士「って、この格好……今回のこの世界の役割は刑事みたいだな」
夏海「みたいですね。どうです士君、このロングコート、ドラマの刑事さんみたいで格好いいでしょう?」
士「ああ、寸胴の夏みかんでも体を隠せていいんじゃないのか」
夏海「光家秘伝、笑いのツボ!」
士「ア、アッハッハッハッハッハ、夏海テメェ……ハッハッハッハ!」
ユウスケ「警察かあ、姐さんを思い出すなあ」しんみり
士「ハァ、ハァ……取り敢えず外に出てみるか」
夏海「そうですね、この世界はどうなっているんでしょうか」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423657785
士達が写真館を出てすぐ、向かいの建物から出てきた警官2人と鉢合わせる。すると、すぐさま2人は敬礼をした後、士に近寄ってきた。
警察官1「おお、門矢刑事、このような所においででしたか!」
警察官2「ささ、今日は我が署の特別顧問として本庁よりお越しいただいている身ですからな、丁重にご案内しますよ」
士「なるほどな、大体分かった。どうやら俺はどの世界にいても周囲がほっとかないらしい」
警察官1「そちらの2人は?」
士「ああ、こいつらのことは気にしなくていい、俺の部下のモブその1とその2だからな」
夏海「誰がモブですか!」
ユウスケ「そうだそうだ!」
士「とにかく、その署とやらにさっさと案内してもらおうか」
警察官1「やや、これは失礼しました。さあどうぞこの車にお乗りください」
警察官2「初日に向かう場所は特状課とかいう辺鄙(へんぴ)な課ですが、なに、あの連中は適当にあしらってさっさと終わらせてしまって構いませんので」
3人を乗せたパトカーは、彼らを特状課のメンバーの務める自動車学校へと運んでいった。
警察官1「それでは門矢刑事、1時間後にお迎えにあがりますので」
士「ご苦労」
夏海「それにしても、こんなところに警察の部署があるんですね」
ユウスケ「どう見ても普通の自動車学校にしか見えないけどなあ」
士「とりあえず中に入ってみ……危ねえ!」
夏海「キャッ!」
突如足元に襲いくる弾丸に気付き、咄嗟に夏海を庇うようにして倒れこむ士。ユウスケも慌ててその場を退避する。
夏海「あ、ありがとうございます、士君」
頬を少し染めながらお礼を言う夏海を立ち上がらせると、士は懐からバックルを取り出した。
士「兄ちゃん、そんなに危ないもの振り回してるとこのお巡りさんが逮捕するぜ!」
士の視線の先には、紫と黒のライダージャケットを羽織り、こちらにブレイクガンナーを構えるチェイスの姿があった。
チェイス「仮面ライダーの気配を感じて攻撃したが、貴様ドライブではないな……何者だ?」
士「まあ、仮面ライダーを破壊する仮面ライダー……ってとこだ」
チェイス「何だと? ふざけるな、それは俺の役目だ。俺は仮面ライダーを抹[ピーーー]る者、チェイス。またの名を……」
チェイスはゆっくりとブレイクガンナーのマズルを押し込む。
“ブレイクアップ”
チェイサー「魔進・チェイサー!!」
士「くそっ、問答無用って訳か」
チェイサー「どうした、早く変身しろ」
士「……驚いたな、変身前に攻撃してこない奴に会うのは久しぶりだ」
チェイサー「変身前の人間など、倒す価値もない。それだけだ」
士「お前、怪人なのになかなかロマンの分かるやつじゃないか。そういう奴は嫌いじゃねえけど、ま、勝負は勝負だ。負けた後に後悔すんじゃねえぞ!」
士はバックルからディケイドのカードを取り出すと、バックルに挿入する。
士「変身!」
カメンライド ディケイド!
いくつもの虚像が重なり合った後、やがてそこにはマゼンダ色を基調とする体色にバーコードを彷彿とさせるモチーフのライダー、仮面ライダーディケイドが現れた。
チェイサー「フン、いくぞ!」
ディケイド「どこからでも……来い!」
設定としては、ムービー大戦2010後に、平成2期の世界を巡っている……ということにしています。
矛盾点等見受けられると思いますが、ご容赦いただけると幸いです。
チェイサー「ハッ!」
チェイサーは走り出した勢いのまま、ディケイドの腹部目がけて体重を乗せたパンチを繰り出す。加速の加わったパンチを直接受けるのではなく、左手でいなすようにして躱すと、ディケイドは体を回転させながら右手に持ったカードをベルトに装填する。
アタックライド スラッシュ!
ディケイド「ソラァ!」
チェイサー「くっ!」
ソード状になったライドブッカーで袈裟気味に切り裂かれるところを、チェイサーも手にしたブレイクガンナーで防ぐと、そのまま銃口をディケイドに向け、躊躇いなく引き金を引いた。
ディケイド「ぐああっ!」
いくつもの弾丸を胸に受け吹き飛ばされながらも、ディケイドは受け身を取ってすぐさま起き上がる。
士「痛てて……くそっ、お前なかなか骨のある奴みてえだな!」
その様子に夏海を庇いながら戦いを見守っていたユウスケも、くっと呻いてベルトを出現させる。
ユウスケ「超変身!」
ベルトのスイッチを拳で押し込み両手を低く広げると、陽の光を受け真っ赤に輝く赤の装甲に、赤い複眼を持つ仮面ライダークウガマイティフォームが姿を現した。
ユウスケ「士、俺も!」
士「馬鹿、手を出すんじゃねえ!」
ユウスケ「へっ?」
士「こんな奴、俺1人で十分だ。それに、どこに敵がいるか分かんねえ、夏みかんを見てろ!」
夏海「士君……」
チェイサー「ふん、1対1の真剣勝負を所望か……愚かだが、ドライブであれば大した奴だと褒める所だろうな」
士「ドライブって奴が誰だか知らんが、そんなんじゃねえよ。まあ、あんたがどう解釈しようが勝手だがな」
チェイサー「ならば俺も相応の力で応えるとしよう……!」
チェイサーはそう言いながら、ブレイクガンナーにコブラ型バイラルコアをセットする。
チューン チェイサー コブラ!
右腕にテイルウィッパーを装着したチェイサーは、勢いよく鞭による横薙ぎをディケイド目がけ繰り出す。それをしゃがみながら前転して躱したディケイドは、バックルから新たなカードを取り出した。
士「コブラには蛇使いってか!」
そう呟いてディケイドはカードを装填する。
カメンライド オーズ ブラカワニ!!
メール欄のsageをsagaにすればフィルター外れるよ
ウィザード最終回や仮面ライダー大戦(鎧武の世界)も来訪済みなのかな?
>>7
アドバイスありがとうございます!
ss初投稿なもので、助言していただいてすごく助かりました。
>>8
ウィザードや鎧武につきましては、一応本編の世界だけ訪れていることにしています。
矛盾等見受けられる場合は申し訳ないです……
頑張ってください!応援してます!
トリップもつけるといいよ
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421123543/)
チェイサー「何だその音声は……いやに変な感じだな」
士「歌は気にするな! ……っと、それはあの鳥頭の台詞だったか」
チェイサー「フン、何をぶつぶつ言っている!」
再びテイルウィッパーをチェイサーが構えるよりも早く、ディケイドは笛のような武器ブラーンギーを取り出し、思い切り吹き鳴らした。
♪~
チェイサー「何だ……ぐあっ!」
その光景に思わず足を止めたチェイサーに攻撃を喰らわせたのは、他ならぬチェイサーのテイルウィッパーだった。さすがに予想外の事態だったのか、チェイサーも呆気に取られ狼狽える。
士「オーズのフォーム……見慣れないやつがあったんで一か八か使ってみたんだが、どうやら効果ありのようだな」
してやったりという声音のディケイドは、そのまま笛の音を吹き鳴らしていく。その度にテイルウィッパーはディケイドの意を汲んだようにチェイサーに向かい何度も攻撃を仕掛ける。
チェイサー「くそっ! だったら……!」
たまらずといった様子のチェイサーは、今度はコウモリを模したシフトバットバイラルコアをセットする。
チューン チェイサー バット!
テイルウィッパーが消滅すると同時に、チェイサーの手に銀色に輝く弓型の武器が出現する。それを確認すると、チェイサーはディケイドに向かって正確に弓矢を発射していく。笛を構えていたディケイドは、慌てて横っ飛びに回避した。
士「あっ、お前コロコロ姿変えんな!」
チェイサー「お互い様だろうが!」
迫りくる弓の雨を掻い潜りながら、ディケイドは新たなカードを装填する。
士「こうなったら、とことん付き合ってやる!」
カメンライド 鎧武! ジンバーレモン!
まるで時代劇の一幕に出てくるような小気味良い音声と共に、黒を基調とする羽織にレモンの輪切りが無数に並んだ様な模様を纏う、仮面ライダー鎧武ジンバーレモンアームズに変身したディケイドは、ソニックアローを構えチェイサーに弓矢を打ち返す。
両者共に向かい合い併走している中にも関わらず、自分へ直接向かってくる弓矢のみを無駄なく正確に撃ち落し合いながら、互いに拮抗した状態が続いていく。
チェイサー「これ以上貴様に付き合っている時間はない。終わりだ、楽にしてやる」
しびれを切らしたチェイサーは、弓型の武器を構え直しディケイドに一直線に標準を絞る。
士「同感だ。一気に行くぜ!」
アタックライド ソニックボレィ!!
カードを装填しながらソニックアローを引き絞り、ディケイドもチェイサーに狙いを定めた。
チェイサー「消えろ!」 ディケイド「お前がな!」
エグゼキューション バッド! オレンジスカッシュ!
両者ほぼ同時に放たれた光弾はぶつかり合うと凄まじい衝撃でお互いの体を吹き飛ばした。
チェイサー「くっ!」 ディケイド「ぐあっ!」
爆発の余波で吹き飛ぶと共に、人間の姿に戻ったチェイサーと士。なおも睨み合う両者だったが……
「全く、面倒で、厄介で、無駄な戦いをする方々だ」
その均衡を破るように、ある青年が現れた。
>>10
ありがとうございます!見にくい箇所も見受けられると思いますが、応援していただけると助かります。
暖かいお言葉をいただくいて、すごく嬉しいです。
>>11
トリップというものがあったのですね。
URLまで貼っていただいて……感謝感謝です。
指摘ですが、ディケイドがフォームチェンジをするときは、フォームライドですよ、だから
フォームライド オーズ ブラカワニ
フォームライド ガイム ジンバーレモン
なはず
カメンライドじゃなくてフォームライドじゃね?
チェイス「ブレン、何の用だ……」
眼鏡を直しながらゆっくりと歩んでくる青年は、理知的な顔つきで周囲の様子を見まわすと、変身の解けたチェイスの傍らに立つ。
ブレン「あなたが苦戦しているようなので助けに来てあげたんですよ。大体何で重加速を使わないのです」
チェイス「フン、この程度の奴、重加速を使うまでもない。それだけだ」
ブレン「嘘を付くのは止めなさい。あなたのことだ、重加速を使わずにフェアな勝負をしたい……そんな所でしょう」
士「おいおい、そのじゅう何とかってのは一体」
ブレン「百聞は一見に如かず……その身を持って受けなさい」
腰を摩りながら起き上がった士を一瞥すると、ブレンはパチンと指を鳴らした。
士「なっ!」
次の瞬間、まるで通常の何倍もの重力波の中にいるように、どんよりした衝撃が士を含めた3人に襲い掛かる。こちらに駆け出そうとしたユウスケも、体験したことのない現象にその場から動けずにいた。
士「テ……メェ……」
再び変身しようと、バックルに必死に手を伸ばす士を嘲笑うかのように、怪人態に変身しながらブレンがゆっくり歩み寄る。
ブレンロイミュード「不届きな輩には私の毒をプレゼントしてあげましょう」
ブレンロイミュードの頭から滴る猛毒がまさに士に迫らんとした、その時。
進ノ介「ちょっと通るぜ!」
ブレンロイミュード「何! ぐあっ!」
突如として猛スピードで突っ込んできた、トライドロンによる突進をもろに喰らったブレンロイミュードは、あひゃあっと情けない声を出してコンクリート壁に叩き付けられる。Uターンして士の前に止まったその車から、この世界の仮面ライダー、泊 進ノ介が降りてくる。
士「……おっと、何だ、体が自由に……」
と同時に、突如元通りになった体を士が見回すと、腰には見慣れない装置とミニカーのような車が設置されていた。
進ノ介「さっき車で奴を轢き際に付けといた。これで自由に動けるだろ? ……それにしても、重加速が起こったんで来てみたら、あんたらの仕業だったとはね」
チェイス「仮面ライダー……貴様……」
チェイスはよろよろと起き上がりながら、再び変身の構えを取る。
進ノ介「あ、今日はもう無しってことで」
チェイス「何だと? 貴様逃げる気か!」
進ノ介「何があったか知らないけど、あんたは満身創痍だ。また万全の状態で戦おうよ」
さも当然のように言ってのける進ノ介の様子に、毒気を抜かれたのか、チェイスはフッと笑むと悶え苦しむブレンを抱え直す。
ブレン「き、貴様仮面ライダーの癖に不意打ちで躊躇なく轢くとは……この、無神経で、無遠慮で、その、えっと……」
まだダメージで意識が朦朧とするのか、喚き散らすブレンを諌めながら、チェイスは一っ跳びでいずこかへと飛び去っていった。
進ノ介「さてと、じゃあ話を聞かせてもらうよ。世界の破壊者さん」
士「お前……」
驚く士を尻目に、進ノ介はニッコリと笑んで見せた。
ドライブの世界の仮面ライダーと士達が運命の出会いを果たした同時刻……
???「フフ……これはすごいお宝だ」
ロイミュード幹部が現在の根城としている建物近くに止まっていた、チェイサーの駆るバイク、ライドチェイサーを眺めながら、1人の青年が楽しげに鼻歌を歌っていた。その背後に、長めの赤いジャンパーを羽織った屈強な男が現れる。
???「何だい、生憎僕は今忙しいんだけれど」
振り返らないまま話す青年に、赤い男はゆっくりと口を開いた。
ハート「そのバイクは友達の大切な乗り物なんだ。君のような悪党が触れていいものじゃない」
???「悪党とは失礼な奴だ。僕は海東……通りすがりのトレジャーハンターさ」
ハート「怪盗……? 君が噂に聞く怪盗ルパンなのか? だとしたら、尚更そのバイクを盗ませる訳にはいかないな」
ハートは両の拳を正面に構え組むと、ゆっくりと下ろしながら怪人態であるハートロイミュードへと姿を変えた。
海東「ルパン……聞いたことがある、世紀の大泥棒怪盗ルパン……その情報、このバイクと共に力づくでいただくとしよう」
ようやく振り返った海東はニヤリと微笑みながら、カードをディエンドライバーに装填する。
カメンライド ディエンド!
銃身から天に向かい発せられたバーコード状の物体が回転し頭部に振りそそぐと同時に、青い虚像が重なり合い、マゼンダ色の青い仮面ライダー、仮面ライダーディエンドが姿を現す。
ハートロイミュード「驚いたな、まだ仮面ライダーの仲間がいたか!」
海東「おっと、僕をそこらの奴と一緒くたにされちゃあ心外だなぁ」
ハートロイミュード「何故バイクを狙う?」
海東「君には僕の気持ちなんて分からないだろうね」
ハートロイミュードから繰り出される重く、素早い拳をひらりと躱しながら、ディエンドはカードを装填する。
アタックライド ブラスト!
複数に分身した銃身から繰り出される弾丸も、ハートロイミュードは意に介さず突進攻撃を仕掛けてくる。予想外の反撃に一瞬ひるんだ海東は、両の腕でガードの構えを取るも、堪らず吹き飛ばされる。
海東「うーん、あんまりド突き合いは僕の柄じゃないんだよね……ここは彼等に任せるか」
突進の衝撃で煙を上げる胸部の装甲を払い、暫し思案して、海東は2枚のカードを取り出す。
カメンライド ブラーボ!
海東「君もいってらっしゃい」
カメンライド ナックル!
ディエンドライバーから撃ち出された2つの虚像は、ハートロイミュードの前でいくつも交差しやがて実体を伴い具現化する。
ブラーボ「さぁ始めますわよ! 破壊と暴力のパジェントを!」
ナックル「しゃあっ、いくぜ!」
ハートロイミュード「何っ!? くっ、邪魔をするなあ!」
突如として現れた2人の仮面ライダーの攻撃に、ハートロイミュードはディエンドへの行く手を遮られながら拳を繰り出す。
海東「ふう、少し一休みといくか」
対して余裕の様子の海東は、ライドチェイサーに腰掛け戦いを観戦するのであった。
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