三浦「あーしってさ案外一途なんだよね」八幡「はぁ」 (371)

ほい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382358843

建てられなかったからありがとう
SS速報初めてなんだけど
トリつけたほうがいいのか?

あり、なんだ自分だったのか
エラーでたから立てれなかったとおもった

あり、なんだ自分だったのか
エラーでたから立てれなかったとおもった

みんなありがとう

三浦「あやまんなし」

八幡「う、うん」

三浦「……まぁ今日はお開きってことでいいしょっ!」ニコッ

八幡「そ、そうだな……」

三浦「あ、あのさ、今週の日曜は空いてる?」

八幡「え、ああ、、まぁ空いてないことはない……」

三浦「よし、じゃあ約束!」スッ

八幡「えーまたかよ」

三浦「文句いうなし!」

八幡「はいはい」

三浦「ゆーびきりげんまん」

八幡「嘘ついたらー」

三浦「はりせんぼんのーます」

八幡・三浦「指切ったっ!」

最初から投下したほうがいいのか?

んじゃ

八幡「・・・・・・」

三浦「・・・・・・」

八幡「い、いいんじゃねーの、一途な女の子って」

三浦「!」

八幡「男で嫌いなやつはいないだろーし」

三浦「そ、そうっしょ、いいっしょ、いいっしょ!?」

三浦「そ、それにあーしって意外と料理もできるし、掃除洗濯もちゃんとやるし!」

三浦「え、えーと、こ、子供も大好きだし、ね? ね? いいっしょ、いいっしょ!!」

八幡「あ、あー、うん・・・・・・葉山が羨ましいわ、リア充爆発しろ」

三浦「え・・・・・・?」

八幡「料理、掃除洗濯、子供も好き」

八幡「さらには容姿端麗、眉目秀麗・・・・・・っと」

八幡「まさに完全無欠超人の葉山とはベストカップルってわけだ」

八幡「羨ましくて、反吐が出そう」

八幡「んで、んで、その三浦優美子様がカースト最下層の俺になんか用?」

三浦「え・・・・・・えっと・・・・・・」

八幡「ああ、俺にベストカップルっぷりを見せつけに来た・・・・・と」

三浦「・・・・・・」じわぁ

三浦「・・・・・・」ぐすっ

八幡「あ、えーと、その」

三浦「・・・・・・わかった」

八幡「へ?」

三浦「わかったし!」バンっ!

八幡「ななな、何がでございますでしょうかか」ビクっ

三浦「あんたにあーしがどんだけ一途か、どんだけラブラブか!」

三浦「ヒキタミの濁った眼でもわかるように見せてあげるッ!!」

八幡「は、はいっ!!」

コピペして気づいたけどヒキタにじゃなくヒキタミになっとる

三浦「返事・・・・・・したよね」

八幡「え、いや、これは・・・・・・」キョロキョロ

三浦「 し た よ ね 」ガシっ

八幡「痛い痛い痛い、か、顔ッ、離して、ごめんなさい、ごめんなさい」

三浦「視線をそらさず、見てなさいよ、約束!」

八幡「は、はいぃぃ!」

三浦「・・・・・・」パッ

八幡「ほっ・・・・・・」

三浦「・・・・・・」すっ

八幡「え、なんですか、いきなり手を出して」

三浦「指切りよ、そんくらいわかるっしょ」

八幡「いやいや、今日日小学生でもし・・・・・・」

三浦「 い い か ら 指 切 り し ろ し ! !」

八幡「すすす、すみません!!」

三浦「ゆーびーきーりーげーんーまーん」

八幡「うそついたら・・・・・・」

三浦「はーりーせーんーぼーん、のーまーす」

八幡「指切った……」

三浦「約束……約束だかんね!」

三浦「覚えてなさいよっ!!」ダッ

八幡「……な、なんだよ、全く」

ガラッ

雪乃「……今、三浦さんが泣きながら廊下を走っていったのだけれど」

由比ヶ浜「……ヒッキー……」

雪乃「流石にあなたといえど犯罪行為には手を染めないと思っていたのだけど」

由比ヶ浜「ヒッキー、最低!!」

八幡「ちょ、ちょっと待てよ! ご、誤解だ、誤解!」

八幡「俺は三浦にはなんにもしてない!」

雪乃「けれど、三浦さんは泣いていた、それが事実ではなくて?」

八幡「ウッ……そ、それは……」

由比ヶ浜「そ、そうだよ、ヒッキー! どうして優美子は泣いてたの!?」

八幡「い、いや……」

由比ヶ浜「ちゃんと、答えてよヒッキー!!」

八幡「わ、わかった、わかったから、落ち着け……」

雪乃「……なるほどね」

由比ヶ浜「……」

八幡「……」

雪乃「聞く限りではあなたは悪くないわ」

雪乃「『表面上』はね」

由比ヶ浜「ヒッキー……」

八幡「……なんだよ」

由比ヶ浜「ヒッキー、私からお願いがあるの」

由比ヶ浜「優美子にはちゃんと向き合ってあげて」

八幡「由比ヶ浜……」

由比ヶ浜「ああ見えて、優美子……本当に一途だから……」

八幡「ふぅ……」

八幡(今日は疲れた、はよ帰りたい)

平塚「お疲れのようだな」

八幡「なんですか先生まで」

平塚「ふむ、まぁ悩める少年のために、一つ面白い雑学でもと思ってな」

平塚「元来、指切りというのはだな、遊女が不変の愛を証のために小指を切断し」

平塚「男のため送ったことが、由来となっていると言われている」

平塚「まぁ、遊女が愛を証明するためにはそれほどの覚悟が必要ということだ」

八幡「流石先生、色々と話の説得力がありますね、いろんな意味で」

平塚「すまないな、いろんな意味で」ドカッ

八幡「ぐぇ……ご、げほ」

平塚「まぁ、冗談はそれぐらいにして」

八幡「腹パンは冗談で済まされるんですか?」

平塚「遊女が小指を切り落とす」

平塚「これは言うまでもなく取り返しのつかない」

平塚「差し出す女は一途な愛、受け取る男には誠意の心が必要となる」

八幡「……」

平塚「一途な愛と誠意の心だ」

八幡「大事な事だから2回ですか」

平塚「ああ、大事な事だからな」

八幡「は、はぁ……」

次の日

八幡(昨日はまるで眠れなかった)

三浦「……」チラッチラッ

八幡(視線が痛い……)

由比ヶ浜「……」チラッチラッ

八幡(痛い……)

平塚「で、あるからしてー」チラッチラッ

八幡(……うぜぇ)

放課後

八幡「今日の授業はかなりハードだった……」

三浦「ヒキオ!」トンッ

八幡「ヒッ!」

八幡「な、なになに!? ごめんなさい!?」

三浦「な、なに、肩に叩いただけなんだけど、ちょっとキモイ」

八幡「う、うるせーキモイのは生まれつきなんだよ」

三浦「自分で言っててハズくないの?」

八幡「な、なんだよ」

三浦(おどおどしてる、なんだろう……これ)

三浦(ああ、わかった、犬だ、怯えた犬)

三浦(うん、かわいい、ちょーかわいいし)

三浦「//////」

八幡「な、なにニヤついてるんだよ、気持ち悪」

三浦「はぁ!? に、ニヤついてなんてねーし!!//////}

由比ヶ浜「まぁまぁ、二人とも、落ち着いて、落ち着いて」ズイッ

由比ヶ浜「優美子、ヒッキーに何か用なの?」

三浦「あ、あぁ、うん、あ、あのさ、ヒキオ、今日さ、これから……」

三浦「暇?」

八幡「……暇じゃ……」チラッ

由比ヶ浜「?」

由比ヶ浜『ああ見えて、優美子……本当に一途だから……』

八幡「ちっ……」

八幡「ああそーですよ、俺はぼっちで暇人だよ、何か文句あるか?」

三浦「そ、そう、じゃあさ、これから、あーしにさ……」

三浦「付き合ってよ」

八幡「……はぁ……はいはい、付き合う付き合う」

三浦「本当!?」パァァ

三浦「じゃ、じゃあ行くよ、ほら、今すぐに!!」グイッグイッ

八幡「ひ、引っ張んなって、痛い痛い!!」

由比ヶ浜「あ、ゆきのんにはちゃんと伝えておくからー」

八幡(んで、なぜか俺はテニスコートにつれてこられたわけだが)

三浦「ヒキオー、サーブいくよー」

八幡「ちょ、ちょっとまて!!」

三浦「待たんし」スッパーン

八幡「あ、くっそ、この」

三浦「ゲームポイントマッチ、あーし、あーしの勝っちー」

八幡「ひ、卑怯だぞ、よそ見しているときに!」

三浦「ヒキオがあーしを見てないのが悪いし」

八幡「ぐぬぬ」

八幡「だいたい、なんでテニスなんだよ」

三浦「ん?」

八幡「いや、お前がテニス得意なのは知ってる」

八幡「けどさ、普通、初めてのデートとかには使わんだろ」

三浦「へぇーデートだと思ってたんだ」

八幡「えっ……い、いや、これはだな、想定相手が葉山だとしてだな」

三浦「はいはい」(顔真っ赤にしてかわいい///)

八幡「な、なにニヤついてるんだよ気持ち悪」

三浦「そういうヒキオも顔真っ赤だし」

八幡「ち、違う、こ、これは夕日が赤いせいだ!」

三浦「まだ日は落ちてないし」

八幡「う、うるせー///」

三浦「なんでテニスかって?」

八幡「ん……ああ」

三浦「テニスってさ紳士のスポーツじゃん」

八幡「まぁ、世間一般的にはそーだな」

三浦「テニスは相手を見て、相手を賞賛し、それに敬意を表して自分も全力を尽くす」

三浦「あーしはさ、あんたを良いところ見たかったし」

三浦「ヒキオにはあーしの全力を見てほしかった」

八幡「……」

三浦「この前さ、あーしとあんたでテニスで勝負したじゃん」

八幡「あー、あれね」

三浦「正直、あんたなんか眼中にもなかった」

三浦「正直、こっちじゃなくあんたたちについたユイにムカついてた」

三浦「そのあと、雪ノ下が出てきた時も、あーし、あいつに恥かかすことしか考えてなかった」

三浦「だからだと思う、あんたにしてやられたのは」

三浦「さっきのあんたみたいにね」

八幡「い、いや、それは……」

三浦「さっきのでわかった」

三浦「あんたはあーしを見てない」

八幡「す、すまん」

三浦「あやまんなし」ベシッ

八幡「痛ッ!」

八幡「た、叩くことねーじゃねーか」ヒリヒリ

三浦「うるさいし、正直に言われると傷つくし」プイッ

八幡「ご、ごめ……」

三浦「……2回目」

八幡「ちょ、まって、叩くのはやめて!」

三浦(うん、やっぱり、子犬みたいだし)

三浦「えいっ!」ギュムー

八幡「ひゃうぅぅ!」

三浦「むふー」スリスリ

八幡「み、三浦さん、いったい何してるんでごじゃりますです」

三浦「叩かないでって言ったのはあんただし」ムニムニ

八幡「いいいいやややや、そそそそれれれれはははは」(柔らかい、柔らかいぃぃ!)

三浦「それにさ、こーしてればあーしを見てくれるじゃん!」ニコッ

八幡(近い、近いぃぃ! 良い匂い、良い匂いぃぃぃ!?)

三浦「あーしは見てるよ、あんたを……」

三浦「あんたは……どうよ?」

八幡「おおおおおおおれれれれれ」

三浦「ねぇ、あーしの顔、真っ赤?」

八幡「               」

八幡「……ん……むぅ」

三浦「お、起きたし」膝枕中

八幡「……なんだ、夢か……」すぅ

三浦「また寝るなし」ぺしっ

八幡「いてっ!」

三浦「あんたが、気絶したせいでもうすっかり夕暮れじゃん」

八幡「えっ、マジで!?」

三浦「マジマジ」

八幡「うわぁ、マジだよ……マージマジマジーロだよ」

八幡「気絶した挙句、膝枕までされるとか……」

三浦「……嫌だった?」

八幡「え、いやじゃ、ないですけど、うん、なんというか男のプライドというか」ゴニョゴニョ

三浦「あーしは良かったけど、あんたの寝顔が見られたし」

八幡「えっ……?」

三浦「うん//////」

八幡「//////」

三浦「あ、あのさ……」

八幡「な、なにっ?!」

三浦「さっきの質問……答えて欲しいし」

八幡「あ、あー、あれ、えっと……」

三浦「//////」

八幡「う、うんとね、夕日が眩しくてよくわかんない」

八幡(我ながら、なんというヘタレ返答)

三浦「あやまんなし」

八幡「う、うん」

三浦「……まぁ今日はお開きってことでいいしょっ!」ニコッ

八幡「そ、そうだな……」

三浦「あ、あのさ、今週の日曜は空いてる?」

八幡「え、ああ、、まぁ空いてないことはない……」

三浦「よし、じゃあ約束!」スッ

八幡「えーまたかよ」

三浦「文句いうなし!」

八幡「はいはい」

三浦「ゆーびきりげんまん」

八幡「嘘ついたらー」

三浦「はりせんぼんのーます」

八幡・三浦「指切ったっ!」

>>44
三浦「そっか……

八幡「す、すま……」

三浦「あやまんなし」

八幡「う、うん」

三浦「……まぁ今日はお開きってことでいいしょっ!」ニコッ

八幡「そ、そうだな……」

三浦「あ、あのさ、今週の日曜は空いてる?」

八幡「え、ああ、、まぁ空いてないことはない……」

三浦「よし、じゃあ約束!」スッ

八幡「えーまたかよ」

三浦「文句いうなし!」

八幡「はいはい」

三浦「ゆーびきりげんまん」

八幡「嘘ついたらー」

三浦「はりせんぼんのーます」

八幡・三浦「指切ったっ!」

最初の2行抜けとった

とりあえずコピペ終わり

とりあえずコピペ終わり

八幡(しかし、まぁ、今週の日曜か……)

八幡(ノリでOKしてしまったが、今からでも断るべきなのでは?)

八幡(だいたい、俺とは釣り合わないだろうし、それに……)

八幡(しかし、指切りで約束までしてしまったし)

平塚『差し出す女は一途な愛、受け取る男には誠意の心が必要となる』

平塚『一途な愛と誠意の心だ』

八幡「むぅ」

小町「おにーちゃん!」ヒョイ

八幡「うぉっと、いきなり横からでてくんなビックリする」

小町「いやいや、何やら難しい顔してましたので、ほぐしてあげようかと」

八幡「いらんお世話だ」

小町「えー、だって、お兄ちゃんが難しい顔してると変なんだもん」

八幡「変ってなんだ、変って……」

小町「うーんと、ほら、あれだよあれ」

小町「例えると深海魚? の一種?」

小町「いや、もっとあれかな昆虫? 微生物?」

八幡「おい、やめろ、これ以上いうと泣くぞ、ほら泣くぞ」グスッ

小町「冗談だって、冗談、ほらほらいいこいいこ」ナデナデ

小町「まぁ、そんなことはいいとして」

八幡「よくねーよ、俺のハートはボロボロだ」

小町「まぁまぁ悩みがあるなら、言ってみてって」

小町「この小町ちゃんにどーんと任せてみなさい!」

八幡「当てにできなさそーだな」

小町「あっ、ひっどーい、こー見えて学校では頼りにされてるんだよ、私」

八幡「はいはい」

八幡(とはいえ、本当のことを小町に言うと、ろくなことになりそうにない)

八幡(ここは、オブラートに被せて相談してもらったほうが良さそうだな)

今日はもう寝ます

八幡「ごほん……それじゃ改めまして」

小町「どーぞどーぞ」

八幡「実はな、材木座に小説のストーリーを相談されてな」

小町「なるほど、なるほど」

八幡「その小説のキャラ、仮にAとヒロインB子としよう」

小町「ふむふむ、HさんとY子さん」

八幡「どういう風に聞いたらそう聞こえるの!?」

小町「まぁまぁ、気にせず続けて続けて♪」

八幡「……Aは、わけありで、クラスでは孤立している」

八幡「ちょっと陰のある、一匹狼という設定だ」

小町「うわぁ……言い方って大事だねー、小町一つ勉強しちゃったよ」

八幡「おい、どういう意味だ……これは小説のキャラの設定だぞ」

小町「あーうん、そういう事にしといてあげる」

八幡(うぜぇ……)

八幡「一方のB子はだな……」

小町(どっち? どっちかな?! 小町的にはどっちでも応援しちゃう♪)ワクワク

八幡「容姿端麗でクラスの中心人物……あと、かなり胸がでかい、これ重要だな」

小町「……ん?」

小町(えっと、雪乃さんは容姿端麗だけど、クラスの中心人物とはいえない)

小町(なにより、胸は……うん……)

小町(結衣さんは胸はかなりでかいけど……)

小町(容姿端麗というより可愛い系……それと中心人物……?)

小町「ん~~~~?」首傾げ

八幡「どうした?」

小町「お兄ちゃん、もしかしてB子さんて年上?」

八幡「いや、同学年……という設定だ」

小町(年上二人でもない……もしかして……)

小町(新たなるお嫁さん候補!? やだ!?)

小町(お兄ちゃん来てますなー、来てますよー)ムフフフ

小町「いいよ~、お兄ちゃん、続けて続けて」キラキラ

八幡「お、おぅ……」(やっぱやめたほうが良かったかも知れん)

八幡「Aはさっき言ったとおりワケありでな」

八幡「特殊な能力持ちでそのせいで孤独になってしまった、まぁ詳しい能力の説明はここでは省こう」

小町「ああ~、そだね、悲しい想い出が残っちゃうしね……」

八幡「おい、なんだ、その目は、やめろ、憐れむな」

小町「はいはい、あったかいものどうぞ」スッ

八幡「あったかいものどうも……」

八幡「話を戻そう、Aは最終決戦の際、B子を連れて行くか迷った」

八幡「Aの能力はB子を不幸にするかもしれないからだ」

八幡「しかしながら、B子はついていくと言って聞かない」

八幡「ここでだ、あろうことか材木座は彼女を連れて行き、二人ぼっちになることを選択した」

八幡「俺は反論した、彼女は日向の人間、敢えて日陰に引きずり込むのは単なる自己満足」

八幡「ここは永遠の別れを告げ、悲しくも美しい悲劇として演出をすすめるべきだ」

八幡「まぁ、簡潔に言えばこんな所だ……」

小町「……ふーん」

八幡「どうだ、俺が正しいだろ?」

小町「うん、お兄ちゃんが間違えてるよ、それ」

八幡「え……いやいやだって……」

小町「だってもこってもないって、B子さんはついて行きたいっていったんでしょ」

小町「だったら連れていかないほうが、自己満足じゃん」

小町「だいたい、なに、悲しくも美しい悲劇? みんな好きだよね、そういうの」

小町「でもね小町だったら、そんなのじゃなく、ふたりで笑って、ふたりぼっちを歩んでいく」

小町「そして大声で言っちゃう」

小町「へいき、へっちゃらだって」

小町「……うん、今の小町的にポイント高いよ……」

八幡「…………」

八幡「そっか……まぁ参考にさせてもらうわ」

小町「おにいちゃん、ファイトだよ、正念場、正念場!」

八幡「小説のキャラだって言ってるだろ、バカ」

小町「えー、そうだっけー」

八幡「ったく、もう寝るぞ、俺は今日は、微生物の顔で寝てやる」

小町「まーだ、根に持ってる、可愛くなーい」ニシシシ

八幡「うるへー」

小町「おにーいちゃん♪」

八幡「うん?」

小町「おにいちゃんが取られても小町はね」

小町「へいき、へっちゃら、覚悟したから♪」

小町「いまの小町的にポイント高いから♪」

小町(あの、おにいちゃんがかー)

小町(人はやっぱり進歩ってするんだなー)

小町(しかし、まぁ、B子さんてどんな人なんだろ)

小町(結衣さんに聞けばわかるのかなー)むぅ

prrrr

小町「うん?」

小町(知らない番号から……)

小町「はい、もしもし、小町ですけど」ピッ

三浦『あ、は、はじめまして、あーしはヒキ……あっ、ちょちが、えっとユイの友達の……」

小町(ああ、この人が……)

小町「はじめまして♪ B子さん♪」

三浦『は、はい?』

今日はもう寝ます

八幡(昨日デートしたからといって何が変わるわけでもない)

八幡(俺はクラスでは、ボッチ、そしてあいつ、三浦は)

八幡(クラスの中心グループとして、むこうで葉山達と青春を謳歌している)

八幡(そう、あいつは日向、俺は日陰)

八幡(交わることも、関わることもない)

八幡(なにも変わらない日常、変わらない関係)

八幡(小難しく考える必要もなかった)

八幡(一日で変わる大切なことなんてなんにもない)

八幡(なんで考えていた? 変わって欲しかった? 期待していた?)

三浦「え~まじで~」キャハハ

葉山「そーなんだよー」アハハ

八幡「……」イラッ

八幡(……なんで今、ムカついた?)

八幡(三浦と葉山が楽しそうに喋っていたから?)

八幡(嫉妬? いやいや、三浦と俺はたった一日デートをしただけの関係だぞ)

八幡(これで嫉妬とかどんだけ勘違いさん、乙だよ)

八幡(……世界は変えられない……自分は変えられる)

八幡(変わったのは自分自身?)

八幡(いやいや、肝心要な所は変わってない)

八幡(今までも何回もあっただろ、ちょっと優しくされた女子に勘違いしたこと)

八幡(それと、変わらない、変わってなんかない……多分)

三浦「隼人、ちょー面白すぎるっしょ、それ」アハハ

八幡「……」イライライラ

八幡(くそ、くっそ、何勘違いしてるんだよ!)

八幡(自分自身言ってたじゃねーか、元からあいつと葉山はベストカップルだって)

八幡(なのになんで葉山の名前が出ただけでムカついてるんだよ! 俺は!)

キーンコーンカーンコーン

八幡(昼休みか、外に出て、風にでも当たるか)

八幡(そーすれば、少しは頭も冷えるだろ)ガタッ

戸部「よー! どこに行こうとしてんだ大将!」トン

八幡「ひっ! やめて、ごめんなさい!」

戸部「えっ?」

由比ヶ浜「あー、ヒッキーはこんなのだから気にしないで」

海老名「こ、これは新ジャンル開拓?! 戸部×八幡?! 嫌いじゃない、嫌いじゃないわ!」

葉山「ははは、ヒキタニくんは面白いな」

八幡「 (゚д゚ )」

戸部「いやいや、オレッチもしょーみ驚きの連続? ちゅーか、驚愕?」

海老名「大丈夫、大丈夫、男体化っていうのも結構いける口だから……ふふふ……」

葉山「優美子から色々聞いてるよ……おめでとう? 応援してる? うーんいい言葉が浮かばないな」 

八幡「( ゚д゚)」

由比ヶ浜「えーと、うん、もうみんな知っちゃてるんだよ、ヒッキー」

八幡「( ゚д゚ )」

三浦「やーっと、こっちみてくれたし」

三浦「ほーら、じゃ、いっしょ弁当、食べにいくし」

八幡「( ゚д゚ )」

八幡(あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!)

八幡(1日で世界は変わらない、そう思っていたら半日で完全包囲網が形成されていた)

八幡(な…何を言っているのかわからねーと思うが)

八幡(俺も何をされたのかわからなかった…)

八幡(頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか)

八幡(そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ)

八幡(もっと恐ろしいリア充のコミュ能力の片鱗を味わったぜ…)

三浦「どうでもいいけど、なんであんたそんな変な顔してんの?」

八幡「ってゆーか、なんで他の奴に話してんの、お前?」

三浦「別に良いじゃん、それとも嫌だったの?」

八幡「いや、別に嫌なわけじゃないけど……」

三浦「だったらいいっしょ、隠してて良いことなんてないし」

八幡「いやいや、普通は、こういうことは女の子のほうが」

八幡「『一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし』」

八幡「とかのどこぞの幼馴染みたいなことをいうもんだろ」

三浦「なにその言い草、もうちょっと断り方ってもんがあるっしょ」

三浦「あーしが文句いってやるから、その幼馴染にちょっとあわせてよ」

八幡「あーすまんかった、お前にこういう話しても通じんわな、すまんかった」

三浦「?」

三浦「まぁ、いいわ、それよりほら、とっとと弁当、食べてよ」

八幡「お、おぅ……」

三浦「召し上がれ♪」

パカッ

八幡「うぉ……」

八幡(すげぇ豪華な弁当、ってゆーか俺の好物ばかりで構成されている)

八幡(さらに、小難しいことはわからんが、たぶん弁当の飾り付けとかも考えられてる、こんなにカラフルだし)

八幡(味は、味はどうだ……)ぱくっ

八幡「……うまい」

三浦「……!」

三浦「本当?!」ズイッ

八幡(近い近い近い!)

八幡「……ま、まずかったら、こけにしてやるところなんだが」

八幡「い、いや……うん、うまい……ぜ」

三浦「そ、そっか、どう? あーしの言ったこと嘘じゃないっしょ?!」ズイッ

八幡「あー、あーその……うん」(近いどころか接触してるっての!)

三浦「よ、よかった、本当によかったし///」

八幡(こいつ、いったいなんなんだよ、本当に)

八幡(……ん?)

すんません、今日はもう寝ます

元スレって幼稚園の寄せ書き云々とこの話が繋がってるってことか?
これは別人の書いた別SSだと思ってたんだけど

>>89
うん別SSであってる

貴重な意見ありがとう
ガハマさん関係は正直、不憫にしたくなかったから当時はわざと省いてた

八幡(なんだ……前近くで見たときと違う?)

八幡(顔の造形なんざ一日で変わるわけない……はず)

八幡(よく見ると、違うんじゃなく、なんか、違和感がある?)

八幡(…化粧が濃い……?)

八幡(目の下がうっすらと黒い……隈?)

八幡(夜遅くまで起きていた?)

八幡(そういえば、昨日小町が、あの後も長い時間起きてたな……)

八幡(そして、この弁当は俺の好物ばかりで構成されている)

八幡(小町から、あの時間の後聞いたのか……)

八幡(この、ゴーヤチャンプルーのゴーヤなんか普通は家になんかないよな)

八幡(あの時間から、買い出しに行ったのか)

八幡(あの時間からだったら、睡眠時間は2~3時間ぐらいしかとれねーぞ)

八幡(いや、女には化粧の時間がある……もしかして徹夜かよ)

八幡(俺なんかの……ために?)

八幡(本当になんなんだよ、こいつは……)

八幡(なんで……なんで、俺のためにそこまでするんだよ!)

八幡「……」ギリッ

三浦「……ヒキオ?」

八幡「……なぁ、一つ聞いていいか?」

八幡「……なんで俺なんだ?」

八幡「三浦だったら、他にもいるだろ……葉山とか」

八幡「いや、葉山じゃなくったっていい、お前らのグループの一人」

八幡「それどころか、探せば学校中に候補はいくらでもいるはず」

八幡「その有象無象の中でだ……」

八幡「自慢じゃないがな、俺はボッチでひねくれものだ」

八幡「校内で彼氏にしたくない、もしくは存在感のない男ランキングがあったら上位にくる自信はある」

八幡「なんで俺なんだよ……?」

八幡(なんで、おれなんかのためにそこまでしてくれんだよ……)

三浦「……」

三浦「あんたさー、ちょーっち勘違いしてない?」

八幡「なにがだよ」

三浦「じゃあ、逆に聞くし」

三浦「あんたにふさわしい彼女ってだれになるん?」

三浦「可愛い? 頭いい? 運動神経がいい? 性格がいい?」

三浦「不細工? バカ? 運動音痴? 性格ブス?」

三浦「どれよ?」

八幡「は? 意味がわからん」

八幡「個性の羅列だけ上げても、全体像が浮かばん」

八幡「そんなので選べるわけがないじゃねーか」

八幡「もっと総合的に判断すべきだろ」

三浦「それよ」

八幡「は?」

三浦「あんたがさっきいった事は個性の羅列じゃん」

三浦「自分の悪い個性だけ上げて並べてるだけ」

三浦「そんなので総合的な判断なんかできるわけないっしょ

三浦「あんたが自己評価が低いのはわかる」

三浦「じゃあ、言ったげるわ、あんたの良いところ」

三浦「あんたさ、自分が子犬みたいと思ったこない? あーしは何回もある」

三浦「あーしは、子犬みたいなあんたが、可愛くて可愛くてしょうがない」

三浦「抱きしめていたいし、ずっと見ていたいとも思ってるし」

三浦「それだけじゃない、あんたはやるときにはやる男だってのも知ってる」

三浦「この前のテニス勝負のとき、あんたは、風の流れが変わる瞬間」

三浦「その一瞬を狙って、勝負をしかけた」

三浦「あんたわかってる? 普通はそんな状況に置かれたら足がすくんでもおかしくない」

三浦「でも、あんたはその一瞬に恐ることなく勝利を掴んだ」

三浦「そんときのあんたは正直かっこよかったし」

三浦「そしてね、あーしはね……」

三浦「あんたが、誰かのために自分が悪者になったり」

三浦「誰かのために自分のなにかを諦めたり」

三浦「自分の事を簡単に二の次にできる」

三浦「あんたの優しさが」

三浦「大好き!」

三浦「……でもね、それで傷つくあんたの姿はさ」

三浦「あーしは大嫌いなんだよ……」

三浦「……だからさ、今回は傷つかなくてもいいっしょ」

三浦「今回はあーしのために、あーしの事を諦めないで」

三浦「あーしのことをずっと見ていて欲しい」

三浦「お願い……お願いだから」ギュッ

八幡(……笑顔で二人ぼっちを歩むか……)

八幡「……俺は嫌だね……」

三浦「……えっ? どうして?」

八幡「……」

三浦「あ、あのさ、あーしが悪いところあったんなら、直すから……」

三浦「だ、だから……お願い……お願いします……」

三浦「だ、だから……もう見放さないで……」

八幡「……」

八幡「……はぁ、なに勘違いしてんだよ」

三浦「えっ…」

八幡「まだ、俺には、お前よくわからん」

三浦「うん…」

八幡「だ、だからさ……もうちょい、見せてくれよ」

八幡「お前の良いところも、悪いところも……もっと見てみたい……から」

三浦「!」

三浦「わ、わかったし! だから、見てて!」

三浦「男子三日会わざれば刮目して見よっていうなら」

三浦「あーしは一瞬見逃せば後悔させてやるし!」

八幡「意味がわからんわ……」

三浦「わかんないなら、わからせてやるし!」

八幡・三浦「……プッ、クッ、アハハハハハハ!」

三浦「はー、あぁ……」クタッ

八幡「お、おいっ!」

三浦「眠いし……」

八幡「そっか……」

三浦「やだな、また見つめ合えるのに……」ウト

三浦「まだ、寝たくないし……」ウトウト

八幡「いいから眠っとけ……俺が見といてやるから」

三浦「……」スッ

八幡「お前、指切り大好きだな……」ハァ

八幡「指切りげんまん」

三浦「嘘ついたら……」ウトウト

八幡「針千本のーます」

八幡「指切った」

三浦「すぅ……んぅ……」

八幡「……ったく」

八幡「これじゃ俺がバカみたいじゃねーか」

八幡「バーカ」クスッ

今日はここまで
お休みなさい

~~放課後~~

由比ヶ浜「やっはろー! ゆきのん!」ガラッ

雪乃「こんにちは、由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「ごめんね、ヒッキー今日も奉仕部を休むってー」

雪乃「……あなたが謝る必要はないわ、比企谷くんの勝手なのだから」

由比ヶ浜「それもそっかー」

由比ヶ浜「でもさ、でもさ、ゆきのん、もう、なんていうかね」

由比ヶ浜「ヒッキーと優美子ラブラブだよね!」

由比ヶ浜「今日の昼も、一緒にお昼ご飯食べてたんだよ、もちろん優美子の手作りだよ!」

由比ヶ浜「その後ね、優美子寝ちゃったらしくて、保健室までヒッキーがおんぶしてあげたんだって!」

由比ヶ浜「ヒッキーそのあとも、優美子が起きるまで、見ててあげて」

由比ヶ浜「それでね、それでね、今日も一緒に帰るって言ってた!」

由比ヶ浜「もう、本当にベストカップルって感じだよね!」

雪乃「そう」

由比ヶ浜「あー、いいなー、あたし、憧れちゃうなー」

由比ヶ浜「いつか……あたしもああなりたいな!」エヘヘヘ

雪乃「なれると思うわ……由比ヶ浜さんなら」

由比ヶ浜「ありがとう! ゆきのん!」ダキッ

由比ヶ浜「あーでも、そうなってくれる人から探さなきゃ駄目だね」

雪乃「……それは違うわ、由比ヶ浜さん……それは嘘をついてる」

由比ヶ浜「えっ……?」

由比ヶ浜「いやいや、何言ってるのゆきのん? あたしは嘘なんかついてないよ!」

由比ヶ浜「今のヒッキーと優美子はベストカップルだと思ってるし」

雪乃「そうね」

由比ヶ浜「いつかああなりたいと思ってるし」

雪乃「そう」

由比ヶ浜「だから……そんな人を見つけなきゃって……」

雪乃「……由比ヶ浜さん、それが嘘なのよ」

雪乃「あなたがそうなりたいと思っている人、それは……」

雪乃「比企谷くん……そうなのでしょう?」

由比ヶ浜「い、いやいや、だ、だってヒッキーは今優美子とベストカップルじゃん!」

由比ヶ浜「だ、だから、ヒッキーは……その……そういう関係になれないっていうか……」

雪乃「由比ヶ浜さん、私はいま、比企谷くんと三浦さんのことは聞いていないの」

雪乃「あなたは……誰と、ベストカップルになりたいのかしら……」

由比ヶ浜「……」ピクッ

由比ヶ浜「わ、わたしは……」

雪乃「……私はね、疑問に思っていたの」

雪乃「あなたが、二人の関係を必要以上の応援をしていることに」

由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん……」

雪乃「由比ヶ浜さん、正直に話して頂戴」

雪乃「あなたがなぜ、必要以上の応援をしているか」

由比ヶ浜「い、いや……あたし……は」

雪乃「由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「う、うん……」

雪乃「ここは奉仕部で……」

雪乃「私はあなたの友達なのよ」

雪乃「あなたが、救いの手求めていて」

雪乃「そして、私が、あなたの友達である資格があるのなら」

雪乃「私にあなたの手をとらせて頂戴、そうすれば」

雪乃「――――私の全力を持って、あなたを救うわ」

由比ヶ浜「……ゆきのん」グスッ

雪乃「お願い、あなたの傷つく姿をこれ以上見たくはないの」

由比ヶ浜「ゆきのん……実はね」ギュッ

由比ヶ浜「優美子が泣いて走っていったあの日」

由比ヶ浜「その前に優美子が私に言ったんだ」

由比ヶ浜「優美子が、ヒッキーと幼稚園のころ一緒だったって……」

由比ヶ浜「その頃の、お嫁さんになるって約束した」

由比ヶ浜「だから、今から、その約束を果たしたい、だから応援してって」

由比ヶ浜「私は、そう言われて、言っちゃったんだ」

由比ヶ浜「応援するって……」

雪乃「そんなことがあったのね……」

由比ヶ浜「……だから、あたし、頑張って応援した」

由比ヶ浜「だって……優美子はずっと、ヒッキーを想ってたんだもん」

由比ヶ浜「だから、だから……」

雪乃「自分の想いを抑えてでも……応援した、と」

由比ヶ浜「うん……」

雪乃「そう、辛かったでしょう……」

由比ヶ浜「ねぇ、ゆきのん、愚痴っちゃっても、いいかな?」

雪乃「言ったでしょう、全力を尽くすと」

雪乃「受け止めてみせるわ、あなたを」

由比ヶ浜「卑怯だよ、優美子は!」

由比ヶ浜「そんなこと言われたら私は引くしかないじゃん!」

由比ヶ浜「ヒ、ヒッキーもヒッキーだよ、デレデレしちゃって!」

由比ヶ浜「たしかに、優美子は美人で、家事は万能だし!」

由比ヶ浜「クラスの中心で、誰からも頼りにされて、性格も良いし!」

由比ヶ浜「あ、挙句に、幼馴染だし!」

由比ヶ浜「でも、あたしだってあたしだって!」

由比ヶ浜「あたしだって……優美子より……」ハッ

由比ヶ浜「……ねぇ、ゆきのん……あたし……」

由比ヶ浜「――――あたし、優美子に勝ってるとこがひとつもない」

由比ヶ浜「……あ、あたし……あたし……」

雪乃「……」ギュッ

由比ヶ浜「ふ、くっ、あぁ、ああ、あああ、あああああッ!」ぼろぼろ

由比ヶ浜「嫌、嫌だよ、ヒッキー……ヒッキー!」

由比ヶ浜「優美子にとられちゃったら、もう、あたしなんか見てくれない!」

由比ヶ浜「優美子、とらないで! ヒッキーをとらないでよぉ!」

由比ヶ浜「あ、あ、ヒッキー! ヒッキー! あああ、あああああッ!!」

雪乃「……」ギュッ

~~1時間後~~

由比ヶ浜「……ありがとう、ゆきのん」

雪乃「……」

由比ヶ浜「もう……日も暮れちゃったし、帰ろう……?」

雪乃「……ええ」

由比ヶ浜「あたしはもう大丈夫だから」パッ

雪乃「由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「なに? ゆきのん?」

雪乃「比企谷くんの幼馴染の話、あなた以外は誰が知ってるの?」

由比ヶ浜「多分、誰も知らないと思うけど……」

雪乃「そう、やっぱり……」

雪乃「やっぱり、三浦さんもあなたのお友達なのね」

由比ヶ浜「?」

雪乃「さっきの私と一緒ということよ」

雪乃「さっきの私と同じように、本音をぶつけて欲しい、多分、だから、あなただけに教えた」

由比ヶ浜「!」

雪乃「今日はもう帰りましょう、そして自分の気持ちに整理をつけて」

雪乃「明日、直接話せばいい、違うかしら?」

由比ヶ浜「う、うんっ!」

雪乃「大丈夫よ、あなたなら……」ニコッ

今日はここまでで

お休みなさい

八幡×優美子イイネ!
みんなでくるくるしよう
?ヽ(・ω・`ノ?
  (ω・`?
  (・`?)
  (?ヽ )
 ?ヽ  )?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(  ´)ノ?
  ( ´・?
  ( ノ?)
  ( ?´・)
  ?ヽ´・)
 ?ヽ´・ω)?
`?ヽ´・ω・)ノ?

みんなでくるくるしよう
?ヽ(・ω・`ノ?
  (ω・`?
  (・`?)
  (?ヽ )
 ?ヽ  )?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(  ´)ノ?
  ( ´・?
  ( ノ?)
  ( ?´・)
  ?ヽ´・)
 ?ヽ´・ω)?
`?ヽ´・ω・)ノ?

八幡「……」テクテク

三浦「……」テクテク

三浦「ねぇ……いつから、気づいてた?」

八幡「なんの話だ?」

三浦「とぼけなくてもいいし」

三浦「覚えてるんでしょ、幼稚園の頃のこと」

八幡「……昔のことだからな、覚えてない」

三浦「AとB子……あれ、つまり、昔の話っしょ……」

八幡(小町の奴……余計なことを)チッ

八幡「あれは、材木座の小説だ……それ以上でもそれ以下でもない」

三浦「……いじわる」グスッ

八幡「泣くなよ……泣き虫」

 『あーし、ヒキガヤくんのこと大好きだよ!』

 毎日そう言うことが、あの頃の日課だった。それだけが、本当にわかっていることだったから、言い続けた。

 本当は彼の名前の方で呼びたかったのだが、彼の漢字は幼稚園児の自分には難しく読むことが出来なかった。

 今思えば照れ隠しのだったのだろう。彼も彼で、自分の名前を教えようとはしなかった。

 だから、仕方なく先生が呼んだ、ヒキガヤという苗字で呼ぶことにしていた。

 『はいはい、俺もミウラのこと大好きだよ』

 彼はいつも決まってそっぽを向き、淡々とそのセリフを返す。

 セリフ自体は言って欲しい言葉そのものなのだが、全くと言っていいほど感情も情緒も感じられない。

 『うー、ヒキガヤくん、なんかテキトー』

 頬をふくらませ、抗議の言葉を漏らす。

 彼はいつもこうだ、こうやって相手をしてくれない。いつもこちらを見てくれない。

 自分の方を見てくれない彼がもどかしかった。だから、振り向いての意味も込め、もう一度大声で叫んだ。

 『あーしはヒキガヤくんのことが大好きです!!』

 『2回も言わなくていい』

 まだ、彼は、そっぽを向いたままで話しを続けている。その態度が腹ただしい。

 なぜ、という言葉が頭の中で反芻する。なぜ、見てくれない。なぜ、向き合ってくれない。なぜ――――

 顔が熱くなるのを感じた。見なくても真っ赤なのだろうと思うほど。

『だって大事なことなんだし!!』

『はいはい』

 のれんに腕押しである。これだけ言っても全く取り合ってくれない。

 『……いじわる、ヒキガヤくんのいじわるぅ!』

 自分のことなど、どうでもいいのか、そんな感情が胸に渦巻き、遂には涙が目から溢れ始める。

 そんな自分を見かねてか、彼は疲れたようにため息を付きこちらを振り向く。

 『泣くなよ……弱虫』

 ――――初めて彼が振り向いてくれた。そのことが嬉しかった。顔が笑みを描くのを止められなかった。

 『弱虫じゃないもん! ミウラ ユミコっていう名前があるんだもん! ばかばかばか!』

 照れ隠しに、彼が怪我しないように力を抑えて拳で殴打した。

 右、左、それぞれ交互に、痛くないよう、心を込めて殴打した。

  『やめろって……』

 彼はちょっと頬を染め、困ったように言葉を漏らした。

 その顔がたまらなく好きだった。彼が自分を意識している。そう思えたからだ。

 胸に暖かい感情が溢れ、そのまま上へと昇っていくような気がした。

 その感情は、思考より先に行動へと繋がる。そう、彼を抱きしめていたのだった。

 『えへへー、ヒキガヤくん、だーいすきー』

 『やめろって、暑苦しい』

 うっとおしそうにする彼など気にせず、ギュッと抱きしめる力を強める。

 うっとしそうにしていても彼は拒否はしたりしなかった。

 それが彼なりの、自分への肯定であるかに思え、自然と頬が緩んだ。

 だから、一番の感情を込めて、一番の愛を込めて、声高らかに断言した。

 『ヒキガヤくん、だーーーーいすき!!』

 ある日――――その時が訪れた。

 『あの、えーと、あのキモい奴のこと好きなの?』

 囲まれていた。人だけでない、子供の残酷な悪意が自分を囲んでいた。

 『う、うん、ヒキガヤくんのこと、あーし、大好きだよ』

 キモッという呟きが聞こえた。周りの目が、周りの感情が、侮蔑へと向かっていく。

 その時、理解した。子供は純粋であっても、清純ではないのだと。

 子供の自分は、それを跳ね除ける力もなく、ただ、我慢するしかなった。

 涙が溢れはじめる。喉から嗚咽が止まらない――――けれど、負けないよう拳を握った。

 『なにやってんの、おまえら』

 彼の声が聞こえた。

 振り向くと彼は、震えながらそこに立っていた。

 怒りか恐怖か、どちらでかはわからなかったが、すごく震えていた。

 『いやさー、この子、アンタらがラブラブだって言ってただけー』

 『熱々だねー、キャハハ!』

 『キモっ』

 その言葉は自分にだけ聞こえるように、かすかにつぶやかれていた。

 『……はぁ? オレはそんなこといってねーし』

 彼は大げさに肩をすくめ、そう言い放った。

 『はぁ、あんた何言ってんの?』

 『勝手にそいつが言ってるだけだろ、そんなこと』

 わかっている、その言葉が嘘だと。

 『っていうかさ、オレ、そんなブスのこと好きなわけねーじゃん』

 彼の体が震えているのもわかっていた。

 『俺とそいつは、なんもねぇよ』

 けれど、その刃は自分の心に突き刺さっていた。

 『ばーか!』

 大声で泣いた。

 ただただ、悲しかった。ただただ悔しかった。

 なにも、できない自分に、なにもしてあげられない自分が。

 その後、彼の話は他の女子もブスだという皮切りから周辺を巻き込み、男女問わず敵に回したことで決着した。

 結果として彼は孤立し、いじめを受けた。

 そう、この幼稚園に彼の居場所はなくなっていたのだった。周りが、世界が彼を敵として

 そして――――自分は見てしまったのだ、彼が泣く姿を

 それは誰もいない部屋で、ただ一人、彼は汚された自分の机をぬぐい、すすり泣いていた。

 『なんで、オレなんだよ……どうしてオレなんだよ……』

 呟くように、吐き出すように彼はその言葉を紡ぎ、それは自分の耳へと届いていた。

 それは初めて聞いた、彼の弱音だった。

 その姿は痛々しく見ていられなかった、そして、たまらず自分は彼に走り寄った。

 『……なんだよ……』

 『ヒキガヤくん……』

 『こっちくんなよブス……』

 『大好きだよ、ヒキガヤくんッ!!』

 理屈も思考もなかった。ただただ、感情だけで彼を抱きしめていた。

 彼は、拒否することもなく、歯を食いしばり、拳を握っていた。

 『やめろよ……お前までいじめられるぞ……』

 『あーし、それでいいよ! ヒキガヤくんとなら!』

 『……無理すんな、弱虫……』

 そう呟くと、彼は自分を引き離した――――それが、彼の初めての拒否だった。

 『ヒキガヤくんッ!!』

 彼の手を取る、それしか出来ない自分を嫌悪しながら、ただ、彼を引き止めるために。

 『ゆびきり……』

 『はぁ……?』

 『ゆびきり……して』

 『あーし、ミウラ ユミコはヒキガヤくんのお嫁さんになります』

 『……』

 『ゆびきり、げんまん、うそついたら、はりせんぼんのます』

 『ゆびきった』

 『ヒキガヤくん……あーし』

 『なに、勝手に約束してんだよ……ばーか』
 
 そう言うと彼は、指を振りはらい、呆然とする自分を放置し、部屋を出て行った。

 その寂しげで、なにかをこらえているような、後ろ姿が自分には忘れられなかった。

 そして、彼は、もう自分を見てくれることは無かった。

 そして、あのテニス対決の後、彼の後ろ姿がちらりと見えてしまったのだ。

 あの寂しげで、なにかこらえているかのような後ろ姿が、はっきりと。

 その時は思ってしまった。ラブコメの神様がいるのなら、これが、これこそが。

 ――――二人の青春ラブコメなのだと。

せっかく書いたんで、投下してみました。

次回からは、戻したほうがいいですかね?

いいねぇ

不躾ながら幼稚園(?)の話の元ネタタイトル教えてください(懇願

それじゃ、次からは地の文混じりで書いていこうかなと思います
その分ペース落ちると思いますけど、頑張ります

>>166
別に元ネタとかはないですよ
まぁ、昔のいじめを助けてもらったなんて鉄板なんで
エロゲ、ギャルゲ探せば出てくるんじゃないですかね

 その後、次の日に学校があるということでそれぞれの帰路についた。といっても、互いに離そうとしなかったせいで、終電しかもぎりぎりでだったが。

 あの柔らかな唇の感触と、甘くとろけるような匂い、そして愛おしいぬくもり、それらが頭の中でぐるぐると回り、おかげさまで全く寝ることができなかった。

 俺は仕方なく簡単な朝食を摂り、いつもより早く家を出ていった。恥ずかしい話だが、早く優美子と会いたい、そればかりを考えていたのだ。

 そして、クラスへと入る。これから優美子との楽しい青春ラブコメが待っている。

 そう思っていた――――それを目の当たりにするまでは。

 「なんだ……これ」

 優美子の机から落ちた一枚の紙を拾いあげる。

 それは、ただ、文字が印刷された紙だった。そう、筆跡がわからないように、あえて印刷した『手紙』だった。

 内容は『ヒキガエルのお嫁さん』等、書いた本人の稚拙さがわかるような物だった。

 『ヒキガエルのお嫁さん』って――――また、なのか、また俺のせいで、優美子がこうなってしまうのか。

 俺は歯を食いしばり、今すぐにでも叫びたい衝動を抑える。怒りとやるせなさで周りがぐるぐる回るようにさえ感じられた。

 うかつだった。俺と優美子はこの学園内でもくっついて行動していた。それは、あまりにも他人を意識しなさすぎた。

 女にとって、男はアクセサリーと同じ意味を持つ。そう、では俺というアクセサリーはどういうものなのだろうか。決まっている、ださい土偶みたいなもんだ。

 それだけならまだ良い、だが、女のそれは宗教に似ている。本来ロザリオすべき場所で土偶なんてつけてたら迫害されるに決まっている。

 「うぃーっす、お、ヒキタニくん、はやいね、どしたの?」

 クラスに葉山達、リア充グループが入ってくる。リア充たちは朝も早いようだ――――しかし、好都合である。

 「すまん、話がある……」

 一時間目終業のチャイムが鳴り響く。俺は葉山達に合図を送る。そう、打ち合わせどうりに頼む……と。

 「優美子、あと結衣と姫菜にもちょっと話があるんだ」

 「なに、隼人?」

 「いや、なに大した話じゃないんだけど、ここじゃ話しづらいんだ、場所を変えよう」

 「ふーん、あーしは、まぁ、いいけど」

 そう言って葉山は、女子を連れて出て行ってくれた。

 「おい、ヒキタニ……話がある」

 戸部がドスの効いた声をあげる。本当に似合うな、お前。

 「な、なんだよ……」

 「こいつに見覚えはあるか」

 戸部は俺に一枚の紙をつき出す。そう、あの『手紙』だ。

 「し、知らねーよ」

 「しらばっくれてんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!! 俺は見てんだぞ、優美子の机にこれを入れるてめーがッ!!」

 声を張り上げると同時に俺の胸ぐらを掴む戸部。

 俺はひっと小さく悲鳴をあげる、演技じゃなく本当の意味で、こういう時はリアリティがあってオッケーだ、俺。っていうかお前怖すぎだろ、本当に演技か?

 俺は、戸部から目をそらすふりをしながら、周りを見渡す。

 そして俺は見つける、我関せずと視線をそらしてるくせに、不安な表情をしている奴を――――お前か、相模。

 確かに、こいつは優美子がいなければ、このクラスの頂点に立つ女子だろう、優美子を引きずり下ろそうとしていてもおかしくはない。

 俺は乾いた笑いを発したあと、あえて背後に相模が来るように、体を少しづつ移動させる。

 「ま、待てよ、お、俺じゃねーし、だいたい、内容だって、大したこと書いてねーじゃねーか、そんなに怒んなよ」

 「っざけんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!!」

 怒号を発し、戸部は思いっきり俺を殴りつける、そして俺はわざと相模の近くへと吹っ飛ばされる。

 吹っ飛ばされた先で、俺は相模と目が合った。それは怯えを含んだ瞳だった。もはや確定だな。

 「てめぇが大したことないと思っててもこっちはちげーんだよッ!!」

 マウントポジションを取りながら、俺を殴りつける。マジでいてぇ。

 「すまん……」

 戸部は申し訳なさそうな表情でそう呟いた。謝ってんじゃねーよ、バレるだろうが。

 「っていう気持ちが少しでもねーのかよ、てめぇにはッ!!」

 それでいいよ、お前結構いいやつだな。そして、すまんな、こんな役目負わせて。

 「や、やめてよっ!!」

 それを見かねて、戸塚が声を上げる。そして俺をかばうように、俺に覆いかぶさる。戸塚マジ天使。

 「は、八幡はそんなことする人間じゃないよ、な、なにかの間違いだよ」

 「じゃあ、誰なんだよッ!!」

 戸部が声を張り上げる。その声に相模がビクッと体を震わせて反応する。相模、お前、女優にはなれんタイプだな。

 「いいって、戸塚……」

 「は、八幡……」

 俺は戸塚を押しのけ、ゆっくりと立ち上がる。結構効いているらしく、膝が笑っている。

 「……俺、ちょっと保健室で休んでくるから、次の授業は休むって伝えといてくれ」

 「は、八幡、一緒についてくよ、ボクっ!」

 「大丈夫だから、一人で……歩いていけるって」

 俺は戸塚の誘いを丁重に断ると、よろよろと歩きながら保健室へと向かう。本当に痛ぇ。

 俺は保健室のベットに寝そべると、目をつぶる。

 これでいい、これで相模は次、同じことを行えば、自分がこうなってしまうと思い込んでくれているはず。

 実際は、女の子だからそんなことはありえないのだが、目の前であそこまでされると確実に恐怖が刻まれる。

 特に、あいつは今回、ここまでの大事になると考えていなかったはずだ。想定外の事象、それは人の心をゆさぶるには、とても大きな要素となる。

 あいつにこれ以上のことを行う勇気はないだろう。だから今は、安心して、ゆっくりと体を休めよう。

 極度の緊張がとけた俺はゆっくりと眠りに落ちていった。

 冷たい感触が顔に触れ、その心地良さを認識する。同時に顔が腫れている痛みも感じる。

 目を開けると、瞳を潤ませ、心配そうにこちらを見つめる優美子が見えた。

 「おはよう、優美子」

 そういうと、優美子は濡れたタオルで俺の腫れ上がった部分を優しく冷やしてくれた。

 「あーし、聞いたよ」

 「そっか、だったら心配すんな、もういじめはなくなるはずだから」

 「そんで、戸部は俺とお前が恋人なのを知らず、単なる勘違いで俺を殴ってしまった」

 「そして犯人はわからず事件は迷宮入り、だれの関係も壊れず、円満解決って奴だ。だから泣くなって」

 俺は泣いている優美子の頭を優しく撫でてやる。

 「……違う」

 優美子はそういうと、強い意思を秘めた瞳をこちらに向けた。

 「あんたが傷ついて、それで終わりってのは違う」

 優美子はそう言うと、俺の腕を引っ張った。

 「お、おい」

 「あーしがちゃんと終わらせる、だから八幡、見てて」

 「変わったあーしを」

 俺は放課後、優美子に連れられて屋上へと来ていた。優美子は俺の手をしっかりと握り、離そうとしない。

 「逃げないから、心配すんな」

 「そうじゃないって」

 ドアが開かれる音が聞こえる。そして、そう、事件の当事者である相模が入ってきたのである。

 優美子はすかさず、ただ唯一の退路であるそのドアを占拠する。

 「え、えっと、う、うちに話ってなにかな」

 「八幡、ちょっとこっちに来て」

 俺は言われるとおりに優美子の隣へと移動する。

 すると優美子は問答無用で俺の唇を奪った。

 「ゆ、優美子?!」

 俺の唇を奪った優美子は、唇の感触を確かめるように舌なめずりをし、嬉しそうに微笑んだ。

 「見てのとうりさ、あーし、こいつと恋仲なわけ」

 「そ、そうなんだ、お、おめでとう」

 優美子の眼光が鋭くなり、その鋭さで相模を貫く。その刃に貫かれた相模はビクッと体を震わせる。

 「そんでさー、今日あーしとこいつの事を書いてくれた手紙があったんだけどさ」

 「う、うん」

 「そのお礼がしたくて……さ」
 
 最早、相模が犯人だと前提条件の元での話を進める優美子。おいおい、直接的すぎるだろ。

 相模も、推理ドラマとかでネタばらしされている犯人のごとく挙動不審だ。もう犯人は自分と自白しているに等しい。

 「ねぇ、知ってる、恋ってさ」

 「恋は祝福みたいなんだ。すごく熱くて、時々切なくて、そんでその人を見るだけですっごく幸せなんだ」

 胸の前で優しく両手を握り、憂い込めて目をつぶる三浦。その表情は、まるで祈りを捧げるかのようだった。

 「でもね、引き裂かれた恋は呪いなんだよ、心に楔が打ち込まれたみたいに残って、その人を見るのもすっごく辛い」

 今度は強い、意思を秘めた瞳で相模を見据える。

 相模はぼそぼそと「う、うちじゃない」「人違い」といった言い訳の言葉を呟いている。流石にかわいそうである。

 そんなことはお構いなしに、優美子は乱暴に、相模の胸ぐらを掴む。そして、トドメの一言を言い放った。

 「あーしの恋を呪いに変えようとした、あんたの罪は重い」

 その一言は、すごく重く、そして、静かに燃え上がるような熱さを孕んでいた。

 相模はその胆力に押され、遂には大声をあげ泣き始めた。それは相模の心が、完全に打ち砕かれた証拠だった。

 「お前、あれ、八つ当たりも入ってただろ」

 「それは、あーしも反省してるよ」

 俺は、優美子と二人きりになってから、今日の反省会を開いていた。

 今日のあれは、言ってみれば過去の事をごっちゃにした決着であり、相模に関係ないことまで押し付けたのである。

 俺は、この一件で優美子と別れる気は毛頭なかった。そう、呪いとは過去の、幼稚園のころの話なのである。

 話を聞けば、その時、自分が弱かったから、幼稚園の頃の間違いを犯してしまった。

 だから今度は変わった自分が、もう、二度とそんな間違いをしないと証明したかった。

 とのことである。なんとも身勝手な話だ、ぶつけられた相模はたまったものではない。

 「流石にかわいそうだったな、相模」

 「だからって、いつまでも、ああじゃダメだし」

 「あいつは、多分、罪の意識なんて無かった。誰かが、それをちゃんと認識させてやんないと、また同じことやるよ」

 「……じゃあ、俺のやったことは、なんだったんだよ」

 「無駄骨だし」

 きっぱりとそう言われ、俺は落胆のため息をつく。俺なりに考えたつもりだったんだが、こう完全否定されるとは思ってもみなかった。

 「まぁ、でもさ、八幡があーしを思ってやってくれたのは、嬉しかったし」

 俺を慰めるように肩を叩く優美子。マジで俺、殴られて、この結末はないわ。うん、ない。

 「でもさ、こういう大切なことはこれから、二人で決めて欲しいし」

 優美子は、いつものように手を差し出した。そう、指切りをするために。俺は嘆息する。

 この話は幼いころの指切りから始まった。そしてこれからも、この指切りで続いていくのだろう。

 俺は、これからも指切りを繰り返していかなければいけない事実に、うんざりとした気分になる。

 仕方なく、俺は優美子の指をとり、もう慣れた口上を述べる。

 「「ゆーびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます」」

 「「指切った!」」

 まぁ、悪くないんだけどな。俺は優美子の笑顔を見ながら、俺はこれからに想いを馳せる。

 うん、悪くない。俺はラブコメの神様に、ありがとう、と心の中でだけ呟いた。

 でも――――やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。そしてこれからも、まちがい続けるのだろう。

これで終わりです。

これから、おまけとして積極的なヒッキーを書きますので
攻めなヒッキーなんてヒッキーじゃないという人はこれで終わりにしてください。

 恋人をすっとばし、晴れてお嫁さんになった優美子をちらりと流し目で見る。

 「八幡、またあーしをエッチは目で見てる」

 そういうとまた、俺の右腕に体を絡ませてくる三浦。

 なんというかだな、毎度毎度こう、俺ばっかりが押されているとなんか不公平な感じがする。というか、尻に引かれてばっかは後々まずい。

 だから俺は、今日一日、逆に優美子を引っかきまわしてやろうと決意する。今までのお返し、もといお礼だ。

 まずはちょっとのいたずらから始めよう、いたずらなら子供の頃は得意だった。そう思い、口の端をゆっくりと上げる。

 「優美子」

 「えっ……ひゃ、ひゃうっ!!」

 俺は宣言せずに、優美子の左耳を甘噛みする。その後、舌で耳の外縁を下から上へ、這うように舐め上げる。

 「ちょ、は、八幡っ?!」

 「悪かったな、エッチで」

 耳元でそうつぶやくと、俺は優美子が逃げられないように両肩をがっしり掴む。まぁ、逃げないだろうが念のためである。

 耳穴へ舌を侵入させる。できる限り、広い面積を舐めるように舌を這わせる。

 「や、やめて、そこ、き、汚いから」

 俺はその声を無視し、耳全体を口の中に入れ、今度は歯を立てず、ゆっくりと舐め回す。

 「はぁ、う……んっ!」

 色っぽい、くぐもった声が優美子の口から紡がれる。

 「優美子……少し目をつぶってくれないか?」

 耳を口から離し、そう呟くと。優美子は恥ずかしそうにこくんと頷くと、ギュッと目を瞑った。そして俺は優しく、優美子と唇を重ねた。


このタイミングでファイズとは、と唸らされた
あーしさんマジ男前!

 「裏切ったな、比企谷八幡ッ!!」

 材木座が叫び、俺を罵倒してくる。

 「何がだよ」

 「お前は……お前だけはこちら側とばかり踏んでいたのに、それなのにッ!!」

 材木座は俺と腕を組んでいる優美子を指差し、鼻水をたらしながら男泣きした。うわぁ、みっともねぇ。

 「我との桃園の誓いを忘れたかッ!!」

 桃園の誓いってなんだよ。それなら後一人必要だろ。あと、海老名さん、俺とこいつで妄想すんのも止めてください。

 「あのな、その桃園の誓いがいつ成されたのかは知らんが、こいつはな」

 俺は、優美子の腰に手をやり、ぐいっと自分の方へと引き寄せる。

 「こいつとは幼稚園からの話なんだよ、年季が違うんだよ、年季が」

 「は、八幡、ちょ、いきなり……」

 「い、いやか?」

 「い、いや、いやとかじゃないけど、むしろ……嬉しいし」

 うつむき、もじもじしながらも俺に抱きついてくる優美子。俺も負けじと腕の力を強め、それに答える。

 俺たちは互いに顔を真っ赤にしながらも、それでも互いに見つめる合うのをやめはしない。

 「ちくしょおおぉぉッ!! リア充、爆発ううぅぅッ!!」

 材木座の負け犬の遠吠えが心地良い。その台詞を言われる日が来るとはな、夢にも思ってみなかったぞ。

 俺はこれ見よがしに優美子の頭を撫でてやる。すると優美子がはしそうな笑顔をこちらに向けてくれた。先ほどの何倍もの心地よさが俺の胸いっぱいに埋め尽くした。

 いつものように、優美子の手作りの弁当を、いつもの場所で、いつものように二人で食べる。

 そして俺は思い切って、いつもはしない、その頼みを口にする。

 「口うつしで……それ、食べさせてくれないか」

 俺は、卵焼きを指差した。その言葉に、優美子は顔を真っ赤にし、うつむく。

 「は、八幡、そ、それって」

 そう、口うつしをするということは、すなわちディープキス、違う言い方をすればフレンチキスである。

 「だ、ダメか……?」

 俺は恥ずかしさに頬をポリポリと掻く、流石にこれは受け入れてくれないか。

 そう、思っていた矢先、うーと唸りながらも優美子は決心した顔で卵焼きを口に放りこんだ。

 「ん!」

 優美子は、瞳を瞑り、俺に顔を突き出してくる。

 「じゃ、じゃあ、いただきます」

 俺はまず、優美子の唇と自らの唇を重ねる。次に、自身の舌を優美子の口内へと侵入させていく。

 粘液と粘液が触れ合い、小さな水音を立てる。俺は、そのまま卵焼きと一緒に、わざと舌と一緒に貪る。

 「あ……んっ……ふぅ……んんっ……」

 優美子はどうやら俺を気遣ってくれているらしい。喉に詰まらないよう少しづつ、噛み砕いた卵焼きを俺の方へと差し出していく。

 そして、遂には卵焼きが優美子の口から無くなった。俺はわざと気づかないような振りをして、優美子の口内を貪っていく。

 優美子もそれに応えるように、舌を絡め、互いに互いを貪りあう。求め合った結果である水音だけが、響いていた。

 そして、流石に息苦しくなったところで、俺は優美子を開放する。優美子は荒い吐息を吐きながら、こちらを見つめてきた。

 俺は、大きく息を吸ったあと、自身の弁当にあった卵焼きを口に放り込むと、また俺は優美子と唇を合わせた。

 そして、帰り道、俺は優美子と腕を組みながら歩いていた。

 今日一日攻めつづけたせいか優美子はすっかりしおらしくなっている。こういう優美子も可愛い。

 いやぁ、ここまで効果があるとは、俺も勇気だした甲斐があったというものである。俺は愛しさを込めて優美子の頭を優しく愛撫してやる。

 「……今日はなんだか、積極的だし」

 「今日は、そんな気分なんだよ」

 俺はそういうと、優美子と今日何度目かわからない、キスをする。

 「あんたってさ」

 「ん?」

 「やっぱ、どSだわ、それも一回したら歯止めが効かなくなるタイプの」

 「じゃあ、優美子には、どMになってもらおうか」

 優美子はさらに顔を真っ赤にし、何かを言いたそうにもじもじとしている。

 俺はそんな言葉は聞きたくないとばかりに、今日覚えたばかりのフレンチキスで優美子の口を塞ぐ。

 「んぁ……れろ……んんっ、ちゅぷ……」

 縦横無尽に口内を貪り、俺は、優美子の唾液の味を味わっていく。

 優美子は、そのまま、おれを受け入れてくれていた。

これでおまけも終了です。

長い間付き合ってくれてありがとうございました。
ガハマさんとゆきのんの話も別スレで書こうを思いますので、その時はよろしくお願いします。

お疲れ様でした!
出来たら次スレURL張ってください!
応援させて頂きます!

>>358
555ブルーレイ発売するって
これは多々買うしかないよね(赤目)


>>364
次スレはもう少し物語考えてからにしようと思うので
このスレが残ってたら張ろうと思いますが、多分ないと思います。

由比ヶ浜「あたしも一途だからね!」八幡「はぁ」

ってスレタイで建てようと思うので、よろしくお願いします。

このSSまとめへのコメント

1 :  サナギ   2013年10月28日 (月) 17:05:37   ID: LMlxl-lQ

はよ、続きはよ~(n‘∀‘)η

2 :  SS好きの774さん   2013年11月03日 (日) 13:25:04   ID: DTm2Tab7

続き楽しみにしてます!!

3 :  SS好きの774さん   2014年12月24日 (水) 01:22:11   ID: sloqiUh6

次スレに期待(((o(*゚▽゚*)o)))

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