さやか「恭介にヴァイオリンを習おう!」(115)

上条邸前

さやか「……」

杏子「帰るのかい? 今日一日探しまわってたんだろ?」

さやか「……アンタっ……!?」

杏子「惚れた男をモノにするなら、もっと冴えた手があるじゃん」

さやか「……?」

杏子「今すぐ乗りこんでいって、その坊やにヴァイオリンを習えよ」

さやか「はぁ?」

杏子「色恋ってのは指くわえて見てるだけじゃ駄目だ。自分からどんどん行動してナンボ……巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」

さやか「う……」

杏子「とにかく助言はしたよ。まぁチキンなアンタのことだ、どうせしばらく立ちつくした後帰るのかもしれないけどな」

さやか「あ、待てっ! ……行っちゃった」

さやか「(でも確かにアイツの言う通りかもしれない……。これからもずっとこんな感じで……ずっと前に進めない。だったらいっそ……)」

ピンポーン

恭介『はい』

さやか「あ、恭介? さやかだけど、ちょっといいかな」

恭介『ああ、さやかかい。どうぞ上がってくれ』

上条の部屋

恭介「退院の連絡が追い付かなくてすまなかったね、さやか。後でちゃんと伝えるつもりだったんだけど」

さやか「あ、そうなんだ……。いやいや、全然気にしてないよ!」

恭介「良かった。で、用事っていうのは?」

さやか「いやー、その……あたしもヴァイオリン始めてみたいなって思って!」

恭介「さやかが? 唐突だね」

さやか「え、えっと、その……あ、そうそう! あたしがこの前恭介に買っていったCDあったじゃん! あれ誰の何て曲?」

恭介「ラフマニノフのヴォカリーズかい? オイストラフが弾いている……」

さやか「それそれ! あれを聴いてさやかちゃん感動しちゃってねー! あたしもヴァイオリン始めたいなって」

恭介「へえ。それは嬉しいことだ。で、僕にアドバイスをもらいに来たんだね?」

さやか「あー、いやー……、その……」

恭介「?」

さやか「出来れば、恭介に教わりたいなー、なんて……」

恭介「ええ!? 僕かい? うーん、僕もまだまだ人に教えられるほどじゃないからな……」

さやか「そこを何とか! 月謝も払いますから!」

恭介「……さやかがそこまで言うなら。月謝は別にいらないけどね」

さやか「え、本当!?」

恭介「一日一時間くらいでいいかな?」

さやか「うん!」

翌日

さやか「舞い上がっちゃってますね! あたし」

まどか「さやかちゃんテンション高いね……」

さやか「何と恭介にヴァイオリン習うことになっちゃってね!」

仁美「!?」

まどか「さやかちゃんにヴァイオリンって……似合わなすぎだよ」ティヒヒ

さやか「失礼なー。でもこれで今日からさやカンタービレスタートだね!」

仁美「……」

これは期待

放課後 上条邸

さやか「おじゃましまーす」

恭介「やあ、いらっしゃい」

さやか「ホントに何も持ってこなかったけど、いいのかな?」

恭介「ああ、今日のところはね。まずはさやかのヴァイオリンに対する漠然とした疑問とか、そういうのに答えようと思う」

さやか「うーん、結構あるなぁ。というか、ヴァイオリンって三歳から始めないと駄目なんじゃないの?」

恭介「そんなことはないよ。もっとも僕は確かにそのくらいの年齢から始めたけど、さやかくらいの歳から始めてプロになった人も少なからずいる。大事なのは練習の質だよ」

さやか「なるほどなるほどー。あとは……ヴァイオリンってすっごく高いって聞くけど、そこんとこどうなの?」

恭介「まあ安いとは言えない。値段が全てってわけじゃないけど、やっぱり数万程度の楽器だと大分劣悪なのは確かだね」

さやか「数万……程度っ!?」

恭介「初心者なら30~40万くらいの楽器から始めるのが普通かな」

さやか「30万っ……!?」

恭介「でもやっぱり考えなしに買うのは危険だね。価値が分からないのをいいことに、質の悪いヴァイオリンを高価で売っている店なんて山ほどある」

さやか「そうなの?」

恭介「ああ。だから購入する際は、信用の出来る先生のコネクションを通すことをおすすめする。まあさやかは、その点は心配しなくていいよ」

さやかちゃんがヴぁいおりん…

さやか「でもあたし、そんなにお金持ってなくて……」

恭介「さやかにはしばらく僕のヴァイオリンを貸すよ」

さやか「え、でもそれじゃあ恭介のヴァイオリンは……」

恭介「大丈夫。プロと呼ばれる人は普通二本以上楽器を持っているよ。これから貸すのは一番グレードの低い奴だから安心して」

さやか「ははは……」

恭介「じゃあまずDVDでも見てみようか」

さやか「DVD?」

恭介「うーん、パールマンとかがいいかな。最近はいい時代でね、最高峰の演奏を手軽に映像で見られるようになった」

さやか「(手軽にって……そのDVD一本数千円するんだよね?)」

恭介「曲は、さやかが感動したって言ったヴォカリーズだよ」ピッ

♪~

恭介「どうだったかな?」

さやか「うーん。何だかすごくあったかい音色っていうか……聴いてて幸せな気分になるよねぇ……。それにしてもあんなに太い指でよく弾けるね」

恭介「僕も最初はそう思ったけどね。指が太いから早弾きできないということもないみたいだ」

さやか「ふーん」

いつかこんなスレが立つだろうとwktkしていたが、ついに来たようだな

支援

恭介「じゃあ、そろそろ実際にヴァイオリンに触れてみようか」

さやか「おおっ! 待ってました!」

恭介「これがヴァイオリン。普段はケースに入れている。ケースの中に入っているものを確認しよう。まずはヴァイオリン本体。そして弓と肩当て。あとはカバーや手入れ用の布、そして松脂」

さやか「おぉー! 触らせて触らせて!」

恭介「ちょっと待った」

さやか「?」

恭介「ヴァイオリンの表面にはニスが塗ってあって、これが微妙な音色を保っているんだ。そしてニスは人が触ると溶けてしまう」

さやか「えぇっ? じゃあ触れないじゃん!」

恭介「だからヴァイオリンを持つ時は、触っていい場所が決まっている。このネックと、そうそう、その細くなってる部分ね。あとは顎当ての下の部分」

さやか「なるほどー。ところで、この松脂ってのはなんなの? 宝石みたいで綺麗だね」

恭介「うん。ヴァイオリンっていうのはそもそも弦と弓の毛の摩擦で音を出す楽器だろう? その摩擦を強くするためにこの松脂を弓の毛に塗るんだよ」

さやか「へえ」

恭介「塗る回数は人によるけど、僕は二往復くらいかな」

さやか「ふむふむ。この肩当てってのは?」

恭介「まあ絶対につけなきゃいけないってわけじゃないんだけど、ヴァイオリンを持ちやすくするための補助器具みたいなものさ。さやかにはこれをつけてもらおうかな。こうやってヴァイオリンの本体に取り付けて……」

さやか「高さを調節するのね」

さやさや

恭介「ま、そんなところかな。じゃあまずは本体を持って構えてみよう」

さやか「よっしゃー!」

恭介「まずは左手でネックを持って……そう。そこを顎に挟む」

さやか「(恭介があたしの手をとって教えてくれてる!///)」

恭介「ん、こんなところかな。じゃあ左手を離してごらん」

さやか「え? それって、顎だけでヴァイオリンを持てってこと?」

恭介「そうだよ。そもそもヴァイオリンは腕じゃなくて顎で挟むものだからね」

さやか「えー! 絶対落ちるよ!」

恭介「大丈夫。ほら」

さやか「う、うん」ソー

恭介「ね? 大丈夫だろう」

さやか「おおー!」

恭介「くれぐれもヴァイオリンを手で持たないことだね。姿勢も崩れるし肩もこっていいことなしだ」

さやか「分かったよ恭介!」

かみかみさやさや

恭介「じゃあ次は弓を持ってみよう」

さやか「ふむ」

恭介「まず、弓はこのネジを回すことでハリの強さを変えられるんだ」

さやか「うぇっ!? どんな仕組みなのよ……」

恭介「はは、確かに不思議だよね。弾く時は、重さをかけて毛と木がぎりぎり触れない程度がいいだろう。はり過ぎは禁物。弾かない時は緩めるんだけど、これも緩めすぎないように」

さやか「うん」

まどまど?

恭介「持つ時は、親指、中指、薬指が中心だ」

さやか「こう?」

恭介「そうそう。で、人差し指を巻き付けて、小指を乗せる」

さやか「こうかな」

恭介「小指が張ってるね。小指は乗せるだけだって」ソッ

さやか「う、うん……///」

恭介「それが基本の持ち方だね」

さやか「うえー、キツいなー」プルプル

恭介「それで指を自由自在に曲げられるようになったら一人前だ」

さやか「無理!」

恭介「ははは」

さやさや

さやかちゃんが幸せそうよかとです

チェロ弾きだけど、弦楽器って楽しいけど難しいよね
周りに仲間がいないと本当に続きにくいと思う

恭介「じゃあ、いよいよ音を出してみよう。弦は左から順にG、D、A、E線という」

さやか「でー? あー?」

恭介「ドレミファソラシドのことをCDEFGABというんだけど、それのドイツ語読みだよ」

さやか「えーはEであってAじゃないのか……ややこしいなぁ」

恭介「何も押さえずに弾いた時、それぞれの線の名前の音がでる。G線ならソの音だね。じゃあまずはA線に弓を置いてみよう」

さやか「ほい」

恭介「そのまま、腕の重さに任せて弓を引っ張る」

さやか「うん」

アー

さやか「おおっ! 音が出た!」

しあわせさやさや

支援せざるを得ない

さやかちゃんは幸せになるべきなんだ!
仁美滅びろ

恭介「この弓の動きをボーイングという。ボーイングは常に弦に対して垂直」

さやか「垂直かぁ……難しいなぁ」

恭介「弓が右に進む時をダウン、その逆をアップと呼ぶよ」

さやか「ふーん」

恭介「よし、じゃあ次は弦を押さえてみよう。さやか、長い弦と短い弦はどっちが高い音が出ると思う?」

さやか「? 長い弦?」

恭介「はずれ」

さやか「あたしって、ほんとバカ……」

恭介「そんなわけで、手前を押さえるほど高い音がでるよ」

さやか「ほぉー」

恭介「ヴァイオリンの左手の指の関係は二つしかない。くっつけるか、離すか。くっつけたら半音、離したら全音。これの組み合わせで全部のメロディーが弾ける」

さやか「全音? 半音?」

恭介「そこの説明はめんどくさいから割愛ね。ではいくつかの指のパターンを練習してみよう」

さやか「おー!」

音が出て嬉しそうなさかやちゃん可愛い

これはSSに見せかけたヴァイオリン入門講座

数日後

さやか「ちゃらら~ん」

まどか「さやかちゃん、いつにもましてめんどくさいよ……」

さやか「わたしは~音楽少女さやかちゃ~ん」

仁美「……」

杏子「どっかで見たバカ面だと思ったら、アンタか」

さやか「おおっ! あれから恭介にヴァイオリン習ってるんだよ! これもアンタのおかげかな!」

杏子「そ、そうか。良かったじゃん……」

さやか「アンタのこと最初は嫌いだったけど、いい奴だね! 魔法少女同士仲良くしよう」

杏子「え? あー……うん」

上条邸

恭介「さやかもある程度基礎が身に着いたことだし、そろそろ曲に入ろうと思う」

さやか「待ってましたー!」

恭介「『金婚式』これを当面の目標にしてもらおうかな」

さやか「? あたしと恭介の?」

恭介「はい?」

さやか「(あ、曲名か……)」

恭介「はい、楽譜」

さやか「おおー……」

恭介「さやかには頑張ってもらわないとね」

さやか「ん?」

恭介「さやかには一年後発表会に出てもらおうと思って」

さやか「は、発表会!? あたしが小さい頃恭介のに行ったみたいな?」

恭介「そう。そこで何か弾きたい曲とかある?」

さやか「……グノーの、『アヴェ・マリア』とか出来るかな」

恭介「うん。ちょうどいいだろう」

さやか「やったー!」

> 恭介「『金婚式』これを当面の目標にしてもらおうかな」
>
> さやか「? あたしと恭介の?」

さやかちゃんバカすぎワロタ

このさやかちゃんは魔女らなさそうだ

さやさや

学校

さやか「というわけで、さやかちゃん発表会! 皆来てね!」

まどか「一年後に憶えていればね……」

ほむら「何の話をしているのかしら」

まどか「さやかちゃんがヴァイオリンの発表会に出るんだって」

ほむら「美樹さやかが? まどかも冗談が下手ね」

さやか「ちょっとさっきからひどくない?」

ほむら「(まぁ、これで上条恭介に対して絶望しなくなったのは大助かりだわ)」

さやか「あ、そうだ。転校生はピアノ出来るんだっけ?」

ほむら「たしなむ程度には……。それがどうかしたの?」

さやか「あたしの伴奏やってよ!」

ほむら「嫌」

さやか「即答かい!」

ほむら「あなたの『伴奏』なんて字面だけでうんざりするわ」

さやか「ひどいなー」

仁美「さやかさん……」

さやか「仁美?」

仁美「わたくしで良ければ……その、伴奏を……」

さやか「あれ、仁美ってピアノやってたんだっけ?」

仁美「ええ、習い事で」

さやか「じゃあ、その時は仁美に頼むよ!」

ほむら「(しかし……絶望はしないにしても、魔女退治をいい加減にされるのは、それはそれでソウルジェムの濁りが……)」

ほむら「美樹さやか」

さやか「ん? 何よ転校生」

ほむら「ちょっと話があるわ。こっちに来なさい」グイッ

さやか「おわー!?」

さーて支援だ

さやか「何なのよ、いきなり」

ほむら「ちょっとソウルジェムを見せてみなさい」

さやか「? はい」

ほむら「……やっぱり少し濁っているわね。これをあげるわ」

さやか「グリーフシード……?」

ほむら「ヴァイオリンの練習をしていては、魔女退治している暇もないでしょう?」

さやか「(あ……魔女退治……忘れてた……)」

ほむら「だからわたしがグリーフシードを……聞いているの?」

さやか「うわー!! マミさんに顔向けできないー!!」

ほむら「美樹さやか?」

さやか「魔女狩ってこなきゃ!!」

ほむら「(そういえば美樹さやかは魔女退治に関して使命感のようなものを持っていたの忘れてた……。どうしましょう)」

その気になればさやかちゃん

保守

練習一日一時間だけなら魔女退治余裕やん

BGM:パガニーニ「魔女たちの踊り」

さやか「うわああああー!!!!」

魔女「ギャー」

さやか「はぁ、はぁ……」

杏子「なーにやってんだよ、ボンクラ」

さやか「アンタ……」

杏子「そろそろレッスンの時間だろ?」

さやか「それは……。でも魔女を倒さないと……」

杏子「あたしさ、ちょっと前までは魔女をグリーフシードのタネ程度にしか思ってなかったんだけどさ……」

さやか「?」

杏子「アンタを見て、もう一度人の為に魔女を狩ろうって思ったんだ。正義ある魔法少女が一人生まれた、それだけでアンタが魔法少女になったことは意味があると思わないかい?」

さやか「……」

杏子「あの暁美ほむらってやつもグリーフシードくれるらしいし、今はヴァイオリンに集中しなよ」

さやか「そっか……そうだね!」ダッ

支援

しえほむ
グノーのアヴェマリアか、俺もよく弾いたわ

杏子「(単純な奴……)」

杏子「これでいいのかい? 暁美ほむら」

ほむら「ええ、礼を言うわ」

杏子「しかしあいつの為になんでそこまでしてやるんだ?」

ほむら「ワルプルギスの夜を前にして、素人にかき回されると迷惑なのよ。美樹さやかには大人しくしていてほしいだけ」

杏子「ははっ。それもそうだ。じゃ、そのワルプルギスの夜を倒すための作戦ってのを教えてもらおうか」

上条邸

恭介「さやか、第三ポジションの音程がまだ不安定だよ」

さやか「うっ。ご、ごめん」

恭介「曲ばかり弾いて、音階練習をしていないんじゃないだろうね?」

さやか「ぎくっ」

恭介「はあ、さやかのことだからまあ予想はしてたよ。そもそも、さやかは音階が分かるのかい?」

さやか「え……サ長調とか?」

恭介「それくらいは分かっておいた方がいいよ。まぁ僕が教えることでもないけど」

さやか「うーん……」

支援

学校

さやか「あたしって、ほんと……」

まどか「さやかちゃん、珍しくブルーだね。わたしとしてはちょうどいいんだけど」

さやか「うおー! 音楽理論が全く分からん!」

まどか「音楽理論? シャープをつけると半音上がるんだよ!」ティヒヒ

さやか「う、まどかにすら負けてる……」

まどか「(逆にさやかちゃんはその程度も知らないでどうやって弾いていたんだろう)」

さやか「でも確かに恭介に教わることでもないしなー」

さやさや

さやか「え、仁美ってそんなことも分かるの?」

仁美「ピアノをある程度やっていれば当然ですわ」

さやか「教えて! このとーり!」

仁美「ふふっ」

まどか「(仁美ちゃんがやけにさやかちゃんに協力的なのは何なんだろう?)」

数日後

さやか「よっしゃ、仁美に教わって音楽理論が……分からーん!」

まどか「さすがさやかちゃんだね」

さやか「でもシャープとかフラットの付き方で音階が変わるってのは何となく理解出来たよ」

まどか「それだけで大分奇跡だよね」

さやか「とりあえずこの音階教本でしばらく音階を練習しよう」

ミス
>>54の冒頭に
仁美「わたくしが教えて差し上げましょうか?」
追加

ひとひとさやさや

地味にあんこちゃんも何かしら音楽出来そう
親父の娘だし

ほむホーム

杏子「で、何でマミがいんだよ……」

マミ「あら、わたしが生きていて不服かしら?」

杏子「いや、いいんだけどさ……。あの魔女に頭パクッてやられたって聞いたからさ」

ほむら「わたしがソウルジェムだけは回収しておいたの。身体の復元は大分骨が折れたけど」

マミ「ありがとうね、暁美さん」

ほむら「わたしは、ワルプルギスの夜を倒したいだけ」

マミ「でも、暁美さんがこれだけ情報を持っているし、この三人なら勝てそうね」

ほむら「勝つのよ。何としても」

あんこ「教会にあったパイプオルガンしかひけねー」

何気に毒舌なまどっち

上条邸

♪~

恭介「いいね! じゃあ『金婚式』は合格だ」

さやか「えへへ」

恭介「楽譜に花丸を書いてあげよう」

さやか「(やったー!)」

恭介「次の曲は……ある程度左手が忙しいのをやろうか。ヘンデルのソナタ三番の二楽章とかどうかな」

さやか「よっしゃ!」

本当のまどっちの素はあんな感じだと思ってる

ティヒヒなんて笑いかたして頭ピンクなんてまともな訳な

マミマミ

恭介「じゃあ久しぶりにDVDでも見てみるかな」

さやか「今日は誰?」

恭介「ヤッシャ=ハイフェッツの……カプリース24番」

♪~

さやか「……」

恭介「どう?」ハハハ

さやか「うん、なんか色々やる気がなくなったわ……」

恭介「これを見て茫然と出来るってことは、それなりにさやかも成長したんだよ」

さやか「そうなの?」

まどっちは本編でもさやかちゃんに対してちょっと辛辣

学校

さやか「というわけでヘンデルのソナタをやることになったよ!」

まどか「ヘンデル!?」

さやか「う、うん」

まどか「ヘンデルいいよね! 最高だよね!」

さやか「何なのよそのヘンデル押し……」

まどか「ハレルヤー!」

仁美「発表会の準備の方は進んでいますの?」

さやか「あ、うん。この曲が終わったら発表会の曲に入るって」

仁美「楽しみにしていますわ」

ほむホーム

杏子「おおっ! 行けるんじゃねえかコレ!」

マミ「うん、これが実際に出来れば……」

ほむら「(ようやく、ワルプルギスの夜を倒せる可能性が……)」

上条邸

さやか「恭介ぇ~。この移弦が多いところが弾けないよー」

恭介「さやかは移弦を勘違いしているね」

さやか「?」

恭介「移弦はタテじゃなくてヨコの動きだよ」

さやか「へ?」

恭介「まず弓をAに置いて……手を手前に引いてごらん」

さやか「こう……? おお、Eに移った!」

恭介「低い弦に移動するときはその逆。こうすれば無駄な動きなく移弦できるだろう?」

さやか「なるほど~」

タラタラタラタラ

さやさや

学校

まどか「それはとっても嘘っぽいなって」

さやか「え?」

まどか「最近思うんだよね。さやかちゃんにヴァイオリンってやっぱありえないよ」

さやか「はあ」

まどか「ヴァイオリン習ってるってやっぱ嘘でしょ!」

さやか「ええ!?」

まどか「嘘じゃないなら、今度さやかちゃんの家行くからヴァイオリン弾いて見せてよ!」

仁美「わたくしも聴きたいですわ」

さやか「何そのツンデレ」

まどか「ツ、ツンデレじゃないもん! さやかちゃんがヴァイオリン弾けるか疑わしいだけだから!」

さやか「ま、そういうことなら今度聴かせてあげましょう!」

まどか「やったー!」

仁美「やったーって言っちゃっていますわ」

まどかわいい

ツンツンまどまど

本格派椙ワロタ

後日 さやかの家

さやか「じゃあ、さやかちゃんコンサート始めます!」

まどか「わー」パチパチ

仁美「楽しみですわ」パチパチ

さやか「曲は、『金婚式』」

♪~

まどか「さやかちゃん、意外と上手かったね!」

さやか「意外とって何よ!」

まどか「初心者ってギコーって音出すじゃん。あんな感じかと思って」ティヒヒ

さやか「まあ、ヴァイオリンの基本は脱力だって恭介が教えてくれたからねー」

仁美「……」

上条邸

♪~

恭介「いいね! ヘンデルも合格だ!」

さやか「花丸ちょうだい花丸!」

恭介「はいはい」キュッ

さやか「いえーい」

恭介「じゃあ、次はいよいよ『アヴェ・マリア』に入ろうかな」

さやか「待ってました!」

恭介「ゆっくりな曲だけど、いきなりsulGだったりポジションが高いから気をつけてね」

さやか「はーい」

恭介「魔法少女まどか☆マギカは大好きなアニメだけど、僕の演奏シーンの作画だけは頂けないね。だいたい『アヴェ・マリア』の最終音はGの開放なのになんでD線弾いてるんだよ!」

さやか「恭介? 何を言ってるの?」

恭介「いや、何でもないよ」

恭介「今日見るDVDは……」

さやか「なになに?」

恭介「ハイフェッツの」

さやか「うぇっ」

恭介「はは、今日はあんなのじゃないよ。『亜麻色の髪の乙女』」

さやか「あ……」

♪~

恭介「さやか……ありがとう」

さやか「何が?」

恭介「いや、何でもない」

さやか「……そう」

数週間後

恭介「じゃ、弾いてみてくれ」

さやか「うん」

Ave Maria, gratia plena,

Dominus tecum,

さやさや

上条は恐怖した
さやかはさやかであるという自己認識、自らに自らを判断するという最後の一線を容易く超えるという事実にではない
自己を他者から愛される為にその自壊的な行為を行うという、言わば人間そのものに対する讀質性を正確に認識しつつ行なったという軽妄ぶりに恐れを抱いたのだ
狂気を認識する狂人はいないとは常識の世の話
みよ、さやかは脳内に濁り粘るような圧倒的熱量を持つ狂気を黒煙の様にくすぶらせ稼働する
狂っていた、どうしようもなく狂っていた

更に数日後 街の外れ

ほむら「……来るっ!」



杏子「やってやろうじゃん」



マミ「速攻で片付けるわよ



ほむら「まどか……」



ワルプルギス「キャハハハハッ!!!!!」

benedicta tu in mulieribus,

et benedictus fructus ventris tui Jeus.

まどか「ほむらちゃん……」

QB「君が契約すれば、ワルプルギスの夜は確実に倒せるだろうね」

まどか「うん……でも、約束したから。ほむらちゃんたちが絶対に勝つって、信じているから」

QB「そうかい。なら見届けてあげるといい。彼女たちの戦いを」

そういやそんなの居ましたね感

Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,

杏子「おらあああああ!!!」ザシュ

マミ「ティロ・ボレー!!」ボンッ

ほむら「……決着をつけてやる!」

nunc, et in hora mortis nostrae.

ほむら「……」ポチッ

ドーン

ワルプルギス「ギャァアアアアアアア!!」

Amen.

ほむら「やっ……た……?」

杏子「やったんじゃねえか?」

マミ「そのようね」

ほむら「まどか……わたし……勝ったよ……」

QB「やれやれ、まさかあのワルプルギスの夜を倒すとはね。僕の負けかな」

ほむー

数ヵ月後 学校

さやか「はいっ!」

まどか「え……? ああ、これ……」

さやか「さやかちゃんの発表会! 皆来てね!」

仁美「わたくしもゲストで出ますわ」

さやか「ほら、転校生も!」

ほむら「……わたしももらっていいの?」

さやか「もちろんさ! あ、マミさーん!」

マミ「あら、お誘い? ありがとう」

さやか「あとは杏子に渡して……さやかちゃん頑張りますよー!」

マミさんは座席を二つ分占領しちゃうよね…

発表会当日 ホール

さやか「ほえ~結構色んな人が出るんだね~」

恭介「僕の先生のお弟子さんたちだけどね」

さやか「でもそれって皆プロ候補生ってことでしょ?」

恭介「大丈夫、さやかだって負けてないよ」

さやか「そう言ってくれると助かるけど……」

恭介「それにさやかの順番は最初だからね。コケてもだれも文句言わないさ」

さやか「がくっ。まあ、楽しんで弾くよ!」

恭介「それがいいよ」

さやか「トリは恭介なんだよね?」

恭介「ああ。メイン曲はバッハのシャコンヌで……前座でもう一曲」

さやか「何?」

恭介「ラフマニノフ『ヴォカリーズ』」

さやか「……楽しみにしてるよ!」

1年経っても転校生なのかww

>>86
屋上

開演

まどか「ティヒヒ。こんなに大きなホールなんて、さやかちゃん失神しちゃうんじゃないかな」

杏子「ったく、こんな畏まった服用意するのに大分手間取ったぞ」

QB「マミはフォーマルな服装が板についているね!」

マミ「ふふ、ありがとう」

杏子「なんでQBがいんだよ」

QB「いいじゃないか、他の客には見えないんだし」

ほむら「このメンバーで美樹さやかの演奏を聴けること自体奇跡ね」

まどか「奇跡も魔法もあったんだね」ティヒヒ

ほう

「プログラム一番 美樹さやか バッハ/グノー『アヴェマリア』」

さやか「ふー」チラッ

仁美「」ニコッ

パチパチパチパチ

さやか「(3……4……)」

♪~

演奏終了

さやか「仁美、お疲れ!」

仁美「いい演奏でしたわ、さやかさん」

さやか「さ、客席に行こう!」

仁美「ええ」

客席

杏子「お疲れ、良かったじゃん。何か実家を思い出しちまったよ」

さやか「ありがと、杏子」

ほむら「思ったより良かったわ」
マミ「美樹さん、良かったわね」

QB「きゅっぷい」

さやか「どうだー」ドヤァ

まどか「さやかちゃんのヴァイオリン、すごく良かったよ! わたしね、さやかちゃんの音色大好き」

さやか「えっ? ど、どうも」

仁美「何そのデレ」

さやかちゃんかわいい

そしてプログラムは進み……

「プログラム16番 上条恭介 ラフマニノフ『ヴォカリーズ』」

さやか「いよいよ恭介の番だね……」

仁美「さやかさん」

さやか「ん?」

仁美「そろそろ自分の気持ちに素直になられては?」

さやか「えっ///」

仁美「応援してますわよ」

さやか「え、えっ……/// ……うん」

♪~

発表会終了後

恭介「今日は皆来てくれてありがとう」

さやか「ありがとー!」

恭介「この後打ち上げっていうか、ご飯に行くんだけど、皆どうかな」

杏子「おおっ行く行く!」

まどか「わたしもー!」

マミ「わたしもいいかしら」

ほむら「ところで美樹さやか、随分と近いじゃない」

さやか「近いって……あっ///」

恭介「さやか……」ギュッ

QB「あー、手握っちゃったよ」

杏子「ひゅーひゅー」

仁美「……」

まどか「仁美ちゃん……」

仁美「さっ行きましょう!」

QB「音楽は世界を平和にするというお話だったね」

さやか「なんでアンタが締めるのよ」

おわり

本当にヴァイオリン入門講座にしても良かったんだけど需要あるか分からなかったので

ありがとうございました。



この仁美良い女じゃないか・・・!

良いね
良いと思うよ
乙乙

大変宜しいと思います


仁美がわざと弾きにくいように伴奏する展開じゃなくてよかった

めっちゃ 乙っすよ~

やっぱりさやかちゃんが幸せなSSはいいね
乙乙

乙っちまどまど
今日は俺も弾くか

需要があるかはやってみなきゃわからないから困る
気が向いたら書いてくれ、少なくとも俺得やで


久しぶりに変態じゃない恭さやを見れてよかった

乙でした〲

乙乙乙

さやっち乙乙

さやかわいい
乙乙

おつ

初めの方のヴァイオリン講座なやつも面白かった

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