからかっている時なのですから。
しかし、それでも一見、真剣そうに見える眼差しが私をドキドキさせて仕方ありません。
もっとこの人に見つめられたいと思うその独特の興奮に私はほぅ♪と一つ息を吐いてから、ゆっくりと唇を開きます。

小蒔「…『京太郎君』は意地悪です…」
京太郎「そんなつもりはないんだけど、何故か良く言われている気がする」

私の言葉に白々しく、そして勝ち誇ったように言いながら、京太郎君はそっと目を閉じました。
その瞬間、微かに口の端を歪めたのは恐らく苦痛の色でしょう。
さっきよりも幾分、強くなっているそれは、もしかしたら本格的に痛み止めが切れてきた所為なのかもしれません。
そう思うと何時までも雑談をしている自分が申し訳無くなって来ました。


小蒔「だ、大丈夫ですか?」
京太郎「大丈夫。この程度でどうにかなるような軟な鍛え方はしてないって」

京太郎君はそう言ってくれるものの、その身体の傷は鍛えたからと言ってどうにかなるものではありません。
そんな傷を京太郎君につけてしまった申し訳なさから、私は周囲を見渡すものの、痛み止めらしきものは見当たりませんでした。
恐らくその所在を知っているのは春ちゃんですが、流石にこんな夜中に起こしてあげる訳にはいきません。

小蒔「ごめんなさい…」

そんな自分の情けなさに押しつぶされるようにして、私はそっと謝罪の言葉を口にしました。
もう何度目か分からないそれに内心、嫌になりますが、私は苦しむ京太郎君に対してそうやって謝る事しか出来ないのです。
それにジワリと目尻が潤み、私からまた涙が出そうになった瞬間、京太郎君がそっと口を開きました。

京太郎「…それじゃ、明日から俺の世話を頼めるか?」
小蒔「…え…?」
京太郎「まだ当分、マトモに動けそうにないしさ。出来そうな時だけで構わないんだけど」

そうやって付け加える京太郎君の意図は…すぐさま分かりました。
だって、そんなの…一々、言わなくても当然の事なのです。
私は最初からそうするつもりでしたし、そうしなければいけないとも思っていたのですから。
それをこうやって京太郎君の方から申し出てくれる理由なんて…私には一つしか思いつきません。


小蒔「…京太郎君は優しいです…」
京太郎「意地悪なんじゃなかったのか?」
小蒔「意地悪だけど…それと同じくらい優しいんです…」

不器用で分かりやすいその優しさにいつの間にか私の涙は引っ込み、クスリと笑みが漏れていました。
それが京太郎君の狙いだと理解していても、上向く気持ちを抑える事は出来ません。
だって…京太郎君がわざわざそうやって分かりきった事を確認したのは私の自責を抑える為なのですから。
コレ以上、私が自分を責めなくても済むように、代替行為を提示してくれたお陰で、気持ちが大分、楽になってくれたのです。

京太郎「じゃあ、その優しい俺からの忠告だけど…そろそろ部屋に戻った方が良いと思うぞ」
小蒔「でも…」

勿論、こうやって雑談する事が京太郎君にとって苦痛かもしれないとは思っていました。
しかし、それならそれでお互いに無言でいれば良いだけの話です。
京太郎君となら…私は全然、苦になりませんし、それに春ちゃんが眠っている今、看病をする人間は私しかいません。
それを知っているのに、一人部屋に戻って安らかに眠る事なんて出来ないでしょう。
気を失っていたお陰で眠気もありませんし…もう少し京太郎君の傍に居たいのが本音でした。


京太郎「でも、じゃないさ。このままじゃ寒いだろ?」
小蒔「う…」

確かに布団に入っている京太郎君はともかく、こうして外で座っている私にとって今の外気は肌寒いものでした。
冬も間近で屋敷の位置も高く、夜も更けているとなれば、当然でしょう。
しかし、それでも私は京太郎君の傍を離れたくありません。
それくらい我慢出来るからお傍に置いて欲しい。
どうしてもそう思ってしまうのでした。

京太郎「小蒔の体調まで崩れたら俺は一体、誰に世話をしてもらえば良いんだ?」
小蒔「ぅー…」

とは言え、京太郎君の言う言葉に思う所があるのは事実です。
確かにこうやって無茶をした結果、私の体調を崩してしまったら、元も子もありません。
それよりも早く部屋に戻って暖かくして寝るべきだと言うのは私にも分かっているのです。
しかし、それでも何か一緒にいられる方法はないかと周囲を探る私に春ちゃんの布団が飛び込んできたのでした。


小蒔「…あ、そうだ。もう一組、お布団がありましたし…それを横に敷きましょう」
京太郎「え…?」

唐突に思い付いたそれは私にとって、とても名案に思えました。
丁度、京太郎君の隣はもう片方、空いていますし、布団を敷くスペースがあるのです。
そちらで寝転びながら、京太郎君の看病をすれば、何も問題はありません。
幸いにしてこの客間には布団が三組備えてありますから、他の部屋に行く必要もないのです。

京太郎「い、いや…流石にそれは色々と拙くないか?」
小蒔「え…?何がダメなんです?」

流石に同衾ともなれば、私も拙いとは思います。
しかし、布団を並べる程度であれば、何も問題は起こらないでしょう。
ましてや、京太郎君は病人であり、身体を起こす事さえ出来ないような状態です。
そんな京太郎君の口元に水差しを運んだり、汗を拭いたりする人手は必要でしょう。

小蒔「それに…春ちゃんはもうしてるじゃないですか」ムスー
京太郎「それは仕方ないからで…」
小蒔「私も仕方ないんです。緊急避難なんですから」

それとはまったく関係ありませんが…春ちゃんは京太郎君の隣で今も眠っているのです。
それを思えば…私だけダメだと言われるのはとても不公平な気がしました。
ましてや…私は京太郎君にとって加害者であり、お友達なのです。
そのどちらでもない春ちゃんだけが傍に居るというのは、あまり面白くありません。
そう思いながら、私はそっと立ち上がり、布団を襖の向こうから取り出しました。


小蒔「よいしょっと」
京太郎「あー…手伝えなくてごめんな…」
小蒔「もう…それは私のセリフですよ」

それをいそいそと京太郎君の隣へと敷く私の耳に謝罪する彼の言葉が届きました。
意外と男らしい京太郎君はこういった力仕事を目の前で女性にさせている事に心苦しく思っているのでしょう。
しかし、基本、六人でこうして暮らしている私達にとって、ある程度の力仕事はどうしてもやらなければいけない事なのです。
少なくとも、そうやって気遣ってもらわなければいけないほど、私も軟ではありません。
ましてや…そんなになるまで京太郎君を痛めつけたのが自分だと思えば、謝るべきは私の方でしょう。

小蒔「えへ…♪」
京太郎「はは」

そうやって会話をしている間に、布団の一式は京太郎君の隣で完成していました。
その中にいそいそと足を差し込む感触は冷たく、私の肌がブルリと震えます。
しかし、それは最初だけであり、すぐにぬくぬくとした感触が強くなっていき、私の身体を暖めてくれるのです。
それに思わず笑みが溢れる私の前で京太郎君が小さく笑いました。


小蒔「わ、笑わないで下さい…」
京太郎「いや、今のは無理だろ。可愛すぎて無理」
小蒔「うぅぅ…」

サラリと人の事を可愛いと言う京太郎君の前で私はそっと掛け布団を引っ張りました。
その頬は羞恥に染まり、火照りを得ているのが分かります。
しかし…それだけではないと思うのは、私の胸が妙にドキドキとしているからでしょう。
ただ恥ずかしがっているだけじゃなく…私が今…嬉しがっているのです。

小蒔「…お布団、暖かいんですもん…」
京太郎「分かってる。仕方のない事だったんだな」
小蒔「…そうです。仕方がなかったんです」

そんな私の言い訳じみた言葉に京太郎君が頷いてくれました。
それに繰り返すように告げながら、私は布団の中でそっと呼吸を繰り返します。
一度二度と繰り返したそれに少しずつ羞恥心も落ち着き始め、私はひょっこりと布団から顔を出しました。


小蒔「あ…」
京太郎「ん…?」

瞬間、私を見ていた京太郎君と視線が合ってしまいました。
それに驚いたような声をあげる私に、京太郎君の方から気遣うような声が漏れます。
しかし、私はそれにすぐさま応える事が出来ませんでした。
ただただ…じっと京太郎君の顔を見つめて…引き込まれて行くのです。

小蒔「(こうしていると…まるで夫婦みたい…)

言葉少なく意思を交わしながら、並べた布団の間で見つめ合う男女。
その姿は…お友達と言うよりも夫婦に近いものでしょう。
そう思うと胸の奥が微かに疼き、くすぐったさが湧き上がって来ました。
けれど、そのくすぐったさが嫌ではないのは…私と京太郎君の間に穏やかな時間が流れているからでしょう。
そんなくすぐったさが気にならないくらい、私は京太郎君に… ——

京太郎「どうした?俺の顔に見惚れてるのか?」
小蒔「ふふ…そうかもしれませんね…♥」
京太郎「え…」

そこまで考えた瞬間、告げられた言葉に私は思考を打ち切りながら、そう答えました。
確かに…今の京太郎君の顔は腫れ上がった悲惨な状況です。
しかし、それは私を、そして皆を護ろうとしてくれた名誉の負傷なのですから。
それをつけてしまった私にとっては罪の象徴でもありますが…それでも格好良いと思うのは事実です。


小蒔「京太郎君は格好良いですよ…♪」
京太郎「や、止めてくれ。すげぇくすぐったい…」

それを改めて告げた私の言葉を冗談か何かだと思ったのでしょう。
京太郎君は布団の中でもぞもぞと動きながら、居心地悪そうにしました。
しかし、そんな姿も何処か様になっている…なんて風に思うのはお友達の欲目が過ぎる話でしょうか。

小蒔「(でも…仕方ないですよね)」

私にとって京太郎君は初めて出来たお友達と言うだけじゃなく、私を助けてくれたヒーローでもあるのです。
誰にも渡したくない…大事な大事な宝物であると同時に、悲しんでいる私の手を掴み、決して離さなかった最高の殿方なのですから。
そんな人が見せるあらゆる仕草に引きこまれ、私の胸は容易く反応してしまう。
それすらも嬉しく思える私にとって、京太郎君が格好いいと思うのは当然のことであり、仕方のない事だったのでした。

京太郎「それより…折角だからもう少し色々と話しようぜ。俺もまだ眠れそうにないし」
小蒔「はい…お付き合いしますね♪」

誤魔化すように言う京太郎君に私は笑みを漏らしながら、頷きました。
私も…色々と京太郎君に対して聞きたい事が一杯あるのです。
今にも私の胸から飛び出してしまいそうなそれを語っていれば、時間はすぐさま過ぎてしまうでしょう。
けれど…それを恐れる必要はありません。
京太郎君は私のお友達であり、まだ当分、ここから離れる予定はないのですから。
二人で絆を深め合う時間は沢山ある。
それに一つ笑みを深めながら、私は京太郎君と誰にも言えない夜の会話を続けたのでした。

終わり。
姫様が落ちるの早く見えるかもしれないけど、
姫様はチョロイン
吊り橋効果
お友達ブースト
と堕ちない方がおかしいレベルで噛み合ってるから(震え声)
後、メインヒロインの中で一番、積極的なのも実は姫様です。

はるるの逆襲?
そんなものありえませんよ。
ファンタジーやメルヘンじゃないんですから。

<小ネタ:その後の霞さん>

霞「小蒔ちゃーん?」オロオロ

春「…どうしたの?」

霞「あ…春ちゃん…姫様見なかった?」

霞「起きてこないから部屋に見に行ったんだけど返事もないし、誰もいないみたいで…」

春「姫様なら…寝てる」

春「京太郎君の部屋で…寝てる…」グスッ

霞「え…?」

………

……



小蒔「はい。京太郎君、あーんしてください?」

京太郎「いや…あの…小蒔?」

小蒔「なんです?」

京太郎「そ、そこまでしなくてもいいかなぁって」

小蒔「でも、あーんしないと京太郎くんも食べづらいですよね?」

京太郎「そりゃ…まぁ…まだ腕も腫れ上がってるしさ」

小蒔「だから、こうして私が食べさせてあげないとダメなんです」

小蒔「それに今日は病院に行ってレントゲンとか取ってもらわないといけないんですから」

小蒔「しっかり食べないとダメですよ」アーン

京太郎「あ、あーん」

小蒔「どうですか?」

京太郎「お、美味しいよ」

小蒔「良かったです…っ♪」ニコッ

霞「……」

小蒔「じゃあ、次もはい、あーん♪」スッ

京太郎「あーん…」

霞「あの…姫様?」

小蒔「え?何ですか?」

霞「いつの間にその…下の名前で呼ぶような仲になったの?」

小蒔「それは…」チラッ

京太郎「?」

小蒔「…秘密です♪」

霞「え?」

小蒔「私と京太郎君だけの…大事な大事な秘密なんで霞ちゃんにも教えられません」

霞「」クラッ

………

……



小蒔「ほら、逃げちゃダメですってば」

京太郎「いや、でも…」

小蒔「熱出てるんだからちゃんと汗は拭いておかないと悪い病気になっちゃいますよ」

京太郎「だ、だからって何も小蒔がしなくても良いんじゃないか?」

小蒔「…他の人はダメです」

小蒔「京太郎君のお世話は私だけのお仕事なんですから」ムスー

小蒔「それとも…私じゃ嫌…ですか?」シュン

京太郎「あー…」

京太郎「小蒔ってそういう所すっげぇ卑怯だよな…」

小蒔「え?」

京太郎「何でもない。じゃあ…頼む」

京太郎「だけど…譲れないラインは引かせてもらうからな」

小蒔「えへへ…♪それで十分です…っ」

霞「(…あれ?これ盛大に裏目に出ちゃった…?)」

霞「(もう完全に…小蒔ちゃんの目は恋する乙女のそれじゃない…)」

霞「(これから下手に引き離そうとすると…また昨日と同じ事になりそう…)」

霞「(ううん…今度はアレより危ないのが降ってきちゃう可能性もあるくらい…)」

霞「…はぁ、ご当主様になんて説明しようかしら…」

よし。一仕事終えたから小ネタ書いてくるわ。
本当は今回でエロシーン入れるはずだったけど、ちょっと入れたいネタ出来たので延長。
次の投下でエロシーンの導入にいけると思うよ!!

哩「ふぅ…ぅ…っ♥♥」

最初に哩が感じたのは溶けるような熱だった。
ドロドロと内側から哩の肉を溶けさせるようなそれに彼女の口から吐息が漏れる。
けれど、それは苦悶混じりのそれではない。
寧ろ、甘い媚のようなものが混ざったものであった。

哩「(じぇんじぇん…痛くなか…ぁ♪♪)」

次に哩の肉へと伝わってくるのは絶望的なまでの圧迫感。
自分の肉を引き裂くようにして入ってくるオスの塊の硬さは信じられないほどだった。
しかし、それが哩にとってはまったく痛くない。
京太郎とのキスによって、緊張を失った彼女の身体は溢れ出た淫蜜と共に京太郎の男根を受け入れていた。

哩「ふゅ…んんっ♥♥」

あるべき破瓜の痛みはなく、ただ自分の中で他者の熱を感じる感覚。
それは飛び上がるほどの快楽ではないが、かと言って不快なものでもなかった。
こうして自分の中に入っているのが京太郎だと思えば、まったくそんな気持ちにはならない。
寧ろ、胸の奥でドロドロとした熱が持ち上がり、哩の意識を炙るように感じるのだ。

京太郎「…痛くないか?」
哩「問題…なかぁ…♪♪」

そんな哩に優しく問いかける京太郎に、彼女は甘い声で返事をした。
その間もじっくりと京太郎の腰は進み、哩の中を抉っていく。
一歩一歩確かめるように前へと進み、出来るだけ彼女が慣れやすいように気遣ったそれに哩はクスリと笑みを漏らした。

哩「やけん…えらい激しくして…良かよ…♪」
京太郎「いや…それはまずいだろ」

哩の言葉に京太郎が素っ気なく返すのは、彼女の事を心配しているからだ。
一見、無事そうに見えるが、今の哩はアドレナリンによって苦痛を無視しているに過ぎない。
姫子との時はそれで無茶をして、数日、苦しい思いをさせてしまったのだ。
それを思えば、ここで調子に乗って激しくする訳にもいかない。

哩「だけん…こんままじゃ気持ち良くなかちゃね…?」
京太郎「心配しなくても、十分、気持ち良いって」

哩の言葉にそう応えるのも嘘ではない。
実際、彼女の中はほぐれていると言っても、キツキツで肉棒を締め付けているのだから。
誰も触れたことのない処女地を蹂躙する感覚は、お互いの弱点を熟知した姫子とはまた違った快感を京太郎へと教える。
流石にすぐさま射精するほどではなくても、決して男根が萎えるようなものではない。
それを優しく哩へと伝えた瞬間、彼女の奥に肉棒の先端が触れた。

哩「はぁ…ぁぁっ♥♥」

瞬間、哩の身体の中にビリリとした快感が走りぬけ、肩が震える。
今まで感じたどんなものよりも鮮烈で身近なそれに哩の子宮が喜んで甘い汁を漏らした。
男根にねっとりと絡みつくそれを鈴口で子宮口へと刷り込むように京太郎は腰を揺らす。

京太郎「哩は気持ち良いか?」
哩「わ、分がっちょる癖に…ぃぃ♥」

グリグリと亀頭で子宮口を擦られる度に哩の中で快感が沸き起こり、その細い身体を震わせる。
ビクンビククンと断続的なそれは完全に亀頭の動きと連動していた。
まるでリザベーションでつながっている時の姫子のようなそれに、京太郎の口に笑みの色が浮かぶ。

京太郎「分からないから聞いてるんだって」
哩「ひぅぅぅうんっ♪♪」

瞬間、京太郎の腰がぐっと沈み、肉棒へと角度をつけた。
下から上へと押し上げるようなそれに子宮口がぐいっと押し上げられ、お腹に圧迫感が突き刺さる。
哩のこれまでの常識とはあり得ないその感覚に、しかし、彼女の口は困惑を漏らさない。
代わりに出るのはメスの悦びが混じった甘い鳴き声なのだ。

京太郎「ほら、俺に教えてくれよ。哩が初めてでも感じるような淫乱だったのか、それともそうでないのかを…さ」
哩「う、うぅぅ…っ♥♥」

そのままグリグリと押し上げる京太郎の言葉に哩は呻くような声を漏らした。
勿論、彼女にとってその答えは前者以外の何物でもないが、かと言って、淫乱と言われると認めがたいものがある。
さっき自分から誘ったとは言え、それでもう哩の中の勇気は使い果たされてしまったのだ。
さっきのような事を求められても、恥ずかしくて応える事が出来ないと、哩は顔を羞恥に染める。

京太郎「反応がないな。哩はそんなに辛いのか…。じゃあ、抜いた方が良いかな」
哩「ち、違うぅぅっ♪♪♪」

しかし、それでも抜くとまで言われると哩の口から声が飛び出る。
何せ、彼女にとって、それは身体がつい反応してしまうくらい、気持ち良いものだったのだから。
流石に感度が未発達な所為で、姫子から伝わってきたそれよりも強くはないが、それでも鮮烈なそれは手放したくない。
少なくとも処女である哩がそう思うくらいに、京太郎の男根は気持ちの良いものだった。

京太郎「どうしたんだ?哩がそんなに辛いなら俺は姫子に処理を手伝ってもらおうと思ったんだけど」

その言葉は白々しいにもほどがあるものだろう。
何せ、本人にそのつもりはまったくなく、そしてそれを聞く哩にもそれが分かっているのだから。
あくまでそれは彼女を追い詰めるだけのブラフにすぎない。
しかし、それでも哩の肩はブルリと震え、失う恐怖を覚えてしまう。
既に一度、満足して、今も痙攣を走らせる姫子に奪われると言う…何ともいえない恐ろしさ。
それに思考が真っ白になるのを感じる哩の口が京太郎の前でそっと開かれていく。

哩「き、気持ちよか…です…っ♥京太郎君んオチンポ…気持ちよかぁ…♪」
京太郎「どんな風に気持ち良いんだ?」
哩「お、奥突かれるとドロドロになっち…ぃ♥身体ビクビクしちゃう…ぅ♪♪」
京太郎「他には?」

しかし、そんな哩の言葉に京太郎は先を促す。
勿論、まだ快感も未発達で性的語彙も少ない彼女に何かが言えるとは彼も思ってはいない。
それでもそうやって促したのは、哩を少しでも辱め、上下関係を教えこむ為だ。
自分ではどうあっても、京太郎には敵わないと思わせ、顔を見るだけで淫欲を燃え上がらせるような雌奴隷。
それが最愛の恋人である姫子のリクエストであり、京太郎にとっても理想の哩の姿なのだから。

哩「あぁぁ…意地悪…ぅ♥♥」
哩「優しくするって言うたのに…ぃ…♪♪」
京太郎「おいおい、俺は優しいだろ?ちゃんと哩の意思を尊重してやってるんだから」

そんな京太郎を罵るような言葉は欲情が強く混ざっているものだった。
媚びるような色も少なくなるどころか、強くなっており、哩が今の状況を嫌がっていない事を京太郎へと教える。
だからこそ、彼は強気にそう言い、そして、ぐっと哩の腰を掴み直す決意が出来たのだった。

哩「んふぁ…あぁぁっ♪♪」
京太郎「まぁ…初めてだからな。サービスしてやるよ」

そう言って、京太郎の腰は哩の中を掻き出すように動き出した。
ジュルジュルと音を立てながらのそれは姫子の時とは比べ物にならない遅さである。
流石に挿入時よりも早いとは言え、まだまだ手加減されている感が強い。

哩「(嘘…ぉ…っ♪さっきとじぇんじぇん…違うとる…ぅっ♥♥)」

だが、それでも堪らなく気持ち良い。
そう思うのは挿入時よりも哩の肉襞が京太郎の男根に慣れたからなのだろう。
引っ掻くようなその強い刺激はそのまま快感へと代わり、哩の四肢へと流れ出した。
子宮口の部分を擦られるのとはまた違った快感に哩の心は溺れ始め、飲み込まれていく。

哩「はう…ぅぅっ♥♥」

そして、それが今度は挿入へと転じ、哩の中を突き進む。
さっきは熱いだけだったそれが今は確かな快感となり、哩の思考を揺らしていた。
しかし、今の哩はそれを厭う事はない。
寧ろ、処女でありながらも、順調に快楽を覚え始める自分に誇らしささえ覚えていたのである。

哩「(しかも…これぇ…♪どんどん…強くなっちるぅ…♥)」

ジュルンと肉棒が哩の中を掘り進み、再び子宮口を突かれる度に、彼女の感度は上がっていく。
一突きごとに男根へと慣れ親しみ、淫らになっていくような自分の身体に哩の奥は甘い汁を漏らした。
最早、幾度となく肉棒へと絡みついたそれに京太郎の腰も少しずつ早くなっていく。
それに彼の興奮を感じた瞬間、哩の子宮がきゅっと収縮し、そこに熱を閉じ込め始める。

哩「(あぁ…っ♪♪来る…ぅ♥イくのが…来ちゃうぅ…♥♥)」

初めて膣内で感じる絶頂への予兆。
姫子から伝わってきたそれではなく、自分の身体で味わうそれに哩の身体がさらに熱くなっていく。
内側からぼっと興奮で燃えてしまいそうなそれは、京太郎のモノに勝るとも劣らないものになっていた。
しかし、哩の肉穴はそれだけでは満足できないとばかりにきゅっと魔羅を締め付け、快楽を強請る。

哩「っくぅぅぅ…うううぅぅんっ♪♪♪」

瞬間、ブワリと広がった淫らな熱波に哩の全身が蕩けていく。
筋肉も、骨も。神経も…何もかも飲み込み、溶かそうとするような力強い快楽。
姫子のそれとはまた異なるオルガズムに哩は全身で悦び、痙攣を走らせる。

哩「ひあぁぁっ♪んっひぅ…ぅぅぅっ♥♥」

しかし、そんな哩の中を京太郎は休まずに腰を動かす。
最早、子宮から流れっぱなしになった愛液をジュプジュプと掻き出すようにして、犯し続けているのだ。
絶頂の最中にあっても、躊躇なく注ぎ込まれ続ける快楽に哩の口から悲鳴のような声が漏れる。
だが、京太郎はぐっと掴んだ哩の腰を手放す気配も見せず、ただただ、冷たい視線を彼女へと送り続けた。

哩「(嘘…ぉ…♪また…イく…っ♥見られて…イくぅぅう…♪♪)」

絶対的捕食者からの冷たい視線。
それに永遠に逆らう事の出来ない未来を感じ取った哩の身体に再び絶頂の予兆が襲いかかった。
しかし、今の哩はまださっきのオルガズムが引いてはおらず、神経も敏感になっている。
そんな状態で達する事は、自然、さっきよりも強いアクメを叩きつけられる意味しており… ——

哩「あ゛あぁぁぁああっ♥♥」

膣内で味わう二度目の絶頂に哩の喉が震える。
一度目でさえ、全身が溶けてしまいそうなほど気持ち良かったものにさらに輪を掛けたオルガズム。
ソレは最早、哩がこれまでの自慰で得てきたものが馬鹿らしくなるくらいに大きなものだった。
リザベーション越しに伝わってきていたとは言え、本当に姫子はこんなものを毎日耐えていたのか。
そんな驚愕すら湧き出る哩に、京太郎が容赦をするはずがなかった。

哩「やめ…へええぇぇぇっ♪♪イッてりゅっ♪もうイっへるからああっ♥♥」

二度目の絶頂もまるで考慮に値しないと言うように京太郎がガンガンと腰を打ち付けてくる。
もうそれだけで頭がクラクラしてしまいそうなくらい哩は高ぶっているのだ。
それなのにコレ以上、犯されたら本当にどうかしかねない。
せめて休憩だけは欲しいとそう伝えようとする哩の前で京太郎がニッコリと笑みを浮かべた。

京太郎「何言ってるんだよ。一度や二度イッたくらいで休憩なんかするわけないだろ」
哩「そ、しょん…にゃあ…♥♥」

一見、優しくも思える笑みから飛び出したとは思えない冷たい言葉。
それに哩が背筋を震わせた瞬間、彼女が次の絶頂を感じ取る。
まるで快楽のタガが外れてしまったかのような身体の反応に哩は原始的な恐怖を覚えた。

哩「こ、このままじゃ…壊れるぅ…♪こあれりゅ…からぁ…っ♪♪」
京太郎「はは…哩は泣き虫だな」

そう必死で告げる哩の目尻からポロリと涙が滲み出ていた。
自分がおかしくなってしまう恐怖はそれだけ大きく哩の心の中を揺さぶっていたのである。
それに京太郎が笑いながらも腰を止め、そっと哩の目尻を拭ってくれた。
さっき冷たい言葉をくれた人とは思えないそれに哩の胸もときめき、恐怖が慰撫されるのを感じる。

京太郎「でも、大丈夫だ。心配しなくても良い」
哩「きょうたろ…ぉ…♪」
京太郎「姫子も最初そう言ってたけど、壊れた今は幸せそうだからな」
哩「や…あああぁぁぁっ♥♥」

しかし、それは優しさではなく、緩急つけた責めだった。
それを哩が理解した頃には三度目のオルガズムが湧き上がり、哩の身体を蕩けさせていく。
だが、哩がそれを理解した時には四度目、五度目のアクメが湧き出し、彼女の身体を満たしていった。
まるで数珠つなぎになって終わりのない快楽の波に、哩は抗う事が出来ず、ただ飲み込まれていくだけである。

哩「(あぁ…私…♪姫子みたいになる…ぅ…♥)」

あの時、姫子がアナルを穿られて言っていた言葉は嘘ではない。
自分もまたケダモノに…姫子と同じエッチな事しか考えられないケダモノへと作り変えられていく。
そう思った瞬間、哩の中の恐怖がふっと収まり、歓喜へと変わっていった。

哩「(元々、私はそんつもりやった…し…ぃ♥♥)」

何より、姫子もいるなら怖くない。
例えケダモノであったとしても、姫子と一緒なら『それ』はきっと『白水哩』としての自分を確立出来るだろう。
何より、雌奴隷になった自分を京太郎もまた可愛がってくれる。
さっきの姫子のように快楽でドロドロになって…おかしくなるまで犯し抜いてくれるのだ。
それだけで…もう胸のときめきはとまらず、哩の思考が陶酔へと染まっていく。

哩「もっろ…ぉっ♥もっと…してぇ…♪♪私も…姫子みたいに…ぃぃ♪」
京太郎「最初からそのつもりだ…っ!」

そんな哩の陶酔がそのまま漏れるような甘い声。
それに京太郎も力強く頷き、その腰を大きく振るう。
最初の手加減していたものとは違う激しいストロークに哩の頭はビリリと痺れ、大事なものが蕩けていく。
理性、体裁、記憶。
その他、白水哩を維持するのに必要だったものが甘い汁へと代わり、快楽になっていくのだ。

哩「(あは…私…どんどん壊れとぉ…♪)」

大事だったはずのものさえ売り払い、快楽を得ようとする浅ましい自分。
けれど、それを厭う気持ちは哩にはないどころか、寧ろ、そんな背徳感を楽んでいた。
自分が壊れるのが嬉しい。
自分の大事なものがとろけるのが気持ち良い。
自分が快楽に飲み込まれるのが楽しい。
そんな被虐的な快楽を味わう哩の前で、京太郎がゆっくりと口を開いた。

京太郎「随分と嬉しそうだな。もう壊れて来たのか?」
哩「はい…ぃ♥私…もぉ壊れまひたぁ♥♥頭の中までドロドロれぇ…壊れひゃんです…ぅ♪♪♪」

京太郎に応える声も自然と、彼を敬うものへと変わっていく。
今の哩にはもう彼の年上だとか、部長だとか言う意識なんてなかったのだ。
ただ、この堪らない快楽をくれている彼が自分の主人である事と、同じ立場に愛しい姫子がいる事しか残ってはいない。

哩「だから…っ♪もっとして…くだしゃいぃ…♥♥」
哩「わらひ…ちょうきょおしてぇ…っ♪♪どこでもご主人様を…悦ばせられりゅくらい…にぃいっ♥♥」
京太郎「はは…良い心掛けだな…!」

そんな哩のオネダリに京太郎の手にも力が入る。
それまではある程度、余裕を残す事が出来ていたものの、ここまで淫らな言葉を言われると彼の我慢も限界に近づいてくるのだ。
このまま力づくで哩を犯し、ドロドロになるまで穢したいと言う欲求が胸をつく。
だが、そうしてしまうと次の日の哩が辛くなってしまうのは目に見えていた。
故に京太郎は自分の欲求を可能な限り抑え、哩の蕩けきった肉穴に肉棒をこすり付ける。

姫子「ん…ぅ…♪」

そんな京太郎の耳に姫子の唸るような声が聞こえた。
それに視線を向ければ、うっとりとした瞳ながらも、こっちを見ている姫子と目が合う。
さっき京太郎が横たえた時とはまた違ったそれは姫子の意識が戻りかけている証拠だ。
それに一つ良い事を思い付いた京太郎は、哩の膝をぐいっと持ち上げ、その身体を僅かに起こす。

京太郎「ほら、姫子も殊勝な哩の事を見てくれてるぞ」
哩「ひあ…あぁぁぁっ♥♥」

姫子へとお腹を見せるようなその姿勢に哩の中がグルリと肉棒へと擦られる。
一気に角度が変わったそれは鮮烈な快楽となり、また新たなオルガズムを彼女へと沸き起こらせた。
その上、自分が京太郎に犯されている姿を最愛の後輩に見られて…哩が無事で済むはずがない。
その口から甘い鳴き声を漏らしながら、腰を震わせ、深いアクメを貪り出す。

哩「見て…ぇっ♥♥姫子…見てぇぇ…っ♪♪」

そんな哩の口から飛び出たのは見られる事に対しての忌避ではなかった。
寧ろ、積極的に見て欲しいとばかりに足を広げ、結合部を姫子へと突き出す。
しっかりと太い男根を咥え込んだその場所は抽送の度に愛液を吹き出し、ベッドを汚していた。
その堪らなく淫靡な姿に朧気な姫子の意識も反応し、ゴクリと生唾を飲み込ませる。

哩「私も…いかんかったぁ…♥ご主人様んオチンポ…ぉ♥耐えられんかったとよ…♪♪」
姫子「ぶ…ちょぉ…♥♥」

淫らな哩の言葉に姫子の口からも甘い言葉が漏れる。
そうなれば良いと思って、色々と工作したものの、敬愛する哩が乱れる姿は彼女にとって堪らなく魅力的なのだ。
思わず視線がそちらへと惹きつけられ、快楽の泥から意識を掬い上げるほどに。

哩「だけん…これで一緒やね…♪姫子っち…ずっち…一緒ぉ…♥♥」
姫子「はい…っ♪」

そう言い合いながら、二人の手は自然と絡み合い、繋がれていく。
その両手をもう二度と離すまいとするようなそれに二人は安堵を覚えた。
絆が消えるのではないかと怯えていた哩と同じように、姫子もまた変わりゆく絆に怖がっていたのである。
しかし、ソレが今、新しい鎖となって、二人を結び、縛っていた。
以前のように不安になったり、もう解けるはずのないその先にいるのは勿論… ——

京太郎「俺を無視して二人でいちゃつくなっての」
姫子「ひああぁぁぁっ♥♥」

瞬間、姫子の秘所へと手を差し入れ、ジュプジュプと激しく指を出し入れする京太郎。
その口から漏れるのはさっきまでの嗜虐的で冷たいものではなく、何処か拗ねるようなものだった。
幾らご主人様然としていても、最愛の恋人と自分以外がいちゃつくのは面白く無い。
その両方を手にしている立場とは言えど、仲間外れ感は否めないのだ。

京太郎「後で姫子もお仕置きだからな…!」
姫子「ひゃい…ぃっ♥♥」

そんな京太郎の言葉に姫子はこころ震わせながら頷いた。
調教された彼女にとってお仕置きとは心を疼かせるフレーズに過ぎないのである。
それは勿論、彼女が京太郎を愛しているからと言うだけではない。
どれだけ意地悪をしていても最後には自分を満足させてくれるという絶対的な信頼感がある故だ。

哩「じゅる…っ♪じゅるいぃ♪♪わらひ…調教中なにょに…っ♥♥」

しかし、哩はそれに不満の声をあげる。
だって、今日は哩が初めて堕ちた日であるのだから。
きっとこれから二人に犯され、魂が堕落するまで調教されると思っていたのである。
それなのに姫子にも手を出されるなんて、我慢出来ない。
今日くらいはご主人様を独り占めしたいと思ってしまうのである。

京太郎「だったら、俺を満足させて見ろよ。そうしたら気が向くかもしれないぞ?」
哩「くひぃぃぃ…ぃぃいっ♪♪♪」

瞬間、哩の身体を持ち上げていた京太郎の手が離れ、ドサリとのその肢体がベッドへと落ちる。
それに媚肉が縁を描くように肉棒へと擦れるのを感じて、哩の秘所から潮が吹き出した。
勢い良く吹き出すそれを哩は反射的に止めようとするものの、最早、彼女の下半身に力は入らない。
幾度と無くオルガズムを覚えさせられ、蕩けきった彼女にはもう意思の力は届かないのだ。

姫子「私も…部長ば…満足しゃしぇてあげます…♥」
哩「や…あぁぁっ♪♪」

そんな哩の上半身にのっそりと起き上がった姫子の身体が覆いかぶさる。
横から頭を載せるようなそれには力が入ってはおらず、彼女が未だ絶頂の余韻の中にいる事を哩へと知らせた。
しかし、それでも最愛の後輩が自分へと覆いかぶさり、そしてピンと張った乳首を転がすように愛撫されるとどうしても感じてしまう。

哩「ひめこ…ぉ♥ごしゅじん…しゃまぁ♥♥」

そんな二人の名前を呼びながら、哩の昂ぶりは最高潮へと近づいていく。
これまで内心、夢見てきた二人に責められると言う夢。
それが現実へと変わっている実感に、哩の中のタガは完全に外れてしまったのだ。
最早、その快楽には果てがなく、どこまでも昂っていける。
姫子と同じ境地にまで達した彼女の中で京太郎の肉棒がビクンと震えた。

京太郎「ぐ…ぅ…」
姫子「あはぁ…♪ご主人様…よがっちょる…ぅ♥♥」

京太郎の変化を感じ取ったのは肉棒を飲み込む哩ではなく、姫子の方であった。
これまで自分の上で、後ろで、そして横で、前で…数えきれないほど見せてくれた愛しいオスの表情を彼女が見間違えるはずがない。
射精寸前まで昂った身体をギリギリのところでコントロールしようとするそれに姫子はそっと笑みを浮かべながら、哩に対して口を開く。

姫子「ね…♪部長は何処に射精して欲しかですか…?」
哩「しゃ…せぇ…♥♥」

その問いかけに哩もまたそれが京太郎が射精する直前の脈動である事に気づく。
そしてまたゴムもつけていない状態で、このまま射精されてしまうと妊娠のリスクがある事も理解したのである。
しかし、それでも彼女はそれを抜いて欲しいとは欠片も思わなかった。
哩にとって…京太郎はもう唯一無二の男であり、それ以外と肌を重ねる事なんて考えられないのだから。
例え、妊娠したとしても…京太郎の子どもならば構わない。
そう思う哩の足がすっと動き、京太郎の腰へと絡みつく。

哩「膣内で…ぇっ♪♪わらひの子宮に…らして欲しいです…っ♥」
京太郎「…良いのか?もう後戻り出来ないぞ?」
哩「構いやしましぇん…っ♥♥わらひ…捧げたいんです…っ♪♪ご主人様に全部ぅ…姫子みたいに…ぃっ♪♪」
姫子「部長…っ♥」

確認する京太郎の言葉に哩はチラリと姫子に視線を送りながらそう応える。
それに姫子も甘く呼びかけながら、ぎゅっとその指に力を込めた。
ある種、友情も愛情も超えた二人の仲睦まじい姿に京太郎も我慢出来ない。
ブツリと自分の中で何かがちぎれ飛んだのを感じた瞬間、ぐっと腰に力を込め、本気のストロークを打ち出す。

哩「あ゛ぁっ♥♥あぁぁぁっ♪♪♪あぁ゛っぁ♥♥」

一度、叩きこまれたかと思うと、また次の挿入がやってくるような力強い抽送。
しかも、それは入り口近くまで引き抜きながら、繰り返されているのだ。
十分な助走距離を得て繰り返されるそれに哩の子宮が揺さぶられるようにも感じる。
それに彼女が首を振りながら淫らな鳴き声をあげるが、京太郎はもう躊躇しない。
彼の頭の中にあるのは気遣いではなく、目の前のメスを種付けする事だけなのだ。

哩「レイプぅ♥これ…レイプしゃへてるぅ…♪♪」
姫子「そーとよ…♥部長は今…レイプされとぉです…♥♥」

お腹の奥を突き破りそうな激しいストロークを哩はレイプと称した。
相手の都合も考えず、ただただ、種付けする為の…オスの自分勝手なレイプだと。
しかし、それを肯定する姫子も、哩も…それが堪らなく気持ち良いと知っている。
そうやって愛しいオスに種付けされる瞬間が…メスとして最高の絶頂の時だと知っているのである。

哩「あ゛ぅぅ…っ♪♪姫子…姫…子ぉ…♥♥」
姫子「大丈夫ですよ…♪私が種付けされてイキ狂う部長ば見ていていげますから…♪♪」

まるで助けを求めるように自分を呼ぶ哩の姿。
けれど、それが抑えきれない興奮と期待によるものだと伝わってくる姫子にとって、それは焦るようなものではなかった。
代わりに優しく言い聞かせるように言いながら、哩の胸の上でニッコリと微笑む。
それに哩の頬も緩み、安堵の表情を浮かべた。
姫子が見ていてくれるなら、大丈夫。
哩がそう思った瞬間、ゴツンと京太郎の肉棒が奥へと突き刺さり、熱を弾けさせる。

哩「ひぃあああぁぁぁあああっ♥♥♥」

瞬間、ドロドロとした濃厚な粘液が哩の奥へと注ぎ込まれていく。
一滴残らずメスの奥へと注ぎ込み、支配しようとするような嗜虐的なそれに哩の口から叫び声が漏れた。
しかし、それが決して不快感を感じているが故ではないのは、彼女の表情を見ればすぐさま分かるだろう。
口は半開きになり、眼の焦点は虚ろ、汗と涙で汚れた頬は紅潮し、目尻まで緩んでる。
おおよそ、不快感と呼ばれる類のないものを感じさせないその姿は、哩が最高のオルガズムを感じているからだ。

哩「ふあ…あぁぁっ…っ♪♪あ…ぐぅ…ぅううんっ♥♥」

そして、それは京太郎の射精が続く限り、終わる事はない。
それを本能的に知っている哩の肉襞が男根を絞り上げ、子宮口もまた亀頭へと吸いつく。
まるで淫肉全てを使って射精を強請ろうとするようなそれに肉棒もまた応えた。
できたてほやほやの熱い精液を哩の奥へと流し込み、そこを一杯にさせていくのである。

哩「ふ…わあぁぁぁ…っ♥♥」

そんな精液の勢いに子宮が圧迫感を感じた頃、ようやく哩は射精から解放された。
しかし、京太郎の肉棒はまだまだ硬いままであり、欲望の滾りを感じさせる。
それにもオルガズムを感じながらも、哩はもう指一本すら動かす余裕はなかった。
まるで精液を燃料としているかのような激しい快楽の熱波を受けた彼女の身体には力はなく、意識もまた胡乱なものになっている。

姫子「んふ…ぅ♪♪こうして見ると…凄い勢いですね…♥」

そんな哩の身体から頭を起こしながら、姫子がそっと京太郎へと寄り添ってくる。
その胸にあるのは抑えきれない興奮と欲情だ。
一回ごとにボロボロになるまで壊れ、意識が揺らぐほど昂ぶるとは言っても、姫子の本性はケダモノなのである。
自分の目の前でこうまで激しい種付けを見せつけられて、我慢出来るはずがない。
実際、姫子の秘所からは精液混じりの白濁した愛液が染み出し、次のセックスを待ち望んでいる。

姫子「部長ん身体はどげんですか…?」
京太郎「そういう事聞くなよ…どう答えても俺が悪役になるだろ」

そんな姫子の問いに肩を落としながら答えて、京太郎は哩の中から優しく肉棒を抜いていく。
出来るだけ刺激しないように心掛けたそれではあったが、肉棒が擦れる度に哩が甘い声をあげ、その身体をピクンと跳ねさせた。
その度に肉穴がきゅぅっと締まるのは哩がそれだけでも絶頂している為だろう。
そんな淫靡な哩の姿を見ながら、さらに興奮を掻き立てられた京太郎はそっと姫子を抱き寄せた。

姫子「きゃん…っ♪もう…エッチなんですから…ぁ♥♥」
京太郎「人の欲求目覚めさせておいて何を言うんだ」

京太郎とて、最初はこんな異常な性欲を誇るほどではなかったのだ。
しかし、セックスに慣れれば慣れるほどエスカレートしていく姫子の性欲についていく為に色々とクスリと試してみたのである。
結果、肉体が変な風に変質したのか、今では姫子の方が京太郎の性欲についていけなくなっていた。

姫子「だから…ちゃんと責任とって部長ば引き込んだじゃないですか…♥♥」
京太郎「この小悪魔系悪女め…」
姫子「ふふ…♪そんな私を好いとぉ癖に…♥」

姫子が京太郎の言葉に雌奴隷としてでなく、恋人として答えた瞬間、ニュポンと音を立てて京太郎の男根が哩から引きぬかれた。
しかし、それでも哩の中はくっぱりと開いたままで中の粘膜がひくひくしている様を覗かせている。
さっきのセックスの激しさを物語るようなそれに姫子は嬉しさと同時に嫉妬を感じた。
こういう関係になる事を言い出したのは姫子の方ではあるが、やっぱり最愛の恋人を取られるのは面白く無い。
それが例え、世界で一番敬愛する哩であったとしても、嫉妬する気持ちは押さえられないのだ。

姫子「…ご主人様ぁ…♥♥」
京太郎「まったく…お仕置きするって言っただろ…」

そんな気持ちを込めて京太郎を呼ぶ姫子に彼はそっと肩を落とした。
甘えと媚を浮かべる姫子のことは可愛いと思うものの、ちょっぴりスイッチが入るのが早すぎやしないだろうか。
そう思う彼ではあったものの、未だ萎える気配のない肉棒が、そんな姫子に悦んでいるのは否定出来なかった。

京太郎「後で後悔しても知らないからな」
姫子「きゅぅ…ぅふ…ぅぅぅぅんっ♥♥」

そう言い放ちながら、姫子を四つん這いにさせ、再びセックスを始める京太郎。
そんな彼に愛しさを感じながら、姫子はすぐさま快楽へと飲み込まれていく。
きっとそれが終わった頃には哩も復活し、今度は自分がして欲しいと言い出すだろう。
それが終わったら二人で京太郎を愛してあげるのもいいかもしれない。
快楽で薄れる意識の中、そんな事を思いながら、姫子もまた底なしの欲情の中へと落ちていったのだった。

………

……



「ご主人様…今日ん課題はどげんしますか?」

「そうだな…哩はとりあえず収支三万+を目指そうか」

「それだけあればリザべ込みで後の姫子が楽になる」

「私は…どうすればよかです?」

「姫子はもう決まってるよ」

「王者だとか最強だとか持ち上げられてる白糸台を飛ばして一位通過」

「それが出来なきゃ二人共、今日の夜はお仕置きだ」

「出来たら…今日の夜も腰砕けになるまで可愛がってやるよ」

「だから、頑張って勝ち抜いて来い」

「今の二人ならきっと勝てるさ」

「はぁ…い…っ♥」ビクンッ

「いってきますね…っ♥」ビビクン

そんな訳でようやく哩姫編終了だコラァ
長くなって申し訳ねぇぞッシャァ
後、最後の方ちゃんとエロいか自信ねぇぞオイィ
もし、満足出来なかったらすまねぇなオラァ

ちゃんとエロいから問題ない
さあこの長さで塞とシロと豊姉の続きをだな

それが終わったらはるるの病み√か
いやー大変そうだなー(棒)


だが最後勝ちに行く気無くなるような…

結局飲ませた薬のことを明かした描写は?
ビタミン剤で興奮したのを辱める描写は?

>>551
京太郎の言葉は哩姫に対して無制限ギアスとか令呪みたいなものなんで
二人共全力で勝ちに行きます。
で、この世界線では白糸台を破ってインハイ団体優勝。
その後、三人で日本代表選手として各国代表を震え上がらせた未来が待っています。

>>559
結局、そんなものなくても哩はもうとっくの昔に堕ちてたって事だよ
それで満足できないならこっちにその汚い尻を向けろ
満足するまで掘ってやるからよ

やっぱり、ホモじゃねーか!!

>>543 >>546
ここは本当に俺を休ませるつもりのないインターネッツですね(白目)
シロととよねえルートは小ネタで指定されたとしても一人ずつになると思う。
今回の哩姫とも描写がかなり被りそうだし、何より三人の描写はきついんで許してください!
>>559がなんでもしますから!!!

後、姫様が堕ちるの早すぎという意見があるけど、作中時間で言えば三日で堕ちてる漫ちゃんもいるから…(震え声)
それから比べれば…姫様はまだもった方なんじゃないかな?(目そらし)

>>562
ホモで何が悪いんですか!!!(逆切れ)
まぁ、>>559に悪いとは欠片も思わんが、同じ要素を期待してくれた人はすまん。
小ネタは基本、即興だから回収し忘れる伏線も少なからずあってだな…。
特に今回は期間が空いたのと風邪引いたのもあって、gdgd過ぎた。
本当に申し訳ない。

謝罪する気があるなら尻を差し出してもらおうかオラ

姫様堕ちは確かにスピード的には早く感じるかもしれんが段取りも手順も王道だし、順当だと思うよ
特に不自然さは無いかな

次の本編はいつですかね

>>567
有難う。そう言って貰えると助かる。
一応、姫様ルートは今書いてる部分を除いてプロット通りに進んでるんだけど、自分でもチョロ過ぎる気がしてだな…。
かと言って、アレ以上のイベントは思いつかず、悶々としていたんだ。
後、姫様がセフレなんて作れるはずないだろ!
ヤッちゃったらその場でゴールインまで一直線だ!
尚、本人は性的方面に鈍いので美穂子さんと同じく天然エロい模様。

>>568
ちゃんと書き上がったらアナウンスするから俺の代わりに>>566ニキに掘られながら待ってろ。
今週中にもう一回、投下したいけど、どうなるかは正直、分からん。

なんかこのスレの姫様とヤンジャンで連載してる源君物語の花田さんがダブる

咲「嫁さん違います。セフレです」京太郎「」モブ「」

>>576
モブ「え…?」

京太郎「ま、待て待て。咲は何か勘違いをしてるだけで…」

咲「勘違いって…昨日、お風呂でも三回したのに…」

モブ「さ、三回!?」

咲「しかも、上がった後も二回して…寝る前にはさらに四回だよ?」

モブ「合計九回!?」

咲「お陰でお昼休みに京ちゃんの垂れてきちゃった…」

咲「京ちゃん毎回、濃い上に量も多いから掻き出し切れないんだよね」

モブ「しかも、中出し前提!?」

京太郎「いや、その…まぁ…何て言うかですね…」

咲「あ、後、京ちゃん。昨日、途中からアナルいじってたでしょ」

咲「どれだけアヘアヘになってもそういうのちゃんと分かるんだからね」

咲「まぁ…気持良かったから良いけど…次はちゃんと断ってから弄ってよ」

咲「京ちゃんの所為で私のアナル、すっかり敏感ケツマンコになっちゃったんだから」

モブ「その上、調教中!?」

京太郎「い、いや…だって…咲が可愛すぎるからな…?」

咲「も、もう…京ちゃんったら…///」

モブ「もうお前ら爆発しろよ」

>>577
まさか拾ってくれるとは思わんかった、ありがとう

もうこれセフレどころか立派な愛人じゃないですかヤダー!

>>581
モブ「つーか、それもう嫁さんとかそういうの超越してるじゃねぇか」

モブ「中出しまでしといてセフレっつぅのはどうなんだ京太郎」ジトー

咲「『まだ』告白してないし、されてないからセフレです」

京太郎「…そういう事らしい」

モブ「お前なー…」

京太郎「い、いや、俺もちゃんと考えてるんだって!」

モブ「じゃあ、しろよ。すぐしろよ。今しろよ」

モブ「じゃないと、俺の声が若本ヴォイスになって、斧を振り回すぞ」

京太郎「よ、よく分からないが…ともあれ、告白はしてるんだって!」

咲「されてません」

京太郎「毎日、好きとか愛してるって言ってるのになぁ…」

咲「それってエッチしてる時だけだもん…」ボソッ

京太郎「えっ」

モブ「うん。とりあえずお前はもげて良いわ」

京太郎「えぇぇ…?」

モブ「まぁ…もう色々と打ちのめされて独り身の俺は泣きたくなったから投げるけど…」

モブ「お前らまだ高校生で責任取れないんだから、妊娠だけはマジで気をつけろよ」

京太郎「大丈夫だって。咲はピル飲んでるし」

咲「……」

京太郎「え?」

咲「大丈夫。飲んでる」

モブ「(あ、これ絶対、飲んでねぇな)」

>>585
なるほど、コンマで咲さんと情事中にランダムエンカウントで戦うわけだ

>>589
ほう…セクロス中にコンマでイベント起こして負けたらその場でセクロスシーン終了とか新しいな。
次から導入してみるわ

アカン(o・д・)








アカン(。・ω・。)

言葉攻めしちゃうSタイプな京ちゃんが散々イジメた後に判定失敗でいたたまれない展開になるとかちょっと

幼馴染とできちゃった結婚ED追加とか胸熱だな

こ、このスレでは主人公、つまりヒーロー=英雄だから…(震え声)
と言うか、お前らホント前向きだな畜生!!!wwwwww
阿鼻叫喚になってくれるのが>>591だけとか俺は悲しい。

っと、途中送信。
悲しいから明日本編投下するわ。

>>574
気になったからちょっとググってみたけど花田さん可愛い!
でも、ここの姫様は多分、花田さんよりももっとエロいし積極的だと思う。
その辺は明日の投下で出せれば良いな!!(願望)

>>592
大丈夫。判定失敗した時点でワカメが湧くだけだから。
エロはちゃんと成功してヒロインもメロメロになってるよ!!

>>598
何言ってんだ?>>591だってアカンとか言いながら顔はテカテカしてるじゃないかwwww

京ちゃんがベットヤクザ過ぎて辛い…
(もっと普通にイチャイチャしちゃ)いかんのか?

>>601
なんだと、ここで源君物語の話が出るとは……しかも花田さん(歓喜)
まあ、ここの京ちゃんなら14人と言わず倍はオトすんだろうなー

>>596
春「」ドヤァ
咲「ぐぬぬ」

後、このスレにはそんなパワーアップフラグとかないから。
そう言うのは全部、昨日、Tさんスレにパワーとして捧げて来ました。



>>602
( ゚д゚)

( ゚д゚ )   アレ涙だと思ってた…。

よくもだましたアアアア
だましてくれたなアアアアア!!


>>603
残念だが普通のイチャイチャだけでエロシーン十五回も書けるほど俺の妄想力は高くないんだ…。
でも、次の姫様はベッドヤクザ成分控えめ…かも…だったら良い…かな?みたいな感じなので、
それで合わないんだったら、何もかんも新井が悪いって言いながらスレ閉じるか、小ネタを狙うのをオススメする。

>>604
でも、14人落とすとか非現実杉だろ…(グルグル
しかも、キスで落とすとか童貞狙いすぎだな…(グルグル
あんなきっかけで地味系美人の花田さんが堕ちるとかマジありえねぇし(グルグル
まぁ、あんな童貞臭い漫画書いてる奴は童貞だろうな(ブスッ

>>602
一応嘆いてるつもりだぜ?
でも皆ポジティブ過ぎてどうしよう・・・

傍から見てたら魅力的な能力なのかも知らんが、本人からしてみれば頭おかしくなりかねないよな実際
ここの京ちゃんも若干、女性恐怖症と自己不信の気があるし、ベッドではヤクザだけど

ここの京ちゃんがもし能力なくなったら?
姫様が山に監禁して、一生外に出さないよ?
携帯も壊して連絡なんか絶対、取らさないよ?

後、ここ元々安価スレだから!
これヒロイン登場のプロローグやってるだけで、本当は安価スレだから!!!
本編安価とかもう最初の投下以来一回も取ってないけど、一応、ここ安価スレだから!!

>>614
そんな自分を護る為に京ちゃんはベッドヤクザになるのかもしれないという設定を今、思いついた。
よし。本編ではこれで行こう(見切り発車)


あ、後、今日の22時から本編投下するよー。
エロ開始の手前くらいまでだから、パンツは大事にしてやるんじゃ。

>>628
愛の重さとおもちの重さの相関

なんてことだ。
今日の読者は阿修羅をも凌駕する存在だったのか。

>>630
つまり咲世界の中で一番、愛が重いのは霞さんだと。
アレ?京ちゃんへの申し訳なさから過剰なほどに尽くして、
もう自分抜きでは居られないくらいに骨抜きにしちゃう霞さんの姿が脳裏に…。

そもそもこのスレは雑談ウェルカムだって言ってるのにどうして一々雑談を止めようとする奴が出るのか。
俺も雑談したいからわざわざ>>1にそう書いてるんだから、そういうの言わなくても良いって。
本当にやり過ぎだと思ったら、俺がストップ掛ける。
それでもまだ雑談止めたいんだったら自分でスレ立てて下さい。
と言おうと思ったけど、一瞬で俺のスレがSS速報でもトップの長寿スレになったので、許してやろうと思いましたまる。

まぁ、とりあえず時間になったし投下だぞオラァ


それから数日が経った…と、そう簡単に言えないくらい、その僅かな日々で私の生活は大きく様変わりしていました。
朝、京太郎君を起こしに行って、お布団をあげ、朝食を摂ります。
とは言え、骨に小さなヒビが入ってしまった京太郎君の腕はお医者様から安静を言い渡されており、あまり動かす訳にはいきません。
だから、私が京太郎君の口に食事を運び、一つ一つを食べさせてあげるのです。
最初は皆の前で食べさせられる事に京太郎君も反発していましたが、今では諦めたのか、素直に食べてくれるようになりました。

小蒔「(それでも…顔が赤くなっちゃうのが可愛いです…♥)」

平静を装いながらも、隠し切れない羞恥心。
それが何とも可愛くて、ついつい遅く食べさせちゃう私は自分でも思った以上に意地悪な女なのかもしれません。
しかし、そうは思えども、腕に当て木をされながら、私を見つめる京太郎君が可愛くて仕方がありません。
私が自制心を維持しなければ、その頭を撫でたくなった事なんて数え切れないくらいあるんですから。

小蒔「(それが終わったら…一緒にお勉強です)」

朝、登校前に昨日の復習、京太郎君の腕代わり、教師代わりとなりながらのそれが終われば、一度はお別れです。
本当は私も学校をお休みして一日中、京太郎君の傍について居たいですが、流石にそういう訳にもいきません。
しかし、学校にいる間も、京太郎君の事が気になって気になって仕方がないのです。
正直、勉強だって身につかず、同じクラスの子にため息を吐き過ぎて心配されるような有様でした。


小蒔「(でも…学校さえなくなれば、後はずっと一緒…♪)」

学校から帰ってきて、京太郎君とお話しながら、今日の復習の準備。
それが終わったら一緒にお夕飯を食べて、食休みの時間です。
その間、ご両親やその他お友達からのメールを私が京太郎君の代わりに返すのが日課になっていました。

小蒔「(でも…『上重漫』って…あの人…ですよね?)」

インターハイで私と打った姫松高校先鋒の二年生。
どうしてそんな人が京太郎君にメールを送ってくるのか私には分かりませんでした。
しかも、その内容はとても親しげで、頻度もかなりのものです。
私がメールを代わりに打っていると知っているのに、色々と…その…破廉恥な内容を送ってくるのは挑発にも感じました。
それが面白くなくて、ついつい携帯を持つ手に力が入りすぎたりもしましたが、概ね、送信者の方々と良好な関係を築けていると思います。

小蒔「(それに…最近は霞ちゃんたちの妨害もないですし…)」

一時期、私と京太郎君を深く傷つけたそれがあの日を境になくなりました。
それどころか、私や京太郎君を遠巻きに見る事が多くなったのです。
まるで私と京太郎君の邪魔をしまいとするようなその変化に、私は一度、霞ちゃんに尋ねてみました。


小蒔「(霞ちゃんは…『色々と裏目っちゃったから…』とだけ言ってたけれど…)」

結局、霞ちゃんが私達を引き離そうとしていた理由も教えては貰えないままでした。
それが気になる気持ちは私にありましたが、意識する事は殆どありません。
だって、私と京太郎君はもうお友達になって、皆にも邪魔される事もないのですから。
順風満帆と言える状況にある私にとって、それは些細な事であったのです。

小蒔「えへへ…♪」

その嬉しさに私がついつい笑みを漏らしてしまったのはお屋敷の廊下の中でした。
既に夜も更け始め、皆も自室でそれぞれ自分の事をやり始めている時刻です。
普段であれば、私も京太郎君のお部屋で、適当にお話しながら時間を潰していた事でしょう。
しかし、今日はとても嬉しい事があったのです。

小蒔「(京太郎君…もうお風呂に入っても良いって…)」

それは京太郎君の術後経過が順調な証拠でしょう。
実際、お医者様もグングン回復していく京太郎君に驚いていました。
腫れも殆ど引いて、既に外見からは京太郎君の怪我が分からないくらいになっています。
そうやって急速に回復している事が少しだけ寂しい気もしますが、それ以上に喜ばしい事でした。
だからこそ、私は今、こうして準備を整え、京太郎君の部屋へと向かっているのです。


小蒔「京太郎君?」
京太郎「あれ…小蒔か?」

そんな私が襖戸越しに京太郎君へと話しかける声に、彼はすぐさま反応してくれます。
そのまま障子の向こうで京太郎君が立ち上がり、こちらへと近づくのを感じながら、私はドキドキしながらそれを待っていました。
羞恥と期待が入り混じったその興奮に私は大きく胸を膨らませて、息を吸い込みます。
大丈夫、きっと京太郎君も喜んでくれると…そう自分に言い聞かせた瞬間、私の目の前で襖戸がそっと開き、中から京太郎君が顔を出したのでした。

京太郎「準備ってもう終わったの…か…?」
小蒔「じゃ、じゃーん…」

そう紡ぐ京太郎君の言葉はどんどんと尻すぼみになっていきました。
けれど、その視線だけははっきりと私へと向けられています。
普段は巫女服で覆われている腕や太ももに突き刺さるようなその強い視線に私はドキドキしました。
しかし、こうして京太郎君の前に姿を晒した今、逃げる訳にもいきません。
寧ろ、ここは自分から押していくところだと思った私は、頬がボォっと熱くなるのを感じながら、腕を広げます。

京太郎「な、何で水着?」

そんな私は今、水着を身に纏っていました。
学校指定の飾り気のないそれは、ついさっきまで箪笥の奥にしまってあったのをたった今、引っ張りだしたものです。
勿論、それは学友の皆や先生に見られるものでもあり、決して色気のあるものではないのでしょう。
しかし…京太郎君は呆然としながらも、水着姿の私をじっと見つめ、私に興奮とも羞恥とも言えないようなドキドキをくれるのでした。


小蒔「だって、今日から京太郎君はお風呂解禁じゃないですか」
京太郎「いや…まぁ…そうだけど…」
小蒔「だから、お手伝いをしようと思って」

瞬間、京太郎君の頭がフラリと揺れました。
まるで、驚きすぎて自分の常識が揺らいでいるようなそれに私はそっと首を傾げます。
そもそも私が京太郎君の事をお世話するのは彼からもお願いされている事ですし、その中には勿論、お風呂の世話も入るでしょう。
少なくとも私はそう思ったからこそ、こうして準備するとだけ言って、京太郎君の元を離れ、自室で準備を整えたのです。

京太郎「…いや、それはやばいだろ」
小蒔「え…?どうしてですか?」
京太郎「どうしてって…いや…その…」

そんな私の前で京太郎君が言いよどみました。
まるで言いづらいものを胸に抱えるようなそれに、私の首は再び傾いていきます。
そうやって口ごもる京太郎君の姿をこれまで何度も見てきましたが、その理由にまで私は思い至れませんでした。
大抵、こうして言いづらそうにする言う時は私を意識しているからだと分かってはいるのですが、『どうして』と言う部分にまで踏み込む事が出来ないのです。


京太郎「いや…洗うって事は俺が裸になるって事でだな…」
小蒔「毎日、お身体も拭いていますし、今更だと思いますよ?」

実際、利き腕にヒビが入って、あまり動かせない京太郎君の着替えから汗の拭き取りまでを私はやっているのです。
最初は私も恥ずかしくて、京太郎君の逞しい身体を見るのが恥ずかしかったですが、今は少しずつ慣れて来ました。
それでもドキドキは収まらないというか…寧ろ、大きくなっていっているのが不思議ですが、ともあれ、最初のように狼狽する事はありません。
それは京太郎君も同じで、今では着替えや汗拭きを拒絶せず、私に任せてくれるようになったのです。

京太郎「そ、それとこれとは別問題だって」
小蒔「むぅ…」

しかし、それは私の感覚であって、京太郎君のものとは違うそうです。
それに唸りながら思考を回しますが、一体、彼がどうしてそんなに恥ずかしがっているのかやっぱり理解出来ません。
私はもう京太郎君の背中の広さや、その胸板の厚さ、腕の逞しさや、足の引き締まり方まで知っているのですから。
それなのに…何か問題があるとしたら…それは… ——

小蒔「じゃあ…水着じゃなければ良いんですか?」
京太郎「いや、それはもっとダメだ」

唯一、思い付いた普段と今の状況の差異。
それを口にする私の前で京太郎君がそっと頭を振りました。
どうやら、私が選んだ水着がダメと言う事でもなさそうです。
それに疑問が深まるのを感じる私の前で、京太郎君は気まずそうにその唇を開きました。


京太郎「あー…その…だからな。俺が我慢出来なくなっちゃいそうなんだよ」
小蒔「え…?」
京太郎「だ、だから…俺は今、悶々としてる訳でな」
小蒔「あ…」カァァ

京太郎君の言葉の意味を私は遅れながらも、理解しました。
確かに私が京太郎君に怪我をさせてから、彼は利き腕を使えないのです。
その上、私がほぼ四六時中くっついているとなれば、そ、その…色々と発散する事は出来ないでしょう。

小蒔「(ど、どうしましょう…そんなの全然、考えてませんでした…)」

ただただ、一緒に居て、する事全てをお手伝いすれば、それが京太郎君の為になると私は考えていたのです。
しかし、事はそう単純ではなく、私がそうやってお側にいた事で逆に彼を追い詰めてしまっている。
それに頭の中が混乱し、グルグルと思考が絡まり、渦巻いていくのを感じました。
けれど、今の私にはそれを解く力はなく、困惑と申し訳無さもまた消える事はありません。

小蒔「(…わ、わわ…私がしっかりしないと…!)」マッカ

それでも、自分を叱咤するのは、殿方がそういったものを発散しないと辛いと言う事を授業で教わったからです。
京太郎君が利き腕を使えない以上、そういうことを発散してあげるのもまた私でなければいけません。
も、勿論…顔が真っ赤になるくらい恥ずかしいですが…それもまた私がしてしまった事の責任なのです。
それを果たさなければいけませんし…何より…その…き、京太郎君なら…べ、別に…良いかなって… ——


小蒔「え、えっと…お、お手伝い…」
京太郎「い、いや!そこまでしなくて良いから!!」

そう思って紡いだ言葉を京太郎君が後退りながら否定しました。
それに安心する反面、寂しさともの悲しさを覚えたのはどうしてなのでしょう。
お友達である京太郎君の力になれないのが嫌なのか、或いはソレ以外に何か理由があるのか。
それさえも焦りや困惑で見えない私の前で、京太郎君はそっと口を動かしました。

京太郎「ま、まぁ、だから…水着姿で魅力的過ぎる小蒔と一緒に風呂でも入った日にはトチ狂って襲いかねないんだ」
小蒔「はぅ…」カァァァ

今の私が魅力的と言ってくれているその言葉に、私の頬がさらに熱くなるのを感じます。
ちょっぴりスケベな京太郎君ならきっと喜んでくれると自分でも思っていたとは言え、そこまで言って貰えるとは思って見ませんでした。
予想外の、しかし、嬉しいその言葉に私の胸はドキドキを強め、京太郎君にもっと色んな事をやってあげたくなるのです。

京太郎「だから、その風呂は一人で入るって事で…」
小蒔「そ、それはいけません!」

とは言え、そんな私の前で紡がれる京太郎君の言葉をすぐさま否定したのは、きっとそれだけではないのでしょう。
確かに京太郎君に迷惑を掛けてしまった分、色々とお手伝いしたくなったのはありますが、ソレ以上に私は心配だったのです。
利き腕が使えないだけなので、今の京太郎君でも時間を掛ければ、お風呂に入る事は不可能ではないでしょう。
しかし、その間、私はずっと京太郎君の安否を気にしながら、ずっと待っていなければいけないのです。
昼間、嫌というほど味わっているその感覚を一緒にいられるはずの時間でまで味わうだなんて、到底、許容出来ません。


小蒔「だ、大丈夫です。方法はありますから」
京太郎「ほ、方法って…」
小蒔「つまり…京太郎君が私を見なければ良いんです」

そんな自分が我儘だと思いながらも、要望を貫こうとしているのは私の頭の中に対案が浮かんできているからでした。
わ、私がその…悶々とするくらい魅力的なら、見れないように状況を整えれば良いだけの話です。
幸い、脱衣所にはバスタオルだけでなく、手ぬぐいなどもあるので、京太郎君の視界を塞ぐものには事欠かないでしょう。

京太郎「あー…それなら大丈夫…なのか…?」

そして、そんな私の言葉は京太郎君の意識を揺らし始めているみたいでした。
ここ最近、お風呂に入る事が出来なかった京太郎君にとって、今日は久々の入浴になるのです。
利き腕が使えないもどかしさや、さっぱりしたい気持ちは強いのでしょう。
思案するような様を見る限り、もうひと押しといったところです。

小蒔「そ、それに…も、もしもの時はちゃんと責任を取りますから…」カァァ
京太郎「…やっぱなしで」
小蒔「え、えぇぇ!?」

最後の殺し文句になるはずだった私の言葉に京太郎君は交渉を打ち切ってきました。
それに驚きの声をあげる私の前で、京太郎君は気まずそうな表情を浮かべています。
予想していたのとはまったく違うその表情に、私が疑問を覚えた瞬間、京太郎君はそっと唇を開きました。


京太郎「男友達として忠告しておくと、だな。そういうのあまり言うもんじゃないぞ。変な風に誤解されかねないし」
小蒔「…こんなの京太郎君にしか言わないですもん…」

私だって、誰彼構わずこんな事を言うほどふしだらな女じゃありません。
一応、私は神様に仕える巫女ですし、貞操観念だってちゃんと教えこまれているのですから。
それでもこうして京太郎君に責任を取ると言ったのは、彼が私のお友達であり、そして私の所為で迷惑を掛けているからです。
まぁ…迷惑を掛けていなくても嫌じゃないですが…た、多分、それは些細な問題でしょう。
今の私にとって大事なのは、こういう事を言う相手が京太郎君だけと言う偽らざる主張なのですから。

京太郎「だから、そういうのがダメなんだって」
小蒔「むぅぅ…」

しかし、それは京太郎君へちゃんと届いてはくれなかったみたいです。
私なりの冗談と思われているのか、軽く流されてしまいました。
それが悔しくて唸りながら頬を膨らませるものの、ざわつく胸の内は中々、元に戻ってはくれません。

京太郎「拗ねない拗ねない。ちゃんとお風呂で小蒔の世話になるからさ」
小蒔「ほ、本当ですか?」パァァ
京太郎「流石にこんな事で嘘は吐かないって」

そんな私の頭をポンポンと触れながら、京太郎君が優しく言ってくれました。
それに悔しさが吹き飛び、歓喜が沸き上がってくる自分が現金に思えます。
しかし、そんな事を幾ら思っても、私の嬉しさは揺らぎません。
自分でもはっきりと分かるくらい頬を緩ませ、喜びを表に出してしまうのでした。


京太郎「んじゃ…とっとと行こうぜ。その格好のままじゃ寒いだろ」
小蒔「実はちょっと…」

外に比べれば、大分、中が暖かいとは言え、私は肌寒さを覚えていました。
修行の一環として毎朝、禊をしているので、基本的に私は寒さには強い方です。
しかし、それでも、こうして防寒性の欠片もない水着で廊下を歩くは寒く感じました。
流石に身を震わせるほどではありませんが、ぎゅっと縮こまり、肌を合わせたくなるくらいに。

小蒔「…でも、京太郎君の傍にいると…ドキドキして暖かいです…♪」

それをしなかったのは偏に、私の傍に京太郎君がいるからでした。
まるで優しいお日様のように、彼の近くにいると心も身体もポカポカするのです。
ドキドキに負けないその感覚が私は大好きで、ついつい京太郎君と腕を組んだり、抱きついたりしてしまいました。

小蒔「(でも…今は出来ませんよね…)」

勿論、そうしたい気持ちは私の中にもあるのです。
しかし、普段、私が着ている分厚い巫女服ならばともかく、今の私が着ているのは薄い布地一枚だけ。
それも私の肌にフィットし、その線を浮き立たせる水着なのです。
幾ら私が京太郎君と触れ合う事に慣れ始めたとは言え、そんな状態では密着する事は出来ません。
やっぱりどうしても恥ずかしさが湧き上がり、歩き出した京太郎君の隣で顔を赤く染めてしまうのです。


京太郎「だから…もう…」ハァ
小蒔「??」

そんな私の横で京太郎君がそっとため息を吐きました。
まるで心の底から疲れ、絞りだすようなそれが一体、どうしてなのか私には分かりません。
ついさっきまで京太郎君は特に疲れている様子などなかったのです。
ならば、その契機となったのは私の言葉でしょうが…それだって本心を口にしただけの他愛もない雑談でした。
少なくともこんな風に京太郎君が疲れるような重苦しいものではないはずです。

京太郎「…最近、石戸さんがあんなに小蒔に対して過保護だった理由が良く分かるよ」
小蒔「むぅぅ…」

そのまま肩を落とす京太郎君に私は拗ねるようにそう言ってしまいます。
こうやって二人でいるのに京太郎君の口から霞ちゃんの名前が出るのも面白くありませんし、何より共感を示すのはもっと面白くありません。
勿論、私は霞ちゃんだけじゃなく、皆の事が大好きですし、仲も良いままですが、そういった過保護な部分に傷ついていたのですから。
それにお友達である京太郎君まで共感を示すと言うのは面白くないと同時に…不安になる事でした。

小蒔「京太郎君まで過保護になっちゃやです…」
京太郎「分かってるって。だから、聞かれた分、出来るだけ色々な事を教えるようにしてるだろ」
小蒔「…はい…っ♪」

私を安心させるように言う京太郎君の言葉に私は力強く頷きました。
さっきの事だって、京太郎君からすれば、出来るだけ隠しておきたい事だったでしょう。
その…一人で発散する事が出来なくて悶々としているだなんて、異性に言うなんて恥ずかしすぎるものなのですから。
しかし、それでも京太郎君は私にそれを教え、こうして受け止めてくれている。
それは私が過保護にされ過ぎて、逆に傷ついていると言う事を知ってくれているからなのでしょう。


小蒔「これからも一杯、教えて下さいね…♥」
京太郎「頑張る。でも…エッチなのは程々にな」
小蒔「べ、別に聞きたくて、そういう事を聞いてる訳じゃないですもん」

私の前で意地悪く言う京太郎君の言葉に私の声は若干、上ずってしまいました。
これまで私が京太郎君に聞いた疑問の中にはエッチなものが少なからずあり、彼を困惑させてきたのです。
その実績を思えば、『そんな事ない』と言い切る事は出来ません。
とは言え、私がその…淫らな事ばかり聞いていると言うような表現は看過する事が出来ず、何とも微妙な否定になってしまいました。

京太郎「そうか?その割りには回数が多い気がするけどなぁ」
小蒔「う、うぅぅぅ…っ」カァァ

しかし、そんな私を京太郎君は許さず、さらに踏み込んできました。
お友達になってから彼の容赦は少しずつなくなり、今ではその意地悪な本性を隠そうともしません。
こうして隙あらば、私を辱めて、喜んでいるのが見て取れました。
しかし、それが悔しいと思えども…決して嫌ではないのは一体、どういう事なのでしょうか。
自分でも気にはなりますが、それを京太郎君に聞いてしまうと余計に調子に乗る様が目に浮かびます。
結果、私はそれを彼に聞く事が出来ず、悶々としながらも、遠慮の無いそれに喜んでいました。

小蒔「も、もう…そんな事言って…お風呂では覚えておいて下さいね」プイッ

そして、私もまたそんな京太郎君へと反撃する術を覚え始めている。
そう思うのは最初のように狼狽えたり、霞ちゃんに助けを求めたりしなくなったからだけではありません。
こうやって意地悪そうな顔をする彼はその半面、とても打たれ弱く、反撃されると意外と弱い事が分かってきたからでしょう。


京太郎「なんだ?エッチな悪戯でもしてくれるのか?」
小蒔「…して良いんですか?」
京太郎「すみません。俺が悪かったです」ペコリ

そうやって…え、エッチな方面に話を持っていく割りに京太郎君はすぐにヘタレます。
その場で勢い良く頭を下げて、謝罪の言葉を紡ぎました。
それに勝ったと言う優越感を感じると同時に、肩透かし感を感じるのは否定出来ません。
きっと…私は京太郎君が頷いてくれるのを内心、期待していたのでしょう。

小蒔「(お、お友達ですから…仕方ないですよね…?)」

私と京太郎君はお友達です。
しかも、私にとっては唯一の男友達であり、何の柵もない相手なのです。
そんな相手が困っているとなれば、手を貸したくなるのが当然でしょう。
ましてや、京太郎君がムラムラしてる理由が自分にあると思えば、そう思わない方がおかしいでしょう。
それだけ…それだけの事であって、別に私が京太郎君に悪戯する事に興味がある訳じゃない。
そう自分に言い聞かせた私の前に脱衣所への入り口が現れました。

小蒔「とりあえず…一緒に入ります?」
京太郎「そうだな。服を脱ぐのも手伝って欲しいし。まぁ、流石にパンツまでは勘弁して欲しいけど」
小蒔「じゃあ、裸ですね」
京太郎「何でだよ!?」
小蒔「さっき意地悪したの忘れてないですもん。罰ゲームです」プクー
京太郎「もう謝ったのに…理不尽だ…」

そんな事を言いながら、京太郎君が足を踏み入れた脱衣所には誰も居ませんでした。
お屋敷が忙しい時には誰かしらいる事が多いとは言え、今のお屋敷には六人しかいません。
10人くらいなら余裕で入れるであろう大きな脱衣所も、今は宝の持ち腐れも同然でした。
そんな脱衣所の入り口にある小さなホワイトボードに京太郎君が入浴している旨を書いた私はその後に着いて行きます。


小蒔「じゃあ、脱ぎ脱ぎしましょうねー」
京太郎「ばぶー」

私の冗談めかした言葉に赤ちゃん言葉で答えながら、京太郎君は私が脱がせやすいように姿勢を変えてくれます。
お陰で厚手のシャツと上着はあっという間に剥ぎ取る事が出来、私の手で丁寧に畳まれて、脱衣カゴへと仕舞われました。
そのまま振り返った私の前にいるのは勿論、上半身裸の京太郎君です。

小蒔「ぁ…」

それに胸がドキリとしてしまうのは何時もとあまり変わりがありません。
幾ら着替えや汗拭きを普段から手伝うようになったとは言え、引き締まったその身体は男性らしさを強く感じさせるものなのですから。
それに小さく声をあげてしまう私の胸でトロリとした興奮がゆっくりと沸き上がってくるのを感じます。

小蒔「…本当に手のかかる子でちゅね、京太郎君は」
京太郎「何時もすまんのう、婆さんや」
小蒔「も、もう。そこまで老けてませんよ」

打てば響く。
そんな関係に笑みを深める一方で、私はその興奮から目を背けました。
それはきっと…まだ私が気づいちゃいけない事なのです。
その正体が分からないものの…きっと永遠に分からないままの方が良い感情なのです。
だからこそ、私はそれを心の奥に押し込め、何時も通りを心掛けながら口を開きます。
しかし、それが少しぎこちなく、上擦ったものになったのは隠しきれません。
だからこそ、打ち返す京太郎君は気遣うように私の視線を向けたのでしょう。


小蒔「ほ、ほら、次はベルトを緩めますよ」
京太郎「あ、あぁ」

そんな視線を誤魔化すように口にした私の言葉に京太郎君もまたぎこちない返事を口にします。
それは改めて、一緒にお風呂に入るという事を意識したのか、或いはズボンを脱がした先には下着があるからか。
普段、下着のギリギリまで拭いていますし、またトイレの前でベルトや帯を緩めるのも私の役目です。
それから考えるに、恐らく前者なのでしょう。
そう思考を打ち切りながら、私はそっと京太郎君の前に膝をつき、カチャカチャと金具を鳴らし始めます。

京太郎「う…」

しかし、その瞬間、私の前で京太郎君が身体を強張らせるのです。
多分、ある程度、肌を見られる事に慣れてきたとは言え、下着を見られるかもしれないギリギリの行為は恥ずかしいのでしょう。
その割りには視線が明後日の方へと向く訳ではなく、跪いた私の胸や顔に視線が突き刺さるように感じるのが気になりますが… ———

小蒔「よいしょっと」

しかし、それに思考を割くよりも先に、ベルトの金具は外れて重力へと身を任せるようになりました。
それを京太郎君の左手が、下着が見えるギリギリの場所で押さえます。
それを確認した私はそっと膝立ちの姿勢から直立へと戻り、京太郎君へと向き直りました。


京太郎「…んじゃ…ちょっと脱いでバスタオル巻くから…」
小蒔「一人で大丈夫ですか?」
京太郎「大丈夫じゃなくても何とかするさ」

その顔に恥ずかしさを浮かべながらも京太郎君が力強くそう言い放ちます。
それを聞いて何処か不安な気持ちになりますが、コレ以上のお手伝いは京太郎君が望むところではないでしょう。
ならば、私に出来るのは早々にその場を離れ、京太郎君の次の言葉を待つ事です。
ジリジリと焦がすような不安に私はそう言い聞かせながら、私はそっと頭を下げました。

小蒔「じゃあ、後ろを向いてるので終わったら教えてください」
京太郎「分かった。じゃあ、少しの間、頼む」
小蒔「はい」

そう言って後ろを振り向き、京太郎君の元から離れる私の後ろでスルスルと布が擦れる音が聞こえ始めました。
今、手を伸ばせば届きそうな距離で京太郎君が服を脱いでいる事を知らせるそれに胸のドキドキが強くなっていきます。
それを抑えるようにして、胸の上から手を置きましたが、激しい鼓動は収まる気配がありません。
寧ろ、時間が進めば進むほど、頭の中に全裸になった京太郎君の姿が鮮明に浮かびだし、私の思考を飲み込んでいくのです。


小蒔「(な、なな…何を考えているんですか…っ!!)」

胸中でそんな自分に驚きの声をあげて、自分の思考に歯止めを掛けようとしますが、中々、上手くはいきません。
それはただの妄想であり、その気になれば消せるはずなのに、私の中に残り続けているのでした。
しかし、私にとって、最も拙いのはそれではありません。
気恥ずかしくって顔から火が出そうなのに…けれど、それが嫌ではないのです。
そうやって妄想の京太郎君を見るだけでドキドキがさらに大きくなり、露出した太ももをすり合わせたくなるような…妙な気持ちになるのですから。

小蒔「(ふ、普段、こんな事はないはずなのに…)」

普段から着替えや汗拭きを手伝っている私にとって、京太郎君の肌は見慣れたもののはずでした。
少なくとも、そうやって手伝っている最中にドキドキする事はあっても、こんな妙な気持ちになる事なんて一度もなかったのです。
しかし…私が思っていた以上に、全裸かそうでないかには大きな差があったのでしょう。

小蒔「(でも…今更、後には引けません…)」

それを今更ながらに知ったところで後に引く事は出来ません。
こうしてお風呂に誘ったのは私の方ですし、また彼も楽しみにしてくれているのですから。
それを今更、『変な気持ちになっちゃいますからなしにして下さい!』だなんて言えるはずがないでしょう。


小蒔「(だ、大丈夫。私は出来る子です…!)」

実際、これまでも私はちゃんと京太郎君のお手伝いを果たしてきたのです。
勿論、危なかった時もありますが、私はそれを幾度と無く乗り越えてきたのでした。
そんな私にとって、これもまた乗り越えるべき試練でしかありません。
そう言い聞かせながら、私はぎゅっと握り拳を作り、大きく深呼吸を繰り返します。

京太郎「大丈夫…俺には出来るはずだ…!」

そんな私の後ろから似たような事を言っている京太郎君の声が届きました。
どうしてかは分からないものの、京太郎君もまた追い詰められているみたいです。
それにお揃い感を感じる私の耳に今度は深呼吸する京太郎君の様子が伝わって来ました。

京太郎「よ、よし!良いぞ!」
小蒔「は、はい…」

力強く言う京太郎君に私がそっと振り向けば、そこには下半身にバスタオルを巻いただけの彼の姿がありました。
露出度では普段、私が汗拭きをしている時の方が遥かに高いはずのそれに私のドキドキはさらに強まります。
それはきっと…バスタオルで覆われた股間部分がくっきりとラインを浮立たせ、その奥にあるものの存在感を醸し出しているからなのでしょう。


小蒔「(な、何ですかアレ…)」

勿論、私も学校で性教育を受けている以上、ソレが何なのかすぐに理解出来ました。
けれど、まさかバスタオル越しでもはっきりと分かるほど大きいだなんてまったく思っていなかったのです。
しかも、それはまだ一番、大きな状態ではありません。
実った穂のようにダラリと垂れ下がり、脱力している状態なのですから。
それでもはっきりと存在感が伝わるソレがさらに大きくなる姿だなんて、想像出来ないくらいです。

小蒔「(あ…あんまりジロジロ見ちゃ失礼ですよね…)」

そうは思いながらも、私の視線は京太郎君への股間へと向けられてしまいます。
それがいけないと思ってその度に視線を離すものの、数秒も経った頃にはすぐさま視線を戻してしまうのでした。
まるでチラチラと、気になって仕方がないようなそれを私はどうしても止める事が出来ません。
失礼だと言う事は理解しているのですが、まるで身体がそれを求めているように視線を送ってしまうのです。

京太郎「あの…小蒔?」
小蒔「ひぁ!?」

そんな私におずおずと話しかける京太郎君の言葉に私はビクンと肩を震わせて、声をあげてしまいました。
心臓も大きく跳ねて痛いくらいでしたが、お陰で私の視線は京太郎君の股間から離れます。
それに内心、安堵と感謝を浮かばせながらも、私の心から羞恥心がなくなる事はありません。
寧ろ、幾分、冷静になれた分、心の中で恥ずかしさを感じる余裕が出来て、私の顔が真っ赤に染まっていくのです。


京太郎「やっぱ止めるか?」
小蒔「そ、それは駄目です!」

そうやって私に尋ねてくれる京太郎君はきっと気を遣ってくれているのでしょう。
しかし、そんな気の遣い方は私にとっては無用でした。
だって…私に京太郎君を厭う気持ちは欠片もなく、寧ろもっと見てみたいと思ってしまうのですから。
チラチラと見ていたのもその欲望と戦っていただけであり、決して恥ずかしいからだけではないのです。

小蒔「(うぅ…私…こんな子じゃなかったはずなのに…)」

勿論、恥ずかしいという気持ちが私の中にない訳ではありません。
ですが、それを遥かに凌駕する『何か』に私の視線は京太郎君へと引き込まれていくのでした。
そんな自分を抑えつけるように胸中で言葉を漏らしますが、興奮する自分を抑えきる事は出来ません。

小蒔「(そ、それなら…見てもおかしくない状況に持っていけば…)」

どの道、私はこれから京太郎君の裸を見ながら、その身体を洗ってあげなければいけません。
その時であれば、幾ら京太郎君の事を見ても、訝しがられる事はありませんし、自分を責める必要もないのです。
最早、『見ないようにする』と言う選択肢が頭の中から消え去っている事に気づかない振りをしながら、私は彼へとそっと近づいていきました。


小蒔「じ、じゃあ…目元にタオル…巻きますね」
京太郎「あぁ。頼んだ」

そう言ってそっと目を閉じる京太郎君を確認してから、私は目の前の棚から長めの手ぬぐいを取りました。
それを軽く捻ってずり落ちにくいようにしながら、京太郎君の背中へと周ります。
そのまま額に手を伸ばして目元に巻こうとしますが、身長差の所為か、中々、上手くはいきません。

小蒔「ひぁ…っ♪」
京太郎「ぬあ…!?」

それに思わず身を乗り出した私の胸が京太郎君の背中へと触れてしまいました。
瞬間、そこがジュンと溶けるように熱くなり、疼くような熱が乳房に広がっていきます。
思わず手を伸ばして…確認したくなるようなその熱に、しかし、今は構ってはいられません。
バッと頬が熱くなるのを感じながら、私はすぐさま京太郎君から離れ、距離を取るのです。

京太郎「わ、悪い…屈めば良かったな…」
小蒔「だ、だだ…大丈夫です」

そして目を瞑っていたと言っても、京太郎君にもそれが分かるのでしょう。
謝罪する京太郎君の言葉にはぎこちなさで一杯でした。
恐らく、私がさっき何を京太郎君へと押し付けてしまったのかも分かっているはずです。
それを思うと恥ずかしさで死にたくなりますが、今はそうやって逃げて良い時間ではありません。
ここで尻込みしてしまうと二度と京太郎君はお風呂を手伝わせてくれなくなりそうですし…私の方から攻めるしかないのです。


小蒔「と、とりあえずもう一度、チャレンジしますから…」
京太郎「わ、分かった…」

そうぎこちなく言葉を交わしながら、京太郎君はそっと膝を折るようにして屈みました。
そんな彼にゆっくりと近づきながら、私はそっとタオルを巻きつけます。
もう二度とさっきのようなハプニングがないように気をつけてのそれは多少、時間が掛かりましたが、しっかりとしたものになりました。
これだけしっかりと巻いておけば、お風呂の途中で解ける事はないでしょう。

小蒔「はい。出来ました。じゃあ、次は…」
京太郎「すまない…もうちょっと待ってくれ」
小蒔「え…?」

それを確認した私は手早く京太郎君をお風呂場に連れて行こうとしました。
視界がタオルによって遮られている以上、彼を先導するには私の手が必要不可欠なのですから。
しかし、そんな私の言葉を京太郎君が遮り、その場で跪いたまま立ち上がりません。
裸になって肌寒いでしょうに、一体、京太郎君は何がしたいのか。
それに疑問を感じる私の前で京太郎君がゆっくりと口を開きました。

京太郎「あの…先に行っててくれるか?俺も後ですぐに行くから」
小蒔「そ、そんな事出来ませんよ」

タオルは瞼の真上ではなく、眉の部分で巻かれていました。
ですから、垂れ下がっている部分を上げれば、視界を開けさせる事は一人でも可能でしょう。
しかし、かと言って、京太郎君を一人肌寒い脱衣所に置いていく事なんて出来ません。
もし、私が目を離した隙に京太郎君が転んだりしたらと思うと落ち着きませんし、何より折角、一緒にお風呂に入るのです。
その第一歩は一緒に踏み出したいと思うのが当然の事でしょう。


京太郎「いや…でも、なんつーか…その…な」
小蒔「??」
京太郎「あーもう…なんて羞恥プレイなんだよ…」

そう思う私の前で京太郎君が頬を真っ赤に染めて、肩を落としました。
膝立ちになったまま肩を落とすそれはまるで何かにうちひしがれているようです。
それほどまでに恥ずかしいのは伝わってきますが、かと言って、どうしてなのかまでは分かりません。
ついさっきまで普通だったのに、そんな風に微動だにしないまま、恥ずかしがる理由なんて何処にも… ——

小蒔「あ…」カァァ

そこで私はふとある事に気づいてしまいました。
もしかしたら…京太郎君は動かないのではなく、動けないのではないのかと言う事に。
それならば…京太郎君が今にも死にそうなくらい恥ずかしがっている事も、私に先に行ってくれと言う理由も説明がつくのです。
そして…また、それは私にとっても堪らなく恥ずかしい事でした。

小蒔「…あ、あの…京太郎君、もしかして…」
京太郎「頼む。後生だからそこから先は言わないでくれ…」
小蒔「あ、あわわ…!?」

しかし、どれだけ恥ずかしくても、確認しなければいけない。
そう思った私の言葉にズーンと落ち込む色を強くした京太郎君に私は慌てて取り繕うとしました。
しかし、胸の中をどれだけ探しても、京太郎君を励ます言葉は出て来ません。
だって…こんなシチュエーションなんて私の人生にはなかったのです。
こ、興奮し過ぎて…そ、その…立ち上がれなくなった殿方を励まさなければいけない状況なんて、あることすら想像していなかったのですから。


小蒔「(で、でも…そのままずっとって言うのは辛いんですよね…?)」

ただでさえ、京太郎君は私の所為でそう言った処理が出来ていないのです。
その上、こうして京太郎君が興奮してしまっているのは私の不用意な行動が原因でしょう。
そ、それを…ちゃんと責任とって、私が解消してあげなければいけません。
さっきは断られちゃいましたけれど…今度は目前へと迫っているのですから、京太郎君も受け入れてくれるはずで… ——

小蒔「え、えとえと、あの…その…さ、さっきも言いましたけど…」
京太郎「だ、大丈夫だって。放っておけば収まるから」

おずおずと伺うように口にした私の言葉に京太郎君が怯えるようにそう返しました。
さっきもそうでしたが、京太郎君は私にそう言った眼差しを向ける事に強い忌避感を抱いているようです。
それに大事にされていると思う反面、さっきよりももの寂しさが強くなっている気がするのはどうしてなのでしょう。

小蒔「…分かりました…」

とは言え、ここで強引に京太郎君に迫ったりなんて出来ません。
私がやるべきはあくまでもお手伝いであって、京太郎君の意に沿う事なのですから。
京太郎君が頑なに拒むのであれば、どれだけ気になってもそれを飲むべきでしょう。
そう言い聞かせながらも、私の中で寂しい気持ちが収まりません。


小蒔「じゃあ…先に行っていますね」
京太郎「あぁ…」

そんな気持ちを断ち切るように私はそっと振り向き、お風呂場へと向かいます。
そのまますりガラスの扉を開けば、床に岩盤を埋め込まれ、コンクリートで固められたお風呂場が見えました。
流石に露天と言う訳にはいきませんが、その空間は広く、十人程度であれば問題なく、足を広げて湯船に浸かる事が出来るでしょう。
外から来たお客様に『まるで温泉宿みたい』と好評頂いているそれは、この屋敷の自慢の一つでもありました。

小蒔「(でも…どうすれば良いんでしょう…)」

普段ならば、まず掛かり湯をしてから湯船に浸かり、それから頭や身体を洗うのが習慣でした。
しかし、今の私がお風呂場にいるのは決して、自分の身体をさっぱりさせる為ではないのです。
今も脱衣所で悶々とした気持ちを抱えているであろう京太郎君を綺麗にするのが目的なのですから。
それを思えば何時も通りに振る舞う気持ちにはどうしてもなれず、入り口でポツンと立ち尽くしてしまいます。

小蒔「(何時までもこうしている訳にはいきませんし…)」

こうして入り口に立っていると後からやってきた京太郎君とぶつかってしまうかもしれません。
それにお風呂場は休みなく流れだす温泉が注がれて暖かいとは言っても、冷えた四肢を温めるほどではなかったのです。
このまま立っていると風邪を引きかねませんし、気が進まなくても先にお風呂に入るべきなのでしょう。
そう思いながら、私は大きな浴槽へと近づき、近くの桶でかかり湯を繰り返しました。


小蒔「ふぅ…」

そのままゆっくりと足をお湯へと浸らせた瞬間、私の口から吐息が漏れてしまいました。
じわりと足先から伝わってくる熱はそれほどまでに心地良かったのです。
私の四肢は思っていた以上に冷えきっていたのでしょう。
そう感じさせる自分の仕草に一つ笑みを浮かべながら、私は浴槽の中で腰を下ろしました。

小蒔「はうぅぅ…♪」

足先だけでなく、全身が温められている。
そのなんとも言えない優しい感覚に私の口から声が飛び出しました。
それが恥ずかしくて思わず入り口を見つめましたが、京太郎君がまだ入ってくる気配はありません。
それに一つ安堵の溜息を漏らしながら、私は温泉の暖かさに身を委ねていたのです。

小蒔「(でも…ここは暖かいってものではなくて…)」

そんな私がそっと触れたのは水着で覆われた胸の部分でした。
さっき京太郎君の背中に触れ、ジクジクと染みこむような熱を得たそこはまだ熱いままです。
温泉の熱よりも遥かに強いそれは優しい心地好さの中で私を責めているように感じるのでした。
しかし、それがどうしてなのか分からず、私は微かな満たされなさに悶々とした気持ちを広げます。


小蒔「(もっと…京太郎君に触れてもらえば分かるんでしょうか…?)」

そう思う自分が破廉恥であるという事に私も気づいてはいました。
だって…そんな風に殿方に触って欲しいだなんて…まるで痴女のような言葉なのですから。
もっとお淑やかに…優しく受け止めてあげるのが女性としてのあるべき姿でしょう。
しかし、そうと分かっていても、彼に触れて欲しいと思う私の欲求は止まりませんでした。

小蒔「(それに…京太郎君は受け止めさせてくれません…)」

それはきっと私が淫らなのではなく、京太郎君があまりにもつれないからでしょう。
お友達なのに…京太郎君が私に甘えてくれないから、私もその…ちょっと変な気持ちになっちゃってるんです。
京太郎君がちゃんと私に処理をさせてくれれば、きっとこんな風に思うことはありません。
い、いえ…ぜ、絶対、絶対です!
絶対、こんな風に思いません!
そんなはずないんですから!

小蒔「うぅ…京太郎君の馬鹿…」

勿論、それが彼に責任転嫁をするだけの言葉だと口走った私もまた理解していました。
けれど、彼のきっちり線引する姿勢が私の悶々とした気持ちの行き場をなくしているのは事実なのです。
私は…もっと京太郎君と仲良くなりたいのに、彼は男女間の区別をしっかりとつけている。
それは同じ年頃として凄いと思う反面、それが寂しいのも事実でした。


小蒔「(お友達じゃ…足りないのかな…)」

京太郎君とお友達になれば、もっともっと楽しい事が待っていると思っていました。
いえ、実際、こうしてお友達になった今、私は今までで一番、充実した日々を過ごしていると言っても良いでしょう。
京太郎君と一緒にいるだけで世界がキラキラとしていて、胸躍るのですから。
しかし…それを楽しむ一方で、こうした細かい部分で物足りなさを感じているのは事実です。
もっと彼が甘えてくれるような…そして私もまた甘えられるような…甘い関係になりたい。
それはまだ小さいものの、私の中で確かに芽生え始めている感情でした。

小蒔「(他の人には…こうはなりません…)」

霞ちゃんたちに向けるそれとはまた違った感情に私はほぅと熱の篭ったため息を漏らしました。
そのため息一つとっても、私が京太郎君に向けている感情が霞ちゃんたちのそれとは一線を画するものである証でしょう。
確かに霞ちゃんたちとも私は仲良くなりたいと思っていますが、それはこうした甘い疼きを伴った感情ではないのです。
もっと落ち着いたというか…穏やかというか…少なくとも、今の私のように衝動へと結びつくような事は決してありません。

小蒔「(けれど…それが男女間の差異かと言うと決してそうではない気がして…)」

私だって少女漫画くらい読んだ事があります。
そして、その作中に出てくる殿方に対して、格好良いと思ったことは一度や二度ではありません。
しかし、そんな彼らに対して、京太郎君と同じ気持ちが向くかと言えば、答えは否でした。
あくまで作中の人物であると言う割り切りを捨ておいても、京太郎君のように疼くようなものを抱える事はないのです。
勿論、京太郎君以外に男友達と言う関係を持たない私にとって、それは必ずしも言い切れる事ではありません。
しかし、どれだけ考えても、私が京太郎君以外にその感情を向ける様が想像出来ないのでした。


小蒔「(これってやっぱり…そういう事なんでしょうか…)」

私にもそれがどういう事なのか薄々、勘付いてはいました。
幾ら、私がそう言った知識に疎いとは言え、お友達と言う領域から外れすぎている事くらい分かるのです。
しかし、それが本当に私が思っているような『恋』と呼ばれる感情なのかは分かりません。
それを私が自覚するには、殿方と接した経験が少なすぎるのですから。

小蒔「(例え、そうでなくても…私は…)」

未だ自分で名前をつけられないその感情を育てて行きたい。
京太郎君との間で育み、慈しみ…そして私の中で花を咲かせたいと…そう思うのです。
そんな自分がに笑みが溢れるのは…きっと誇らしいからでしょう。
私の胸にあったのはついこの間まで…恋愛に憧れるしか出来なかった私とは思えないほど力強い言葉だったのですから。

— カラカラ

小蒔「あ…」

瞬間、入り口から聞こえてきた音に私は顔をあげました。
そうやって視線を向けた先には自分の足でしっかりと立つ京太郎君の姿があります。
一人思考に耽っていてアレからどれだけ経ったかは分かりませんが、もう大丈夫なのでしょう。
そう思った私はそっと湯船から立ち上がり、京太郎君の元へと向かいました。


小蒔「え、えっと…いらっしゃいませ?」
京太郎「何か盛大に間違ってる気がする…」

「でも、お世話になります」と笑いながら返してくれる京太郎くんに私は笑みを浮かべました。
その返し方は何時もの彼のもので、そこにはもうぎこちなさは見えません。
流石に緊張していない訳ではないのでしょうが、さっきの悪影響は無いと見て良いでしょう。
それに一つ胸中でため息を漏らしたのは安堵か、それとも残念だった故か。
自分でも分からないままに私はそっと京太郎君の手を取りました。

小蒔「じゃあ、こちらへどうぞ」
京太郎「あぁ」

そう言って先導する私の後ろをよたよたと拙い足取りで京太郎君が着いてきてくれます。
何処かペンギンさんを彷彿とさせるそれは視界が大きく制限されているからなのでしょう。
それを申し訳なく思う反面、可愛く見えてしまって仕方がありません。
京太郎君はそう見られる事を望んでいないと分かっているのですが、ついつい可愛くて頬が緩んでしまうのです。

京太郎「小蒔?」
小蒔「あ、何でもないですよ」

タオル越しにそんな私の気配を感じ取ったのでしょう。
京太郎君は尋ねるように私の名前を呼び、首を傾げました。
その様もまた可愛らしく思えた私は、自分の笑みを抑えながら、偽りの返事を返します。
そうやって嘘を吐くのを申し訳なく思いますが…これはあくまでも京太郎君を傷つけない為の優しい嘘。
それくらいは許すべきでしょう、と自分に言い聞かせた瞬間、私の足は湯船へとたどり着いていました。


小蒔「じゃあ、掛り湯していきますねー」
京太郎「あいよ。頼む」

そう言って膝を折るようにして屈んだ京太郎君に私は足元の桶でお湯を汲み、肩から優しく掛けて行きます。
それにブルリと微かに肌が震えたのは京太郎君の身体もまた私と同じように冷えていたのでしょう。
そう思うと妙に嬉しくなって、私はついつい抑えていたはずの笑みを零してしまいました。
そんな自分を戒めながら、私は二度三度と京太郎君へと掛り湯を垂らしていくのです。

小蒔「ぁ…」カァァ

それが五回目ほどに達し、京太郎君の身体がお湯で暖まった頃、私は自分の眼下にある光景に気づいてしまいました。
真っ白なバスタオルが水分を含んで重くなり、ぴっちりと京太郎君に張り付いているのです。
無論、股間にある…その…殿方の大事なものもそのラインを浮き立たせ、微かに透けてさえいました。
白い布地の向こうに透けるそれは京太郎君の肌とは比べ物にならないくらい浅黒いものでした。
まるで別の生き物がそこについているようなそれに私の視線はまた引き寄せられてしまうのです。

京太郎「??」
小蒔「な、なななな…何でもないです!」

そんな私の前で首を傾げる京太郎君はいきなり動きが止まった私を訝しんだのでしょう。
それを誤魔化す為に紡いだ私の声は分かりやすい狼狽を浮かべ、震えていました。
誤魔化すどころか、逆に疑念を大きくするであろうそれに私は内心、頭を抱えますが、もう過去はどうにもなりません。
それなら京太郎君に勘付かれてしまう前に、有耶無耶にしてしまおう。
そう思った私の手が桶を置き、彼の手をそっと掴んだのでした。


小蒔「そ、それよりほら、早く入りましょう?京太郎君も寒かったですよね?」
京太郎「いや、それはそうだけど…」
小蒔「ほらほら、遠慮しちゃダメですよ!足を上げて…そう。そこが縁になりますから…滑らないように」

そうやって京太郎君を誘導していると少しの間、恥ずかしさを忘れる事が出来ます。
それが有難い反面、ちゃんと誤魔化せているか不安でドキドキが止まりません。
ふ、不安であって…絶対に…ぜええったいに興奮なんかじゃないのです。
私は…そんなに淫らではしたない女じゃありません。

京太郎「は…ぁあ…」
小蒔「くすっ」
京太郎「あ、笑ったな」
小蒔「ふふ、笑っちゃいました」

そう言い聞かせる私の前で京太郎君の身体が湯船に沈んでいったと思った瞬間、彼の口から熱いため息が漏れました。
私の時とまったく変わらないそれに、ついつい笑みを浮かべながら、私もまた膝を折るのです。
そのまま京太郎君の横へと座った私は、彼の手をゆっくりと湯船の中に離します。
それがブルリと震え、心地好さを感じているのを確認しながら、私も口を開きました。

小蒔「でも、安心して下さい。私も同じ事をやってましたし」
京太郎「やっぱりか」
小蒔「えへへ…だって、寒い時のお風呂って格別ですもん」

そろそろ冬が目前に迫ってきた今の時期。
お布団も大好きですが、お風呂の魅力も侮れません。
身体の芯からじっと温まるようなそれに抗える人は少ないでしょう。
実際、皆で一緒にお風呂に入ると霞ちゃんだって同じようにため息を吐くくらいなのですから。


京太郎「そんなに寒かったなら、何も最初から水着でなくたって良いだろうに」
小蒔「だって…京太郎君を喜ばせたかったんですもん」

呆れるように言う京太郎君の言葉は正論でしょう。
私だってそれがまったく思いつかなかったなどとは言いません。
しかし、例え京太郎君とは言え、殿方の前で脱ぐのは恥ずかしいですし、何よりインパクトがありません。
口頭で水着の存在を伝えられるよりも、スケベな京太郎君は目の前で突然、水着姿を見せられる方が喜んでくれる。
そう思ったからこそ、私は肌寒いながらも、それを着こみ、京太郎君の部屋へと向かったのでした。

京太郎「喜びすぎてやばいくらいだけどなぁ…」
小蒔「襲っちゃいそうです?」
京太郎「襲わない為に色々、我慢してるの」
小蒔「ひゃうっ」

そう言って京太郎君はびっと指先でお湯を弾くようにして、掛けてくるのです。
それに思わず声をあげてしまった私に何となく悔しさが湧き上がって来ました。
勿論、それは京太郎君なりの照れ隠しだと分かってはいますが、やられっぱなしはやっぱり悔しいです。


小蒔「もう…やりましたね…!」ビッビッ
京太郎「ふふふ、俺にはタオルと言うバリアがあるから通用せんよ」
小蒔「ひ、卑怯です!」

しかし、そうやって反撃しようとしても京太郎君の顔には真っ白なタオルが掛かっているのです。
視界を覆うそれが水分をすぐさま吸い取り、彼の肌へと届かせません。
それが悔しくて声をあげるものの、私の頬は緩んでいました。
こういったごっこ遊びめいたやり取りも京太郎君と一緒なら、とても楽しい事なのですから。
悔しいと言う気持ちはありますが、それ以上に私は今、楽しんでいたのです。

京太郎「ふぅははははー卑怯で結構!この世界では勝てば全てが肯定されるのだよ、神代小蒔」
小蒔「じゃあ、そのタオル外しますね」
京太郎「あぁっ!ごめん!やめて!それはやめて!!」

それでも偉ぶった京太郎君のセリフが悔しくて、そっと手を伸ばします。
それを感じ取った彼がすぐさま謝罪し、逃げるように首を振るうのでした。
たった一言で逆転する力関係が面白くて、私はクスリと笑みを浮かべるものの、やっぱりそこまでする必要があるのか気になります。
別に京太郎君を先導するのが嫌だったり面倒だったりする訳ではないのですが、彼は水着姿の私と一緒にいても最初以外は殆ど普段のままでした。
そう思うとどうしても警戒しすぎではないかと思ってしまうのです。


小蒔「もう…気にし過ぎだと思うんですけど」
京太郎「だからって用心するに越した事はないだろ」

それをそのまま口にした言葉は京太郎君にすげなく躱されてしまいました。
確かにそうなってしまった時の事を考えるに、その言葉は正しいと私も思うのです。
けれど、その一方で、これまで私の提案を却下し続けている京太郎君に限って、そんな事はないと思うのもまた事実でした。

京太郎「それに今だって結構、我慢してるんだぜ?」
小蒔「別に…普段通りに見えますけれど…」
京太郎「いや、実は結構、ドキドキしてる」

そう言う京太郎君の表情は到底、そうは見えません。
勿論、その顔の殆どがタオルで隠れているとは言え、口調も普段通りの穏やかなものなのですから。
多少、興奮しているかもしれませんが、それはお風呂で暖まっているからだと言える領域です。
少なくとも、私が見る限りではドキドキしているようには思えません。

小蒔「(むぅ…何となく悔しいです…)」

私は…正直、ドキドキしていました。
こうして京太郎君と一緒にお風呂に入っているという状況もそうですし、何より、その…と、殿方のアレをタオル越しとは言え、見てしまった余韻がまだ残っているのです。
そんな私の鼓動はさっきからドクドクと脈打ち、鼓膜を震わせているくらいでした。
それなのに私が外見だけでも平静が保てるのは、京太郎君が何時も通りの姿を晒しているからです。
微かに余裕すら感じさせるその姿に有難いと思う反面、嘘じゃないか確かめて見たいと思うのは当然の事でしょう。


小蒔「じゃあ、胸…触っても良いですか?」
京太郎「な、何で!?」
小蒔「だって…信じられないですもん…」

そんな私の言葉に何故か京太郎君は強い焦りを見せました。
それを見た私の中でまたも疑念が強くなっていくのです。
本当にドキドキしているのならば、ここまで焦る事はないでしょう。
ドキドキしていても、あんなに普段通りの姿を見せられるのですから。
しかし、私の目の前で狼狽を表す京太郎君にはさっきの冷静さはありません。
それにジトーと疑いの眼差しを向ける私の前で、京太郎君はコホンと一つ咳をしました。

京太郎「あのですね、小蒔さん。あんまり年頃の女性が野郎の胸を触りたいとか言っちゃダメですよ」
小蒔「うー…でも…」

言い聞かせるような京太郎君の言葉は当然のものです。
さっきのそれは到底、淑女らしいものとは言えないでしょう。
しかし、そう分かっていても、私は京太郎君のドキドキを知りたかったのです。
もし…独りだけ意識しているだけだったらどうしようと…私のドキドキが一方通行だったら…どうしようと…そんな不安すら沸き上がってくるほどに。


京太郎「あー…もう…ちょっとだけだからな」
小蒔「京太郎君…」

そんな私の不安を感じ取ってくれたのでしょう。
京太郎君は諦めたように首を振りながら、大きく譲歩してくれました。
それに一つ胸の高鳴りが強くなったのを感じながら、私は彼の名前を呼びます。
しかし、京太郎君はそれに答えるどころか、微動だにしません。
その姿に我儘を言いすぎて怒らせてしまったのかと思った瞬間、私は京太郎君が歯を食いしばっている事に気づいたのです。

小蒔「(これ…我慢しようとしてくれてるんですね…)」

ぐっと力を込めて、食いしばろうとする表情。
それは私に京太郎君が嘘を吐いていない事を教えてくれました。
彼は本当に…ずっと我慢を続け、そして平静を装い続けてくれたのです。
それは勿論、見栄の為でもあるのでしょう。
しかし、それだけではないと思うのは…そんな京太郎君を見て、落ち着きを取り戻した自分がいるからです。
もしかしたら、自分の為だけではなく、これから入浴の世話をする私の為だったのかもしれない。
そんな思考が、すっと私の胸へと落ちていきます。

小蒔「(でも…今更…後には引けません…)」

例え、それが事実であったとしても、私は京太郎君に我儘を言い、彼もまたそれを受け入れてくれたのです。
それをここで『やっぱりなしにして下さい』とは、言えません。
それに…私自身、確かめたい気持ちがなくなった訳ではないのです。
京太郎君が我慢してくれているのが伝わってくる表情を見ても…その胸に触れて…直接、ドキドキを感じ取りたかったのでした。


小蒔「し、失礼します…」
京太郎「う…」

そう一言断ってから、私はそっと指先を京太郎君の胸板に触れました。
瞬間、私とは違う熱がじっと伝わり、私の中を暖めてくれるのです。
湯船に今も流し込まれているお湯とはまた違ったその熱は、私にさっきのハプニングを彷彿とさせました。
それに私の顔がさらに熱くなっていきますが、私は京太郎君から手を離す事が出来ません。

小蒔「(これ…凄い…熱いです…)」

今も私の胸の中でズキリと疼くような熱に酷似した感覚。
それが指先から這い上がり、私の胸のドキドキも高まっていきます。
それはきっとドクドクと力強く脈打つ京太郎君の心臓も無関係ではないのでしょう。
指先から今も伝わってくるそれに私の心臓も共鳴し、京太郎君に高められていくような錯覚すら覚えました。

京太郎「わ、分かったか…?」
小蒔「…ぅー…」

そんな私にポツリと紡がれた京太郎君の言葉に私は逡巡を感じます。
京太郎君のドキドキはもうコレ以上ないくらいに伝わてきていました。
それに身体が共鳴するようにさえ感じる私が京太郎君に触れている理由はもうないでしょう。
既に目的を果たしている以上、普通にお礼を口にして、離れれば良いだけなのですから。
しかし…私にはそれがどうにも選びがたいものに思えるのです。
ここで…分かってしまうと…もう京太郎君には触れられない。
そう思うと…どうしても、正直になる事は出来ませんでした。


小蒔「わ、分からないので…もうちょっと良い…ですか?」
京太郎「ちょ、ちょっとだけだぞ」
小蒔「わ、分かってます…ちょっとだけ…ちょっとだけ…」

しかし、そう言いながらも私の手は少しずつ京太郎君へと触れていくのです。
最初は指先であったそれが、手のひらを押し付けるようなものへ。
すっと京太郎君の胸を押すようなそれに鼓動の音が大きくなりました。
京太郎君もまた…私が触れている事に興奮しているのかもしれない。
そう思った瞬間…私はもっと京太郎君に触れたくなって仕方なくなるのです。

小蒔「ん…♪」
京太郎「あ、あれ…?こ、小蒔…?」

それに背を押された私がそっと手を離した瞬間、京太郎君が私の名前を呼びました。
けれど、私はそれに答えないまま、そっと身体を京太郎君の方へと近づけます。
視界を塞がれた京太郎君にとって、それは感じ取れるものではあれど、意図が分かるものではないのでしょう。
不思議そうに首を回しながら、疑問をアピールしていました。

小蒔「えい…っ♥」
京太郎「ぬおぁああ!?」

そんな京太郎君に顔を押し当てるように抱きついた瞬間、彼の口から叫び声が飛び出します。
まるで何かの鳴き声のようなそれは京太郎君が驚いている何よりの証左でしょう。
実際、私も…こんな大胆な事をしている自分に驚きを禁じ得ないのです。
ですが…私のドキドキは…もう止まれません。
もっと深いところで…もっと強く…そしてもっと激しく…京太郎君を感じたくて仕方がないのでした。


京太郎「こ、ここここここ小蒔ぃ!?」
小蒔「京太郎君…凄いドキドキしてます…♪」

そんな私が京太郎君の胸に触れた耳。
それに伝わってくる鼓動の音はさっきよりも激しいものでした。
それはこうして耳が近づいた所為なのか、或いは抱きついた私に興奮してくれているのか。
どちらかは分かりませんが…どちらであっても私にとって嬉しい事には変わりありません。
それだけでクスリと笑みを浮かべながら、私は京太郎君の背に回した腕に力を込めるのです。

京太郎「そ、それは良かった…んだけど!だけど!それなら離れてくれないか…!?」
小蒔「そう…ですね…離れないと…ダメ…です…♪」

京太郎君の狼狽まみれの言葉に同意を返しながらも私の腕は緩む事はありませんでした。
不自然にしなだれかかるような姿勢になった私を支えるようにしてがっちりと押さえ込んでいるのです。
とは言え、それは所詮、女の力。
京太郎君がその気になれば、突き放す事も不可能ではないでしょう。
しかし、彼は口ではそう言いながらも、そんな気配は見せません。
きっと京太郎君も嫌がっている訳じゃない。
それにはしたない自分が許された気がして、私はそっと目を閉じていきました。

小蒔「(暖かくて…心地…良い…です…♪)」

京太郎君と初めて会ったあの日の夜。
感極まった私は京太郎君に抱きつき、その服を涙で汚してしまいました。
その時だって、私はとても安心して、暖かな気持ちになっていたのです。
しかし、今、こうして私が味わっているそれは、かつてのものとは比べ物になりません。
触れている場所全部がまるで幸せになったようにポカポカして…今にも眠りに堕ちてしまいそうなくらいなのです。


小蒔「(もう離れたく…ありません…っ♥)」

今まで味わったどんなものよりも甘美な熱に私の心はそう叫びます。
こんなにも素晴らしいものが世の中にあったなんて知らなかった私はそれを手放せなくなってしまったのでした。
そんな自分に対して、『いけない』と思う気持ちはあれど、決定的な抑止力にはなりえません。
京太郎君もまた…拒んでないのだから、別に良い。
どうしてもそんな気持ちが浮かび…はしたない自分を許してしまうのです。

小蒔「んぁ…っ♪」

耳を京太郎君の胸板に押し当てる都合上、下腹部へと向けられていた私の乳房。
そこに何かが押し上げてくる感覚に私は思わず声をあげてしまいました。
普段よりも幾分、敏感になった私の肌はグイグイと大きくなる硬い何かを強く感じてしまったのでしょう。
触れた部分にも疼くような熱が残り、鼓動にばかりに目を向けていた意識がそちらへと引っ張られるのを感じました。

小蒔「(これって…)」

そんな間にもどんどん大きくなっていく硬い何か。
それは私の水着を滑るように移動しながらも、おっぱいを押しこみ始めていました。
自然、ジクジクとした熱が私の肌に広がり、妙な気持ちが強くなっていくのです。
さっきも感じた…お股を擦れ合わせたくなるそれに私の目は開き、視線がそっと下へと向きました。


小蒔「ん…?」

しかし、私の乳房が視線を遮り、下で何が起こっているのか私には分かりません。
それを本当に知ろうと思えば、京太郎君から離れるしかないでしょう。
ですが、感じたことのない暖かな感覚の中にいる私にとって、それを選べるはずがありませんでした。
気になるのは確かですが、きっと大した事はない。
そう言い聞かせるように思考を打ち切りながら、私はまた目を閉じようとして… ——

京太郎「こ、小蒔…これ…やばいから。本当に…やばいから…!!」
小蒔「そう…ですね…危ない…です…♥」

そこで届いた京太郎君の言葉にそう返すものの、何が危ないのか良く分かってはいません。
だって、私は今、とっても幸せで…ポカポカしているのですから。
それなのに…危ない事なんてあるはずがないのです。
例え、あったとしても…そんなものは私の王子様である京太郎君がきっと何とかしてくれるでしょう。

京太郎「あ、当たってるんだって…もう…これ…当たってるから!」

そう思った瞬間、私の耳に泣きそうな京太郎君の声が届きました。
しかし、私にはどうして京太郎がそんな声をあげるのかがまったく理解出来ません。
京太郎君だってこんなにドキドキしているのに…どうしてそんなに辛そうなのでしょう。
もしかして、私がうっとりしている間に誰か来て、怒られているのかもしれない。
そう思って、意識を周囲に向けましたが、私の耳に届くのは私たちの鼓動とお湯が流れこむ音だけでした。


小蒔「(まるで…世界に…私達しかいないみたい…♪)」

あの日、京太郎君の部屋へと忍び込んだ夜にも思ったそれに私の笑みは深くなりました。
とろけるような色を強くするそれに私が自分が今、どれだけ幸せなのかが伝わってくる気がします。
けれど、それは私だけであり、京太郎君にとってはそうではない。
それに幸せだったはずの心に黒いものが差し込んでくるのを感じました。

小蒔「(ダメ…ですよね…幸せは…二人で…共有しないと…♪)」

辛い事は二人で分け合い、楽しい事は高め合うのがお友達なのです。
そして…それが出来ないからこそ…私は霞ちゃんたちと本当の意味でお友達になる事が出来ません。
そんな私にとって…京太郎君は唯一無二のお友達であり、とても大事な人。
最早、お友達という関係ですら満足出来なくなりつつある彼の悲しさも…私が受け止めてあげたい。
心に出来た黒点に背を押されながら、そう思った私の口がそっと開いていくのです。

小蒔「大丈夫…ですよ…私がお側に…いますから…♥」
京太郎「い、いすぎだから!いるからダメなんだって!!」

しかし、それが京太郎君にとって不満の種だったようです。
とは言え、どうして泣きそうな声をあげるほど不満なのか私の理解は及びません。
いえ…本当は…内心、薄々、理解しつつあるのです。
どれだけ頭の中までうっとりしていても…私の思考は止まらずに動き続けていたのですから。
そんな私の頭が弾きだした答えは…『本当は迷惑がられている』と言う…信じたくないものだったのです。


小蒔「(嫌…っそんなの…嫌です…!!)」

それに心の黒点がぶわりと膨れ上がり、私へと牙を向きました。
寂しさや悲しさの入り混じったそれは、悪いモノに乗っ取られないようにするのが精一杯なくらいに大きいものです。
その上、さっきの暖かなそれを丸呑みにしようとするほどにその勢いは激しく、私の胸が大きく揺れ動きました。
その苦しさに耐え切れなくなった私は京太郎君へと回した腕に力を込め、縋るように抱きついてしまうのです。

小蒔「(お友達でさえなくなってしまったら…私…私…)」

勿論…私は今も京太郎君に一杯、迷惑を掛けています。
恥ずかしい事を言わせた事なんて一度や二度ではありませんし、さっきなんて異性には決して見られたくない所にまで追い込んでしまったのですから。
そんな私を迷惑だと…邪魔だと思うのはきっと当然の事なのでしょう。
しかし…そう共感を浮かべる一方で…それに耐え切れない私もいました。
もっと頑張りますから…見捨てないで下さい。
もっと尽くしますから…離れないで下さい。
もっと支えますから…突き放さないで下さい。
そんな言葉が止まらずに、グルグルと渦巻く私の肩にぐっと何かが掴みかかりました。

京太郎「小蒔!」
小蒔「ぅあ…っ」

そのままぐいっと私を離す力はとても強いものでした。
利き腕に罅が入っているとは思えないほどの…男らしい力。
それは普段であれば快方に向かっている証として私は歓迎する事が出来たでしょう。
しかし、今の私は…それが堪らなく悲しく…そして辛いのです。
だって…そうやって力を込めるくらい…私が拒絶されているという証なのですから。


小蒔「や…ぁ…やだぁ…」
京太郎「…落ち着いて下を見てくれ…」

それが嫌で両手を京太郎君の方へと向ける私の耳に震える彼の声が届きました。
それは不思議なほどに拒絶の色がなく、寧ろ羞恥の感情で満ちていたのです。
それに泣き出しそうな心の荒波が少し落ち着き、涙も引っ込んでいきました。
けれど、未だ心の安静が得られない私の顔は俯き、そして『それ』を目にしてしまうのです。

小蒔「…え…?」

そこにあったのはバスタオルでした。
本来ならばマナー違反と呼ばれるタオルをお湯へと浸ける行為。
それをこうして犯しているのは、京太郎君の股間を隠す為です。
しかし…それが今、ピンと張って、今にも解けそうになっていました。
それは勿論…タオルの奥でその……アレが…大きくなっているからで… ——

小蒔「(さ、さっきのってもしかして…)」

その光景を見た瞬間、私はさっきの不思議な感覚の正体を理解しました。
さっき私の胸を押し上げていたのは…と、殿方の大事なアレなのです。
けれど…私はそれを知らず、些細な事を思考を投げてしまった。
それが…そもそもの行き違いの原因なのでしょう。

小蒔「(さっきから…京太郎君が辛そうだったのも…)」

私が誤解していたように…迷惑がっていたからなどではないのです。
ただ、その膨らみを私へと押し付けているのが恥ずかしく、そしてまた自分の欲望から私を護ろうとしてくれたが故。
それを…私は勘違いして…対抗心を燃やしたり…泣きそうになったりしていたのです。


小蒔「あわ、わわわ…あわわわわ…」
京太郎「お、落ち着け!だ、大丈夫だ!問題ないから!!」

それに申し訳なさと恥ずかしさが入り混じり、困惑へと変わる私の前で京太郎君が力強くそう言いました。
しかし、その声もまた羞恥と困惑が強く、京太郎君もまた平静でない事を私に伝えます。
いえ…誰だってこんな状況で平静でいられるはずなどないのです。
特に…自分がやってしまった事の重大さとあまりにも恥ずかしすぎる誤解に気づいてしまった私が耐えられるはずがなく… ——

小蒔「ふ、ふにゃあ…ぁ」プシュー
京太郎「こ、小蒔ぃぃい!?」

そのまま思考がオーバーフローし、久しぶりに意識が黒く染まっていくのを感じた私の耳に京太郎君の声が届きました。
私を強く心配し…案じてくれている優しい声。
そこには私が心配していたような厭うものはまったくありません。
それに安堵を感じた瞬間、崩れ落ちる私の身体を京太郎君が抱きとめてくれました。

小蒔「(あ…ぁ…良かった…ぁ…♪)」

それにようやくさっきのそれが誤解であったと言う実感が湧き上がり、私の胸に出来た黒点がすぅっと消えていきます。
そんな黒点に引っ張られるようにして意識も遠のいていきますが、私には不安はありません。
だって…私が一番、信じている人が私の身体を抱きとめてくれているのですから。
京太郎君が私の事を支えてくれているのならば、きっと…ううん、絶対に大丈夫。
そう強い信頼感と安堵を混ぜ合わせながら、私の意識は遠のき、身体を完全に脱力させたのでした。





………



……








とは言え、それからの事に苦難がなかったかと言えば、そうではありません。
数十分もした頃には私の意識も戻りましたが、京太郎君も私も平謝りして話がまったく進まなかったのです。
遥かに私の責任が重大だったと思うのですが、京太郎君は譲ってはくれませんでした。
私を気絶させてしまった事とお、大きくなったそれをすぐさま伝える勇気がなく、ズルズルと先延ばしにした事を謝り続けていたのです。

小蒔「(まぁ…それはお互いに水に流す事にしたのですが…)」

しかし、それで全てが忘れられるはずがなく、その後も私たちはぎこちないままでした。
ちゃんと身体や髪を洗う事は出来たと思うのですが、ろくに会話がなかったのです。
お互いに最低限の言葉を交し、確認に終始するそれは悲しくなるくらい事務的でした。
ですが、それを打破するアイデアは私にはなく、結局、私たちはこうして京太郎君の部屋に帰るまでぎこちないままだったのです。

京太郎「あ、有難うな。お陰ですっきりしたよ」
小蒔「そ、そう…ですか…」

それがダメだという気持ちは京太郎君にもあるのでしょう。
部屋にある座布団に腰を下ろしながら、京太郎君はそう言ってくれました。
しかし、私はそれをそのまま打ち返すだけで、ろくに話を広げるような返し方が出来ません。
そんな自分に自嘲の言葉が胸中に浮かびますが、未だ後悔で固まる思考はろくなアイデアを紡いでくれませんでした。


小蒔「(う、うぅ…どうしたら良いんですかぁ…)」

本当ならばさっきのそれは千載一遇のチャンスだったはずなのです。
しかし、私はそれを活かせなかったどころか、思いっきり潰してしまいました。
それに心にズシンと重くのしかかるものを感じながら、私は胸中でため息を吐きます。
ですが、そうやってため息を吐いたところで名案など浮かぶはずはなく、私は京太郎君の隣に座りながら肩を強張らせていました。

—ブルル

小蒔「ひゃう!?」ビクンッ

そんな私の耳に唐突に届いた振動音。
それに肩を跳ねさせながら振り向けば、そこには畳に投げ出された携帯がありました。
それは勿論、携帯を買い与えられていない私のものではなく、この客間の主である京太郎君のものです。
それを私はぎこちない動きで拾いあげ、ボタンを操作して振動を止めました。

小蒔「あ…メールみたいです」
京太郎「ん…誰からだ?」
小蒔「…上重さんですね」

そう言って京太郎君に手渡した携帯には上重さんからのメールが既に開かれていました。
その内容が気になる事は確かですが、京太郎君向けに送られたそれをジロジロ見るほどいやしい女ではありません。
それに…どの道、返信する時にその内容は文面として残り、私にも見えてしまうのですから。
それを思えば、今すぐ気にするものではない。
そう思いながらも…画面をスクロールさせ、嬉しそうにする京太郎君の顔を見るのは面白くありませんでした。


小蒔「(今は…私と一緒なのに…)」

それなのに…京太郎君は私に対してぎこちなく、そこにいないメールだけの相手に笑顔を向けているのです。
勿論…それはさっき私がちゃんと京太郎君の気遣いに応える事が出来なかった所為でしょう。
もっと言えば…それよりも遥か前に…私が気づいていれば、こんなぎこちない風にはならなかったのです。
しかし…そうと分かっていても、私の中のモヤモヤは収まりません。

小蒔「(それはきっと…上重さんが、京太郎君の『被害者』である事と無関係ではないのでしょう…)」

勿論、それははっきりと上重さんがメールに書いていた訳ではありません。
しかし、京太郎君の能力を知っていたり…京太郎君がその様子をとても気にしていたりしているのです。
それら一つ一つだけならば、気にはならなかったでしょうが…それらがいくつも重なれば疑念も覚えるのでした。
そして、その疑念を重ね、半ば確信に至った私にとって、それは嫉妬を向ける事柄であったのです。

小蒔「(私は…京太郎君の『被害者』にも…『加害者』にもなれていないのに…)」

そう思うのは…きっと普通ではない思考なのでしょう。
本来ならば、そのどちらにもならない関係の方が正常なのですから。
しかし…私にとって京太郎君が『被害者』である事を、私は忘れた訳ではありません。
ずっと心の中に残り続けているそれは…しかし、私の一方通行な関係なのです。

小蒔「(私も…傷をつけて欲しい…)」

例え、どんな傷でも京太郎君につけられるのであれば、私はソレを受け入れる事が出来るでしょう。
だって、私は既に京太郎君にとても酷い傷を負わせてしまっているのですから。
寧ろ…そうやって傷つき、傷つけあう事で、お互いの絆は深まり、強固になっていく。
それが歪な思考であると理解していても…どうしてもそう思うのは否定出来ませんでした。


小蒔「(う…うぅ…私…どんどんズルい女になってます…)」

ただのお友達だけでは飽きたらず、京太郎君と仲の良い人の立ち位置まで奪おうとしているのですから。
しかも、その為に京太郎君の善意を踏みにじり…良心を利用しようだなんて…ズルいにもほどがあるでしょう。
そんな自分に呆れながらも、止められない自分に私は胸中でため息を吐きました。

小蒔「(で、でも…流石に一緒にお風呂に入ったり…京太郎君の…その…大事なモノまで見てませんよね…?)」

瞬間、湧き上がった言葉に私の頬はぼっと熱くなりました。
しかし、その一方で上重さんに対する羨ましさがすぅっと引いていくのが分かるのです。
アレだけ親しげな上重さんですら知らない事を…私はもう知っている。
それに浅ましい優越感が胸を満たすのを感じながら、私はぐっと握り拳を作りました。

京太郎「あ、小蒔。返信頼めるか?」
小蒔「は、はい!」

そんな私に告げられる京太郎君の頼み。
それに返す私の言葉にはさっきのようなギクシャクしたものはありませんでした。
流石にもうまったく気にしていない訳ではありませんが、お風呂での一件は私の自信へと繋がったのです。
それはちょっと…いえ、かなり間違った自信でありますが…今はそれほど大きな問題ではありません。
それよりも京太郎君との間にぎこちなさがなくなった事の方が遥かに重要なのです。


小蒔「え…?」

しかし、そんな気持ちは京太郎君から受け取った携帯を見て吹き飛んでしまいました。
そこにあったのは上重さんとお風呂に入っていた事もあるような記述だったのです。
勿論…微かに匂わせる程度であって、決定的なものではありません。
しかし…それでも私の中の自信を揺るがせるのには大きなものであったのです。

京太郎「小蒔?」
小蒔「え…あ…大丈夫です」

その衝撃に思わず呆然とし、携帯の画面を見つめる私。
それに気遣うような京太郎君の声が届いた瞬間、私は反射的にそう返してしまいました。
どれだけ衝撃を受けていたとしても、こうして呆然としている訳にはいきません。
左手の親指に大きな罅が入り、日常生活はともかく、メールの返信が不可能となった京太郎君の手助けは私の仕事なのですから。
今は…今だけはそれに専念して、メールを打ち続けるべきです。

小蒔「(そう…それなのに…)」

京太郎君の言葉をそのままメールへと返る作業には随分と慣れました。
流石に霞ちゃんたちみたいに手早く打てるほどではありませんが、最初の頃のように詰まったりはしません。
しかし…その所為で私の頭は別のことを考える余裕と言うものを持ってしまうのです。
すなわち…京太郎君が私だけでなく…上重さんとまでお風呂に入っていたという可能性を。


小蒔「(そ、そんな事ありません…!)」

そうやって一緒にお風呂に入るなんて、それこそ恋人でもしないような事なのです。
私だって、京太郎君が怪我をしていなければ…こうして一緒にお風呂に入る機会なんてあり得ませんでした。
いえ…あったとしても、意外と理性的な京太郎君に拒まれ、結実しなかったはずです。
そんな彼が…私以外の女性と…しかも、怪我もしていないのにお風呂に入っていただなんて…にわかには信じがたい事でした。

京太郎「…よし。じゃあ、それで送ってくれ」
小蒔「はい…」

そんな事を考えている間にメールの作成は終わっていたのでしょう。
私が打った文面を確認し終わった京太郎君の言葉に私は送信ボタンを押しました。
普段なら…そこで一仕事終えた満足感にぐっと握り拳の一つでも作っていた所です。
しかし、今の私は到底、そんな気分にはならず、そっと顔を俯かせてしまいました。

京太郎「小蒔、大丈夫か?」
小蒔「あ…」

私に…私だけに向けられる…優しいその視線。
それに胸が脈打ち…暖かいものを感じる反面…ぎゅっとそこが締め付けられてしまうのです。
まるでその視線に喜びながらも…それが私だけのものではない事を苦しむような痛みに、私の胸に与えられた熱が復活し、じわりと内側へと染みこんでいくのでした。

小蒔「(これを…上重さんも知っているんですか…?)」

京太郎君に触れられた時からずっと私の胸の内に残り続けた疼き。
それは世界で私だけしか知らないものだと…私は思っていました。
上重さんがどれだけ親しくても…この心地好さともどかしさが入り混じったそれを知りはしないだろうと…思っていたのです。
しかし、それも上重さんが知っているどころか、もっと遥か先のところまで進んでいるかもしれない。
そう思った瞬間、私の口は勝手に動き出し、『その言葉』を放ってしまうのでした。


















小蒔「京太郎さん。麻雀しませんか?」

















終わり。
次の投下はエロ描写入れるぞオラァ

姫様は別に痴女じゃないよ!
性的知識が少なくて、言われるまでエロい事か分からない上に、
住んでる場所の関係上、父親との接触もなくて、男の人に触れられた経験がないだけだよ!
お陰で京ちゃんとの接触に飢えて、ついついワガママになっちゃったり、勘違いしたりするけど、
根は純真で、頑張り屋で、甘えん坊だよ!!!!(※ただし、ヤンデレの気質あり)


この話の裏ではるるどうなってるんですかね?



上の雑談の話はしばらく大丈夫なんじゃない?
またそういう流れになったら雑談OKってことを伝えればいいし
まあ、雑談、過度な書き手と読み手の馴れ合い、J語とかが嫌な人がいるのはしゃーない
読みにくくなるっていう人もいるし
特に、J語は読みにくいというよりサムいってイメージだろうけど
クラスで流行ってる内輪ネタを他クラスが使って盛り上がってる的な
特にあきらかに野球見てない奴らが使うとJ語全然大丈夫な自分でもサムく感じるわ
SS速報では普通に使われてるけど他の板とかでは毛嫌いされるしな

ま、J語の話はおいといて
読みにくいとかはあくまで無料で読んでる読み手の我が儘だから書き手の>>1がちょくちょく言えば文句はでないでしょ

なんか長文になってしまった
失礼

姫様めんどくせぇと思ってしまった

姫様とは麻雀の前に関係持って、その後で麻雀して追撃みたいにはならんのかな?

>>720
そんなにお前らは病んだはるるの話がみたいのか。
いや、別に病んでる訳じゃないけど、今の俺がはるる視点から書くとすげー胸が痛くなる話にしかならんぞ?

>>721
ありがとうー。
これからもそれっぽい雰囲気になったら顔出すようにするよ。
なんJはたまについ使っちゃう時があって申し訳ない。
何度か注意されてるから止めないといけないってのは分かってるんだけどねー…。

>>723
お前は今更、何を言っているんだ。
そもそも姫様は初期から
・思い込み激しい
・夢見がち
・依存的
・嫉妬深い
・自信がない
と面倒くさい要素満載だぞ?
…なんかこうして箇条書きにするとすげぇメンヘラ臭く見えるな…。

そりゃまぁエロスレだから、エロに持ち込むには多少不自然でも強引さやメンヘラも必要でしょ

だから続きはやく。まだパンツ脱いだまま待機し続けるには寒い

>>725
そもそも京ちゃんが能力補正なしでその気にはなれないと思う。
まだ和や漫ちゃんにやった事忘れた訳じゃないし。
後、本来、自分の立ち位置だったはずのそれを姫様に奪われて、
しかし、申し訳なさから言い出す事も出来ず、そっと二人がイチャイチャする様を隠れて見つめるはるるとか
完全に裏目って姫様と京ちゃんが仲良くする度に胃を痛め、せめて何事もなく京ちゃんが帰るようにと日々祈る霞さん視点が見たいと申したか。
小ネタで取ればやるかもな!!(まさに外道)
あ、別にはるるや霞さんだけじゃなく、その頃の漫ちゃんとかでもオッケーです

>>729
今、ちゅっちゅしてる真っ最中だからもう数日待って。
後、展開的に強引に見えたか?
思いついた時には結構、自然な流れで麻雀に持っていけると思ったんだが…。


そして花田さんとダブるとか言ってすまんかったw

いや何というか、全てはエロの為って思うと純粋に見れないせいかもしれんが
能力のせいとはいえエッチするってそんな簡単なもんじゃない気がしてな




俺童貞だけど

あかん。こいつら俺を殺すつもりや…。
まぁ、本編投げ捨てて良いんだったら全部やるけどな!!
ついでに美穂子さんのロッカーの続きも書く。
後、一週間経ったら京ちゃんの我慢も限界に達して姫様を拒みきれなかったかもな。
その場合、京ちゃんの性欲処理が日課に追加されて、姫様は処女のまま手コキ、フェラ、パイズリとエスカレートしていくと。
そしてついに姫様の方が我慢出来なくなって、自分から裸になってオネダリしちゃうんですね。
後、九面も一枚岩じゃないから…女神五人と猿田彦は姫様の味方で、戦神二人と天孫が過保護的な勢力図です。

>>734
乙ありー。
後、とても魅力的な子の事教えてもらって嬉しかったから気にすんな!
寧ろ姫様の出来がこんなんでごめんな…。

>>735
まぁ、身持ちの固い女の子が、そうやって落ちちゃうくらい能力が強力なんだよ。
そうじゃないとスレが根底からひっくり返っちゃうしな!!!
まぁ、その辺は既に>>1に書いてあるんで、今更な話だった。すまない。
もっと開き直らないとダメやねぇ…。

なんでsage外れてるんだよぉ…(涙目)
↓小ネタ安価

咲ちゃんとらぶちゅっちゅ

小ネタ募集してたの?
はるるを幸せにしたい

>>739
確認なんだけど、らぶちゅっちゅだけのセクロスなし?
後、咲さんとかじゃなくて、咲ちゃんで良いんだよね?

>>741
すまん。真下だけのつもりだったんだ…。
はるるは二周目に色々と期待して下さい。
あるかどうかは知らんがな!!!(まさに外道)

後、お前らこんな時間にどっから湧いて出てくるんだよ…(震え声)

>>742
前は夢オチだったのでセクロスしてくれたら嬉しいけど、書きやすい方でー
咲ちゃんは咲ちゃん。それ以外には無い

美穂子さん続きあるんですかやったー
キャップなんて要らなかったんや

>>745
了解。じゃあ、セクロスまで頑張って書いていくね。
ただ、今のペースだと途切れ途切れで三日くらい掛かっちゃいそう。
後、明日投下出来そうにないからかなりズレこんじゃうかも。
すまんな。

>>748
美穂子さんの続きはある。
あると言ったが、今すぐ続きを書くとは言っていない。
その事を、どうか諸君らにも良く思い出していただきたい。
つまり我々がその気になれば、続きをやるのは十年、二十年先でも可能だと言う事を…!!
まぁ、安価取ってくれれば、俺も書きたいし、やるよ。
本編に向けてるノルマ全ブッコミでなぁあ!
まぁ、それまではちゃんと本編進めます。
小ネタはあくまでも本編外で適当に書いてるもんだから、心配しなくても大丈夫。
重荷になったらすぐに投げ捨てるし(ヘタレ)



後、酉付きで書き込んだならともかく、名無しでいる時のイッチを晒しあげにするのはやめてあげてください。
他のスレに萎縮して書き込めないようじゃ可哀想だし、何より俺も怖くて他のスレに書き込めなくなるだろ!!(逆切れ)

私、宮永咲はどうやらキス魔らしい。
どうやら、とからしい、と言うのは本人の自覚はあんまりない所為だ。
少なくとも誰彼かまわず、キスするタイプじゃないし、何時でも何処でもしたい訳じゃない。
私が無性にキスしたくなる時はたった一つで…そしてしたくなる人も一人だけ。

京太郎「ふぅ…咲、だいじょ…んっ!?」

そんな私をキス魔と不名誉な呼び方をする世界で唯一の人に私は今日もキスをする。
勿論、それはここが宮永家の玄関で、お父さんも今日は遅く、キスしても誰にも見られるはずがない、と分かっての事だ。
そうじゃなきゃ…幾らなんでもしないし…出来ない。
…文学少女は結構、シャイな生き物なのである。

咲「(京ちゃんは分かってくれないけど…さ…)」

須賀京太郎。
私の事をキス魔と呼ぶたった一人の人物で、そして私の大事な恋人。
思いやりに溢れた彼は、けれど、意外な所で鈍感である。
私がこうしてキスしたくなり理由なんてきっと気づいていないのだろう。
そうと分かっていても…私は京ちゃんの事が大好きで、愛しい。
多少の鈍感さくらい魅力的に思えるほど…京ちゃんは魅力的な人なんだから。

咲「(だから…不安になっちゃう…)」

勿論、私と京ちゃんが付き合っている事は多くの人が知っている。
麻雀部の皆もそうだし、クラスメイトの子だって知らない人はいないだろう。
そんな状態で京ちゃんに誰かが誘惑されると思っている訳じゃない。
例え誘惑されても京ちゃんはそれを突っぱねてくれるだろうって信じてる。
しかし、それでも…それでも私は不安になるのだ。
麻雀以外…ろくに取り柄のないような私が…本当に京ちゃんに愛されているのかと。

咲「ふぁ…ん…♥」
京太郎「ちゅ…」

勿論、京ちゃんはこうして私のキスに応えてくれる。
どれだけ突然でも、身を固くするのは一瞬で、自分から唇を出してくれるんだから。
それはきっと私とのキスを京ちゃんも嫌っていないという証なのだろう。
だけど…それでも不安になる。
京ちゃんが気づいていないだけで…実は結構…彼の事を好いていた人はいたんだから。

咲「(だから…ちゃんと…残さないと…)」

京ちゃんが私のものだって証を…味を…彼の唇に残す。
それが私が京ちゃんにキスしたくなる一番の原因だった。
結局の所…私の自信の無さが原因で…それがちょっぴり情けない。
でも、もうそんなの気にならないくらい…私の中でキスは癖になってしまっていた。

咲「(だって…京ちゃんのキス…甘い…♪)」

そうやって不安になる度に、京ちゃんとキスしてきた私はもう何百回とキスしている。
けれど、それほどキスをしても…まったく飽きないほど甘い。
勿論、唇を押し付けるだけのバードキスを繰り返している今、それは本当の味覚を刺激しているものじゃないんだろう。
でも…そうやって京ちゃんが私のキスに応えてくれていると思うだけで…心の中がトロリとしちゃって甘くなる。

咲「(あぁ…もう…京ちゃんの馬鹿…ぁ♥)」

ちょっぴりカサカサして私のものより若干、硬い京ちゃんの唇。
それがこんなに魅力的じゃなかったら、私はきっとこんなにキスの事を好きになってはいなかっただろう。
だから…私がキス魔になっちゃったのは京ちゃんの所為でもあるのだ。
こんなに魅力的で…ドキドキする唇をしてるから…私も離れられなくなっちゃうのである。

咲「(勿論…それが責任転嫁だって言うのは分かってるけど…)」

でも、そんな風に本心から思うくらい…京ちゃんの唇は素敵だ。
こんな唇の事を知られたら…他の誰かに奪われちゃうんじゃないかって思うくらい。
そして…その想像は私の不安を加速させ…もっと激しいキスを京ちゃんに望ませる。

咲「んふゅぅ…♪」

クチュリと音を立てて、私の唇は京ちゃんの口へと入っていった。
そのままレロエロと京ちゃんの口の中を這い回れば、ゆっくりと彼の舌が出てきてくれる。
私のより幾分幅広で、そして熱い粘膜。
それに飛びつくように絡みついた瞬間、私の頭がジィンと痺れた。

咲「(ふあ…甘すぎる…よぉ…♥)」

ドロドロの唾液でコーティングされた大きな舌。
それが私と踊るように絡み、クチュクチュと音を鳴らす。
それだけでもう私の頭はドロリと蕩け…理性が甘い汁になっていくのが分かった。
そして…そのお汁がトロトロと私の内面を下り…お腹の奥へと入っていく。

咲「(違う…もん…私…エッチじゃないから…)」

キスしてるだけでお腹の奥が熱くなり、もじもじとし始めてしまう自分を誤魔化すようにそう言った。
実際…京ちゃんの舌が唇以上にエッチなのがいけないのである。
さっきとは違う意味で、本当に甘い唾液が舌にはべったりとついているんだから。
それを夢中になって舐めている間に私の中がジンと痺れて、トロトロになっちゃうくらいそれはエッチだ。
正直、エッチなお薬か何かを京ちゃんが常に口に含んでいるんじゃないかってくらい…こうしてディープなキスをすると私はすぐにスイッチが入っちゃう。

咲「(それに…これ…凄い…エッチだけど…暖かいもん…♥)」

私の唾液と京ちゃんの唾液が舌の間で転がされ、交換されていく。
二人の唾液でカクテルと作り、お互いに塗りつけるそれはとても淫らで…そして倒錯的な味がする。
きっとそんな味を知っているのは世界でただ一人…私だけ。
京ちゃんの恋人である私だけが…このエッチなカクテルの作り方と味を知っているのである。

咲「(他の皆は知らない味…京ちゃんに一杯…刷り込んであげる…♪)」

そう思いながら、私の舌はクチュクチュと円を描くように動き出す。
舌の表側から裏側まで全部、京ちゃんに捧げるようなそれに唾液が溢れて止まらない。
それを出来るだけ舌はカクテルへと変えるけど、それでも収まらない唾液が私たちの間へと零れていく。
学校帰りで…まだ制服姿なのに…ドロドロになっていっちゃう私達。
でも、これで…今日も京ちゃんは服が乾くまで帰れなくなるはずだ。

咲「(それに…明日には…二人のキスの匂いをさせながら…京ちゃんが学校に行くんだ…♪)」

恋人として京ちゃんの制服のストックは把握している。
既に予備の制服を使い切った京ちゃんはどれだけ不本意でも、明日もこの制服を着るしかない。
私と…京ちゃんの唾液が染み込んだ…このエッチな制服を。
それに頭の奥がジィンと痺れて…私の理性がまたドロリと崩れていく。
代わりに大きくなる興奮に私は突き動かされ、舌をさらに突き出して、京ちゃんに押し付けていくのだ。

咲「(京ちゃん…京ちゃん…っ♥)」

そうやって舌を突き出すのは正直、辛い。
舌の付け根が攣りそうになって、疲労感が痺れへと変わるのだから。
しかし、それでも私は京ちゃんを求める事を止められなかった。
もっと一杯、京ちゃんの事を感じたい。
もっと一杯、京ちゃんとキスしたい。
もっと一杯…京ちゃんと気持ち良くなりたい。
そう思った瞬間、私のお尻をガシリとなにかが鷲掴みにした。

咲「ふゅぅっ♪」

そう驚きの声をあげる私を京ちゃんの腕は逃さない。
しっかりと私の背中へと周り、?印を描きながら、私のお尻を掴んでいるのだから。
逃げ場を奪いながら、私を責めようとするそれは逞しく、身を捩ったところで緩む事は決して無い。
文化系で麻雀だけが取り柄の文学少女にとって、それは檻にも近い拘束だったのである。

咲「(あ…ぁ…♥私…京ちゃんに閉じ込められてる…♪)」

私は今、身動ぎする事も殆ど出来ないような窮屈感を感じていた。
けれど…それが心の奥が震えるほどうっとりとするのは私が京ちゃんの事が大好きだからなのだろう。
こうやって私を閉じ込めているのが大好きな人だと思うと…それだけで涙が出るほど嬉しくなってしまった。
あぁ、私の想いは一方通行じゃないんだと…また一つ確認出来た事が嬉しくて…泣きそうになってしまうのである。

咲「ひゃん…ぅ♪」

しかし、それが長続きしないのは京ちゃんが私のお尻を揉みしだくからだ。
モミモミと…まるで遠慮無く指を埋め込み、手のひらで転がそうとしてくるのである。
勿論、そうやって京ちゃんにされて…気持ち悪い訳じゃない。
寧ろ、恋人の営みも毎日、休まずやっている私にとって、それはお腹の欲情が大きくなるものだった。
でも…だからと言って、そうやってお尻を揉まれるのは色々と思う所があったりするのである。

咲「(そ、そんなに…太ってないもん…)」

確かにここのところ京ちゃんの美味しい料理ばかりで、自分でも食べ過ぎかなって思う。
それに私は麻雀部で基本的に運動する事はなく、気をつけなければ贅肉がついていっちゃう身の上だ。
そんな私にとってお尻を揉まれると言うのは割りと気になる事なのである。
勿論…その…おもちはそんなに大きくないけれど…こうして揉む先に選ばれないほどなのか。
どうして毎回、人のお尻を弄るのか…どうしてもそんな風に思ってしまうのである。

咲「(もう…こんなにやきもきさせて…ぇ♥)」

その怒りと原動力に私は京ちゃんの胸へと飛び込んだ。
そのまま胸を押し付けるようにクリクリと動かすが、京ちゃんから反応らしい反応はない。
寧ろ、既に勃ちかけていた乳首がブラの中で転がされ、私の方がビリビリしちゃうくらいだった。
結局、私が勝負出来るのはキスしかないのだろう。
そう逃げるように結論づけながら…私はそっと口に意識を戻した。

咲「(良いもん…それだったら…もっとチュッチュしちゃうから…♪)」

その言葉を胸に、私の唇は京ちゃんの唇へと吸いつく。
舌を突き出した姿勢はそのままに唇を愛撫するようにねぶっていくのだ。
決して女の人からするものじゃない…情熱的で淫らなキス。
それに京ちゃんも応えて…私の舌をじゅっと吸い込んだ。

咲「ふあ…ぁあっ♪」

私の唾液でベタベタになった唇で私の舌を掴まえようとする京ちゃん。
その拘束は決して強いものではなく、逃げようと思えば逃げられるものだろう。
けれど、京ちゃんに私の舌を吸われているっていう…淫らなシチュエーションが私の足を止めた。
そのまま棒立ちになった私の舌を…京ちゃんが思うがまま吸い込んでいく。

咲「(私…舌フェラ…されちゃってるよぉ…♪)」

そのままジュルジュルと音を立てて顔を動かしながら、京ちゃんは私の舌を愛撫する。
勿論、その間も、自分の舌で私を構うのも忘れてはいない。
顔の動きに合わせて、チュルチュルと纏わりつくその感覚に私の舌はビクンと跳ねた。
無防備にやられっぱなしになっているそれに悔しいと思えども、私の舌は逃げられない。
まるで私の舌をフェラするような…淫らなキスに…もう取り込まれてしまったのだ。

咲「(もぉ…この…変態…スケベぇ…♪)」

そんなキス、普通の恋人はしない。
精々がさっきのディープキスまでだろう。
しかし、京ちゃんはキス魔な私に対向する為に色々と本を読んで勉強したらしい。
その熱意をもうちょっと別の所に向ければ、大成するんじゃないかと思わなくもないが…あんまり強くも言えない。
だって…実際、このキスに虜にされて…私がトロトロになっちゃってるのは事実なんだから。

咲「(あぁ…もう…足ガクガクだよぉ…♪)」

そんな私の足は揺れ始めていた。
そうやってフェラされる度にドロドロした熱が大きくなり…私の芯が揺らいでしまうのである。
流石に今すぐ倒れこむほどじゃないけど、このままずっと続けられると拙い。
また腰砕けになって…動けない私に色々とエッチな事をされちゃうのだ。

咲「(そ、そういうのも嫌いじゃないけど…でも…♥)」

何時も何時もやられっぱなしというのはやっぱり悔しい。
そうやって京ちゃんに好き勝手にされるのは身悶えするほど気持ち良いけど…やっぱりたまにはこっちから責めてやりたいのだ。
けれど…どれだけそう思っても私の舌は帰ってはこず、快感の受信機に成り下がっていた。
まるで身体はそうは思っていないようなそれに私が一抹の寂しさを覚えた瞬間、私の舌に硬い何かがそっと触れた。

咲「んふゅぅっ♥」

そのままコリと私の舌を小さく押す感触。
それはきっと京ちゃんの舌なのだろう。
そう理解しながらも、私はどうして京ちゃんがそんな事をするのかまったく分からなかった。
だって、それは私の舌なのである。
そんな風に歯で押さえられても…全然、気持ち良く… ——

咲「きゅぅ…ぅん…♪」

嘘。
本当は気持ち良かった。
今まで熱い粘液ばかりで責められた舌には固い歯の感触は鮮烈過ぎるのである。
ゴリと挟むようなそれにさえ根本から痺れる感触が湧き上がり、私の脳を焼く。
勿論、その間もさっきのフェラは止まっていない。
柔らかく、ドロドロした感覚の中に新しく硬い感触が加わっただけ。
しかし、それがお互いの感触を挽きたて、大きくなっていく。
まるで相乗効果のような…それに私はもう…我慢出来なくなってしまった。

咲「ひゃ…ぁぁ…♪」

トサリと膝から崩れ落ちた私の口から間抜けな声が漏れてしまう。
いや、それどころか、痺れた舌を戻す事が出来ず、口も半開きになっていた。
きっと今の私はとっても淫らではしたない格好をしているんだろう。
しかし、そう思っても私は自分を取り繕う余裕はなく、その姿を晒し続けていた。

京太郎「今回も俺の勝ちだな」
咲「う…ぅ…♪」

それやって勝ち誇るように笑う京ちゃんの声すら今の私には遠いものだった。
うすぼんやりとした意識は身体の感覚を胡乱にさせてるのだろう。
そう冷静に思う一方で、私は悔しさを抑えきる事が出来なかった。
また今日も一方的にされちゃって…こうして腰砕けにされてしまったのだから。
勿論、それはそれだけ気持ち良かったと言う証なのだけれど…やっぱり悔しい。

咲「(最初は私の方が上手だったのに…)」

寧ろ、最初の京ちゃんはガチガチになって、ろくに舌も動かせていないような有様だった。
私だって初めてで今よりもずっと下手だったけれど、それでも京ちゃんをリードする事が出来ていたくらいに。
けれど…そんな差は少しずつ埋まって…今ではもう完全に逆転されている。
それが悔しくて俯く一方で…そんな風に京ちゃんが上手になったのは私の為だと思うと嬉しく思えた。
色々と乙女心は複雑なのである。

京太郎「つーか、毎回、帰ってくる度にするの止めろってば。我慢出来なくなるだろ」
咲「ゆあ…♪」

そう言いながら、京ちゃんは私をそっと抱き起こしてくれる。
それは勿論…私のリクエスト通り、お姫様抱っこだった。
全身で京ちゃんの事を感じるそれが…私は堪らなく大好きである。
まぁ、だからと言って自分からリクエストしちゃうのはどうかと思わなくもないけれど…私は京ちゃんのお姫様なのだから別に良いのだ、多分。

京太郎「んで…どうする?晩飯の準備するか…それとも部屋に行くか?」

でも、そんな私に意地悪く言うのはちょっとどうかと思う。
だって…京ちゃんは知っているはずなのだ。
私がもう…キスを始めちゃった時点で我慢出来なくなっちゃってる事くらい。
今までだってずっとそうなのだから…分からないはずがないのだろう。
それでもこうして意地悪く言うのは…京ちゃんがちょっぴりエスな人だからだ。

咲「(もぉ…京ちゃんの意地悪…ぅ♥)」

そしてまた…それを見て胸をときめかせちゃう私はエムな人なんだろう。
も、勿論、私だって最初はそうじゃなかったし、普通だったのである。
でも、その…何て言うか…京ちゃんに調教されちゃったというか…色々と影響を受けちゃっただけだ。
別に最初からそういう資質があったとか、そんな事は決してない。
うん。ないのだ。絶対。

咲「きゅ…ん…♪」

しかし、そう言い聞かせても私の身体が動いてくれるようになる訳じゃない。
私の身体はさっきのキスでもうトロトロで絶頂した後みたいになっちゃってるんだから。
いや…もしか知ったら最後の方はイッちゃっていたのかもしれない。
今にも制服のスカートにまで染み出して着ちゃいそうな愛液の量も…その状況証拠になりそうな気がする。
い、いや…そ、そんな事ないよね?う、うん。そこまでエッチじゃないもん私。

京太郎「ん…返事がないなぁ?そんなに疲れてるなら…咲の部屋に寝かせておいてやらないといけないなぁ」

そんな私の耳に届いたのは棒読みにもほどがある京ちゃんの言葉だった。
何だかんだ言って京ちゃんだって、私とエッチしたいんだろう。
さっき抱きついた時…京ちゃんのオチンポだってもうズボンを突き破りそうになっていたんだから。
キスで興奮しているのは私だけじゃなくって…京ちゃんも同じなのである。

咲「(し、仕方ないよね…京ちゃん…スケベだし…私が受け入れてあげないと…♥)」

私を抱き上げて階段を上がっていく京ちゃんの胸の中で呟くそれは勿論、言い訳だ。
本当は…私の身体もさっきからしたくって仕方がない。
京ちゃんの大きなモノで…思いっきり犯して欲しくて堪らないのだ。
でも…キスで負けちゃった以上…それをそのまま口になんて出来ない。
キスで負けて…その上、発情しちゃっている事まで認めるだなんて恥ずかし過ぎるんだから。

咲「ん…ぅ…♪」

そんな事を考えている間に、京ちゃんは私の部屋へと足を踏み入れていた。
見慣れたその部屋の中にはさ最近、京ちゃんの私物がちょこちょこと増え始めている。
それは最近、京ちゃんもこっちに泊まる事が多くなり始めた所為なのだろう。
そう思うだけで私の顔に笑みが浮かぶのは、それはきっと嬉しいからなのだろう。
自分のパーソナルスペースに京ちゃんの私物が増え始めている事が私と京ちゃんの関係が発展している証に思えて…何処か誇らしい気にさえなるのだ。

京太郎「よっと…」
咲「ひゃう…♥」

そんな私をベッドに優しく下ろした京ちゃんは、そのまま私へとのしかかる。
ドサリとベッドを揺らすそれに私の胸はドキリと高鳴って止まらない。
勿論…毎回、こうなっている以上、それは私にとって見慣れた光景であるはずだ。
なのに…私は毎回、鼓動を早くし、ドキドキを止められない。
それはきっと…そうやって私を見下ろす京ちゃんが…強い興奮を浮かばせ、今にも私に襲いかかっちゃいそうな目をしているからなのだろう。

京太郎「じゃあ…咲はどうされたい?」
咲「んあ…ぁ♥」

そう私に聞く京ちゃんの言葉もいつも通りだった。
しかし、それでも私の口から漏れる甘い声はなくならないのである。
こうして毎回…尋ねられる度に、私の背筋はゾクリとして甘い感覚が駆け抜ける。
それは…京ちゃんが次に何を言うか…知っているからなのだろう。

京太郎「上の口にキスされたいか?それとも…下の口が良い?」

ドキリとするくらい…淫らなその言葉。
何処か嗜虐的な色を強くするそれに私の興奮は一気に強くなった。
最初からそう言われるのが分かっていたのに…まるで予定調和のような欲情。
完全に条件付けされてしまっている自分に呆れを感じるものの…それに抗えないのも事実だった。

咲「しひゃ…ぁ♪」
京太郎「どうした?聞こえないぞ?」

勿論、それにどう応えるかなんて京ちゃんにとっても分かりきっている事なのだろう。
だけど、京ちゃんは意地悪く耳を傾けて、私にそう聞き返してくる。
さっきのキスでまだ舌がトロトロなのは分かってるだろうに…本当に意地悪な人だ。
けれど…そんな意地悪さにも胸がキュンとしちゃう私は…多分、京ちゃん以上にダメなんだろう。

咲「しひゃが…良い…♥きょぉらんと下れちゅっひゅしたひ…ぃ♪」

だって…結局、こんな風に…エッチな言葉を言っちゃうんだから。
ほんのちょっと促されただけで…舌がぎこちないのも構わずに…エッチな言葉を口走っちゃう自分。
それが京ちゃんを調子づかせていると分かっていても…どうしても止められない。
私にとって京ちゃんのセックスは…なしではもう生きられないほど重要なものになっているのだ。

京太郎「咲はエッチだなぁ」
咲「うぅ…られのしぇいらと…ぉ♪」

私だって最初はこんな風にエッチじゃなかった。
それを京ちゃんが私に色々と変な事を押し込むからこんな風になっちゃったのである。
その責任くらいはとってほしいと言う意思を込めて、私はじっと彼を見上げた。
それに京ちゃんが応えるように頷き、私の前で口を開く。

京太郎「任せろ、ちゃんと気持ち良くしてやる」
咲「ばひゃあぁっ♪」

明らかに違う方向へと勘違いした恋人に私は罵る為の言葉を向ける。
しかし、それをどこ吹く風とばかりに聴き逃しながら、京ちゃんの手は私の制服に触れた。
唾液と汗でベチョベチョになったそれを京ちゃんは器用に脱がしていく。
その手慣れた様も京ちゃんが私を骨抜きにした証のような気がして、微妙な気分になった。

咲「(ドキドキするけど…やっぱり悔しい…♪)」

そうやって私の服を手早く脱がせ、裸へと近づけてくれる愛しい人。
それだけ見れば…多分、少女漫画に出るようなワンシーンなのかもしれない。
しかし、それは私がそれだけ京ちゃんを調子づかせている証であり、負け続けた結果なのである。
そう思うとドキドキの中に悔しさが入り混じり、素直にエッチな気分へと没頭させてはくれなかった。

>>777まで書いたし、今日は終わりー。
つ、次で終われば良いな…(震え声)
あ、明日はちょっと遊ぶ予定があるので進みません。

>>764-765 小ネタでこの量なら小ネタ安価とればはるるルート有るのと大差ないぞww

おつー

エロい咲ちゃん最高です。次回までぱんつ穿かないで待ってる

>京ちゃんが気づいていないだけで…実は結構…彼の事を好いていた人はいたんだから。

>いたんだから

これは咲さんが粛清したってことでしょ

>>795
カンは攻撃魔法じゃないんだよなぁ…

>>794
何故物騒な方向に持っていこうとするのか
カップル成立しちゃえば一悶着くらいはあるかも知れんが『大体の人は』諦めるだろJK

無知な俺に豚野郎スレのタイトル教えてください

>>812
京太郎「悪女」
京太郎「もつものと、もたざるもの」

豚野郎って言ってたのって悪女で、いまは新作に移行してるしな
下手すりゃこのスレのが通りがいいんじゃないか

咲「ひゃうぅ♪」

そんな私の肌が顕になる度に京ちゃんはそこにキスをする。
二の腕へ、肩へ、脇へ…そしておっぱいへ。
私の小ぶりな膨らみに京ちゃんは何度もキスをする。
まるでそこが自分のものだと言う証をつけるように…ちゅっちゅとリズミカルなキスを繰り返すのだ。

咲「(京ちゃんの意地悪…ぅ♥)」

勿論、そこが私にとってコンプレックスの源である事くらい京ちゃんも分かっているのだ。
けれど、それでも京ちゃんは私のおっぱいに毎回、沢山キスをする。
まるで…私の胸でも十分愛せるんだと訴えるようなそれに…私の胸は無性にドキドキしてしまう。
いっそトキメキと言っても良いそれは…嬉しいけれど、卑怯だ。
だって…それだけで私は京ちゃんの事がまた好きになってしまうんだから。

咲「へんらい…っ♥きょぉちゃんの…変態…ぃ♪♪」
京太郎「お…なんだ。少しは呂律が回るようになってきたじゃないか」

それが悔しくて、必死に罵る私の声に京ちゃんはニヤリと笑いながら答えた。
そこにまったく傷ついた色がないのは、私のそれが悔し紛れのものだと知っているからなのだろう。
そう思うと仕返しの一つでもしてやりたくなるけれど、今の私にはまったく思いつかない。
それどころか…例え演技でも嫌いだと言う事さえ出来ず…私は胸中で小さくため息を吐くしかなかった。

京太郎「でも…まぁ…ちゅっ…止まらないんだけどな…」
咲「うぅぅ…っ♪」

そう言って京ちゃんは私のブラをズラしながら、またキスをする。
それにジィンとそこが疼くような熱が広がるのを私は必死に抑えようとした。
しかし、すぐさま私の肌に根を張るようなそれはその支配域を緩やかに広げていくだけで止められない。
まるで…身体が京ちゃんを待ち望んでいるようなその反応に、私は思わず唸り声をあげてしまう。

京太郎「いい加減、開き直ってエロくなれば楽になるぞ?」
咲「え、エロきゅなんふぁないもんぅ…♪」

そんな私に意地悪く言う京ちゃんの言葉に私は否定の言葉を返した。
エッチなのは京ちゃんの方であって、私は全然、エロくなんかない。
こうやってエッチするのもスケベな京ちゃんに合わせて、仕方なくしているだけなのだ。

京太郎「じゃあ…止めるか?」
咲「う…」

しかし、それでも京ちゃんの言葉に私はすぐさま返答を返す事が出来なかった。
確かに仕方なく京ちゃんに合わせているだけだとするならば、それはすぐさま頷けるものなのだろう。
しかし、私の肌に広がりつつある興奮はそれを許さず、私の言葉を遮っている。

咲「(ち、違うもん…これは…京ちゃんの興奮が伝染っちゃっただけ…)」

だって、それは京ちゃんが触れた部分から沸き上がってくるものなんだから。
唇から…腕から、脇から…そして胸から。
京ちゃんの唇が触れてから、私の中に芽吹きはじめたものなのである。
それは断じて私が最初から持っていたものなどではない。
絶対に…絶対に違うんだから。

京太郎「どうせ乳首も勃ってるんだろ?」
咲「ひゅぅ…っ♪♪」

そう言って京ちゃんがブラのフロントホックを外した。
そのまま拘束を失ったブラをどければ…その奥からピンと張った桃色の突起が現れる。
小さな胸の先っぽで自己主張を続けるそれは京ちゃんの言う通りだと叫んでいるようだ。

京太郎「こんなにしといて…今更、止められる訳ないよな?」
咲「そ、そんな事言って…したいのは京ちゃんの方でしょ…?」

意地悪い呟きを放つ京ちゃんに答える声はもう殆ど回復していた。
流石に毎日、腰砕けにされていれば、回復力も鍛えられるんだろう。
最初の頃よりもずっと復帰が早く、こうして京ちゃんに言い返す事が出来る。
それに微かに自信を取り戻すものの…忍耐力と言う面がまったく育つ気配がないのはどういう事なのか。
まるでそうやって京ちゃんに腰砕けにされる事が嬉しいと言うような成長の方向性に疑問を禁じ得ない私が居る。

京太郎「あぁ、したいよ。でも、俺は咲の嫌がる事はしたくない」
咲「うぅぅ…♪」

しかし、それよりも遥かに大事なのは…京ちゃんが目の前で顔を引き締めている事だ。
正直、その顔はとても格好良く…恋する乙女補正も加わって、普段の三割増しでイケメンに見える。
だけど、京ちゃんがそういう顔をする時は大体、演技している時だ。
それを知りながらも…胸のトキメキを抑えられない私の前で京ちゃんがそっと私の胸に手を伸ばす。

京太郎「だから…教えてくれよ。俺は咲に対して何処までやって良いんだ?」
咲「京ちゃんの馬鹿ぁぁぁっ♪」

勿論、それは私にエッチなオネダリをさせる為の言葉なんだろう。
それを理解した私の口から罵りの言葉が放たれた。
しかし、それでも京ちゃんはその顔を変えず、じっと私の顔を見つめてくる。
それが耐えられなくて、そっと目を背けながら…私はゆっくりと口を開いた。

咲「京ちゃんの…好きにして良い…よ…♥」
京太郎「好きにって事は…こんな事もして良いのか?」
咲「ふあ…ぁっ♪♪」

そう言って京ちゃんが私の胸をゆっくりと揉み始める。
なだらかな緩急を見せる私の胸を脇から集めるようにして愛撫するそれは撫でると言っても良いのかもしれない。
実際、私の肌にはくすぐったさが這いずり、思わず声が飛び出す。
しかし、それが普段感じるそれではなく…明確な快感である事を私は知っているのだ。
だからこそ、京ちゃんに開発されちゃった私の胸はビリビリと快感を走らせ、私の興奮を熱くする。

京太郎「どうだ?こういうのは気持ち良いのか?」
咲「分かってる…癖にぃっ♪」
京太郎「さぁ、どうだろうなぁ?」

私の言葉に視線をとぼけるが、そんなもの信じられるはずがない。
だって、私の身体はもう京ちゃんの手で一杯エッチな事を教えこまれているんだから。
今、京ちゃんが触っている胸だって、一杯一杯イカされちゃった時はそこだけでイケるくらい敏感なのである。
それを…その…エッチの最中に揶揄する京ちゃんが分かっていないはずがない。
しかし、それでも京ちゃんはとぼけ顔を止める事はなく、ニヤニヤといやらしい視線を私に向けていた。

咲「気持ち…良い…よ…♥」
京太郎「へぇ…そうなのかぁ」

そんな京ちゃんに何を言っても無駄だ。
そう諦めた私は『大人の対応』として、京ちゃんの望む言葉をあげる。
これはあくまで『オトナの対応』であり、京ちゃんの事を考えて譲ってあげただけに過ぎない。
そう言い聞かせながらも…私のドキドキは止まらず、興奮の色が強くなるのを感じた。

京太郎「じゃあ…こんな風にしても良いんだよな?」
咲「んひゅぅ…ぅ♥」

そう言いながら京ちゃんが私の乳房を中央に寄せる。
無理矢理、谷間を作ろうとするようなそれに…私の口から喘ぎ声が漏れてしまった。
それに京ちゃんのニヤニヤが強くなったのを感じて、歯を食いしばるものの、もう遅い。
私が乳腺を歪めるようにして強く揉みしだきながら、京ちゃんは再びおっぱいの表面にキスを落としてくる。

咲「きゅぅ…♪」

強引に作られた乳房に跡をつけるような力強いキス。
チュルチュルと肌を吸い上げるようなそれに食いしばったはずの口から甘い声が漏れる。
しかし、京ちゃんはそれを聞いても…容赦するどころか、調子にのるだけだ。
実際、その指先は私の乳輪にすっと掛かり、そのまま引っ掻くようにしてクリクリと弄ってくるんだから。

うん。流石に数日空くとダメだわ。
前の事忘れまくってる上に元々やりたかった路線から凄い外れてる。
すまん。ちょっと>>777からまた色々とやり直すから今日の分はなしにしてくれ…。

>>783
最近、小ネタやってる時は本編もう一個やってるのと変わらない気がしてきてな…。
何が言いたいかと言うと別にはるるルートが小ネタでも良いんじゃないだろうか…(白目)

>>794>>785
どうしてこのスレには咲ちゃんが勇気出して告白したから諦めたと言う至極まっとうなはずのルートを想定する人が>>807しかいないのか。

>>798
つまり咲さんがボーグ魔法ならぬ麻雀魔法の使い手である可能性が微レ存…?

>>818
このスレは勝手に豚野郎をリスペクトしてるからね。仕方ないね。
でも、こっちであっちの話題を出すのは良いけど、あっちでこっちの話題は出さないでね。
>>1とのお約束だ!!

あ、後、本編は明日、投下しまする。
だから、お前らちゃんとパンツ履いとけよ。

咲「ひゃうぅ♪」

そんな私の肌が顕になる度に京ちゃんはそこにキスをする。
二の腕へ、肩へ、脇へ…そしてお腹へ。
私を脱がしながらのそれはいっそ職人芸と言って良いくらい器用なものだった。

咲「(あぁ…もう…変なところで努力家なんだから…ぁ♪)」

きっとそれも人の知らないところで京ちゃんが頑張って得た技能なのだろう。
そう思うと嬉しいような悔しいような微妙な気持ちにさせられる。
私の為にそうやって努力してくれるのは嬉しいけれど…あんまりにも手慣れ過ぎちゃうとちょっぴり不安になる。
プレイボーイさながらのその手つきは私以外に誰かこういう関係の人がいるんじゃないかと思うくらいに。

咲「(そんなのないって分かってるんだけどなぁ…)」

登下校も部活も一緒。
その後も一緒にのんびりして過ごし、休日も一緒にいる私達に誰かが入り込む隙間なんてない。
それに…まぁ、一応、毎日、性欲は処理してあげているし、そんな気持ちにはならないはずだ。
しかし、それでも目に見えてエッチが上手くなっていく京ちゃんに不安を抱いてしまうのは事実だった。

咲「んひゅぅ♪」

そんな不安に心が揺れ動くのを感じた瞬間、私の太ももにそっと京ちゃんの手が増える。
そのままゆっくりと撫でるように這い上がり、私のスカートを肌蹴させていった。
それだけでも私の足はゾクゾクしてふっと力を抜きそうになってしまう。
そんな私の足をまるでマッサージするように撫で回しながら、京ちゃんは何度もお腹にキスを落とした。

咲「う…ぅぅ…♪」

最近、ちょっぴり豊かになって来てしまった私のお腹。
ぷにぷにしたそれが京ちゃんにとってはお気に入りなのか、良くこうしてキスをされてしまう。
それにビリリとしたものを感じるのはきっと京ちゃんのキスが子宮の真上に感じるからだ。
おへその下にある私の一番、淫らな部分を起こすようなそれに…私はどうしても感じて甘い声を漏らしてしまう。

京太郎「ちゅ…この敏感肌め」
咲「だ、誰の所為だと思ってるの…ぉ♪」

そんな私を揶揄するような京ちゃんの言葉に私はちゃんと答える事が出来た。
流石に間延びしているのは否定出来ないものの、舌の感覚は大分、戻りつつあるのだろう。
最初に比べれば、それもかなりの復帰速度であり、私の成長を感じさせる。
…それなのに忍耐力があがるどころか下がっているのは一体、どういう事なのか。
自分の身体に説明を求めたい所存である。

京太郎「だから、こうやって気持ち良くしてやってるんだろ?」
咲「うぅぅ…何かすっごい…誤魔化されている感がするんだけど…」

確かにこうして気持ち良くしてくれるのは嬉しい。
別にエッチな事は好きじゃないけど…京ちゃんに求められるのは大好きなんだから。
だけど、そうなった原因は京ちゃんにあって…私は本来、こんなにエッチじゃない。
お、オナニーだって…エッチな描写がある小説を読んだ時にちょっとやっちゃうくらいのごく普通な文学少女だったんだから。

京太郎「そう思いながらも抵抗しない宮永咲なのであった」
咲「うぅぅぅ…っ♥」

そう言って京ちゃんの舌が私のお腹にふっと押し当てられる。
そのまま舌先を伸ばしながら、私のお腹を舐めていくのだ。
れろぉぉおおと糸を引くようなその感覚に私の中のゾクゾクがさらに強くなっていくのを感じる。
しかし、京ちゃんはそれでも容赦せず、私の太ももをゆっくりともみ始めた。

咲「んあ…あ…♪」

まるでキスの時、頑張って立ち続けた私を癒そうとしてくれているような優しい手つき。
一つ一つの筋肉のコリを優しく解すそれは意外なほどテクニシャンだ。
心地好さと快感を同時に感じさせるそれに、私のお腹がさらにトロトロになっていく。

咲「もぉ…♪こんなの…何処で覚えたのぉ…っ♪」

それはきっと普通じゃない愛撫の仕方なんだろう。
少なくとも…そんな愛し方、どんな小説にだって載っていなかった。
だけど…それでも今の私はとっても気持ち良い。
普通、愛撫と言ったら真っ先に触られるはずのおっぱいに…まだ一度も触れられていないのに…私のアソコはもうトロトロになってしまっていたのだ。

京太郎「セックスのハウツー本って最近、充実してるんだぜ?」
咲「こんな変態チックなのも…あるの…?」
京太郎「確かに変態っぽいかもしれないけど…でも、効果は抜群だろ?」
咲「そう…だけど…ぉ♥」

意地悪く言いながら、私を撫で回す京ちゃんの手はとても暖かい。
私のお腹に文字を描くような京ちゃんの舌にお腹がドキドキしちゃう。
それは私にとってはもう否定出来ない事実であり、頷くしかない事だった。
しかし、だからと言って、これが変態チックだっていう感想がなくなる訳じゃない。
寧ろ、そうやって感じてしまうからこそ、異常っぽさがより際立つような気がするのだ。

京太郎「だったら、良いんじゃね?下手に普通にして咲が痛がるよりかはマシだろ」
京太郎「別に他の誰かに言うもんじゃないし…これが俺たちのやり方って事で良いんじゃないか」
咲「そう…なのかな…ぁぅ♪」

確かに…幾ら変態っぽくても…それを見せるのは京ちゃんだけなのだ。
その京ちゃんが別に良いと思ってくれるならば、下手に構えなくて良いのかもしれない。
それに…私だってやっぱり痛いのは嫌なのだ。
最初は本当に泣いちゃうくらい痛くて…それこそ途中で止めてと何度も言っちゃいそうになったくらいなんだから。
その当時の痛みを思うと、今の気持ち良い愛撫で別に良いんじゃないかと思ってしまう。

京太郎「そうそう。それに…ほら…」
咲「うあ…ぁ…♪」

そう言って、京ちゃんが見せたのはその指先にべったりと絡みついた私の愛液だった。
ただ、太ももを撫でられているだけなのに…もう私の粘液はそこまで染みだしてしまっていたのだろう。
今も動くもう一つの手に意識を向ければ、そこには微かにクチュクチュと言う音が伴っていた。
ドキドキと言う心臓の鼓動に邪魔されて聞こえなかったそれが…今の私にはとてもういやらしいものに聞こえてしまう。

京太郎「普通の奴じゃ…咲はこんなに感じないだろ?」
咲「そ、そんな事ない…もん…多分…♪」

それを私の目の前で魅せつけるようにくっつけ、広げ、絡み合わせながら、京ちゃんは意地悪く言ってくる。
京ちゃんが調子に乗ってからは最近、こんな愛撫ばっかりだけど…そんな事はないはずだ。
私だって毎日、恋人の義務を果たしているんだから…かなり敏感になっているはずである。
おっぱいの先っぽだって…もうさっきからピンと張って、ブラの中で自己主張を続けているんだから。

京太郎「ま…例え、そうでも俺は普通に咲を愛撫するつもりなんかないんだけど」
咲「京ちゃんのへんたぁい…っ♥」
京太郎「仕方ないだろ、恥ずかしがる咲が可愛すぎるのが悪い」

そう言いながら、京ちゃんの手は再び私の太ももへと戻る。
そのままじっくりねっとりといやらしい手つきで撫で回してくるのだ。
まるでその指先についた愛液を太ももに刷り込もうとするそれに私は抗えない。
ついついゾクゾクとしちゃって…それをオネダリするように愛液を漏らしちゃうのだ。

京太郎「ほら、腰あげろ。スカートと下着脱がすから」
咲「ん…ぅ…♪」

そんな私の愛液の出に制服の心配をし始めたのだろう。
京ちゃんが私の太ももから手を離し、そうやって私に指示をくれる。
口では色々と言いながらも…本当はセックスも…この快感も楽しんでいる私はそれに従順に従った。

京太郎「よいしょって…もう大洪水だな…」
咲「そういう事言わないでよぉ…」

確かに京ちゃんがスカートを脱がし…ショーツを引っ張った瞬間、『ねちゃあぁ♥』と糸を引くのは自分でも漏らしすぎだと思う。
でも、わざわざそんな事言わなくたって…別に構わないはずなのだ。
流石に無言で身体を重ねるのは色々と嫌だけど…でも、そんな辱めるような事ばかり言わなくても良いだろう。
京ちゃんの目的がそうやって私を恥ずかしがらせる事だと分かっていても…どうしてもそう思ってしまう。

京太郎「いや…だって…お前…」
咲「良いからっ♪もう…続きしてよぉ…っ♥」

そう言って私が広げたのは自分の足だった。
京ちゃんの手で愛液が広げられたそこはテカテカと光り、妙な肌寒さと熱を演出している。
そして、その奥はもう…さっきオネダリした時から疼きっぱなしだったのである。

咲「こっちに…キスしてくれるんでしょぉ…♥」

そう言って私が触れるのは大陰唇の部分だ。
キュッと閉じたその肉の唇はさっきからヒクヒクして止まらない。
まるで太ももではなく、こっちを見て欲しいと訴えるようなそれを私はゆっくりと開いていく。
瞬間、『くぱぁ♪』と粘液が糸引く音が鳴ってしまった。
自分で桃色の粘膜を京ちゃんに晒している恥ずかしさと…淫らなその音に興奮がぶわりと大きくなって止まらない。

京太郎「まったく…そんな風にエロくなるから咲を虐めるのは止められないんだよな」
咲「誰の所為だとぉ…っ♪」
京太郎「大丈夫。責任取るって。…ちゃんと全部…な」
咲「え…それって…ふにゃあぁぁっ♥」

瞬間、オマタの間からビリリと走った快感は今までの比じゃなかった。
今までのそれがまるでお遊びか何かであったように、激しく私の子宮へと突き刺さるのである。
多分…突然、それを与えられていたらびっくりしすぎて痛みと間違えていたのじゃないかと思うほど鮮烈な感覚。
しかし、京ちゃんによって念入りに準備された私はそれを甘く受け止め…快楽と認めてしまうのだ。

京太郎「れろぉ…ちゅる…っ♪」
咲「きゅぅ…ぅぅ♥」

そんな私の快楽の源は京ちゃんにキスされている秘所だった。
私がむき出しにした桃色のそれを京ちゃんは舌を這わせ、ちゅっとキスしてくれている。
それだけで私の頭は甘い陶酔を浮かべ、幸せ心地に押し上げれてしまう。
けれど、そんな私にビリビリした激しい快感が届き、それに浸らせてくれなかった。

咲「(私の…私のアソコ…京ちゃんが舐めてるぅ…♥キス…してくれてるよぉ…♪♪)」

勿論、それは私が望んだ事だった。
私が二度もオネダリして…ようやく京ちゃんから与えられているものなのである。
しかし、それでも恥ずかしくない訳じゃないかと言えば、決してそうではない。
大好きな恋人に自分からオマンコを広げて…舐めて貰っているだなんて文学少女には荷が勝ちすぎるのだ。

咲「(それでも…最初の頃みたいに…ショートしなくなった…ぁ♪)」

初めて京ちゃんがそれ —— 所謂、クンニをしようとした時、私は恥ずかしくて気持ち良いどころじゃなかった。
もう身体中カチコチでどうすれば良いか分からなかったのである。
しかし、回数も三桁に届きそうになった今では、そんな事はまったくない。
寧ろ、クチュクチュと舌が這いずる度に粘膜を震わせ、唇がチュッチュと甘いキスをくれる度にそこを疼かせてしまうのだ。

咲「やう…ぅ♪ひゃぁぁ…っ♪♪」

そんな私の口から漏れる声もドンドンと甘く、そして甲高いものへと変わっていく。
最早、快楽を隠そうとしていないどころか、積極的に伝えようとするそれに、股間の京ちゃんの顔が意地悪く笑った。
しかし、それでも京ちゃんが何も言わないのは…私をこうして虐めるのに忙しいからなのだろう。
そう思うと…ビリビリと走る快感の中で…ほっとしたような…寂しいような微妙な気持ちになってしまった。
やっぱりどれだけ否定しようとしても…私は少しずつ京ちゃんにM調教されちゃってるんだろう。

咲「(別に…嫌じゃない…んだけれど…ぉ♥)」

京ちゃんはエスっぽくて、私がエムっぽい。
それはお互いを一生の伴侶として見るならば、最高の相性なのだろう。
何せ、お互いに他のパートナーを探さなくても…毎日、満足出来るという事なのだから。
そう思うと自身のエムッ気も悪くないように思えるが…それでも受け入れる事は中々、出来ない。

京太郎「咲のココ…美味しいな」
咲「にゃ…ぅぅ…っ♪♪しょんな事言わなくて良いぃっ♥♥」

しかし、そうやって油断していたからだろうか。
突然、私のアソコから口を離した京ちゃんがそうやって辱める為の言葉を口にする。
もう何度も言われて…けれど、未だに心を揺れ動かしてしまうエッチな言葉。
それに反射的に返しながら、私の足はそっと京ちゃんの首筋へと回る。
まるでつべこべ言わずに、クンニしろと言うようなそれに京ちゃんはふっと笑いながら、ペロリと粘膜を舐めた。

咲「ひぅぅんっ♥」
京太郎「でも…甘くて…果汁っぽくて…ドロドロで…舌に…こうして…絡みついてくるんだぜ?」
咲「あひぃ…っ♪♪くぅ…ぅうぅ♥」

言葉を途切れさせる度にペロリと私の粘膜を舐めるそれに私は甘い声をあげる事しか出来ない。
京ちゃんのエッチな言葉が事実だと教えこむようなそれは…それだけ気持ち良いのである。
そしてまた…そのエッチな言葉もそんな風に気持ち良くなる私を肯定する。
お腹の奥を蕩けさせて…ついつい愛液を滴らせちゃう私が良いんだと…認めてくれるのだ。
それについつい…心のタガも緩み…胸の奥もトクンと甘い歓喜を湧き上がらせてしまう。

京太郎「ひくつきが…強くなって…きたぞ…?感じて…るんだな…」
咲「馬鹿ぁ…ぁぁぁっ♥♥」

そんな私をさらに辱めながら、京ちゃんの口が何度もキスをする。
さっき私を骨抜きにした時よりも遥かにエッチで…そして気持ち良いそれに私は思わずそう叫んだ。
しかし、京ちゃんはそれが寧ろ嬉しいとばかりに笑みを濃くして、ちゅっちゅと私に吸いつき、ベロベロと淫らな唇を味わう。
その快感についに耐え切れなくなった私の背筋がふっと浮き上がった瞬間、私のビリビリはさらなる変化を見せた。

咲「ひあ…あぁぁぁぁっ♥♥」

愛液滴る私の秘所。
その上部にある小さなおマメは女の子の中でも特に敏感な部分だ。
皮に包まれている時でも…ちょっぴり刺激されただけで身を捩るほど気持ち良いんだから。
そこが今、京ちゃんの手でゆっくりと皮を剥かれ、露出されつつある。
その刺激に私の腰は逃げるように動いてしまった。

京太郎「れろぉ…っ」
咲「ひゃうぅぅんっっ♪♪」

しかし、それは京ちゃんのもう片方の手に太ももを抱きかかえられる事で抑えられた。
そのままぐいっと私を自分の元へと引き寄せるその逞しさに腰からふっと力が抜ける。
まるでこの人に逆らっても無駄なのだと知ってしまったようなそれに私の太ももはブルリと震えた。
しかし、京ちゃんの肩へと載せられた足の逃げ場なんて何処にもなく…震えたところで無駄なのは目に見えている。

咲「(その…その間に…ぃ…っ♥♥)」

そんな私の下で…ぷっくりとおマメが…クリトリスが顔を出してしまう。
敏感なそこを護る為の包皮を剥かれ、プリプリとしたその身を晒す淫核。
既に京ちゃんから与えられた快楽で乳首に負けじとピンと張ったそこを…京ちゃんの指がそっと触れた。

咲「きゅひぃぃいいいぃっ♥♥」

瞬間、ビリリと走ったそれは私の脳を揺らすほど強いものだった。
ほんの微かに…指先で優しく転がすように触れられただけ。
それなのに私は悲鳴のような嬌声を漏らしながら、その背筋を震わせた。
しかし、それでも、浮き上がったそこに駆け抜けた快楽を逃がす事は出来ない。
そのもどかしさに私の手がぎゅっとベッドシーツを掴んだ瞬間、私の下腹部からメラメラとした熱が湧き上がった。

咲「(あぁ…っ♪これ…イくんだ…イかされちゃう…ぅ♥)」

私が感じるビリビリと取り込んで、ドンドンと大きくなっていくその熱。
激しくも力強いそれが弾けた時、私はきっと京ちゃんにイかされちゃうんだろう。
勿論…それを心待ちにする私というのは確かにいた。
だって、それはとっても気持ち良い事なんだから。
身体の中が快感で満たされるようなそれを…私は本気で拒絶する事はできない。

咲「(だけど…京ちゃんと一緒が良いのっ♥)」

けれど、だからと言ってそうやって一人でイく寂しさもまたなくなる訳じゃなかった。
どうして恋人同士で…愛を深めているのに私だけ先にイかなければいけないのか。
二人で一緒に絶頂に達するのが恋人としてのあるべき姿ではないのか。
どうしてもそんな意識が働いて…一人でイくのが寂しくなってしまう。

咲「京ちゃんっ♪私…イくぅっ♥イくからぁ…ぁっ♥」
京太郎「ぢゅるるるううっ」
咲「ふああわあああぁぁっ♥♥」

だから、ここでもう止めて欲しい。
そう伝えようとした瞬間、京ちゃんの吸い付きが激しくなり、ジュルルという音も大きくなった。
それに負けないくらい私が甲高い声をあげるのは…京ちゃんが容赦するつもりがないからだろう。
京ちゃんは私をイかせて…心までドロドロにさせるつもりなのだ。
しかし・・・そうと分かっていても、私はもう京ちゃんを拒む事も芽吹きはじめた絶頂の予兆を止める事も出来ない。
ただ、喘ぎ声をあげて…京ちゃんに弄ばれるしかないんだ。

京太郎「ちゅぷぅ…」
咲「ひぅ…ぅぅぅぅぅうっ♪♪♪」

そう思った瞬間、京ちゃんの舌がツプリと音を立てて私の中に入ってくる。
本来…京ちゃんの肉棒だけを受け入れるその淫らな場所。
愛液を滴らせ…疼きを止められなかった私の本丸に京ちゃんの舌が乗り込んできているのだ。
それに…私の身体はもう我慢出来ない。
お腹の内側に溜め込んだ甘い熱をブワリと弾けさせ、全身に絶頂を広げるのだ。

咲「イきゅぅ…ぅぅぅぅぅぅううぅぅぅっ♥♥♥」

ビリビリと感じるその快楽の波に私は全身を震わせながら叫ぶ。
しかし、どれだけイくと叫んでも、私の中の快感はまったく収まる事がなかった。
それどころかそうやって叫ぶ自分がはしたないとばかりに…羞恥心混じりの快楽すら沸き上がらせてしまうのである。
そんなに淫らで…普通からは足を踏み外してしまった私。
その股間で京ちゃんは舌を動かして、私をさらに昂らせようとしていた。

咲「イッてるぅっ♥私、イッてるからぁっ♪♪京ちゃ…京ちゃぁああぁぁぁっ♥♥」

それを止めようと私がそう言っても京ちゃんの舌は止まらない。
私の入り口を丹念に舐め回すようにしてそれを動かし続けるのだ。
まるで肉襞の一つ一つを味わおうとするような熱心なそれに私の絶頂は止まらない。
グングンと高いところへと押し上げられ続け、中々、降りてくる事は出来なかった。

咲「ふあ…あぁぁ…♥♥」

それが終わった頃には多分、数分ほど経過したのだろう。
しかし、その間、イき続けた私の肌は敏感を通り越して痛いくらいだった。
ピリピリと刺すような痛みさえ感じるその肌に…オルガズムの余韻が駆け抜ける。
その度に蕩けた吐息を漏らしながら、私は大きく胸を上下させていた。

京太郎「咲…」
咲「うぅ…ぅぅ…♪♪」

そんな私の名前を呼ぶのは陵辱者だ。
イッてるって何度も言ったのに…決して止めてくれなかった愛しい愛しい変態なのである。
しかし、それを罵る事すら出来ない私の前で京ちゃんが自分の制服をそっと脱ぎ始めた。
何時もよりも幾分、鈍いそれは…その手先にさえ京ちゃんが興奮を行き渡らせている証なのだろう。
実際、ズボンはもうグイグイと持ち上げられていて、その奥にあるモノの存在感を放っていた。

咲「あぁ…ぁ…♥」ゴクリ

それに期待混じりの生唾を飲み込んだ瞬間、私の前で京ちゃんの肌が晒される。
雑用時代に鍛える事を習慣化したその身体は文化系とは思えないくらい引き締まっていた。
私のぷにぷにした身体とはまったく違うそれは…見ている私に堪らなくオスを感じさせる。
野性味溢れるそれに私の心臓がトクンと脈打つのは…そのオスに愛される事を私が望んでいるからなのだろう。
そう思っただけで…アクメの残るアソコがひくひくと痙攣し、奥から愛液を染み出させてしまった。

咲「ひ…あ…ぁっ♪♪」

そんな私の前で京ちゃんはズボンごと下着を下ろした。
瞬間、ボロンと音を立てながら、外気に触れるそれは…信じられないくらい逞しい。
私の口に収まるか疑問なほど太く、そして私の両手を重ねてようやく包みきれるくらい長いのだから。
しかも、ぐいっと反り返ったその表面には血管が幾筋も浮かび、ぴくぴくと震えている。
まるでそこだけ別の生き物に寄生されているようなグロテスクな姿。
何度見ても慣れる事はないそれに私は気圧されるような声を漏らした。

咲「(それなのに…奥…疼いちゃう…っ♥♥)」

どれだけ大きくてグロテスクな見た目をしていても…私はもうそれがどれだけ気持ち良いかを知っているのだ。
それを突っ込まれただけで…どれだけ気持ち良く、そしてイき続けられるかを知ってしまっているのである。
そんな私の身体にとって、それはただ魅力的なだけに過ぎず…キュンキュンと子宮を疼かせてしまうのだ。

京太郎「もう…するぞ」
咲「ふ…ぅ…♪♪」

そしてそれは多分、京ちゃんも同じなのだろう。
片手でぐいっと私の腰を掴みながら、京ちゃんはその先端を私へと合わせてくる。
それだけでも足が跳ねるくらい気持ち良いのに…ぬかるんだ粘膜をクチュクチュと先端で弄ってくるのだ。
まるでこれから挿入れるものの、魅力を…私の身体に教え込もうとしているようなその仕草。
それに焦らされているように感じた私の奥がキュゥゥと身を縮こまらせた瞬間…その硬いモノはぐいっと私の中に入ってくる。

今日は終わりー。
一応、一日掛けて、元々の書きたい路線には戻せた…と思う。
昨日の路線の方が良かった人はすまんな。
後、本編投下は今日の23:30からします。
今日はエロだからパンツ投げ捨てて良いぞ!!

ここはフルワロスのパイロットが多いスレですね
後、ごめん。コナンの映画見てたからまったく見直しすすんでねぇ。
30分延期させてくだしあ。
その間、豊音ファンの人はこの前完結したやらない夫スレだけど、『???と俺』を読んで来るのもいいかも(ステマ)

イッチー やる夫スレ好きなら、前に話題出してた致命傷から本番のスレがロリ嫁出したぞー。

                                           チラッ
現地妻と、本妻の出会いとかそういう修羅場とかいいものだ(和とか咲ちゃんみながら

向こうの京ちゃんの嫁は咲ちゃんだろ!

>>869
ちゃんと毎日チェックしてるぜー!
まさかロリ嫁が若干ヤンデレ気質とはこの海のリハクの目を持ってしても(ry)

>>871
向こうの京ちゃんのお嫁さんは最近、ヤンデレ属性ついたロリ鬼嫁だろ!いい加減にしろ!!!

じゃあ、投下してくぞオラァ
今回は多分、長丁場だぞクラァ



京太郎「え?」
小蒔「もう指の腫れも完全に収まったみたいですし…左手なら麻雀出来るんじゃないでしょうか?」
京太郎「いや…そうかもしれないけど…」
小蒔「大丈夫ですよ」

心の中はまだ迷っているのにも関わらず、スラスラと飛び出す私の言葉。
それに言い淀むのは京太郎君が麻雀で二人の女性を傷つけたと思っているからなのでしょう。
しかし…私にとってはそれこそが目的なのです。
上重さんに負けない為に…同じ領域に立つ為に…私もまた京太郎君の被害者にならなければいけない。
そう思う私は口篭る京太郎君に向けて、ゆっくりと口を開きました。

小蒔「私は『巫女』で、ここは神様のお膝元なんですから、京太郎君の力は私には通用しません」
京太郎「そう…なのか?」
小蒔「はい」

勿論、そう言い切る私の言葉に何か確信があった訳ではありません。
いえ、寧ろ元々の理由から考えるに、そうであったら私が困ってしまうのです。
それでもこうして口にしたのは…それが京太郎君の言い訳になると思ったからに他なりません。
例え確証がない言葉でも、それが京太郎君の背を押してくれれば…私にとって望む結果を得られるのですから。

小蒔「それに…何時までも特訓の成果を確かめないままじゃ、京太郎君も麻雀に向き合えないですよね?」
京太郎「まぁ…そうだな…」

それをどうしようかという気持ちは京太郎君にもあったのでしょう。
指の腫れが引いた京太郎君は昨日から特訓を再開していましたが、その成果を確認する事は出来ていません。
本当に集中出来ているか否かなんて、本人には分からない事なのですから。
それに今、こうして行なっている能力の制御法も本当に効果があるかは分かりません。
それを確かめるためにも…誰かが犠牲になる必要があるのです。


小蒔「何より…京太郎君もそろそろ麻雀したいんじゃないですか?」
京太郎「う…」

京太郎君がそう口篭るのはそれが事実だからなのでしょう。
実際、牌を弄る京太郎君の目には物足りなさが宿っていました。
あんなおかしな能力が出来てしまうくらいに京太郎君は麻雀が好きなのです。
それをこれまでずっと我慢出来ている事の方が不思議なくらいでしょう。

京太郎「でも…良いのか?」
小蒔「何がですか?」
京太郎「もし、俺の能力が発動して…小蒔に効果があったら洒落にならないじゃないか」

そう言って俯く京太郎君は本当に怯えていました。
やっぱり彼にとって自分の能力と言うのは恐怖の対象以外の何者でもないのでしょう。
実際…その存在の所為で京太郎君の生活は大きく変わり、こうして鹿児島までやって来ているのですから当然です。
しかし…それは私にとって京太郎君との出会いのキッカケでもあるのでした。
大事な大事な…最高のお友達と引きあわせてくれたその理由に、恐れる必要なんてありません。

小蒔「大丈夫ですよ。例えそうでも…受け止めてくれる人に心当たりはありますから」

それに…例えそうなっても京太郎君は上重さんのように、私の事を案じてくれるでしょう。
どんな影響を受けたとしても…京太郎君は私を見捨てず、治そうとしてくれるはずです。
それを願う私の心に怯えるような感情は、何処を見渡してもありませんでした。
ただ、あるのは…これから先に起こるであろう事への期待と京太郎君を一時的に傷つけてしまうかもしれないという申し訳なさだけです。


京太郎「あ…そ、そう…なのか」
小蒔「??」

そう思う私の前で京太郎君がそっと表情を曇らせました。
まるで誰よりも親しかったお友達が自分よりももっと親しい何かを見つけてしまったような…そんな肩透かしさえ感じる顔です。
見ているだけで何処か胸が痛くなるそれに私は首を傾げますが、京太郎君がどうしてそんな風になるのかまったく分かりませんでした。
流石に喜んでくれるとまでは思っていなかったものの、気恥ずかしそうにするくらいだと思っていたのです。

小蒔「(折角…ちょっと勇気を出してみたのに…)」

勿論、そうやって暗喩する人物なんて私にとって一人しかいません。
私の最高のお友達である京太郎君に受け止めて、そして傷つけて欲しいが故にこんな事を言い出したのですから。
しかし、それが京太郎君には伝わってはおらず、寧ろ、何か誤解されている可能性がある。
それに肩透かし感を味わう私がそれを訂正しようするよりも先に、京太郎君の顔がばっと上がり、その表情を明るくするのでした。

京太郎「んじゃ、お言葉に甘えて…やろうか?ルールはどうする?」

ニコリと笑うそれは何時も京太郎君が浮かべるものよりも明るいものでした。
それはさっき表情が曇っていたことが見間違えにも思えるほどの明るさです。
しかし…だからこそ、その不自然なくらいの明るさに私は強いぎこちなさを感じるのです。
まるで無理して明るく振舞っているようなそれに、見ているこっちの胸が痛くなるくらいでした。

小蒔「そう…ですね…」

しかし、こうして気勢を制するように先に言われて、訂正する勇気は私にはありませんでした。
さっきの言葉は告白じみたものでもあり、具体的に解説すると私の心に気づかれてしまいそうだったのです。
いえ…それだけならまだしも…私の浅ましい企みにまで気づかれ、京太郎君に幻滅されるかもしれません。
そう思うとどうしても私の中で勇気が出ず、逃避のように言葉を交し、そして準備を進めてしまうのでした。


京太郎「うし…それじゃ…よろしくお願いします」
小蒔「よろしくお願いします」

そう二人で頭を下げ、私たちはテーブルの上に敷いたマットから麻雀牌をとっていきます。
ルールは変則的ではありますが、久しぶりの麻雀に京太郎君の顔はキラキラとしていました。
その表情にはまだ暗いものが混ざっていますが、今は麻雀を純粋に楽しんでいるのでしょう。
それを思うと私も少し嬉しくて…そして何より…私の考えが許されたように思ってしまうのです。

小蒔「(そんなの…ただの思いこみにしか過ぎないのに…)」

私が今からやろうとしている事は京太郎君の傷に塩を塗りこむような事なのです。
どれだけ言い訳したって…それは変わりません。
勿論…その分、京太郎君のケアをするつもりではありますが、それは免罪符にはならないでしょう。
どれだけそれっぽい事を口にしても…私が自己満足の為に京太郎君を傷つけようとしている事に変わりはないのですから。

小蒔「(でも…私は…)」

それでも…私は京太郎君が欲しいんです。
上重さんに…いいえ、他の誰にだって…その気持ちが負けているつもりはありません。
どんなものだって…私は京太郎君の中で一番で居たい。
霞ちゃんにも…巴ちゃんにも…初美ちゃんにも…そして…春ちゃんにも勝てない私だけど…でも… ——

小蒔「(負けたくない…その気持ちには…嘘はないんです…っ)」

それはきっと愛ではないのでしょう。
自己中心的で、破滅的で…そして、貪欲なそれが愛であるはずがありません。
だけど…もう私は…その感情を認めてしまっていました。
それがどれだけ醜く…責められるようなものであったとしても…それが私の恋であると。
私の大事な初恋であると…もう…認めてしまっていたのです。


小蒔「……」スッ

そう思いながら、私が打ったのは危険牌でした。
あまり雀士として強くない私でもはっきりと分かるほど濃厚な聴牌気配。
しかも、それは河を見る限り、特徴的な手 —— 恐らく混一色…もしくは緑一色辺りなのでしょう。
それに振り込むのは私でもそれほど難しい事ではありません。
実際、京太郎君はそんな私にニヤリと笑って、自信あり気に牌を倒していくのですから。

京太郎「ロン。緑一色でドラなし。親倍で…48000だ」
小蒔「んきゅぅっ♥」

その宣告を聞いた瞬間、私の身体がビクンと跳ねました。
まるで身体全部が一斉に目覚めたようなそれに思わず身体が硬くなります。
しかし、そんな中で轟々と何かが吹き荒れ、痺れに似た感覚が四肢の端で弾けました。
バチバチとまるで電流が流されているようなそれに私は耐え切れません。
正座した姿勢をグラリと倒して、畳へと倒れこんでいくのです。

小蒔「(これが…京太郎君…の…ぉっ♪)」

ドサリと畳に倒れ込んだ私の胸に浮かんだのはまず嬉しさでした。
大丈夫だとは思っていたものの、やっぱり私にも問題なく京太郎君の能力は発動したのですから。
まず第一関門を超えられたと言う事に安堵し、期待が報われていくのを感じます。
しかし…それも長くは続きません。
ビリリと痺れ…全身がひくつく私のお腹から、ドロリとした熱が持ちあがってきたのですから。

小蒔「(こ、これ…なん…ですかぁ…っ♥)」

それは私が今まで感じたことのない感覚でした。
熱くてドロドロで…そしてとても暴力的な感覚の塊。
さっきの痺れを何倍にも熱く、そして強くしたようなそれはまるで蛇の化け物か何かのようでした。
そんなものが自分の中に居ただなんて想像もしていなかった私の心が恐怖に強張り、倒れこんだ身体が震えるのです。


京太郎「小蒔!?」

そんな私の身体を京太郎君がそっと抱き起こしてくれます。
肩や腰に感じるじっとりとしたその熱に私の身体からさらに力が抜け、脱力感に満たされていきました。
しかし、そんな事はお構いなしに私の中の化け物はどんどんと大きくなり、とぐろを巻いていくのです。
まるで…もうすぐお前を丸呑みにしてやると言うような…嗜虐的な仕草。
それに恐ろしさを感じた私の手は、京太郎君の浴衣を握りしめてしまいました。

小蒔「ふあ…あぁぁっ♪」

ですが、そんな京太郎君に『助けて』と言おうとした言葉は声にはなりませんでした。
代わりに私の口から出てきたのは甘い吐息に似たものであり、到底、言葉とは言えません。
それに不満を感じるものの、それで良かった…と思うのは京太郎君の心を案じたからでしょう。
ここで私が『助けて』と言ってしまったら…京太郎君はさらに自分を責める事になるのです。
それを考えながらも計画を実行に移したとは言え…下手に京太郎君を傷つけるのは私にとっても本意ではありません。

小蒔「ひぅ…ぅぅううっ♪」

ですが、その間も私の中の怪物はどんどんと膨れ上がり、その大きさを増していきます。
ただでさえ、暴力的だったそれが…本当に私を丸呑みにしてしまいそうなほど大きくなっていく様に私は声をあげて身悶えました。
しかし、脱力感に身体の殆どを支配された今の私にはそれから逃れるなんて出来るはずがありません。
どれだけ必死になっても精々が京太郎君の腕の中で身体を揺するくらいでしかなく…それに私が声をあげた瞬間、蛇の怪物が一気に弾けて私の身体中へと広がったのです。


小蒔「あっぁ…ぁあああああぁぁぁぁぁっ♪♪♪」

その激しさを牙に変え、私の身体へと突き立てようとするような感覚。
それに私は叫ぶような声をあげてしまいました。
しかし、幾ら叫んでも、身体の中を駆け抜け、四肢へと絡みつくドロドロとした蛇の力は弱まりません。
ジュルリと甘い汁を滴らせながら、私の神経へと絡みつき、その心臓にドキドキを流しこんでくるのです。
決して収まる気配のないそれに私の身体は戦慄くように震え、京太郎君へと縋り続けていました。

小蒔「(これ…これ…おかしい…です…っ♪♪)」

弾けるような蛇の感覚はとても激しく…まるで身体の内側が滅茶苦茶にされているように思えるのです。
私の中を何かが這いずり、暴れ、締め付けるように感じるのだから当然でしょう。
しかし…それなのに…私の身体はとても…気持ち良いんです。
本当は…そんなの気持ち悪いはずなのに…決して喜んで良い事じゃないはずなのに…今の私は信じられないほど…気持ち良い感覚の中にいました。

小蒔「(こんな…こんなの…私…知りません…っ♪♪)」

今までの人生の中であるだなんて想像もした事がない気持ち良さ。
被虐感すら伴ったそれに…私の心は否定するようにそう叫びました。
それはきっと…それを受け入れてしまったら私はもう元には戻れないと分かっているからなのでしょう。
しかし…私の中で暴れる嗜虐的な蛇は決して容赦しません。
そうやって拒絶する私の心にも牙をつきたて、ドロドロと甘い汁を注ぎ込んでくるのです。
それに心の言葉も少しずつ弱まり、私の意識がふぅっと遠くなるのを感じました。


小蒔「ふあ…あぁ…♥」

しかし、それも数分もした頃には下火になり、私の中から去っていきます。
今の私の中に残るのは余韻にも似たビリビリだけで、さっきのような激しい感覚はありません。
それに安堵するようにため息を吐く一方で…私は物足りなさを感じてしまっていました。
だって…私はもう…覚えてしまったのです。
あんなに甘美で…気持ち良いそれがあるという事を…京太郎君に教えてもらったのですから。
それを知って…今まで通りに振るまい…感じる事なんて出来ません。
あの気持ち良さが…もっと…もっと欲しいと言う気持ちが湧き上がってくるのです。

小蒔「(私…もぉ…ダメになっちゃいました…ぁ…♪♪)」

確かに今までの私も…はしたない思考を端に登らせる事がなかったなんて言いません。
さっきお風呂で見せた醜態も、そもそもはそれが端を発している訳なのですから。
しかし、今の私の中にあったのは…それよりももっと強く、激しい希求です。
お風呂で感じたそれがまだ弱々しく思えるほど…私の身体は京太郎君を求めていました。
お腹の奥が熱くて…太ももの間がキュンキュン疼いて堪りません。
そして、それが私の手に力を込め、京太郎君に縋るのではなく…逃がすまいとしていたのです。

京太郎「小蒔…大丈夫か?」
小蒔「ふぁう…ぅ…♥」

そんな浅ましい私に…京太郎君が泣きそうな声をくれました。
心配を多分に含み…悲しみに震えるそれは…京太郎君の苦しみを私に教えてくれます。
やっぱり私の自分勝手な行動で京太郎君を傷つけてしまったのでしょう。
そう思うと胸の奥が痛みますが…今の私にはそれさえも疼きのように思えて仕方がないのでした。


京太郎「待ってろ。今、小蒔の大事な人の所に連れて行ってやるからな…!」

そう言って京太郎君は私の身体を抱き上げてくれました。
利き腕に罅が入っているのにそんな事をすれば…傷んで仕方がないでしょう。
しかし、京太郎君はぐっと歯を食いしばり、痛みに耐えていました。
さっき泣きそうな声を紡いだ人とは到底、思えない…力強いその姿。
それに私の目尻が熱くなり…そして、堪らなく…胸が疼いてしまうのです。

京太郎「さぁ、どっちに行けば良い?」
小蒔「ここで…良いです…っ♥」
京太郎「い、いや…でも…!」

そう言う京太郎君の顔には申し訳なさが浮かんでいました。
私もまた能力の被害者としてしまった京太郎君にとって、それだけが今出来る贖罪の方法なのでしょう。
けれど…もっと簡単で…そして気持ち良い償い方が…世の中にはあるのです。
それを肝心な所で察しの悪い愛しい人に伝えようと…私はそっと唇を動かしました。

小蒔「それより…私を…抱いて…下さい…っ♪」
京太郎「っ!?」

吐息で途切れ途切れになった私の言葉に京太郎君は驚愕の表情を浮かべました。
それと同時にぐっと歯を噛み締めたのは…自分への怒りの為なのかもしれません。
けれど、京太郎君がそんな風に思う必要なんてまったくないのです。
だって…私はこうなる事を予想していただけじゃなく…期待していたのですから。


京太郎「いや…でも…小蒔には好きな人が…」
小蒔「ふふ…♪本当に…鈍い人なんですから…♪それとも…そんな振りをしているだけなんですか…?」
京太郎「っ…!」

何時もの京太郎君はとても気遣いに長け、人の心を優しく受け止めてくれる人なのです。
そんな京太郎君がこんなにも鈍感になるなんて、私には二つくらいしか思いつきません。
気づいていないふりをしているのか…或いはそれだけ自己を信じていないのか。

小蒔「(後者ならば…良いと思うのは流石に自分勝手が過ぎるでしょうか…♪)」

しかし…それなら私とお揃いなのです。
私もまた自分を最後まで信じきれず…自信を持つ事が出来ない女なのですから。
そんな私達が一緒になれば…二人共変われるかもしれません。
ずっと一緒に居て…笑い合って…愛しあっていけば…お互いに自分の唯一無二の価値を見いだせるかもしれないのです。
そう思うのは少し私に都合の良過ぎる未来でしょう。
しかし、私は…そんな事を思ってしまうほどに… ——

小蒔「私は…京太郎君が…好きです…♥大好き…なんですよぉ…♥」
京太郎「こ、小蒔…」

好き。
その感情がそのまま漏れ出すような告白は…私が夢見ていたものではありませんでした。
ロマンチックな場所で…ムードに包まれて…好いた殿方から…甘く囁かれるようなものではなかったのです。
しかし…それでも私は…自らの告白に甘く胸が疼くのを感じました。
そうやって…彼に思いの丈を伝える事が出来た事に…強い感動と…そして心地好さを覚えたのです。


小蒔「好きじゃなきゃ…一緒に…お風呂なんて入りません…っ♥大好きじゃなかったら…抱きついたり…しないですもんっ♥♥」

その心地好さに背を押されるようにして私の口から声が漏れ出しました。
今までの自分の行動の真意を京太郎君に伝えると言う事はとても恥ずかしいものです。
しかし…京太郎君はずっとコレを私にしてくれているのですから、逃げる訳にもいきません。
それに、そうやって思いを伝える度に胸の奥が暖かくなっていく私にとって…逃げるつもりもなかったのです。

京太郎「…ごめんな」
小蒔「あ…ぁ…♥」

そんな私を畳へと下ろしながら、京太郎君はひとつ謝罪をくれました。
そっと目を伏せたそれは突然、告白してきた私ではなく、自身を責めているのでしょう。
しかし、そうと分かっても、私は京太郎君に何も言えません。
本当はそんな事ないと…謝る必要なんてないんだと…言ってあげるべきなのです。
ですが、京太郎君が私の頭を撫でる度にそんな意思がふっと和らぎ、意識が溶けてしまうのでした。

京太郎「もっと色んな事に気づいてやれば良かったな…」
小蒔「んふ…ぅ♪」

優しく告げる京太郎君の愛撫。
私の髪一つ一つを丁寧に梳くようなそれに…私の口から吐息が漏れ出します。
それほどまでに優しい仕草から京太郎君が私の事を大事に思ってくれているのが伝わって来ました。
それがまだ…私と同じように異性としての好意なのかは分かりません。
しかし、決して私の告白が嫌がられている訳じゃないという実感に…胸が震えて止まりませんでした。


京太郎「でも…俺はまだ小蒔の気持ちには応えられない。ここでそう言うのは卑怯だし…何より俺は今、答えが出せる状況じゃないんだ」

その気持ちは京太郎君の返事を聞いても収まる事はありませんでした。
そもそも…私は京太郎君に今すぐ答えてもらおうと思っていた訳ではないのです。
それよりも…二人の間で確固としたものを求めて…こうして告白したのですから。
勿論、そうして愛を交わすのを期待していなかったと言えば、嘘になりますが、京太郎君の今の状況を思えば、責める事は出来ません。
その程度の事は幾ら私にだって分かっていました。

京太郎「控えめに言っても…俺は最低な事を言っていると思う。それでも…俺で良いのか?後悔…しないか?」
小蒔「好きな人に身を捧げて…どうして後悔するんですか…ぁ♥」

確かにこれが京太郎君が酷い人であれば、そんな気持ちになるかもしれません。
しかし、私が知る京太郎君はとても暖かで、そして私に良く似ている人なのです。
そんな人に初めてを捧げて…後悔なんてするはずがありません。

京太郎「分かった…。それなら…俺も小蒔としたい。正直…俺ももう我慢出来ないんだ…」
小蒔「ふ…わぁ…っ♪」

瞬間、私の身体に襲いかかってきたのはぎゅっと抱きしめるような強い束縛でした。
その逞しさで締め付けるそれに私の口から甘い吐息が絞り出されてしまいます。
けれど…私はそれが決して嫌じゃありません。
こうして私を閉じ込めているのが京太郎君だと思えば…一生、そうやって閉じ込め続けて欲しいとさえ…思ってしまうのです。


小蒔「(それに…熱い…ぃ♪)」

私のお互いの浴衣越しに伝わる熱はドンドンと強いものになっていました。
まるで重石をなくしてしまったように高ぶり続けるそれは京太郎君もまた強く、興奮しているからでしょう。
そう思っただけで私の身体が蕩け、その身を預けてしまうのです。
京太郎君の興奮に私もまた蕩けさせられている。
そんな錯覚を覚える甘い熱の中、私はうっとりとした気持ちを強めていきました。

京太郎「小蒔、目を閉じて…」
小蒔「は…ぁい…♥」

そんな私の耳に届く優しくて落ち着いた声。
私の身体を抱き締め、肌が焦がれそうなほど興奮しているとは到底、思えない優しい声音は私の事を大事に思ってくれているでしょう。
ただ…興奮に身を任せて、身体を重ねる人では決して紡げないそれに…私の陶酔は強くなり、言われるままに瞼も落ちて行きました。

小蒔「んぁ…あ…♪」

それが閉じきった瞬間、私の唇に柔らかいものが押し当てられました。
少し表面がカサカサして…けれど、ぷにぷにしている不思議な感触。
今まで感じたことのないそれは、しかし、キスによるものだと私に教えてくれるのです。


小蒔「(私の…ファーストキス…ぅ…♥)」

少女漫画では…ファーストキスはレモンの味だって言っていました。
しかし、こうして触れ合う唇からはただ柔らかい感触だけしかなく、味なんて何も感じません。
ですが…それは決してキスが甘美ではないという事には繋がらないのです。
こうやって京太郎君に…初めてのキスを捧げていると思うだけで…私の胸は蕩け、陶酔が強くなっていくのですから。

小蒔「(甘い…とっても…甘いです…♪)」

その気持ちの所為でしょうか。
味なんて感じるはずのないキスがとても甘く思えてくるのです。
その素晴らしさに私の腕が勝手に動き、京太郎君の背中にそっと回ってしまいました。
まるで…キスを強請るような…はしたないその仕草。
しかし、そう思っても私の腕は止まらずに…その背中でお互いに結び合うのです。

小蒔「ふぁぁ…あ…♪」

そんな私の唇にチュッチュと断続的に唇が降ってくるのです。
繰り返し…愛を確かめ…想いを伝えようとするようなそれに私の身体は喜びました。
まるで全身が幸せな気持ちで満たされるようなそれは、いっそ気持ち良く感じるのです。
しかし、それはさっきのものとは違い、激しさはありません。
ただ、荒れた私の内側を癒すように…優しく、溶かしてくれるのです。

小蒔「あ…ん…♪」

それが嬉しくて…そして気持ち良くて…私もまた唇を突き出してしまいます。
最早、言い訳の出来ないそのオネダリに…京太郎君は幾度も答えてくれるのでした。
まるで親鳥が雛鳥に餌を渡すような…優しくて甘いキスで。
休む事も飽きる事もなく…強請るだけの私に…幸せをくれ続けたのです。


小蒔「(こんな…幸せがあったなんて…っ♪)」

創作の中ではキスは素晴らしいものだと描かれていました。
そして…私もまたそうだと思っていたのです。
だって…それは大好きな人と愛を交わすとても甘美な行為なのですから。
しかし、今の私の中にあったのは、私が想像していたものとはまったく違いました。
夢見がちな私が想像していたよりも甘く、優しく…暖かで…幸せだったのです。
どれだけ今の私が説明したとしても…恋を知らない私には理解できないだろうその感覚に…私はもう完全に虜になってしまったのでした。

小蒔「はぅ…は…ぁ♥」
京太郎「はぁ…」

それが止んだ頃には私たちの呼吸は胸を揺らすほどになってしまいました。
呼吸するのも惜しいと言わんばかりに口づけあっていたのだから当然でしょう。
お互いの顔に吐息が振りかかるのもお構いなしにはぁはぁと酸素を求め合っていました。
そして、それが今の私にはとても甘美な状況に思えるのです。
もう離れても良いはずなのに、お互いに顔を近づけたまま…生きるのに大事なものを仲良く分け合うような関係。
それに胸の奥で熱いものを感じた瞬間、京太郎君の口が私の前でそっと開いていきます。

京太郎「もっと激しく…良いか?」
小蒔「もっと…激しく…?」

それは私にとって想像が及ばないものでした。
勿論、性教育の一環として性行為くらいは教えられていますが、激しいキスと言うのは教えられていませんし、思い浮かびません。
しかし、その一方で私の中には期待と…そして不安が入り交じっていました。
ただでさえ、虜になるほど気持ち良かったキスがさらに激しくなったら…きっと素晴らしさも増す事でしょう。
ですが、私はさっきのものでも満足出来るくらいに、身体が蕩けていたのです。
そんな私がさらにその上を知ってしまったら…どうなる事か。
それに対する不安はどうしても消えず、私の胸を逡巡させるのです。


小蒔「はぃ…♥」

しかし、それが私の期待と拮抗していたのは数秒の事でした。
確かに…それを知った私はおかしくなってしまうかもしれません。
毎日、京太郎君にキスをオネダリしてしまうようなはしたない女になったとしても不思議ではないでしょう。
ですが、だからと言って、私の興奮はもう収まるものではないのです。
もっと京太郎君とキスしたい。
もっと京太郎君に淫らなものを教えて欲しい。
もっと京太郎君と深いところで繋がりたい。
そんな気持ちで一杯になった私にとって…それはもう怯えるようなものではなくなっていたのです。

京太郎「小蒔…」
小蒔「ふぁ…ぁ…♪」

そんな私にそっと近づき、ちゅっと唇を触れ合うのは同じでした。
さっきと同じように甘い感覚がジィンと胸を震わせ、甘い吐息を漏らしてしまうのです。
しかし、その瞬間、私の中にヌルリとした感触が分け入ってくるのでした。

小蒔「んんっ♪」

まったく知らない…ドロドロで熱いその感触に私はびっくりして一瞬、身を固くしました。
肩を強張らせ、足を縮こませるそれはさっきまで脱力していたとは思えないほどに力が入っています。
しかし…それでもキスを止めようと思えないのは、京太郎君が私に酷い事をするとは思えないからでしょう。
京太郎君が何をしようとしているのかは分からないものの…これは恋人同士がやるような甘い交歓には他ならない。
そう信じているからこそ、私の腕は京太郎君を突き放す事はなく、ぐっとその背中に回ったままでした。


小蒔「(それにこれ…暖かくて…甘いです…♪)」

そうしている間に驚きの波が引き、私はその感触を受け止める事が出来ました。
最初はとてもびっくりしましたが、そのヌルヌルした何かは暖かく、また甘いのです。
例えるならシロップのようなすっきりとしたそれに私の味覚は刺激され、もっとそれが欲しくなってしまうのでした。

小蒔「(でも…どうしたら良いのか…)」

自分の口の中を、私とは違う何かが這いまわり、甘い汁を塗りたくる。
その感覚はさっきよりも強く私をドキドキとさせてくれました。
しかし、その一方で…あのうっとりするような甘い陶酔は足りなかったのです。
勿論、その気持ちがある事はあるのですが…口腔を這いまわる感触が刺激的すぎて、それに浸る事が出来ません。

京太郎「ちゅ…小蒔…舌を出して…」
小蒔「ふぁぃ…♥」

そのもどかしさに震える私の耳に、京太郎君の囁きが届きました。
低く声を抑えながら、次にするべき事を教えてくれるそれに私の胸はトクンと熱を放ちました。
勿論、それに抗う理由はなく、私は従順に京太郎君へと従うのです。

小蒔「んぁっ♪」

瞬間、ねっとりと私の舌にさっきのヌルヌルした何かが絡みついてくるのを感じます。
まるで私が歯茎から出てくるのを待ち構えていたようなそれに私は小さく声をあげました。
しかし、もう私はさっきのように身を固くしたりはしません。
そうやって舌で触れた事により…私はそれがようやく京太郎君の舌である事に気づいたのですから。


小蒔「(あぁ…♥こんな…とっても…エッチ…です…♪)」

舌を他人の口へと入れて…中を味わうだなんて一体、誰が考えだしたのでしょう。
こんな変態的でエッチなキスなんて…普通じゃありません。
そう思いながらも…私の胸には陶酔が呼び戻され、思考がうっとりとしていくのが分かりました。
まるで…身体がそうやって舌を絡めるキスが幸せなものだと知っているような感覚に私の思考は身悶えするのです。

小蒔「(でも…止まりません…っ♪キス…気持ち…良い…♥)」

そんな私の中に広がるのはさっきよりもはっきりとした気持ち良さでした。
ペロペロと舌同士が触れ合う度に私の胸の奥で官能が高まり、興奮が神経を伝わっていくのです。
その何とも言えない気持ち良さに私の身体は喜び、強張っていた肩からもすっと力が抜けて行きました。

小蒔「(しかも…本当に甘くて…ぇ♥)」

その上…それは本当に甘いのです。
さっきのように私の心が創りだした幻覚的な甘さではなく…本当に私の味覚を刺激してくれているのでした。
かと言って、勿論、さっきの心で感じる甘さがなくなった訳ではありません。
京太郎君とキスしているだけでも私の心はそれを感じ…そして満たされてしまうのですから。

小蒔「(こっちのキスの方が…素敵…ぃ♪)」

そう思う頃には私の中にさっきの緊張はありませんでした。
寧ろ、ファーストキスの頃よりも遥かに骨抜きにされ、虜になっていたのです。
最初、あんなにも緊張していたとは思えないそれに自分が現金に思えました。
ですが…そうなっても仕方ないくらい…京太郎君のキスは心地良いものだったのです。


小蒔「(もっと…もっとしたい…っ♪こっちのキス…もっと下さい…っ♪)」

しかし、そんな欲求が湧き上がるものの、私の身体からどんどん力が抜けていくのです。
夢中になってキスすればするほど…身体に陶酔が満ち、その代わりに力が追い出されていくのでした。
それはさっきよりも遥かに強く、今や私の腕さえも京太郎君の背中から離れそうになっていました。
そんな状態でも舌だけは必死に突き出しながら、私は甘い交歓を楽しんでいます。

小蒔「ふう…ぅ…♥」

何時までも…何時までも浸っていたくなるような甘いぬるま湯。
しかし、私の意識はあくまで肉体に繋がれており、ずっと動かし続ける訳にはいきません。
実際、私の舌の付け根はビリリとした痺れを発し、そろそろ限界だと脳に訴え始めていました。
ですが、それでも私は京太郎君と離れたくはありません。
例え、限界でも…もっとキスしたくて…仕方がないのです。

京太郎「はい…お預け」チュッ
小蒔「はにゅぅ…♪」

そんな私から京太郎君がそっと口を離しながら、甘く囁きました。
最後にチュッとキスをしてからのそれに私の口は不満気な声を漏らします。
それが言葉にならなかったのは私の中の脱力感と痺れが大きくなりすぎたからでした。
まさかそこまで自分が限界だったとは思っていなかった私の意識が微かな驚きを感じるものの、不満はなくなってはくれません。


京太郎「また今度、キスするから…な?」
小蒔「ふぁぅ…♪」コクン

私を虜にした…あの甘いキスがまた欲しい。
それを言葉ではなく仕草で表現しようと唇をつきだした私に京太郎君が言い聞かせるように言いました。
それに私の中の不満がゆっくりと引いていき、冷静さを取り戻す事が出来たのです。
とは言え、それはまだまだ微かで…陶酔とは比べ物にならないもの。
しかし、それでも萎んでいく不満を抑える事は出来…私は京太郎君の胸の中で小さく頷きました。

京太郎「それに…もっとエッチな事したくて堪らないんだ…」
小蒔「…あぁ…っ♪」

絞るような声に私の背筋はゾクリとしたものを感じます。
だって、それはキスに夢中になっていた私が完全に忘れていた事だったのです。
これはまだ序の口で…私達がしようとしている事はまだ先にあるという事を…私はすっかり忘れていたのでした。
それをこうして京太郎君から告げられた瞬間に背筋を駆け抜けたのは甘い期待でしょう。
キスでさえこんなにも凄かったのに…これよりもっと淫らな事となると一体、どうなってしまうのか。
不安混じりのそれが甘い余韻を残して背筋を登り、私の脳へと突き刺さったのです。

京太郎「小蒔…脱がすからな…」

そんな私の前で京太郎君はぐっと私の浴衣に手を掛けました。
ぐいっと脇から引っ張られるようにも感じるそれは京太郎君が強く興奮しているからなのでしょう。
実際、私を見下ろすその目にも強い力が宿り、京太郎君が決して平静ではないのが伝わって来ました。
ですが…それは私も同じなのです。
だって…こうして脱がすと京太郎君に言われた私は…それに胸をときめかせてしまっているのですから。


小蒔「(私の裸…見られちゃうのに…っ♪)」

お風呂に入った時のような水着ではありません。
この浴衣の下にあるのは正真正銘…私の裸体なのです。
今まで霞ちゃんたち以外には滅多に晒した事のないそれを…今、大好きな殿方に見られてしまう。
そう思っただけで、私の胸は壊れそうなほどに高鳴り、ゴクリと生唾を飲み込んでしまうのでした。

小蒔「ふぁ…ぁ…♥」

そんな私の前で京太郎君の右手が右へと離れ、浴衣が開けていきます。
それに私が甘く声を漏らした瞬間、京太郎君の視線が露出した谷間へと突き刺さるのを感じました。
ただ、見るのではなく…見抜く…と言った表現の方が正しいその強い視線に…胸に根ざしたあの疼く熱がまた大きくなっていくのです。

京太郎「小蒔…下着は…?」
小蒔「お風呂上りに…しょんなの…着けません…♪」

そんな私が京太郎君の問いに応える言葉は舌足らずではありながらも、しっかりとしたものになっていました。
少なくともさっきのように舌が痺れてろくに動かせないというような状況ではないようです。
それに一つ安堵しながらも、私の胸の興奮は止まる事はありませんでした。
だって…京太郎君の手は途中で止まっているとは言え…後少し動けば乳輪まで見えてしまいそうなのですから。
最早、裸と殆ど変わらないその露出度に私のドキドキはさっきから強くなっていく一方なのです。


京太郎「…すまん…っ!」
小蒔「きゃんっ♪」

そう言いながら、京太郎君はグワッと浴衣を引っ張り、私の肩までを露出させるのです。
勿論、片側だけとは言え、そこまで肌蹴てしまっては、最早、視線を隠す事など出来ません。
実際、残った左側も協調を崩された所為で、ズルズルとズレ落ちていっていました。
流石に今すぐどうこうなるという訳ではないですが、それでも遠からず裸にさせられるのは目に見えています。

京太郎「はぁ…っはぁ…!」
小蒔「(だって、こんなに…激しく私の乳房を見てくれているんです…♥)」

ケダモノのような熱い吐息を漏らしながら、京太郎君は私の胸を見つめていました。
ただでさえ興奮の色が強かったそれは今、私の乳房の頂点に向けられています。
そこには勿論…桃色に尖った私の乳首があって… ——

小蒔「(こんなの…私…知らないのに…ぃ♥)」

今まで私が生きてきた中で、乳首がそんな風に固くなった事なんてありませんでした。
京太郎君といてドキドキしていた時だって、多分、そんな事にはなっていなかったでしょう。
私の身体は今…主である私でさえも知らない変化を見せているのです。
けれど…それに私は恐怖を覚える事はありませんでした。
だって…目の前で興奮に飲まれつつある京太郎君には、きっとそれがどういう事なのか分かっているのですから。


京太郎「小蒔…綺麗だ…」
小蒔「んふぅ…♪光栄…です…♪」

それを感じさせる甘い褒め言葉に私の口から満足気なため息が漏れました。
はふぅと白いもやを作るそれが京太郎君の首元に掛かります。
けれど、それを厭う事なく、京太郎君は変質した私の乳房をじっと見つめていました。
それはきっとそうやって変異した姿が、京太郎君の興奮を擽るものだからなのでしょう。

京太郎「触っても…良いか?」
小蒔「もう…一々…そんなの聞かなくても良いですよぉ…♪」

そう思う私におずおずと伸ばされる京太郎君の手。
それに拗ねるように返すのはそんな事はとっくの昔に覚悟しているからです。
見られるのも触れられるのも、それ以上の事をされるのも…覚悟して私は身を捧げているのですから。
そうでなければ…少なくとも、自分の方から告白するだなんて…はしたない真似はしません。
だからこそ、私は… ——

小蒔「ほら…ぁ♪」
京太郎「お…ぉ…」

キスから一段落して少しずつ力が入るようになった腕で私は京太郎君の手を掴みます。
そのまま乳房へと導き、ふにょりとそれを柔肉へと押し付けるのでした。
瞬間、京太郎君の口から感動したような声が漏れ、その目に浮かぶ興奮も一気に強くなります。
それに意識が喜ぶ一方で…私はそれに浸ることが出来ません。
乳房に京太郎君が触れた瞬間、ビリリとした感覚が胸の奥へと伝わって来たのですから。


小蒔「(これ…さっきの…っ♪♪)」

私がこうして床へと倒れ込む原因になった激しい痺れ。
それには及ばないながらも、かなり近い感覚が私の胸を騒がせていました。
ざわざわと神経を焦がすようなそれは京太郎君が触れている箇所から沸き上がって来ているのでしょう。
しかし、そうと分かっていても私にはどうする事も出来ません。
だって、その痺れのような激しい感覚は途切れる事はなく…京太郎君が触れている限り、ずっと私に襲いかかるのですから。

小蒔「(今なら…これも…ぉ♪)」

最初はおっかなびっくりで訳が分からなかった痺れ。
ですが、京太郎君とキスをして身体が蕩けていたからでしょうか。
恐怖を感じたり身体が強張る事はなく、ただ気持ち良さとして受け止める事が出来るのです。
きっとおっぱいのように目に見える部分だけじゃなく、私の内側でも色々なものが変わっているのでしょう。

小蒔「(でも…京太郎君になら…良いです…♥)」

そうやって見知った自分が別の何かへと変質する感覚。
それはとても恐ろしく、震え上がってもおかしくはないものなのでしょう。
しかし、私の中にはどれだけ探してもそんな感情はありませんでした。
寧ろ、そうやって京太郎君の手で変わっていくのであれば…そんなに素晴らしい事はないと思えるのです。
だって…京太郎君は私のヒーローで…大好きな人なのですから。
そんな人が…私を悪いように変えるはずがありません。
きっと今よりも素晴らしい私に…京太郎君好みの私に変えてくれるのでしょう。


小蒔「ふぅ…んっ♪」

そう思った瞬間、京太郎君の手が私の胸をもみ始めます。
周囲の肌をゆっくりとなぞり、指先を埋め込むそれはちょっと擽ったいものでした。
しかし、かと言って、それが不快と言う訳ではありません。
寧ろ、興奮している表情からは想像も出来ないくらい優しい愛撫にビリビリが強くなり、私の口から甘い吐息が漏れたのです。

京太郎「小蒔のおっぱい…凄い柔らかいな…」
小蒔「そぉ…なんですか…?」
京太郎「あぁ。こうしてるだけでもすげぇそそられる」

そうやって京太郎君が私を褒めてくれますが、その実感は私にはありませんでした。
私にとって乳房はいずれ出会うべき最愛の殿方と赤ちゃんのもので、あまり自分で触ったりしなかったのですから。
とは言え、そうやって京太郎君に褒められると嬉しいのは変わりません。

小蒔「もう…ぅん…っ♪おっきしちゃいました…?」
京太郎「さっきからもうガチガチだって」

私の言葉に京太郎君は自嘲気味に笑いました。
恐らくですが、そうやって堪え性のない自分を恥じているのでしょう。
ですが、私にとって、それは嬉しい事柄でしかないのです。
だって…私たちはこれから性交をしようとしているのですから。
ましてや…愛する殿方が興奮しているのを見て、私が厭うような気持ちになるはずないでしょう。


京太郎「小蒔ももう…乳首勃っちゃってるな」
小蒔「勃つ…?」
京太郎「あー…そうか。そういうのも知らないんだよな」

そう言って京太郎君は手を止めて、思考に耽りました。
きっとそれはどうやって私に説明するかを考えてくれているのでしょう。
それをありがたく思う反面、私は少し寂しい気持ちになっていました。
京太郎君の手は変わらず、私に触れているので…ビリビリは決して消えている訳じゃありません。
しかし、あの独特のくすぐったさはなく…私の乳房は物足りなさを覚えていたのです。

小蒔「(こ、こんな…はしたない…♥)」

もっと京太郎君に愛撫して欲しい、そう訴えかけるような胸の反応に、私はそう言葉を紡ぎます。
ですが、そんなものは…もう今更でしょう。
私はもうとっくの昔にキスのオネダリどころか、性交の懇願までしているのですから。
そんな私がこうしてはしたないと思う事の方が多分、間違っているのでしょう。
ですが、そう思っても、私の中で羞恥心はなくならず、私の興奮に彩りを加えていたのでした。

京太郎「女の人も興奮って言うか欲情すると乳首が勃つんだよ」
小蒔「乳首が…?」
京太郎「そう。まぁ、どれだけ膨張するかは個人差があるみたいだけどな」

そんな私に一つ淫らな知識をくれながら、京太郎君の手が再び動き始めました。
それに私の胸は歓喜を沸き上がらせ、ドロドロとした熱を強くするのです。
そんな中、駆け抜ける気持ち良さはさっきよりも強いものでした。
それは多分、京太郎君の手がさっきよりも力強くなっているからなのでしょう。


京太郎「…そろそろ慣れてきたか?」
小蒔「はう…ぅ…♪何を…ですか…ぁ?」
京太郎「おっぱいの刺激って言うか、愛撫って言うか」

確かめるようなその言葉に私の頬はぼっと赤くなりました。
だって、それは京太郎君にとって、私が感じ始めている事に確信めいたものがあると言う事なのですから。
それが事実と即していないのならばともかく、私にとってそれは事実以外の何物でもありません。
それに…まるで自分のはしたなさを見抜かれたように感じて…私は強い羞恥心を抱いてしまうのです。

京太郎「はは、気にするなって。俺はそうやって慣れてくれた方が嬉しい」
小蒔「でも…ぉ♪」
京太郎「それに男は少しくらいエロい女の子の方が好きなもんだぜ?」
小蒔「ふぁ…わ…♪」

何処か悪戯っぽく笑いながらも京太郎君は私の心を正確に感じ取ってくれたのでしょう。
優しいフォローの言葉は、自分のはしたなさに強張る私の心を溶かしてくれました。
ジュンと心が甘い感情へと変わっていくそれは、胸の愛撫よりも、キスの時にも感じた甘い心地好さに似ています。
身体ではなく、心で感じるそれに私は思わず声をあげて肩を震わせてしまいました。

京太郎「それに小蒔は誰相手にもこうならないだろ?」
小蒔「そ、そんなの当たり前ですっ!!」

そんな私が声を荒上げて反論したのは、あまりにも不名誉な事だったからです。
確かに私は少しずつ転がり落ちるように淫らではしたない女性になっているのかもしれません。
少なくとも、私が目指していた淑女と呼ばれるものからは大きく引き離されている事でしょう。
しかし、それでも私は誰彼かまわずこんな風になるような女性では絶対にないのです。
こんな風になるのは愛しい京太郎君だけだからこそ、私はそれを受け入れつつあったのですから。


京太郎「だったら…気にする事なんてないって。好きな人の前でエロい気分になる方が健全だろ」
小蒔「そう…でしょう…か…?」
京太郎「そうそう。だから、もうちょっと我慢しないで色々と言ってくれて良いんだぜ?」

京太郎君の言葉に私のタガがガリガリと音を立てて、歪んでいくのが分かります。
誰よりも認めて…愛して欲しい殿方からの許しの言葉に…私はまた一つ道を踏み外そうとしているのでしょう。
しかし、そうと分かっていても、私は踏みとどまる事が出来ませんでした。
そうやってまた一つ理性から足を離した私を受け止めると言われて…我慢なんて出来ないのです。

小蒔「じゃあ…もっと…激しく…乳房を弄って下さい…っ♪」
京太郎「なんだ…物足りなかったのか?」
小蒔「やぁ…ぁ♪」

揶揄するように言う京太郎君の胸の中で身を捩りながら、私は拗ねるような声をあげました。
それに京太郎君の笑みが強くなり、興奮とはまた違った色を強くしていくのが分かります。
それが一体、何なのか私には分かりませんが…そんな京太郎君を見ていると…背筋がゾクリとしてしまいました。
さっきのような甘い陶酔混じりのものではなく…冷たく鋭いそれに私が背筋を震わせた瞬間、京太郎君の手が私の乳房をぐっと掴むのです。

小蒔「ひぅぅっ♪」
京太郎「悪かった。これからは…手加減なんてしないからな」

そう強く言いながら、京太郎君の手は私の乳房を弄びます。
さっきのように周囲をなぞりながら、指先に力を入れていくようなものではありません。
ぐにぐにと指を埋め込み、私の柔肉を玩具にするような嗜虐的な行為。
最早、愛撫であるのかすら定かではないそれに私の胸は震えていました。


小蒔「(なのに…気持ちイイんです…っ♥)」

さっきの優しいものから一転、意地悪で力強い手の動き。
刺激的と言う言葉でさえも生温く感じるそれに…しかし、私の身体は反応していました。
ピンと張った乳首の奥まで甘い痺れが走り、気持ち良さが心を突き刺してくるくらいに。
本当にさっきのそれが手加減されていたのだと私に知らしめるその強さに私の身体はさらなる変質を迎えようとしていました。

小蒔「(あ…ぁ…♪乳首…がぁ…♥)」

そうやって鷲掴みにするような京太郎君の指の間で乳首はピンと勃っていました。
私が興奮している事を…京太郎君に教えるその淫らな部位は…それだけではなかったのでしょう。
今の私は乳首の根本からズキリと走る疼きに悩まされていました。
まるで…そこがもっと気持ち良いのだと私に教えるようなその感覚に私は恐怖を感じます。
だって、今でさえ私は気持ち良すぎて…おかしくなってしまいそうなのですから。
勿論…そうやって淫らに変質しても…京太郎君が受け止めてくれるでしょうから恐怖を感じる必要はありません。
ですが、それでも思わず二の足を踏んでしまうくらい…それは大きなものだったのです。

京太郎「小蒔どうだ?満足してくれてるか?」
小蒔「し…して…ます…ぅ♪」

瞬間、私の身体に強い疼きが走りました。
まるでそうやって嘘を吐く事がスイッチだったように…私の身体が疼くのです。
特に乳首は根本から先っぽまで痛いくらいに疼いて、今すぐ触って欲しくて堪らなくなりました。
それに肩を震わせて、吐息を漏らす私のお腹にもジュンとした熱が湧き上がりつつあるのです。

小蒔「(お腹も…なんで熱いんですかぁ…♪)」

さっき私をアレだけ虐めた怪物の寝床。
そこはもう熱く蕩けて…トロトロの粘液を滴らせ始めていました。
それがトロリと私の肌へと染み出し、下着を濡らしているのを感じます。
いえ…それは今まで自覚出来ていなかっただけなのでしょう。
既に粘ついた染みは下着を超えて、私の太ももまで濡らしているのですから。


小蒔「(何時から…こんな風に…ぃ♥)」

こんなおもらしをしてしまったような状況になっていただなんて私は夢にも思っていませんでした。
しかし、衣服が張り付く感覚は決してなくなりません。
私にこれが現実なのだと無慈悲に突きつけるそれに私は困惑を覚え、記憶を遡ろうとします。

小蒔「はう…ぅ♪♪」

ですが、それすら許さないほどに京太郎君の愛撫は巧みでした。
乱暴に私の乳房を弄んでいるようにしか思えないのに、私の神経をこれでもかと刺激しているのですから。
まるで気持ち良いツボを全部、押さえられているような感覚に私の口から声が漏れ、思考が遮られるのです。
しかし、それでもそれを邪魔だと思う事が出来ないのは、それが京太郎君の手だからなのでしょう。
愛しい人の硬くて逞しいものだからこそ…私はそれを拒めないのです。

京太郎「小蒔が喜んでくれて俺も嬉しいよ」
小蒔「私も…です…ぅ♥」

そんな私を見て京太郎君も喜んでくれている。
それに私は甘い陶酔を沸き上がらせ、乳房を震わせました。
だって…それは一方通行のものではないのです。
私がただ気持ち良くなっているのではなく、そんな私の姿を見て、京太郎君もまた喜んでくれているのですから。
まるで心通わせ合った恋人のようなその昂ぶりに、幸せを感じないはずがありません。


京太郎「でも…それじゃあ乳首はイジらなくて良いかな」
小蒔「う…ぅ…ぅ♥」

しかし、その喜びは京太郎君の次の言葉であっさりと下火になってしまいます。
それは勿論…私がそうされる事を内心、望んでいるからなのでしょう。
そしてまた京太郎君もそんな私を見抜いているからこそ、そう言っているのです。
さっきとはまた別の意味で心通わせ合ったそれに、しかし、私は喜ぶ気持ちにはなれません。
だって、それは…私を辱める為の言葉なのですから。

京太郎「小蒔はどうだ?乳首…触って欲しくない?」
小蒔「そ、それは…ぁ…♪」

ここで触って欲しくないと言えば、京太郎君は本当に触ってはくれないでしょう。
普段の意地悪な彼の姿を思えば、その未来を思い浮かべるのは容易い事でした。
ですが、逆に触って欲しいと言えば、きっと私が身悶えするくらい気持ち良くしてくれるはずです。
それもまた普段の優しい京太郎君を想像すれば、簡単に思い描く事が出来る未来でした。

小蒔「(どっちも凄い…ドキドキします…けど…っ♪)」

私の中に疼いた熱はもう意地悪されたくないとばかりにズキズキと訴えてくるのです。
早くそこを京太郎君の逞しい指で弄って欲しいと、弄んで欲しいと私の心へ叫んでいるのでした。
勿論、そんな…はしたない言葉を躊躇なく言えるほど、私は恥じらいのない女ではありません。
幾らその先に待っているのが期待している以上の気持ち良さだとしても…そんな風に応える訳にはいかないのです。


小蒔「(あぁ…♪なのに…なのに…ぃ♥)」

そうやって拒絶すればするほど…私の中で期待が沸き上がってしまうのです。
こんなに私が拒絶しなければいけない気持ち良さって言うのは一体、なんなんだろう?
どれだけ淫らで…そして魅力的な感覚なんだろう?
さっきもうオネダリしちゃったんだから…今更じゃないだろうか?
そんな疑問が…さっきから胸を突いて止まりません。
それを封じようと私は身体を強張らせましたが、あまり効果があるとは言えません。
そうやって硬くした四肢からも…興奮の熱が伝わり、私の心を揺らしているのですから。

小蒔「触って…ぇっ♪触って…欲しい…です…っ♥」

結局、私はそれに抗えませんでした。
ぎゅっと握り拳を作って、足の先にぐっと力を込めても…私は欲望に屈してしまったのです。
どれだけ理性がそれっぽく取り繕っても…結局、私は自分の欲望には勝てませんでした。
そんな自分に自嘲を浮かべた瞬間、目の前の京太郎君はふっと優しげな微笑みを浮かべます。
まるで安心して綻んだような暖かなそれに…私の胸も興奮とは違うもので、じっと暖かくなってしまいました。

京太郎「小蒔がまたオネダリしてくれて嬉しいぜ」
小蒔「う…ぅぅぅ…っ♪」

しかし、その口から飛び出してくるのはやっぱり意地悪な言葉でした。
私だって…その表情通りの言葉を言ってくれると期待していた訳ではないのです。
そうやって意地悪されるだろうという事くらい予想していたのですから。
ですが…やっぱり完全に望みを捨て切れた訳ではなかったのでしょう。
そんな私の期待をすっぱりと断ち切るようなギャップあるその言葉がチクチクと私の胸を刺すのを感じました。


小蒔「京太郎君は意地悪です…っ♪」
京太郎「俺としては小蒔が可愛いのがいけないと思うんだけどなぁ」

チクリとした痛みと恥ずかしさ、そして微かな興奮に背を押されるようにして、私はそう言い放ちました。
これまで何度も京太郎君に伝え、けれど、開き直られてきたその言葉。
それは今回も届かず、京太郎君の表情を揺るがせる事すら出来ませんでした。
その代わりに告げられる『可愛い』という言葉に…私はドキドキさせられてしまいます。

小蒔「京太郎君の卑怯者…ぉ♥」

私の言葉はまったく聞き届けてくれないのに…その言葉の一つ一つが胸をふるわせるのですから。
まるで私が隷属しているような一方的で…歪なその関係。
しかし、そんな歪みが嫌じゃないのは、きっと京太郎君の本質がとても暖かな人だからなのでしょう。
どれだけ私の言葉が届かずとも…決して吟味していない訳じゃない。
もしかしたら、私以上に私の事を考えてくれていると分かっているからこそ、私はそれが嫌じゃありませんでした。

京太郎「それじゃ卑怯な俺は…こっちを責めてみますか」
小蒔「ひああぁっ♪♪」

瞬間、私の身体にビリビリとした感覚が走りぬけ、神経を焼きました。
さっきよりも遥かに強く…そして激しいその気持ち良さはバチバチと四肢で暴れるのです。
思わずぎゅっと力を込めたくなるほどのそれは乳房のそれとは比べ物になりません。
暖かさを削るようにして、鋭さを強化するようなそれはとても刺激的で鮮烈でした。

小蒔「(ビリビリすごすぎますぅうっ♪♪)」

いっそ被虐的に感じるくらいの気持ち良さ。
それは京太郎君が摘んだ私の乳首から放たれていました。
今までの疼きを全て痺れへと変換するようなそれに私の頭は甘い言葉を漏らします。
気持ち良さに緩むようなそれは…最早、理性の効いた正常なものとは到底、言えないでしょう。
しかし、だからこそ、それだけ思考が蕩けていると言う証のような気がして私の胸を打つのです。


京太郎「はは。摘んだだけなのに凄い反応だな」
小蒔「ひ…ぅ…ぅう♪」

そうして揶揄するように笑う京太郎君に私は反論することが出来ませんでした。
だって、私自身、そんな自分が異常だという意識はあったのですから。
ただ…乳首に触れられただけでこんな風になるだなんて普通はありえません。
そんな敏感な場所を露出していたら、女性は日常生活を送る事なんて不可能でしょう。

京太郎「やっぱり…小蒔も発情してるんだな…」

そのポツリと呟くその言葉には苦々しい感情が混ざっていました。
その『発情』という言葉の意味は良く分かりませんが…きっとそれは今の淫らな私の事を指すのでしょう。
そう思うと顔の芯が焼けるように熱くなりますが、否定出来る要素なんて何処にもありません。
今の私がおかしくて普通ではないのは…きっと誰もが認める事なんですから。

京太郎「だから…せめて…気持ち良くしてやるからな…」
小蒔「にゃ…ひぃっ♪♪」

そのまま摘んだ私の乳首を京太郎君はゆっくりと擦り始めました。
親指と人差指の間でスリスリと刷り込むようなそれに私の口から甘い鳴き声が漏れるのです。
それを恥ずかしいと思った瞬間、彼の顔が少しだけ緩むのが見て取れました。
私を愛してくれている京太郎君に気持ち良さを伝えようとするそれに…きっと京太郎君は… ——


小蒔「(救われて…いるんですね…♥)」

私が気持ち良くなればなるほど…償えたような気がする。
それは勿論…逃避であり、根本的な解決にはなっていないのでしょう。
しかし、こうして人を異常にさせる力を得た京太郎君にとって、それは唯一、縋れるものであったのです。
こんなに気持ち良くしているのだから…責任はとっているんだと…自分を誤魔化し、痛みから護る事が出来るものなのでしょう。

小蒔「(だったら…もう…恥ずかしがる事なんて…ないです…♪)」

そうやって相手が気持ち良さに素直になる事で…胸が救われる。
そう思うのは決して京太郎君だけではないのです。
こうした状況をつくり出した私の方も…そうやって救われる京太郎君を見て…心が軽くなっているのですから。
ならば…さっきまで恥ずかしがっていたそれを…厭う理由はもう私にはありません。
確かに恥ずかしいですし、はしたない事ですが…それで京太郎君が少しでも救われるのであれば…安いものでしょう。

小蒔「私…発情…してます…ぅっ♪京太郎君に愛されて…トロトロになって…ぇぇぅ♥」
京太郎「小蒔…」

そんな私の口から漏れたのは甘く、淫らな言葉でした。
お互いに楽になれるように…淫らな好循環を創りだそうとするそれに京太郎君が驚いたように私を見ます。
私の乳首を扱くその手を止めてのその表情に、私の身体は強い不満を訴えてきました。
ついさっきまで怖がっていたその気持ち良さに…私はもう虜になっているのでしょう。
そんな自分に一つ自嘲を向けながら、私は京太郎君にそっと唇を開きました。


小蒔「発情…良いんです…っ♪凄い…気持ち良くて…抗えなくって…ぇ♪こんなの…知りませんでした…ぁ♥」

今まで恥ずかしくて言えなかったその言葉は…たどたどしくも京太郎君に伝えようとしていました。
つまり…この状況が…とても気持ち良く、そして私にとって恥ずかしいけれど…その分、良いものだと言う事を。
勿論、そんなはしたない言葉を口にするのは恥ずかしいと言う意識は私の中にもありました。
ですが、それは決して避けられるようなものではなかったのです。
こうしてこの状況を作り出そうとした責任として…京太郎君に伝えなければいけない。
それは…勿論、これだけではなく、他にももっと…それこそ思いつくだけで山のようにあるのでした。

小蒔「乳首も…おっぱいも…良かった…です…♪京太郎君の指…魔法使いさんみたいで…♥」
京太郎「はは。魔法使いか」

それを拙い語彙で表現しようとした私の言葉に京太郎くんは小さく笑いました。
でも、そこには馬鹿にしたようなものはなく、単純に微笑ましさに満ちています。
その心の中はどうかは分かりませんが、ふっと穏やかになったそれを見るに『私らしい』と思ってくれているのかもしれません。
それが良い事なのか、悪い事なのか分かりませんが…京太郎君の自責が少し軽くなったのは事実なのでしょう。

京太郎「だったら…もっと掛けてやるよ。小蒔に…快楽の魔法をもっと掛けて…おかしくしてやる」
小蒔「ふわあっんっ♪♪」

瞬間、再開される乳首の動きに私は思わず、そう鳴いてしまいます。
甲高く膨れたその声は再開された指の動きがさっきよりも遠慮の無いものだったからなのでしょう。
ズリズリと交互に動くようにして私の乳首を擦る指はキュッと力が入り、私の乳首を歪ませていました。
その奥にある甘いビリビリのスイッチを弄るようなそれに私の全身は喜ぶようにして、震えてしまうのです。


小蒔「快楽って…ふぁ…ぅ♪なん…ですかぁ?」
京太郎「性的な意味で気持ち良いって事だよ。快感とかが類義語になると思うけど…?」

そんな私の中に浮かんだ疑問は京太郎君の口にした不思議な単語に向けられていました。
聞いた事のない『快楽』という単語は…妙に胸がドキドキする不思議なフレーズです。
きっとエッチな言葉なのだろうと…内心、思いながら尋ねたそれはやっぱり思った通りのものでした。
けれど、それにクイズに正解した時のような達成感が浮かぶような事はなく、ドロリとした興奮…いえ、発情が私の中で強くなるのです。

小蒔「快感…♪これ…気持ち良いじゃない…んですか…ぁ♥」
京太郎「気持ち良いだけじゃないんだろ?」

ニヤリと意地悪く笑う京太郎君の言葉は私の心を見透かしたものでした。
確かに…今の私が感じているのはただ気持ち良いだけじゃありません。
発情と期待が入り混じり…今まで感じた事がないくらいにドロドロになっていました。
まさに欲望と表現するのが正しいそれに…私はもう抗う事が出来ません。
ただ、堕ちて…足を踏み外していくだけのそれは…確かに快楽や快感と表現するべきなのでしょう。

小蒔「そう…です…ぅ♪私は…快感を…感じて…ますぅ…♥気持ち良い…だけじゃなくて…ドロドロで…発情…しちゃってぇ…♪」

そう思って口にした私の言葉にまた私の頭の中がドロリと蕩けるのを感じました。
また一つ足を踏み外し、理性を溶かしてしまったそれに私は思わず笑みを浮かべてしまいます。
そうやって淫らになっていく自分が誇らしく、また喜ばしい。
それが最早、表情が変わってしまうレベルにまで到達しつつある自分に私は微かな驚きを覚えました。
しかし、だからと言って…今の私が感じるそれはなくなりません。
加速度的に転がり落ちていくだけになった私を止めるものはもう何もなかったのです。


京太郎「小蒔は良い子だな」
小蒔「んひぃっ♪」

そんな私を褒めてくれながら、京太郎君の指先がキュッと乳首を締め付けました。
さっきまでのような擦るのではなく、左右から押し潰そうとするようなそれに私の背筋はくっと反り返ります。
ですが、それは苦痛や不快感の為ではありません。
寧ろ、私の頭の中を焼きそうなくらいの快感が私の神経へと流し込まれていたのです。

小蒔「(こんな…酷いことされてるのにぃ…っ♪♪)」

今にも乳首が折れてしまいそうなくらい力強い摘み方。
いっそ暴力的にさえ思えるそれは恐らく普通の愛撫ではないのでしょう。
普段の私であれば、きっと苦痛を感じていたと思うほどなのですから。
しかし…そんな私の思考が嘘のように…それは気持ち良いのです。
乱暴で被虐的なそれにお腹が熱くなるほどの快感を感じていたのでした。

小蒔「あぁぁっ♪これ…クる…ぅッ♥来ちゃいます…ぅ♥」

今までよりもさらに鮮烈でそして激しい快感は二股へと別れ、私の脳をお腹の奥に突き刺さっていました。
私の脳を溶かし、お腹の奥で眠る何かを目覚めさせようとするそれに私の中でムクムクと何かが持ち上がってくるのです。
さっき身体がおかしくなる時にも感じた甘く熱いその感覚に私は恐怖を蘇らせながら、そう叫びました。
その手もまた京太郎君の浴衣をぎゅっと握りしめ、震える指先から怯えを伝えようとしています。


小蒔「これ…これ何ですかぁっ♪お腹からクるビリビリ…ぃ♪熱くて…凄い…んですぅ♥」

その正体も分からず、怯える私の問いは快楽で震えていました。
不明瞭で声音も一定ではないそれは、きっととても聞き取りづらいものだったでしょう。
ですが、それでも京太郎君はそれを聞き取ってくれたのです。
だって、私を見下ろす京太郎君はその顔に浮かぶ興奮を濃くし、意地悪な表情をさらに強くしたのですから。

京太郎「それはな、小蒔がイキそうになってるんだよ」
小蒔「イくぅ…ぅ♪イくって何…ですかぁぁっ♥」

そうやって言葉を交わす間にもドンドンと大きくなっていく快楽の蛇。
それが恐ろしくて…私の上擦った声はさらに大きくなりました。
廊下を歩いている人になら容易く聞こえてしまいそうなそれは、しかし、分かっていても抑える事が出来ません。
まるで早くその正体を突き止めなければ、私が壊れてしまうと言うような強い衝動。
それに突き動かされる私の前で京太郎君がそっと口を開きました。

京太郎「小蒔には性的絶頂とかオルガズムとか…アクメとか…そう言った方が分かりやすいかな」
小蒔「こ、これが…絶頂…ぉ♥」

分かりやすく言い直してくれる京太郎君の言葉はちゃんと理解が出来るものでした。
幾ら性的知識が少ないと自覚していても、それが快感の極地である事くらい知っているのです。
しかし…だからと言って、それがこれほど大きく、そして激しいものだなんて思っていませんでした。
いえ…思えるはずなんてないでしょう。
だって、私のお腹の奥で蠢き、解放の時を今か今かと待ち望んでいるのは、今まで私が味わってきたどんなものよりも刺激的なものなのですから。


小蒔「これ…これ…大丈夫…なんですかぁ…っ♪」
京太郎「大丈夫だって。女の子は皆、それを喜ぶものなんだから」

一度目の絶頂は…私をこうして発情へと追い込みました。
では、二度目のそれは一体、私をどうしてしまうのか。
その正体が理解できて尚、休まず浮かび上がる恐怖に私の心は疑問を止めません。
そんな私に京太郎君は軽く言いながらも、優しい視線を向けてくれました。

京太郎「それに…もし大丈夫じゃなかったら、俺が一生、面倒を見てやるよ」
小蒔「ふぁあぁっ♥」

その瞬間、私の乳首が京太郎君の指で擦られ、その快感を強くしました。
この期に及んでさらに責めを激しくする京太郎君の中で、私はまた鳴き声をあげて、身悶えします。
しかし、それがただ、快楽だけを表現するものではないのは…きっと誰にも分かる事なのでしょう。
だって私は京太郎君に…プロポーズされたのです。
何気なくポンと…くれたものではあるけれど…それは間違いなくプロポーズ以外の何者でもありません。

小蒔「(嬉しい…っ♪嬉しい嬉しい嬉しい…っ♪)」

そうやって告白される事を私は望みながらも、諦めていました。
京太郎君の境遇から、そんな余裕なんてないと理解していたのです。
しかし、そんな私にもたらされた嬉しいサプライズに…私の胸は感動を止めません。
さっき私の中を支配していた絶頂への恐怖を押しのけるようなそれに、私は『嬉しい』という言葉だけをひたすら繰り返していました。


小蒔「ぎゅって…ぎゅってしてくださいぃっ♪私…イきますからぁっ♥京太郎君の前で…アクメしますからぁっ♪♪」

そんな私の口から飛び出したのは淫らで甘いオネダリでした。
私の愛しい婚約者に絶頂をはっきりと伝えるそれに背筋が甘い痺れを覚えます。
無論、羞恥心もゾクゾクと刺激され、顔が赤く染まりますが、もう止まれません。
今にも私を飲み込みそうな大きくて激しいお腹の熱も…私の愛しさも…もう深い深い奈落の底へと堕ちるしかないのですから。

京太郎「それくらいお安い御用だ」
小蒔「あぁ…♪」

そうやって私をぐっと抱きしめなおしてくれる京太郎君の左腕も私にとってはザイルになりません。
寧ろ、それは私をさらに深い所へと引きずり込もうとする魔手なのです。
けれど…それもまた愛しい人のものだと思えば、怖くなんてありません。
どれだけ深く淫らな所に堕ちたとしても…愛しい私の婚約者と一緒ならば…きっと幸せなのでしょう。
そう思った瞬間、お腹のグルグルが一気に縮こまり、身体がすぅっと冷めていくのが分かりました。

小蒔「見てて下さい…っ♪私…イきますからぁっ♥京太郎君の前で…ぇっ♪♪イく…イくイくぅ…っ♪イッく…ぅぅぅぅぅっ♥」

さっきも感じた絶頂の予兆。
それに私が必死に言葉を紡いだ瞬間、それが私の最奥で弾けました。
音もなく、一気に広がり、全身を揺るがせるそれは…さっきよりも激しいものです。
神経一つの例外もなく、キリキリと締め付け…甘い毒を流しこむような快楽の波。
気持ち良すぎて…身体の中がグチャグチャになっていくようなそれに私は全身を震わせ…そして喜んでいました。


小蒔「(これが…本当のイくなんですね…っ♥)」

さっきのそれは…きっとただの模造品だったのでしょう。
絶頂を模しただけの…ただ気持ち良い快楽の波。
それは私の身体を発情させて、女として目覚めさせてくれたのは事実です。
しかし…今、私が味わっているそれから思えば…さっきのものはただの偽物でしかありません。
私の中を暴れる蛇の激しさは最早、神話のヤマタノオロチもかくやと言う勢いで…私をボロボロにしていくのですから。
しかも、それが怖くないどころか…愛しくて甘い気持ちが幾らでも沸き上がってくるのです。

小蒔「(きっとこれが…京太郎君に貰ったものだから…っ♥)」

京太郎君に貰ったものだから…私はそれに溺れる事が出来る。
京太郎君に与えられたものだから、私はそれを貪る事が出来る。
京太郎君に注ぎ込まれたものだから、私はそれを受け入れる事が出来る。
さっきのような…身体が勝手に至ってしまったものではなく、コレが京太郎君の手によるものだから。
だから…私は今までの価値観全てを揺るがすような絶頂の中、幸せを感じる事が出来ていたのでしょう。

小蒔「(あぁ…もぉ…私の中…ドロドロ…ぉ♥)」

気持ち良くて…幸せで…もうここで死んじゃっても良いと思えるような…快楽の極地。
私の中の筋肉全部を甘い汁に変えて…快感の材料にするようなその熱い波に私は蕩けていきます。
握り締めているはずの京太郎君の浴衣にさえ…指を引っ掛けるような弱々しい拘束へと変わるほどの気持ち良さ。
それに意識の奥まで陶酔に満ちていくのを感じながら、私は二度目の…ううん、最初の絶頂を享受していました。

小蒔「んふぁ…ぁ…♪」

けれど、数分もすれば、それも弱まり、私の中には余韻だけが残ります。
蕩けた身体の中をビリビリと走る快感は気持ち良く、時折、ピクンと身体が反応してしまいました。
ですが、それほどの快楽でも、さっきの絶頂には到底、及びません。
私の中を溶かして、全部、快感で満たすような…被虐的で幸せなオルガズムには敵わないのです。


小蒔「(でも…私…ぃ…♥)」

それほどまでの絶頂を経て尚、私の身体は満足出来ていませんでした。
いえ…より正確に言うのであれば、さっきからずっと疼き続けていたのです。
乳首よりも何よりも…本当はずっと京太郎君を欲し続けていた私の…女の部分。
そのあまりの大きさにずっと意識を逸らしてきましたが…それはもう許されませんでした。

小蒔「(もう…っ♥もう…私…お股の間が…ズキズキってしちゃってます…っ♪♪)」

絶頂を経てより大きくなった私の淫らな疼き。
それは最早、疼きを通り越して、痛みに近いものへと変貌していました。
まるでもう目を背ける事を許さないと言うようなそれに…私の意識は惹きつけられてしまいます。
早くそこを…京太郎君に愛して欲しい。
京太郎君に弄って欲しい。
京太郎君に犯して欲しい。
そんな言葉が渦巻き、絶頂の余韻に浸る私を休ませてくれませんでした。

小蒔「きょぉたろぉ…くぅん…♥」
京太郎「ん…?」

それに突き動かされた私の言葉に京太郎君は優しく問い返してくれました。
さっきの意地悪な表情が嘘のようなその顔には慈愛の色すら見て取れるような気がします。
それはきっと…プロポーズした私をそれだけ愛してくれている証なのでしょう。
それに私の頬が緩み、幸福感が大きくなるのを感じながら、私はそっと唇を動かしました。

小蒔「わらひ…しゅごい…気持ち良かった…れす…ぅ♪ありがとぉ…ごじゃいました…ぁ♪」
京太郎「そうか。それは良かった」

そう絶頂のお礼を告げる私に京太郎君はそっと微笑んでくれました。
その笑みには嘘偽りがなく、本当に京太郎君が喜んでくれているのを伝えます。
ですが…そこにはもう滾るような熱い興奮が滲み出し、京太郎君を苛んでいるのが分かりました。
さっきから幾度となく顔を出しているそれは、京太郎君が我慢している証なのでしょう。
もう我慢出来ない…なんて言いながらも…ずっと自分を御してくれていた理性的な京太郎君。
それも私の事を思ってだと思うと嬉しくなりますが…それと同時に不満を覚えるのです。


小蒔「(一緒に…気持ち良くなる方法はあるはずなのに…ぃ♥)」

勿論、さっきの絶頂が決して不満だったなんて事はありません。
アレは私の人生観を変えるほど大きくて激しいものだったのですから。
正直、今もさっきの絶頂が欲しくて、乳首の先が疼いていました。
しかし、どれだけそれが素晴らしかったと言っても、それは京太郎君の我慢の上に築かれたものならば…素直に受け止める事は出来ません。
ましてや、それが本来であれば不要な我慢だと思えば…尚更です。

小蒔「(だって…私もそれを望んでいるんですから…ぁっ♪♪)」

最初に言った覚悟は決して嘘じゃありません。
京太郎君に初めてを捧げる覚悟なんて、もう私はとっくの昔にしているのです。
それなのに…こうして過保護にされて…自分だけ我慢されるのは正直、辛い事でした。
それよりも…私の欲望を京太郎君が受け入れてくれたように…私にもその欲望をぶつけて欲しい。
絶頂という節目を迎え、思考が蕩けた私にとって、それは何よりも大きな感情でした。

小蒔「だから…もぉ…良いれすから…♥」
京太郎「え…?」
小蒔「わらひ…準備…出来まひた…ぁ♪きょぉたろぉくんと…エッチする準備…出来たんれすぅ…♪」

その感情をぶつけるように私は京太郎君へと告げるのです。
絶頂で蕩けたその言葉は、しかし、私の婚約者にちゃんと届いてくれたのでしょう。
その顔に浮かんだ興奮が強くなり、私の肩に掛かる吐息の熱も大きくなりました。
しかし、それでも京太郎君は答えず、ギリギリのところで踏みとどまろうとしています。


小蒔「私…したい…れす…っ♥きょうたろぉくんと…せっくしゅ…したいんれすよおぉ…♥」
京太郎「小蒔…」

そんな必要はないと…遠回しに告げる私の言葉。
それに京太郎君が私の名前を呼びながら、その手に力を込めました。
ぎゅっと肌に食い込むそれは彼の逡巡の大きさを私に告げるのです。
それに私の口がまた淫らな言葉を紡ぎそうになりましたが、それよりも先に京太郎君がそっと口を開きました。

京太郎「ヘタレでごめんな。でも、ちょっと待っててくれるか?」
小蒔「ふぁう…ぅ♪」

そう言って、京太郎君はそっと私を手放し、畳へと優しく横たえてくれました。
瞬間、私を包んでいた熱がふっと遠ざかり、私の全身が寂しさを訴えます。
まるで一人、暗い闇の中に放置されたようなそれに私の手がそっと京太郎君へと向けて伸びようとしました。
けれど、未だ絶頂の影響から抜け切らない私の腕はろくに動かず、畳の上でズルズルとのたうつだけ。
それに悔しさを感じる私の横に京太郎君がそっと白いものを敷いたのです。

京太郎「ごめん。お待たせ」

そう言って京太郎君が私を運んでくれたのは真っ白な敷き布団の上でした。
畳の上よりも柔らかく、そしてお日様の熱を吸い込んでポカポカしているそれに私の心が揺れ戻ります。
さっき私を京太郎君が手放したのは…私を不必要に傷めつけない為のクッションを準備する為だったのでしょう。
本当は今にもシたくて堪らないでしょうに…私の事を気遣ってくれる京太郎君の優しさ。
それに寂しさや悔しさと言ったマイナスの感情から一気に幸福感へと針が引き戻される感覚に私の胸が大きく震えるのです。


京太郎「俺も腹を括るから…」

そんな私の浴衣に京太郎君がそっと手を伸ばしました。
そのまま京太郎君が肌蹴た浴衣の紐を引っ張るようにシュルリと外していくのです。
勿論、そんな風に紐解かれたところで、私は仰向けになっているのですから今すぐ京太郎君に肌を見られる訳ではありません。
しかし、だからこそ、湧き上がる期待に私の胸はドキドキを強くして行きました。

京太郎「見る…ぞ」
小蒔「ふぁぃ…♪」

そう私に告げる京太郎君に頷きながら答えた瞬間、彼の手は私の浴衣をゆっくりと開きました。
肌蹴させるのではなく、私を脱がせようと明確な意思が篭ったそれに浴衣が抗う事はありません。
唯一、抗う術であった紐を解かれた今、それは衣服ではなく、ただの布なのですから。
まるでクローゼットを開けるような左右への動きに従って…私の肌を晒すのでした。

京太郎「はぁ…ぁ」
小蒔「あ…ぁ…♥」

瞬間、私の前で京太郎君が熱いため息を漏らしました。
欲情を込め、熱情を感じさせる長いそれは私の胸へと降りかかり、乳房をチリチリと焼くようです。
しかし、刺すような視線はさっきと違って乳房だけには収まらず、ゆっくりと下って行きました。
お腹からお尻へのウェストラインにも感じるその力強い視線。
特にそれを強く突