やよい「プロデューサー…あ、あの…」(612)


P「はい、先月もお疲れ様。お給料です」

響「プロデューサー、自分、奢るから何か食べに行こうよ!」

美希「響、抜け駆け厳禁だよ?それにプロデューサーさんはミキと食べに行くんだから諦めるの」

P「いや、俺は今日呑みに行くから無理だって言わなかったっけ?言ってなかったらごめん」

響「そんなのってないさー!プロデューサー自分に言ったじゃないか!給料日になったら食べに行こうって!」

P「……あはは、ご、ごめんな?」

美希「プロデューサーさん、酷過ぎるの…」

P「じゃあまた明日な!」

やよい「あ、プロデューサー」

P「ん?どうしたやよい?給料袋は渡した筈だけど」

やよい「……すみません、なんでもないです。お疲れ様でした」

P「はい、じゃあまた明日ね」


ー~駐車場~ー

P「すみません、待たせちゃって」

小鳥「いえいえ、来てくれたんですから良いいんですよ?じゃあ行きましょう」

P「給料日に呑みに行くなんて乙ですよねぇ、今日は割り勘ですか?」

小鳥「へ~、奢ってくれないんですね」

P「勘弁してくださいよぉ、今月は先月の比べて4万も引かれてるんですよ?」

小鳥「ふ~ん…女の子の財布を開かせる人だったんですね、プロデューサーさんって」

P「あぅ…くっ…」


小鳥「嘘ですよ、今日は割り勘で許してあげます」

P「すみません…申し訳無いです」

小鳥「だって久しぶりじゃないですか、プロデューサーさんと二人で呑みに行くのなんて」

P「確かに、最近は現場のスタッフとかと呑みに行くだけだったからなぁ~」

P「まっ、今日は楽しみましょう!小さい居酒屋ですけどね」

小鳥「……あっ、来ましたよハイヤーが」

P「小鳥さん、せめてタクシーって言いましょうよ。おばさん臭いっす」

小鳥「やっぱり今日はプロデューサーさんの奢りで」

P「そんなぁ」


ー~居酒屋 和花の扉~ー

P「えっと、中の生を二つに…焼き鳥屋さんの山盛りキャベツ 通の旨タレ、それと熊本 合鴨ロース 柚子胡椒ソース」

小鳥「じゃあ私は刺身5種盛り合わせとうずらベーコン串焼き、つくね串焼きとウィンナー盛り合わせで。串は塩でお願いします」

P「刺身に串ってバランス悪くないですか?お腹壊しますよ」

小鳥「どうせ二人で突つくんですから平気です。ね?」

P「だったら串は二本ずつ頼むとかしてくださいよ…まぁ良いですけど」

「生の中瓶で~す」

P「あ、どうも……ささっ、とりあえず呑みましょうか」

小鳥「ですね、とりあえず一杯」


小鳥「それにしても酷い話ですね、給料4万カットって」モグモグ

P「まぁ先月は暇な日が多かったんで仕方ないかなぁ…つっても9人は流石にキツい」モグモグ

小鳥「そりゃあ律子さんみたいに売れっ子アイドルグループでも作ればそのユニットに集中出来て新しいプロデューサーを雇うんじゃないですか?」

P「俺にはそれは無理みたいです」モグモグ

P「……律子と違って俺、飽きっぽいんで…だから一つの事をするより色々な事をやり続けたいなぁなんて」

P「あ、あはは…笑っちゃいますよね。要するに自分の無能さを棚に上げて逃げてるだけなんです」

小鳥「そうですか?私は良いと思いますけど………すみませーん、生を二つ」


P「いえ、今の俺は浅く物を考え過ぎなんです。だから皆の事をまだ完全に理解してませんし」

小鳥「……そうですか」モグモグ

小鳥「でも、プロデューサーさんのおかげで毎日笑顔で居られる人だって居るんですよ?」

P「えっ?」

「生二つっす~、こちら下げますよ?」

小鳥「あっ、ありがとうございます。ついでに串焼き盛り合わせを塩で」

「ざーっす!串焼き盛り合わせ、塩はいりまーす」

P「俺が居るから笑顔って……はぁ、多分俺の顔みて笑う奴って事ですよね」ゴクゴク

小鳥「またそうやって自分を責めようとして…お酒が回るといつもこうなんでしたっけ……」


P「それに、まだ俺は彼女達の真実を知らない……長い事やってるのに皆はそれを俺に見せてくれないんです」

小鳥「真実?どういう意味なんですかプロデューサーさん」

P「俺はプロデューサーですよ?彼女達の道を作ってあげて導くのが俺の役目なんです。」

P「けれど……俺は道を作って無理矢理彼女達を歩かせてるだけなのかなって」

「串焼き盛り合わせっす。こちらのお皿は…」

小鳥「あっ、下げといてください。美味しかったですよ♪」

「あはは、ありがとうございます」


P「最初のうちはそれしか出来なかった。プロデューサーって何をすれば良いのか分からなくてただ仕事を見つけて彼女達に押し付けて終わり…」

P「けど、いつしか余裕が出来てきて、皆と接する機会も増えて来た……けど、そこから前に進めてない自分が居て」

小鳥「……思い詰めすぎですねぇ~」

P「思い詰めすぎなんかじゃ無いですよ、だって俺、皆から本当に信頼されてるのか未だに分からないんですよ?」

小鳥「プロデューサーさんは物事を深く考え過ぎなんです。全然浅く無いじゃないですか」

P「……すみません、北海道 子持ちししゃも炙り焼きになんこつの唐揚げを一つ」

「っしゃーす!なんこつとししゃもはいりましたー!」


小鳥「一度、背伸びしてみてください」

P「また訳の分からない事言って俺を困らせようとする……だから嫌なんだ」

小鳥「プロデューサーさんは全然止まらないんですよ。立ち止まって、背伸びしてもう一度周りをよく見て下さい」

小鳥「きっと、プロデューサーさんは気づく筈です。自分が見落としてる何かに…ね?」

P「やっぱり分からない…俺、不器用っすから」

小鳥「あはは、カッコつけてますよね?今少しだけカッコつけましたよね」

P「見ないでください…」

小鳥「見ます!がんがん見ますよ~!」


ー~やよい宅~ー

やよい父「やよい、今月の給料袋は何処や?父ちゃん北斗打ちに行きたいねん」

やよい「……はい、今月のお給料はこれです…」

やよい父「…なんや~、先月より少のうなっとるやないか!やよい、堪忍してーなー」

やよい「ご、ごめんなさい…」

やよい父「やよいの給料で自分は生活しとるみたいなもんやからなぁ、やよいが頑張らんとやばいで?」

やよい「……はい」

やよい父「まぁ父ちゃんに任せとき!この袋の中身ぱんぱんにして帰ってくるからな!」

やよい「が、頑張ってください…」

バタン


長介「おかえり、やよい姉ちゃん」

やよい「あっ、晩ご飯なら今から作るからもう少し待っててね」

長介「良いよ別に…それに、冷蔵庫の中殆ど無いから」

やよい「えっ!?でも昨日までは」

長介「父ちゃんが酒のつまみにって言って殆ど食べちゃったから…」

やよい「そんな…」


やよい「あっ、かすみは?部屋で勉強でもしてるのかな」

長介「かすみ……部屋で泣いてる。また学校で虐められたんだって」

長介「何時も同じ服着てるから近寄るなとか、お前と一緒にいたらかすみ菌が移るって……俺、同じ小学校なのにまた気づいてやれなかった」

やよい「ちょ、長介が悪いんじゃないよ!悪いのはかすみにそんな事言う人達なんだから……そんな思い詰めちゃ駄目」

長介「……父ちゃんと母ちゃんが離婚してもう何年目だっけ…」

やよい「ぁ…」


長介「俺とやよい姉ちゃんにかすみが父ちゃんのとこで後の二人は母ちゃんのとこ……父ちゃん、俺達に家事を全部させてさ」

やよい「長介!お父さんになんて事言うの?今まで、いや、今でも私達を育ててくれてる大切な

長介「大切な父ちゃんなら!やよい姉ちゃんの給料袋を奪って遊びに行くのかよ!」

やよい「それは…」

長介「母ちゃんと別れてまずした事は仕事を辞めて遊び歩いてただろ!?」

長介「毎日いつ帰ってくるか分からない!俺達の事なんて道具としか思ってない父ちゃんを大切な人なんて呼んで良いのかよ!」


長介「やよい姉ちゃんは悔しく無いの!?汗水流してやっと手に入れた給料を父ちゃんにさも当然の様に奪われてさ!」

やよい「だから、それは…」

長介「やよい姉ちゃんがそんなんだからいけないんだよ!生活保護を受けてるから学校のお金は掛かんないよ?けど、そのせいでかすみは虐められ始めたんだ!」

長介「貧乏が更に貧乏になったって……金が払えないなら学校に来るなって…」

長介「やよい姉ちゃんは知らないから言うけどさ……かすみ、ここ数ヶ月まともに小学校に行ってないよ」

やよい「え!?で、でも毎日ちゃんと玄関で長介と一緒に学校に行くとこを」

長介「玄関からだよね……かすみ、家のすぐ近くでやよい姉ちゃんが出て行くのを確認して、そのまま家に閉じこもっちゃうんだ」

やよい「か、かすみが…」

長介「今日は俺が無理矢理連れて行ったんだ……だけど、久しぶりに登校したところで何にも変わってなかった」

長介「かすみに向けられたのは歓迎の眼差しじゃなくて……なんで来たんだと疑問の眼差しを向けられてた」

長介「俺がちゃんとかすみの事を考えてなかったからいけないんだ……ち、ちくしょう…」


やよい「長介…」

長介「やよい姉ちゃんだって中学校で何かされてない?俺さ、男だから腕っぷしには自信が有るんだ……だからさやよい姉ちゃん」

やよい「わ、私はそんな事されて無いから大丈夫だよ。それよりかすみを慰めに行かなきゃ」

長介「今は泣かせといてあげたいんだ…かすみに必要なのは俺でも、やよい姉ちゃんでもないんだよ……」

やよい「そんな事ない!私がかすみを救ってあげにいってくる」

ダタタタタ

長介「自分も救えないで偉そうなんだよやよい姉ちゃんは…」

長介「そんなやよい姉ちゃんが……大っ嫌いだ」


ー~かすみルーム~ー

やよい「……かすみ、どうして泣いてるのかお姉ちゃんに教えてくれない?きっと力になれると思うよ」

かすみ「…出てってよ、やよいお姉ちゃん」

やよい「かすみ……ううん、出て行かないよ。かすみが理由を言ってくれるまで出て行かない」

かすみ「出てってよ……今は一人にして」

やよい「嫌、出て行かないよ」

かすみ「……やよいお姉ちゃん、ウザいからさ……出てってよ」

やよい「ウザくても良いよ、けど、かすみが私に涙の訳を教えてくれるまで出て行かな

かすみ「やよいお姉ちゃんに私の何が分かるの!?分かる訳無いよ!!」

やよい「……」


かすみ「やよいお姉ちゃんはさ!上履きの中に泥を入れられた事なんて無いでしょ!?」

かすみ「教科書を隠されたり椅子を窓から捨てられたりした事無いんでしょ!!」

かすみ「体操服をドブに捨てられた事なんて……無いんでしょ…」

かすみ「体育館の裏に呼ばれて…皆から文句言われた事……無いんでしょ…」

やよい「……」

かすみ「まだ有るよ、思い出したく無いのに…忘れられ無いんだよ…」

かすみ「クラスの皆が敵なんだよ?…せ、先生だって私の味方なんてしてくれない……先生も、私の敵…一人なんだ私」

かすみ「クラスで私だけ…酷く浮いてるんだよ……」


かすみ「やよいお姉ちゃんは良いよね…そんな事無いんだから……765プロの皆と友達なんでしょ?」

やよい「…うん、765プロの皆は私の大切なお友達だよ」

かすみ「ほら…や、やっぱりやよいお姉ちゃんに私の気持ちなんて分かりっこないんだ……出てって…出てってよ」

やよい「かすみ、かすみは本当にそれで良いの?虐められたからってここで丸まってて良いと思ってるの?」

やよい「お姉ちゃんね、かすみには前を向いて歩いて欲しいって思ってる。かすみは後ろを向いて佇んでるんだよ?」

かすみ「出てって」

やよい「かすみは何時になったら前を向こうとするの?それとも前を向きたくない?向くのが恐い?」

かすみ「出てって!!やよいお姉ちゃんなんて私と違って沢山友達が居るんでしょ!私と違って毎日が楽しいんでしょ!」

かすみ「出てってよー!」

やよい「……明日はちゃんと学校に行こうね」

かすみ「五月蝿いうるさいウルサイ五月蝿いウルサイうるさいうるさい!!」

やよい「また明日ね…おやすみ」

バタン


やよい「……違わないよ」

やよい「私だって、かすみとちっとも違わない……私だってね、辛いよ…毎日が」

やよい「だけどね、私は前を向いてるよ?たまに後ろを向いちゃうけどさ、前を向いてるよ…」

やよい「それはねかすみ、誰かにしてもらう事じゃないんだよ?最後はね、自分が決めなきゃなんないんだぁ…」

やよい「だから……かすみが前を向くのに必要なのは沢山の友達でも楽しい毎日でも無い」

やよい「最後に信じれるのは自分だけなんだよ?……かすみに必要なのはね」

やよい「……」

やよい「自分を信じてあげる意志…私に出来るのはそれに気づかせてあげる事しか出来ないから……けどねかすみ」

やよい「絶対かすみに気づかせてあげる。お姉ちゃんが必ずかすみの力になってあげるね」

やよい「……おやすみ、かすみ」


小鳥「あっ、そういえばですね、一つ質問良いですか?」

P「急ですねぇ…なんですか?俺に答えれる範囲内でお願いします……すみません、手仕込み鶏の唐揚げを一つ」

小鳥「あっ、黒龍を二つお願いしまーす」

「あいあーっしたぁ!唐揚げと黒龍はいっまーす」

P「もう日本酒ですか?しかも俺の分まで頼んで…あんま強く無いんですよ日本酒」

小鳥「まぁまぁ、夜はコレからですよぉ~」

P「はぁ…」


P「それで?質問ってなんなんですか?」

小鳥「プロデューサーさんの机に有る貯金箱なんですけどぉ、アレって今どの位入ってるんですか?」

P「ね、狙ってるんですか?開けないで下さいよ?」

小鳥「そんな真似しませんって!ただ、プロデューサーさんたまに1万円とか入れてるからどれ位なのかなぁって」

「黒龍っす、あ、こちらのお皿、下げますね」

P「あ、どうも。美味しかったです」

「……」

P「む、無言!?小鳥さんの時は確か返事してた気が」

小鳥「そりゃあ私ですから!プロデューサーさんと同じにしないでください」


P「う~ん…30位なんじゃ無いのかなぁ」

小鳥「ぶふうぅ!」

P「汚いからこっち向かないで下さい」

小鳥「た、確かにあの貯金箱は大きいですけどそ、そんなに貯まってるんですかぁ!?」

P「まぁ…少なく見積もってですよ?定期的に中身を確認とかしないんで。たまに振って優越感に浸る位かな」

小鳥「……」

P「い、言っときますけど絶対に取らないでくださいよ?さっきより目がマジになってますって」

小鳥「そんな事しませんよ……しませんよ」

「唐揚げで~す、お召し上がりやがってください」


ー~やよい宅 冷蔵庫の前~ー

ガチャ

やよい「……本当に何も無い」

やよい「どうしよう、このままお父さんが帰って来なかったら明日の朝ごはんが作れないよ…」

やよい「きっとお父さんは明日の朝、早朝に帰ってくる筈だから……もし帰って来ても朝ごはんには絶対間に合わない」

やよい「……」

スタスタスタ


長介「どこ行くの?もう外真っ暗だよ」

やよい「長介…ちょ、ちょっと散歩に行こっかなって」

長介「寒いからマフラーして行きなよ?気をつけてってね」

やよい「……うん、行って来ます」

バタン

長介「どうしたんだろやよい姉ちゃん、俯いたまま靴履いて出て行ったけど……そんなに嫌なら散歩なんてしなきゃいいのに」

長介「……」グルルルル

長介「あー駄目だ、変に頭使うとお腹が空いちゃう…俺はもう寝よ」


ー~事務所 扉の前~ー

カチャカチャカチャカチャ

やよい「……(このピンセットで)」

カチャカチャカチャカチャ

やよい「はあぁ…はぁ…っはぁ…(あ、開いてください…あ、開かないと)」

カチャカチャカチャカチャ

やよい「んっはぁ…はぁっはっ…はあぁ…」

ガチャ

やよい「……ふうぅ…ふぅ…はあぁ…」

バタン


ー~事務所~ー

やよい「……ごめんなさい、また、プロデューサーの…お金を…」

貯金箱「……」

やよい「ぅっぐ…ご、ごめんなさい…ぷ、プロデューサー…っ…ゔぅ…」カパッ

ジャラジャラジャラ

やよい「…ゔっ…あぁ"…ご、ごめんなさい…ごめ……なさっ…ゔっぐ…」

貯金箱「…」

やよい「お札…お札をい、いただきます…小銭じゃバレちゃうから…すみません、プロデューサー…」


ー~ローソ◯~ー

「いらっしゃいませ~!!」

やよい「ゔぅ……ぁ"っ…ぐぅ…あぁ…」

千早「……高槻さん?どうしたのこんな遅くに」

やよい「ち、千早さん…な、なんっでも…な、無いです…」

千早「なんでも無いって…だ、だったらどうして…泣いてるの?」

やよい「…さ、さっき転んじゃっ……転んじゃったんです…い、痛くて…だ、だから…」

千早「そう、それで、何を買いに来たのかしら。良かったら、私も一緒に良い?」

やよい「っ…あ、ありがとうございます…っゔ…」


やよい「……はあぁ…ふうぅ」

千早「本当に大丈夫?息がし辛そうだけど」

やよい「も、もう大丈夫です…心配かけてごめんなさい。悪いのは私なのに千早さんにまで迷惑かけちゃって」

千早「別に、私は気にしてないわよ?ただ、どうしてこんな夜遅くに買い物をしているのか気になって」

やよい「わ、私…お家で寝てて、そ、その間にスーパーが閉まっちゃったんです……だから、明日の朝ごはんの材料を」

千早「そうね、卵やハムも有るみたいだし……高槻さん?」

やよい「ど、どうしたんですかぁ?千早さん」

千早「……いえ、ごめんなさい。私の勘違いだったみたい」

やよい「?」


「ありあっしたー!またのおこしをををー!」

やよい「ありがとうございました。それじゃあまた明日、事務所で…」

千早「待って高槻さん、家まで送っていくわ。こんな遅くに高槻さん一人じゃ心配だから」

やよい「……じゃ、じゃあお願いしちゃいます…ありがとうございます、千早さん」

千早「良いのよ別に、私だって高槻さんと帰れて嬉しいのだから」

やよい「……」

千早「高槻さん?」

やよい「あっ!な、なんでもないですよ~!」

千早「そう?なら良いんだけど」


やよい「千早さん…千早さんはいつもコンビニでご飯を買ってるんですかぁ?」

千早「……そうね、毎日って訳じゃ無いんだけど、自分で作って食べるって事はしないわ」

やよい「ど、どうしてですかぁ?手料理の方が美味しいですよ?それに……」

千早「それに?」

やよい「料理を作るのは…すっごく……楽しいんですよ…」

千早「高槻さん…(言ってる事としている事が全然違う…どうしてそんなに悲しそうな顔を)」

やよい「だから、千早さんも出来るだけ料理を作ってみてください!きっと楽しいですよ!」

千早「……私は…私には…」

やよい「ち、千早さん?」

千早「ごめんなさい…この話はまた別の日にしましょう…」

やよい「はい、わかりました…」


P「それじゃまた明日、じむひょへ会いましょふ」

小鳥「プロデューサーさんは相変わらずお酒強く無いですねぇ、大丈夫ですか?」

P「らいじょうぶです……じゃあ俺、歩いて帰るんで、サヨナラです」

小鳥「車は良いんですか?だったらハイヤー呼びますよ?二人で帰りましょうよ」

P「ひや…俺はちょい寄るとこがあるんへ…しゅむません」

小鳥「わ、分かりました」

P「それじゃあまた明日~です」

小鳥「私はハイヤーで帰りますから車、知りませんよ?」

P「うっひっひ~」


ー~公園~ー

P「……ふぅ」

P「さてと、今からどうするかなぁ、とりあえず事務所に行って確かめたい事が有るし」

携帯「旦那、少し良いですか?」

P「馬鹿、喋るなって言ったろ?喋って良いのは俺の家だけだっての」

携帯「すみません、ただ……事務所なんですけど」

P「確認だよ確認、別に怒るつもりは無いから……彼女が悪いじゃ訳じゃ無いんだ、俺がどうこう言えないよ」

携帯「……甘いんすよ旦那は」

P「へいへい、じゃあ夜中の事務所へレッツゴー」


ー~事務所~ー

P「……」

貯金箱「旦那…」

P「今月はいくら持ってかれた?確か先月は3万位もってかれてたけど」

貯金箱「1枚、持っていかれただけです」

P「……1万円?ずいぶん少ないんだな」

貯金箱「いえ、1万円じゃないです…1000円札を一枚だけ」

P「1000円?た、たった1000円なのか?おかしいっての…じゃあ明日ここで張ってれば会えるって事か」

貯金箱「高槻嬢…泣いてやした、小銭に手をつけずに泣きながら1000円札を……旦那、もう俺嫌です。いい加減事務所から場所を移してくださいよ」

P「ごめん……でも大丈夫、これも今月で終わりだから」

貯金箱「……分かりやした」

P「じゃあ俺は帰るよ、おやすみ」

バタン


ー~やよい宅~ー

千早「それじゃあ高槻さん、また明日、事務所で会いましょう」

やよい「は、はい!また明日も頑張りますよ~!」

千早「……高槻さん」

やよい「どうしたんですかぁ?私の顔に何かついてるんですか?」

千早「本当に…本当に大丈夫なの?何か隠してる事があるなら私に相談してね?力になるから」

やよい「千早さん、私は大丈夫です!千早さんも大丈夫なんですか?」

千早「え?」

やよい「さっきの千早さん、とても悲しい顔をしてました…だから」

千早「私は大丈夫……それじゃあね、高槻さん」

スタスタスタ


P「……ん?」

やよい父「んあ~、北斗はクソ台やな。やよいの給料全ツッパしてもうたわ~」

携帯「旦那、あの方は高槻嬢のオヤジさんですぜ」

やよい父「ほんま堪忍やでぇ、何が爆裂機や!嘘つ機やないかい!んなはははは!」

P「そっか、あれがやよいの…ね」

やよい父「明日からどないせーっちゅうねん!まぁたゆで卵生活かぁ?やよいに金借りなあかんなぁ…あいつ金持っとるかなぁ」

携帯「旦那、一発殴ってくださいよ…俺、許せないっす」

やよい父「まぁもっとらんかったらどっかから金借りたらええんやけどな!そや!明日は番長打つで!待ってなやよい、明日こそパンパンに膨らませて返してやるからな~」

P「はいはい、帰りますよ」

携帯「……くそ」


パシャッ!

やよい父「んなはははは!やよい、待っとって~な~、晩ご飯はビフテキやな!」

?「……コレで後は」

やよい父「んあ?なんや自分、変なかっこうしとるやないかい!」

?「……」

スタスタスタ

やよい父「あははははは!無視されたわ!変なかっこうした変な奴に無視されたぁ!んなはははは!」

やよい父「よっしゃ!今ので目が覚めたで、やよい、待っとき!父ちゃんお腹ペコペコやからな!」

やよい父「美味しい晩ご飯待っとるからなー!」


ー~やよい宅~ー

やよい父「やよい……もう父ちゃん駄目や、やよいの給料袋空っぽにしてもうた」

やよい「……」

やよい父「そんでな、父ちゃんお腹ペコペコやねん。やよい、何か作ってーな」

やよい「む、無理です…材料がありません」

やよい父「嘘やろ!?冷蔵庫の中に何も無いんか!」

やよい「あっ!れ、冷蔵庫の中には何も無いんです!!」

やよい父「うっさいわ!腹減った言うてるやろ!」


やよい父「なんや、ハムが有るやないかい……やよい、父ちゃんに嘘ついたんやな」

やよい「これは長介達の朝ごはんに使う材料なんです!た、食べないでください!」

やよい父「うっさいなぁ!長介は卵だけで十分やろ!このハムは父ちゃんが食うんや!」

やよい「だ、駄目!お父さん、もうやめ

やよい父「うるっさいわボケぇ!」

ドスッ

やよい「ぅ"っぐ!?」

やよい父「お~、綺麗に入ったなぁ、父ちゃん格闘家になってバシバシ稼いだろか!そややよい、父ちゃんの練習相手になってくれへんか」

やよい「ぁ"…っあ…」

やよい父「北斗真拳の力、やよいに叩き込んだるわ!」


やよい父「ふぅ、勝利の後のハムは美味いなぁ、ここにビールでも有れば最高やったんやがなぁ」

やよい父「……しっかしやよいは弱いなぁ?練習相手にもならんかったわ、父ちゃんがっかりやでほんま」

やよい父「長介ー!やよいを部屋まで運んでってーなー!邪魔やねん」

ガラララ

長介「……分かったよ父ちゃん」

やよい父「すまんなぁいつもいつも、長介は賢いから父ちゃんの言う事を素直にきけるお利口さんやなぁ、父ちゃん鼻が高いで」

長介「……」

やよい「ぁ"…っぐぅ"…ぁっ」

やよい父「青あざ出来たけど大丈夫やろか、事務所の方にバレたらクビになるやろなぁ……やよい、上手に隠しとくんやで」


ー~やよいルーム~ー

長介「やよい姉ちゃん、大丈夫?」

やよい「……ご、ごめんね長介…お姉ちゃん、長介達の朝ごはん…お、お父さんに取られちゃった…」

長介「良いって、何時もの事だろ?それよりなんで父ちゃんに逆らったりしたのさ」

やよい「だって……だってお姉ちゃん、い、嫌だったから…長介達の朝ごはんを取られるのが……嫌だったから…」

長介「……今日は早く寝なよ、氷持って来るからベットに横になってて…」

やよい「ゔっ…ぅあ"ぁ…ご、ごめんね…弱いお姉ちゃんで……ごめんね…長介」

長介「良いから早く横になってよ、俺は下に降りてまた戻って来るから」

やよい「…っぁ"っぐ…ゔぁあぁ"っ…ぁ」


P「……」ポチポチ

携帯「どうしたんですか旦那?こんな時間に誰に電話をかけるんでい?」

P「こんな時間だからこそだよ、とりあえず電話して調べて貰いたい事が有るからね」

携帯「調べたいことなら旦那自ら探せば良いんじゃないんですか?それとも旦那一人じゃ探しきれないんですか?」

P「う~ん、なるべく早い方が良いかなぁって思ってさ……だから電話するの」

携帯「はぁ…」

『もう、なによこんな時間に…私は明日も忙しいんだからもう寝たいんだからぁ…』

P「やよいについてなんだけど…良いかな?」

『やよい?……詳しく話しなさい。良い?ちゃんと説明しなさいよ?』

P「あぁ、実は探して欲しい人が居るんだ」


ー~翌朝~ー

やよい父「なぁやよい、なんで金を持って無いんや?おかしいやろ」

やよい「……」

やよい父「黙っとったら金が出てくるんか?やよい、何時もの様に隠しとるんやろ?はよ出してぇな」

やよい「本当に無いんです…」

やよい父「……ほんま使えんなぁやよいは!もうええわ、借りてくるから」

やよい「お、お父さん!?どこから借りてくるつもりなんですか!!」

やよい父「やよいには関係無いやろ!俺はもう行くからあの二人にたっぷり食わしたってえな?わかったか」

やよい「っ……は、はい」

やよい父「今日は番長で6000枚は出すでぇ!」

バタン


かすみ「じゃあ…行ってきます」

長介「じゃあねやよい姉ちゃん、俺達は学校だから!やよい姉ちゃんも学校なんでしょ?」

やよい「あ…うん、今日はお昼までだけど」

長介「そっか、やよい姉ちゃんも頑張ってね!じゃあ行ってきます」

かすみ「行ってきます…」

やよい「か、かすみ!ちゃんと行くんだよ?途中で帰って来ちゃ駄目だからね?」

かすみ「っ!?」

長介「ほらかすみ、行くぞ」

かすみ「な、なんでやよいお姉ちゃんが…」

長介「行くぞ!」

バタン


やよい「結局二人には目玉焼きしか出せなかったなぁ……なにやってんだろ私」

やよい「昨日なんでハムを冷蔵庫に入れちゃったのかな…はは……馬鹿だよ私、せめて野菜室に入れとけばバレ無かったのかな……っ…ゔぅ…」

やよい「こんな…こんな青あざ、隠せる訳無い……長袖で身体は隠れても…あ、足と顔が…ゔぁあぁ"…っぐうぅ"」

やよい「だ、駄目なのに……泣いちゃ駄目なのに…っ"…ぅあぁ"っあ"…」

やよい「早く……早く着替えて学校に行かないと……い、行かないと…」

やよい「お母さん…私、もう嫌だ……か、帰って来てよ…また前みたいに皆で笑いたいよ……お母さん…」

ー~事務所~ー

P「おはようございます小鳥さん」

小鳥「おはよう……ございますぅ…」

P「あはは、昨日あんなに元気だったじゃないですかぁ!今日になって来るなんて可愛いですね」

小鳥「うぁ"~、なんか頭が痛いですねぇ…それに、皆は今日学校だから早くてお昼ですよね?」

P「えっと……はい、一番早いので2時頃に来ますね。やよいとか真美とかですね」

小鳥「そうですか、じゃあお昼寝までお休みしときますね。プロデューサーさんが来てくれたから安心して眠れます」

P「で、電話は俺が処理しないといけないんですか!?そんなのあんまりですよぉ…」

小鳥「お休みなさい……プロデューサーさん……zZZ」

P「寝るの早いなぁ……はぁ」

貯金箱「旦那、小鳥嬢から4万円程抜かれました…」

P「この人は本当に…」


ー~中学校 校門前~ー

やよい「……」

「ねぇあれ見てよ…高槻さん、あざ作ってる」
「あれじゃない?虐待ってやつ?マジ受ける。貧乏だから親に暴力ふるわれてるんだ」
「高槻さんって両親が別れて以来、父親から道具の様に扱われてるみたいよ」

やよい「っ…(なんで誰にも話して無い事が広まるんだろ…意味が分からない)」

ー~下駄箱~ー

やよい「あ……」

やよい「……かすみ、お姉ちゃん、上履きの中、いっぱい画鋲が入ってたよ」スッ

ジャラジャラジャラジャラ

やよい「アイドルになったからなのかな…ううん、そんな筈無い……そんな筈、無い」


ー~教室~ー

ガラララララ

やよい「……」スタスタスタ

「ねぇ、なにあの顔…それに足も、青痣が有るわよ」
「ほら、高槻さんって父親から虐待受けてるって前に噂たってたじゃん」
「アイドルでもそんな事あるんだぁ、ヤバくな~い?つーかアイドルならアイドル学校でも行ってろっつーの」

やよい「……そうでしたぁ…私の椅子、捨てられてたんだ…隣の使ってない教室のを持ってこないと…」

「うわ、あいつ何時になったら泣くんだろ、イジメがいが無いっつーの」
「まぁ良いじゃん?先生にも言わないみたいだし、やりたい放題じゃね?ウチらからしたら都合いいっしょ」
「だね~、やり甲斐あるよ?壊れないのを無理やり壊すのって」


携帯「だ、旦那ぁ本当に良いんですか?事務所飛び出して来て」

P「良いんだよ別に、悪いのは小鳥さんなんだしよ…」

携帯「でも事務所にかかる電話って彼女達の仕事の話しですぜ?とらなきゃそれこそ彼女達のアイドル生命を縮めるんじゃないんですかい?」

P「……目先の仕事なんかよりよ、ずっと遠くにいる彼女を抱きしめなきゃいけないだろ…俺から離れて心配かけないように泣いてるんだよ、気づかれないようにな」

携帯「旦那…」

P「目立ってるのにさ、気づいてやれなかったんだ……だったら今すぐ彼女を笑顔にしなきゃなんないだろ」

携帯「それが旦那の仕事だからですか?」

P「仕事だからじゃないさ、俺の意志で彼女を……高槻やよいを助けたいんだよ、だから…俺は」

携帯「ったく、今の今まで気づかないでその変わり様は気持ち悪いですぜ旦那?どこで気づいたんでい」

P「盗まれたお金の額、それにあの父親、笑わないやよい……これだけ有れば十分ってわけさ」

携帯「笑わないって、やよい嬢は何時だって笑顔ですぜ?」

P「あんな作り笑いを笑顔って言っちゃ駄目だろ」

スタスタスタ


ー~授業中~ー

やよい「……」カリカリ

コツン

やよい「…(また紙が飛んで来ました…もう何回目なんだろ……紙には死ねとかウザいとかしか書いてません)」

コツンコツン

やよい「……」カリカリ

「うっわ、あいつ反応しなくなったよ」
「まぁあんくらいでへばる奴じゃ無いからね、させがアイドル(笑)」
「あははは、笑わせないでよ、先生にバレちゃうっしょ」
「そんなにウチらと関わりたく無いならくんなっつーの!アイドルだからって調子乗り過ぎだろあの貧乏人」
「貧乏でもアイドルになれるんだから笑えるよね~、しかも青あざ、あれならウチの方が100倍マシじゃね?」


ー~マルハン~ー

やよい父「……」

やよい父「入らんの~なんやこのクソ台!さっき借りてきた4万もう吸い込んだやないかい!あぁくそ!」

P「出てますか?」

やよい父「あぁあ"ん?見りゃ分かるじゃろがい!こんなクソ台打つんやなかったわ!」

P「すみません、少し良いですか?」

やよい父「言う事あるならここで言いやぁ!舐めた口聞くと容赦せんからな…んなははは!」

P「着いてきてくれたら4万円程渡しますよ」

やよい父「ほ、ほんまか!?嘘やないやろな」

P「はい、とりあえず店から出ましょうか、お願いします」

やよい父「くれへんかったら警察呼ぶからな!絶対やぞ!」


やよい父「ほら、出たで!はよ4万円くれや」

P「あなたは高槻さんで間違い無いですよね…高槻やよいの父親であってますよね」

やよい父「なんやぁ?もしかしてやよいのファンか?ならサインもろうて来たるで!一枚5000円や、どや、安いやろ」

P「高槻さんにとってやよいはどんな存在なんですか?」

パシャッ!

?「…」

やよい父「そらアレやろ、大切な家族やで!だってやよいは俺を助けてくれるんやからなぁ!」

P「……そうですか」

やよい父「まぁ金くれへんかったらただの餓鬼やけどな!ほんまやよいには助けてもろとうで」

P「ありがとうございました、お礼の4万円です……それでは俺はこの辺で」

やよい父「兄ちゃんええ奴やなぁ、今度あったらやよいに二人きりで会うように言っとくわ!もちろん金はとるけどなぁ…んなははははは!」

P「…」


携帯「旦那!なんであんな奴に金を渡したんですか!?あんな屑には握り拳でもあげれば良かったんだ」

P「そういう訳にはいかないよ、俺は嘘が嫌いだからさ。どんな人にも愛想良くしとかないといけないんだよ」

携帯「……まぁそうですけど」

P「それに、あの時金を渡さなかったらやよいに危害が加わりそうだったから…かな


携帯「それと旦那、さっきの話し……撮られてましたぜ、誰かに写真を」

P「あ、やっぱり?なんかフラッシュたかれたと思ってたんだよねぇ、やっぱり写真撮られてたのか」

携帯「旦那、大丈夫ですかね?」

P「なに言ってんだよ、俺とやよいの父親で何が出来んだよ」

携帯「……そうですね」


ー~体育館 裏~ー

やよい「……」

「あんたさぁ、なんで学校にくんの?なんかウチらとも全然絡んでこねぇしよ」
「あれか?自分はアイドルだからウチらと違うってか?」

やよい「そ、それは違います!アイドルは関係な

「はぁ!?ならなんで学校休む時があんだよ!アイドルだから休んでんだろ?」
「お前さ、やっぱ舐めてるよ…一回しめなきゃいけないと思ってたんだよね」

やよい「ぇ…あ、あの…私」

「どうせ青あざ出来てるんだから一つ位増えてもバレねぇっしょ?先生もお前見て何も言わないなら尚更じゃ~ん?」
「ちょうど良いんだよね、やっとお前にぶつけられるわ……ウチら舐めんなよ」

やよい「あ"…ぁ」

「あはははは!見てみなよ、アイドルが震えてる」
「写メらないと!顔きんもー!」

パシャパシャパシャ

「……やよい、体育の授業はウチらとここでやるんだからな」

ごめんなさい、少し用事が出来ちゃいました2時までには帰ってきます

シャア「高槻くん、助けにきたぞ。」


P「ただいまです小鳥さん」

小鳥「プロデューサーさん!なななな、なんで勝手に出て行っちゃうんですかぁ!」

P「す、すみません少し散歩を…」

小鳥「出るなら出るって言ってくださいよ!電話の音で無理やり起こされて周りをみたらプロデューサーさんが居ない……ふざけないでくださいよ!」

P「すみません…ほんと、すみませんでした」

小鳥「……反省してるなら許してあげますけど、こんご絶対にしないでくださいよ?」

P「分かりました…(昼まで寝る事務員が居る方が問題だよなぁ)」

小鳥「じゃあ私はお昼ご飯を食べるんで行ってきます!」

バタン

P「……はあぁ、なんだかなぁ」

貯金箱「旦那ぁ、また2万円程抜かれました」

P「なんだかなぁ…」


P「しっかし、やよいが全然分からない」

貯金箱「分からないって、やよい嬢はよく夜に俺からお金を盗んでいく位しか知らないですぜ?」

P「うん、それは多分アレだよ、父親が給料を全部取るからだろうな。酷い親だよほんと」

貯金箱「でも旦那、それならだいたいは理解出来るんじゃないんですか?間違いなく家庭事情はボロボロですぜ」

P「やよいは服を変えないからなぁ…毎日同じ服しか着てないし、首から財布ぶら下げてるし。間違いなく貧乏ではあるだろうな」

貯金箱「……虐待とかって受けてるんですかね」

P「それだけは思いたくないねぇ、いくらやよいを道具扱いしても手を上げるってのは無いだろ……そう願ってるよ」


ー~961プロ~ー

黒井「んなるほどぉ、高槻やよいか」

?「……」

黒井「だがむぅわだ足りんな、コレではインパクトに欠ける」

黒井「もう一押し有れば良いんだがぁ……やれるよなぁ?お前なら」

?「……」

黒井「期待しているよ…この写真は私が預かっておく、お前は早くその一押しを探してこい」

?「…」コクッ

バタン

黒井「……ふふ、ふはははは!高木ぃ、お前を潰す時が来たようだなぁ」


P「とにかくだ、先ずはやよいに会ってある程度は把握しとかなきゃいけないな」

貯金箱「ほんと、虐待だけは勘弁してほしいですぜ……やよい嬢、夜に俺から金を抜く時の顔、忘れられねぇ」

貯金箱「ほんとはやりたくないんだって顔して俺に手を伸ばすんだ…まだ中学生なんだろ?やよい嬢は」

P「あぁ、やよいはまだ中学生だよ」

貯金箱「だったら尚更だ!早く解決しちまいましょうぜ旦那」

P「……まだだよ、まだやよいは俺に何も言ってない。だから俺はまだ動かない」

貯金箱「かぁ、マジですか?やよい嬢が旦那に何か言うと思ってるんですか?絶対隠しますぜ」

P「俺はやよいを信じてるから。だから大丈夫、いつか吐き出してくれるさ」

P「その時は俺が受け止めてやる、それがプロデューサーである俺の仕事、俺がやりたい事だから」

貯金箱「けっ、無駄にカッコつけやがって」

P「かっこ良かったろ?」

ガチャ

真美「に、兄ちゃん!やよいっちが!」

雪歩か…糞…マジゴミだな
あのクサレネガ根暗が…


P「あれ、もう二時なの?…って、まだ1時28分じゃないか、早いよ真美」

真美「今はいいからー!や、やよいっちがヤバいんだって!」

P「とりあえずだ、本日の主役に会いに行きますかぁ。何処に居るんだ?やよいは」

真美「事務所の階段の前だよ!真美、頑張って運んで来たんだかんね」

P「……運んできた?おかしいだろ、その言い方」

真美「とにかく着いてきて!」

P「わ、分かった」


P「……虐待は無いって思ってたんだけどな…な、なんだよコレ」

真美「真美ね、やよいっちと一緒に行こうと思ってやよいっちを迎えに行ったんだ!」

P「やよいの学校に…か」

真美「それで、校門を出てすぐ近くのとこにやよいっちが倒れてたから慌てておぶって運んできたんだよ」

やよい「ぁ"っ…んぁ…」

P「なにされたらこんな事になるんだよ…足なんてパンパンに腫れ上がってるじゃねぇか……顔も腫れてあざだらけだ」

真美「ま、真美、事務所に行って救急箱取ってくる!」

P「いや良い、俺が事務所に連れて行くから……やよい、俺に縋る事が出来るか?」

やよい「ふ…ふひょふー…っ"ゔぅ…」

P「すまん、喋れないよなそんな顔じゃ……少し痛いかもしれないけど、おぶるかんな」


ー~事務所~ー

P「……やよい、俺が分かるか?分かるなら手をあげてくれ」

やよい「ひゅ…ひほひゅーひゃ…」

真美「兄ちゃん、やよいっち…学校でされたんだよね?これ、転けたとかじゃないよね」

P「あぁ…間違い無いよ(勘弁してくれよ、家庭内暴力だけじゃなくて学校でも危害を加えられてたのか…くっそ!)」

真美「あ、あのね兄ちゃん、やよいっちは」

P「俺が家に連れて行く、応急処置は済んだんだから自宅へ連れて帰って安静にしてもらうよ」

P「真美、仕事なら律子に話を通すからここで待機しといてくれ…頼む」

真美「や、やよいっちをほっとけないよ!」

P「だからやよいは俺に任せてくれ……大丈夫、死んだりはしないから」

真美「……分かった。りっちゃんが来るんだね」

P「ありがとう真美」

バタン


パシャッ!

P「っそ!なんでやよいがこんな目に合わなきゃなんないんだよ…あの親、これ見て何を思うのかな」

携帯「今はやよい嬢を自宅へ連れて行く事を考えましょう」

P「分かってるさ、ただ言っただけだよ」

やよい「……」

P「やよい、気を失ったみたいだな……どうすりゃいいんだ?学校での虐めなんて俺じゃどうしようも無いぞ」

携帯「そうですね、コレばっかりは本人に任せるしか無いです」

P「……やよい、お前ってなんでそこまで隠すんだよ…俺に頼ってくれよ」

携帯「ささっ、早く車に乗りましょう」

ー~車内~ー

携帯「しかし旦那、なんでやよい嬢の家なんですか?普通は病院に連れて行きませんかい?」

P「俺だってそうしたいさ、けど無理だ、こんな状態のやよいを連れてってみろ?間違いなく入院だ」

P「やよいはそんな事望んじゃいないし、絶対に入院なんてしないって言い切るしな…」

携帯「だけど旦那!そこに連れてって何が出来るんですか!?」

P「……」

携帯「今からでも病院に行くべきですぜ旦那!やよい嬢を救いたいなら尚更だ」

P「駄目だ、やよいの家に向かう(さっきもそうだったがやよいは今狙われてる…パパラッチか何かに狙われてる)」

P「そんな時に入院なんて餌ばら撒いてる様なもんだ」

携帯「だ、旦那?」

P「……急ぐぞ」


ー~やよい宅~ー

P「お邪魔しまっす……って、誰も居ないか」

やよい「ゔっ…ぁ"はあぁ…はぁ"っぐうぅ」

P「や、やよいの部屋は二階だったっけ?確か二階だったよな…うやむやだけど」

やよい「ひゅほひゅーはー…ふひまひぇん」

P「だから喋るなっての、唇切れてるんだからぁ……ん?」

かすみ「あ、こ、こんにちは…」

P「君はやよいの妹の…いや、それよりなんで君がここに?まだ学校だろ」


P「……なる程ね、君は所謂不登校なんだ…原因は聞かないよ、言えないだろ?」

かすみ「……」

P「っと、今はやよいを最優先に考えないといけなかった。湿布とかは……あ、あるかな?」

かすみ「は、はい…取ってきます」

P「ありがと、助かるよ(しかし、やよいといいこの子といい高槻家は想像以上に荒んでりな)」

やよい「…ぷ…プロデューサー…」

P「やよい?俺が分かるんだね」

やよい「は、はい…ありが…う、御座いました」

P「今は何も考えちゃ駄目だよ」

やよい「…(この人携帯に向かって何独り言ブツブツ言ってんだろ…)」


やよい「ぷ、プロデューサー…」

P「ん?どうしたやよい…下手に喋ると口が切れちゃうぞ」

やよい「あの…こ、この事は…み、みんなに黙っといてくだ…っ…さい」

P「うん、言う筈無いだろ(もう真美には知られてるから微妙だけど…)」

やよい「よか……た…み、皆に心配…かけっ、たくないから…」

かすみ「…」

P「馬鹿、俺に心配かけさせてる癖にさ…心配するな、今は自分の事だけ考えて」

~♪

P「……じゃあ俺は少し出かけて来るから、後でまた様子を見に来る」

やよい「…は、はい」


携帯「旦那、やよい嬢を助けるにはどうすりゃ良いんですかね…いっその事、生徒をボコボコにでも」

P「そんな事で解決すんならとっくに解決してるさ、けどそれじゃ駄目なんだよ。殴られたから殴り返すのは男の喧嘩の時だけ」

携帯「しかし、ありゃもう虐めの域を超えてますぜ」

P「分かったから電話取らせてくれよ、やっと情報が来たと思ったんだから」

携帯「……はい」

『もう!私が電話した時はすぐに出なさいって言ったでしょ!?なにしてんのよ馬鹿!』

P「……それで、やよいの母親の事なんだけど」

『だからぁ!先ずはありがとうとかごめんなさいとかでしょ!?』

P「伊織、頼むよ…俺には時間が無いんだから」

『はぁ……分かった、あのね、やよいのお母さんは


P「……うん、ありがと伊織。これだけあったら大丈夫そう、後は俺が

『アンタに任せて平気なの?それに、やよいの身に何か起きたら絶対に許さないから…分かった?』

P「あ、あい…(うわぁ、もう起きてるなんて言えないんだけど…)」

『じゃあやよいはアンタに任せる、それじゃあね』

P「あぁあ!ま、待って待って!も一つ頼みたい事が有るんだ」

『……なに?私はアンタと違うって暇じゃないんだから早くしなさいよ』

P「えっとな、やよいの弟達が通ってる学校有るだろ?あそこでちょいとやりたい事があるんだ」

『また何か変な事考えてるんでしょ…アンタは私達のプロデューサーなんだから下手な事されたら私達に飛び火が

P「大丈夫だって!任せてくれよ」

『……』ブツッ

携帯「切られましたね」

P「うん、切られた」

携帯「だったら大丈夫ですね」

P「うん、大丈夫」


P「しかし問題はあの父親なんだよなぁ…例え虐めが無くなっても親がアレじゃあ根本的な解決にならないし…」

携帯「……それこそ母親に渡してしまえば良いんじゃ無いんですか?もし母親が了解してくれたらの話ですが」

P「それは駄目!んなバッドエンドにだけはしたくない。それに、やよい達がそれで良いと首を縦に振ると思うか?」

携帯「思ってるから言ったんですよ。間違いなく引き離した方が幸せになります」

P「それは違うっての。引き離す事が正解になるようなら俺はやよいを切り捨てるよ」

携帯「は?なんでですか」

P「……ほら、事務所に戻るぞ」

ー~事務所~ー

P「あれ?珍しいねぇ、今日は何もない日だろ?貴音」

貴音「プロデューサー、真美から聞いたのですがやよいは大丈夫なのですか?全身に青あざを作り気を失っていたと」

P「……だ、大丈夫だよ(真美ぃ…口軽過ぎだよ……)」

貴音「しかし、わたくしはやよいが心配なのです。同じ仲間として、やよいは大切な存在なのです」

真美「あっ、兄ちゃんやよいっち、大丈夫だった?」

P「なんとかね、とりあえず今は仕事に集中だ集中」

真美「おー!真美ね、やよいっちの分まで頑張るかんね」

貴音「……」

P「さてと、これが終わったらやよいに晩ご飯買ってやらないとな」


かすみ「やよいお姉ちゃん…あ、あの」

やよい「かすみ?なんで…泣いてるの?かすみに涙は似合わないって言わなかった?」

かすみ「……ごめんなさい、昨日…私、何も知らないであんなひどい事…やよいお姉ちゃんに」

やよい「…もう良いよ、だから泣き止んで?…私だって悲しくなっちゃうから」

かすみ「お姉ちゃんだって戦ってたのに…わ、私と全然違うって言っちゃってやよいお姉ちゃんを……傷つけちゃった…」

やよい「だからぁ、もう良いよ…悪いのは私だから……弱いお姉ちゃんでごめんね?かすみの前では強いお姉ちゃんで居なきゃいけないのに……ごめんね」

かすみ「や、やよいお姉ちゃん…私、下に行って氷取って来る」

やよい「……ありがと、かすみ…」


ー~夕方になったわけだが~ー

P「はいは~い、それじゃあお疲れさんでした」

春香「プロデューサーさん、明日は来ますよね?やよい」

美希「それじゃあサヨナラ、プロデューサーさんもまた明日なの~」

P「明日かぁ…多分一週間位は来れないかもしれないよ」

春香「えぇ!?そんなに酷いんですかやよい」

P「いや、そうじゃないんだ、ただやよいには休んでもらうだけ(一週間で間に合うかなぁ?キツいかも)」

春香「……そ、それじゃあプロデューサーさん、また明日」

P「うん、また明日」

バタン

貯金箱「旦那、ほんとに一週間でけり付けれるんですかい?」

P「……やるしかないよ」


「それじゃあまた明日も頑張りましょう、では解散で~す」

やよい母「お疲れ様でした」

P「うなじが素敵なそこの人、ちょいとお話しませんか?」

やよい母「……どちら様ですか?」

P「失礼、自分は765プロのプロデューサーをやっている者です。高槻さん」

やよい母「765プロ…や、やよいがお世話になっています」

P「いえいえ、高槻やよいは素直で明るいうちには欠かせない存在です。こちらが頭を下げなきゃいけないのに…頭を上げてください」

やよい母「…あの、なんで私に会いに来たんですか?」

P「場所を変えましょう。ここじゃ立ち話は苦ですよ……近くの喫茶店でお茶でもどうですか」


やよい母「やよいは、本当に明るい子でした。私達が離婚する前の話ですが…」

P「それで、離婚してから一度でもやよいや長介君、かすみちゃんに会ったんですか?」

やよい母「いえ…一度も会っていません……もう、2年以上も前ですから」

P「そうですか…(て事は俺が765プロに来る前に高木社長に目を付けられたって訳か……なる程ね)」

やよい母「夫は……夫は今どうしてるんですか?や、やよいは今元気にやってるんですか」

P「気になるなら見に行けば良いじゃ無いですか。百聞は一見に如かずって言葉が有る位ですし」

やよい母「……私にそんな権利、ありません…私は逃げ出して来た身、そんな私に…夫と子供達を見に行くなんて事」

P「少しだけ、あなたを調べさせて貰いました……勝手にお調べした事を先に謝っておきますね」


P「離婚の原因があなたの浮気なんて…信じられませんが、真実なんですか?」

やよい母「……はい」

やよい母「毎日の仕事で、私は何も出来なかった…そんな時、彼が私に声をかけてきてくれたんです」

P「でも今はその彼と交際関係は無いんですよね?離婚する原因もあなた自ら浮気を夫に明かしている……違いますか?」

やよい母「す、凄いんですね…その通りです。何度か会っていて、会う度に苦しくなっていったんです」

P「夫や子供達を裏切っている、その罪悪感に押し潰されそうになる……よく有る話だ、ありふれている話…それで、何故話したんですか?」

やよい母「……耐えられなかったから……これ以上皆を裏切りたくなかったから…だから私は真実を話し、家を出ました」

やよい母「……夫と三人の子供を残して」

P「……あなたは、やよいが何故アイドルをやっているか知っていますか?」

やよい母「え」


P「彼女は……やよいは皆を元気にしたいからアイドルをやっているんです」

P「皆ってのは勿論、あなたも、あなたの夫も、弟達も含まれているんです」

やよい母「……」

P「やよいが笑っていられるのは、周りから良くしてもらってるとかじゃ無いんです……自分が笑ってなくちゃ皆を笑顔に出来ないから」

P「周りを笑顔にさせたいから…自分を騙してでも笑顔を振りまいてるんですよ?どんな辛い事があってもやよいは……笑顔を作ってるんです」

P「自分の事なんて考えちゃいないんです……だからやよいは…皆を元気にしたいからやよいは!」

やよい母「やよいが…皆を元気に……」

P「これ、来月765プロ主催のコンサートライブのチケットです。受け取ってください」

やよい母「……」

P「来てください、来て、やよいに会ってやってください。そして!……やよいを抱きしめてあげてください」

P「今のやよいに必要なのはお金でも無ければファンからの声援でも無いんです」

P「……やよいに必要なのは、家族の温かさ…あなたが必要なんです」

やよい母「わ、私が…やよいに…」

P「渡しましたから、絶対来てくださいよ」


P「今日は突然すみませんでした。これが渡したかったんです」

やよい母「あの…あ、あなたは何故そこまでするんですか!?」

やよい母「あなたから見て、やよいは他人なんですよ?だったらどうしてそこまで」

P「言ったでしょ?俺は765プロのプロデューサーなんです。だからここまでするんですよ」

やよい母「こ、答えになってません…それに私は…やよいに会いにいけない」

P「来なかったらこれから先、あなたが死ぬまでずっと後悔しますよ?それに、あなた以上にやよいは悲しみます……あと一つ」

P「母親ならなぁ、少しは子供の事考えてやれよ!まだ中学生なんだぞやよいは!」

P「ここまで言って何が分からねぇんだ!?あんた母親なんだろ!ならやよいを笑顔にしてやれよ!!」

P「本当の笑顔をやよいに与えてやってくれよ……あいつの作り笑いなんてもうみたくないし、やよいに作り笑いなんて作らせたく無いんだよ…だからよ」

P「ライブ、必ず来い!来なかったら俺がゆるさねぇ……じゃあな」

スタスタスタ

やよい母「……」ギュ


P「あ~、馬鹿だな俺…なに怒鳴ってんだろ」

携帯「ふふ、かっこ良かったですぜ旦那」

P「まだ青いなぁ俺…はぁ」

携帯「なに言ってんですか!あれが青かったら旦那は一生青いままですぜ!」

P「あはは、お前にんな事言われてもあんま嬉しくないよ」

携帯「そりゃ無いですよ旦那ぁ…」

P「ほら、マルハン行くぞマルハン」

携帯「……分かりやした」

ー~マルハン~ー

やよい父「んやねん!何がミリゴやボケぇ!全然でぇへんやないかい!」

P「……頼む」

携帯「ゔぅ、これって犯罪なんですよ旦那?もうこれっきりですからね」

やよい父「おっ!あんたぁあの時の金持ち兄ちゃんやないかい!どしたんや」

携帯「ハッキング~ハッキング~ハッキング」

P「この台とか良いんじゃないですか?そろそろ噴きそうですよ」

やよい父「あ?駄目や駄目、この台が駄目やったんやからこれが良い台なわけないわ」

P「まぁまぁ、とりあえず打ってみてくださいよ」

やよい父「……まぁ、兄ちゃんが言うなら少しだけ打ったるわ」

P「……」

携帯「はぁ、犯罪だけはやりたくなかったんですけどねぇ」


やよい父「んなははははは!万枚や万枚!今日は勝ったでぇ!兄ちゃんのおかげや」

P「……あの、コレを」

やよい父「なんやこの紙切れ?ケツでも拭けっちゅうんか?トイレットペーパー位あるわボケぇ」

P「チケットです。来月、やよいが出るライブの」

やよい父「やよいが出るんか!なら見にいったろか!危ないわぁ、ケツ拭くところやったわ」

P「……あなたの奥さんも来ますよ」

やよい父「んなっ"…ぁ…」

P「見に来てくださいね、必ず来てください」

やよい父「じょ、冗談キツイで兄ちゃん…」

P「冗談じゃ無いですよ、奥さんは来ます……あなたに謝りにね」

やよい父「……ん、んなわけ無いやろ!あいつは俺達を捨てたんやぞ!」


P「来ますよ、覚悟を決めてね」

やよい父「せやからあいつは俺達を捨てて逃げた奴なんやぞ!?そんな奴に会ってどないせーちゅうんや!」

P「あなたも覚悟を決めて会ってあげてください、奥さんに出来るんですよ?あなたに出来ないわけ無いでしょ」

やよい父「うっさいわ!あいつが、あいつが来たところで何すりゃ良いんや!!」

P「……さっきからあなた、奥さんと言われて否定はしないんですね?」

やよい父「あ、あぁあ"!?なに言うとんや兄ちゃん!」

P「別に、未練も無かったらそこまで熱くなれませんよね?そのチケットも破り捨てれば良いじゃ無いですか」

やよい父「ゔが…」

P「……もう、意地を張るのは終わりにしましょうよ?あなた達二人のせいで子供達がどれだけ苦しんでると思うんですか?」

P「いい加減にしてください、もう2年も前なんですよ?2年以上、あなた達二人のわがままで子供達は苦しんでたんですよ」


P「まだ一ヶ月有るんです、その金で仕事か何かさがしてくださいよ…」

やよい父「……お、お前に何が分かるんや」

P「分からないですよ?あなたの心の中なんてね……だって、子供達が知らない物を他人の俺が知ってるわけないじゃないですか」

P「……明日も俺はここ、マルハンに来ますよ。その時にあなたを見つけたら俺、あなたを壊しちゃいますから」

やよい父「なに言うてんねん…兄ちゃん、意味わからんで」

P「今日はもう帰ってください、子供達が待ってますよ?もう真っ暗ですからね、タクシー呼びますよ」

やよい父「……」

P「明日はハロワにでも行きな、まだ時間は有るんだ、無職なんてカッコつかないっすよ」

P「じゃあ、俺は帰りますから……サヨナラっす」

スタスタスタ


携帯「あっ、旦那!そういえばやよい嬢に晩ご飯買うとか言ってませんでした?」

P「大丈夫だよ、父親に任せとけば」

携帯「だ、大丈夫なわけねぇだろ旦那!あいつ間違いなく明日もパチンコ屋に来ますぜ!?」

P「だから大丈夫だっての!俺を信じろよ」

携帯「……あーくそ!旦那の馬鹿野郎」

P「にしし、大丈夫だって、コレで駄目ならもうお手上げだよ」

携帯「馬鹿野郎!クソ野郎!ご都合主義者!」

P「……折るぞ」

携帯「すんません、調子にのりました」

P「……明日も俺はここ、マルハンに来ますよ。その時にあなたを見つけたら俺、あなたを壊しちゃいますから」

やよい父「なに言うてんねん…//兄ちゃん、意味わからんで///」


~♪

P「んあ!伊織様からじゃ無いですかぁ~またこんな夜にかけてくるなんて」

携帯「これがご都合主義って言うんだよ…」

伊織『……一週間後、時間を取ったわよ』

P「ごめんな、何度も何度も…本当にすまない」

伊織『本当なら私が動いてそいつ等をどうにかしたいんだけど忙しいからねぇ…アンタなんかに頼るしか無いのよ馬鹿』

P「さすが竜宮小町のリーダー!」

伊織『アンタに褒められても嬉しくない…で、大丈夫なんでしょうね?』

P「一週間後だよね?なら大丈夫、完璧にしてみせるよ」

伊織『あーもう!私だってやよいに会いたいわよ!!』

P「ガナハハハ!仕事が忙しいなら仕方ないっすよ~」

伊織『や、やよいを悲しませたらアンタのクビが宙を舞うと思いなさいよ!!じゃあね!』ブツ

P「……ひょえぇ」


ガチャ

やよい父「……」

長介「お、おかえり父ちゃん…」

やよい父「ご飯…」

長介「今から作るから…待っててよ」

やよい父「違うねん…ご飯、お前は食うたんか?」

長介「た、食べて無いよ」

やよい父「やよいとかすみは何処や…二階か?二階におるんやな」

長介「やよい姉ちゃんとかすみは良いだろ!?俺が作るからさ、二人はそっとしといてやってよ!」

やよい父「……二階やな」

スタスタスタ

長介「と、父ちゃん!」

ー~やよいルーム~ー

やよい父「…なんや、かすみも一緒なんやな」

かすみ「おっ、お父さん…おかえりなさい」

やよい父「やよい、どないしたんやその傷、転んだんか?」

やよい「…は、はい…転んじゃいました…」

やよい父「そうか……あんな、お前等に聞きたいんやけどええか?…母ちゃんの事や」

長介「!」

やよい父「父ちゃんなぁ、母ちゃんに会おうと思うねん……言うても来月やけどなぁ」

やよい「お、お母さん…に、会いに行くんですか…?」

かすみ「なんで…今更」

やよい父「これな、知らん兄ちゃんからもろうたんや……やよい、お前のライブチケットやで」


やよい父「来月、このライブに行こうと思うてるんやけどな…やよい、行ってもええか?こんな糞みたいな父ちゃんでも、やよいを観に行ってもええかな」

やよい「…ぁ…わ、私を…観に来てくれるんですか……私の歌うところ…見てくれるんですかぁ…」

やよい父「今まで一度も観た事無いからなぁ、やよいが歌うとこ…このライブに母ちゃんもくるみたいなんや」

やよい「えっ…お、お母さんがこのライブに……」

やよい父「……行ってもええか?父ちゃんな、やよいを見てみたいねん。アイドルの時のやよいを見たいんや」

やよい父「今までの事を許してくれとは言わん、けどな、このライブだけは行きたいねん……頼む、母ちゃんに、アイドルのやよいに会してくれへんか?」

やよい「……き、来てくれるんですか?…わ、私なんかを見に来てくれるんですかぁ…」

やよい父「……」


ー~961プロ~ー

黒井「くっくっくっく……なる程、家族にも見捨てられ学校からも……面白い、この抱きかかえてる奴は確か高木の犬の…」

?「……」

黒井「良くやったぞ、これで765プロは終わりだな…下がっていい、消えろ」

?「…はい」

バタン

黒井「明日の記事に間に合わせなければなぁ……そういえば来月、奴等はライブを開くと聞く」

黒井「……ふははは、そんな物私が潰してくれる」

黒井「高木、お前は一生三流事務所のレッテルを貼られることになるなぁ…」


P「あぁ"…腹減った」

携帯「旦那、近くに美味いラーメン屋が有りますぜ!グルナビで調べました」

P「ラーメンかぁ、あんまし好きじゃ無いんだけど仕方ないかなぁ…案内してくれない?」

携帯「もう11時前ですからね、ちょっと待ってください…」

P「うわっ!もうこんな時間なのかよ…よく開いてるな」

携帯「あっ、ありましたありました。じゃあ案内しやすぜ旦那」

P「ラーメン……餃子とチャーハンだけ頼むかな」


ー~らぁめん屋~ー

P「……」

貴音「プロデューサー、助けてくださいまし…わたくし、食べた後に気づいてしまったのです」

貴音「道中、わたくしは気づかぬ内に財布を落としていた事を……ここで巡り会えたのは偶然なのでは無いのだとわたくしは思います、ですからプロデューサー」

P「と、とりあえずラーメン食べさせてくれないかな?お腹ペコペコなんだよね」

貴音「……わたくしはおかねが」

P「分かったから!お代は払うしラーメンもおかわりして良いから入り口の前で佇むな!」

貴音「ありがとうございます」

P「ひでぇ…あんまりだよ」

うっ卯ー晩ご飯ですすみません

おいついたお( ^ω^ )

スレタイ見たときは

やよい「プロデューサー…あ、あの…」

P「どうした?」

やよい「けっ、けけけけけけっこんしてくださいっ!」カァァ

P「ああ、結婚しよう」

やよい「プロデューサー…んちゅ……」

HAPPY END

みたいな展開だと思ってた

また投げたの?


貴音「やよいが…ですか?」

P「あぁ、やっと力になれそうなんだ。長かった…2年だよ2年?でも、俺なんかがやよいの力になれる時が来たなんて思ったら嬉しくてよ」

貴音「……」ズルズル

P「貴音はさ、何か困ってる事とか無いのか?俺に出来る事ならなんだってするぞ?」

貴音「プロデューサーの好意はありがたく受け取らせていただきます。ですが、わたくしは大丈夫です…」

P「そっか…なら良いや。けど困った時は誰かに言うんだぞ?自分で溜め込む様な事だけはしちゃいけないからな」ズルズル

貴音「…あ、あの」

P「ん?どうした貴音」

貴音「……すみません、コショウを取ってくれませんか?」

P「あ、あぁうん、分かった」

貴音「ありがとうございます」


P「そういえばさ、貴音に聞きたい事が有ったんだけど…良い?」

貴音「わたくしにですか?」

P「ほら、響と美希、そして貴音。お前達3人は元961プロに所属していただろ?だからどうだったのかなぁって」

貴音「どうだったのかと言うと…なんとお答えして良いか分からないのですが…」

P「765プロと961プロなら月とスッポンな訳なんだよ……あんま言いたく無いけど差は歴然だし」

P「だからやっぱり帰りたいとか思わないのか?ここなんて向こうと比べると不自由極まりないかなってさ」

貴音「……」

貴音「確かに、ここと向こうは違うかもしれません。しかし、今のわたくしは自らの意志でここに居るのです。」

貴音「それに……ここでしか見えない景色も、捨てた物ではございません」

P「は、はぁ…(また小難しい事をペラペラと…)」


貴音「プロデューサー、わたくしはここから見える景色も美しいと思います……だから、ここが嫌などと思った事はございません」

P「そっか、なら良いや」

携帯「旦那、このお嬢さん面白いですね。こう、オーラがプンプンですぜぇ」

P「馬鹿、人前で喋るなっつったろ」ボソボソ

携帯「良いじゃ無いですか、どうせ他人には俺の声なんて聞こえないんですから。ただ旦那は気持ち悪がられますがね」

貴音「プロデューサー、そちらのお方は?何やら携帯が言葉を発しているように思えるのですが」

P「き、聞こえるの!?ここ、こいつの声が?!」

貴音「は、はい…おかしい事なのですか?プロデューサーも普通に話し掛けているご様子。何もおかしな事とは思いませんが…」

携帯「ひゃっはー!嬉しいねぇ、旦那以外にも俺の声が届く人がいたなんてよぉ」

P「……貴音って、何者?」

貴音「誰にも言えぬ秘密の一つや二つ、持っていてはいけませんか?プロデューサー」

P「いや、別に…」


ー~車内~ー

P「しっかし、財布も持たないでご飯なんて食べに行ったら駄目だぞ?今日はたまたま俺が来たから良いけどさぁ…」

貴音「わたくしは信じていましたから。わたくしに救いの手を差し伸べてくれる殿方が来ると」

P「とにかく、店に入る前には確認してから入るようにする事、良い?」

貴音「分かりました。次からはこの様な事、起こさぬよう努力してみせます」

P「……なんか間違ってる様な気がするけどまぁ良いや。それで、貴音は何処で下ろせば良いんだ?家まで送って行ってやるぞ?」

貴音「いえ、この辺で下ろしてください。後は歩いて帰ります…」

P「歩いて帰るって、駄目だ!今何時だと思ってるんだよ」

貴音「……プロデューサー」

P「はいはい?言っとくけどここで下ろせは無しだからな」


貴音「何故、他人のわたくしにここまでしてくださるのですか?らぁめん屋の時もそうです。見捨てる事など容易く出来たはず」

P「……他人だから気軽に突っかかれるんだよ」

貴音「他人だから…ですか」

P「そうだぞ、後先考えずにぶつかって行けるんだ。自分の気持ちに正直になれるしな…これが親友とかだと色々考えて踏みとどまってしまうかも知れないだろ?」

P「まぁ…正確に言えば他人じゃないんだけど、やっぱ自分の気持ちに正直になるってのは大事な事だと思うな俺は」

貴音「自分の気持ちに正直になる……わたくしにも、出来るのでしょうか」

P「それは貴音次第だね、俺からは何とも言えないよ。でも、貴音が俺を頼って来た時は尽くすつもりさ」

貴音「……」

P「だから、あの時、貴音は俺に頼ってきてくれたろ?まぁ内容は最悪だったけど……でもさ、嬉しかったよ」

P「そうする事で貴音の見えない部分を見る事が出来たんだからさ」

貴音「プロデューサー…ここで停めてくれませんか」

P「あぁ、目の前のアパートね、了解」


P「それじゃあ、また明日」

貴音「……」

P「んあ、どうした貴音?顔色悪いぞ」

貴音「いえ、わたくしは大丈夫です。プロデューサーも気をつけておかえりください」

P「……うん、そうだ貴音、風邪には気をつけろよ?喉が潰れちゃ元も子もないからな?ほら、手洗いとかうがいをしっかりや

貴音「プロデューサー」

P「あ、ごめんごめん…な、なに?」

貴音「今日は…ありがとうございました。おかげで、プロデューサーの新たな一面を見る事が出来ました」

P「なんだい?俺のパクりですかい貴音さん…まっ、いいや。それじゃ貴音、また明日」

貴音「はい、また明日」

ブロロロロロ

貴音「……自分に正直になる事…」

貴音「わたくしは……何を…」


ー~翌日 事務所にて~ー

P「な"っ…なんだよ……これ」

響「自分だって知りたいぞ!なんでやよいが雑誌に載ってるんだ!?そ、それにこの記事」

小鳥「高槻やよい、親に見捨てら、社会にも見捨てられた哀しきアイドル。765プロに所属している高槻やよいの消せない過去…ですか」

春香「親からの虐待は日常茶飯事、父親は重度のギャンブル中毒…この写真、プロデューサーさんとやよいのお父さんですよね……」

P「あぁ、あの時…撮られたのは分かっていたがまさかこんな使われ方をするとはな……くそっ!誰だよ!!」

真「身体に傷を覆うも765プロに休みを貰う事など出来ず、彼女は今日も笑顔を振りまくだろう……その笑顔の裏に、深い悲しみを背負い……このやよいを抱きかかえてる写真もプロデューサーが写ってますよ!?悪質なコラ画像ですよね!?」

P「……それも俺だよ、昨日、やよいを駐車場から車まで抱きかかえてた時の写真だろうな……何でだ、何でまたやよいなんだよ」

春香「と、とにかく、この事はやよいに黙っておいた方が良いですよね!?やよいの事だからこんな雑誌見ないとおも

ガチャ

やよい「みなさん、おはようございます!」

真「やよい……ズボンを履いて…そ、それにその顔」

やよい「あっ、これは気にしないでください。ちょっと転んじゃって……みなさん、どうしたんですか?」

P「やよい、社長室まで着いてきてほしい」


高木「これは…真実なのかね?」

P「はい…俺が空回りした結果です。謝ってすむ問題では無いのは分かっています……すみませんでした」

高木「むぅ……来月に控えているライブに支障が出る様ではマズい…高槻君は当分の間、控えてもらうしか無い様だ」

やよい「……はい」

P「ちょっと待ってください社長!このライブにやよいを出さないって…んな事ダメに決まってるじゃないですか!」

高木「しかしだねぇ、君と高槻君の写真がバッチリ写ってしまっている以上、仕方の無い事なのだよ……辛いと思うが、分かってくれ」

P「そんな……」

高木「もう下がっていい、私はこれから報道陣から質問責めだ」

P「……失礼しました」


やよい「…すみません、私のせいでプロデューサーまで悪者みたいになっちゃって……」

P「謝らなきゃいけないのは俺の方だよ…俺が勝手にやよいを救おうとしてこうなったんだ……しかも結果は最悪だよ」

P「ごめん……本当にっ、ごめんな…せ、せっかくやよいの為にと思ったのに…お、俺はやよいを傷つけてしまったんだ…」

やよい「ぷ、プロデューサーは悪くありません!私なんかの為にお父さんを……そ、それに、おかげでお父さん…変われたかも知れないんですよ?」

やよい「今日の朝、スーツを取り出して私にいってくれたんです……変われないかも知れないけど変われる様に努力するって」

やよい「お父さんから…その言葉を聴けただけで……私、もう」

P「けど!来月のライブにはやよいの……そ、その…」

やよい「お母さんが来るんですよね?お父さんから聞きました……けどもう良いんです。お父さんを変えてくれてありがとうございました」

やよい「社長の言う通り当分の間は普通の女の子でいようと思ってます」

P「や、やよい…」


ガチャ

やよい「みなさん、お騒がせしてすみませんでした」

千早「高槻さん、この記事、本当なの?嘘なら嘘って言って…きっとこの写真も偽も

やよい「千早さん、この記事に書いて有る事は嘘なんかじゃないですよ…全部本当の事です……」

千早「高槻さん……プロデューサー、これからどうするんですか?来月のライブも、コレからの仕事も」

春香「千早ちゃん、少し落ち着こうよ。プロデューサーさんとやよい、困ってるみたいだし」

千早「プロデューサー!」

P「……来月のライブに、やよいは出せない…仕事も当分は取れそうも無いんだ」

千早「そ、そんな…」

P「俺のせいなんだ……俺のせいでやよいが…」

伊織「ちょっと、面かしなさいよ」

P「……あぁ、伊織にも謝らないといけないんだった」


伊織「私、アンタにやよいの事を任せたわよね?その結果がこれ?」

P「……あぁ」

伊織「なんなの?アンタに散々振り回されてあげたのにコレがアンタの答えなの?やよいを傷つけるどころか、アンタ…765プロを潰したいの?」

P「……」

伊織「答えなさいよ…別に謝って欲しいんじゃ無いのよ……ただね、コレがアンタのやりたかった事なのかって聞いてんの」

P「は…違うって言ったら許してくれる?違うって言ってやよいが報われる?……もう、遅いんだ…俺、ただやよいを救いたいって思ってただけなんだ…」

伊織「で、やよいはどうなるの?来月のライブには出れない、仕事も無くなった…どうせこの提案も社長が決めたんでしょ?」

P「……」

伊織「……アンタ、プロデューサー失格よ」


P「そっかぁ……失格かぁ」

伊織「な、なによ…」

P「そうだよな、俺、プロデューサー失格だよ…周りなんて見ないでさ、あはは…馬鹿みてぇだ」

伊織「……ちょっと、何処行く気?まだ私の話が終わって無いでしょ!?」

P「あは……はは…俺も、普通の男に戻るよ…」

伊織「は、はぁ!?意味分かんないわよ!そ、それじゃあやよいは?皆はどうすんの」

P「俺が関わっちまったら不幸になる…もう俺は…手を伸ばしちゃいけないんだ…だから……もう」

P「……サヨナラ、伊織」

ダッタッタッタ

伊織「ま、待ちなさいよ!」


ー~駐車場~ー

伊織「あ、アンタねぇ、なに投げ出そうとしてんのよ!!アンタが居なくなったら皆は?本当に765プロを潰したいの?」

P「……言ったろ?俺じゃ皆をまとめれない…皆と距離を置いて接する事しか出来ないんだ…」

P「そんなんじゃ、何時まで経っても皆は先に進めやしない……もう俺はここにいちゃいけないんだよ」

伊織「それを決めるのはアンタじゃないでしょ!?それに、皆に黙って出て行くつもりなの!?」

P「伊織、言い忘れてたよ」

伊織「分かったなら今すぐジムに戻って皆に謝んなさい!そしてやよいの元に行ってあげて!」

伊織「……私じゃやよいに何もしてあげられないんだから…私が何か言った所でやよいは……やよいに必要なのはね、私じゃなくてアン

P「一週間後の小学校の件、キャンセルしといてくれ……じゃあな」

車「旦那…」

伊織「な、なにいって

ブロロロロロ


真「どうすんのさこの記事…最低でも数週間はついて回って来るってのに」

春香「大丈夫だよ、プロデューサーさんが何とかしてくれるよ。だって、今までだってそうして乗り越えてこられたんだから!」

真「そうだけどさぁ、来月のライブにやよいが出せないって大丈夫なの?今回はやよいと美希、千早のソロがあったってのに…んあぁもう!誰がこんな写真撮ったんだよ!!」

千早「……高槻さん、大丈夫よ。プロデューサーに任せといて」

やよい「は、はい…」

美希「それにしてもプロデューサーさん遅いね。でこちゃんと出て行ったっきりなの」

響「今頃良い策でも二人で話し合ってるんじゃないのか?なら大丈夫だぞ!」

ガチャ

伊織「……」

美希「あっ、でこちゃん!……あれ?プロデューサーさんは?」


伊織「あいつなら来ないわ、帰ったから」

春香「伊織?帰ったって…ど、どういう事かなぁ?プロデューサーさん、何か家に取りに帰ったって事だよね」

伊織「いいえ、あいつはもう来ないわよ」

真「おい伊織!なに訳の分からない事言ってんだよ!今はこれからの事を考えなきゃなんないのにプロデューサーが僕達を置いてどっかに行く訳無いだろ」

千早「……水瀬さん、本当なの?」

真「千早まで伊織の嘘を信じるつもり!?プロデューサーは何時もみたいにその辺を散歩して帰ってくるって」

伊織「本当よ…あいつは恐くなって逃げ出したの……あんの馬鹿、やよいがこうなったのは俺のせいだってふぬけた顔で私に言い捨てて車で飛び出したんだから」

やよい「あ"…わ、私の…」

真「う、嘘だよ!プロデューサーが僕達を見捨てるわけ無いだろ!?この2年間、そんな事一度も無かったじゃないか!」


伊織「じゃあ…私はこれから仕事だから」

真「ま、待てよ伊織!本当は知ってるんだろ?プロデューサーの居場所」

伊織「……分かってるなら私が放っとくわけないじゃない…諦めなさいよ」

真「……」

美希「真君…ミキが電話してみるの、プロデューサーさんの事だから多分その辺に居るとミキは思うな」

春香「ぷ、プロデューサーさんが…わ、私達を置いて……ううん、きっとプロデューサーさんは帰って来るよ」

千早「春香…」

春香「だって、私達が困った時にプロデューサーさんが私達を見捨てた事なのかあった?無いよね、無いんだよ」

春香「きっと今もやよいをどうにかしようと苦しんでるんだよ、その答えを探しに行ってるだけなんだよ!」

春香「だから待とうよ!今日来なくても明日、明日来なかったら明後日……プロデューサーさんが答えを見つけてくれるまでさ、私達で頑張ろうよ」

美希「ミキ的には春香の考え良いと思うなぁ……あ、は、話し中なの…」

千早「……そうね、今はプロデューサーを信じて待ちましょう」

真「……」


携帯「旦那、今からどうするつもりなんですかい?家で引きこもるつもりで?」

P「……あの時、俺達を撮っていた奴」

携帯「あぁ、あの雑誌の写真ですね…それが?」

P「なんとなくなんだけどさ……961んとこの奴と予想してるんだけど」

携帯「まっ、765プロに突っかってくる連中って言ったら961位しか無いですからねぇ」

P「尻拭いしてからでも遅くないだろ?普通の男に戻るのも」

携帯「……着いて行きやすぜ旦那、何処までも」

P「ありがと、たすかる」


春香「とにかく、今から皆で歌やダンスの練習でもしようよ!あと一ヶ月も無いんだから」

美希「じゃあミキは歌の練習に行ってくるね?千早さんとやよいも一緒に来るの」

千早「そうね、春香、二人は私に任せてダンスの練習に行ってきて?」

春香「うん!じゃあ千早ちゃんに任せる」

やよい「あ、あの…どうして……私はライブに出られないんじゃ」

美希「もしかしてやよい、プロデューサーさんを信じてないの?」

やよい「そうじゃないです……けど」

春香「ほらやよい!プロデューサーさんを信じてるなら早く練習に行こうよ!」

千早「そうよ高槻さん、さっ、行きましょう」

やよい「……は、はい!」

美希「やよい、行く前に湿布貼らないと何時まで経ってもなおんないよ?来月までには完璧にしとかないといけないんだから」


ー~961プロ~ー

P「あ、あの…黒井社長とお話がしたいのですが」

受付「すみません、いま社長は仕事で居ないんです。何かご用件でしたらわたくし共にお伝えくださいますか?」

P「……すみません、失礼します」

受付「またのお越しをお待ちしております」

携帯「旦那、どうしますか?俺の勘じゃあ一生会えませんぜ」

P「だよなぁ…仮にも向こうは1流企業の社長な訳なんだし、予約も無しで会えるわ……け…」

携帯「ん?どうしやした旦那」

P「た、貴音?どうしてこんな所に……た、貴音ー!」

貴音「ぷ、プロデューサー?」


貴音「……そうですか、プロデューサーがここに来た理由が」

P「あ、あはは…なんとなくだよなんとなく。ま、まぁ疑ってる事には変わりないんだけど」

P「それで、貴音はどうしてここに?さっきまでどこに行ってたんだ?」

貴音「それは…わたくしもここに用があっただけです」

P「それなら良いんだけど…(961プロに単身で?まぁ貴音なら変な事をしないと思うけど)」

貴音「プロデューサー、わたくしは……少しだけ自分に素直になろうと思います」

P「きゅ、急だね…それに意味が分からないよ?」

貴音「……コレを」

P「か、カメラ……別にカメラなんて要らないさ、それに貴音のなんだろ?尚更だよ」

貴音「預かっててはくれませぬか?わたくしを信じて……プロデューサー、お願いします」

P「……あ、あぁ分かった」

貴音「では、行って参ります」

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じゃあやよいかわいい

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