春香「プロデューサーさん!赤紙ですよ、赤紙」(230)

代理ですよ、代理

【1943年、とある丘の上にあるサナトリウム】

春香「千早ちゃん、お見舞いにきたよ!調子はどう?」

千早「あまり…よくはないわね…」

どうも…如月千早と申します。プロデューサーが出征してから私は結核を患ってしまい、現在療養中です。
みんなが頻繁にお見舞いに来てくれるので幸い退屈はしませんが、皆の好意を心苦しく感じる時がままあります。
病の方は、快方の兆しすらみえません。

春香「今日ね、プロデューサーさんからまた手紙が届いたんだよ!」

千早「今度はどんな事が書いてあったの?」

春香「大陸ももう春爛漫だって。具体的な場所が判るようなところは墨塗りで消されてたんだけどね」

春香「それから千早ちゃんだけに当てた手紙もあるんだよ!開けてみて」

一度開封した跡の残る封筒を開けると、プロデューサーの神経質で活字のような文字が踊っていました。
内容は私の体を気遣うことばかり。

千早「相変わらずね…プロデューサーは」

千早「いつもいつも他人のことばかりで、人の気なんて全然知らないんだから…」

春香「プロデューサーさんも千早ちゃんのことが心配でたまらないんだよ~」

春香「だって…千早ちゃんはプロデューサーさんが育てた765プロの歌姫なんだから」

歌姫。確かに少し前まで私はそう呼ばれていました。
それが肺を患ってからというもの、胸が潰れて歌えなくなるかもしれない恐怖に夜な夜な襲われるんです。
死ぬのは怖い。でも私はそれ以上に歌えなくなることのほうがずっと怖かった。
それと同様に、洗面器いっぱいに血を吐く病苦よりも、歌うことを禁止されているこの生活の方が私にとってはやはり苦痛でしかありませんでした。
しかしそれはプロデューサーも似たようなものだと私は思っています。
だって生きがいであった仕事を取り上げられ、いつ死ぬやも判らない戦場で毎日戦っているのですから。

春香「…あ、千早ちゃん!窓の外見て!桜が綺麗!」

外を見ると、満開の桜の花びらが風に弄ばれ、花吹雪となっていました。
大陸に桜が咲いているかはわかりませんが、手紙にあった春の風景が少しでもプロデューサーの慰めになればいい。彼に何もしてあげられない私には、そう願わずにはいれませんでした。

【1940年春、とある街角】

美希「千人針にご協力お願いします、なのー」

ハニーに赤紙がきてしまったの。そのことはとても悲しかったけど、ハニーは美希に一つだけ約束をくれた。
もし生きて帰れたら、また美希のプロデューサーをしてくれるって。
約束のために美希ができることは、千人針をハニーに渡すことくらいだけど、ハニーは絶対生きてかえってくるよね?

老婆「別嬪なお嬢ちゃんだこと。身内の方のご出征かえ?」

美希「ハニーは美希の最愛の人なの!」

老婆「あらあらおませさんだこと。でもお嬢ちゃんみたいな別嬪に惚れられてその人も幸せものねぇ」

美希「えへへ、なんだか照れちゃうの…」

老婆「ほれ、貸してご覧なさい。お婆ちゃん寅年だからたくさん縫ってあげられるわ。」

美希「なんで寅年だとたくさん縫えるの?変なの。」

老婆「虎はね、千里を行って千里を帰るの。だから寅年の女は年の数だけ縫えるんだよ。だからお嬢ちゃんのいい人も必ずかえってくるさ」

美希「へぇ~初めて知ったの」

老婆「それじゃあ、はい。その人の武運長久を祈ってるわ」

美希「お婆ちゃん、ありがとうなのー!」

【1940年春、とある花畑】

真「雪歩~この花なんかどうかな?」

亜美「へへへ→ねぇねぇ、ゆきぴょん!亜美も沢山取ってきたよ→」

真美「真美も真美も→」

雪歩「みんなごめんね…私の思いつきなんかに付き合わせちゃって…」

真「そんなことないって雪歩!ボク、すっごくいいアイディアだと思うんだ!」

真美「そうだよ、雪ぴょん。兄ちゃんも喜ぶって!」

亜美「あ、真美!あっちのスミレも綺麗だよ!いっくぞ→ゴー!!」

真美「あ~亜美待って→」

どうも菊池真です。雪歩の発案で今日は押し花を作るために花を摘みに来ています。
雪歩曰わく、大陸では日本の春が恋しくなるだろうからって。
花束だと萎れてしまうから、押し花にしてプロデューサーにあげようってことでみんなでこの花畑に来ることになりました。
だけど雪歩はやっぱり女の子らしいなぁって思います。大和撫子を目指すにはやっぱりこういう心遣いが大事なんですね。勉強になります。
僕もプロデューサーが戻ってくるまでには女の子らしくなれるよう頑張らないと!

【1940年春、とある百貨店】

千早「悩むわね…」

春香「うん…戦地で邪魔になってもいけないしね…」

どうも天海春香です。
今日は出征するプロデューサーさんへの餞別を買うために、千早ちゃんと二人で七通百貨店に来ています。
千早ちゃんったら変な所で抜けていて、最初はレコードを渡そうとしてたんですよ?
戦地じゃレコード機器なんてないから聴けないよ、って教えたときの千早ちゃんの顔ったら可笑しくて可笑しくて。
でも千早ちゃんらしいといえば千早ちゃんらしいのかな?ううん、餞別に歌をあげようなんてやっぱり千早ちゃんらしいや。

千早「よし、これに決めたわ。プロデューサー、喜んでくれるといいのだけれど…でも少し値が張るわね…」

千早ちゃんが選んだのは、765プロオールスターの曲が入ったオルゴールでした。曲目は『約束』。

ハニーなんて言ってたら敵国の言語使ってるって言われて非国民扱いだぞ

>>12
そこらへんは許してw
でも1940年はまだ英語ばりばりおっけーだぜ?

春香「千早ちゃん!」

千早「な、何かしら?春香…もしかして私また変なものを選んだ?」

春香「それ、すっごくいいよ!プロデューサーさんも絶対喜ぶって!高いけど一緒に買おうよ」

千早「プロデューサーが喜んでくれる…」

そういうと千早ちゃんは嬉しそうに微笑んで、オルゴールを聴いていました。
戦場じゃラッパの音以外の音楽はないだろうから音楽をあげるっていう千早ちゃんの心遣いに、私は素直に感心しました。
それと同時に、千早ちゃんはプロデューサーさんのことを本気で好きなんだということにも私は気づいてしまったんです。
だってあんなに優しそうに微笑む千早ちゃん、私は初めてみたから。

春香「参ったなぁ…とても勝てないや…」

千早「何か言ったかしら、春香?」

春香「ううん、何でもないよ!ほら、会計しにいこう、千早ちゃん」

765プロのみんなで歌った『約束』は、私にとってはほろ苦い失恋の曲になってしまいました。

【1940春、P自宅前】

P「貴音、こんな時間にどうしたんだ!?」

貴音「今宵は月が綺麗です。私と少し、夜の散歩などいかがでしょうか?」

こんばんは、四条貴音と申します。愛する殿方が戦いに赴く前、れでぃはどのように振る舞うのが正解なのでしょうか。
その答えは爺やも誰も、今まで私には教えてくれませんでした。
黙って見送り、ひたすら待ち続けるというのは恐らく正解の一つなのでしょう。
私も否定はいたしません。
しかしそれでは余りにも寂しすぎます。悩んだ末の私の答えを皆様は独りよがりだとお笑いになるでしょうか。
それもいた仕方ない気がします。ですが片思いとは独りよがりにならざるをえないもの。
ましてや待つ身であればなおさらのことです。
前口上が長くなってしまいました。それでは皆様、私の出した答えの顛末をみてお笑いくださいまし。
そして一言、馬鹿な女だといって下されば本望です。

P「春になったっていうのにまだ少し冷えるな。これを羽織れ、貴音」

そう言ってプロデューサーはコートを私にかけてくださいました。

P「しかし貴音の言ったとおりだな。今日は本当に月が綺麗だ。」

らんでぶーには絶好のしちゅえーしょんでした。桜の満開となった公園を、月だけが照らし、人は私達二人だけです。

貴音「大陸の月も、帝都から見る月と同じでしょうか…?」

P「お月様はどこにいったって同じだ。」

貴音「では二つほど、私と約束をしていただけますか…?」

P「可能な範囲でな。」

貴音「あちらで月を見ているとき、私もその月を見ていることを忘れないで下さい。」

P「なーんだ、そんなことか。俺はいつだって貴音やみんなのことを考えているぞ。任せとけ。」

>>12
そういう風に成ったのは本当に戦局が酷くなってからの筈

そう言われるや否や、私はプロデューサーの胸に飛び込み、首筋に腕を絡め、その唇をうばったのです。女からなど、はしたない真似をすると我ながら思いました。しかしそうする以外に募るこの想いを表す術を私は知らなかったのです。

P「た、貴音!?いきなり何を…」

貴音「必ずや生きて帰って下さいまし。約束です」

貴音「戻られたとき、この続きを致しましょう。それでは私の見送りはこれで終いです。貴方様のご武運をお祈りします。」

P「つ、続きって…おい、貴音」

貴音「そこから先をれでぃの口から言わせるおつもりですか、貴方様。それは無粋というものです」

貴音「ふふふ、それでは貴方様、しばしのお別れを」

約束で相手を縛り付けるなど、ましてやそれに期待するなど、私はやはり愚か者なのでしょうか。
しかし今宵の淡い、そして甘い思い出だけで、私は彼を待ち続けられると思ったのでした。

お姫ちんはやっぱり四条侯爵家の令嬢なんかな
戦前は華族の令嬢がファッション誌のモデルをやっていたが

【1940春、とある鉄道のホーム】

社長「それでは体にだけはくれぐれも気をつけてな」

小鳥「これ、律子さんと私から…中身は眼鏡のスペアです」

ついに出征の日がやってきた。東京を離れ、東北にある俺の原隊へと向かわなければならない。

やよい「うっぅ…プロデューサー、変なもの食べてお腹壊しちゃダメですよ…あ、あと生水にも注意してくださいね」

美希「美希からはこれ!千人針なの!だからハニーは絶対弾にあたらないって美希思うな!」

P「千人針か…大変だっただろう、美希」

美希「虎はね、千里を行って千里を帰るの!だからね、ハニー!虎になって!」

美希「あ、でもハニーが虎になったら美希ハニーにがおっーて襲われちゃうかもなの!いやーん、でも美希的にはそれもいいかな?」

P「ははは、ありがとうな、美希」

千人針に縫い付けられた五銭硬貨と十銭硬貨の硬さを指で確かめ、俺は呟いた。

P「死線を超えて五銭、苦戦を超えて十銭か…」ボソ

蒋介石の国民党軍は弱兵だから大丈夫さ

真「プロデューサー、ボク達からはこれ!ほら、雪歩!」

亜美「亜美も手伝ったんだよ→」

真美「真美も真美も→」

雪歩「はい、プロデューサー。このアルバムと…私からは個人的に詩集を…」

P「すごいな、こんなに沢山の押し花!」

冊子の頁をめくるとそこには丁寧に米粒で貼り付けられた日本の春が所狭しと並べられていた。

P「もう一つは西条八十の作詞集か…雪歩らしいな」

人気の作詞家、西条八十にはそのうちうちのアイドルにも作詞を頼もうかと思っていた。
弱小事務所ではあるが俺が手柄を立てて、貰った勲章でも引っさげて談判すれば、もしかすると仕事を引き受けてくれるやもしれない。
そう考えれば兵役も営業のように思えてきて、俄然とやる気が湧いてきた。

雪歩「戦いにいく人にこんなこというのは何ですけど…」

雪歩「勲章なんていらないから絶対に生きてかえってくださいね、プロデューサー!」

雪歩は普段と変わらぬ弱々しい目に涙を溜めながら、懇願するように言った。

あずさ「私からはこれです~プロデューサーさん」

そういってあずささんは手製の御守り袋を俺に手渡した。

あずさ「夜なべしてつくったんですよ~中身は、ふふ、内緒です。絶対開けちゃ駄目ですよ~」

物の本で読んだことがある。女性の陰毛を御守りにいれて持っていれば死なないのだと。まさか中身は!?

響「自分からはこれだぞ!」

響の声で俺は妄想から解放された。響がくれたものは毛がフサフサのラビットフットだった。

P「お前、まさか自分の家族の足を…!?」

響の飼育する兎の安否が気になった。まさか響が家族に危害を加えるとは信じがたい。

響「うさ美は元気だぞ~プロデューサー!変な勘違いすんな!ちゃんとお店で買ったんだぞ」

響「外国じゃあ幸運の御守りだからな。プロデューサーのこときっと守ってくれるはずさー」

陰湿さなどかけらもない、沖縄人特有の脳天気な笑い声をあげながら響は胸を張って俺に言った。

響は絶対に沖縄に疎開するなよ

春香「プロデューサーさん、私と千早ちゃんからはオルゴールです!これ、千早が選んだんですよ?」

千早「どんな生活の中にも、音楽はやはり必要だと思ったので」

なるほど、千早らしいセンスだ。しかし二人とも元気に振る舞っているようには見えても、心なしか時折暗い顔が気になった。
俺が居なくなることで二人のアイドル活動に支障がでては困る。時間は僅かしかないが、この際、伝えられることはしっかりと伝えておくべきだと思った。

P「春香!アイドルの基本は笑顔だっていっただろう?アイドルは親が死んだ日でも笑ってなくちゃいけないんだ!」

春香「えぇ!?親が死んだ日には流石に私だって笑えませんよ~」

千早「春香…ものの例えでしょうに。プロデューサーも例えが少し不謹慎すぎます。」

P「そ、そうだったかな…とにかく春香!俺と約束しろ!いいか、笑え、春香!お前の魅力はその明るさなんだからいつだって笑顔でいろ!約束だぞ!」

春香「わかりました、プロデューサーさん。えーとこうですか?」

その笑顔を見て、春香が俺との約束を理解してくれたことを確信した。

P「それと千早!お前アメリカに行きたがってただろ?隠していたみたいだが、人のジャズのレコードこっそり聴いて練習してたの、俺は知ってるんだぞ」

千早「な、何故それを…!?」

P「お前の歌は聞かせて貰ったが、はっきり言ってまだまだ実力不足だ」

千早「そんなこと…私が一番判ってます…!」

苛立ちを隠しきれない様子で千早は答えた。千早は歌には真摯だ。だから実力不足を指摘されたら悔しがる。

P「俺のレコードは全部お前に渡しておくように律子に頼んでおいた。俺が帰ってくるまでに何度も聴いて練習しろ。それで…」

P「俺が戻ってきた時、実力が足りてるようならアメリカでデビューするぞ」

思いにもよらないことを言われたようで、千早は面食らった顔をしていた。
少したって、何を言われたのかをようやく理解した位だった。
顔は次第に綻んでいき、やがて千早には珍しい満面の笑みとなった。

これで後顧の憂いはない。

P「それじゃあそろそろ汽車の時間だな」

戦前の「大衆文化」の出現と、文化の「アメリカ化」はものすごいスピードだったんだよなあ…

社長「それでは君、ふんどしをしめてお国に奉公してくれよ!君が戻ってくるまで765プロは私が守っておくから安心していきなさい。」

社長は綿の真新しい、真っ白な褌を俺にくれた。
布地には未だ墨痕瑞々しく、『七生報国』とだけ書いてあった。

社長「それでは彼の武運を祈って、万歳三唱をしたいと思う。」

全員「ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい!!!!」

みんなの万歳三唱を受け、後ろ髪引かれる思いだった俺は、急いで三等車両へと向かおうとした。

伊織「ちょっとあんた、何三等車なんかに乗ろうとしてんのよ!?」

P「伊織?そんなこといっても赤紙じゃ三等車しかのれないんだぞ?」

伊織「曲がりなりにもあんた私のプロデューサーでしょ!?だったらそんな小さいこと言わないの!それに話はもうつけてあるわ。」

伊織「あんたの席は一等車両よ。せいぜい生まれて初めての贅沢を味わうがいいわ。あんた仕事ばっかりで贅沢なんて全く知らないんだから」

P「伊織…すまないな…恩に切る。」

伊織も目に堪えきれない涙を溜ながらも、必死に笑顔を取り繕って俺を見送ってくれた。

【1945年1月765プロ事務所】

ついに三十の大台にのってしまいました、音無小鳥です。
最近では両親も孫の顔を見るのは諦めたのか、以前のようにお見合い話を持ってくることはなくなりました。
嬉しいやら悲しいやら…です。

プロデューサーさんに赤紙が来て、もう四年近い月日が流れました。そして765プロもまた、四年の間に様変わりしてしまいました。

まず、あずささんに先をこされてしまいました。もとい、あずささんは海軍のパイロットと結婚し、家庭に入ってしまったので事務所をやめてしまいました。
結婚する前、物憂げな顔をしてプロデューサーさんのことをしきりに話していたのが記憶に残っています。
白無垢のあずささんはそれはそれは綺麗で、いき遅れになった私が、この身を嘆かざるを得ないほどの美しさでした。

さて、他人の幸福を羨む話はここまでにして他のみんなは今どうしているのか、近況を報告するといたしましょうか。

伊織はさしずめ日産コンツェルンの令嬢か

まず、事務所の仕事は一時期と比べるとめっきり減ってしまいました。
たまに入る仕事も慰問や軍の式典関係ばかりです。こんなご時世だから仕方ないともいえますが。

仕事が減ったので、響きちゃんは実家の沖縄に帰ってしまいました。
仕事が減ってしまってからというもの、こちらでの生活が苦しくなったことが大きな理由のようです。

戦争で町医者は皆、軍医にとられてしまいました。
だからお父さんのいなくなった亜美ちゃん真美ちゃんはお母さんと一緒に、長崎に住む親戚を頼って疎開していて、今は二人とも長崎にいます。
お父さんがお医者さんなのは知っていましたが、まさか江戸時代から続く蘭方医の家系だったなんて亜美ちゃんたちって案外名家の出だったんですね。
ムードメーカー、もといトラブルメーカーの居なくなった765プロは静かで、なんだか物悲しくもあります。
私としては、やっぱり昔みたいににぎやかしい事務所の方がやっぱりしっくりとくるんですが。
帝都への空襲は日増しに激しさをましています。

あかん…あかんで…軽い気持ちで書いたらもっと酷いわ

昨日の「坂の上の雲」で血湧き肉躍る気持ちだったというに

やよい「小鳥さん、おはようございますー」

小鳥「あら、やよいちゃんおはよう。今日は早いのね」

やよい「うっうー疎開してる長介たちも頑張ってるみたいだから負けてられないかもって!あ、長介達から手紙がきたんですよー」

やよいちゃんは相変わらず小さいままです。配給制が始まってからというもの、弟達ばかりにご飯を食べさせていたせいでしょうか?
背は14歳の頃から少しも伸びていません。そして弟たちが親戚の住む広島に疎開してからというもの、いつも空元気でがんばっているようには見えますが、なんだか昔より小さくなった気もします。
しかし今日の元気な姿を見て一安心しました。やっぱりやよいちゃんには家族が元気の源なんですね。

やよい「小鳥さん…やっぱりもんぺ着てるとおばちゃんにしか見えませーん」

小鳥「おば…おばちゃん!?」

やよい「うっうーでももんぺ、すっごく似合ってますよ、小鳥さん!」

以上、もんぺが似合うさんじゅうちょめちょめ歳、こと765プロの美人事務員、音無小鳥でした。

【1941年12月8日765プロボーカルレッスン室】

春香「あれ、千早ちゃん?またこんなに早くから練習してるの?」

千早「えぇ。ゴホッ、ジャズって奥が深くって。練習してて自分はまだまだだって気付かされることが多いわ。ゴホッゴホッ。」

プロデューサーさんに赤紙がきてから、もう一年半の月日が流れました。
千早ちゃんはあれからというもの今まで以上に練習の虫になって、その実力は今でもぐんぐん伸びています。

春香「変な咳しちゃって…千早ちゃん、風邪でもひいた?あんまり無理しちゃ駄目だよ」

千早「それも一理あるわね。ラジオでも聞きながらしばらく休憩でもしようかしら。春香、お茶でもいれるから付き合ってくれる?」

春香「えへへ…ちょうど家からおはぎ持ってきたんだ。親戚の農家のおじちゃんが小豆くれたから作ってきたの。」

ラジオから流れてくるのは軍歌と、大陸での連戦連勝のニュースばかりでした。

春香「大陸は勝ち戦みたいだからプロデューサーさんが帰ってくる日も近いね!」

千早「えぇ。だからそれまでに何とか実力を高めておかないと…ゴホッ」

春香「千早ちゃん絶対風邪だって。はい、ハンカチ。今日はもう帰った方がいいよ。体壊したら元も子もないよ?」

千早ちゃんにハンカチーフを渡したその時でした。
ラジオから対米英宣戦布告のニュースが流れてきたんです。
日本とアメリカが戦争…
それじゃあ千早ちゃんの夢はどうなるの!?

千早「そんな……ゴホッゴホッゴホッ!?」

千早ちゃんに渡した白いハンカチーフには朱い華が咲いていました。

事務所を早退して、失意のうちにある千早ちゃんに連れ添って病院へいきました。
病院での診断の結果、千早ちゃんは肺結核でした。

【1943年12月、とある駅のホーム】

響「それじゃあ真、やよい。見送りはここまででいいさー」

真「日本が勝ったら絶対戻ってきなよ!」

こんにちは、菊地真です。
プロデューサーが出征してからしばらくして、ダンスホールが閉鎖されました。
そんな世の中ですから765プロのダンス要員のボクたちに仕事があろうはずもなく、響は生活苦から実家に帰ることになりました。

やよい「うっうー長介たちに引き続き響さんまで居なくなったら、私、私、うえーん」

響「うわぁ、泣くな、やよい~日本が聖戦を完遂したら必ず戻ってくるから~」

やよいの弟たちは今年の十二月から始まった都市疎開に先立って、広島の親戚に預けられました。
亜美と真美も、近いうち長崎の親戚の家に身を寄せるそうです。東京はまだ空襲こそないものの食糧事情やそれぞれの家庭事情を考えれば仕方ないことかもしれません。

真「沖縄には多分空襲とかあるかもしれないけど、死ぬなよ、響。ボクたちのダンスの勝負はまだ付いてないんだからな?」

響「沖縄に空襲なんてあるはずないぞ」

響は例によってあの脳天気な笑い声をあげながら自信満々に答えました。

やよい「ほ、本当ですか、響さん!?」

響「間違いないさー鬼畜米英とはいえ人間だからな!沖縄の綺麗な自然の中で戦争なんかできるわけないぞ!!」

意味が判りません。だけれども言わんとしてることは判るような気がします。

やよい「戦争するのが馬鹿らしくなるくらい綺麗な島なんですねーうっうー私もいつか行ってみたいですー」

響「やよいもそのうち来るといいさー歓迎するぞー」

響の言うことはあてにはできませんが、ボクはその島の美しさだけは信じてみたくなりました。

響「じゃあそろそろ行くぞ!それじゃあ真、やよい!他のみんなにもよろしくな!!」

ホームに立ちすくみながら、どんどん小さくなる電車をみてボクとやよいは多分同じことを考えていたと思います。
こうして765プロから一人一人いなくなっていくけど、次にみんなが集まる日は来るんだろうか、って。

【1943年1月765プロ事務所】

あずさ「…というわけで今度その方と結婚することになりました。」

小鳥「え?えっーあずささんの裏切りものー」

あすささんが裏切りやがりました。いえ、これだとなんだか私がいき遅れみたいなので訂正いたします。
あずささんがめでたく結婚することになったそうです。しかしどこか納得していなさそうな顔をしているのはなぜなのでしょうか。
やっぱりあずささんもプロデューサーさんのことを…

あずさ「結婚式の日取りなどはまた改めて、という風になりそうです」

律子「あずささん!おめでとうございます!小鳥さんみたいにいき遅れないか、私心配してたんですよ」

小鳥「いーきーおーくーれですってー!非道いわ、律子さん!!馬鹿にしてるけど三十なんてあっという間何ですからね!?キッー若さが妬ましい!」

美希「美希まだまだ若いから、三十歳はやっぱりおばさんだって思うな」

小鳥「み、美希ちゃんまで…」ピヨ

プロデューサーさんがいなくなっても、美希ちゃんは数少ない仕事を精力的にこなし、今や765プロがもっているのは美希ちゃんによるところが大きいです。

美希「それじゃあ美希、千早さんのお見舞いにいってくるね。ジャズが聞けなくなって、千早さん退屈してるって美希思うから」

今月に入って、ジャズはその演奏すら禁止されてしまいました。千早ちゃんも大好きなジャズを取り上げられ、何より大好きな歌まで病で歌うことができずにいて、きっと歯がゆい思いをしていることでしょう。
あぁ…何だか麗しい友情とその細やかな心遣いに涙がでてきちゃいました。
年をとると涙腺が緩くなるって本当なんですね。でも泣いていいのよ、小鳥。
だって私、女の子だもん!

律子「あずささんが結婚することもちゃんと報告しとくのよ、美希」

千早ちゃんが退院するまでには私も結婚しないと!音無小鳥、がんばります!

【1944年11月伊織宅】

ど、どうも。萩原雪歩ですぅ。今月はじめてB29っていう大きな飛行機が東京を空襲しにきました。
そのせいで今、どの家も防空壕を掘るのでてんてこ舞いです。
私の特技は穴掘りなので、今日は伊織ちゃんの家の防空壕を掘りにやってきました。
あんなにいた伊織ちゃんの家の執事さんや使用人さんはみんな徴兵されたか、勤労奉仕に駆り出されていて今や全然いません。
広い伊織ちゃんの家は、今や人もまばらで昔の賑やかさが嘘のようです。

真「しっかし、伊織の家は広いから防空壕を作るのも大変だなぁ」

貴音「皆が避難し、命を預ける場所なのですから手を抜いてはいけませんよ、真?」

真「はいはい、わかってるさ!うわーそれにしても雪歩の穴掘りはすごいなぁ。そんなに腕細いのに、ボクよりいっぱい掘ってるんだもん。」

貴音さんが珍しくこういうことに参加しているのにはやはり理由がありました。

貴音「伊織、約束のものはちゃんといただきますよ?」

伊織「にひっ。わかってるわよ、お饅頭ならいくらでも食べていいわよ。そのかわりしっかり掘るのよ?あんた達もお饅頭食べて行くわよね?」

やよい「うっうーお饅頭なんて久しぶりですー私がんばっちゃうかも!」

最近では配給も滞り気味です。私は少食だからあまり辛くはありませんが、みんなよくお腹を空かせています。
これも日本が勝つためだと信じて耐えるしかありません。だってプロデューサーは私達よりもっと苦しいことに耐えているんだから。

雪歩「よーし、私もがんばっちゃいます!」

みんなの頑張りのおかげで翌日には立派な防空壕が完成しました。
みんなで体中泥んこになりながら食べたお饅頭は甘く、苦しい中にも楽しい思い出がまた一つ増えました。

【1945年1月765プロ事務所】

社長「あ~諸君、今日はよく集まってくれた。今日はめでたい報告がある」

やあ、諸君!私は二代目765プロ社長、高木順二郎であ~る。
社長は仕事をしていないだとか新人にいきなりアイドル9人放り投げるとは非常識だ、などといった批判を受けることがよくある。
挙げ句の果てには765プロをブラック企業呼ばわりする心無い人間までいる始末だ。私は悲しい!
今この場を借りて君達の誤解を解きたいと思う。
知ってる人は知っていることだとは思うが、765プロはアットホームで温かい、人情味のある職場だ。
うちのアイドルを見て、それを見抜けない奴の目は節穴だ。眼科にいくことをお勧めしよう。
見抜けた諸君!そう君のことだ。君らにはプロデューサーの才能がある!
765プロの門戸はいつでも開かれているぞ。
ボーイズビーアンビシャス!志ある若者よ、私はいつでも765プロで君を待つ!!

別の世界じゃ社長、ギャプランを駆っているというに…

社長「美希君が満州国建国記念式典に招待された。しかも!アイドルがこれによばれるのは初めてのことだ。」

律子「ほ、本当ですか、社長!?ちょっと凄いじゃない、美希!」

美希「あふぅ…満州ってどこにあるの?北海道のどこか?」

律子「あんたねぇ…大陸よ、大陸!満州帝国よ!」

美希「大陸!?じゃあもしかしたらハニーに会えるかなぁ」

社長「美希君ならそう言うだろうと思ったよ。だから美希君には式典の後、一年くらい向こうで軍の慰問などの仕事をやって貰おうかとおもっていたところだ。」

律子「よかったわねぇ、美希。運が良ければプロデューサー殿にも会えるかもしれないわ。運がよければ、ですけど」

美希「きっと会えるの!美希燃えてきたの!」

律子「しかし社長…美希独りで満州やシナなんて心配すぎます。ましてや一年なんて!」

社長「あぁ、それなら何も心配いらないよ、律子君」

社長「だって君も行くんだから。」

律子「え!?なんですってー!!!」

慰問て慰安婦か?!
やばい、やばいぞ!!!!

関東軍は満州の大精鋭
精強百万関東軍、虎の子関東軍

>>91
慰問と所謂慰安所は関係ないだろ
それだと、どれだけの歌手が慰安婦になるのか

【1945年7月満州国新京】

どうも、秋月律子です。
社長の命令で私は今、満州国にいます。
この命令を出されてから今日までいいニュースはまったく聞くことがないわ。
三月には東京で大空襲があって事務所が焼けてしまったとか四月には沖縄が米軍に占領されたとか。
東京のみんなの安否は確認できたけど、沖縄の響は生きているかしら。
安否が確認できないのがよけいに辛いところね。

美希?美希ならハニーに会うんだ!って頑張って仕事を続けているわよ。
正直この広い大陸で人捜しなんて無謀にも近いけど、頑張っているあの娘を見ていると何も言えなくなっちゃうのよね、私ったら…
それで今日は新京の軍病院で傷痍軍人の慰問活動ってわけ。
名誉の負傷をした兵隊さんには頭が下がるばっかりだけど、正直あんまり気の進まない仕事だわ。
だってプロデューサー殿が同じような姿になっていたら、ってどうしても考えちゃうんだもの。

満州って関東軍がどんどん南方に引き抜かれて、全く前線が遠いはずだが、後送された傷病兵ってことか?

美希「今日こそハニーに会えるといいな~」

律子「あのね、美希…こんなこと、本当はあまり言いたくないんだけど…」

律子「プロデューサー殿がここにいるってことはどこか重い怪我をしてるってことなのよ?」

美希「ハニーが怪我してるのは嫌なの…」

いけない。私ったら何アイドルのモチベーション下げるようなこといってるのよ。プロデューサー失格だわ。

美希「それでもやっぱりハニーにあいたいっていうのは美希のわがままだよね」

美希「ありがとう、律子!でも美希今日のお仕事もがんばるね!だって兵隊さんは美希たちのために名誉の負傷をしたんだから」

驚いた。でもプロデューサー殿がいなくなってもう五年が経つんですもの。
美希も成長するはずだわ。

律子「そうよ、美希。アイドルはどんな仕事でも手を抜かない。基本だわ!そーれーかーら」

律子「律子さん、でしょ」

美希「ついうっかりしてたの~ごめんなさいなの~」

7月か
丁度「大陸打通作戦」やってる頃か…

間違えた44年中だわ
45年ならもう終わってるわ

慰問の会場にやってきた美希は会場のお客さんの顔を一人一人なめるように見ていたわ。
この半年ですっかり癖になったみたい。
開演一分前。
そのギリギリの時になって、片足を引きずりながら松葉杖をついた男が会場に入ってきたの。
正直それが誰か判らなかったわ。だって坊主頭で目だけがギラギラと輝いていて、そんな人私の知り合いには誰も居なかったはずだから。でも美希にはそれが誰なのかすぐに判ったみたい。
だって会場でマイクはオンになってるのに、大声でその人に向かって叫んだの。
ハニーってね。

観客の前よ?ありえないわ。
ステージを放り出してプロデューサー殿に抱きつきながら熱い接吻をする美希もありえなかったけど
何よりもプロデューサー殿の変わり果てた姿が私には一番有り得なくて信じられなかったの。
第一、大陸は広いのよ?それがまさか本当にプロデューサー殿に会っちゃうなんて信じられるわけないじゃない。

【1945年3月、とある丘の上にあるサナトリウム】

春香「えへへ…今日は外泊許可もらったんだーお医者さんにね」

千早「本当に春香には迷惑ばかりかけてしまうわね…」

千早ちゃんの病気は、もう四年もたつのにちっともよくはなりません。
日本の戦況が悪化するのと同じように、千早ちゃんの病気も悪化していくばかりです。お医者さんには持って二年位だと言われました。
何も千早ちゃんにしてあげられない自分が悔しいです。

千早「美希はプロデューサーに無事会えたかしら…」

春香「まだ連絡は着てないけど、絶対会えるよ!絶対に…」

窓の向こうを遠い目で見る千早ちゃんは、今にも透けてしまいそうなほど儚くみえました。

千早「私もね、体さえ丈夫だったら今すぐ大陸に行きたいわ…でもダメね…」

春香「体ならすぐに治るよ!そしたらね、私と一緒に大陸にいこうよ!それでね、二人でプロデューサーさんを探すの!」

千早「体が治ってもやっぱりまだプロデューサーにはあえないわ、春香」

千早「だって私はあの人との約束、何も果たしてしてないもの…」

話し疲れたのか、千早ちゃんは静かな寝息をたてて眠りにつきました。
長い入院生活で、透き通るように白くなった肌からは青い静脈が透けていました。病気のせいで昔より美人になった気もします。でも私は昔の凛としてきれいな千早ちゃんのほうがずっと好きでした。

春香「本当に…眠り姫みたいだよ…千早ちゃん……」

春香「でも千早ちゃんは眠り姫なんかになっちゃダメなんだからね。だって千早ちゃんは本当は歌姫なんだから…」

春香「ちゃんと病気を治したら起きて、プロデューサーさんに好きって言わないと許さないんだから…」

泣き疲れた私は千早ちゃんのベッドの脇で眠ってしまいました。


目が覚めたのは、夜中の空襲警報のサイレンのせいでした。千早ちゃんと一緒に、防空壕へと逃げ込みます。
防空壕に逃げ込む途中、丘の下が火の海になっているところを私は見ました。

春香「東京が…燃えてる…」

幸い、サナトリウムはボヤ程度ですみました。しかし今回のことは千早ちゃんに心身ともに大きな負担をかけたようです。
翌朝、千早ちゃんは大量の血を吐いて治療室に運ばれました。

【1945年3月、765プロ事務所後】

社長「ここを守ると彼に約束したはずがこのざまか…」

小鳥「命が助かっただけでもよしとしましょう、社長。生きてさえいれば、まだ何とでもなります」

社長「それもそうだな…音無君。」

小鳥「とりあえずみんなの安否の確認が先です。社長は無事な書類とかを調べといて下さい」

社長「君は本当に優秀な事務員だよ…社長のやることがないじゃないか…おや?あれは春香君じゃないのかね?」

小鳥「春香ちゃーん、無事だったのね~!本当に良かったわ」

春香「社長に小鳥さん!千早ちゃんもなんとか無事でした…」

春香「ところで何で二人とも外にいるんですか?まさか、765プロも…!?」

十六歳からずっと私の夢を支えてくれた765プロの事務所。それはある意味私の夢そのものの場所でした。
なのにそこはもう焼夷弾に焼き尽くされ、跡形もありません。
戦争はみんなから色々なものを奪っていきます。だけど私は笑ってなきゃいけない。
こんな約束を私に押し付けたプロデューサーさんが、この時ばかりは恨めしく感じてしまいました。

【1945年5月、あずさ宅】

皆さん、お久しぶりです。私、三浦あずさです。

結婚してからもう二年がたつというのに、夫が家に帰ってくることはほとんどありませんでした。
もちろん、夫婦仲が悪いわけではなく、夫が戦争で忙しいからです。
夫は海軍のパイロットですからやはり忙しいのでしょう。それは判っていますが、新婚なのに二人で過ごす時間がないのはやはり寂しいものです。
けれど私にも引け目はあります。夫が居ないとき、昔好きだったあの人のことを何度も何度も思い出してしまうんです。
勿論、夫には申し訳なく思ってます。私は本当に悪い妻だと、自分でも思っちゃう位ですから。

空襲から2ヶ月たった今日、夫が久しぶりに帰ってきました。
配給も滞っていて、満足なものは作れないけど、今晩は久々に腕を振るっちゃいます!

夫「あずさ、すまない」

普段より豪勢な、それでも昔と比べるとやはり粗末な夕餉を終えると、夫は突然私に頭を下げてきました。

あずさ「あらあら、何を謝ってるんですか、あなた」

夫が言うには特別攻撃隊に参加することになった、とのことです。
行けば最期、夫は二度と帰らぬ人になる。そんな作戦に夫が参加するなんて…

夫「夫らしいことをこれまで何もしてやれずにすまなかった」

私は何も言うことができませんでした。

夫を見送る駅までの道のりは遠く、足取りも重く感じられました。
私の愛した人は皆、私から去ってしまう。だけど夫となったこの人に私は何もしてあげられなかったような気がしてなりません。
長い坂道に差し掛かりました。
こちらの気持ちなんて露知らず、夫は私を置きざりにして坂道を登っていきます。
本当にこちらの気もしらないで…

夫「速く歩いて君ばかり置いてけぼりにしていつもごめんな…」

わかっているなら私と歩幅を合わせて歩いてくれればいいのに。

夫「でも僕はいつも置いてけぼりの君を待ってばっかりだったな」

ここまででいいよ、と夫は身振りで私に伝えると、息を整えながら言いました。

夫「今度は天国で君を待ってる。今度もできるだけ永く待たせてくれ。二年間、ありがとう。」

それだけ言うと、夫は私に背を向けて、坂の向こうへと行ってしまいました。

追いかけようと思っても、彼の愛に釣り合う言葉を私が持っていないことは明らかで、私は坂道で嗚咽することしかできませんでした。

本当に、私は悪い妻でした。
でもあの人も悪い人です。
いつも勝手に私を待ってるんですから。

ようやく私が坂道を登り終えた向こうに、あの人の姿はもうありませんでした。

あずさ「待ってるっていったくせに…うそつきなんだから…」

泣くことしかできないなんて、やっぱり私は悪い妻でした。

促成栽培の動員初年兵じゃなくて熟練パイロットもか…
大抵、特攻隊入りの熟練兵は特攻隊支援の露払いや戦果確認に使われるものだが、それだけ戦局が悪化しているということに

【1945年8月15日、伊織宅】

伊織「天皇陛下からのお言葉って一体何かしら。多分本土決戦の激励とかよね…ちょっとやよい!?人の話聞いてるの?」

ご無沙汰しております、皆様。私四条貴音です。
8月6日に広島へ、8月9日に長崎へと落とされた新型爆弾の威力は一瞬で両都市を灰燼に帰したそうです。
そして8月9日にはそびえとが対日宣戦布告を致しました。
美希達や亜美、真美の安否はまだ分かりませんが、やよいの家族はどうやら助からなかったようです。
私としても何と言葉をかけたらいいやら…

伊織「始まったみたいだわ」

ラジオから何やら面妖な抑揚の声が流れてきました。
詔は難解で全ての意味はわかりませんでしたが、一番重要なことは分かりました。
忍び難きを忍び、すなわち日本が負けたということで間違いはないのでしょう。

真「えっーと、よくわからなかったんだけど本土決戦を頑張れっていうことでいいんだよね?」

伊織「そ、そうよ!そうに決まっているわ!」

貴音「皆のもの、落ち着いて聞いて下さい」

貴音「日本は負けました。今の詔は終戦の詔です。戦争は終わりました」

【1945年8月、満州国新京】

はぁ~秋月律子よ。
美希がプロデューサー殿からちっとも離れようとしないから仕事をかなりキャンセルしなきゃならなかったわ。
けどまぁ、それもしょうがないことね。美希の仕事のモチベーションはプロデューサー殿だけだもの。
これまで頑張ってたんだから少しくらい休ませてもいいわよね。

プロデューサー殿にこの五年の間、何があったのかは結局聞けないでいるわ。
聞くのが怖いっていうのが本音なんだけれど。

美希「一体何があったの、ハニー?」

やっぱり美希はすごいわね。聞きにくいことズバズバと聞くんだから。

美希「辛いことでも人に話せば楽になることって、美希はあると思うな」

プロデューサー殿の右足を優しくさすりながら美希はプロデューサー殿を促したわ。
そしてプロデューサー殿はようやく重い口を開いて、その日のことをぽつりぽつりと語り始めたの。

【1945年5月、中国大陸のとある戦線】

P「長い髪したマルクスボーイ、今日も抱える赤い恋♪」

軍曹「なんだか洒落た文句だな、P上等兵」

P「出征する前に世話していた子がくれた詩集にのってたんです、軍曹殿。」

雪歩のくれた詩集を俺は軍曹殿に見せた。
長い戦役の中で、表紙には血と泥がこびり付いていた。

軍曹「西条八十か…うちの娘も好きだったなぁ…何年も会ってないからもういい年だろうが…ところでその娘はお前のこれか?」

軍曹殿は小指を立てながら下世話に笑って言った。

戦闘中以外はみんな昔の話なんかをしながらこうやってかなり牧歌的に過ごしていたよ。
それに、五年も寝食を共にしてお互いの生死を預け合っていたんだ。俺達は最早家族といってもよかった。
やがて軍曹殿は手振りで俺に準備するように言った。
詩集を雑嚢にしまう。そろそろ作戦の時間らしい。

軍曹殿「さ~て、赤い恋をしてる連中と今日もまたドンパチせにゃならん」

この五年で兵隊稼業はすっかり板についていた。平和だった時代の思い出をみんなは心にしまうと、軍曹殿率いる俺の班は八路軍を殲滅するため再び敵地へと向かったんだ。

ゲリラは相手するのがめんどくさいんだよなあ

毛沢東率いる八路軍のゲリラ作戦に俺たちは手を焼いていた。
こちらがひけば、相手は攻めてくる。こちらが攻めれば、相手は逃げる。
終わりのないいたちごっこを続けているうちに、気づけば俺たちは敵地の奥深くにいた。

軍曹「総員撤退しろ!待ち伏せだ!!」

軍曹殿が叫んだ時はもう遅かった。発砲音はやむことがなく、味方は次々と倒れていったよ。
俺も足をやられた。
激痛と大量の出血で、意識がどんどん朦朧としてきた。
そのうち援軍が、来た。
その安堵感で俺は緊張の糸が切れたのかそこから先の記憶はないよ。

そして次に目が覚めたのは後方の軍病院のベッドだった。
傷は思いのほか重く、俺の身柄は新京にある軍病院に移送されることになりそうだった。
おそらく今更何をしても、右足が昔のように動くことはもうないだろう。
しかし、なすすべもなく死んでいった仲間の無念と、自分だけが生き残った不公平を思った時、俺は復讐を考えざるをえなかった。
だってそうだろ?
大事な仲間を殺されたんだ。だから俺は生き残ったものの責任として仇をうたなきゃならない。
右足の動かなくなった俺がどうやって復讐したらいいのか、未だにわからないけどな。

【1945年8月、満州国新京】

美希「ハニー…つらかったんだね…でももういいの…」

そう言うと、美希は俺の足に口付けしてくれた。

美希「ハニーが背負ってるものは美希も一緒に背負ってあげるから…だからもうハニーが独りで苦しむ必要なんてないの…」

俺はこいつのプロデューサーだった。少なくとも俺がいなきゃ駄目な奴だった。
それが今や俺の抱えているものを一緒に背負ってくれると言うまでに成長してくれた。

P「そうか…五年って長いんだな…美希がこんなに立派になっちまうなんて…」

俺がしみじみというと、律子もやれやれ、といった感じの仕草をして言った。

律子「そりゃあ長いですよ…小鳥さんなんかもう三十路なんですから」

律子「プロデューサー殿が復讐するなんて、死んだ方々も望んでないはずです」

律子「少なくともプロデューサー殿だけには昔のような平和な暮らしを望んでるはずですから。さて…そういうわけで日本に帰りましょうか!みんな待ってますよ」

美希「えへへ…今度こそずっと一緒だよ、ハニー?」

帰り支度をしている最中、急報が届いた。
ソ連が不可侵条約を破り、満州に侵攻したとのことだった。
ソ連軍が来る。もちろんここも安全ではないだろう。

美希「ハニー、急いで逃げるの!」

律子「プロデューサー殿!」

ここで逃げることは容易だと思った。しかし今の俺は傷痍軍人とはいえ日本兵だ。そしてそれ以前は美希のプロデューサーだった。
本分を果たそう。
こいつらを守ることこそ、俺の本分だ。

P「俺はここに残る。この体でも足止め位には役に立つだろ」

美希「いや!ハニーが死んじゃうの!」

律子「プロデューサー殿!馬鹿なこと言わないで下さい」

P「俺は死なないよ。」

にっこり笑って、美希のくれた千人針を指でつまんでみせる。

律子「美希、もうあきらめなさい。今のプロデューサー殿に何を言っても無駄よ」

俺の決意の固さを悟ったのか、律子は諦めきった顔をしていた。しかし美希は俺の翻意するように、必死になって説得し続けてくれた。

P「それじゃあ律子…美希を…みんなを頼む」

それだけを律子に言い残し、日本兵としての、そして何よりプロデューサーとしての戦場へ俺は向かった。

【1945年10月、新765プロ事務所(バラック小屋)】

こんにちは、萩原雪歩です。日本が負けたのは悔しいけど、プロデューサーが早く帰ってくるかと思うと嬉しくもあります。
亜美ちゃん真美ちゃんも無事帰ってきました。ピカの威力はすごいってきいていたから、二人が無事で本当に良かった…
大陸からは律子さんと美希ちゃんもちゃんと帰ってきたんですよ!
ただ、二人の暗い顔の理由が気になります。
それからあずささん!
髪をばっさり切って、またアイドルをはじめるそうです。どうしてまたやる気になったのか、後で聞いてみようっと。
それから…沖縄に帰った響ちゃんの安否は相変わらずわからないままです。
沖縄は未だにアメリカに占領されているから、流石の律子さんにも調べることができないんだって…
今日は社長からみんなに、今後の方針についてのお話がありました。
日本は負けたけど、765プロはまだ負けてない。
我々は日本復興を盛り上げる尖兵となるのだっていう社長の言葉には思わず感動しちゃいました

社長の話が終わった後もみんな765プロに残っていました。再会を喜び合ったり、身の上話をしたり…
ただ、戦争がみんなの心に暗い陰を落としていることは明らかでした。

雪歩「あずささんはなんでまたアイドルをはじめようと思ったんですか?」

気になっていたことを私は尋ねました。

あずさ「天国にね、待たせている人がいるの…」

それからあずささんは、アイドルに戻るきっかけのことを話してくれました。
私も泣いてしまったけど、やよいちゃんが一番泣いていました。多分、大切な家族を戦争でなくす痛みを、やよいちゃんが一番よくわかっていたからでしょう。

あずさ「だけどね、私考えたの。天国で待ってくれてるあの人がその間どうしたら退屈しちゃわないですむかってことを」

あずさ「あの人は私のアイドル時代の話をすると、いつも楽しそうに聞いてくれたわ」

あずさ「だから私がまたアイドルになって、有名になって」

あずさ「これから天国に行く人たちが、あの人に私の話をしてくれるようにならなくちゃ。だからアイドルを頑張って、私は有名にならないといけないのよ。あの人が退屈しないようにね」

やよい「私がアイドル頑張れば…天国の長介たちも退屈しないですむのかなぁ…」

あずさ「きっとやよいちゃんが頑張ってる話を聞けば、天国でも喜んでくれるわよ」

やよい「うっうー私今から頑張りますーピカで死んだ長介達が天国で喜んでくれるようなアイドルにならないと!」

あずさ「ふふふ、お互い長く待たせてあげましょうね」

社長のいうとおり、765プロはまだ負けません。
私達の戦いはこれからなんですから!
私も立派なアイドルになって、みんなの復興の役にたてるよう頑張ります!!
以上、萩原雪歩でした。

【1947年1月、新765プロ事務所(バラック小屋二階)】

にひっ!スーパーアイドル伊織ちゃんよ!
少しずつ復興が進んで、仕事も少しずつ増えてきて、今じゃ大忙しよ。
実家の財閥は解体されちゃったけど、家族にばかりとらわれてた今までと違って、今は自分のためにアイドルをやってるからとても充実してるの。

伊織「誰かいるー?仕事でカステラ貰ったからお裾分けにきたわよ~!」

事務所のドアを開けたら、びっくりするわね。
亜美と真美がぐったりと倒れているじゃない。

伊織「ちょっと!?いつも元気なあんたたちが一体どうしたのよ!?」

そういえば、ピカの毒で健康だった人が急に死んだりすることがあるって兄様が最近言っていたわ。

伊織「あんた達…まさかピカの毒でやられたんじゃないんでしょうね…」

亜美「うわ→いおりんには何でもお見通しかぁ…」

真美「みんなには内緒にしといてね…」

亜美「だって亜美達、アイドルやってるときが一番楽しいんだから」

何も言えるわけないじゃない。
なんで戦争はもう終わったはずなのに、まだ苦しまなきゃいけないのよ、馬鹿…

すまん
少し訂正が発見されたのでなおしてくる

保守してくれるとうれしい

【1947年12月、765プロ事務所】

小鳥「千早ちゃん…よかった…本当によかった…」

終戦後入ってきたペニシリンという薬で千早ちゃんの結核は治りました。
と、いっても七年も闘病してたから体は大分弱っているようで、まだまだ歌うことはできないけど。
千早ちゃんはいつも歌いたそうにうずうずしてるけど、それを抑えるのが今の私の仕事です。
あ、私、天海春香です。

あれから律子さんがそうとう手を尽くしたようで、響も今日戻ってくるそうです。
真が嬉しそうに、そのことを私に教えてくれました。

これでようやく久々に、765プロのアイドルが全員揃うことになりました。

ただ、プロデューサーさんだけがいません。

【1947年12月、765プロ事務所】

皆さん、如月千早です。
伊織のお陰で結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいかなかなかうまくいきません。春香からも止められています。

千早「体力つけなきゃね…」

響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…あっ!そういえばプロデューサーはまだ帰ってないのか?」

真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」

プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。

千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」

雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」

貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」

プロデューサー…

私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。

【1947年12月765プロ事務所】

皆さん、如月千早です。
結核は完全に治り、体力も少しずつ戻ってきています。
それでもやはり、昔みたいに歌うのはブランクが長いせいか、なかなかうまくいきません。春香にも止められてしまいますしね。

千早「体力つけなきゃね…」

響「千早は随分やせっぽちになったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…そういえばプロデューサーはどうしたんだ」

真「プロデューサー…なかなか帰ってこないんだよ…ちゃんと帰ってくるのかな…」

プロデューサーと聞いて全員が暗い顔になりました。

千早「プロデューサーは絶対帰ってくるわ」

雪歩「そうですぅ!だってちゃんと私と約束してくれたんですから!」

貴音「奇遇ですね、雪歩。私とも帰ると約束をしてくれました。今頃は、プロデューサーも私達と同じ月を見ていますよ。」

プロデューサー…

私は、待っています。歌を歌って、待っています。
プロデューサーが私との約束を果たしてくれるその日まで。

真美亜美「禿たけど質問ある?」

【1948年春、シベリアのとあるラーゲリ】

春といってもロシアの春は雪に閉ざされ、花の一つもない。
ダモイ、ダモイ、と作業を急かす監視員の声だけがうるさく響く。
ダモイの意味は帰国だと誰かが言っていた。
だからどのラーゲリにも必ず手製のカレンダーがあり、一日の作業が終わると一日分の日付を消し、ダモイの日がまた近づいたことを喜ぶ。
だがここにいる日が長くなるほど、近づいているのはダモイの日ではなく己の死期だということに誰もが気づいていった。
病、寒さ、飢え。
ここでの死は戦場よりも自分に近く感じるのはなぜだろう。理由は簡単だ。その三つが全て自分を襲っているからだ。
そしてこの三つは誰にでも平等に襲いかかり、体の弱いものから順に死んでいった。


日本では桜がもう満開だろうか。
月はきれいだろうか。
白夜のロシアでは、月は日本と同じでは無かく、冷たい永久凍土では花も咲かない。
約束が何だったのかは、もう思い出せない。

青年「おい、邪魔だ!あんた。そこをどきな!」

男「そこのあんちゃんはびっこひきよるんじゃ…堪忍してやれ…」

凍ったライ麦パンの食事を弱々しい力で噛んでいると若い青年が怒声をあげながら絡んできた。
昨日うちのラーゲリに合流した新入りらしい。目を合わせると、彼は俺の顔をしばらくじっと見つめていた。
どうやら知り合いらしい。彼の顔は俺にも見覚えがあった。日本での記憶は遥かに遠く、思い出すことは容易ではなかったが。

P「もしかして961プロの天ケ瀬冬馬か…?」

冬馬「やっと思い出したぜ、あんた765プロのプロデューサーだったけか…胸くそわりぃぜ…」

かつての美青年の面影は最早ない。目は死に、髭はのびきり、頬のこけた貧相な男になっていた。
懐かしい顔と出会っても、喜ぶような心の弾力はとうにない。他人にはそんな俺の姿も彼と同じに見えることだろう。

彼は舌打ちをすると、長らく開けていない俺の雑嚢に蹴りをいれ、立ち去っていった。

彼が蹴り飛ばした雑嚢から、途切れ途切れに音楽がなった。
皆、音楽などずっと聴いていない。ラーゲリの皆の目は音の出所を探して動いていた。
雑嚢を開けるのは何年ぶりのことだろうか。ここでの生活は余裕がなく、今の今まで開けることすら忘れていた。
千早のくれたオルゴールを取り出し、発条を回す。
久々の音楽は、終わりのみえない抑留で疲れ果てていた皆の心を優しく癒やしてくれた。
そしてその曲の題名が『約束』であったことを俺は思い出した。
俺には何か約束があったはずだった。雑嚢の中の冊子を取り出し、頁をめくる。
几帳面に並べられた、紙面を彩る日本の春とその匂いは懐かしく、遠い日の約束を俺に教えてくれた。

雪歩「勲章なんていらないから絶対に生きてかえってくださいね、プロデューサー!」

生きねばならない。
思い出された遠い日の約束は、幻想のダモイよりも確実な生きる活力を俺にくれた。
必ず千里の果ての内地に帰り、あの日と同じ月を見る。
垢で汚れた千人針に縫い込まれた硬貨を握り締めて、俺は生きて帰ることを固く誓った。

~fin~

読んでくれた人ありがとうございました

若干の時代考証の怠りとか誤字もろもろはご了承ください。

>>188ってどっか訂正する必要あったのか?

今2011年だから…1948年から
皆何歳になってんだ?

>>200

もともと伊織が千早をアメリカに連れてって治療する方向だった。
薬の認可の時期が色々わからなかったから

だから結構そこはご都合主義で変えさしてもらいました

>>204

訂正前の読んで伊織が薬持って来たって脳内補完してたわ

響「千早は随分胸小さくなったんだな~しっかり食べないとダメだぞ!プロデューサーだって…あっ!そういえばプロデューサーはまだ帰ってないのか?」

今回は宣言通り早い

>>213
前作はノンプロットの即興だったからねぇ…
今回は書きためたけど後半尻切れとんぼになっちった

救われない人が何人かいるけど面白かった

>>218
当初の予定だと

亜美真美の片方は死亡
響はもちろん死亡
真は空襲で顔に大火傷
伊織の家は財閥解体と戦犯指定で没落

>>219
ぱんつ脱いだ早く

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