久「息の根を止めてしまいたくなる程に」 (228)

立ったかな

和「須賀君、ちょっといいですか?」

京太郎「和か、わざわざ俺のクラスまで来てどうしたんだ?」

和「今日の放課後、空いてませんか?」

京太郎「え、今日は咲の買い物に付き合う約束が…」

和「…実は私、前から須賀君のこと気になってたんです///」

京太郎「ええっ!?」

和「それで、須賀君に私の初めてを貰ってもらえたら、と///」

京太郎「」

和「それでは、放課後までに考えておいてくださいね須賀君」ガラッ

京太郎(う、うわあああ!!マジかよ!!)

京太郎(あの和が俺のことを好きだったなんて…しかもベッドのお誘いまで!!)

京太郎(しかし俺には咲という彼女が…)

京太郎(どうする俺!?和が…いやしかし咲が…)


久「須賀君、いる?」ガラッ

京太郎「うおっ!?な、なんだ部長ですか」

久「何をビックリしているの?何か考え中だったみたいだけど…」

京太郎(うーむ…そうだ、部長に相談してみるか。経験豊富そうだしな)

京太郎「あ、あのですね部長。実は…」


久「…なるほど。和に誘われたけど咲との板ばさみで悩んでるのね」

京太郎「はい。…俺、咲のことは本当に好きなんですけど」

京太郎「和のあの体は正直魅力的すぎて…」

久「正直ね。そういうの嫌いじゃないわ」

久「…ねえ。要するにバレなきゃいいのよ。浮気なんて」

京太郎「で、でも…」

久「大丈夫よ。咲は放課後私が連れまわしといてあげるから」

京太郎「い、いやでもなぁ…」

久「和の体、抱いてみたいんでしょ?」

京太郎「!!」

久「ヤッちゃいなさい」

京太郎「…分かりました。俺やります!」


久「…」

数日前

~~~~~~~~~~


京太郎「咲~、そろそろ帰るぞ~」

咲「うん。それじゃあ皆さんお疲れさまでした」

京太郎「甘味処にでも寄ってくか?」

咲「いいね!あ、京ちゃんのおごり?」

京太郎「こら、甘えんな」

咲「えへへ」



和「……」ギリッ

久「…悔しい?和」

和「…何のことですか部長」

久「隠さなくてもいいわ。貴方がずっと咲のこと想ってたの知ってるんだから」

和「……悔しいに決まってます」

和「どうして…どうして私じゃないんですか!?」

和「どうして咲さんは私を選んでくれなかったんですか!?」ポロポロ

久「……」

久「…なら奪ってしまえば良いじゃない」

和「…えっ!?」

久「須賀君から咲を奪うのよ」

和「そ、そんなこと…」

久「和ははじめから出来もしないって諦めるの?」

久「貴方の咲への気持ちはその程度なの?」

和「………」

和「……私、やります!!」

久「その意気よ和」

和「でも一体どうやって…」

久「貴方が須賀君を誘惑するのよ」

和「…えっ?」

久「でもって和と須賀君の浮気現場を録画したものを咲に見せ付けるの」

和「そ、そんなことしたら私だって嫌われるじゃないですか!」

久「もちろん相手は和だって分からないよう上手く編集すればいいわ」

和「そんなに上手くいくでしょうか…」

久「浮気した須賀君に愛想を尽かした咲が手に入るかもよ?」

和「咲さんが私のものに…」


和「…分かりました。やってみます」

和「咲さんの愛を手に入れるために!!」

久「応援してるわ和」


~~~~~~~~~~~~~

放課後 部室


和「須賀君、来てくれたんですね///」

京太郎「あ、ああ///」

和「じゃあ早速ベッドで…」ススッ

京太郎(う、うおおっ!和の胸が俺の腕にっ!!///)

和(ふん、ちょろい)



京太郎「和、和…!」モミッ

和「あんっ、須賀君、もっと優しく…」

京太郎「わ、悪い…うおお、柔らけぇ…」モミモミ

和(ああ…気持ち悪くて堪りませんね)

和(でもこれも咲さんを手に入れるため。我慢です)

京太郎「そ、そろそろ下もいいか?」

和「…ええ」

和(どうしましょう、全く濡れてないのでバレてしまいそうですね)

和(もう録画もあらかた撮れてるでしょうし、ここら辺が潮時でしょうか)

和「あの、須賀君。私ちょっと気分が…」

京太郎「えっ?」


バタン!!


京太郎「!?」

和「!?」

久「ごめんね~咲、忘れ物取りに戻るのに付き合ってもらっちゃって…」

咲「いえ、どうせ暇になりましたし構いません」

咲「それより部長の忘れ物って…」クルッ


咲「…えっ!?京ちゃん!?和ちゃん!?」

咲「な、何してるの2人とも…」

和「」

京太郎「」

久「何って咲、見てのとおりベッドで睦みあってるに決まってるじゃない」

咲「な、なんで…2人が…」ガクガク

和「こ、これはち、違うんです咲さん!!」アタフタ

京太郎「さ、咲、何でここに!?」アタフタ


咲「……酷い」

咲「酷いよ!!私に隠れて2人でコソコソと!!」


咲「京ちゃんも和ちゃんも大っ嫌い!!」バタンッ


和「あ、そ、そんな…」ガクガク

京太郎「咲…」ガクッ

――――


咲「……」

久「咲、ここにいたのね」

咲「…どうして私がここにいるって分かったんですか?部長…」

久「分かるわよ、貴方のことなら何でもね」

咲「…えっ?」

久「貴方がよくこの木の下で本を読んだりお昼寝したりしていることも」

久「私はずっと咲を見てきたから」ボソッ

咲「え?部長、今のセリフよく聞こえな…」

久「そんなことより、泣きたいんじゃないの?」

咲「…っ」

久「私の胸の中で良いなら、思い切り泣きなさいな」

咲「…っ!部長おおおおお!!」ダキッ

咲「うわあああああああああん!!」ポロポロ

咲「ひどい、ひどいよ…」ポロポロ

咲「京ちゃんも和ちゃんもひどい…」ヒックヒック

久「……咲」ナデナデ



久「ちょっとは落ち着いた?」

咲「は、はい…すみません、ご迷惑かけて」

久「いいのよ。それより落ち着いたなら聞いてほしいことがあるの」

咲「…?何ですか部長?」

久「実はね。和と須賀君、貴方が入部する前から想い合っていたのよ」

咲「…ええっ!?」

久「でも2人とも奥手でね。なかなか想いを告げられずにいたの」

咲「…嘘、そんな……」

久「そんな時咲が入部し、須賀君は咲に告白され2人は付き合うことになった」

咲「……和ちゃんを好きだったのなら、何で京ちゃんは断ってくれなかったんでしょうか」

久「部内が気まずくなるのを避けたんでしょうね」

久「そして咲と須賀君が仲良くしてるのを和はただ眺めてることしかできなかった」

咲「どうして?私に遠慮なんて…」

久「大切な親友である貴方を傷つけたくなかったんでしょうね」

久「でもね、長い間内にくすぶってた恋心はなかなか消せないものよ」

久「2人とも押し殺してた想いがついに爆発してしまった」

咲「あ…」

久「そう、さっきの。お互いを求める情熱を押さえきることが出来なかったんでしょうね」

咲「……私が」

咲「私が、ずっと2人の恋路の邪魔をしてたんですか…?」

久「そういうことになるわね」

咲「…そんな…」


久「咲。よく考えなさい、これから貴方が取る行動を」

咲「…えっ」

久「和の恋を踏みにじってでも須賀君と付き合い続けるか」

久「2人の想いを酌んで、自ら身を引くか」

久「貴方にできる選択肢はこの2つ」

咲「………」

咲「分かりました。私、考えてみます……」

久「それがいいわ。じゃあ咲、家まで送りましょうか?」

咲「…いえ、一人で大丈夫です。それではまた明日…」

久「気をつけてね咲」


久「…」

翌日 

咲「おはようございます…」ガチャッ

和「あっ、さ、咲さん!昨日はその…」

京太郎「咲、俺とんでもないことを…」


咲「……」

咲「もう、いいよ」

咲「2人とも、昨日は大嫌いなんて言っちゃってごめんね」

京太郎「い、いやそれは…」

和「さ、咲さんが謝ることはありません!!私たちが…」

咲「私ね、昨日部長から聞いちゃったんだ」

咲「京ちゃんと和ちゃんが想い合ってるってこと…」

京太郎「へっ!?」

和「は!?」

咲「だからね、もう2人の邪魔はしないよ」

和「咲さん!?一体何のことですか!?」

咲「もう誤魔化さなくっても良いんだよ和ちゃん。自分の気持ちに素直になって」

咲「私、京ちゃんも和ちゃんも大好きだから」

咲「2人には幸せになってもらいたいから…」


咲「…だから、さよなら。京ちゃん」ガチャッ

京太郎「咲!?お、おい…」


パタン…


京太郎「…」

和「…」

久「あら和に須賀君、おはよ~」ガチャッ

和「…部長!!一体どういうことなんですか!?」ギロッ

久「ん?何が?」

和「何がってとぼけないで下さい!!」

和「貴方が須賀君を誘惑すれば咲さんが手に入るって言うから私は…!!」

京太郎「…おい、それはどういうことだよ和!!」

和「聞いてのとおりですよ!私の目的は咲さんであり貴方ではありません!!」

京太郎「ひっでえ…俺を騙してたのかよ!!」

和「簡単に騙されるほうが悪いんです!!」

京太郎「何だよそれは!!」

久「あ~もう、煩いわねぇ」

久「確かに私は貴方達をそそのかした」

久「でも最終的に咲を騙そうと決めたのは、他でもない貴方達よ」

久「自分達の欲望を成し遂げるためにね」

和「!!」

京太郎「!!」

久「和、貴方さっき須賀君に言ったわよね。簡単に騙されるほうが悪いって」

和「なっ…」

久「簡単に私の口車に乗せられた貴方が悪いのよ」

和「そ、そんな…」

久「あ、そういえば貴方達。咲に祝福されたんでしょ?」

久「この際2人で付き合ってみたらどうかしら?」

和「…ふざけないで下さい!!」

京太郎「俺もごめんです!!和がこんなことする女だったなんて…」

和「簡単に誘惑された貴方に言われる筋合いはありません!!これだから男は汚いんですよ!!」

京太郎「汚い!?男なら巨乳に反応して当然だろ!!」

久「ふふっ、仲良いじゃない」

和「部長、貴方って人は…!!それにあんな見え透いた嘘を咲さんに!!」

和「…もういいです!!私、咲さんに本当のことを言って謝りに…」

久「貴方を手に入れるため貴方の彼氏を誘惑しましたって、咲に言うの?」

和「っ!!」

久「そんなこと言って許されると本気で思ってる?」

久「また元通り親友でいられると思ってるの?咲は貴方の行為に軽蔑するでしょうねぇ和」

和「…あ…あ…」ガクガク


京太郎「…俺、咲に謝って…」

久「須賀君。貴方は咲という彼女がいるにも関わらず、和にも手を出そうとした…」

京太郎「そ、それは部長が絶対にバレないって言うから…」

久「バレなければ浮気しても良い。そんな結論を出した貴方を咲は受け入れてくれると思う?」

久「咲、さぞかし失望するでしょうねぇ…」

京太郎「…あ、俺…は…」


久「じゃあね、2人とも。もう咲のことは忘れて新しい恋でも探しなさい」バタン!

――――

咲「…」

久「やっぱりここにいたわね、咲」

咲「…部長には、何でも見透かされちゃいますね…」

咲「私、京ちゃんとお別れしてきました」

久「……そう」

咲「これで、良かったんですよね…」

久「ええ。よく頑張ったわね、咲」

咲「私、京ちゃんのこと大好きでした…」ポロッ

咲「でも、和ちゃんのこともとても大切だから…」ポロポロ

久「咲、大丈夫よ」ギュッ

久「失恋の苦しみは、時間が解決してくれるから…」


――――

和「須賀君、ちょっといいですか?」

京太郎「和か、わざわざ俺のクラスまで来てどうしたんだ?」

和「今日の放課後、空いてませんか?」

京太郎「え、今日は咲の買い物に付き合う約束が…」

和「…実は私、前から須賀君のこと気になってたんです///」

京太郎「ええっ!?」

和「それで、須賀君に私の初めてを貰ってもらえたら、と///」

京太郎「」

久「…悔しい?和」

和「…何のことですか部長」

久「隠さなくてもいいわ。貴方がずっと咲のこと想ってたの知ってるんだから」

和「……悔しいに決まってます」

和「どうして…どうして私じゃないんですか!?」

和「どうして咲さんは私を選んでくれなかったんですか!?」ポロポロ

久「……」

久「…悔しい?和」

和「…何のことですか部長」

久「隠さなくてもいいわ。貴方がずっと咲のこと想ってたの知ってるんだから」

和「……悔しいに決まってます」

和「どうして…どうして私じゃないんですか!?」

和「どうして咲さんは私を選んでくれなかったんですか!?」ポロポロ

久「……」

咲「今日も部長と2人きりですね」

久「そうね、まこもお店が忙しいみたいだし」

咲「優希ちゃんも家庭の事情でずっと学校を休んでるし…」

久「私と2人じゃ寂しい?」

咲「いえ、何だか落ち着きます」

久「ふふ、嬉しいことを言ってくれるわね」

咲「…でも和ちゃんも京ちゃんも、部活辞めちゃいましたね…」

久「…そうね」

咲「もしかして、私に気を遣ってるんでしょうか?」

久「咲が気に病む必要はないわ」

久「今頃2人で仲良くやってるでしょうから…」

咲「…そうですね。私、2人には幸せになってほしいです」

久「…」

数ヶ月後

久「それじゃあ今日の部活はここまでね」

咲「お疲れさまでした、部長」

久「それにしても随分と寒くなってきたわねぇ」

咲「そうですね、もう11月ですし…」

咲「…私、部長はインハイが終わったら引退すると思ってました」

久「あら、咲は早く私に隠居してほしいの?」

咲「いえ、逆です。こんな時期まで部長と一緒にいれるなんて嬉しいです」

久「ふふっ、私もよ」

久「それに、優希もまこも中々部活に来れないし。私がいないと咲が寂しい思いをしちゃうでしょ?」

咲「部長…ありがとうございます」

久「どういたしまして」

咲「あ、それでは私、図書室で本を借りてきますね」

久「あら、じゃあ付き合うわよ」

咲「いいんですか?ありがとうございます」

久「お安い御用よ。それじゃあ行きましょうか」

咲「はいっ」

図書室

咲(ええっと借りたい本は…あ、あった!でも本棚の上の方だなぁ…)

咲(背伸びすれば取れるかな?よいしょ…って、わわっ!?)グラッ

久「危ない!!」ガシッ

咲「あ、部長…支えてくれてありがとうございま…」

久「…」ギュッ

咲「…えっ!?」

咲(何!?部長に後ろから抱きしめらた!?)

咲(え、え、何で!?どうしてっ!?)

久「…」

咲「…あ、あの…部長!?」

久「…なんてね」パッ

咲「!?…あ、も、もう部長!!からかわないでくださいよっ!!」

久「だって咲の可愛い反応が見たかったんだもん。それより借りたい本ってこれね?」ヒョイ

咲「あ、そ、そうです。ありがとうございます…」

久「どういたしまして。それじゃあ帰りましょうか」

咲「は、はい…」

咲「……あ、あのっ部長!!」

久「なあに?」

咲「あ、い、いえっ何でもありません…」

咲(私どうしたんだろう、さっきから部長を意識しちゃってる…)

久「それじゃあ、私はこっちだから」

咲「あ、はい。さようなら部長」

久「また明日ね咲。気をつけて帰るのよ。じゃあ…」

咲「……」


翌日


久「今日の部活も私達だけね」

咲「あ、そ、そうですね」

咲(昨日のアレはやっぱりからかわれただけなのかな…)

咲(部長はいつもと変わりないんだし、私もいつも通りにしないと!)

咲「う~ん、やっぱりネト麻って難しいな…」カチカチ

久「咲ならじきに慣れるわよ」

咲「そうだと良いんですが…ってあれ?」

久「どうしたの?」

咲「マウスが急に動かなくなっちゃったんですけど…」

久「…どれどれ」スッ

咲「…っ!?」

咲(マウスに乗せてた私の手の上に部長の手が重なって…!?)

咲(体も思い切り密着しちゃってるし…)

久「…あら、本当ねぇ…」フウッ

咲「ひゃっ!?」

咲(部長の吐息が耳元にっ!?な、ななな…)

咲(し、心臓がバクバクしちゃってる…どうか部長に聞こえてませんように…!)

久「…ほら、直ったわよ咲」スッ

咲「…へっ!?あ、そ、そうですね。ありがとうございます部長…」

咲(はああ、ビックリしたぁ…私、顔赤くなってないと良いんだけど…)

久「…」


久「じゃあ今日の部活も終了ね」

咲「お、お疲れさまでした!」

久「咲は今日も図書室?」

咲「はい。昨日借りた本を返しに」

久「あら、もう読んだの?早いわね。…それじゃあ私は学生議会の仕事があるから」

咲「あ、はい。お疲れさまでした部長」

図書室

咲「さて、借りた本も返したし。帰るかな…」

咲「……」

咲(ここで時間を潰してれば、仕事を終えた部長と一緒に帰れるかも知れない…)

咲(何か一冊読んどこう…)パラッ


――――


咲(……あれ?私いつの間にか寝てた…?)

咲(でも目は覚めてるのに瞼が開いてくれない…)

咲(昨日よく眠れなかったからかな…)

コツコツ…

咲(…あ、誰かこっちに近寄ってくる…)

ふわっ

咲(…あ、このコロンの香り…部長だ…)

久「…咲」ナデナデ

咲(私、部長に頭撫でられてる…心地…良いな…)ウトウト

久「……」ナデナデ

咲(もっと…撫でててほしい…な…)ウトウト

久「…」チュッ

咲(!?)

久「…」スッ


カツカツ… ピシャッ!!


咲「!!」ガバッ

咲「い、今頬に柔らかい感触がっ!?」

咲「わ、私、部長にキスされちゃった…!?」

咲「…何で部長はあんなことを…」

咲「……」


学生議会室


咲「…部長、まだいるかな…」

咲「失礼しま…」

?「さあ今日の仕事も終わったしそろそろ帰るか~」

咲(あ、室内から声が…)

?「でも会長が来ると一気に仕事が進みますね。さすがです」

?「そうだな。会長なら東京の一流大学でもやってけそうだよな」

?「ああ、会長の進路って東京の大学でしたっけ」

咲「!!」

咲(部長、東京の大学に行っちゃうんだ…)

咲(そっか…そうなんだ…)

咲(……)


――――

咲「…おはようございます…」

久「おはよう咲。どうしたの?何だか元気がないわね 」

咲「…いえ、何でもないです」

久「そう?体調が悪いのならあまり無理しちゃ駄目よ?」

咲「はい…」

咲(部長と一緒にいられるのも、あと数ヶ月なんだ…)

咲(…なんだか、胸が苦しいよ…)

――――


久「はあ、いよいよあと一ヶ月で卒業か~」

咲「早いものですね…」

久「本当ねぇ。でも充実した三年間だったわ。咲にも出会えたしね」

咲「部長……」


咲「…あの、部長。ちょっとお話があるんです」

久「あら、改まって一体何かしら?」

咲「部長が東京の大学に進学するっていうのは…本当の話なんですか?」

久「……」

久「咲は、私が長野を離れることをどう思ってるの?」

咲「それは…寂しいです…」

久「…それだけ?」

咲「……れたくない…」

咲「私、部長と離れたくない…」ポロポロ

久「咲…」


久(ずっと待ちわびてた、この瞬間を)

久(咲の中で私がいちばんの存在になることを)

咲「勝手なこと言ってごめんなさい、でも私…」ポロポロ


久(はじめは咲の麻雀に魅せられた)

久(それがいつしか咲自身に惹かれている自分に気が付いた)

久(でもそうやって咲への恋心に気づいた時にはもう、咲は須賀君と付き合っていた)


咲「私、部長とずっと一緒にいたい…」ポロポロ


久(はじめは諦めようと思った。咲の幸せのために)

久(でも須賀君と幸せそうにしてる咲を見ているうちに、自分の中でドス黒い感情が溢れ出した)

久(どうしてあの咲の笑顔をいちばん間近で見れるのが自分ではないのか)

久(なぜこんなに好きなのに自分の感情を抑えなければならないのか)

久(そうして葛藤しているうちに私は一つの決断を下した)

久(咲を諦められない。―――だからどんな手段を使ってでも咲を手に入れようと)


咲「あ、あの…困らせてしまってごめんなさい部長…」

久「ふふっ、バカね。困ってなんかいないわよ」

咲「…えっ?」

久「東京の大学を受けるなんて嘘よ。私の第一希望は信州大学」

咲「……嘘…?」

久「私が咲を置いて東京なんて行くわけないじゃない」

久「私だって、ずっと咲と一緒にいたいと思ってるんだから」

咲「…っ!!部長…!!」ポロポロ

久(和と須賀君に酷いことをしたのは自覚している)

久(それでも私は咲を自分のものにしたい)

久(誰を犠牲にしてでも、自分の恋を叶えると決めたから)


咲「好きです、部長…」ダキッ

久「私もあなたが好きよ、咲」ギュッ

咲「部長、部長っ…」ポロポロ

久「ふふっ、咲は本当に泣き虫ねぇ」ナデナデ


久(やっと捕まえた、咲)

久(もう離さない)


――――

数年後

久「咲、咲…っ」ギシギシッ

咲「ああっ!久さん、私もう…っ」ガクガク

――――

咲「ねえ久さん、今日はどうしたんですか?」

久「…ん?何が?」

咲「だって、いつもより激しかったから…///」

久「ちょっとね。咲が対局後他のプロ達と仲良さげにしてたんで嫉妬しちゃったのかも」

咲「えっ?」

久「こう見えて独占欲強いのよ、私」ニッ

咲「久さん…///」

咲「あの、衣ちゃんと淡ちゃんはただの友達ですから」

久「ふふ、分かってるわよ」

咲「私には、久さんだけです…」ギュッ

久「その言葉だけで十分だわ」ギュッ


久(なんて咲の前では大人ぶってみせるけど、内心はドロっとした感情で溢れかえってる)

久(大星淡に天江衣。最近咲とよく交流している、目障りな二人)

久(特に天江衣。あの子、自分と咲は特別な絆で繋がってるとかふざけた想いを抱いているようだから)

久(そろそろ、潰しておかないと)


咲「久さん?何か考え事ですか?」

久「ん?もちろん咲のことよ」

咲「久さん///大好き」

久「私も大好きよ、咲」


久(いつかあなたが他の人を好きになったその時には)

久(迷わずその息の根を止めれるくらいに)


咲にのめり込む部長が書きたかっただけの話
支援ありがとうございました

乙ありがとう
あと咲和好きの方すみませんでした
今度幸せな咲和書きますんでご勘弁を

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