P「アイドルの時代は終わった」 (15)

P「空前絶後のアイドルブームは去った」

P「ただでさえ就職難だと騒がれているのに、芸能界でよいしょされて食ってきた奴らが簡単に働ける世の中じゃない」

P「かといってコネもない。それはもちろん、ブームが去ったというのもあったが流石に奴らは有名になり過ぎた」

P「一発屋をcmに採用したりするような所は同じく一発屋。その一発屋も、そんな小さな仕事に軽んじていたら社畜以下だ」

P「這い上がる気がなければせっかくの貯金もただ生きながらえるだけの餌。そんなチャンスもたくさんあったのだが、繰り返しになるが奴らは有名になり過ぎた」

P 「小さい仕事でこき使われることに耐えられない。プライドが許さない」

P 「いつかまた、ブームが再来する。それだけを祈って。パソコンの前でギャンブルやら天災やらにすがっているニートと何ら変わりない」

P「だから765プロのアイドルは一人として例外なく、今は仕事がない。いや、それは少し語弊がある。何故なら俺はこうして仕事ができている」

P 「むしろ俺は、前より羽振りがいいかな。アイドルブームは去ったのに、どうしてかって?それはまあ、今日の仕事に付き合ってもらえばわかることだ」



P「まずはあいつに会いに行くか」

誰でもいいや
765限定で>>6

美希

P(先ず、星井美希。トップアイドル集団であったうちの中でも突出していた。ただ、それだけ落ち幅も大きかった)

P(残念なことにそういう奴ほど、今は上手く生きて行けている。さて)

トントン

P「美希、いるか?」

美希「…ハニー?」

P 「あぁ俺だ。開けてくれ」

P(なんてことを言う前に玄関のドアは開いた。それとほぼ同時に、俺は半ば引き摺り込まれるようにして美希の家の中へ連れ込まれた)

バタン

P「おいおい、もう少し優しくしてくれよ」

美希 「…だってハニー、来る遅すぎるの」

P「悪かったって。今日もちゃんとこうしてきてやっただろ?」

P(美希は複雑そうな表情のまま、怒っているのか、それとも泣きそうなのを堪えているのか)

P(とはいえ、だいたいはわかっているが、気がつかない振り。美希を尻目に、適当に部屋を歩いて回る)

美希「ねぇ…ハニー…」

P「んー?なんだ、美希?」

美希「…ミキ」

P(体を震わせながら、何かを訴えかけようとしている。いつものことだ。この部屋はもはやそれだけのための部屋)

P(この時期では少し寒いというのもあるか。まあ、震えの原因はそれだけじゃないだろう。フローリングを見ればわかる)

P「どうしたんだ?」

美希「も……ミキ 」

P「思ったより散らかしてなくて驚いた。耐えられなくて、誰か部屋に入れてるんじゃないかと思ったが」

美希「そんなことするわけないの!ミキはハニーじゃなきゃ…」

P(そんなこと百も承知だ。見ず知らずの男を近づけた時、危うく病院送りにしてしまいそうになったほど、美希は過敏になっていた)

P(だからこそ、このようなやりとりが成り立つのだ)

少し待ってくれ

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